第15回ウディコン全作品レビュー - エド王子の冒険 大地の精霊と邪悪な神

37. エド王子の冒険 大地の精霊と邪悪な神

ジャンル 作者
RPG せーのすけ。
プレイ時間 プレイVer クリア状況
5時間 8/4 クリア

良かった点

  • 展開に応じたNPCの言動の変化が細かく用意されていました
  • 雑魚も十分に強い戦闘バランスでした

気になった点

  • 階段の接触判定が狭いため壁を擦るように動くと降りられず、毎回位置調整が発生するのがややストレスでした
  • ダンジョンを脱出するとき、リバックしてワープするのが二度手間なのでワープに統一しても良い気がします

レビュー

王道RPG

エド王子の冒険 大地の精霊と邪悪な神は、王道を征くRPGです。
ゲームシステム、世界観、シナリオの運びなど、あらゆる面で王道を攻めた作品となっています。

まずもって、魔王を倒すために勇者が旅をするというシナリオそのものからして王道の雰囲気が漂っています。そして、その雰囲気を裏切ることなく、あらゆる面で丁寧にオーソドックスな作りをしています。
ワールドマップで町を渡り歩き進めていくゲーム進行、そうして辿り着いた町で発生するイベント、その全てが堅実かつ王道的に作られており、RPGに慣れていればよりサクサクと進めることができるでしょう。

戦闘システムもまた、分かりやすいシンプルなターン制で構築されています。ただし、難易度はやや高めのものとなっており、雑魚を相手取っていたとしても、スキルをケチると場合によっては全滅まで見えるバランスとなっています。敗北を避けるには、惜しまず戦うのが重要です。
いわんや、シナリオの壁となるボスもまた強敵です。特にこちらの様々な耐性を低下させる行動が脅威であり、事前に対応した耐性を上げておかないと圧倒的に不利な状況となってしまいます。一度戦って敗北したら、その情報をもとに装備の組み合わせを考えてから再戦していきましょう。

最後まで一貫したオーソドックスなデザインで構成されたRPGです。このため、奇をてらうことのないRPG体験を得られます。
戦闘で強力なボスを打倒し、シナリオを進行し、ゆくゆくは魔王を倒す王道的な体験をしていきましょう。

感想

かなりオーソドックスめなRPGです。展開とか戦闘の設計とか、諸々が基本に則り作られたRPGという感じ。尖った特別な要素はありませんが、尖った要素がないことそれ自体がアイデンティティとなっています。

中でもシナリオはかなり王道というか往年のRPGっぽく、長ったらしい話もなくサクサクと進みます。この辺は巨人の肩に乗っかったシナリオとでも言いますか、かなりお約束に準じることでテンポを上げているように感じました。
RPGに慣れていれば何となくここに行けばいいのは分かるし、誰に話しかければいいのかも分かる、そういった暗黙の了解のような決まりごとにかなり則っているので、RPGに慣れているとサクサク進められます。

その分、次にやるべきことの話でも結構あっさりとした感じで話してしまうので、読み流しているとたまにやること分からなくなりがちではあります。
説明がないことで厳しい場面もちょこちょこあり、パセポの村をずっと探していたら崩壊した村のことを指していたというのが順繰りに巡回し続けてようやく発覚するということもありました。どこに説明あったんだろう。
とはいえ、おおよそのイベントはなんとなく発生しそうな場所に空気を読んで行けば発生するので、己の直感に従えば大体うまくいきます。

また、そんな王道かつともすれば淡泊でもある物語運びではありますが、シナリオ自体はちゃんと王道に良いものとなっています。
展開に応じたNPCの会話変化も細かく、ちゃんと闇に覆われたら不安になりますし、 襲撃中でも店は開きますし、助かれば感謝も言い、光が晴れたエンディング後にも専用の会話がありました。このあたりの微に入り細を穿つ作り込みは好きです。

戦闘面については、割と尖ったバランスな印象を受けますが、何とか乗りこなせるレベルに制御されてもいます。
とにかく強力な攻撃を作って提出するのが強く、クリティカル必中3連などを押し付けていくのが理想になるタイプです。
くじ引きで引いた武器は割と最後の方まで頼りにはなりますが、終盤になるとさすがに一筋縄ではいかなくなることもありました。とはいえ、運用次第ではお世話になりますし、雑魚戦では普通に強いです。

また、終盤の雑魚はかなり強いので、スキルを使いまくるつもりで戦わないと普通に負けることもあります。物理反射は面倒なので戦わないという選択肢もありかもしれません。
なお、終盤にまで辿り着いていると戦闘開始前フェーズでのパッシブスキルがそこそこの数あるため、その影響で少しゲームスピードに影響が出るのは気がかりでした。逃げるつもりでも結構待つことになります。

ボスも十分に強く、こちらが戦略を練って耐性をつけていても容赦なく耐性を落としてきます。耐性装備は戦闘を優位に進めるために運用するもののことが多いですが、このゲームではそれがスタートラインです。マイナスをゼロにする作業。
なお、ボス戦も含めて割かしS調整が重要なゲームバランスをしている印象ですが、肝心の素早さによる順序が見えにくいゲーム性となっています。たまに、素早さをどれだけ上げても上を取られることがあるのはいまだに良く分かっていません。乱数入ってるのかな。

細かいところの遊びにくさがないわけではありませんが、諸々王道に仕上げることで良いテンポ感と割と難しめの戦闘バランスを楽しめる作品でした。