第16回ウディコン全作品レビュー - POV
50. POV
ジャンル | 作者 |
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RPG | Tomgames |
プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
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8時間30分 | 1.3 | クリア |
良かった点
- 世界観とシナリオが良かったです
- 各イベントにより先が気になる展開になっています
- 世界観に合ったグラフィックにより各シーンが印象に残るものとなっていました
気になった点
- 進行不能が散在し、軽微なバグも数多く存在します
- メインルート以外に寄り道することがかなり危険な設計となっていました
レビュー
奇跡の視座
POVは、少年少女の冒険譚を綴るRPGです。
システムそのものはオーソドックスなRPGの形式を取っており、雑魚やボスとの戦闘を乗り越えつつ世界を巡り、シナリオを進めていくことになります。
特徴的なのはその世界観とシナリオであり、様々なイベントの連なりで構成されていく物語の中で、それぞれのキャラクターの懸命な生が描かれていくことになります。物語の中で描かれる様々なシーンは印象的なグラフィックとともに心に残るものとなっており、そこから惹起する感情がゲームを前進させる強いモチベーションとなることは疑いありません。
各々のキャラクターがどういった運命を辿るのかを、その目で見届けていきましょう。
ただし、公平のために記しておくと、このゲームには多くのAバグが存在しています。ゲームを進める上では、こまめにスロットを分けてセーブすることを強く推奨します。
プレイヤーは、そういった進行不能さえも障害の一つとしてやる気の薪にくべて、物語のその先へと足を進めていくことになります。メインルートそれ自体にAバグは無いので、エンディングに至る道筋は開かれています。クリアを目指して、数多の障害を乗り越えていきましょう。
不具合ですらそのゲーム体験に組み込まれたような、特殊なプレイフィールを得ることのできる作品となっています。
刺さる人にはめった刺しになる作品とも言えるので、気になった方は是非プレイしてみてください。
感想
このゲームの感想を書くのはまあまあ難しく、言葉の過不足で誤解を与えることが予想されるので、予めこの感想を書いている筆者のスタンスを明示しておこうと思います。
POVというゲーム自体は間違いなく個人的には好きなゲームであり、世界観やシナリオ、グラフィックによる表現が好きな作品でした。一方で、数多の不具合、戦闘バランスのピーキーさ、テキストの不足感といった点は間違いなく存在し、ゲーム体験そのものは決して良いものとは言えません。
筆者はそれらのデメリットを背負ってなお最後までやる価値のあるゲームであったと感じていますが、万人がそう感じるゲームではないだろうとも思っています。そのぐらいのスタンスです。
まず、色々な意味で避けては通れない不具合の話をします。
進行不能にどこで遭遇するか分からず、軽微なバグは後半には気にならなくなるというレベルで散在しています。特にかなりの数存在する進行不能は遭遇するな、というのが不可能なレベルです。
例えば、最初のマップで落ちている棒っ切れを拾うと進行不能になります。この時、武器屋前のおばあさんが消えたり、本来存在しないはずのその先のイベントの一部が動いたところから推察するに、恐らくイベントフラグが書き換わっているのでしょう。状況からの推測ですが、恐らく閉じ込められるイベントの時に拾った木をマップ上にコピペで置いたんじゃないかと思います。
そして、このレベルの進行不能は枚挙に暇がありません。回想で行くべき場所を通り過ぎて孤児院に行けば戻れなくなり、もう一度同じダンジョンに入ると戻れずにシナリオ上は先に位置するマップに入れるようになります。
探索しているだけで意図せず不具合を踏むので、いわんや作中のワープ機能は怖くて使えません。戻る必要があるケースが少ないので、実際料理屋に行くつもりが無いなら不要ではあります。
この進行不能を回避する術は、とにかくセーブを分けるしかありませんでした。プレイ時間5時間30分に対し、セーブは160に及びました。ほとんど2分に1回はセーブしているペースです。
