Bomb Chicken: ワンアクションのゲームデザイン

Bomb Chicken

値段 クリア状況 実績 プレイ時間
1500 ジェム全回収 8 / 10 6時間(クリアは5時間)
お勧め度 コスパ
★★★★★★★☆☆☆ ★★★★★★☆☆☆☆

一般的な2Dプラットフォーマーの主人公は皆健脚です。マリオは背丈の何倍もの土管を飛び越え、足の速さがウリのソニックでも背丈以上にはジャンプでき、何なら一部のキャラは空中でもジャンプできます。
足場から足場へ渡っていくこの手のゲームにおいて、ジャンプ力は欠かせないもののはずです。

翻って、Bomb Chickenの主人公であるニワトリを見てみましょう。この見るからにでっぷりしたニワトリは、その太った体躯ゆえかジャンプができません。多くのアクションゲームの要であるジャンプという機能が、この丸く太ったニワトリには備わっていないのです。

たった一つのアクション

段差を超えるのも爆弾 敵も爆弾で倒す ギミックも爆弾で起動

しかし、ジャンプもできないニワトリにも、たった一つできることがあります。それが、足元に爆弾を産み落とすことです。
Aボタンを押そうと、Bボタンを押そうと、X、Yボタンを押そうと、RボタンだろうがLボタンだろうが、このニワトリにはその一つのアクションしか許されていません。
このたった一つのアクションで、敵とトラップに支配されたステージを抜け、ボスと対峙していく必要があります。

ジャンプができないニワトリは、代わりに爆弾を産み落とすことで段差を乗り越えます。
この丸々しいニワトリにとっては、爆弾を産み落とすことが自分を押し上げるたった一つのさえたやり方なのです。

また、道中の敵やギミックの解決にも爆弾は役立ちます。産み落として爆発する前にタックルすることで飛ばすことができ、攻撃手段としても使うことができるからです。

爆弾というリスクとリターン

しかしこの爆弾、ただ便利なだけではありません。一定時間経過するか、何らかの刺激を与えられると爆発してしまいます。この時、この肥えたニワトリが近くにいようものなら、情け容赦なくローストチキンにされてしまいます。

すなわち、このゲームにおいて爆弾を産むというワンアクションはリスクとリターンを演出する要素となっています。
敵を倒すために爆弾を出したけれど、その敵が突撃して誘爆したことで自分もこんがりと焼ける、などということは日常茶飯なので、ちゃんとリスクを回避して行動する必要があります。
敵を倒すにも、ギミックを作動させるにも、あるいは段差をただ越えるだけでも、このコケコケよく鳴くニワトリは命がけの選択を迫られることになります。

画面奥の鎖が揺れる

なおかつ、ゲームを通して一番見ることになるであろう、爆弾を爆発させた時の気持ちよさはちゃんと担保されています。
爆発すれば音と共に地鳴りを起こし、周辺の鎖やらランプやらが衝撃を受けて揺れ動きます。このあたりは手ごたえ感に寄与するものだと改めて感じました。

アクションに沿ったステージデザイン

また、このゲームはステージデザインも整えられています。
プレイヤーがボタンにより発動できる行動こそ一つしかありませんが、敵の様々な行動パターンや豊富なギミックにより色々な動き方を要求されるデザインとなっています。

その上で、初見の敵やギミックが無害な形で始まり、パズルめいた部分は適度に難しく、収集要素は理不尽でない程度には隠れているなど、配慮が行き届いているのも嬉しいところです。

一つの行為が多様に分かれる

このように、Bomb Chickenはたった一つのアクションを駆使して、様々な敵やギミックを攻略していくゲームとなっています。
爆弾を産み出すワンアクションだけという一発ネタっぽい特徴ながら、その仕組みを綺麗にステージデザインに組み入れた良作でした。