第14回ウディコン全作品レビュー

前書き

注意

  • このレビューは、筆者個人の独断と偏見によって書かれています。筆者の好みが多分に影響していますことをご了承ください。
  • 出来る限り気を付けていますが、一部ネタバレを含む可能性もあります。問題がある場合は、プルリクやTwitter等にてご指摘いただけると助かります。
  • レビュー内容は主にプレイ当時のバージョンに基づいています。最新バージョンと動作などが異なる場合がありますが、ご了承ください。

初めに

WOLF RPGエディターコンテスト(ウディコン)は、ウディタ製のゲームを競う、年に一回開催されるコンテストです。

第14回となる今年は、74作品ものゲームがエントリーされました。それぞれバラエティ豊かな作品が出そろっており、短編中編様々なRPGに、少しの時間で遊べるADVやミニゲームから、見たこともないゲームまで、多様なプレイを楽しめる場となっています。

今年は全作品大体クリアでき、色々と楽しむことができましたので、今回も返礼としてプレイ作品のレビューをしていこうと思います。

なお、筆者は漫画でいえばARIAが好きで、最近の推しなら六畳一間の魔女ライフで、小説でいえば米澤穂信さんが好きで、好きなゲームはFF10で、最近やったゲームではElecHead, 海腹川背, シンフォニック=レインあたりが好みです。プレイ時間で言えば、スマブラをやりすぎています。前回のウディコンで一番好きだったのは独立理想国家アヴァロンです。

また、筆者自身はプログラマーを生業としています。その辺りを評価から差っ引いて考えると、より公平に感じるかもしれません。

ネガティブな感想を見るのが不快という方は、こちらのボタンを切り替えてください。ネガティブな感想を含む項目が隠れます。

補記。投げ銭もあるので開催者の方に遠慮なく還元していきましょう。

凡例

良かった点

  • 筆者が良かったと思う点を書き連ねています

気になった点

  • プレイ中に気になった点を書き連ねています
  • 必要ない方は上記のボタンを押して消してください

レビュー

  • レビューの文章を書いています

感想

  • ネガティブ/ポジティブにかかわらず感情側に寄った感想を書きます
  • より直截的な表現およびネタバレが多いので、基本は非表示にしてあります。読みたい方だけ都度以下のボタンを押して読んでください
  • ここの文章の推敲は甘めです、不適切な表現があるかもしれませんがご了承ください

レビュー

01. 天上奥義伝

ジャンル 作者
お手軽SRPG LAKO
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.2 クリア

良かった点

  • 全体的に遊びやすくデザインされていました
    • 殊にUIは直感的で使いやすかったです
  • スケベOFFなどの配慮もあります
  • 良いストーリーでした

気になった点

  • 敵の性質が初見で突破しにくいものに感じました
    • 加えていくつかは運の要素を強く感じました

レビュー

カジュアルに楽しめるSRPG

天上奥義伝は気軽にSRPGを楽しみたい方にお勧めの作品でしょう。
ヘックスで構成されたフィールドの中、主人公であるメイメイとそのペアを操作して色々な強敵たちと戦うことになります。

ステージごとに存在する多種多様な動きを持った敵に対しては、その性質を上手く捉まえて戦わなければ苦戦は必須です。
さらにその連戦を抜けた先に待ち構えるボスともなると、QTEめいた特殊な攻撃パターンまで披露してきます。これらに全力で対応して、勝利をつかみ取りましょう。

しかし、もしステージのどこかで負けてしまっても諦めることはありません。
それまでの敵から得られた経験値でキャラクターのパラメータを自由に伸ばしたり、スキルを獲得したり、あるいは得られたお金で買った装備に様々な強化を施したり、自由な戦略で再挑戦できるようになっているからです。
力に全てを割り振った脳筋でもよし、スキルを多様に覚えてクレバーに戦うもよし、天運に身を任せるもよし、自分なりの自由な組み合わせで戦いに挑んでいきましょう。

また、その高い自由度を下支えしているのは、高品質かつ使いやすいUIデザインです。ほとんど全てがマウスで簡単に操作でき、快適にプレイできること疑いありません。
その直感的に操作できるUIでもって、自由にプレイできて、遊びやすいというシステムが完成されています。これに一戦一戦のテンポの良い短さも加わり、サクサクと進めていくことができるでしょう。

そうした遊びやすさの牽引力で進んでいく物語は、やがてある結末へと着地します。ぜひともこの物語の終わりを体験してみてください。

このように、天上奥義伝は遊びやすさのおかげで間口の広いSRPGとなっています。誰でも気軽に遊ぶことがきるので、カジュアルに楽しんでいきましょう。

感想

カジュアルにさっと遊ぼうと思った時に非常に良いゲームでした。
操作が分かりやすいというのもありますが、一戦一戦がさほど長くならず、行うべきカスタム要素も少なめで、全体的にとっつきやすいです。

そして何よりも、不要な中間点のようなものが一切ないデザインなのが、さっと遊びやすいポイントでした。戦いと戦いの合間、強化と店とダンジョンの合間、色々な合間に無駄がなく、サクサクと進みやすいというのが、かなり遊びやすい。
マウス操作に特化しているという振り切り方も遊びやすさの主因かもしれません。何ならスキップは右クリック長押しでもいい気がしましたが、これは誤爆防止でしょうか。

そして全体的なグラフィックのクオリティの高さ、そしてそれをより一層引き立てる統一感の高さはやはりレベルが高いです。
これも恐らく遊びやすさに良い影響を与えていて、全体を通してよく馴染むので違和感なく遊べます。

ただ、カジュアルに振った分なのか、プレイしていると大分運に左右されるなあという印象でした。
対策可能とはいえあんまり対策したくない33%睡眠とか、敵の行動ルーチンとか、同速度の行動順とか、そう言った要素が露骨に影響してきます。
どれもこれも再戦を繰り返せば対策可能なので、そういうデザインなのかなと思いつつ、スコアアタック付きだとどうしても一発で通したくなる癖が抜けませんでした。
カジュアルに楽しむにはあんまりスコアを気にしないほうが幸せだと思います。
ギミック敵なんかは特に初見では対策不能なので、再戦して勝利を目指すのが得策です。

個人的にはシナリオも結構好きで、ちゃんとオチに向けて良い展開を用意していました。
ちゃんと読めばわかりやすいシナリオながら、コメディ調の展開を続けることでうまくカモフラージュされていたように思います。
そこそこグロ目な表現もあるので、スケベOFFと同じくらいグロOFFもあって良かったのではと考えてはいましたが、どうも表現的に厳しそうですね。血の表現が割とリアルで痛々しかったです。

閑話休題。個人的なシナリオの推しポイントは、王にさえもある程度の理由を渡そうとするところにあります。
これは愚王の過ちであるという風にまとめても良いのに、そこで終わらせないというのが個人的に好みでした。悪役に落ちてしまったものの先にも世界が広がっているというのが好き。
実際、賢王が晩年愚かになって晩節を汚すケースはちょくちょくありますしね。

前作も楽しくやったので、ついでに前作との比較も。2人操作になったこと、合成の仕組みが入ったことが主な違いでしょうか。
2人操作になったことについては、合体技が一番インパクトが強かったですね。操作キャラが1 → 2 になったこと自体は、個人的には多少やることが増えたというレベルに収まっています。
いわゆるSRPGは複数ユニットを操作するのがベーシックなやり方なので、そちらに寄せたというか回帰というか、そういう印象です。あと、人数で押すタイプのゲームでもなさそうという気持ちもあります。

合成は結構良い仕組みだと感じていて、後半お金が余る現象をある程度緩和していたように思います。元のものを買い、合成するので結構お金を使えます。
上位装備を買って終わり、じゃなくて合成で良い装備を作ってみるという導線があるので、お金の使いどころの上限が存在しないデザインになっていて上手いなあと。

それにしてもスケベ、結局OFFにしてないのでどれくらい変わるのかは若干興味あります。
もともと言うほどスケベですかね。ネクロフィリアと同程度じゃないですか。

これは早めにやったからギリギリランキングに入った図

02. Megalopolis

ジャンル 作者
ノンフィールドRPGノベル 冒険者@シロヰ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間30分 1.2 クリア

良かった点

  • 勢いのある良い文章であり、良いシナリオでした
  • ノベルを阻害せず、かつ雰囲気を際立てる戦闘デザインでした

気になった点

  • 進行の操作性がやや独特でした
    • 慣れればあまり気にはなりません
  • いきなり八人ぶんのパーソナリティを把握するのはやや難しいです

レビュー

暗い地底と光の行方

Megalopolis は、陰惨とした地底から地上を目指す八人の群像劇です。
それぞれの想いを胸に進む彼らの物語を、熱のこもった筆致で描き切った作品となっています。

物語は、飢饉による餓死や暴動により荒みきった地底の村から始まります。この末期の村から脱し、地上という光芒を目指す彼らの前には、様々な艱難辛苦が待ち受けていました。
このゲームでは、そういった苦難へと立ち向かっていく姿、試練へと向き合う形、そのドラマ性が存分に表されています。

この試練は、プレイヤーにとっては戦闘という形で現れることになります。地底には脅威となる敵が数多くひしめいており、地上に向かうほど強い敵と戦うことになります。一方で、キャラクター達のステータスは成長することがありません。
このギャップを埋めるためには、道中で手に入る装備やスキルを上手く使う必要があります。時々に合わせて装備を付け替えスキルを変えていくことが肝要となります。

そうして物語を進めていくと、折に触れて強敵や難敵との対峙を余儀なくされることもあります。
強敵との戦闘はシビアなものではありますが、敗北してしまったとしてもリトライは容易に可能となっています。
その先にある物語へと進むためにも、再挑戦して上手く脅威を突破していきましょう。

ノベルをめくり、その雰囲気をたたえた戦闘を切り抜けていくことで、このゲームの世界観、そして何よりもキャラクター達の背景を少しずつ知ることができます。
それぞれの過去を背負い、地底の脅威に晒されながらも歩みを進めていく人々が辿り着く結末を見届けてはみませんか。

Megalopolis の全体を貫く熱のある文体は、陰惨な世界と、何より強くも脆くもある人という存在をたっぷりと表現しています。
そういった文章の熱にあてられたい方にお勧めです。

感想

このゲームの感想を一言にまとめると「好き」なんですが、もうちょっと組み立てて話そうと思います。

まずこれは誉め言葉なんですけど、難しい言葉をとりあえずぶち込もうという意志を感じます。かなり強い意志を。
その分なのか、ちょくちょく誤用が見受けられるので、脳内の誤用警察がうるさかったんですが、文章は分かればいいんだよの気持ちのほうが強かったです。

例えば孤高は孤立していること以上に何か高いもの、志とか理想とかを持っていることを指すんですが、まあそんなものはどうでもよくて何かぽつねんと立っている一つのものとしての形容に使われていても伝わるからいいんですね。
何ならそこに孤立とか孤独とか使われるよりは孤高を使うことで見えてくる情景というのもありますからね、多分。
意識の流れのような観点に立てば、そも我々の意識というか思考も誤用をめちゃめちゃしていそうです。

それと、洋書みたいな言い回しになるのも割と好きです。
「まるで忠犬のようにどんな苦難にも立ち向かいましょう」あたり、どこかの洋書の翻訳っぽい。「like faithful dog.」って書いていそう。

そういった風に、全体的に粗削りだとは思いますし、中二病に近いものを感じるし、深夜テンションの勢いで書いたような文体しているんですが、そこがひたすらに良い。
こういう文章からしか得られない栄養がある。
感覚的には、筆者が赤坂アカさんのインスタントバレットを読んだ時の栄養分に似ていると思っています。

それに加えて、シンプルにシナリオ構成が良いから読めたという部分は間違いなくあると感じています。
暗い地底からの脱出というテーマをもとに、さらに暗くドロドロとした人間関係を見せつけ、それでも人の強さも弱さも描き切っているドラマ性は非常に良かったです。
まさかこんなに人がバタバタ倒れていくとは思わなかった。ある意味説明文がミスリード。
最終的にストーリアの話でもって終わる構成も良くて、モブというか最初の八人に含まれないところにある意味での主要人物を置くというのが好みです。ストーリアがちゃんと良いキャラしているのがさらに良い。

なお、キャラクターが結構いて、かつ顔グラフィックとの対応関係も覚えにくいので、序盤は覚えるのが難しかったです。5ステージ目くらいで大体の人物像と名前が把握できました。遅い。
個人的にはサイクロ君が一番好きでした。虚勢を張るお調子者、大体好き。表層的には一番いいやつだと思っています。破滅願望ありそう。

物語についてある程度話したので戦闘システムの話をします。

ノベル部分が主体な印象を受けるので、戦闘はある程度おまけという側面があります。やられても即時リトライができるので、ノベルの障害にはなりえません。
しかし、地下世界の陰惨な雰囲気、迫る強敵の存在、絶望的な状況、覚悟の上の戦い、それら全てを表現する上では最も適した表現であったように思います。
その上でテンポが良いので邪魔にはならない良いバランスでした。

ちなみに戦略的な話をすると、最初のメンバーが普通に強くて、Rainためつつ殴り続ければ割と勝てます。毒とかの状態異常は強いので、しばらくポイゾネスダガーを愛用していました。
全体を通しては、睡眠以外は対策なしでも割と戦えるバランスという印象でした。ただ、ちゃんと強敵は強敵として表現されているので、ストーリー上の納得感もあると感じています。

ともあれ、筆者がフリゲをやっている理由の一つの煮凝りみたいなゲームなので、大変に楽しめました。

結局上手く組み立てられていない気もしますが、これも意識の流れということで。

03. オトリズム

ジャンル 作者
リズム ひげ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間 1.2.0 Melody全クリア

良かった点

  • 遊びやすいUIでした
  • かなり緩めの判定のため、初心者でも楽しくクリアできます
    • その上で、上位層向けのランキングも用意されています

気になった点

  • 特にありません

レビュー

リズムゲームを楽しむ

シンプルなリズムゲームを遊びたいのであれば、オトリズムはうってつけの作品となっています。

このゲームのルールは極めて簡単です。
上から流れてくるノーツに合わせて、タイミングよくキーを押す、あるいは押し続けることで得点を稼いでいくというものになります。
そうして失敗せずに上手くコンボをつなげていくと得点が伸びていき、これが一定水準を越えればクリアです。

リズムゲームというと難しそうな印象もあるかもしれませんが、このゲームは比較的平易なものとなっています。特にノーツの判定はかなり緩めなので、そこそこリズムが取れていれば簡単にコンボが繋がることでしょう。
加えて簡単な譜面であれば3つのキーの入力にのみ集中すれば良いため、この手のゲームが苦手な方でも遊びやすい作品となっています。

一方で、それでは物足りないという方に向けて、判定の厳しいRainbowという評価もあります。
Rainbow の総数をオンラインランキングで競うこともできるので、我こそはという熟練音ゲーマーでも楽しむことができるでしょう。

加えて注目すべきは、フリーゲームらしい選曲がなされた楽曲の数々です。
色々なところで聞いたことのある名曲から、ウディコンで見かけたあのゲームの曲まで、様々な楽曲で遊ぶことができます。
一部のゲーム楽曲では右側にイメージ映像が流れるので、オートで眺めるのも一興です。

また、そういったリズムゲームを楽しむという体験を、このゲームでは使いやすく整ったUIデザインが補助しています。
簡易かつサクサクと操作できるUIでもって、様々な譜面を気軽に楽しんでいきましょう。

感想

音ゲー経験がそんなにない身ですが、リズムとって楽しむことができました。それに尽きます。
直近だとMuse Dashかシンフォニック=レインくらいしかやっていないですし、覚えている限りでもMelody’s EscapeとかHacker’s Beat 程度しかやっていないかもしれません。jubeatのような筐体タイプともなると全く知りません。
要するに、以下に述べるのは音ゲー初心者の感想になります。

まず、難易度設定の一つに使用するキーの数を据えるというのは、やっぱりいいやり方なんだなあと感じています。
3鍵では冷静に処理できていたものが5鍵では明らかに処理できなくなっているので、多分初心者はキーが増えるとてんやわんやになります。
キーの少ない状態で色々触れて、その後上達できていればチャレンジもできる設計で楽しめました。3鍵でもIrregularはきつかったけど。

加えて、収録曲が良いです。過去のウディコン作品のPVっぽいのを流しながらリズムゲーするというのが面白い。
過去にプレイしたことのある作品なら、ああ聞いたことあるなあこれと思いながらやれます。納豆を思い出して懐かしくなりました。
ただ、すっぽんクエストは映像が気になりすぎて最初集中できなかったですね。アレはもはや罠だと思っています。絵面の圧が強い。
あと、個人的に好きな曲の Trick Style でも遊べたので満足です。これはメトロノームファイトでも同じことが言えます。

また、UIが良いです。分かりやすく統一されていて、それでいてなんだか音ゲーっぽい雰囲気があります。ひし形とか、幾何学的なデザインがなんとなくそれっぽい。
デフォルトではどちらにも属さない選択肢とか、細かい配慮も効いています。

最後に、大分初心者に優しいと思います。
本来ならGreat相当のところをPerfectにしてくれる優しさがあります。Great範囲にいたってはあまりにも広い。全くリズムとれなくてもガチャ押しで何とかなりかねないレベルで広い。
長押しが出てくる上位のレベルを除けば、スコアを目指すだけなら割と何とでもなるレベルデザインになっていると感じました。

その上で、Perfect相当のRainbowを用意して、そのトータルスコアでもってオンラインで競えることで、ある程度上手い人でも楽しめるようになっているのも良かったです。上も下も取りこぼさない。

ちなみに筆者はRainbow9479なので10000もいってません。Music全部クリアしようとしたけど、いくつか断念したレベルです。
個人的にはリズムゲーを反射神経ボタン押しゲームとしてこなしているので、階段は反応できるんですが、変則的な階段が難しいです。
また、シンプルに縦連が苦手でした。結構叩いているつもりなんですけど取りこぼします。上手い人はどうやって乗り切ってるんですかね。

余談ですが、気になった点にデフォルトのキー配置がZXCでやや押しにくい印象を受けましたと書こうとしたんですが、実際どの程度押しにくいのか判断する要因がなかったのでやめました。
筆者個人の話ならば、片手で操作してしまっていたので左手をつりかけました。
実際の所、プレイヤーの方々はキーコンフィグ変えたんでしょうか。筆者はFGHJKあたりにして真ん中でやっていましたが。

04. 魔法裁判

ジャンル 作者
逆裁 フィールMX
プレイ時間 プレイVer クリア状況
30分 1.02 クリア

良かった点

  • 気軽に推理が楽しめます
  • 入りがスムーズです

気になった点

  • 決定キーで文字送りしていると選択肢を誤爆しがちです

レビュー

異議あり!

