第14回ウディコン全作品レビュー - 割烹活法・神ノ七草

52. 割烹活法・神ノ七草

ジャンル 作者
ノンフィールドRPG なごみやソフト
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.02 クリア

良かった点

  • ボスごとに良いギミックバトルが楽しめます
  • 状態異常管理ベースという特殊な戦闘システムが面白かったです
  • 世界観がしっかりとありました

気になった点

  • 散策の意義が不明瞭でした
    • 用途としてはほぼ回復のためになりそうですが、ランダムイベントがあるためなかなか休憩できません
    • ある程度リスクがあれば回復できるかのギャンブルになりますが、リスクもそれほどないため、回復が引けるまで回すことも可能でした

レビュー

和服ギミックボスバトル

割烹活法・神ノ七草は、料理でボスを処理していくギミックバトルめいたノンフィールドRPGです。
ノンフィールドのステージを戦ったり散策したりして進めていき、最奥のボスに挑む形となっています。

各ステージのボスはそれぞれ専用のギミックを有しており、それを上手く対処していくことが攻略の上で重要な点となります。
そして、この専用行動への対処のカギを握るのは、料理というコマンドと、そのコマンドで与えられる状態異常です。

料理には様々な種類が存在し、それぞれの性能や対応する状態異常が異なってきます。
敵の付与してくる状態異常に対処するにも、相手に上手く状態異常を付与するにも、料理は欠かせない要素となってきます。
このゲームの特徴である、状態異常は一種類しか掛からないという性質を活かし、あえて味方に状態異常を被せるという戦略もあるでしょう。

また、ボスを攻略する上で重要なもう一つの点が、旨味と呼ばれるゲージを貯めることです。
旨味を最大限まで貯めることができれば実質的に勝利となるため、ボスごとに異なる旨味の蓄積方法を見つけ出していくことが肝要となってきます。
旨味を効率よく貯めるためには、相手の行動への理解と、やはり状態異常の取り扱いが強く影響してくるでしょう。行動を観察し、適切に対処していきましょう。

なお、料理は食材から成り立ち、食材は道中の敵から入手することができるため、道中のノンフィールドもなおざりにはできません。備えあれば患いなしなので、雑魚敵からは、ありがたく食材を頂いておきましょう。

料理を活用して状態異常を取り回し、上手く立ち回ってボスを美味しく頂いていきましょう。

感想

全編通してギミックボスに上手く勝つゲームという感じです。
料理システムが面白くて、それをどれだけ活用できるかが勝負のカギを握ります。

ベースは状態異常ギミックボスなので、状態異常の管理が何よりも大事になります。
そして、それには食材が何よりも大事になります。道中の雑魚敵からちゃんと食材を集めておけば、ボス戦で想定外のことになっても割と何とか戦えるようになります。準備が大事。

一番ギミックっぽいのは蛇とラスボスですが、それ以外も状態異常のギミックをフル活用してきます。
状況と構造を理解し、食材を上手く使って場を管理する能力が求められるので、状態異常管理バトルシステムみたいな気持ちになれます。状態異常を制するものが戦いを制す。

とはいえ、ギミック自体は初見でもなんとかなるレベルの構造をしていて、基本的には殴るのがメインになるので難しすぎてリトライが必須というほどではありません。
片方が殴ったり守ったりしつつも、料理で持久戦していく戦闘システムという印象でした。どうしても旨味パズルにはなるので持久戦は必要ですが、ちゃんと戦えばどれも20ターンもかからないレベルです。
ニコミ火山が苦戦しましたが、これも吹きこぼれギミックを理解していればもう少し詰められそう。

料理のための素材集めについても、最初の方から連続素材入手攻撃があるので割とサクサクと集まります。また、図鑑を見ると特定の敵の出現率を上げられるので、特定素材の入手も割と容易になっています。便利。
そうして集めた食材をボス戦で惜しみなく使うことで、場を有利に展開できます。
余った素材はナマステに売って食材のバランスを取ればいいので、ガンガン取得したほうが吉です。

ああなるほどそれで旨味が上がるのね、じゃあこういう料理を使って、みたいな考えで、理解、適用、結果が割と早く返ってくるので楽しめます。
旨味ゲージという見た目で分かりやすい勝利条件があるので、料理や敵のギミックに対する理解が素早く完了するのが良い設計だなあと思っていました。

個人的には蛇とラスボスのギミックが好きでした。
蛇は結構ダイナミックな動きをしているのが良くて、ラスボスは勝手に状態異常を作って場を乱す面白さがあります。ラスボスについては最初の内は何が起きてるか分かりませんでした。

難易度で言うとニコミ火山が一番厳しくて、雪面に行ってなければクリアも覚束なかったように思います。一応できるのかな。温度操作はともかく吹きこぼれのギミックが良く分からないままごり押したので、今でも完全な解法は分かっていません。
なお、雑魚のシシヤギヘビだけはあんまり面白みがなくて、MPは削ってくる、速度上昇で回避してくるで、こちらの継戦能力を削り取ってくるのが辛めでした。ボスも含めて一番苦手かもしれない。

なお、散策の設計については、実質的に回復したいから散策しているので他のイベントの必要性をあまり感じてはいませんでした。
現状一応ダメージを負うこともありますが、回復さえ出ればチャラになるので当たりが出るまでガチャを回している気分になります。もし散策でのダメージでゲームオーバーになるならリスクではあると思うんですが、それもなんか違う気もします。
殊にラストダンジョンでは会話後に移動するイベントの確率が高く、それがそこそこ面倒でした。特に、もう戻されも進みもしない最終地点でも発生するのがやや変に感じます。

ストーリーについては、あっさり目ですがちゃんとあります。どちらかと言えば、物語より世界観がしっかりとあるイメージです。七草周りの設定とか。
物語としてはノンフィールドRPGとしてちょうどいいサイズ感だったように感じました。その短い中でも二人のやり取りが軽快で、シシクイのキャラの強さもあってさっくり楽しく読めます。

しかしクリア後部屋における和服に対するこだわりは凄いです。
和服の時間が3時である理由が全く分かっていない。おやつの時間とかそういうことでしょうか。

リザルト