第14回ウディコン全作品レビュー - 天上奥義伝

01. 天上奥義伝

ジャンル 作者
お手軽SRPG LAKO
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.2 クリア

良かった点

  • 全体的に遊びやすくデザインされていました
    • 殊にUIは直感的で使いやすかったです
  • スケベOFFなどの配慮もあります
  • 良いストーリーでした

気になった点

  • 敵の性質が初見で突破しにくいものに感じました
    • 加えていくつかは運の要素を強く感じました

レビュー

カジュアルに楽しめるSRPG

天上奥義伝は気軽にSRPGを楽しみたい方にお勧めの作品でしょう。
ヘックスで構成されたフィールドの中、主人公であるメイメイとそのペアを操作して色々な強敵たちと戦うことになります。

ステージごとに存在する多種多様な動きを持った敵に対しては、その性質を上手く捉まえて戦わなければ苦戦は必須です。
さらにその連戦を抜けた先に待ち構えるボスともなると、QTEめいた特殊な攻撃パターンまで披露してきます。これらに全力で対応して、勝利をつかみ取りましょう。

しかし、もしステージのどこかで負けてしまっても諦めることはありません。
それまでの敵から得られた経験値でキャラクターのパラメータを自由に伸ばしたり、スキルを獲得したり、あるいは得られたお金で買った装備に様々な強化を施したり、自由な戦略で再挑戦できるようになっているからです。
力に全てを割り振った脳筋でもよし、スキルを多様に覚えてクレバーに戦うもよし、天運に身を任せるもよし、自分なりの自由な組み合わせで戦いに挑んでいきましょう。

また、その高い自由度を下支えしているのは、高品質かつ使いやすいUIデザインです。ほとんど全てがマウスで簡単に操作でき、快適にプレイできること疑いありません。
その直感的に操作できるUIでもって、自由にプレイできて、遊びやすいというシステムが完成されています。これに一戦一戦のテンポの良い短さも加わり、サクサクと進めていくことができるでしょう。

そうした遊びやすさの牽引力で進んでいく物語は、やがてある結末へと着地します。ぜひともこの物語の終わりを体験してみてください。

このように、天上奥義伝は遊びやすさのおかげで間口の広いSRPGとなっています。誰でも気軽に遊ぶことがきるので、カジュアルに楽しんでいきましょう。

感想

カジュアルにさっと遊ぼうと思った時に非常に良いゲームでした。
操作が分かりやすいというのもありますが、一戦一戦がさほど長くならず、行うべきカスタム要素も少なめで、全体的にとっつきやすいです。

そして何よりも、不要な中間点のようなものが一切ないデザインなのが、さっと遊びやすいポイントでした。戦いと戦いの合間、強化と店とダンジョンの合間、色々な合間に無駄がなく、サクサクと進みやすいというのが、かなり遊びやすい。
マウス操作に特化しているという振り切り方も遊びやすさの主因かもしれません。何ならスキップは右クリック長押しでもいい気がしましたが、これは誤爆防止でしょうか。

そして全体的なグラフィックのクオリティの高さ、そしてそれをより一層引き立てる統一感の高さはやはりレベルが高いです。
これも恐らく遊びやすさに良い影響を与えていて、全体を通してよく馴染むので違和感なく遊べます。

ただ、カジュアルに振った分なのか、プレイしていると大分運に左右されるなあという印象でした。
対策可能とはいえあんまり対策したくない33%睡眠とか、敵の行動ルーチンとか、同速度の行動順とか、そう言った要素が露骨に影響してきます。
どれもこれも再戦を繰り返せば対策可能なので、そういうデザインなのかなと思いつつ、スコアアタック付きだとどうしても一発で通したくなる癖が抜けませんでした。
カジュアルに楽しむにはあんまりスコアを気にしないほうが幸せだと思います。
ギミック敵なんかは特に初見では対策不能なので、再戦して勝利を目指すのが得策です。

個人的にはシナリオも結構好きで、ちゃんとオチに向けて良い展開を用意していました。
ちゃんと読めばわかりやすいシナリオながら、コメディ調の展開を続けることでうまくカモフラージュされていたように思います。
そこそこグロ目な表現もあるので、スケベOFFと同じくらいグロOFFもあって良かったのではと考えてはいましたが、どうも表現的に厳しそうですね。血の表現が割とリアルで痛々しかったです。

閑話休題。個人的なシナリオの推しポイントは、王にさえもある程度の理由を渡そうとするところにあります。
これは愚王の過ちであるという風にまとめても良いのに、そこで終わらせないというのが個人的に好みでした。悪役に落ちてしまったものの先にも世界が広がっているというのが好き。
実際、賢王が晩年愚かになって晩節を汚すケースはちょくちょくありますしね。

前作も楽しくやったので、ついでに前作との比較も。2人操作になったこと、合成の仕組みが入ったことが主な違いでしょうか。
2人操作になったことについては、合体技が一番インパクトが強かったですね。操作キャラが1 → 2 になったこと自体は、個人的には多少やることが増えたというレベルに収まっています。
いわゆるSRPGは複数ユニットを操作するのがベーシックなやり方なので、そちらに寄せたというか回帰というか、そういう印象です。あと、人数で押すタイプのゲームでもなさそうという気持ちもあります。

合成は結構良い仕組みだと感じていて、後半お金が余る現象をある程度緩和していたように思います。元のものを買い、合成するので結構お金を使えます。
上位装備を買って終わり、じゃなくて合成で良い装備を作ってみるという導線があるので、お金の使いどころの上限が存在しないデザインになっていて上手いなあと。

それにしてもスケベ、結局OFFにしてないのでどれくらい変わるのかは若干興味あります。
もともと言うほどスケベですかね。ネクロフィリアと同程度じゃないですか。

これは早めにやったからギリギリランキングに入った図