魔法裁判は、証拠を突き付けて容疑をひっくり返す逆転ゲームです。
物語中に起きた事件の容疑者に対して弁護人となり、相手の主張の矛盾を証拠品と共に叩きつけるゲーム性となっています。

ただし、このゲームにおける犯罪も、その推理方法も一般的ではありません。
この世界においては一人が一つ魔法を使うことができ、これが様々な方法となって推理に影響してくるからです。
それぞれの魔法の性質を勘案しながら、真実に向けて証拠を選んでいきましょう。

ここで突きつけるべき証拠は、これまでの物語や調査した内容に紐づいたものとなります。
ただし、証拠品は選択肢で選べば良いものであり、これまでの調査内容や状況も定期的に確認することができます。
このため、それほど記憶力に自信が無くても気楽に推理を楽しむことができます。

異議を唱えて逆転してみませんか。

感想

逆転裁判ベースだろうから突っ込むことではないのを重々承知の上で、弁護士は事件を捜査しないよなあという気持ちになりました。するのかな。

それはそれとして、逆転裁判をそれほどプレイしたことがないんですが、異議ありを除けばそれほど似通ってない印象でした。
あのゲームの特徴的な点の一つとして表情豊かでダイナミックなモーションがあると思っていまして、魔法裁判はそこのところはあまり重視されていなかったので。
証拠品突き付けパートも選択肢ベースだから本家ほど悩むような自由度もなく、サクサクと進行できます。
まあロゴは割とそのままなんですが。

全体的にシンプルな推理ものとしては良くまとまっていて、大きく矛盾もないので気軽に楽しめました。
魔法ベースの推理と言えば折れた竜骨をはじめとして作例はそこそこある印象ですが、一人一つの固有魔法という限定性をもってまとまりやすくしていたように思います。短編との親和性が高い設定ですね。

個人的には1章のすぐに裁判パートまでいける構成が好きでした。やっぱり裁判したいので。
また、裁判の設計を理解した後に2章に入ると裁判のことを考えながら物語が読めるので、多少長くなっても気にならなくなるあたりが良かったです。

ここからはネタバレを含む話になってくるんですが、自分をはめようとしていた魔王側に金でつくのは、大分ダメ人間感ありましたね。しかも裁判直後です。どういう情緒をしているんだ、エディ。
それはそれとして、人二人殺しておいてリアクションがだいぶ軽いあたりは、若干もやっとしました。そういうノリの作品だろうなとは思いつつ、ここら辺は好みです。
コナンの一話完結回の雑な犯行動機をもつ犯人でも、もうちょい重い感じになるので。

ちなみに、クリア時の失敗は2回で、どちらも押し間違えです。
決定キーで文字送りしていたら選択肢を選んでしまったケースなので、文字送りはXを強く推奨します。

05. イマジナリーフレンド

ジャンル 作者
ADV 銀モミジ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.02 全ENDクリア

良かった点

  • 紹介文通りの良い展開でした
  • 主人公以外にも個性があって良かったです

気になった点

  • エンドを複数見ようとするとかなり同じ展開を見ることになります

レビュー

詐称ほのぼの系ADV

イマジナリーフレンドは詐称ほのぼの系アドベンチャーです。
主人公であるぷれあを操作して、ある親友と一緒に過ごす日常を体験しつつ、その物語を紐解いていくことになります。

すばるの親友であるぷれあは、彼女の家に遊びに行っては色々なことをします。
お料理をしたりお勉強をしたり、そういった様々なイベントを体験しつつ、親友との時間を過ごしていくことになります。
ともすれば、ほのぼのしたまま終わりそうな雰囲気もあります。

しかし、物語を進めるに従って公称にあるような闇が少しずつ顔を出してくることになります。可愛らしいグラフィックとは裏腹に、物語は少しずつ意外な方向へと転がっていくことになるでしょう。

イマジナリーフレンドとは何を指しているのか、このゲームは何をもって詐称とするのか、それを知るためには最後まで物語を読み進める必要があります。
三つあるエンディングのどれに辿り着くことになるのか、プレイしてお確かめください。

感想

紹介文で詐称を名乗っているのでそこはネタバレじゃないだろうという判断です。
感想にはネタバレを書くので予めご了承ください。

詐称を名乗り、タイトルがイマジナリーフレンドの時点で着地点がある程度読みやすい展開ではあります。タイトルに使っているならそれ自体はギミックになりえないので、もう一段ひねるとなると絞られてしまうので。
もっとも、ウォールナーとアザレナといういかにもな存在がいる時点で、そこを大きなギミックとはとらえていなさそうです。そもそもメニュー画面からして「すばるの親友」なので、どちらが従なのかは何となく分かりますからね。

終盤の展開はちゃんとほのぼのを詐称してくれるので良いです。
エンディング分岐による物語的展開は案外様変わりするので、回収しておいた方が楽しいと思います。
ED2の展開では、戸愚呂弟を思い出しました。足りないのは危機感。

そういう意味ではエンド回収したくなるんですが、全エンドをちゃんと見るには同じ展開を3回やることになるのでややきつめです。なまじ暗い内容なのも効いてきます。
主人公の趨勢は変わらないけど周辺が変わるという方針なのも大きく、必然的に同じ展開になってしまうところがあるのかもしれません。
結構細かい点で会話内容を変えていたりしていて面白いんですが、同じようなイベントが続くと、ともすれば流し見される危険もありそうです。実際流しかけました。

最後にかなり個人的な感想なんですが、ものすごく内面的な話を扱っているのに、やたらと話の外殻が大きいなあという印象を受けました。
マクナ=グラムラとフェアリーベルみたいな外への解決が局所的なパターンを想像していたので、上級国民とかマスコミとかそこそこ社会風刺的な話も混ぜてくるとは考えていなかったです。
全体を貫いた社会風刺的作品はそれはそれでいいものなんですが、最後に薄っすらとしか使っていないので大分気になりました。胸糞展開を作る舞台装置としての機能しかないイメージ。
ただ、何を舞台装置に使うかは好みなんだろうなとも思っています。

ちなみにここのレビュー及び感想は個人の印象によるものなので、特に要望とかではありません。作らされたゲームより、好きに作ったゲームが一等面白いので。

06. ソウテン鏡事件

ジャンル 作者
探索ADV 天鏡伝承保存会
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.07 全ENDクリア

良かった点

  • 素晴らしいシナリオでした
  • 探索要素とシナリオが上手く調和しています
  • 導線が丁寧でした

気になった点

  • 序盤は決定キーを押さないと進行できない点がややわかりにくかったです

レビュー

至高のシナリオ

インタラクティブな性質を持つゲームという媒体の中で、シナリオをどのように組み込むかというのは一つの課題となります。ただ読み進めるだけならば、それは小説という媒体でも代替可能になってしまうかもしれません。
その中で、ソウテン鏡事件は探索アドベンチャーにシナリオを持ち込む、その一つの答えを表していると言えるでしょう。

この作品は、主人公のミライ、およびパートナーになるカコを操作し、閉じ込められた洋館からの脱出を図るゲームです。
この二人は十年の時を結ぶ鏡である『天鏡』越しに繋がっており、相互に影響を与え合う関係となっています。

プレイヤーはこの二人を操作して館を探索していくことになります。館を隅々まで探索し、脱出に関する手掛かりを探していきましょう。
会話やメニュー画面の導線はかなり親切なので、迷うことなく探索できること請け合いです。
また、各所にあるオブジェクトを調べればいくつかの小ネタが見つかることもあるので、色々と余計なものを調べるのも一興でしょう。

そうして館を調査していった先には、ある謎が隠されています。
その謎を解き明かし、さらに真実の奥のさらなる真実にたどり着けるかはプレイヤー次第となります。その真実にたどり着いた暁には、探索ゲームという形をとった良質なシナリオを体験することができるでしょう。

探索ゲームに溶け込んだ至高のシナリオを体験したい方にはお勧めです。

感想

最高に良いシナリオでした。推理小説好きとしてはその感想に尽きます。
伏線の張り方もミスリードの巧みさも素晴らしく、ストーリーラインがめちゃめちゃ綺麗にできています。探索ゲームベースで作っておきつつ、この完成度なのは恐ろしい。

最初の方に薄っすら感じた違和感の程度が絶妙で、しばらく動かしていると忘れるけれどちょっと引っかかるといういい塩梅でした。左眼ジャック事件でもそうだったんですが、最初に仕込む伏線の精度が高い。鳥籠さんの手腕という感じがしますね。人違いですが。

その後もソウテンのミスリードを絡ませつつ、違和感と納得感を小出しにして翻弄してくる様は素晴らしいの一言に尽きます。上手く掌の上で踊らされていました。

また、シナリオとはあまり関係なく、オブジェクトに対する反応も結構豊富で小ネタが詰まっています。灰原のなぞなぞとか、拾える人は拾えそうなので、実況とかにも向いてるかもしれません。

そういう意味でも、シナリオが素晴らしいのみならず、それを探索ゲームとして昇華させているという点においても良い作品でした。
単純に良いシナリオをノベルで読むのも良いんですが、探索していることに意味があるシナリオが構築されているのが素晴らしい。

大体1時間30分もあれば全部のエンドは見れて、そこから30分くらいで理解できたんですが、理解した時の気持ち良さは格別でした。なので、まだタイトル画面に二人いない人はこんな感想を読んでいないでさっさと遊びつくしましょう。

最後のあのギミックは、それまでの謎解きや探索の導線が完璧に近いがゆえに隠蔽される設計になっていて、最後までシステム的にも騙してくるようで最高でした。
基本的にシステムに従った移動と謎解きで全てをこなしていたところに、明確に追いかけるべき導線が提示されるという展開です。よほどの天邪鬼じゃなければ、そこで導線から外れるのは難しいだろうなと思っていました。
導線が上手いとミスリードがより効くということですね。

ちなみに、そうして色々分かった後に日記を読むと色々発見があるのでお勧めです。

なお、探索ゲームとしての導線はかなりちゃんとしているのでその辺は問題ないんですが、序盤あたりに決定キーを押さないと進行できないところがややわかりにくい印象はありました。
もはや難癖レベルですが、あまり褒めすぎるとサクラっぽいので一応。

返す返すもシナリオの出来が出色で、かつそれを探索ゲームという概念に高いレベルで落とし込んでいるというのが素晴らしいゲームです。
単純に良いシナリオと探索要素、というだけではなくて、この探索要素をもってさらに良いシナリオへと進化させているという印象があります。高い次元での融和が成っている作品は大体面白く、この作品も例には漏れないです。やりましょう。

07.少女大猩猩

ジャンル 作者
ゴリラ 餓鬼郎党
プレイ時間 プレイVer クリア状況
20分 1.00 クリア

良かった点

  • ゴリラになるということをネタにとどめず、ゲーム性に上手く落とし込んでいました
  • 良いゴリラ分でした

気になった点

  • ゴリラ的には納得できるのですが、Gキーはやや押しにくいです

レビュー

ウディコンに欠かせないもの、それはゴリラ

少女大猩猩は、誰でもゴリラになれるゲームです。
主人公の森谷稟はゴリラに変身することができる高校生で、ひょんなことから悪の組織に立ち向かうことになります。

彼女の前には、悪の組織が使役する手ごわい式魔が行く手を阻んでいます。
しかし、ひとたびゴリラモードになれば、どんな式魔も触れるだけで蹴散らすことができます。ゴリラになって無双しましょう。

ただし、常にゴリラでいるわけにはいきません。
先に進むには謎を解く必要がありますが、ゴリラは字を理解できないので謎が解けません。式魔に気を付けつつ、適度に人間に戻って謎を解く必要があります。

ゴリラモードで敵を吹き飛ばし、人の姿で様々な謎を解いてきましょう。

感想

ウディコンにはゴリラ分が必要だと思いませんかという問いには是と答えるしかないでしょう。
ウディコンにはゴリラが不可欠だと思っていたんですが、よく考えたら去年は無かったかもしれません。無くても有った気がするあたり、存在していなくても印象が強いですね、ゴリラ。
ウディコンから外に出てもゴリラから加護される作品があったり、ゲームでもAPE OUTみたいなゴリラ作品があったりするので、ゴリラに対する熱意は不偏的に存在するのかもしれません。

閑話休題してこのゲームの話に戻します。
このゲームは開幕が全てを物語っていて、当然のように説明してくるだけで思わず笑ってしまいました。もはやここがオチと言っても良い。

加えて、ゴリラになるという設定をただの一発ネタとしてではなくて、ちゃんとゲーム性に押し上げているのも良いです。
敵に追われるけど謎解きもやりたいという欲求に対して、ゴリラになれば敵が近づいてこないけど、一部ギミックは解けないというバランスにしているのが上手い設計でした。
最後は蝶を利用して上手くアクションっぽい感じにも落とし込んでいて、ゴリラメタモルフォーゼを最後までうまく活用していました。ゴリラメタモルフォーゼって何だ。

ゴリラへのこだわりが強すぎるあまり、Gキーで変身なのはさすがにやりにくかったんですが、まあゴリラの頭文字なのでこれは受け入れるしかありません。

とにかく良いゴリラ分でした。ウディコンに出てくれてありがとう。

こういう細かい要素も好き

08. Cell’s Shooting

ジャンル 作者
弾幕STG風の何か ブ瓶
プレイ時間 プレイVer クリア状況
15分 1.1 3000万点越え

良かった点

  • オブジェクトの数々を眺めると壮観でした
  • ゲームオーバーが無いので分からないなりに最後までやれます

気になった点

  • ルールあるいは説明が分かりにくかったです

レビュー

画面を埋め尽くせ

Cell’s Shooting は、画面をひたすら埋め尽くすスコアアタック形式のシューティングです。

一般的なシューティングは敵機を撃ち落とし、自機が撃ち落とされないことを目標としますが、このゲームは一味違います。とにかくハイスコアを目指せれば、敵機も自機も関係ありません。
ゲームオーバーの心配なく、スコアアタックに集中できるゲームとなっています。

そのスコアを稼ぐには、画面を白く埋め尽くす必要があります。
基本的には自機のショットが白いため、これを打ち続けることでスコアが伸びることでしょう。一方で、環境にあるものを上手く使うことで、さらに白く埋め尽くすことも可能です。
上手く立ち回ってハイスコアを目指していきましょう。

感想

説明書を読んだ感想は分かんないなこれ、でした。やってみた感想は、ルール読まないとわからんなこれ、です。
両方合わさって初めて朧気ながらわかってきます。

要するにショットは打ち得で、なんとなく画面を覆いつくせるように立ち回るとスコアが伸びます。なんとなく左右運動より上下運動のほうがスコアが伸びやすい気がします。
とはいえ、どの行動が起因でスコアが伸びたかは分かりにくいので、感覚で遊ぶのが丸いです。

一応ノーミスノーボムも想定されているようなので、完全に理解できれば立ち回りが確立する可能性があります。
完全情報ではあるので、パターンが構築できればいけるのかもしれない。

個人的にはどちらかというと眺めるゲームに近いと思っていて、粒度の荒い弾幕というかライフゲームのようなものを見て楽しむといった側面もありました。

なお、筆者がやったバージョンが悪いのかアップロードのリトライが続いてストーリーが読めなかったんですが、一応基準点らしい3000万点は二度目のチャレンジで越えました。
最後までボムがよくわからなかったけど、それくらいの理解でも越えられます。

この時は、アップロード失敗時に「アップロード失敗?」「再挑戦」と書かれていて、選択肢でもないのか入力したら再挑戦して…のループに入って抜け出せなくなりました。
個人的にはアップロード失敗に?がついているのが違和感があって、再挑戦するかどうかを確認するなら「再挑戦」側に?なのかなあと思いつつ、そもそも再挑戦する宣言でしかないようにも見えて良く分からなくなっていました。説明文も含めて、独特な言語という感じです。