また、進行不能にはならないけど致命的なバグというのもあり、一番厳しいのは料理屋で注文を途中キャンセルすると、以降無限に人数を聞かれるようになるものです。実質的に料理屋が封じられるので、場合によっては進行不能になるよりも辛いです。筆者がこれに遭遇した時は、迷いなくその手前のセーブデータに戻しました。やはりセーブデータをたくさん残すのは大事。
軽微な範囲ではマップチップの通行判定だとか、メダルゲームが遊べないとか、エルの髪が急に長くなるとか、隊列にエルが二人現れるとか、アイがHP0で出てきて倒されるとか、枚挙に暇がありません。終盤は進行不能以外は凪の気持ちで受け入れていました。
ただし、ここまで不具合が山積されていてなお、止めるという選択肢が微塵も脳裏を過らなかったのもまた事実となります。この飽くなきモチベーションを支えていたのは、まずもって世界観の良さであり、シナリオというかその雰囲気あるいは空気感ないしは関係性のセンスとも言うべき物語性によるものでした。これが強い誘引性を持っていたがために、1日がかりで夜更かししてまでクリアしています。
加えて、その強い世界観による牽引力もさることながら、進行不能を含めたバグの解決それ自体が一種のゲーム性まで孕んでしまっていたという点もまた、振り返ってみれば隠れたモチベーションになっていた気もします。
過去のウディコンに「鶏は音を置き去りにした」という作品があったんですが、これは恐らく不具合によってプレイヤーが透明化していて、その状態でイライラ棒をするという妙な斬新さが創出された作品となっていました。
POVもこれに近いところがあり、余りにも存在する進行不能と軽微なバグによって、それに遭遇したら原因を取り除いて解決させる別種の遊びが含有されるようなゲーム性へと変異しているところがあります。いつどこでAバグに遭遇するか分からない緊張感や、どこまでを軽微なバグとして処理するかの判断、そして何より不具合に遭遇した時に想定ルートを逆算していく行為など、もはや不具合無しでは語れないレベルでゲーム体験が構成されています。
ゲームというのは一般に障害を乗り越える構成になっていることが多く、アクションゲームなら難度の高いステージ構成やユニークなボス、RPGなら複雑なダンジョンや強敵との戦闘、パズルゲームなら頭を悩ませるパズルなど、ゲーム性に応じたその障害をプレイヤーの創意工夫で乗り切り、カタルシスを得るようなものとなっています。
翻ってPOVという作品においては、乗り越えるべき障害の一つとして間違いなく進行不能を含むAバグが存在し、それらを乗り切っていかにメインルートに戻していくかという体験が得られます。すなわち、バグを乗り越えるというややメタな障害まで体験に組み込まれた形となっており、それにカタルシスを得られるプレイヤーであればあるほど、のめり込みやすいゲームへと変異しているというものになっています。
ここで強調しておきたいのは、とはいえそれは障害を増やしているに過ぎないということです。障害だけを増やしても、本来はゲーム的に面倒になるだけです。この作品において障害が増えてもなお先に進ませる力として働いていたのは、やはり先の展開を見たくなる世界観の良さ、キャラクターの良さであり、その力なくしては変異したそのゲーム性自体が破綻していたに違いありません。
世界の強度が充分にあったがゆえに、そこに何が乗せられても耐えていた節があります。凄い絶妙なバランスで完成されたゲームと言えます。
ちなみに、この不具合で構成されたようなゲーム性については、意図的にやっているのかという疑いも若干抱いてはいたんですが、クリアした現在は多分そうではないんだろうなと結論付けています。
根拠の一つとしては、前述した棒っ切れの不具合のように、ミスのやり方がある程度は想像のつくものが多いところです。どういう設計でそうなったのかがなんとなく理解できます。
もう一つは、これは邪推になるので話半分にはなりますが、絵のタッチからなんとなくwisdom of historyの方じゃないかと思っているためです。 ゲームに存在している進行不能の性質も近いところがあります。ちょっと寄り道すると進行不能があるものの、ちゃんとメインルートをまっすぐ進む分にはAバグには遭遇しない感じがまさにそんな印象です。そうだとすると、この作品の不具合の性質もまたなんとなくそういうものなんだなと思うことができます。
閑話休題。続いては、その世界についての話、あるいはシナリオについての話もしておきます。
大前提として、不具合調査中に得られた情報から推察するに、恐らくマルチエンドっぽいし、いくつか分岐がありそうな気配は感じており、その中で筆者が選んだ選択はいくつかあるであろうエンディングの一つに過ぎないということは付記しておきます。
