第16回ウディコン全作品レビュー - チーターは無理ゲーを走る

08. チーターは無理ゲーを走る

ジャンル 作者
RPG なごみやソフト
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間 1.06 クリア

良かった点

  • パズル的な戦略が楽しめる戦闘でした
    • その上で、チートによる回答の幅も感じさせるデザインとなっています
  • 特に各々のボスの攻略法が個性的です
  • ヒントが充実しています

気になった点

  • ラスボスだけ唐突に攻略の雰囲気が変わった印象を受けました

レビュー

無理ゲー攻略の鍵は戦略性

チーターは無理ゲーを走る は、無理ゲーの戦闘をチートでクリアしていくRPGです。
ゲームの舞台となるのはAI製のVRMMORPGであり、ここに閉じ込められるところから物語は始まります。主人公はハッカー集団のメンバーと共に、AIの暴走により無理ゲーと化したゲームのクリアを目指すこととなります。

無理ゲーの名に恥じず、敵の攻撃力がカンストのため一撃で倒してきたり、防御力がカンストなので攻撃が通らなかったりと、通常ならクリア不可能なゲームを攻略する羽目になります。
そんな雑魚敵ですら規格外のステータスを持つこのゲームにおいて、戦闘に勝利して攻略を進めていくには味方のチートスキルが不可欠です。
味方となるキャラクターにはそれぞれ、1%でも確率があれば必中になる、ターンの終了時に全回復で蘇生する、といった特殊な性能が備えられています。これを最大限活用し、上手く相手の攻撃をいなしつつ、こちらの攻撃を通すパズル的な思考が攻略の糸口となります。
そうして、これらの強力なスキルと状態異常を武器に、様々な無理を押し付ける敵を撃破していくことになります。

また、各ステージの最後には、とりわけ強力なボスが待ち構えています。理不尽な性能を誇るボスに対して勝利をつかみ取るためには、より重点的に相手の行動を観察し、適切な行動を見つけ出し、きちんと対処していかなければなりません。自身のスキルをよく見て、相手の行動に刺せそうな戦略を構築していくことが肝要となるでしょう。
また、場合によっては、チートの力でごり押すことも不可能ではありません。ボスを倒すことで得られる素材から、こちらもステータスのカンストを始めとしたチートスキルを獲得することができます。
ボスに負けた際に閲覧できるようになるヒントもまた充実しているため、これらを活用しつつ何度も挑戦して突破口を見つけていきましょう。

感想

戦闘というかだいぶパズルめいているんですが、そこそこチートによるゴリ押しも効くタイプの戦略性をしています。ラスボスはほぼ完全なるパズルですが。なお、ラスボスについては想定解以外でも回復アイテムでゴリ押せそうに見えるんですが、筆者は上手くいきませんでした。なんとなくできそうな気配だけはあります。

戦闘のデザインはシステム自体を乗りこなすギミックバトルという空気感があり、手持ちの札をどこで切って対応していくかを求められるような印象を受けます。
数値やらスキルやらぶっ飛んだシステムではあって、ともすれば大味な戦闘が繰り広げられることもあるんですが、大まかには相手の攻撃を封じてこちらの行動を通す繊細さで中和されていたような感じがします。

そういった戦略性が重視される設計でありながら、チートを題材にしていることもあって、上述の通り色々とゴリ押しが通るのも面白いところです。
特に雑魚戦はそれが顕著で、チートパワーが高まるまではある程度ちゃんと処理する必要があるんですが、チートパワーが充分あればなんとでもなります。ぶっ壊れスペックは正義。
ボス戦においてもあえて別解を許容していそうな緩さがあり、こちらのチートパワーによっては難なく撃破できてしまうこともあります。考えても無理なら稼ぎましょうという向きに感じました。

また、ボスについてはおおむね初見クリアはできるようになっていない気配を感じはしますが、そこは作中でも言及のある通りに、死んで覚えるデザインを徹底した結果なんだろうなとは思っています。
実際、リトライに特別なペナルティはないので、それほど気にすることなく再戦できます。試行錯誤はかなりしやすい部類に感じました。個人的には3戦もすれば大体突破できる難易度かなと思っています。
ただ、魔導王のところだけチートパワーが高まりすぎて負けにならず、突破口も見えないから回復もされ続けるデッドロックめいた状況になってしまいました。耐久タイプのボスなのでそういうものだとは思いますが、制限ターンあたりでゲーム側から諦めさせられる方が親切な気もします。

なお、前述のように結構緩めのボス攻略設計ながら、ラスボスだけはガチガチのパズル設計になっています。ここだけ毛色がだいぶ違うなというレベルであり、ギアが一段どころではない水準で上昇します。この間くらいのボスは感触としてはいないので、完全に一人隔絶したデザインとすら感じました。
ラスボスの立ち位置を考えるとある種当然なものではあり、シナリオ上の要としては納得感はあると思うんですが、ボスを連なりで見るとやはり浮く存在であるとも思います。
個人的には緩くも厳しくもどちらも好きなので、どちらでも良いんですが、一つの作品内でのスタンスとしては若干ブレているような印象を受けていました。

シナリオ面ではちょっとしたどんでん返しを用意しつつ、作品規模相応のサイズ感に収まった良い塩梅のものとなっています。ただ、ひっくり返す過程で大体納得のいく説明がなされるんですが、それでもやや解釈できていないバックグラウンドもありました。
AIゲームを作ったのが父であり、AIプレイヤーを作ったのも父である、AIプレイヤーはAIゲームを遊ぶために作られたプレイヤーである、あたりまで来て、では今幽閉されているこのゲームの立ち位置がどこになるのかというあたりが判然としません。
作中序盤はAI製のゲームという説明がなされていますが、そうだとするとクリア可能なゲームにしておく理由があんまりない気もするので、AIプレイヤーに恨みを持ったゲーム制作者による行動あたりが落とし所な気がします。ラスボスをどう捉えるかという話も残りますが。
なんかこの辺の話をしていたような記憶もあるので、もしかしたら筆者がラスボスの攻略に頭を悩ませている間に頭から消し飛ばしてしまっただけかもしれません。その場合はごめんなさい。

なお、これはどうでも良いんですが、タイトルから主人公が一人ハブられているのには涙を禁じ得ません。シナリオ上の要請からというわけでもなさそうなので、ごく単純に花を重視したのか和服を重視したのでしょう。かわいそう。
ハッカーっぽくのオーダーでも和服を合わせることを忘れない作品なので、和服が全てに優先されるのはさもありなんというところでしょうか。