09. Three Sleep Sheep Soup

ジャンル 作者
コマンド入力ADV いわいしさき&despair
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間 1.9 17END

良かった点

  • 色々な入力に反応がありました
  • シンプルな探索ゲームモードのおかげで、初期の導線が確保されています

気になった点

  • グラフィックが単語を特定できるレベルの解像度ではありませんでした

レビュー

手当たり次第に突拍子もないことを

Three Sleep Sheep Soup は、コマンドを入力することで進行するアドベンチャーです。

「かんたん」の難易度を選べば、このゲームは一般的な脱出ゲームのような様相を呈しています。提示されるコマンドに従い行動することで、一定のエンディングを迎えることができるでしょう。

しかし、難易度を「むずかしい」にすることで、このゲームの本当の顔が表に出ます。
この難易度では、プレイヤーの入力するコマンドは「動詞」と「対象」を入力する形式へと変化します。例えば、ひつじを調べたいのであれば「しらべる ひつじ」と入力する必要があるわけです。

対象に対してどういった行動をとってみるか、あるいはどこまでを対象と見なすか、それはプレイヤーの想像力に委ねられています。
とにかく様々な行動をとってみて、様々なエンディングを見ていきましょう。

感想

全体の印象値は脱出ゲームのそれでした。
想像よりも色々入力の幅はあって良いです。写真立てを食べられた時は笑いました。
何となくもっと突拍子もないことができそうな気がするんですが、色々入力してみてトゥルーっぽいのに辿り着いたら満足しました。
何もないのに燃やせるあたり、もっと悪いことしたかった気もします。

筆者が見つけたエンドは以下の17個です。多分まだある。

  • 閉じ込められEND
    • 強制終了する
  • 羊食べて腹破裂エンド
    • 3体食べる
  • 扉に永遠落下エンド
    • 何もせずに扉から出る
  • 明るい声が聞こえるエンド
    • 3体持ったまま出る
  • 私は一人だったエンド
    • 多分写真立てをどうにかする。私は食べた
  • 何かが足りないエンド
    • 一人だけ持って出る
  • 理解エンド
    • 二人もって出る
  • 自分で自分をエンド
    • 自分を害する
  • 死体を見つけるエンド
    • 羊を食べずにやる
  • 焼死エンド
    • もやす
  • 煙エンド
    • 部屋を燃やす
  • 出会った記憶があるエンド
    • 多分写真立てをどうにかする。私は一人だったとの違いはよくわからない。多分人数
  • 睡眠エンド
    • ひたすら寝る
  • 注射器エンド
    • そもそも注射器を見つける必要があり、それを自分に打つ
  • 薬剤を飲むエンド
    • 注射器の薬剤を飲む。注射器ではだめだった
  • 薬剤スープエンド
    • 注射器を羊に打ってからスープに入れて食べる
  • 答えるエンド
    • 3人救出で答えてと言われる、2人救出で羊の正体が何となく分かる
      • にんげんだとニアピンで、家族が正解らしい

これだけあるとエンドリストが欲しいですね。???で埋まっていたりすると収集欲が刺激されそう。

攻略的には、割とすぐに「答えて」とは言われるんですが、何を答えればいいのかは判然としないので、その辺でしばらく迷いながら色々試していました。

個人的に気になっているのはグラフィックの分かりにくさで、調べたいという時にかなり致命的な印象を受けました。
写真は最初鏡だと思っていましたし、キッチンラックを引き当てるまでに大分時間を使いました。引き出しを入力したら棚のほうに行くのは罠。正直今でもキッチンラックには見えていないです。そもそもあれはキッチンなのか。

ちなみにかがみを調べようとすると永遠にかがみループに入るんですが、仕様なのかそうでないのか分からなかったです。もしかしてこれもエンドの一つなんでしょうか。

10. ノラさんぽ

ジャンル 作者
RPG sugo-rock
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間 1.04 クリア

良かった点

  • 丁寧なつくりのマップ、世界観でした
    • 猫に癒されます
  • 戦闘バランスは意外とシビアで歯ごたえがあります
  • 敵グラフィックの進化が良い味を出しています

気になった点

  • やや演出的に間延びする印象を受けました
  • 町の良く使う施設までの距離が遠く感じます

レビュー

癒し世界の大冒険

ノラさんぽは癒される世界観を舞台にした、ネコたちのちょっとした大冒険を描いたRPGです。

主人公の白猫ノラは、いつもの餌に飽きてしまい、にゃおちゅーるを買うことを目指して冒険の旅に出かけます。
しかし、にゃおちゅーるまでの道は波乱万丈で、訪れる街のイベントをこなし、現れる敵を退け、どんどんと冒険を進めていくことになっていきます。

その癒されるような世界観とは裏腹に、彼らの冒険を彩る戦いは意外とシビアな戦闘バランスとなっています。
進めていくうちに進化していく雑魚敵には、油断しているとやられかねません。ネコなのだから、逃げる判断も視野に入れて戦っていきましょう。

また、このゲームにおいては、その舞台となる街やダンジョンは非常に丁寧に作られています。その街並みの中をネコとして歩き回ることで、その優しい世界観を存分に味わうことができるでしょう。

冒険の舞台となる街の数々、多様な敵、シビアな戦闘バランス、それら全てが丁寧に作られた世界の中で、ネコたちの冒険を体験してみませんか。

感想

色々丁寧だなあという印象です。マップも丁寧だし、扉の開閉も丁寧。
特にマップの作りがかなり丁寧な印象を受けました。ちゃんとしたロケーションとして作っている感じがします。
演出もかなり丁寧で、カットインをはじめきっちり作られていました。

ただ、色々と丁寧に作られているがゆえの間延び感が、個人的には最後までだいぶ引っかかっていました。
町がちゃんと作られているので宿屋行きたいだけでも結構歩かされ、かつ猫という世界観から一階の人に話しかけるのではなくてわざわざ二階まで行く必要があります。
丁寧な世界観だなあと思うのと同時に、さっさと回復したいなあという気持ちを感じます。どちらを優先するかという問題っぽいですね。

これは最初の洞窟マップなどでも顕著で、丁寧に作られているので迂遠な回りかたをする必要があったり、行っても意味のない袋小路があったりします。
歩き回れるロケーションとしては良いんですが、エンカウント付きダンジョンと考えると若干厳しい。エンカウント率も高めでしたし。

他にも、あんまり壮大でない冒険の始まりで操作可能になるまで3分かかるところや、扉の開閉が全て演出付きなどの細かい不満ポイントもあって、世界観の緩さと演出のこってり感のアンバランスさがどうしても拭えませんでした。

ただしその分、世界観の作り込みはかなり良くて、敵グラフィックが進化していって強くなっていく様はかなり好きです。
こいつがこういう進化するのかという驚きもあって、かなり楽しめました。テントウ系列が個人的には好き。

また、ちゃんとイベントこなすと親方から感謝されるとか、魚取り返してきたら船長に褒められるとか、細かい作りがものすごく丁寧です。色々と歩き回って話しかけたいマップになっています。

戦闘バランスは意外にシビアで、後半になると雑魚がシンプルに強くなります。何なら後半はボスより雑魚のほうが辛いレベル。夜星テントウまでくると、クリティカル一発でこちらが全回復から沈んでしまいました。
レベルが多少低くてもボスは何とかなるので、きつい敵に当たったら逃げる判断も大事です。

物語も壮大でないようで規模の大きい冒険譚として良かったです。目的それ自体はずっと変わらず些細なことなんですが、起こす行動がいちいち大きくて楽しいです。にゃおちゅーるは全てに優先する。
細かいシナリオも面白くて、薬屋がらみのクエストをやっておくと猫神様のバックグラウンドをちょっと想像できたりします。

11. 家路~いへぢ~

ジャンル 作者
ホラー探索 睦涼
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間 1.00 全ENDクリア

良かった点

  • 良い恐怖を感じられました
  • 隠という存在がシステムをも巻き込んで表現されていました
  • 各ステージで異なるギミックを楽しめました

気になった点

  • Cキーを押すと一瞬だけ隠が見えます
    • 上手く使うと便利ではありますが、雰囲気的にはないほうが嬉しいかもしれません

レビュー

ひたひたとした恐怖

家路~いへぢ~という作品が描いているものは、そこにいるはずなのに見えないという原始的な恐怖です。

村外れの廃トンネルを訪れた主人公は、奇妙な手袋を見つけるとともにおかしな世界に迷い込んでしまいます。
この主人公を操り、家路をたどるのがこの作品の目的となります。

しかし、家への道は常に安全とは限りません。目には見えない隠(オニ)と呼ばれる存在がいくつも道中に存在し、これに触れると消えてしまうことになります。
この見えない隠を避けるためにも、しっかりと観測をする必要があります。隠の姿を見るためには、見つけた奇妙な手袋を覗きこんで付近を調べるしかありません。
場所を把握し、動きを把握し、隠から逃れていきましょう。

この隠という存在は手袋を覗かない限り見ることはできませんが、同じ領域に隠がいるとぞわぞわとした音が鳴り、その存在自体を知ることだけはできます。
そこに確かにいるものの、どこにいるか分からない、もしかしたらすぐ側にいるかもしれない、そういった恐怖を味わうことができます。

加えて、青を基調とした特徴的な空間表現もまた、その恐怖を彩る一つの要因です。
この世とのあわいにあるような、不可思議な隔絶した雰囲気を感じつつ、ひたすら路を辿ることとなるでしょう。

さらに、そういった家路の途中には様々な仕掛けが待ち受けています。
隠から逃れながらも、これらの仕掛けを突破しなくては家路を辿ることはできません。上手く隠を避けつつ進んでいきましょう。

より本質的な恐怖をホラーで体験したい方に、家路~いへぢ~はお勧めの作品です。
隠を避け、仕掛けを解き、恐怖の中で家路を辿りましょう。

感想

恐怖とは元来こういうものだよねという雰囲気でした。原始的な恐ろしいという感情が呼び起こされます。ぞわぞわする。

光というか闇の使い方が物凄く上手いので、それだけでもホラーとしての雰囲気は満点です。最初の閉そく感を少しずつ出していく演出なんかは、恐怖への準備体操という感じがして良い。
その上で、隠という存在をシステムをも使っていかんなく表現しているので、とにかくホラーとしての完成度が高いです。

筆者が青鬼をプレイしていた時一番驚いたもとい良かったのは、ピアノを調べた後のくだりでした。この、どこかにいるだろうとは思っていた存在がすぐそばに唐突に現れるという現象は、かなり強い恐怖値を持っていると思っています。感覚的にはホラー映画の振り向いたらいるやつに近いです。
このゲームはゲームシステムでそれをやってのけているので、もう当然のように怖いです。ぞわぞわする音とともに、覗き込むことで初めてそこに現れる隠の姿が良い。案外近くにいることが分かった瞬間に慌ててCキーを押して逃げる感じが最高。

なお、最初のうちは夜廻のプレイ感に近いのかなと思っていましたが、割といろんなギミックが用意されているのでそれほど近くはありませんでした。
各ステージのボリュームもそこそこで、大きすぎ小さすぎず、それぞれが相異なるギミックを持っているので飽きずに楽しめます。
夜廻っぽいと感じていたトンネルくぐると異世界は、それのみならず千と千尋とか色々な作品で普遍的に存在する概念ですからね。何か民俗学的見地からこういう概念を説明できたりしないんでしょうか。

個人的には、唯一葉っぱのギミックだけ引っかかりました。
先にあるのかと思って入ったら無限迷路に迷い込んで、結局やられるまで出れませんでした。葉っぱを持たないで侵入できなければ親切かもしれませんが、この辺は雰囲気との兼ね合いで難しいところですね。

それにつけても、後半の解釈はだいぶ難しかったです。
ヨモツヘグイのくだりがある以上、おにぎりを食った段階で終わってはいたのですが、そうであるなら手袋には何の効果があったんでしょうか。あの壊れた社が終点だったのであれば、それが何を意味していたのでしょうか。本当におうちだったのかもしれないですね。
それにしたってカイ逅は解釈できていないのですが。もしかして過去作品をやらないとダメなタイプかな。
このように解釈に惑うことはあっても、雰囲気は存分にホラーなので最後まで楽しむことはできます。

ちなみにマップも雰囲気が良く、白いと調べられるというシステムも分かりやすくていいです。青に白は映えるので、敵の識別も含めてかなりわかりやすくできている印象でした
ゲームの性質上やや歩行速度は遅いものの、マップは雰囲気を保ちつつ短めの構成になっているのでカバーできています。

なお、レビューで途中までギミックという呼び方をしていたんですが、なんとなく横文字が似合わないので仕掛けにしたのがハイライトです。
トンネルも隧道にしようかと思ったけど、さすがに意味が伝わりにくいというか情景がぱっと出てこないのでこのままになっています。

12. 陰都見聞録

ジャンル 作者
ADV/RPG ハッピーエンド過激派
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.07 クリア

良かった点

  • 3Dの技術が素晴らしいです
    • また、その3D空間を活かしたマップでした
  • 陰都という世界観が良いです
    • ぶらぶらと歩き回りたくなります

気になった点

  • 3D空間を活かしたギミックは少なかったです

レビュー

3Dの陰都を巡ろう

陰都見聞録は、陰界と呼ばれる場所を巡り、色々なものを見て回るアドベンチャーあるいはRPGです。
陰気に満ちた遺跡に存在する謎の都市、陰都を訪れたソラを操作し、陰界の色々な場所で冒険することになります。

このゲームにおいて注目すべきは、陰都を含め、全てのマップが3Dでレンダリングされていることです。このため、奥行きも高さも活かされたマップ構成の中を探索することができます。
カメラも比較的自由に回すことができるため、3Dの世界を堪能することができるでしょう。

この3Dで構成された陰界には様々なロケーションがあり、それらを調査することで物語は進んでいきます。
この調査の過程で戦うことになる敵とは、体力のような陽気を消費して戦っていくことになります。陽気を無駄遣いしないように心掛ける必要があるでしょう。
一方で、陰界は陰気に満ちているため、ただ歩いているだけでもこの陽気を消費してしまいます。適度に拠点に帰って陽気を回復しつつ、様々な場所を探索していくことになります。

そうして陰界を巡るうちに、この場所で起きたある事件、災厄について知ることになります。
災厄とは何か、その原因は何だったのか、それを知るために物語を進めていくことになるでしょう。

魅力的な3Dの都市、陰都を巡ってはみませんか。

感想

3D空間を歩いている感覚が味わえるゲームです。
半端に3D化しただけじゃなくて、高低差とか段差とかを意識して作られているので、ちゃんと3D空間を探索している気分になれます。
景観という意味ではかなり3D空間を活かした構成になっていたように思います。分かりやすく上層と下層を分けたり、高い木を立てたり、色々とこの表現でなければ成しえない設計になっています。
3Dであることを最大限活かした巨大機械のロマンが良い。

個人的に好きなロケーションは酒場前で人が往来しているあたりです。
ああいう生活感ある表現が存在すると、世界の広がりを感じます。見聞している陰都の数少ないエリアだけじゃなく、もう少し広がった世界が存在していそうな感覚が良い。

ただ、3D空間を活かしたギミックあるいは探索だったかというと、その辺はグレーです。
マップは最大限活かされているので探索的な楽しさはあるんですが、様々なギミックや表現はある程度2D的なので、それほど3D感はありません。
3D表現ギミックの最たる例はカメラだとは思いますが、攻略必須ギミックではないので。
かなり趣は落ちるとは思いますが、全てのマップを2Dで書き下ろすこともできそうなラインだと感じました。

あとシステム的に気になるのは陽気の扱いで、体力兼MPみたいな扱いなのは結構面白いと思うんですが、何分陰都の中でも減るのは辛めです。
ダンジョンで減るのはそういうものとして、陰都で見聞したい身としてはうろつきにくくて困りました。常にせっつかれている感じがするので、気ままに陰都を巡りにくくなっているなあという印象です。
せっかく陰都は良い場所なので、意味もなく住人に話しかけながら彷徨いたいです。陰都だけ陰気が弱いからこれで遮断できるよアイテムとかあると嬉しい。

変わって3D的な技術の話になるんですが、よくウディタでここまでやったなあという気持ちになります。単純に板ポリをぺっと貼り付けただけでは表現できない凹凸とか、色々やった上でここまで動作が軽快なのは凄まじいです。
裏面描画は半透明になるあたりの細かさとかも好きです。単に見えなくなるよりは分かりやすい。

RPG要素についてはオマケに近いと思っていますが、最後の敵だけ思いのほか強かったです。初めて全滅の危険を感じたので入れ替えを発動しました。
それ以外はちゃんと戦っていれば倒せるレベルで、探索の阻害要因にはなっていません。

物語は陰謀っぽいものを匂わせながらああいうオチにしつつ、そのままシリアスな展開に雪崩れ込ませるのが上手いです。
個人的には終わり方が好みで、この物語が正しく陰都見聞録であったという形式の取り方が、まとまりがあるなあと感じていました。

しかし最後の方の展開、前作の感じを思い出しました。人と人ならざるものというか、生きる境界の違うもの同士のそういう展開。はっきりと好意を伝える系でもあります。
これはピューイ君がヒロインでしたね。