このゲームにおける世界の良さは、世界観そのものというよりも、局所的なイベントのセンスの良さに集約されるものであると個人的には思っています。
それはボスとして選ぶ対象の良さであったり、対立する対象の描き方の対比の上手さであったり、開示する情報から生まれる余白であったり、様々なところに現れています。余白が余りに広大なので、そこそこ多くのシーンでテキストの不足として表出してしまうことはありますが、それを補って余りあるほどに各キャラクターの心情への解釈の幅として機能していました。
大筋として読んだ時のシナリオの良さはあるとは思いますが、それ以上に部分部分におけるやりたいことの詰め込み方と、そこで惹起される感情の高まりに重きが置かれているような印象であり、それ故に常に先が気になる展開を作り上げられています。これが先述したゲーム性との相性が良いという点もまた面白いところです。
その分、特に学校編に顕著なんですが、唐突にメインシナリオからだいぶ外れたところに物語が動くことも多々あります。しかも結構尺を取る。リアル魔王復活物語をやることになるとは思いませんでした。
シナリオの都合以上に、そこでやりたいことを表現し、そこでやりたいことを全力でやるスタイルではあるので、整合性を何よりも重視するタイプのプレイヤーは恐らく相性は悪いと思います。ただ、整合性以上に場面のパワーを重視するタイプだと相性は良いと思います。筆者は前者と後者のハイブリッドなので、微妙な面持ちのまま、とはいえ面白いから結論としてはアリだなあと思いながらプレイしていました。
なお、シナリオ面で明確に厳しいところを上げると、前述した不具合の多さがゆえに、特殊な演出と不具合の区別がつきにくいところがあります。
例えば、筆者の好きな演出の一つとして、勇者と戦っていると途中でお面小僧に切り替わる演出があるんですが、これは最初不具合なんじゃないかと疑っていました。現在は、色々解釈した上で、意図的な演出だろうと結論付けています。
ほかにも、唐突にアイが合流したかと思ったら変装だった、あたりも顔グラフィックの不具合を見慣れていたせいでスルーしかけました。この辺は、シナリオを楽しむ上で明確にノイズになっていて、惜しいところではあります。
とはいえ、その辺の様々な点を差し引いてなお、要所における演出の良さ、内容の良さ、キャラクターの良さは間違いなく良いものであり、トータルではとても美しいものとなっているように感じています。
前述の通り解釈の幅はとても広いので、それぞれに込められた意味だとか、それぞれのキャラクターが持っていた感情や思考はある程度状況を咀嚼して自分なりに解釈を進めていかないといけない部分はありますが、それをやればちゃんと味が出るような設計になっています。
また、そのシナリオをより美しく際立たせているのは、要所における絵本のような優しさと温かみのあるグラフィックにあります。
先述した通り、イベントの構成や登場人物、その時の状況や心情が極めて優れている中、それをより高みへと彩る一枚絵の力によってさらに良いものへと昇華させていました。場面によっては宗教画みたいな美しさがあります。
表現が難しいので陳腐な表現を用いると、とにかくエモいです。何故そうなったのか、それがどういう意味を持つか、ということをいったん思考の蚊帳の外に置かせしめ、ただ感情によってその場面の良さを理解させる力に溢れています。そこら辺の考察は、そのイベントを終えた後にゆっくりやれば良いですからね。
グラフィックについては合成や料理についても雰囲気が出ていて良く、後者は今ウディコンの飯テロ作品の一つとなっている部分ではあるんですが、どちらも人によってはシステム面では余り使わないかもしれないのは勿体ないところです。
前者は仕様の不透明さとレシピなどのシステムの分かりにくさ、後者は前述した不具合もあるためです。後者に関しては、不具合にさえ遭遇しなければ貴重な回復手段なので、人によっては多用することになると思います。
続いて、RPGとして戦闘面にも触れておきます。
まずは前述した通り、ボスとして選択する対象のチョイスが凄く良いため、各節目での戦いは極めて良いコンディションで挑むことができます。RPGにおけるボス戦が総合芸術として要の存在だとするならば、POVにおけるボス戦はその中でも高い位置エネルギーを持った存在として機能していると言えます。
一方で、戦闘バランスそれ自体はかなりピーキーなものとなっており、戦闘を楽しむものと考えるとやや難しいところはあります。
