第14回ウディコン全作品レビュー - 廃館少女 - Replica -
23. 廃館少女 - Replica -
ジャンル | 作者 |
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探索ADV | 腐乱ぼわーず |
プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
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1時間30分 | 1.1 | 全ENDクリア |
良かった点
- 雰囲気のあるグラフィックでした
- 足元が安定しないような良い不安感のある物語でした
気になった点
- QTE入力について、文字送り後は少し待ってもよいかもしれません
レビュー
薄暗い廃工場と彼女の嘘
廃館少女 - Replica -は、薄暗い雰囲気が漂う探索アドベンチャーです。
少女ローゼマリーが語る、誘拐事件の後に廃工場の一角で目が覚めてからの物語を体験することになります。
このゲームは、探索アドベンチャーとしては非常にオーソドックスな作りです。
古びた廃工場の中、主人公を操作して脱出を図ることが目的となっています。脱出のためには廃工場を周り、様々なギミックを乗り越え、出口を見つけ出す必要があるでしょう。
ただし、廃工場には主人公を害そうとする何者かが潜んでいます。何物かに捕まらないように、隠れたり、時にはQTEで対応したりと、うまく逃れていきましょう。
そうして危険を回避しつつも廃工場を探索していくことで、やがて少女の語る物語は一つの終わりを迎えることになります。
この作品においては、その暗い雰囲気が高品質なグラフィックによって存分に表現されています。加えてその雰囲気相応に、心が不安になるような演出の数々が探索中に襲ってくることでしょう。
しかし、何よりも不安に突き落とされるのは、少女の語る、あるいはプレイヤーが体験することになる物語そのものとなるかもしれません。
足元のおぼつかないような不安を、素晴らしい雰囲気の中で味わってみませんか。
感想
雰囲気のいい館ものです。館じゃないけど。
廃工場舞台だけど廃館少女だし、だいぶ館ものっぽい構成なので館もの扱いします。
一応前作からの続きものっぽいタイトルですが、恐らく前作知らなくても楽しめます。そもそも続きというよりはスピンオフで、知っておくとより楽しいかもくらい。知っている身としては、結構補完してくれたので楽しめました。
探索物としてはかなりオーソドックスなスタイルで、おおよその場面では行ける場所が限定されているので、総当たりめいたことは必要ありません。
謎解きもそこまで複雑なものは要求されないので、遊びやすいレベルに収まっていると思います。
謎解きに関しては、スイッチが黒塗りじゃないほうを動かす必要があったり、金庫はその数だけ回すのではなくてその数字まで回すのだったり、微妙にトラップがあるんですが、やっていればカバーできる範囲でした。
QTEのほうが難易度普通だとそこそこシビアで、特に文字送りの後はZキー連打しているのでミスりがちです。ちょっと余裕があっても良いかもしれない。
そして物語というか全体の雰囲気作りに間違いなく寄与しているであろう、マップのグラフィックが良いです。前作もそうだったんですが、境界線が直線でなくてぐねぐねしているのが、絶妙に不気味さを煽ってきます。
役割的には鉄扉だけマップシンボルとして木製に見えるので、鉄扉っぽくあってほしかった気持ちはあります。
また、時折出てくる一枚絵も迫力があって、ちょくちょくこれがホラーであることを思い知らせてきます。ただ、植木鉢は別の意味でぞわっとしてしまった。苦手な人には無理になりそう。
BADというかゲームオーバーの演出もいろいろあって凝っていました。
そういう雰囲気の中で描かれている物語も、虚構癖をベースにいろいろと考察できる内容で良いです。
前作が前作だったのでミモザ説はだいぶ早い段階で考えてはいて、クマのぬいぐるみがお姉ちゃんであろうことは終盤あたりからある程度推測できるかもしれませんが、そうであっても何が本当か分からない感覚は抜け落ちません。
信頼できない語り手を上手く使って不安のあるストーリーラインを構成しています。Draugenとかの類の良さ。
しかし刑事さん、なんだかんだ有能がゆえに、いらん事態に巻き込まれた感じが否めませんね。
もっともどこまでが真実なのかは分からないんですが。
全体的にホラー風味探索としての作りが至極まっとうで、ちゃんと不安にさせる要素もあるあたり、フリーゲームのこういう探索ものに求めるものが余すところなく入っている印象です。ラーメン頼んだらラーメンが出てくる感じ。