また世界観も結構好きで、蛮族呼ばわりしている人々も元をただせば蛮族なあたりは皮肉が効いていて良いです。
世界観をちょっとだけ説明しつつキャラクターのコメントが見れる資料も良くて、コメントが楽しいからちゃんと見るようになって、その上で世界のことを少しだけ知れます。

最後に、領域型セーブはなんとなくオートセーブのイメージがあって、最初に一回セーブせずにゲームオーバーになって初めからになりました。
皆さんは気を付けましょう。

13. 狼は愛を、狐は狼からの報復を、蛇は狐と狼に打ち倒されることを望んだ

ジャンル 作者
RPG ケモプレ@獣のPredation
プレイ時間 プレイVer クリア状況
30分 7/22 クリア

良かった点

  • 物語の展開が良かったです

気になった点

  • UIが使いにくかったです
  • 各種システムの説明が不足しているように感じました

レビュー

熱き想い

狼は愛を、狐は狼からの報復を、蛇は狐と狼に打ち倒されることを望んだ、という作品は、様々な要素が独特なRPGです。

ゲームとしては比較的シンプルで、ダンジョンに潜り、ひたすら戦い抜いてレベルを上げ、因縁のある狼を倒すことを目的としています。

しかし、その因縁、あるいは感情は複雑に絡み合っており、とても一言では言い表せないものとなっています。それぞれの屈折した感情が織りなす物語は、狼を倒すことで一つの決着を迎えます。

その物語の結末へと辿り着くには、レベルを上げて狼を倒すほかありません。
決着を見るためにも、狼に引導を渡してやりましょう。

感想

一言で感想を言うと、前作よりシステムの理解が難しいけど物語は好きという感じです。

UIがとにかくとっつきにくく、本当に使いにくいです。
例えばお店で購入したい時、最初に1が入力されているので購入個数を20にしたいなら一回キャンセルをはさむ必要があります。というかキャンセルしたいなら0を決定するという仕組みも厳しいです。スライダーなりを使わずに電卓システムを採用した理由が良く分からない。

また、階層が全てフラットなので、キー割り当て、キー連射などの設定と同階層に装備品があったりします。
前回は階層深くて使いにくかったのでそれよりはまだ良いんですが、使用頻度や用途をもとにした整理はあんまり行われていない印象です。トグルを使わずに選択肢を採用している理由はやっぱり良く分からない。

最初の画面の設定を開いてからセーブできるあたりはもはや仕様なのかバグなのかよくわかっていないレベルです。ちなみにここでセーブすると灰色のグラフィックでセーブできます。
一度メニューを閉じないとセーブできないというのも若干面倒です。そのままセーブするとロード時にメニュー開きっぱなしになるとか、そういう問題があるのかなと感じています。

他の細かいところだと、Cキーでメニューを開くのにXキーで閉じる統一性の無さも若干気になります。Xキャンセルで全体が統一されているデザインと思いきや、何もない画面のXはヘルプだったりするので。

あとは、説明があんまりありません。説明書は利用規約と権利表記だけで、連撃数とかACとかが何なのか、SPが何なのか、シボとスドの肉の違いは何なのか、それぞれの武器の違いは何なのか、雰囲気で理解するしかありません。
何ならクリアした今でさえ、シボとスドの違いは良く分かってないですし、各種状態異常になんでかかるのかも分かりません。ダイスロールかな。

ただ、最後に一気に押し寄せる物語の展開は前作などより好きでした。もはやノベルじゃないかというレベルで怒涛に話が展開していきます。
今までの作品は割とあっさり目に感じていたので、この辺の感情の物量には正直面喰らいました。勢いが凄い。
割とちゃんとオチもつくので良かったです。

14. Helios Order -賢者の石と輝炎の王-

ジャンル 作者
RPG 綺人
プレイ時間 プレイVer クリア状況
6時間30分 1.04 クリア

良かった点

  • 良い王道ファンタジーであり、良い戦記物でした
    • きちんと戦記をRPGで表現しています
  • 雑魚戦も含め、戦闘バランスが火力偏重で良かったです
  • 使用スキルでステータスが上昇する仕組みは面白かったです
    • 雑魚戦でも手段を考えるきっかけになります

気になった点

  • 相互変換可能なオーブが変換の手間だけが存在するものと感じられました
    • スキルのために個数確認、変換、習得の手間が発生します
  • 負けイベントに勝てそうでした

レビュー

王道戦記物RPG

Helios Order -賢者の石と輝炎の王- は、王道と呼ぶに相応しい完成度のRPGです。
世界観が王道ファンタジーであり、物語が王道戦記物であり、そして何より作りが王道のRPGとなっています。

舞台となる世界は、四方八方が潜在的脅威に囲まれたレムリア大陸です。その大陸の辺境にある森の中、記憶を失った状態で主人公が目覚めるところから物語は始まります。
その辺境の森での出会いから、主人公はやがて大きな戦乱に身を投じていくこととなります。

このゲームの世界観や物語はファンタジー然としながらも戦記物の性質が色濃く、大きな戦いのさなかの少数精鋭部隊として主人公たちのパーティは戦っていきます。
戦闘はCTB形式で進んでいくため、ターンを読んで戦略的に立ち回れると有利となります。

この戦闘において重要となるのは、使ったスキルに応じてステータスが成長するということです。
物理技を使えば攻撃力が、魔法を使えば魔力が、それぞれ上昇していくこととなります。このため、雑魚との戦いにおいても成長のことを視野に入れた戦いが求められます。

また、敵を倒すなどで手に入る様々なオーブを使うことでも、対応するステータスを上昇させることができます。
ただし、オーブはスキルの習得にも使うことができます。ステータスを上げて能力値でねじ伏せるか、スキルを使ったテクニカルな戦いを目指すか、オーブの使いどころはプレイヤーの手に委ねられています。

このような王道に留まらないシステムを導入しつつも、Helios Order の骨子はまごうことなき王道であり、そういった貫かれた王道が好きな方にはお勧めです。
戦争の中を切り抜けて、その王道の世界観に隠された秘密を解き明かしていきましょう。

感想

良い王道です。戦記物としてもそうですし、RPGとしても凄くまっとうでした。
世界観はファンタジーものとして良く、周囲がほとんど敵国のアメストリスみたいな状況は戦記をやる上で良い環境でした。
もっとも今回の物語はその中の一部のエリアの話になるわけですが。

また、ちゃんと戦争をやりつつ、RPG的な少数精鋭行動スタイルの展開を用意しているので、あんまり無理が生じずにRPGを遊べます。
これは結構大事で、RPGのための単独行動じゃなくて物語に組み込まれたというか戦いの中に組み込まれた行動と展開なので没入感がありました。
個人的に好きなのは、なかなか熱い展開の後に戦うリバイバルログです。あれはネタなのかな。

キャラクターも良くて、最初の方でディーンにベットしていたので途中の展開で楽しめました。こういう軟派は決める時は決めてくれるので好きです。エドガーとか。
あとは、なんやかんやエヴァが最初の独断専行以外はまともに行動するタイプで驚きました。もう少し軽率に行動するタイプだと思っていたら、場面に応じてちゃんと動けるタイプでした。

戦闘システムも結構面白くて、特に使う技に応じてステータスが変わっていくのが良いです。
雑魚戦でもどの攻撃使うかを考えることに意味があって、かつそこそこ雑魚も強いバランスになっているので戦闘が楽しめます。戦闘終了後全回復するからこそできるバランスという感じ。
カウントタイム制なのもあって、割と戦略的に戦えます。

戦闘においてはコンボまで覚えられると強くて、そこまでいけば、ほぼスキルの入れ替えが必要なくなります。主人公のリーサルまでの流れの火力が高くて、エヴァのソニックが優秀なつなぎとして機能するので、主な火力源になりました。
後はアイテムが強いです。回復魔法が基本的に弱い行動で、全体回復手段が実質的にアイテムしかありません。速度も速いので、全体回復をばら撒く役がいると捗ります。

なお負けイベントもちょっとあるんですが、負けイベントの割には勝てそうなのが気になりました。特に最初の長髪、普通に勝てそうだった。もしかしたら勝てるのかも。
勝てそうな負けイベントの何が問題かというと、アイテムを無駄に使うことになるあたりです。どうせ負けるなら先行一閃で薙いでほしいです。

他の細かいところだと、瞑想から瞑想に入れるからある程度回す時は楽なところとか、ちゃんと戦闘内容は図を使って説明するところとか、寝る前は帽子取るところとか、色々ちゃんと作られている印象です。
もちろん鎧は脱がないんですけどね。

システム的には成長のためのオーブを相互変換できるんですが、そうであるなら共通オーブにしてしまっても良いのかなと感じていました。スキルに必要な量を確認してから変換し直すのがちょっと面倒。

しかしエアフェル、エアラフェルというRPGがあるので呼ばれるたびにそれを思い出していました。

15. 星空ダイヤグラム

ジャンル 作者
ハクスラRPG 綺人
プレイ時間 プレイVer クリア状況
9時間 1.4.0 鈴音END

良かった点

  • 装備とスキルの二段のハクスラが上手く機能していました
    • 装備が導線、スキルがランダムの良さをそれぞれ担っています
  • 個別進行式のストーリーが良かったです
  • 戦闘バランスがちょうど良く難しいです

気になった点

  • スキルの整理ができると有難かったです
  • 報酬獲得演出がやや長めに感じました

レビュー

ハクスラで自分だけのビルドを目指そう

星空ダイヤグラムは自分の考えた最強のビルドを目指せるハクスラRPGです。
好きなキャラクターと好きな装備で、好きなスキル構成を使って攻略することができます。

プレイヤーは、夜空と呼ばれる世界に迷い込むことになります。ここでは世界の救出と帰還を目指して、路線に潜って修行しなくてはなりません。路線はノンフィールドダンジョンのようなものであり、各停車駅でイベントを発生させたり、敵と戦ったりすることで進行していきます。
同じような境遇の11人から好きなキャラクターを誘ってメンバーを構成し、この路線にひたすら潜っていくこととなります。

路線にはびこる雑魚敵も強力ながら、多くの場合は終点でさらに強力な敵との戦いが待ち受けています。特に、深度と呼ばれる難易度が上がると、一癖も二癖もある敵が相手となってくるでしょう。
そういった強敵に打ち勝つためには、装備とスキルの取得と選別が重要になっていきます。

装備はイベントで手に入ることもありますが、確実なのは路線の報酬を狙うことです。路線をクリアすることで得られる装備はある程度開示されているので、狙い目の装備がある路線に潜っていきましょう。
そうして自分のレベルに応じた深度に潜りつつ装備を回収することで、一つのループが構成されていくことでしょう。

このループに刺激を添えるのは、スキルの取得です。
スキルはイベントや戦闘後に完全にランダムで取得できます。それぞれのスキルには威力、防御力、回復、特殊能力など様々な性質やその強弱が与えられており、最大で50個まで覚えておけるようになっています。こうして取得したスキルの中から5つを選んで、戦闘に挑んでいくことになります。

また、誘ったキャラクターと一緒に戦っていると徐々に親密度が上がっていき、それぞれのキャラクターによる個別のシナリオが紡がれていくことになります。
意図しない限りシナリオが路線の最中に進行することはないため、ハクスラを楽しみながらも、一息ついたタイミングで進めていくことができます。

ある程度狙って手に入る装備で確実に強くなりつつ、ランダム性のあるスキルから自分好みの組み合わせを色々試す。
この完成されたハクスラループに取り込まれると、無限に遊んでしまうこと請け合いです。

星空ダイヤグラムは、装備やスキルを吟味して、そのシナジーを考えて組み上げることが好みの人にお勧めの作品となっています。
自分だけの強力なビルドを目指して、ひたすら路線に挑んでいきましょう。

感想

楽しいハクスラです。楽しいので時間が溶ける。ちょっと遊んだら寝ようと思ったら、いつの間にか次の路線に潜ってしまうゲーム。全部プレイしようとする人のトラップの一つ。

武器がハクスラなゲームは結構あるんですが、スキルまでハクスラなゲームはなかなか無いんじゃないでしょうか。
さらに、その二つのハクスラを、路線で比較的狙って取れる装備と、その路線内でランダムに一杯取れるスキルという形にしているのが良いです。
この装備欲しいなあと思えるから路線選びの基準にもできるし、次の目標を立てやすく、それを繰り返していると自動的に手に入るスキルはランダム性の強いハクスラを楽しめます。
これが装備だけだったらやらされている感が強そうで、スキルだけだったらランダムが強すぎて牽引力が弱くなりそうなので、いい塩梅だなあと感じています。

武器種は11と結構多く、メンバーは6人構成なので必然的に不要な武器も手に入るんですが、これがちゃんと売ればお金になるのも良いです。
お金の使い道もだんだん使わなくなるお店だけじゃなく、取得する武器種を固定できる奴への賄賂にも使えるのが良いです。ちゃんとお金を持っておくことへのリターンがある。

装備を集めているうちに強くなっていって、そうなるとより強い装備が欲しくなって、その間もスキル厳選は進めて、みたいな感じでハクスラするループが綺麗に作られているので、繰り返し遊びたくなります。

戦闘バランスも割とよくて、ボスがまっとうに強いです。発狂するとめちゃめちゃ強力になっているので、多分速攻を意識してそう。
また、デスペナルティは実質的にないので、路線の最後で強ボスに蹂躙されても笑って済ませられるのも良い。筆者は最初の方で恐竜に蹂躙されました。
ちなみに、終わりの方のボスは大体ギミック持ちなので、ちゃんと対策しないとレベル関係なく負けます。

個人的には自分のレベルよりちょっと深い階層に潜るのが好きです。
雑魚まで強いので、スキルによる立ち回りをかなり上手くやる必要があります。僕の考えた最強のスキル構成が試されるので楽しい。
ボスもかなり強いんですが、ちゃんとスキル構成を整えておけば勝てないこともないのでやりようがあって良いです。敵も強ければこちらも強い。

戦闘面とかハクスラ面はこの通りめちゃめちゃ楽しいんですが、スキルがあまりにもとれる分、その整理はちょっと面倒めではあります。
プレイ時間のそこそこがスキル調査と整理に充てられてしまっているので、もうちょっと使いやすいと楽だなあと。
構成と封印を同じところでできるとか、下位互換があったら自動的に封印してくれたりとか、いい感じにソートしてくれる機能とか、色々欲しくなってしまいます。
下位互換判定とかソートの種類とか、色々考えることは多いので難しいかもしれない。せめて、攻撃/盾/回復はソートされていると比較しやすいかなあと感じています。

あとは、報酬獲得演出が若干長めに取られている印象もあって、スキルは完全封印されるようならスキップですら良さそうですし、お金のカウントで別の尺がとられるのもちょっと煩わしいです。加算値を見せたい気持ちがあるなら、+表記も欲しいかもしれない。
ただ、このあたりは何度も遊んでいるせいで同じ演出に飽きているきらいもあるので、初見の演出としては十分な気もしています。

戦闘面でもこれだけ楽しいことを話せるんですが、ちょっとしたストーリーがちゃんと入っているのも楽しいです。
最初に選んだキャラクターの個別ストーリーが少しずつ進行していく形式なので、路線を楽しんでいる時に阻害されることはありません。物語を読みたい気持ちの時に読める。
この進めたい時にはちゃんと進めてエンディングまでの達成感を補助してくれる物語設計は好みです。

そして、それぞれのキャラクターの個性も際立っています。
そもそもが初手で出会うティレスが、初手で出会うキャラの濃さではない。みんながみんなキャラが濃い。ンゴンガはシュウゾウだと思っています。
メンバーに入れた面々は最初にいた人達が基本で、鈴音と空悟は好みで入れました。座敷童というか妖怪系と、中二病が好きなので。奇異太郎思い出しましたね。

なお、これを書いている最中にもプレイして他のエンドを回収しようとしていたんですが、レベルドレインするスキル屋の誘惑に負けて目下レベル上げ中です。
ボス倒して終わればいいのに、楽しいのでつい別のことやっちゃいますね。

ちなみにこのゲームは攻略情報が固まっていない時期にやることで、こんな特殊効果あるんだなとか、こんな鬼強いスキル使えるんだとか、色々発見があるので楽しいです。
全体化+リレイズ とか、CT1のCT解消スキルとか、手に入るとわくわくしますね。
何ならたぶん攻略情報見ないほうが楽しいまであるんですが、情報共有しながら進めるのも多分楽しそうだなあと思っています。在りし日のゲーム攻略情報共有する感覚。

刀に全てを委ねた図。これで勝てた時が一番気持ちが良い

16. カードカプラーアリス

ジャンル 作者
デッキ構築型カードRPG とうがらし
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間 1.00 業務用クリア

良かった点

  • カードを集めてデッキ構築する楽しさがあります
  • 運が絡みながらも、良い戦闘バランスでした

気になった点

  • カード構成のUIがやや使いにくかったです
    • 最新版では改善されているそうです

レビュー

お手軽デッキ構築カードRPG

カードカプラーアリスは、デッキを構築して戦うカードバトルRPGです。
プレイヤーは20枚のカードを選んでデッキを構築し、ノンフィールドRPGの戦闘に挑んでいくことになります。

それぞれのカードにはコストが存在し、1ターン内では一定のコストまでしか使用することはできません。
また、ターンの開始にはランダムで5枚引き、ターン終了時には全てのカードが捨て札に送られるため、追加でドローしない限り1ターン内では5つのカードが利用できます。
この制約の中で、敵の行動や性質を考えてカードを切って、攻撃や防御をしていくことになります。

