第16回ウディコン全作品レビュー - 綺羅星の射手
58. 綺羅星の射手
ジャンル | 作者 |
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シューターアクション | 戯塚よどみ |
プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
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7時間 | 1.0 | クリア |
良かった点
- バリエーション豊かなボス戦が楽しめました
- 投げが選択肢に加えられたユニークな体験ができます
- エリアごとに特色あるギミックで探索を盛り上げてくれます
- エンディングに向けての演出が良いです
気になった点
- 筆者のプレイバージョンでは不具合が散見されました
- 現在はおおむね修正済みのようです
レビュー
探して回るシューターアクション
綺羅星の射手は、探索要素を含むシューターアクションです。
プレイヤーは三つのミッションを与えられた状態で各地を探索し、シューティング的なアクションを駆使して遭遇する敵を打ち倒していくことになります。
基本的なアクションはキーボードで移動し、マウスで照準を合わせて行う攻撃を主軸とするものです。接敵した場合は、上手く移動して相手の攻撃を回避しつつ、マウスで狙いをつけて狙撃していくことになります。
そのアクションの腕は、とりわけボスと相対した時に問われることになります。ボスはバリエーション豊かな攻撃手段を持っており、一筋縄では勝つことができません。その多彩な攻撃を見極めて避けつつ、適切に反撃を加えていくことが肝心になってきます。
また、落ちているアイテムを上手く敵に当てると大きなダメージを与えることができる点も見逃せません。可能であれば、敵の攻撃をかいくぐりながらアイテムを回収して積極的に狙っていきましょう。
しかし、強力なボスと戦うのに初期の装備とステータスでは心もとありません。装備を集め、ステータスを強化するには各地を巡って様々なアイテムを回収していくことが必要になります。
色々なロケーションに接続されたマップを巡り、待ち受ける様々なギミックに対処しつつ、自機を強化するべくアイテムを探していきましょう。また、敵を倒してソウルを集めることでも強化ができるため、道中の敵を片付けておくというのもお勧めです。
そうして強化を重ね、ボスに挑んで攻略していくことで、よりマップの奥地へと進んでいくことができます。そこでの出会いや回想を経て、この世界の状況であったり、目的までの道筋が見えてくるでしょう。
適切なアクションを駆使して難所を乗り越え、目的を達成していきましょう。
感想
時期的にかなり早くにプレイしたせいか、いくつか不具合に見舞われるなどして完全にクリアはできていないんですが、それでも楽しめる作品ではありました。
個人的には探索とアクションを融合させたゲーム性が好きで、メトロイドヴァニア的な面白さがあります。寄り道して強化を重ねてボスに挑んだり、探索範囲を広げていくのは楽しい。
アクションについてまず触れておくと、探索面ではシューターっぽくありつつ、ボス戦でまた違った遊びになるあたりが良い仕組みとなっています。
マップをうろついている間の雑魚敵との戦いは見下ろしシューティングのそれであり、オーソドックスに楽しむことができるようになっていて、ボス戦も基本的にそれを踏襲しているんですが、アイテム投げが随所に導入されていることで上手く変化を与えています。
このゲームにおけるアイテム投げはかなり強く、積極的に狙いに行きたくなる性能をしています。なので、回避しながら敵にチマチマ攻撃を当てるという選択肢以外に、弾幕をかいくぐってアイテムを回収してぶち当てるという選択も生まれてきます。リスクを取ると大きめのリターンが返ってくるのが良い。
また、相手の攻撃フェーズであり、自分が攻撃できないような特殊挙動時にもアイテムを拾いに行こうという行為を取ることができるのも良く、ダイナミックな攻撃挙動を入れつつ、プレイヤーに単調さや飽きを感じさせない設計になっているなと感じていました。
感覚的には、星のカービィの吐き出し弾みたいなイメージです。
なお、個人的に一番好きだった武器は狙撃銃でした。ピーキーさが好き。単に照準を合わせるのでなく、マウスカーソルからさらに先に対して合わせるという設計にしていることで絶妙な難度を演出しています。
スタンダードに使いやすいものもありつつ、こういった性能の尖った武器も上手く活用できる懐の深さがあるのは良かったです。
また、ステージ設計もかなりバリエーションに富んでおり、探索する上での味変として機能していました。
地雷発見、強風、トロッコ、とギミックも加えつつ上手く散らしていて、それぞれのエリアの特徴も出ています。馬鹿真面目に敵と戦うだけではないステージもちらほらあり、ゲーム性の面でも変化が与えられていました。
とはいえ、全体を通すと探索メインの趣は強く、フレーバーに関してはまちまちにしか置かれていないため、探索がぐだると若干だれがちなところはあります。このあたりは、プレイヤースキルでだれないように頑張りましょう。接続構造を記憶するのが重要です。
そして、このゲームで個人的に一番好きなのは、ボス戦の多様さです。姿形のユニークさもさることながら、それぞれの攻撃行動から特殊挙動といった動きの数々が常に新鮮で、どのボスも戦っていて楽しいものとなっています。
ギミック盛り盛りの中で上手く処理して勝ち切っていく楽しさとともに、攻略しているという実感を確かに得ることができます。
とりわけS級がちゃんと強いのも良くて、序盤にタランチュラに遭遇してゲージの長さに絶望する、あの体験は非常に良かったです。FF8の訓練施設でアルケオダイノスに出会うような感じ。
難易度の面でも、体力回復アイテムが即時回復じゃない分、常に緊張感がある戦いができて歯応えがあります。とはいえ、きちんと探索を重ねて強化が充分になされていて、ボスの攻略法を確立することさえできていれば、それほど苦戦することもない良い塩梅です。
筆者は回復薬、ダウジング、回復薬x2、スキルの順序で解放したのもあって、回復薬に頼って出方を伺えたのが良かったのかもしれません。やっぱり回復能力は偉大。
一方で、探索メインとなっているためか、以前プレイした流星の射手よりは、ややシナリオは薄目な印象を受けました。あくまでメインシナリオや、そこに付随する回想はフレーバー的な立ち位置といった印象です。
ただし、それでもラストバトルへと向かっていく展開はテンションを上げてくれますし、綺羅星の射手としての演出は非常に綺麗なので、エンディングまで到達するとかなりすっきりした気持ちで終わることができます。締めが良い。
なお、前述したとおり不具合はそこそこあり、詰みポイントやら細かい変な挙動も散見される程度にはありました。特に詰みはセーブの都合上、こちらに非が無くてもかなり戻されるので、ストレスフルなところはあります。
一口に詰みと言っても色々あり、暗転が残り続けて消えない、閉じ込められて道が繋がっていない、ワイヤー移動後に戻れないといったパターンがあります。中でもワイヤーは探索したい気持ちをまあまあ阻害してくるもので、下手すると戻れないかもしれないと考えると、色んなところに向かう意欲が削がれてしまう傾向にありました。
また、不具合というわけではありませんが、通行設定がおかしかったり、引っかかりやすい通路設計になっていたりするあたりも微妙なストレス要因になってはいそうでした。
とはいえ、ウディコン中に不具合の修正が諸々なされたようで、現在は唯一と言って良い欠点が消えた状態なので、万全に遊べるものとなっていると思います。
全体を通してシューターアクションとしても探索アクションとしても気持ち良くできる作品となっているので、個人的には結構お勧めです。そしてこれが面白かったら流星の射手もやろう。グランドグレイザーでも良いよ。