第16回ウディコン全作品レビュー - Revive

03. Revive

ジャンル 作者
RPG ケモプレデーションゲームス+MON&Mr.H(共同制作)
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.w2 クリア

良かった点

  • シビアな世界観の中で、ドロドロのシナリオが描かれています
  • 敵を赦すかどうかで役割が変わるシステムはユニークでした

気になった点

  • システム面がゲーム仕様に最適化されていない印象を受けました
    • 主にゲームに不要なパーツが多い印象です
  • シナリオの状況描写が弱く感じました
  • ラスボスのイベント戦はトラップになりうると感じました

レビュー

各々の感情が入り乱れる群像劇

Reviveは、3Dのダンジョンを進み、敵と戦闘しつつシナリオを進めるRPGです。

その戦闘を有利に進めるためには、敵に有効打を与えるように弱点を突く必要があります。ただし、弱点をいちいち調べる必要はありません。オートAIによる攻撃に委ねることで、自動で判別して最適な行動を取ってくれるためです。回復アイテムのタイミングだけ見計らっておきましょう。
そうして攻撃を重ねて敵を倒すと、対象を赦すかどうかを選ぶことができます。赦した場合は何度でも戦えるほか、その敵シンボルに話しかければアイテムを購入できます。その一方で、赦さない場合は敵シンボルが消滅して体力が回復します。シチュエーションに応じて選択していきましょう。

そうした戦闘を繰り返し、乗り越えていくことで進行するシナリオがこのゲームの主眼となります。
様々な登場人物が織り成す物語は、キャラクターが増えていくほどに混沌を極めていきます。各々の思惑、感情、それぞれの想いが交錯していくシナリオは、やがてそれぞれの決断を描き出します。

障害となるボスを戦闘で撃破していき、それぞれの登場人物がこの世界で何を思い、どう決断したのかを見届けていきましょう。

感想

相変わらずだいぶシビアな世界観の作品です。それぞれのキャラクターの関係性の混線具合もさることながら、各々の置かれた環境だとか、そもそもの弱肉強食の話だとか、そこで行われる決断だとか、諸々がしっかり重いです。
その分登場人物もプレイアブルのキャラクターも多く、予定外の登板と降板があるのはゲーム的には辛いところで、それの影響で難易度が上がっているきらいはあります。

そのシビアなシナリオ自体は良くて、それぞれの抱える思いとか矛盾する気持ちとか、それでも進まざるを得ない背水の行動とか、諸々が良い味を出しています。いわばダブル主人公みたいな状態なので、そこもまた良い。
個人的には悪役がもう少し芯の通った悪役だとより好きではあったんですが、全ての存在が弱さを抱えているとみなしているストーリーラインとの整合性を考えると、こっちの方が良い気はします。

ただ、イベント、特に連続で思っていることを語るシーンが入るとテンポが悪く、フェードアウトとフェードインが余計に繰り返される羽目になるのはシナリオの阻害要因となっている印象でした。無法地帯あたりで特に顕著です。
また、心情描写が主体となっている都合上、状況描写に割かれた文量が少なく、状況描写なしで場面転換が行われていき、頻繁に回想が入り乱れるので、かなり読みにくいものとなっています。ノベルゲームのような立ち絵や背景もあまり無いので、今どこにいて、誰がそこにいて、どういう話を行なっているか、が事前に提示されないケースが多い印象でした。

ゲームシステムについて触れておくと、端的に言うとゲーム全体に対して不要なシステムの占める割合が多いなという印象を持ちました。
メニュー一つとってみると、移動中にスキルを使わないのだから一覧にまとめれば良いですし、ジョブチェンジやJPといったよく分からない仕組みはそもそも不要です。
ゲームの大枠の流れで見ても、一瞬しか仲間にならない対象も多い上に、ボスが原則イベント戦でメンバーが固定化されるのもあって、基本的に大多数の味方の存在が意味をなしていません。事実上、編成がほぼ不要な機能になっています。

せっかくメニューシステムを大胆に改装し、戦闘システムもデフォルトから一新しているのに、ゲーム仕様に合わせたものになっていないので、デフォルトの方がまだ慣れていて使いやすかったなという印象に陥りそうな感覚を受けました。

またゲーム中にも記載があるんですが、3Dにおけるレスポンスもそれほど良くはなく、たとえDキー押しっぱなしで移動していたとしても、回転操作への反応が遅れているという印象自体はどうしても拭えません。
おそらく誤動作防止の機能なんだろうなとは思うんですが、誤動作以上に体感が阻害されているような気もします。これがない場合の誤動作を体験していないのでなんとも言えませんが。

戦闘面については、おおむね強いキャラが頑張って殴るゲームです。攻撃力が足りないとジリ貧になるので、それなりのレベルにしておくのが無難にはなります。
雑魚敵を倒した時に許してアイテムを買うか、許さずに回復するかを選べるのはユニークで、必要な時に回復を選びつつ、アイテム購入対象を兼用することができています。あれだけやられても向かってくるその意志は凄い。

ただし、イベント戦たるラスボスはまあまあ初見殺しなので、悪いことは言わないから魔法薬と毒消しを買うのをお勧めします。
そのままだと、サシで魔法弱点の相手に魔法を封じられる泥仕合が始まります。相手の攻撃力は1ダメージ程度なので、負けるのも難しいです。
封印に毒消しが通ることは筆者の見た限りではゲーム中に記載がなく、掲示板でミスリードの一環として触れられていた程度でした。ここは明確に厳しい点で、攻略における重要情報がゲーム中に存在せず、揮発的な掲示板で語られている、というのはまあまあしんどいです。
そもそもリードをミスする対象もないのでミスリードでもありません。ミスリードついでに話すと、紹介文でミスリードに次ぐミスリードとあるんですが、あんまりミスリードが良い意味であるイメージがないので違和感を覚えました。誤解させる、誤らせるぐらいのニュアンスという気がします。

ただ、戦闘周りはフレーバーで、シナリオが主体みたいなゲーム性ではあるので、昼ドラもかくやという感情の混線を見るなら良い作品です。各々が色々と抱えつつも、各々にとっての決断を行なっていきます。
それらの決断が正しいものであったのかと客観的に判断を下すべきかという問いすら生まれうる、良い意味でぐちゃぐちゃとした感情の中で描かれた作品でした。