カードは敵がドロップするほか、敵が落としたお金を貯めてショップで購入することもできます。
各種カードの性質を活かし、ノンフィールドRPGを戦い抜いていきましょう。

また、連戦の最後にはボスが待ち構えています。ボスは当然ながら強力で、それまでの戦いで消耗していると勝負は苦しくなります。
そういった時は、戦う前に控えのメンバーに切り替えることもできます。控えのメンバー分のデッキを考える必要はありますが、ボス向けのデッキを構築してメタることもできるため、積極的に活用していきましょう。

たとえ強敵に敗北したとしても、このゲームにおいてはペナルティはありません。むしろ、敵と戦うことでレベルが上がり強くなっていくので、敗北を気にせず果敢に挑むことができます。
そうして手慣れてきたら、土をつけずに戦い抜くことを狙ってみるのも良いかもしれません。

カードカプラーアリスはテンポよく、カードバトルRPGを楽しむことのできるゲームです。
いろんなカードを使いこなし、並みいる強敵を捌いていきましょう。

感想

デッキ構築カードバトル、楽しいですよね。このゲームはちゃんとしたバランスで構成されているので余計に楽しい。

デッキ系のカード戦闘の常としてある程度ランダム性はあるんですが、ちゃんとデッキ構築をしておけばある程度は負けることなく突き進めます。良い感じの戦闘バランス。
慣れていなかった序盤はともかく、慣れてきた途中からは戻らずにクリアできました。少なくとも業務用においては周回前提のバランスではなく、突破はできるが周回して楽にすることもできる、というバランスだったと思います。

また、こういうゲームはデッキ圧縮が強くなりがちなんですが、その辺は消滅や無料のカードの限度枚数を決めることで調整されていました。

カードの戦略面で言うと、割と強いカードははっきりしている印象です。
最初はFFXにならってクイックトリックが強いのかと思ってたんですが、うまくシナジーをかけないと運用が難しく、ドロー系のコストがそこそこあるのもあって採用を見送っていました。
ある一定タイミングから剣の完全上位互換になるファランクスは結構お世話になっていて、最後の方は ムド、カーズ+ファントムビュレットあたりで立ち回っていました。
ムドの良いところ、雑魚をやれる以外にもちゃんと火力があるのでボス戦でも刺しやすいところにあります。
カーズ+ファントムビュレットは単純に火力が安定してたので好みです。

なお、最初に選べるキャラクターごとに固有カードもあるので、戦略に組み込む際はここも気を付けると楽です。別のキャラも使ってくれという意図がありそうですが、デッキの組み直しが面倒だったので鶴姫への切り替えしかしませんでした。
そういう意味ではデッキセットみたいな機能欲しいなあと思っていたんですが、どうやら新バージョンではあるらしいです。そちらがお勧め。

それ以外にも、固有カードが多めなのでデッキ構築時はそれを除いてくれるとありがたいなと感じたり、タブか何かで項目別に分かれているとやりやすいなと感じたり、デッキのソートと整理ができるとバランスがぱっと見でわかりやすいなとか思ったりしましたが、ちょびちょび修正を加えていく程度ならそこまで気になりませんでした。
ガッツリとデッキ構成を変えようと思うとちょっと面倒かもしれない。

ストーリーというか語りがトートロジーっぽくありつつトートロジーじゃない話をしているので、若干会話が頭に入ってきにくい構成ではあります。もって回った言い方の究極系という感じ。
文章を頭からお尻まで読んだ後に中間を読んで意味を理解するみたいなことをしていました。
キャラごとに名乗りが変わるなど、結構細かいところも丁寧に作り込まれていて良いです。

あと、初回起動時の爆音対策、そんなに爆音に出会ったことはないんですが、やっぱりあると配慮を感じますね。

デッキ構成

17. 雲間からレグルス

ジャンル 作者
ADV/RPG SEPTET
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間 1.02 クリア

良かった点

  • 良いシナリオであり、それをゲーム全てが下支えしていました
    • 殊に演出面は素晴らしいです
  • キャラクターは皆個性豊かでした
  • 雰囲気の良いドット絵のグラフィックでした

気になった点

  • レベルの上げ下げが高くなるとやや面倒でした
    • 一気に上げ下げしたい気持ちがあります

レビュー

ゲームで描かれる最高の物語

ゲームはしばしば総合芸術と呼ばれることがあります。その意味するところは個人によって様々でしょうが、筆者個人はあらゆる要素が総動員して体験を形作ることをもって総合的な作品であるのだと感じています。
雲間からレグルスは、その内包する全ての要素が最大限の力で完成させた美しい物語を体験できる作品となっています。

全ての種族がレベルによって管理された世界で、最低レベルに指定された人間は、掃きだめのような星、オールドヘイブンで生活を営んでいました。
しかし、その遺跡の奥で「星の子」と名乗る子供を見つけたことから、物語の歯車が動き出します。

プレイヤーは主人公の一人であるルグを操作し、「星の子」と名乗る子供、レオの力によって様々な星を巡ることになります。オールドヘイブンの個性豊かなキャラクターの一人一人と同行し、それぞれの星を進んでいくことで、それぞれの物語が紡がれていきます。

星々にはそれぞれ特色があり、それぞれが素晴らしいグラフィックで描かれ、独特な雰囲気が醸成されています。
そういった場所ごとの景観を堪能しつつ、アイテムを拾い集めながら探索していきましょう。そして、その最後の地点で待ち構えているのは、ボスとの戦闘です。

この戦闘においては、レベルが重要となってきます。敵の攻撃の成否が、このパラメータを基準に決まってくるからです。
レベルはセーブ地点で自由に上げ下げできるため、ボスの行動パターンを理解したらメタれるようにレベルを調整しましょう。基本的に戦闘はいつでも逃げられるので、対策ができていなければ撤退もアリです。

こうして星々を巡り、各々の物語を見届けていくことで、少しずつルグとレオの物語が進行していきます。
この最後の物語を彩るのは、個性豊かなキャラクターであり、そのキャラクター銘々の想いによる物語であり、抒情的なドット絵によるグラフィックであり、オールドヘイブンを始めとした世界の雰囲気であり、美しい演出であり、そして何よりこのゲームがレベル制によるRPGであることです。

この作品を最後まで進めた時、このゲームにおける全ての要素が収斂していき、極限にまで高められた、ただ一つの物語を体験することができるでしょう。
もはやこれを語る言葉は持ち合わせていないため俗な言い方をすれば、エモいゲームがやりたい方にお勧めです。

感想

ウディコンの早いうちから何があっても絶対やるリストの一つに入れていた作品の一つ、雲間からレグルス。
バケモノハイツの頃から好みの作品を作る方だなあと思っていたので、ウディフェスのぶーん。とかもやっていました。そういえば、らすぼす養成 はいすくーる やってないのを思い出したので後でやります。

閑話休題。というわけで、期待値のハードルがまあまあに高い状態で始めたんですが、ちゃんとハードルのはるか上を飛んで行ってくれたので満足です。

とりあえずまずは世界観の話をするんですが、設定と拠点の世界が好きです。
レベルという概念によってかなり強烈な格差社会が形成された世界という設定が秀逸で、終盤に明かされるレベルというものの役割もまた秀逸です。実際にそれが正確かどうかはともかく、レオのような存在を生み出しているあたり外してもいない感じはします。

その中で最下層のレベルが住まうオールドヘイブンの空気感は最高の一言に尽きます。
帰還後イベントが映画のワンカットのように見えることに、この空気感はかなり寄与していると思います。黄と緑からなる空気がこの空間のよどんだ雰囲気をうまく表現していて、他の星の美しさに対して徹底的に対比構造にありました。
それなのに最後までやると、どの星よりもオールドヘイブンが綺麗に見えますね。この辺の、澱んだようでいてただ汚いようには見えない空気作りがべらぼうに上手いです。

それ以外の星では、ニトアロ・ニードが好きです。崩壊した世界というかポストアポカリプスっぽいのが好み。傘をさす細かさも好きでした。まあ最後の惑星も当然好きなんですが。

レベルの話に戻すと、レベルが高いと野蛮ではないことにされている世界ではあるんですが、行ける範囲では最高と言っていいレベルの世界でいじめをお出ししてきます。
そもそも、この高レベルの種族と人間は理由不明ならが争っています。結局一種族の適当な指標であって、本質的には何ら変わらないのかもしれない。それでも若干いじめっ子側が素直な気もしますね。

次にキャラクターの話をするんですが、全員魅力的なキャラクターで良いんですよね。
後で物語の話もしますが、この物語が美しいのは間違いなくキャラクターが良いからに他ならないので。
加えて、各キャラクターの物語パートもあってちゃんと掘り下げられるのも良いです。

キャラクターとしては割と序盤からドミドゥカが好きだったので、終盤の展開はより情緒が揺さぶられました。締まらない顔している人の締まった格好、格好良い。
主人公組については言わずもがな好きなんですが、いろんな展開をもってルグが一番好き。レグルス、獅子の心臓ゆえにレオのコアなんですね。

さらに、各物語に出てくるサブキャラクター、かてて加えて各星にいるモブの方々に至るまで、良いキャラクターをしているというのもあります。
星の個性と住人の個性どちらも豊かな特色があって良い。ミッドルの方々が好き。

それでは物語の話をするんですが、まあとにかく良いですね。良すぎて言語化が難しくて、レビューの最初の言葉を「良い、とにかく良い」にしばらく置いてました。レビュー書き終わった冷静な時に挿げ替えるのが狙いです。
思い浮かんだのは奇跡的相性なんですが、ネタが分かりにくいのと単純に相性の話ではないなと思ったので無難な形に落ち着いています。

ソウテン鏡は物語それ自体が良いパターンなんですが、この作品は物語に対する演出によって物語の質を底上げしているパターンです。
個人的に、個別で各キャラクターに関連する物語を進行しつつ大枠を構成するのが好みなので、この物語は好みでした。
そういうこともあって、ソウテン鏡では小説を引き合いに出していますが、このゲームはそういった別媒体を引き合いに出していません。この物語はゲームでしか在り得ないので。

各キャラクターをちょっとだけ掘り下げて、あるいはちょっとだけ成長させる物語が良くて、何より最後にオールドヘイブンに戻ってきた後の一幕が好きです。
一息ついた決着感と、次につながる引きのどちらもが映画のような空気感の中で描かれていて、最高にお洒落です。一区切りつくからちゃんと終わった気になれるし、次への期待があるから続きをやりたくなる。

そういった演出のほかにも、この物語は徹頭徹尾RPGでなくては表現しえなかったというのも好きです。
RPGそのものの話は後でしますが、とにかく最後の展開を行うにはこれはRPGでなくてはいけなかった。そのことこそが美しい作りだと感じていました。最後の戦闘、心動かされませんか。

あらゆる要素が物語を下支えして、そのクオリティも意味合いも補助しているというのが、まさにゲームでのみ体験できる感覚だなあと覚えていました。ゲームとしての物語という意味ではバケモノハイツも好きだったんですが、演出面やら諸々でこっちはさらに好きです。

物語のついでにグラフィックなどの話もしますが、良いドット絵です。ホロロンのような精緻なドット絵とはまた違った魅力があります。
記憶ギャラリーにあるようなドット絵もその星の空気感を描いていて良いんですが、各キャラクターのモーションとか、戦闘時のグラフィックとか、表情とか、色々なところが豊かで好きです。
戦闘時にレベル技に失敗すると、ちゃんとリアクションがあるのとか良いですよね。

あと戦闘中のBGMも良いんですけど、若干音量大きい気もしました。
雰囲気にはあっていて、曲としても好きではあります。

長々と書いてきましたが最後にRPGとしての話をします。
レベルの上げ下げによるギミックバトルが主で、雑魚戦もないのでイベントとみなしても良いレベルかなと思います。
ただ、漫然とやっていると結構負けるので、ちゃんと戦ってギミックを理解して、対策を立てて倒すというのが楽しいタイプです。

一応最高レベルまで引き上げていれば、ある程度ごり押しでも行けるバランスには感じましたが、ちゃんとメタったほうが楽しいし楽なのでお勧めです。
ただ、レベルの上げ下げが特定箇所でしかできず、特に後半は一気に上げようとすると若干面倒ですが、数えるほどしかやらないのでそこまで気にはならないと思います。

とにかく物語というものをゲーム表現の中で描いていたという観点において、個人的に一番好きな作品です。
最初に出てくる、言葉が落ち、それに引きずられたような星が何かへとぶつかったその瞬間から、このゲームが好みそうな直感がありましたが、まさしくその通りとなりました。

最初の演出で大体分かるように、かなり間の取り方がアドベンチャーゲーム然としているので、ちょくちょく間がある印象は受けます。ただ、多くの演出においてはその間をもって完成されているような印象も受けます。
最初の方を少しやればどういうゲームか分かるので、とりあえずやってみましょう。ADV好きならいいゲームです。

ちなみに筆者はこのゲームをぶっ通しでやったので、レビューを書くために起動するまで気づかなかったんですが、タイトル画面が毎回変わる細かい演出も入っていました。タイトルに演出が入るゲームは良いゲーム。神話解体論とか。

ニアトロ・ニード が好きな理由の半分くらいはレオが傘を差しているからかもしれない

19. 星の心

ジャンル 作者
試行錯誤 こめ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.03 100

良かった点

  • 様々なアイデアが盛り込まれていました
  • 星の心を集めていく楽しさがあります

気になった点

  • 操作系統についてはかなりノーヒントに近いです
    • ここは良い所でもあるとは思います

レビュー

あらゆることを試していこう

星の心は、あらゆることを試して星の心を集めていくゲームです。

プレイヤーは宇宙をさまよう星を操作して、様々なことを行えます。そしてその行いの結果として、星の心が手に入るというゲームとなっています。
クリックしてみたら、動いてみたら、待ってみたら、色々なことが星の心を手に入れる条件となっています。

最初の内はいくつもの星の心をどんどん手に入れることができますが、次第にその発見難度は上がっていきます。
あらゆることを試し、ヒントを探し当て、時には観察眼を駆使して星の心を集めていきましょう。重要なのは、どんなことでもやってみるということです。

ちなみに、このゲームはいつでも終わらせることができます。
ブラックホールの中に飛び込み、その事象の地平面へとたどり着けば、今まで取得した星の心の数をもってリザルトとなります。
もう一度ゲームを遊べば星の心の数はそのままに再プレイできるので、気楽に終えても良いかもしれません。

星の心においては、何がそのヒントになるかは分かりません、思いつく限り全てのことを試していきましょう。
実績を埋めたくなる人には垂涎の作品となっています。

感想

実績コンプ中毒としては、意地で最後までやってしまった作品です。
最初の30分で7割くらい集めて、大体クリアと言ってよさそうだから次に行こうかなあとぼんやり考えながら、結局全部集めるまで寝ずにやったので。

割と適当に動くだけで50個集まるので、最初はガンガン実績を開けていくゲームだと思っていました。 Zup! みたいなイメージ。
ただ、7割くらいから停滞気味になってきて、これはブレークスルーを探し当てるゲームなんだなと理解しました。

ある操作に気づいたり、あるヒントに気づいたりすると芋づる式に色々な実績が分かってくるので、そういった時に気持ちよく実績が開いていきます。
惑星への理解が進んだり、流星の取り方が分かったり、ある操作を見つけたり、色々なブレークスルーを見つけて最後まで楽しめます。

ブレークスルーを見つけ出した時の快感は何にも勝るところがあるので、あらゆる操作説明がないことがこのゲームの良いところだとすら思っています。
スペース押してわけわからんものが出て、それが文献を読むうちに理解できる様とか、適当に惑星を行ったり来たりしていたら相互干渉の仕組みに気づいたりとか、気づきの楽しさがあります。

とにかくいろんな操作をすること、ちゃんと文献を読むことを徹底していれば、それほど理不尽な要素はありません。入力は英語そのままではなく英語の日本語入力ということに気を付ければ、それ以外でハマりそうなポイントはありませんでした。

そうは言ってもめちゃめちゃいろんなところに隠されているので、段々疑心暗鬼になってくるところも含めて楽しいです。
リザルトのクレジットにある☆を無心でクリックしていたり、最終的にはエンディングにたどり着いてすらそこの青い星をクリックしていました。もはや病気の類。

多分90から詰めるあたりが本番で、個人的には星の記憶を集めるあたりが難関でした。あんまりにもヒントが無いので、観察眼とメタ読みが要求される。
ただ、ここは多分人によって最難関が違ってくるんだろうなあという気持ちがあります。皆さんはどこで詰まりましたか。
ちなみに、筆者の最後は迷いでした。いつもゲームはウィンドウを閉じて終わっていたので、確かにそれは試してなかった。

とにかく、色々試して発見しての繰り返しが楽しい人は楽しいと思います。少なくとも自分は楽しい。

20. ベジダンッ!

