第14回ウディコン全作品レビュー - 父と娘のまちがいさがし
67. 父と娘のまちがいさがし
ジャンル | 作者 |
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間違い探し | すたーあいす* |
プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
---|---|---|
30分 | 1.12 | クリア |
良かった点
- 間違い探しにアクセントを加えた良いシステムでした
- 特に最後のステージの形式が良いです
- 操作性は直感的でした
気になった点
- 部分的に常識力あるいは共感力が求められる正解がありました
- 判定範囲もややエスパーが入ることもありました
レビュー
よく覚えて正解を見つけよう
父と娘のまちがいさがしは、間違い探しを基点とするアドベンチャーゲームです。
基本的には間違い探しをベースに、クリアすることで物語が進行していきます。
しかし、このゲームにおける間違い探しは、ただの間違い探しではありません。間違いを選択することに加え、直前の会話の情報を踏まえて、正しかった方の画像を選ぶ必要があります。
例えば、指の形がパーかピースかという違いがあった時は、直前の会話であの時はピースをしていたという情報があれば、ピースをしている画像の方を選択しなくてはいけません。
双方の画像を突き合わせて間違いを見つける能力はもちろんのこと、短期的な記憶能力も同時に求められることになるでしょう。
なお、必要であれば質問やヒントを活用していくという手も残されています。
そうして間違い探しの問題を次々と正解していくと、ストーリーは思わぬ方向へと転がっていきます。
間違い探しのゲームを乗り越えて、ストーリーを進めていきましょう。
感想
間違い探しというか正解当てに近いゲームです。短期記憶力ゲームとも言えるかもしれません。
間違い探し的な能力も求められますが、それ以外の能力も求められるといった印象です。
会話内容をどの程度覚えておけるかのゲームでもあるので、それによってより正しそうな方を選ぶことになります。
自信が無ければある程度メモっておけばいいですし、実際筆者は個数がらみは自身が無いのでメモしていました。それだけならメモにもそんなに時間はかかりません。
この短期記憶力間違い探しというのは結構面白い仕組みで、単なる間違い探しの上に正解を当てるレイヤーが被さっていて、別の思考を両方使う感じがして良いです。
一つ要素を足すことでオリジナリティを演出する設計として、良くできているように思いました。
ただし、部分的には常識力というか共感力が求められるところもあります。例えば幸せの青い鳥という存在とか、太陽は笑っていたほうが幸せだとか、そういう類が該当します。また、綺麗な結び目と言われて2つ結びを選べたのは、大分エスパーが入ってる印象です。
とはいえ、大まかには情報処理能力で何とかなるレベルなので、それほど理不尽なポイントはありません。
また、若干判定範囲にもエスパーが要求されることがありますが、これも少数でおおよその判定は納得できるレベルです。
なお、基本的に使用するUIは中心に寄っているので操作はしやすく、操作自体も直感的なのでさほど迷うことはありません。ルールの単純さに合った、シンプルな操作性をしています。
加えて操作性は良好なので、すんなりと間違い探しに取り組めます。
ストーリーについては明るめ進行の中に暗い展開をまぜこぜしていますが、おおよそ前向きな内容です。
暗い展開を入れるのが、この作者さんの一種の手癖というか作劇の手段みたいなものなのかなと感じています。実際、悲劇的な展開を入れることでメリハリはついていて、山とオチの落差がついています。
さらに加えて物語に絡む範囲で言えば、最後の形式のステージは好みでした。ストーリーそのものと密接に絡みつつも、ちゃんとゲームとしては成り立っています。
そのゲーム性でしか表現しえない演出を用いて、物語を構成する設計が好みでした。ゲームで物語を構成している以上、ゲームでしかありえない演出がなされていることに強く心が動きます。ゲームである意味を感じ取ることができるので。