基本的にはやけどにして防御と回復に専念するゲームだと気付くと、やや攻略しやすくなります。その一方で、相手の行動如何や状態異常によっては壊滅的被害を被ることになるパターンも数多くあるため、ある程度までは運ゲーの様相もあります。
雑魚との戦いについてもそういった面は否めず、一部の雑魚に至ってはめちゃくちゃ強力な全体攻撃を連発してくるタイプすらいます。バランスはだいぶ尖っていると言って良いでしょう。
ただし、だからと言って運に全てを任せるかというとそうでもなく、ある程度は頑張った上で天命に任せるような戦闘スタイルが要求されていて、麻雀とかポーカーをやっているプレイ感に近いものがありました。人事尽くしたら天命を待つのみです。
ラスボスについても例外ではなく、雷撃が連続で飛んできた時はどうしようもありません。そうなる前に可能なことを全てやっておいて、決着を早期に付けるしかありませんでした。
最後に、細かいところを拾って感想を終わろうと思います。
文章に組み込むのも難しいものを集めてしまおうとしているので、文脈はありませんがご容赦ください。
まず、移動可能範囲について。
移動可能な範囲がそれほど区切られていないというのが、このゲームにおける進行不能を生み出している要因の一つであることはほぼ間違いありません。その時点で本来行けない場所に対して特にブロックがされていないので、入ってしまうと進行不能、というパターンが非常に多いです。たまにブロックされている場合もありますが、多くの場合は素通り可能なので、メインルートを察する力が求められてしまいます。
ただ、これのおかげで、自分の部屋に帰って寝ようかなとしている時に、姉の部屋に入って物色する主人公だとか、窓から脱出したイベントの後に正面玄関から再入城する主人公だとか、妙な行動が取れる面白みも同時にあります。
中盤以降はこういう遊び方をしていると危険なことが分かっていたのでたまにしかやりませんでしたが、色々できることそれ自体は面白いので難しいところだなと思っていました。
調合について。
色々と拾ったものを有効活用できるシステム自体は面白く、戦闘においてもそこそこ使えるものを量産できました。一方で、レシピを使うと何をどれくらい消費したのかがブラックボックスになって分からないこと、中盤以降くらいでないとアイテムそのものの優位性も余りないこと、拾うために彷徨っている間に進行不能を引く恐怖と戦わないといけないこと、あたりの理由で、十全には活用できませんでした。
寄り道に対してメリットを与えるものとしては結構面白い仕組みで、実際に序盤はやたら拾いまくっていたので、ひしの実は700個以上抱えていました。せめてレシピがもう少し透明に使えたら、積極的に使えていたかもしれません。
学校パートについて。
前段でも若干触れているんですが、かなり異質なパートです。そして、このゲームで恐らく一番メインルートを探るのが難しいパートでもあります。
目標が特別どこにも記録されず、しばらく彷徨っていると何をするべきだったかを忘れがちなので、とりあえず目標っぽいものが示されたらメモっておくのが重要なパートでもありました。
ここをスムーズに突破できないとモチベーションが下がるのは良く分かるので、ある意味このゲームでの一番の関門でもあります。ここだけは攻略チャートをネタバレしてあげた方が親切かもしれません。
カルネーについて。
提示された情報のどこまでを信じ、どこまでを疑うかによって立ち位置の変わるキャラクターです。POVの解釈の話をする場合に、最も濃い味がする部分だと個人的には思っています。
アイの記憶のトラウマを巡るあたりまで信じるとかなり意味が変わってくる一方で、ほぼ全ての前提を疑うこともできるので、個々人によってパーソナリティからその存在まで多様に揺れ動きうる存在でした。
個人的にはエンディングの行く末も考慮した上で、おおむね中間択くらいの解釈にとどめています。ただ、エンディングがマルチっぽいところも加味すると、もしかしたらそこの印象でも変わりうるのかもしれません。キャラクターとして登場するシーンは数えるほどしかない割に、解釈の上では結構重要な立ち位置にいて面白いです。
終盤におけるエルの選択肢について。
同コンテスト中のInfisに近いですが、より悪質な選択肢の表示方法をしてきます。そして、それを惹起するようなシーンすらあります。
個人的に一番良い意味で性格が悪いなと思ったのは後を追わせる選択肢であり、エルというキャラクター性も同時に見せている良い設計だなと感じていました。筆者はノータイムでこの選択肢が出たおかげで、間違えて押してしまってリセットしています。そんなつもりじゃなかった。