ジャンル 作者
リソース管理RPG サカモトトマト
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間/1時間 1.0.0 ハード Sクリア

良かった点

  • サクサクと戦闘が進行していきました
  • 介入要素の強力さと、そのコストの高さが釣り合っていました

気になった点

  • ゲームオーバーからの再走時、実質最初から走り直す手間があります
    • せめて最初のチュートリアル文章は一回目だけでもよいかもしれません

レビュー

野菜を食わせれば全て解決

ベジダンッ!は野菜を食わせる自動戦闘リソース管理RPGです。
基本的には自動戦闘を行いつつ、遺跡の奥地へ進んでいくことになります。

まずはいくつかのキャラの中からメンバーを選び、自動戦闘をこなしていきましょう。
戦闘後はいつでも拠点に帰って回復できますが、敵との戦闘を継続して行うと連勝ボーナスとしてお金が得られます。お金はアイテムや装備に使えるためできるだけ欲しいところですが、連戦するほど消耗して負けやすくなります。上手くチキンレースに勝っていきましょう。

こうした自動戦闘の最中、プレイヤーが介入することのできる要素が一つだけあります。それが、アイテムである野菜を食わせるということです。

戦闘中においては、野菜は回復手段であったり、バフの手段であったりします。
1ターンにつき2つまでしか使えませんがその効果は強力で、うまく使えば格上の相手でも勝利することができます。
また、戦闘していない時は、敵がドロップした野菜をメンバーの誰かに食べさせることができます。これらの野菜の効能について最初は不明ですが、食べさせることで判明するでしょう。

こうした野菜をどこで誰に使うかが、このゲームの肝となります。
連勝ボーナスのために無理するのも良いですが、野菜もまたお金で買えるリソースです。無理して使いすぎては元も子もありません。節度ある野菜とお金の使い方が大事です。

なお、力及ばず敗北してしまっても、このゲームは即座にリトライができます。
その際は道中で倒した敵が復活しているため、これを倒して荒稼ぎすることも可能です。敗北回数を突き詰めるもよし、うまく敗北して効率よく戦うもよし、好きなやり方で攻略可能となっています。

効率的に野菜を使って、ダンジョンの奥深くまで潜っていきましょう。

感想

ある程度ランダム感は強く感じるんですが、なんやかんや野菜と装備でクリアできそうな知識対策ゲーム感があって良いです。
多分ノーミスまでやろうとすると若干なり運は絡みそうですが、3ミスや4ミス程度ならSランクをくれるのでそこまで突き詰めなくていいのも気が楽です。

自動戦闘かつ高速化できるので、非常にサクサク進みます。なので、多少戦闘数が多くてもあんまり気になりませんでした。そこそこ階層がありそうでしたが、42連戦くらいしても戻し作業は5分もかからなかったはず。
戦闘速度を高速にしていてもなんとなくダメージソースも分かるので、基本ずっと高速化していました。

とりあえず知識はだいぶ重要だと思っていて、凍結と炎症は対応しておくとアドが大きいです。特に凍結は割と大事な印象。炎症は最初の通しプレイ時に意識してなくても通せたので、対策しておくと楽くらいの印象です。
毒は序盤そっちにお金がさけないのと、中盤は凍結とのトレードオフなので諦めていました。

野菜はトマト、なす、レタスはシンプルに使いやすく、終盤はトウモロコシが丸いです。
ガーリックを持っておくと起死回生ができるので、1つ2つ持っておくと終盤の戦闘で安心できます。強敵相手なら、初手にんじんも強い。
道中手に入る範囲だとたまねぎの使いどころは割と大事で、うまく使うと戦いやすくなります。最初に超連撃を入れられると雑魚を一掃する可能性があったり、ヒールラを先手で打たせて回復アイテムを温存したり、色々と使い道があります。

装備の方針はやられる前にやれると強そうだったので、火力重視にしていました。お金に余裕がない限り、++はあんまり買っていません。
防御面では最大ダメージを抑えようと光の羽衣を採用していましたが、大体沈む時は連撃を食らっていたので、固定で減らせるほうが強いかもわかりません。

こうして色々考えて突き詰めるのも良いですし、何度負けてもチャレンジしていればいつかはクリアできるカジュアルなプレイでも良いですし、どちらでも楽しめます。
筆者個人は性質上連勝をどこまで伸ばせるかのチキンレースを楽しんでいましたが、多分どこかで打ち切ったほうがむしろ効率良い時もあります。トマト2個使っちゃったら80G以上の連勝ボーナスがないと意味がないですからね。

21. シヴァーラの塔

ジャンル 作者
RPG kaidenn
プレイ時間 プレイVer クリア状況
11時間 1.0相当 クリア

良かった点

  • キャラクターのカスタム性が高いです
  • 戦闘バランスがシビアで良かったです
  • シナリオは中編ファンタジーとして完成されていました

気になった点

  • ワールドマップをはじめ、鈍足表現が辛いです
  • 演出は若干間延びしている印象があります

レビュー

カスタム性の高い中編RPG

シヴァーラの塔は自由度の高いキャラクターカスタムができる中編RPGです。
自分なりのキャラクターを作成しつつ、強大な敵に挑んでいくことになります。

このゲームにおける戦闘メンバーは、全て人形兵です。この人形兵はプレイヤー自ら顔グラフィックからパラメータまで自由に決めることができます。
俊敏さを捨てて攻撃に全てを特化させた戦士を作るも、HPをひたすら鍛え上げたタンクを作るも、俊敏さで先手を取ってバフデバフを管理するエンハンサーを作るも、プレイヤーの裁量一つとなっています。
ただし、それぞれのパラメータ上昇などにはコストが生じ、メンバー全体で一定のコストに収める必要はあります。強力な一人を作り蹂躙するか、バランスよく六人揃えて立ち回るか、お好きなやり方で構成してみてください。

そうしたキャラクターのカスタム性の高さがありながらも、このゲームの戦闘バランスは良好なものとなっています。
連戦すれば消耗していく雑魚戦を抜け、強大な力を持つボスを下すためには、パーティ構成だけではなく戦闘中の立ち回りも重要になってきます。敵の行動を理解し、スキルで上手くいなしていきましょう。

また、ダークファンタジーめいた物語もこのゲームの魅力の一つです。
復活した強力な悪魔に立ち向かうべく各地を巡る主人公とその仲間による、王道な物語を楽しむことができるでしょう。
自分で作った編成を活かして強力なボスを倒しつつ、その物語を進めていきましょう。

感想

結構自由度が高い割には、最後までシビアな戦闘バランスを楽しめた作品でした。最後まで想定パーティに近いムーブをしていたのかもしれません。

最終編成は剣士3名、魔導師2名、詩人1名になっていて、Lv5が4名と、Lv10の剣士と魔導師がいます。編成自体はバランス型です。
詩人が色々バフをかけて、魔導師もデバフ/バフ/回復/ちょっとフレアで火力に従事し、二人の剣士が挑発してタゲをとりつつ、全てのバフを背負った剣士による狙う+5連攻撃で最大火力を叩き込むという流れで戦っていました。挑発が全体攻撃を拾えるのが偉すぎる。

能力のビルドはややピーキー気味で、火力に振ったLv10と、それ以外をある程度防御寄りに振ったLv5の構成でした。結構思い切って割り振っても装備である程度小回りが利くので、何ともならないということは無さそうです。

戦闘バランスの話に戻すと、雑魚でも結構火力が高く、それ以上にボスが強いまっとうに良いバランスです。
傷薬と毒消しが何かの間違いみたいな安さをしているので、序盤はいっぱい買ってちゃんと使わないと雑魚もきついかもしれません。
その分、宝箱から傷薬が出た時の嬉しさがだいぶ落ちてはいる印象です。

ボス戦が特にギリギリのバランスの印象で、最初の炎の巫女は手りゅう弾まで持ち出してようやく倒せました。
また、それぞれの悪魔ボスは割とギミック的で、最初のチャレンジで倒すのは若干厳しいレベルです。そういう意味では、マグモがノーセーブで結構戦った上でマヒと呪いのギミックボスなのはハードな印象です。
ラジンはさすがにギミックボスではないので、ちゃんと戦えば初見でも突破できます。良い緊張感のある連戦でした。

最後のボスラッシュあたりは良い復習戦闘でしたし、ラスボスまでくるとシンプルに強く、最後までちゃんと戦い抜ける楽しさがあります。

マップについては序盤から中盤にかけては、ちょうどいいサイズ感だと思っていました。
分岐路にお宝が用意されているのもあって、あんまり無駄足を踏んでいるという印象はありません。
また、いろんなロケーションのマップを作っている印象で、火山、雪山、砂地、といったように印象をちゃんと変えて構成されていたように思います。

ただ、その中でも海底ダンジョンはさすがに厳しいです。意味もなく遅く、セーブできず、20分くらい遅い海底をさまよい続けることになります。せめて最後は泳いで帰るのではなく、地上に戻してほしかった。
それ以外の終盤マップも若干戦闘が食傷気味になるレベルだと感じてはいましたが、消耗戦でヒリヒリするところもあるので難しいところです。ただやはり、同じ道を歩いて帰るのは面倒な印象があります。せめてキメラの翼が欲しかった。

あとは、ワールドマップを鈍足にするな教の信者なので、そこで少しずつストレスを感じていました。エリアを広大に見せる意図があるのは重々承知で、特別なギミックが無いなら省略してほしい気持ちがあります。めぐめぐのような、システムに絡む部分があるのであれば理解はできるんですが。

シナリオ面においては、割と容赦なく巫女が殺されていきます。なんとなくFF3を思い出していました。
まっとうにファンタジーをやっている感じで、死者がいっぱい出る世界観をうまく使って物語を作っている印象です。そして最後に死者の世界を持ってきているのが上手くて、そのおかげで色々な展開を再回収できていて良い物語になっていました。
キャラクターとしてはゴブリン一味が好きです。旅でちょくちょく出会うことになる、ああいう存在が良い。

一方で演出は若干間延びしている印象を受けています。
今何の時間だろうという疑問を多々感じました。ある程度絵による演出があれば間が持ちそうなんですが、そういう動きが無いので謎の間になってる印象です。
また最初のシーンの演出でいうと、無声劇をやるには解像度が低い気がします。そもそもオープニングについては、物語への解像度も低い状態なのでより顕著に感じます。

ここまでつらつらと書きましたが、まっとうにRPGをある程度自由度高くやれるので、好きな作品です。11時間やらせるだけのゲーム性はちゃんとあるので、中編をやりたい方には勧められると思います。

22. 誘導 x パズル

ジャンル 作者
パズル風誘導アクション Nariya
プレイ時間 プレイVer クリア状況
4時間 1.04 クリア

良かった点

  • 誘導して解くというパズル性の発想は良かったです

気になった点

  • 誘導の操作性が厳しめです
    • クリックを使うのあれば、クリック位置へきちんと曲がる処理であってほしいです
  • 同時にトロフィーを獲得できません
  • クリックベースでありながら、キーボードを併用する必要のあるUIでした

レビュー

誘導してパズルを解け

誘導 x パズル、は猪突猛進するウルファールを誘導して目的地を目指すパズルゲームです。

操作対象となるウルファールは、直進する、壁に当たったら曲がるか戻る、以外の行動をとりません。この猪のようなウルファールに対し、ちゃんと曲がる方向を指示していきましょう。

また、プレイヤーはウルファールが取得したアイテムをクリックで任意の場所に使うことができます。
壁の生成、壁の破壊、敵への攻撃など、そのアイテムの性質を上手く使ってゴールへの足掛かりとする必要があります。

ひたすら前に進むウルファールをなだめすかして指示を出し、様々な障害をクリックで取り除き、ゴールまで導いていきましょう。

感想

コンセプトは結構好きです。猪突猛進ウルファールを誘導してなんとかするというパズル形式も結構よいと感じています。
ただ操作がべらぼうにしくいのと、移動速度が遅すぎて待ちの時間が長すぎるのっもあって、かなり苦戦しました。

筆者はだいぶパズルが好きで、Baba Is YouとかInductionとかRecursedをやっては感動するタイプなんですが、そういう下手に好きな気持ちが働いていたせいで、このゲームは一度クリアを諦めかけました。
何とかクリアまではこぎつけていますが、そういう意味で実績回収まではしていません。

まず、誘導の仕組みが厳しいです。
右クリックで誘導するとのことなんですが、これがおそらく、最初に右クリックした地点と「その時のウルファールの位置」を基準にしています。
何が厳しいかと言えば、ここで曲がりたいなあと先行して曲がり角に右クリックして押しっぱなしにしておくと、その時はまだウルファールがはるか遠くにいるので、曲がる座標差分より距離差分のほうが大きくなってしまうので、結果ずっと直進することになります。
何で曲がらないの?という時は、大体これに引っかかっています。ここに気づけなければ、下手したら投げていたかもわかりません。

右クリック位置と「曲がったタイミングのウルファールの位置」で差分を取ってくれていれば、恐らく意図した曲がり方をしそうだなあと感じています。
というか、そもそもこの設計なら右クリックである必要がなく、アローキーで方向を渡したほうが分かりやすそうですね。
誘導点を置くデザインならクリックしていも頷けるんですが、単純に曲がる時の向きを決めたいならアローキーのほうが便利そうです。

この誘導アルゴリズムを理解するまでは、とにかく動かしにくいゲームでした。
そして理解したとしても、曲がりたい時ではなく今の位置に応じて右クリックを押しっぱなしにするという直感に反した動きをするので、細かい制御が難しくて辛いゲームでもありました。
ステージ3あたりでトロフィー回収を諦めてクリアを優先する判断をしたレベルです。

さらに、トロフィー回りもきつい仕様があります。
目的を複数達成しても、一つしか達成されません。のみならず、たとえ一度達成したとしても対象には残り続けるため、目的1をクリアするには、目的2の条件を満たさないでクリアする必要があります。
このため、同時達成できないどころか、「たどりつけ」と「ノーダメ」があったら、ダメージをあえて食らって辿り着かないと「たどりつけ」のクリア扱いになりません。
このあたりが、トロフィー回りの回収を諦めたゆえんです。

ついでに、UIも結構面倒です。
まず、ベースはクリックで遊べるようにしているんですが、選択肢の選択がホイールになっています。
また、ステージ中のUIを消すにはキーボードの力を借りる必要があります。結構見た目としては邪魔なので消したいんですが、毎回Cキーを押す必要があって面倒です。また、メニューを開くにもキーボードを使いますし、リザルト画面でもキーボードが必要です。
このように微妙にクリックだけで遊べるようになっていない印象を受けます。かゆいところに手が届かない。

コンセプトは好きだっただけに、あらゆる操作性の悪さが堪えた作品でした。

23. 廃館少女 - Replica -

ジャンル 作者
探索ADV 腐乱ぼわーず
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間30分 1.1 全ENDクリア

良かった点

  • 雰囲気のあるグラフィックでした
  • 足元が安定しないような良い不安感のある物語でした

気になった点

  • QTE入力について、文字送り後は少し待ってもよいかもしれません

レビュー

薄暗い廃工場と彼女の嘘

廃館少女 - Replica -は、薄暗い雰囲気が漂う探索アドベンチャーです。
少女ローゼマリーが語る、誘拐事件の後に廃工場の一角で目が覚めてからの物語を体験することになります。

このゲームは、探索アドベンチャーとしては非常にオーソドックスな作りです。
古びた廃工場の中、主人公を操作して脱出を図ることが目的となっています。脱出のためには廃工場を周り、様々なギミックを乗り越え、出口を見つけ出す必要があるでしょう。

ただし、廃工場には主人公を害そうとする何者かが潜んでいます。何物かに捕まらないように、隠れたり、時にはQTEで対応したりと、うまく逃れていきましょう。
そうして危険を回避しつつも廃工場を探索していくことで、やがて少女の語る物語は一つの終わりを迎えることになります。

この作品においては、その暗い雰囲気が高品質なグラフィックによって存分に表現されています。加えてその雰囲気相応に、心が不安になるような演出の数々が探索中に襲ってくることでしょう。
しかし、何よりも不安に突き落とされるのは、少女の語る、あるいはプレイヤーが体験することになる物語そのものとなるかもしれません。

足元のおぼつかないような不安を、素晴らしい雰囲気の中で味わってみませんか。

感想

雰囲気のいい館ものです。館じゃないけど。
廃工場舞台だけど廃館少女だし、だいぶ館ものっぽい構成なので館もの扱いします。

一応前作からの続きものっぽいタイトルですが、恐らく前作知らなくても楽しめます。そもそも続きというよりはスピンオフで、知っておくとより楽しいかもくらい。知っている身としては、結構補完してくれたので楽しめました。

探索物としてはかなりオーソドックスなスタイルで、おおよその場面では行ける場所が限定されているので、総当たりめいたことは必要ありません。
謎解きもそこまで複雑なものは要求されないので、遊びやすいレベルに収まっていると思います。

謎解きに関しては、スイッチが黒塗りじゃないほうを動かす必要があったり、金庫はその数だけ回すのではなくてその数字まで回すのだったり、微妙にトラップがあるんですが、やっていればカバーできる範囲でした。
QTEのほうが難易度普通だとそこそこシビアで、特に文字送りの後はZキー連打しているのでミスりがちです。ちょっと余裕があっても良いかもしれない。

そして物語というか全体の雰囲気作りに間違いなく寄与しているであろう、マップのグラフィックが良いです。前作もそうだったんですが、境界線が直線でなくてぐねぐねしているのが、絶妙に不気味さを煽ってきます。
役割的には鉄扉だけマップシンボルとして木製に見えるので、鉄扉っぽくあってほしかった気持ちはあります。

