Hollow Knight: 完成された意匠

Hollow Knight

値段 クリア状況 実績 プレイ時間
1480 神殿2 51 / 63 37時間(クリアは20時間)
お勧め度 コスパ
★★★★★★★★☆☆ ★★★★★★★☆☆☆

メトロイドヴァニアというジャンルは、その指す領域が曖昧で広大であることを考慮してもなお、インディーズゲーム界隈で多数のゲームがしのぎを削っている隆盛を誇る分野です。
しかしその数多のゲームの中でなお、Hollow Knightは燦然と輝く一つの巨星であると思っています。

死角のないハイクオリティ

Hollow Knight はあらゆる点においてクオリティの高いゲームとなっています。
ムシをモチーフにしたキャラクター造形や、ロケーションごとに様変わりする美しくも奇妙な背景デザインといったグラフィックの面は無論素晴らしいものです。
加えてそれだけではなく、ゲームの核である探索しがいのあるマップや歯ごたえのあるボス戦も丁寧に作られています。殊にその緊張感あふれる戦いにおいて、楽しくないボスはいませんでした。

それでは、その高品質な各要素の中から、いくつか掻い摘んでお話しましょう。

広がる探索の世界

地図を埋めよう チャームによるビルド

まず、メトロイドヴァニアにおいて外してはならない探索要素がちゃんと整備されています。
広大なマップを探索し、様々な場所に訪れて地図を拡充していきつつ、新たなスキルを得ることでさらに探索範囲が広がっていくというループがきっちりと作られています。
いくつかのエリアに分かれたマップは、それぞれのロケーションごとに景色も敵も移ろっていくため、楽しみながら探索することができるでしょう。

また、探索により得られるものはスキル以外にもあります。各所で入手できるチャームと呼ばれる装飾品を身に着けることで、様々な恩恵を受けることができます。
チャームには様々な種類があり、その構成の仕方によって超攻撃的にも、防御重視にもすることができ、自分に合った戦い方の補助をしてくれることでしょう。

緊張感高まるボス戦

強力なボス

また、この作品を彩る強力かつバラエティに富んだボス戦を語らないわけにはいかないでしょう。
30以上を数えるボスのどれもが個性豊かな行動パターンと攻撃を持っており、各々のボスのいずれも楽しく苦戦できること間違いありません。
特に終盤以降のボスはどれも歯ごたえがあり、攻撃一辺倒の一筋縄ではいきません。きちんと攻撃パターンを読んで後隙を狩っていかなければ、リスクなく安定したダメージを与えることは叶わないでしょう。

そして、そのためには常に緊張感をもって相手の動きを注視しつつ、操作精度と練度を極限まで高めていく必要があります。
例として、上図の個人的に一番楽しかったグリムという敵を挙げましょう。彼は出現箇所から攻撃パターンを判断できるため、見えた瞬間にその攻撃にふさわしい回避態勢を瞬時に取る必要があります。
画面を凝視し、そのパターンを繰り返し身体で覚えることにより、ようやっとクリアすることができる塩梅になっています。

洗練されたデザイン

ムシをベースにしたデザイン

また、ムシをベースにしたデザインにより描かれる独特なアートワークも面白いところです。
NPCなどのキャラクターはもちろんのこと、敵やボスにいたるまで、そのデザインはムシを捨象し特徴を大胆に抽象化したものとなっています。
また、各エリアごとの荒廃した空間の描き方もそれぞれ特徴的となっており、そこにムシが暮らしていたかのような、言語にしがたい美しさを秘めています。

ただ、ベースがベースだけに拒否感を覚える人はいますし、筆者も地下水道あたりは結構クるものがありました。そういう方はプレイしないほうが良いかもしれません。

完成された意匠

総じてHollow Knightは極めて完成度の高いメトロイドヴァニアであり、そのゲーム性においては万人に勧められる作品であると思っています。(そのデザインにおいてそうであるかは微妙ですが)
殊に、ボス戦の楽しさは屈指であるため、アクションゲームのボス戦が好きな方にはお勧めしたいゲームです。