第16回ウディコン全作品レビュー - 「■」の多いダンジョン
47. 「■」の多いダンジョン
ジャンル | 作者 |
---|---|
RPG | 遊句 |
プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
---|---|---|
30分 | 1.06 | クリア+ |
良かった点
- 程よく頭を使う戦闘システムでした
- できることの進展の度合いもちょうど良いです
- 色々と気になっていたことを回収する導線が整備されています
気になった点
- おまけが流れ作業でやや手間でした
- ただ、埋めた技が持ち越されるので強く面倒には感じませんでした
レビュー
■■■■■■
「■」の多いダンジョンは、特殊な戦闘形式を持つ短編のRPGです。
戦闘は事前にスロットにスキルを入れておき、ターンごとに順番にスロットにあるスキルが使われていく形で行われます。
ステータスはあるものの、レベリングの概念は基本的にないため、勝利するには彼我のスキルの順番を観察することが重要になってきます。
相手の行動順をよく見て、こちらの使えるスキルを上手く組み立てて相手を制圧していきましょう。
そうした戦闘を乗り越えることで少しずつ世界のことが明らかになり、やがてシナリオが展開していきます。
不思議でほの暗い「■」の多い世界をさ迷い歩き、戦いに打ち勝っていきましょう。
感想
何の説明もないままに放り出されても、最終的に何をやるべきかはある程度明瞭になるゲームは良いゲームなので、このゲームも良いゲームです。
情報を極端に絞っている代わりに、一方通行型のステージだとか、分かりやすいレベルで会話に■を埋め込んでシステムを理解させるとか、要所を締めておくことで迷うことが少ないようになっていました。
戦闘面を見ると、ほとんどパズルと言って良いタイプであり、特定のフェーズを除けば回答も一意に定まっていそうな感じではありますが、頭の体操としてはちょうど良い塩梅です。それほど多くの選択肢がないので、きっちり詰めていけばさほど難しくはありません。
また、敵の能力を使って拡張していくという仕組みも良く、新要素への理解がスムーズに行えるようになっています。敵の行動パターンを理解して攻略するところにリソースを集中しやすいです。
システム面では、後で聞きに来ようかなと思わせるシステムになっているのが良くて、ちゃんと導線もあるので回収もできるようになっていました。筆者は変に細かいので、終わり際にわざわざ会話しに戻ってしまいましたが。文章差分は無さそうでした。
それと戦闘以外の要素がほとんど無いのもシンプルで良く、やるべきことだけが明確に存在するようなスレンダーなデザインに感じていました。
気になる点と言えば、メニューだけ若干ラグい気がしていたくらいで、それ以外はシンプルなのもあってスムーズにクリアまでたどり着くことができます。メニューに関しては、セーブしようとしてカーソルを動かしたらロードで止まったのであわやという一場面があったので印象に残ってしまっただけかもしれません。
後は、おまけがほぼ流れ作業なので簡略化したいという気持ちが湧いたんですが、あそこの無双っぽさも好きではあるので難しいです。思念伝達もしたいですしね。個人的には未セットがあっても許容してくれると、いきなりスキルを7個埋めなくてはいけない煩わしさが無くなるんじゃないかなと思っていました。どうせ埋めた技は次に引き継がれるので一回やれば良いんですが。
また、学校モチーフなど、ふんわりした概念としての世界観があるのも良く、シンプルに過ぎない程度にゲーム全体を覆うような装飾として機能しているように思いました。これと、都度流れる良いBGMがないとひどく無機質なゲームになりそうです。
とにかく不要なものをそぎ落とし、上手いことゲーム体験だけ切り出した彫刻みたいなゲームでした。