また、時折出てくる一枚絵も迫力があって、ちょくちょくこれがホラーであることを思い知らせてきます。ただ、植木鉢は別の意味でぞわっとしてしまった。苦手な人には無理になりそう。
BADというかゲームオーバーの演出もいろいろあって凝っていました。

そういう雰囲気の中で描かれている物語も、虚構癖をベースにいろいろと考察できる内容で良いです。
前作が前作だったのでミモザ説はだいぶ早い段階で考えてはいて、クマのぬいぐるみがお姉ちゃんであろうことは終盤あたりからある程度推測できるかもしれませんが、そうであっても何が本当か分からない感覚は抜け落ちません。
信頼できない語り手を上手く使って不安のあるストーリーラインを構成しています。Draugenとかの類の良さ。

しかし刑事さん、なんだかんだ有能がゆえに、いらん事態に巻き込まれた感じが否めませんね。
もっともどこまでが真実なのかは分からないんですが。

全体的にホラー風味探索としての作りが至極まっとうで、ちゃんと不安にさせる要素もあるあたり、フリーゲームのこういう探索ものに求めるものが余すところなく入っている印象です。ラーメン頼んだらラーメンが出てくる感じ。

24. ウルファールの冒険

ジャンル 作者
メタバグ発見ADV くさだんご
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.1.2 真ED+

良かった点

  • 良いゲームでした
  • シンプルながらテンポの良い演出が周回前提の仕組みとマッチしています
  • ウディコンという場において素晴らしい物語でした

気になった点

  • パズル面では戦闘が不要に思います
    • 戦闘自体が突っ込み終わったら用済みかもしれません

レビュー

デバッグの先にあるものは

ウルファールの冒険とは、ウディタにデフォルトで付属されているサンプルゲームの皮をかぶった、バグ発見ゲームです。
ウルファールの冒険といういかにもなタイトル、サンプルゲームそのままのサムネ、そして作者コメントに至るまで徹底的に偽装された作品となります。

このゲームの目的は、遊んでいるゲームに存在しているバグに対して、突っ込みを入れて修正していくことです。何か異常なことが起きたらすかさずTキーを入力して突っ込むことで、そのバグを是正できます。
バグの種別は多様であり、隅から隅まで探索し、変なところを見つけ出す嗅覚が要求されます。
サンプルゲームのような空間に隠された様々なバグを見つけ出し、どんどん突っ込みを入れていきましょう。

しかし、このゲームはただバグを見つけてそこで終わりのゲームではありません。
全てのバグを見つけ、その先に辿り着くことができれば、この作品というものを知ることができます。

ウルファールの冒険は、ゲーム製作に携わったことがある方であればお勧めの作品です。
是非とも全てのバグに突っ込みを入れて、ウルファールの冒険を堪能してください。

感想

ネタバレを避けたくて大したコメントを残さなかったのですが、割と皆さん明け透けに書いていて、そこまで気を遣う必要はないかなと感じてきたので、レビューではデバッグすることには触れて、それ以上はここに書きます。

ウディコン、たまに緑帯とかで通して遊べないのもあるのは分かります。ただ、最近はそんなに見なくなった気がします。レベルが上がっているのか敷居が上がっているのか。
ともかくこのゲームは、ある種そういったゲームに擬態しているタイプなので、このコンテストでしかありえないゲーム性をしています。ウディコンという場だからこそ手に取られうる物語でもあるのかもしれません。おめえ、ノンポリか?というゲームが3位に輝くコンテストなので。

類似のゲームにはバグダスがありますが、このゲームはバグに対して突っ込みを入れるという形式を取っているので、よりゲームっぽい印象を受けます。
そちら同様に、それバグじゃなくて余計に作ってるじゃんというタイプも散見されるんですが、そこも突っ込みを入れることでうまくバランスを取っている印象です。

演出面もシンプルながら、ズームと地震を駆使したテンポの良いやり取りでゲーム性にマッチしている印象を受けました。大文字で叫ぶ勢いのある突込みと相性が良いです。
そもそもある種周回前提なので、これくらいのテンポ感がちょうど良かったりします。

また、周回に対してちゃんとシステム面でも補助が入っていて、レベル上げとか鍵の取得とか移動速度の向上とか、色々と楽になっています。ちゃんと立ち回れば、全回収は10分程度で終わるレベルです。
もう一つの要素はオマケなのでまあまあに面倒ではありますが、こちらはオマケなのでそういうデザインなんだろうなと感じています。

そして、物語がこのコンテストの中で描かれているがゆえに美しい構造をしていて、クリアした際には良いゲームだったなあという気持ちが支配的になりました。
ゲーム製作に携わっている身としては、こういうゲームをやると心の栄養になりますね。アトペスをやった時と近い感情が出てきます。
デバッグに自分の名前が載るという演出が好きでした。

ちなみに、あの倉庫番は30分くらい頭をひねっていました。
一回ギブアップが頭をよぎってTwitterで軽く調べたら問題が変わっていそうだったので、あきらめて自力で解いています。上の2時間のうち4分の1を占めるので、ただクリアするだけならたぶん1時間で行けそうです。

25. メイドインザフィアー

ジャンル 作者
ノンフィールドRPG Karukus
プレイ時間 プレイVer クリア状況
40分 1.05 シャリ―でしっかりクリア

良かった点

  • そこそこシビアなリソース管理が要求されます
  • 着替えにリアクションがあるなど細かいところも作られています

気になった点

  • 「しっかり」から緩いセーブ制限があっても良いかもしれません

レビュー

ノンフィールドRPGを緊張感とともに

メイドインザフィアーは、そこそこシビアなリソース管理型ノンフィールドRPGです。
二人のメイドさんから一人を選び、ゾンビが跋扈する館から脱出を目指します。

館からの脱出は薄暗い地下から始まります。
基本はシンプルなノンフィールドRPGであり、先に進むか寄り道して部屋に入るかを選びながら進行しつつ、一定以上進んだら、その階層がクリアとなります。
しかし、ゾンビがはびこる館の中では、そう易々とは進ませてくれません。

進行のたびに起こるイベントの中では、ゾンビとの戦闘に巻き込まれることもあります。
ゾンビは手ごわく、何度も戦っていては体力が持ちません。これらを上手くさばいていくには、適度に回復したり、よい武具やアイテムを持っておく必要があります。そのためには、進行する前に部屋に寄り道をして、アイテムを集めておく必要があるでしょう。
ただし、部屋の中にはゾンビが待ち構えていることもあります。リスクを理解しつつ、リターンとの天秤にかけていきましょう。

また、こうした行為をサポートするのがSPと呼ばれる満腹度のような概念です。
これを消費することで、部屋の中に敵がいるかを確認したり、アイテムを余分に取得したり、戦闘中に強力なスキルを発動したりと、様々な利益を得られます。
ただし、SPは食べられるアイテムによって回復可能とはいえ限りがあります。この消費型のリソースをどう使っていくかが、館を脱出するポイントとなっていくでしょう。

リソースをうまく管理していきつつ、緊張感のある戦闘を楽しんでいきましょう。

感想

緊張感のあるノンフィールドRPGという感じです。
リソース管理が結構シビアで、立ち回りが悪いと戦闘でごりっと削れます。

序盤はSP回復手段に乏しく、どこまでリスクを取ってどこまで戦いを求めるかのバランスが楽しめます。見敵必殺も良いんですが、あんまりやりすぎるとお祈り運ゲーになってしまいます。
ちゃんと退くという選択肢を持っておくことも大事で、リスク管理が求められるゲームになっています。

また、SPの回復手段に乏しいからとケチるとろくな目に遭わないので、スクラップを集めて装備を強くしておいた方がトータルコストは抑えられます。
見敵必殺についてはリスクもありますが、リターンもかなり大きいので、余裕があるなら常に狙っていきたいレベルです。

個人的な戦略は見敵必殺重視で、釘バット+ステーキナイフによる火力重視スタイルでした。服を馬鹿には見えない服にして回避を優先し、クリティカルでさっさと倒す作戦です。
部屋は常に聞き耳を立て、先制と高火力でダメージをもらう前に倒し切ろうとしています。おおよそ上手くいくんですが、運が悪いと最悪ゲームオーバーも見えるハイリスク型でした。
闇なんとかゾンビみたいなやつが結構強いので、あいつを見た瞬間に逃げたくなる。

地味に着替え要素に対してキャラクターたちが反応してくれる要素もあるので、その反応目当てに周回しても良いかもしれません。
筆者は馬鹿には見えない服を着ていったのでそういう展開になりました。反省はしている。

システム的には、セーブ無制限はありがたいんですが、しっかりでもセーブ制限があっても良いのかなあとは思っています。
極論毎回セーブすればリスクが消えるので、部屋に入る前にセーブなどの手法がとれてしまいます。それだと悲しいので、毎回その階層に入った時しかセーブしていませんでしたが。
そういう人は歴戦をやればいいというバランスなのかもしれません。

見敵必殺のリザルト

26. てんすく’22

ジャンル 作者
ノベル/RPG Phuru Sukune(メイぷるゼリー)
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.01 幻海END

良かった点

  • 色々とストーリーが描かれています

気になった点

  • 中間の選択肢系UIが使いにくく感じました
  • 戦闘バランスがだいぶ大味でした

レビュー

カオス

てんすく’22 は、独特なシステムを持つRPGないしはアドベンチャーゲームです。

ゲーム全体としては、学校で巻き起こる様々な物語の比重がやや高くなっています。
基本的には一方向に進行する物語ですが、オプションとして閑話や単話を読んでいくこともできます。後述の通り、これらの物語を読むこともクリアには必要となってくるでしょう。

その一方、RPGパートでは特定のマップを攻略する形式をとっており、ベースとなる戦闘システムは一般的なものとなっています。ただし、能力値の取り扱いに特徴があります。
このゲームにおいては、戦闘することで上がる通常の能力値と、学校のノベルパートで上げられる能力値の二つが存在します。どちらも欠かさず上げておきましょう。

最後に待ち受けるものはそれなりに強大なので、戦いもアドベンチャーパートも適宜行ってそれぞれの能力値を鍛え、戦い抜いていきましょう。

感想

全体的にはカオスというか、着地点が分からない物語を延々と読んでいる感じのゲームです。
電波って言えばわかりやすい気もしつつ、電波って程筋が通ってないわけでもない感じ。
語弊を招くことを恐れないで説明するのであれば、 陰キャの物語陰謀論を添えて、みたいな印象です。

物語的には、陰キャが己の境遇を他責にして逃げていく様をまじまじと描写していました。それでいて、初対面の人達のそこそこディープな話題を聞けるあたりの無遠慮さも兼ね備えています。家庭内の事情と聞いて目を輝かせるな。
全体的に陰キャの解像度が高いですね。

物語の内容で言うと、おおよそ話は暗めでありつつ、本線の物語に絡むのはそんなにないイメージです。
他キャラクターには暗いバックグラウンドこそありつつ、それが何かに影響を与えている印象はありません。加えて、それ単体である程度完成されているのは、エピックストーリーにしてオチがつけられたスクネぷるくらいかなという印象です。
後は、色々思想があるんだろうなあという気がします。実家が太いとか、チー牛とか、界隈とか、言葉の端々からそういう印象があります。割と誇張表現めいているあたりも解像度が高い。

また、全体を通して陰謀論めいているところもあって、かつ登場キャラクターの口調が「だよね」とか「~ね」とかいう語尾なので、ずっと脳内で関が喋っているようでした。全部イルミナティのせい。
久しくTVを見ていないので、関と形容してどれだけ通じるか分からないのですが。

個別の話をすると、ギャンブラーのような人間、どういう人間なんだろうと思っています。
何となくカイジとかそちら側のギャンブラーを想像していそうで、筆者が直近で読んだギャンブラーがジャンケットバンクだったので、大分イメージが違います。一口にギャンブラーと言ってもフィクションにおいては、色々種別がありますね。

戦闘面で言うと大味なバランスではありますが、まあまあ敵が強いです。
いわゆる経験値でレベルアップする能力値と、物語を読むと強くなるらしい能力値があるんですが、前者は回復陣の上で実質無限に回復できるので、成長自体はやりやすいほうです。上限が決まっている後者の成長形態のほうが頭打ちが早い。

最初のプレイ時はお遊びだけずっとやっていたら最後に蹂躙されてしまったので、ちゃんとクリアしたいなら適度に成長させておく必要があります。
基本大体のボスはレベル上げだけで何とかなりますが、ラスボスだけはHPがやたらめったら高いので厳しいです。お勧めはスピリタスをひたすら飲ませることです。毒は正義。後は、全能力値ダウンのアイテムを投げておくと楽です。

なお、実質的にほぼノベルっぽいアドベンチャーで、オマケで戦闘要素があるイメージなんですが、合間合間の選択肢が非常に使いにくいです。
セーブ制約の良く分からなさもあるんですが、選択肢が下にはみ出ているのは常に気になっていました。なんで中央に揃えないんだろう。また、このタイプの選択肢系UIは、大体位置保存がなされないので微妙に使いにくく感じました。

27. 選択肢がなでるとなめるしかないゲェム

ジャンル 作者
ノベル かにわーるど
プレイ時間 プレイVer クリア状況
20分 1.0 全END

良かった点

  • 色々なBADエンドがあります
    • 短い中で笑える作品でした

気になった点

  • BADを回収しようとすると、スキップがない点や、セーブがDay単位である点がやや厳しいです

レビュー

選択肢がなでるとなめるしかないゲーム

選択肢がなでるとなめるしかないゲェムは、選択肢がなでるとなめるしかないゲームです。有り体に言えば、ノベルやアドベンチャーといったジャンルのゲームになります。

この作品は、突如選択肢が「なでる」と「なめる」しか現れなくなった主人公が、様々な災難に対して立ち向かっていく物語となっています。
どんな奇想天外な現象が起きても、主人公が取れる選択肢は「なでる」か「なめる」のいずれかしかありません。その時々の状況をもとに、判断を下していきましょう。
ゲーム中はどんな時でも油断してはなりません。選択を誤るとバッドエンドが待ち構えています。

ただし、それぞれの選択に用意された奇妙奇天烈なバッドエンドを色々と見るのもまた一興です。
好奇心のもと、あえてバッドエンドを狙って選択肢を選んでみるのも良いかもしれません。

三日間の間に降りかかる脅威を、なでたりなめたりして乗り切っていきましょう。

感想

タイトルが全てを物語っているというか、タイトルでオチている作品というか、そんな感じです。
タイトル通りのことしか起こらないし、大きなどんでん返しもないんですが、この作品を手に取る時点でそんなものは求めてはいないのでちょうど良いです。

基本的に選択肢はBAD直行か進行かの二択であって、理性的な判断が意味を成すのは序盤くらいです。後半は裏をかかないとBAD直行は防げません。誰か、BADに一度も行かずにクリアできた人いるのかな。
筆者はできるだけBAD回収できる選択肢を選ぶ方針で進めましたが、それでもいくつか引っかかりました。そこでなめるとは思わないじゃないですか。

時にはかなり突拍子もない展開に振れることもあって、そういった選択肢からの意外性はだいぶ担保されているのが良かったです。最初は割と想像通りに事が運びつつ、終わりの方では良い感じに選択肢が裏切ってくるのが面白いです。
ずっと安全選択肢だったものが豹変したり、明らかに正しそうな選択肢が間違っていたり、短い中でもちゃんと緩急がついています。

また、短編としてはちゃんと絵もついていて、一つ一つのBADエンドがきっちりとあって、短い中で笑える作品でもありました。
一番好きなBADは事案発生演出のあるロリコン罪です。見えている地雷でも踏まずにはいられない。

なお、BADがSound of Dropを思い出すレベルでいっぱいあるにもかかわらず、スキップがしにくいゲームなので、BAD回収はしにくめでした。
お勧めはキャンセルキー連打で、選択肢までは脳死で押せます。選択肢までスキップか、そこでセーブ機能は欲しかったかもしれません。一応、Day単位ではセーブできるので、めちゃめちゃ戻されるようなことはありません。

28. ブラックレイン

ジャンル 作者
終末RPG 黒猫チルノ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
4時間 1.003 クリア

良かった点

  • 良い世界観であり、良いキャラクターでした
  • 世界観を表現するための要素が凝られていました
  • 戦闘はやや歯応えのあるちょうど良いものでした

気になった点

  • 世界観表現のためではありますが、メニュー周りのUIは使いにくいです
  • 被ばくシステムがあまり有効に活用されていませんでした

レビュー

こだわり抜かれた世界観

ブラックレインは、第3次世界大戦で世界が滅んだポストアポカリプスめいた世界を巡るRPGです。
プレイヤーは少女二人の主人公を操作して、昭和275年の世界を舞台に探索することができます。

このゲームの白眉は、なんといっても演出からUIにまで凝られて練り上げられた世界観です。
遥か未来を舞台とし、実際にSF的な要素を盛り込みつつも、昭和275年という設定からも分かるようにどこか古式ゆかしいレトロな趣も湛えています。
メニュー周りの操作でさえ世界観に支配されており、途切れなくその独特な世界観を浴びることができるでしょう。

そういったレトロめいた世界観の中、プレイヤーは東京のあちこちを探索することになります。荒廃したかつての大都市を巡っていきましょう。
そうして、東京を巡るうちに大規模な対立と陰謀に巻き込まれていく物語が展開していきます。

