第16回ウディコン全作品レビュー - デモクラシア演義
41. デモクラシア演義
ジャンル | 作者 |
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選挙 | 投票率向上委員会 |
プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
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30分 | 7/21 | 4大統領/戦火 |
良かった点
- 選挙活動の厳しさをエミュレートしています
- 選挙シミュでありながら、選挙のための選挙となっていません
- 候補者が個性豊かでした
気になった点
- 降りかかる国難が一律であることについて、一部違和感がありました
- かなりランダム性が高く、ともすると選挙活動そのものの無意味さを感じることもありました
レビュー
選挙活動は足で稼げ
デモクラシア演義は、選挙活動をシミュレーションするゲームです。
6人の候補者から1人を選び、その候補者を広報して当選を目指すことになります。
選んだ候補者を当選させるためには、地道な選挙活動が鍵となります。
町やマップにいる人々にとにかく話しかけにいき、ひたすら候補者をアピールしていきましょう。アピールは成功率や得票率の上昇が異なる選択肢から選ぶ形式となっているため、可能な限り素早く有効なものを選び出していくことになります。
各地を行脚し、とにかく目一杯泥臭く候補者の宣伝をしていくことが、選挙活動を結実させる近道となっています。
そうした活動を経て、いくつかのイベントを迎えた後に投票当日を迎えることになります。
最後に選んだ候補者が国民から選ばれるかどうか、そして選ばれた候補者のその後を見届けていきましょう。
感想
選挙活動の厳しさの一端が分かる作品でした。めちゃくちゃ頑張ってたくさんの人に語りかけたところで、大体は冷たい態度を取られ、熱心に話を聞いてくれるような人はそんなにいません。
その中でも持てる武器をフル活用して、とにかく活動し続ける孤独な戦争でした。本来は選挙活動事務所とかあるんでしょうけど。
選挙結果については何度かやってみた感じでは、ある程度頑張った影響はあるけれど、時の運にだいぶ左右されるなという印象でした。
割と頑張ってアピールした結果増えた得票数より、乱数で増減する値の影響がかなり大きいです。頑張り方を最適化すれば、そのあたりの壁を越えられる気がしないでもないですが、その壁は厚そうでした。
また、何度もやり直しては色々試した範囲では、どうやら最終バトルというか国難、あるいはその文言に変化はないようです。
たとえ当選者が王族になろうと叩き上げになろうと、勇者のメンバーになろうと、降りかかるものは変わりません。これは現実味があるような、無いような要素に感じました。
個人的には、現実に対処せねばならない問題というのは立場の差に依存しない、という主張と飲み込んでいます。アプローチ(スキル)や能力(地盤/得票数)の違いはあれど、それを武器として挑む国難に変化はないという解釈です。
ただ、そうだとしても王族が既得権益を破壊しようとしているあたりは、まあまあ理解が難しいなという印象です。
そもそもが王族を民主主義が選んだのであれば、それは既得権益の一定の保護を民意として認めているという向きにも捉えられるので、それに反した行動をするというのはそれほど民主的なものではありません。むしろ党首の独断専行にも思えます。
閑話休題。ゲームとしての話に戻ると、いきなり投票が始まるのではなくて、そこに至る経緯をダイジェストでまとめているのが個人的には好きです。ちゃんと目的に対する理由が示されています。
選挙活動においても地盤を意識すると成功率が目に見えて変わるという小さなゲーム性もあり、こういう細かいところの作りでそれっぽさが担保されています。
また、選挙で終わりにならず、最後にそのトップをもって国難に当たらせるというのも、選挙をテーマとした上で誠実に思えました。選挙して終わりとなるものは選挙のための選挙でしかありませんからね。その地続きにあるもののための選挙という印象が強く残っていて好きです。
ちなみに筆者は何度やり直しても謀反に勝てませんでした。一度だけ応援者が良いところまで行ったケースがあったので、多分選挙活動を真面目にやって、上手く噛み合えばいけそうな気配はあります。謀反は絶対に覆せない民意であるという可能性も否定はできませんが。
そういう意味では真のクリアはしてないとも言えるかもしれません。