第17回ウディコン全作品レビュー - End Of The Lost World

31. End Of The Lost World

ジャンル 作者
RPG 霞流 薺
プレイ時間 プレイVer クリア状況
40分 + 20分 1.10 True End

良かった点

  • 世界観の表現が良かったです
    • システムも併せて上手く表現されています
  • シナリオに強いフックがあり、最後まで読ませるものとなっていました

気になった点

  • 行く場所に対する説明が薄いことがあります
    • 例えば神殿と言われても、最初はどこを指すか分かりませんでした
  • 最終戦について、ライトニングを連続で撃たれるかどうかで難易度が大きく変化しています

レビュー

4つの地、1つの世界

End Of The Lost Worldは、ある4つの地を世界を救うために巡る短編のRPGです。
ただし、敵の出現数が固定化されていることもあり、ほとんどアドベンチャーのようなプレイ感となっています。

プレイヤーが巡ることになる世界には、色、音、時、光がそれぞれ欠けた地があり、それぞれに神殿が存在しています。
それぞれの地では、その欠けたものに適応した住人達が住んでおり、その中には神殿に対応する聖女がいます。彼女らと交流し、その力を借りつつ、主人公は各地の神殿を巡っていくことになります。
そうやって展開されていくシナリオはいくつもの転換点を経て進行していき、やがて全ての神殿を巡り終えた後にいくつかの結末へと収斂していきます。

その独特な世界観に浸りつつ、いくつかの戦闘を重ねて、その終わりへと突き進んでいきましょう。

感想

世界観が良く、とりわけ世界の性格付けが良かった作品でした。何かがおかしい世界を構築する際は、異物にフォーカスを当てて思考実験的に組むと面白いというのは古くは寄生獣やDEATH NOTE、最近ではハイパーインフレーションなどの作品から明らかなのですが、この作品の世界の構築もそういったものに根差してあります。
色の無い世界、あるいは彩度のない世界では明度の違いで判別する能力が養われるとか、手話ベースの世界の言葉に柔軟性が無いこととか、時の無い世界では滝が通行できないものとなっているとか、そういう世界として上手く描かれている印象がありました。時が止まってるなら空気も止まってるから動けないというのは野暮。

加えて、システムとしてもその世界を表現してあり、ゲーム画面や音声を通してプレイヤーにも体験させているのも良いです。ゲームであることが最大限に活かされています。システムとそれぞれの住人の会話や表現をもって、世界観が上手く形作られていました。
そういう意味でも、個人的には心音が聞こえる演出は音の無い世界ではカットして欲しかった気もしますが、演出上意味が強いので残ったのでしょうか。

なお、個人的には一番生存が厳しそうなのは光の無い世界ではないかと考えています。時はその性質上、そもそも生死やら何やらが埒外にあるので除外するとして、他の世界に比べて段違いに厳しい世界になっています。というか、ほぼ色の無い世界をより悪くしたものとすら言えます。
最後の重要人物がそこに居たというのは、単にその性質上都合が良いからという以上に、そういう意味があったのかもしれません。

閑話休題。システム面で言うと、たまに説明が分かりにくくて迷うことはあるものの、概ねまっとうにRPGをしています。戦闘面ではヒールと深呼吸で全回復できるので、戦闘後全回復でも良い気はしますが、戦闘自体がそれほど多くならない設計なので気になるレベルにはなりません。
個人的に一番苦労したのはラストバトルで、ライトニングを撃たれるかどうかのゲームに始終していた印象がありました。意志が使えるとはいえ、ライトニングを3連打してくると自動回復とヒールを合わせても間に合いません。本当に戦闘難易度は低めなんですか。
その直前に長めのイベントがあるのも大変で、運ゲーを迫られた後にスキップできないイベントを見ることになるので時間がかかってしまいました。
ちなみに、悪い乱数を引くと3連打を必ず打ってくるので、そういう時はメニューでヒールをして乱数調整するのがお勧めです。

そういったシステム面はさておき、シナリオと世界観、その表現は素晴らしい作品でした。最初の聖者も含めて良い人である側面を強調した上で、主人公の所業をまざまざと見せつけるというシナリオ進行も良いです。ちゃんと主人公が悪魔的所業をしている。何故こんなことをしているのかというフックとしても良いですね。