Celeste: 気持ち良い2Dプラットフォーマー
Celeste
値段 | クリア状況 | 実績 | プレイ時間 |
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1980 | クリア | 15 / 32 | 12時間 |
お勧め度 | コスパ |
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★★★★★★★★☆☆ | ★★★★★★★☆☆☆ |
世の中の――殊にインディーズの――アクションゲームの中には、ひたすらに難しいゲームがあります。
そういったとかく難しいゲームをプレイし続けるモチベーションは人によって様々でしょうが、制圧したときの達成感が多くを占めるのではないかと思います。
しかし、クリアした時にしか感じないその達成感一つでゲームをけん引するには、よほどうまく制圧への導線を引く必要があるでしょう。
このゲーム、Celesteは確かに制圧への導線も美しいですが、それ以上の答えを秘めています。
シンプルに、動かしていて楽しいアクションとなっているというものです。
プラットフォーマーとしての難しさ
Celesteは難しい |
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Celesteは難しいです。Steam上では精密プラットフォーマーと名の付くこの手のゲームの難しさは、提示されたそのルートを寸分の狂いもなく手元で実行することにあります。
きちんとタイミングよくジャンプし、タイミングよくダッシュを使い、空中移動を華麗に決めて、時にはアドリブもちゃんと効かす。これらを完璧に実行できて初めてステージをクリアすることができます。そこに妥協はなく、厳然たるゲームの上手さが問われる修羅の道です。
精密プラットフォーマーはその修羅ゆえに、ステージの途中で心が折れたりモチベーションが尽きることがままあります。
しかし、Celesteは動かしていて楽しいために、その修羅を幾分か緩和させてくれます。どれくらい楽しいかといえば、このレビューを書くためにちょっと触っていたら未クリアの2-B,3-Bを合わせて1000回くらいやられながらもクリアしてしまって夜更かしするくらいには楽しいです。
動かして楽しい高難度アクション
ルートが分かる | 増進させる仕掛け |
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では、Celesteがなぜ楽しく動かせる死にゲーなのかというと、おおよそ4つくらい理由があると思っています。
まず、リトライが早いです。とにかくリトライを重ねるゲームなので、プレイしていれば自然とその回数は増えてしまいます。しかし、クリア後にこんなにミスったのかと思うほどには、リトライそのものにストレスも時間も感じません。
ロックマン式の素早い死亡モーションもさることながら、この短い中でさえキーを押すとスキップできるという至れり尽くせりの仕様が大きな理由の一つでしょう。
加えて、復帰位置がステージに入ってきた位置ではなく、アクションの開始地点に置かれているのもリトライ性を高めています。
また、ルートがある程度明瞭に分かるところも試行錯誤しやすいポイントです。
ルート構築にそこそこ頭を割くステージもありますが、多くのステージは直感的にここを通ればよいというのが分かります。
ルートに不安があると、暗中模索でやっている感覚がして辛いところですが、Celesteにおいては大体ここまでノーミスで進んだなという気持ちで取り組めます。
上図のケースでは難所は3か所くらいあるので、そこを突破できるようになっていくたびに成長を感じて進められます。
次に、ミスしてもプレイヤーが自身のせいだろうなと思うようなマージンが仕込まれているのも大事なところです。
作者が公言しているコヨーテタイムのみならず、当たり判定の小ささや、当たったオブジェクトがその場で静止してどのポイントで当たったかを明確に示してくれることなど、細かいレベルで自身のミスを自覚しやすいシステムになっています。
ミスの原因がゲーム側にあると思ってモチベーションがだだ下がりすることは経験上よくありますが、Celesteにおいては殆どありませんでした。
最後に、動きが気持ちよく、その気持ちよさを増進させる仕掛けが多くあること。そして、妨害する仕掛けが殆どないことが最大のポイントだと思っています。
Celesteの動きで最大に気持ち良いのはなんといってもダッシュです。このダッシュという状態で入ることにより高速で抜けられる壁というギミックが存在し、ダッシュという動きの気持ちよさを高めています。
また、目に見えるギミックという仕掛けだけではなく、敵とギミックの配置という仕掛けにおいても、ダッシュを気持ちよくさせるようにデザインされているものが数多く見られます。
加えてこれらは共通して、綺麗に攻略することで見た目が格好良くなるという副次効果もあります。これにより、プレイヤーは上手いプレイができたという実感が湧くことでしょう。
ついでに細かいところですが、地面にはみ出そうなときにモーションが変わっていたり、ジャンプやダッシュ中に揺れ物がちゃんと揺れたり、アクションのたびに緩い画面地震が起こるなどの細やかな部分も気持ちよさの後押しをしています。
美しいドットグラフィック
ドット絵が綺麗 |
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また、Celesteを語る上では美しいドット絵と音楽も外せません。
残酷なまでに厳しい冬山の情景も、息を呑むほど美しい頂上付近の景色も精緻に描かれています。スクショを見るとなんとなく分かりますが、各面でトゲの役割を担うオブジェクトも異なっています。
このような各ステージで様変わりしていく風景もまた見どころの一つとなるでしょう。
特に、ストーリー終盤の駆け上がっていくようなシーンは曲も相まって、テンションを上げたまま最後まで突っ走れる程に素晴らしかったです。
気持ち良い2Dプラットフォーマー
Celesteは確かに難しく、歯ごたえのあるアクションゲームではありますが、難しいステージをクリアすることで得られる達成感というものを、動きの気持ちよさで補助して与えてくれるゲームでもあります。
この手のゲームを初めてやる方にも勧められるような手の行き届いた作品と言えるでしょう。
感想
説明なしだと少し厳しいギミックはいくつかあるかもしれませんが、理不尽に感じるようなマップ構成は殆どない作品です。一画面に収まらず、その外の情報がいる場合はちゃんと見るためのギミックが配置されています。
多分、リアルスキルさえ高ければそんなに死なずにクリアできるんだと思います。筆者はめちゃくちゃ死にましたが。
あと、ストーリーもちゃんとあって、盛り上がりに寄与してくれます。ラストへと向かう流れは音楽とともに気分を盛り上げてくれました。