感覚的には夜廻の最初のチュートリアルの指示に従った結果に近いものがあって、プレイヤーの意思のように見せかけたゲーム上の悪意という感じがして良いです。
ボスという存在について。
このゲームでは、ほとんどあらゆる味方がある場面においては敵としてボスの位置に収まっています。終盤にプレイアブルが交代する面も含め、これは意図的なものなんだろうなと考えていました。
この設計は全体的な関係性を複雑にし、ともすれば物語の解釈というかキャラクターの状況を分かりにくくする要因にさえ繋がっているところはありますが、それを差し引いても物語全体に深みをもたらしています。
敵対するということをもってそれぞれのキャラクターの関係性を整理し、それぞれの目的や決意を暗示させ、解釈の余白を広げていくことに成功しているように感じていました。
後は、単に作者さんの癖なのかもしれません。筆者としても、やっぱりかつての味方が何らかの理由により敵対して立ち向かわねばならない状況というのは好きなので、それでも充分に首肯できます。
まとめのような、総合的な話もしておきます。
前述した通り、この作品は全体を通して良いゲームだと感じており、あらゆる障害をクリアしてでも完遂まで進めさせる力のあるゲームであると思っています。その上で、それを万人がモチベーションを持って取り組めるかと言えば、これは難しいところであろうとも感じる作品です。
すなわち、シナリオや世界観が美しく、グラフィックも素晴らしい中で、システム全てが圧倒的なまでのピーキーさをもって構成された作品です。ここまでアンバランスな作品は初めてプレイしたかもしれません。
シナリオについても、余白を埋めよう、解釈しようというモチベーションがない限りは十全に楽しめるかは微妙なラインであり、何らかの要因でこのゲームを先行的に好きになっていない限りはそう感じるのも難しいかもしれません。
そういう意味でも、ウディコンという場でもなければ出会うことも遊ぶこともなかったであろう作品であることは疑いないので、この場で遊べて良かったなと感じています。果たして、ほかの場で出会って手に取って遊び切れたかというとはなはだ疑わしくはあります。
そして、プレイ時間について。
3時間で最速エンドに行けるかも結構怪しいとは思っています。筆者のプレイ時間的には、最初のエンディングまでにプレイ時間換算で4時間30分かかっています。
そして、実時間では6時間30分かかっていました。2時間はほぼデバッグしていました。寄り道無しでメインルートを突っ切ればギリギリ行けそうな気もしますが、ほぼ最速タイムなんじゃないでしょうか。特に学校パートが鬼門になると思います。
最終的には、実時間8時間30分、プレイ時間5時間30分で、全体の1/3近くは進行不能の回避やデバッグに費やしています。3時間から4時間で終わると思っていたら長引いてしまったので、だいぶ夜更かししました。お気を付けください。
余談としてレビューについても雑に記します。序論をいくつか書いて没にしたので、上記のレビューは素直なものになっています。せっかく書いたので、没にした文章をここに供養しておこうと思います。
偶然は遭遇もしくは邂逅であろうというのは九鬼の言であり、企図しないものの交わりの中にある虚ろな存在をこそ偶然と呼び得るのかもしれません。そうであるならば、POVが持つ様々な要素の交叉はその交わりをもって確かに強い意味と意志を生み出しており、そこから創出される偶然性を伴った体験は得難いものであると言えるでしょう。
ここに在る良さというものは、作品そのものが持つ良さの交叉によって発生したある種の偶然性の中で存在しているものでもあって、それは虚ろなものだから目的化して得られるようなものでない、あたりを言いたいんですが、何を言いたいのか良く分からなくなったので没になりました。言語化は難しい。
最後に繰り返す形になりますが、この感想はだいぶ書くのが難しいなと思いつつ、なんとか言語化したものになります。筆者自身、このゲームをどう批評して良いか分からないところがあるので、まとまりのない文章になってしまっていることは否めません。
ですが、POVという作品を遊ぶことでしか得られない栄養素は確かにあり、POVという世界からしか得られない旨味は間違いなく存在しているということ、この点だけは確証をもって断言できます。
つまり、トータルすればこのゲームを遊べて非常に良かったなという感想に落ち着くという点はご理解いただければと思います。ウディコンという場と出展頂いた作者さんに感謝。