その戦いの中では、消耗の激しい戦闘が待ち構えています。
攻撃するたびに武器や防具の耐久は減り、銃器を扱うなら弾薬も消耗していきます。消耗品は拾い集めたり、各所の人々と物々交換をしたりしながら補っていきましょう。雑魚との戦いで無駄に消耗しないというのも一つの手です。
その一方で、物語の要所で戦うボスは強敵となっているため、消耗を惜しまずに戦って全力で倒していきましょう。

昭和レトロフューチャーな世界観を体験しながら、少女たちの戦いの果てを見届けてみませんか。

感想

色々なものを犠牲にしてでも世界観に全振りしたゲームという印象です。メニュー一つとってみても世界観のために作られているという印象が強くあります。

世界観は核戦争後を描いていて、残された人類がギリギリの自治制でかろうじて存続しているようなものです。OZといい、とりあえず全人類の数パーセント残すには核攻撃と相場が決まってますね。
昭和275年という設定からうかがえるように、未来の世界ではあれど昭和っぽさが残る混ざった世界観が良いです。メッセージのウィンドウから、メニューを開く演出、メニューそのものの操作性まで、このゲームの世界観を表しているのは徹底しているなあと思っています。

物語もその世界観に合わせつつ、主軸はまた一つ別の概念に基づいて行われているので、結構ちゃんとした物語性があります。
中盤くらいで設定をちゃんと匂わせつつ、終盤には別の盛り上がり方でも演出してくれます。かつての敵との共闘ほど熱いものはない。あと最終盤の演出は割と好きで、やっぱりRPGなのでRPGでしかできない演出がされていると良いなあと感じてしまいます。

とにかく、システム面から、画的なところまで、細かい部分にまで世界観を徹底しようという強い意志を感じます。これだけちゃんと徹底されていると、どれだけ極端な世界観でも受け入れて楽しめるので良いですね。
昭和275年、冷静に考えると代替わりするはずの天皇が機械化でもされて不死身になったんですかね。そもそも改元は嫌なことが起きた時にも起きていたはずなので、単に改元できるほど支配的な存在がいなくなったと捉えることもできるかもしれません。

システム面で言うと、筆者はFall〇utを少ししか知らないので、どの程度似通っているかは知らないんですが、割といろんなシステムが使われている気がします。
ハッキング、物々交換によるリソースの取得、被ばく線量あたりはFalloutっぽさを感じました。

その中の物々交換によるリソースの取得のおかげで、戦闘にも緊張感が生まれます。ある程度は節約して戦いつつ、ボスでは色々惜しみなく使っていけます。
夢の島のおかげで詰むということはなく、そういった時間さえあればどうとでもなる救済措置があるというのも良かったです。

一方で、被ばく線量はあまりゲーム性に落とし込まれていなかった印象です。
ゲーム的に意味があるのは最初の方の水を渡るかどうかの違いくらいで、後はラスボスの特殊ギミックくらいなものです。実際、中盤くらいは殆どその存在を忘れかけていました。
にもかかわらず、キャンプで水たまりに入ると何か嫌な気分にだけはなるので、嫌なパラメータが増えたなあくらいの印象だけが残りました。
被ばく線量が高い代わりに良いアイテムが拾えるとか、除染することで入れるエリアとか、そういう広がりがあると嬉しかったかもしれません。

地味なポイントだと、銃弾が結構そこかしこにおいてあるにもかかわらず、大部分が拾えないのには違和感がありました。銃火器を使うゲームであり、かつリソースを消費していくゲームでもある上で、明らかに見えているのに拾えないのは、あまりにもご都合的に感じてしまいます。
一応、頭の中では口径に合わないのかなと変換しながら進めてはいました。

後は、世界観に全部りしているので操作性はそこそこ悪いです。
マウスとキーボードを併用する設計ですが、どちらか一方で動かすにも面倒で、かといって両方扱っても面倒みたいな類でした。マウスだけだと会話でEキーがいるし、カーソル操作はさすがにマウスが有利なので。

特にメニューがらみは、ボタンでメニューを開き、カーソルで操作し、閉じる確認ありのボタンで閉じる、と操作構造が割と複雑です。
その上で、このゲームでは銃を使うと物資がどんどん目減りしていくので、適宜物資補充のためにアイテム画面を開く必要があります。ここはそこそこ使うことの多い流れなので、クイックメニューなりで緩和されていると有難かったです。

ただし、この辺の不便さはUIに絡みついたものであって、かつこのUIは世界観表現のためにはかなり有用なものでもあるので、大分トレードオフになるんだろうなという気持ちです。
なお、セーブはESCからクイックに行えるようにはなっているので、そこは便利でした。

また、装備画面の空欄とか、明らかにオーバーな弾薬(大)の存在とか、そういった色々なものを見るに、もう少し規模の大きい作品を作ろうとしていたのではないかという気がしています。
ちなみに、全体で2時間程度のことでしたが、そこそこ寄り道して4時間だったので、正直2時間で終わるボリュームには感じませんでした。大体3時間くらいかな。

しかし、どうしても東方っぽい要素を入れたいんでしょうか。アリスマーガロイドにそれ以外の意味があるかは知らないですが。
あからさまではないので、分かる人に分かればいいくらいの塩梅だとは思います。

29. フィッシュ・フックは涙しないRE

ジャンル 作者
探索ADV トウヤ イユキ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.04 全ENDクリア

良かった点

  • 全体的に探索ADVとしてのクオリティが高いです
  • 導線がかなり優しいので詰まることは無さそうです
  • シナリオのギミックが上手く作用していました

気になった点

  • 第二世界の位置取りがやや説明的っぽくはあります

レビュー

ハイクオリティADV

フィッシュ・フックは涙しないREは、あらゆる要素の品質が高い探索アドベンチャーです。
このジャンルとしてはオーソドックスで奇をてらったところのない設計ながら、演出の質からシナリオの構成、行き届いた導線の配慮まで、全てが高い水準で形成されています。

この物語は、悪魔はびこる世界に迷い込んだ人々を、ツリバリ君と呼ばれる人物が助けるお話から始まります。閉じ込められた洋館を主な舞台として、脱出のために謎解きや探索を行っていきましょう。
謎解きは導線が丁寧であるため、スムーズに進めることができるでしょう。また、迷った場合はヒントを利用して解くこともできます。

そうして洋館を探索して進むうちに迷い込んだ人々の事情が明らかとなり、物語は一つの終わりを迎えます。その後は場面を変え、物語はさらに主人公たちへフォーカスして進行していくことになります。
ツリバリ君とは何者なのか、彼らに何があったのか、物語を進めていくことでその真実に迫ってみましょう。

こうした一つ一つの物語は丁寧に描かれており、さらに適所で差し込まれる良質なグラフィックと、それを最大限に活用した演出でもって、より引き立てられています。ストーリーをより深く味わうことができるでしょう。
様々な要素を高いレベルで練り上げた、高品質なアドベンチャーとその物語を体験したいのであれば、お勧めの作品と言えます。

感想

クオリティが高いし、ちゃんと丁寧に作られていることが分かるADVです。
グラフィックとか、操作性とか、そういう一個一個の点のクオリティが高いという話ではなくて、総合的な面での品質が高いというレベル。

とりあえず世界観というかグラフィックに近い話になるんですが、各セクションで色々と印象を変えてきているのが良いです。
最初は洋館、次に白黒、最後に心象と、良い感じにロケーションが移り変わります。

その上で、やたら洋館で鮮やかに見えていた緑色の意味を白黒世界で理解したり、そこまでの流れをもってして心象に移ったりと、ちゃんと流れが継続しているのも良いです。白黒世界はやや位置取りが説明的なところもありますが、全体を通してみるとギミックを仕込む閑話という印象です。

細かいレベルで言えば、異界でメニューを開くと後ろにノイズが入る表現とかも好きです。こういう細かいところの演出が全体の丁寧な雰囲気を形作っています。

システム面でもかなり丁寧に作られていて、探索ものにもかかわらずメニュー画面を開く頻度がかなり低かったです。要するに、アイテムを確認したりする手間が極端に少ないと言えます。
大体は指示、あるいは想像した通りに動けばそのまま解決していくので、あんまり苦労することはありません。万一詰まっても、Talkが結構有用みたいなので、謎解きが苦手でもなんとかなりそうです。

QTEについては、探索ばっかりだと飽きるからくらいのフレーバー要素で、強いアクション性は要求されません。
また、序盤のCキー連打なんかは二度要求されることが無かったり、本当に細かい所にも配慮が行き届いています。

シナリオも良くて、ツリバリ君のギミックを軸にうまく左右に振っている印象でした。
最初は消去法でジンか画面の前のあなたあたりかと思わせておきつつ、二つ目であっさり登場させて容姿を変えてミスリードしつつ、最後の展開でジンがツバキに見えていないことをもって最終エンドにつなげるあたりの構成が上手いです。
あとタイトル通り、最後までフィッシュフックは涙せずに笑顔でしたね。タイトル回収される作品は良い作品。

またマウス操作というシステム設計も、ある程度は傍観者的立ち位置であるツリバリ君やらツリビトにマッチしていて良かったです。この物語はツリバリ君になる物語ではありませんが、プレイヤーのメタ的な干渉に対しての理由付けとしてうまく機能しているという面で優れています。
システムと物語はマッチしている必要があるという強い思想は別にはないんですが、マッチしていたらそれはそれで良いものです。

さらに細かいところで言うと、陰口が叩かれる通路を歩くシーンが割と好きです。悪口で舗装された通路を作るというのはこの手の探索ものあるあるという趣があるんですが、このゲームではその悪口ルートが単なる悪口の列挙じゃなくて、それに反論する奴、反論する奴を嘲笑する奴、ある程度中立でいようとする奴を入れているあたりが、細かいリアリティだなあと感じていました。
現実的に全員敵というのはあんまりなくて、少数の敵とある程度の同調者と多くの無関心があるだけなんですね。

また、エンディングに応じて曲や演出が変わるのも面白いです。
やはり周回系ゲームのエンディングのエンドロールは何度も見たものになってしまうので、トゥルーにだけ入れるというパターンもあるんですが、これはちゃんと全部違うものを見せようという気持ちがあります。

キャラクターもめいめいが良いキャラをしていました。グラフィックの品質が良いことはもちろん寄与しているんですが、短い中でちゃんとどういうキャラクターなのかを描写している能力もまた寄与しています。
しかしチシヤという名前は、どうしてもチェシャを思い出してしまうし、どうしても今際の国のアリスを思い出してしまいますね。

ちなみに、どうでもいい話になるんですが、フォントの関係でセロテープのロが伏字に見えていました。商標だっけみたいな気持ちになった。

30. HOLLOW LONGING

ジャンル 作者
探索ADV 学世 初
プレイ時間 プレイVer クリア状況
5時間30分 1.03 全実績

良かった点

  • グラフィックが美しく、世界観を余すことなく表現しています
    • キャラクター、景観ともに群を抜いた美麗さをしています
  • 美しさと残酷さの対比が良い世界観でした
  • 細かいイベントも充実しています

気になった点

  • 中盤あたりはほぼノベルゲームです
    • 世界観に入りやすいという良い点もあります

レビュー

美しき世界、残酷な世界

絵あるいは画というものは心を揺り動かし、感動させる力を持つものの一つです。
美しくあるものは美しく、惨くあるものは惨く、そう訴えかけるようなその力により、強く銘記させられることから逃れることはできません。
HOLLOW LONGINGという作品が持つ力は、間違いなくその類のものであると言えるでしょう。

このゲームのベースは探索アドベンチャーとなっていますが、物語の比重が大きい作品となっています。
いくつかの探索要素や謎解き要素もありつつ、基本的には物語を体験していくことになります。

しかし、物語を体験する上では、その探索要素は無くてはならない存在です。
精緻なグラフィックで描かれる美麗な世界を探索し、息を呑むような世界の美しさに触れることで、その世界に隠された残酷さをより強く鮮烈に感じ取ることができるでしょう。
美しいものが美しくあることに説得力のあるグラフィックで表現するからこそ、その対比構造を描く物語はより強く心に残ります。

加えて、精緻に描かれるのは世界だけではありません。登場する個性豊かなキャラクター達もまた、美しいグラフィックで描かれています。
それぞれの抱える想いや機微もまた、繊細なイラストによってより強く印象に刻み込まれていくことでしょう。
美しく、そして残酷な世界における彼らの物語は、そういった高い表現力に裏打ちされて彩られていきます。

また、探索要素は寄り道としても充実しています。アイテムを拾って、それを仲間に渡すことで様々なイベントを楽しむことができます。
キャラクター達のやり取りを眺めたければ、積極的にアイテムを探してみましょう。

この作品は、徹頭徹尾美しいものを美しく表現した作品です。
美しくあることに意味がある美麗なグラフィックと、それに調和した世界観に浸りたい人にはお勧めの作品となっています。

感想

ウディコンの早いうちから何があっても絶対やるリストの一つに入れていた作品の一つ、HOLLOW LONGING。
11回だったかのウディコンでやったPRESS STARTが良かったのでやりたいと思っていました。

筆者は基本的に物語に感動する性質なので、あんまりグラフィックで感動はしません。
ドット絵で言うと、FF6のオープニングの魔導アーマーが雪原を歩むあたりは感動した覚えがありますが、あれも名曲ありきのことかもしれないと感じています。
その経験の中でも、このゲームのグラフィックは目を瞠るレベルでした。あんまりスクショを取らないので、こういう紹介文を書いている時に必要であれば毎回撮り直しているんですが、このゲームはスクショを取りすぎていて何を載せればいいのかという感じです。

グラフィックが良いというのは大まかに分けて、マップなどの景観と人物画のような一枚絵の二つに分類可能だと思っているんですが、この作品はどっちも飛びぬけて良いです。
片手落ちということはなく、両輪ともに抜きん出て素晴らしいという強力なバランスをしています。

景観の素晴らしさは言わずもがなで、拠点となる館の各部屋の特色といった細かいレベルでもそうですし、電車で行けるエリアのシンプルな単一マップとしての美しさもあります。
特に途中にある城は景観的美しさが極致に近く、そこで発生するイベントも相まって印象に強く残っています。マップに光が落ちている表現が異常なレベルで上手い印象。

この作品は物語的な意味もあって、世界が極めて美しくあるべきなんですが、その表現を完璧に履行しています。世界はかくも美しい、ということをグラフィックで余すことなく表現できているクオリティでした。
そして、そういった美しさがあるために、対比された無機質さや不安定さの表現も際立つように感じます。

景観とはまた違うんですが、料理のグラフィックも良いです。
寄り道要素で拾ったアイテムを使って料理ができる仕様がありますが、一品一品シナリオと共に料理がお出しされます。そして、そのどれもクオリティが高いです。夜にやるとお腹が空く。なんでゲームを遊んでいて飯テロを食らうんだろう。

他方、人物のグラフィックもかなり精緻で、最初の着替えでわざわざ描きにくそうな服に着替えるあたりは凄いなと思いました。何が何でもフリフリしたものをつけようという意志を感じる。
ただの一要素である着替え要素にまで細かく描き込まれていて、このレベルで全部作り上げているのはもはや恐ろしいレベルです。

加えて、ここぞという場面で出る一枚絵の美しさはさらに突出しています。
景観でもそうなんですが、光の使い方による美しさの表現が異様に上手いので、迫力とか神々しさが自然に表現されています。思わず手がPrtScを押してしまう。
スチルのギャラリーが見つからなかったんですが、無いのは勿体ないと思いませんか。ウィンドウが消えるタイミングを狙ってスクショするの、案外難しいんですよね。

筆者個人が好きな場面は、シバが覗き込んでいるシーンとか、集合絵ともなっている歓迎会とか、セカイの初登場シーンとか、トワが決めているシーンとか、最後のシーンとか、枚挙に暇がありません。
特にセカイのシーンは、光の使い方とそれが表現する神々しさというか神秘性のレベルが高すぎて、半ば口角が上がりながらスクショしていました。

そして、精緻に描かれた美しいドット絵とこの上なく良い相性のシナリオ、というか世界観も良いです。
楽園という世界とその欺瞞はこのドット絵で描かれるからこそより良く対比されるものと思います。
圧倒的に美しい湖を前にするからこそシバの気持ちが理解できるし、そこでのヨイチの反応にも意味が出てきます。本当に美しい世界を描いているからこそに可能な演出でした。

また、その世界で生きているキャラクターが良いタイプの物語でもあって、それぞれのキャラクターが魅力的なことが、シナリオにおける良い牽引力になっています。
主人公がシバなのも良いですね。まっすぐの純粋さがまごうことなき主人公。筆者は苦労人が好きなので、なんやかんやコヨミが一番好きです。セカイも苦労人っぽいので好き。

話し方とか立ち居振る舞いの安心感はキラが一番高かったので、最後の突入時についてきてくれない時点で嫌な予感はしていました。
キラがいればと思いつつ、キラがいるとキセツの解決法しか取れないケースもあるからなあという気持ちにもなります。あれは仕方ない部分もあるんですが。

ゲーム性で言うと、薄っすら寄り道要素のある探索ゲームという感じで、中盤くらいは探索ゲームではなくてもはやノベルゲームのそれでした。
ただし、中盤のあの展開があるからこそ、色々と世界観に入り込めるところはあるので、やはりコメントにある通り物語重視の作品なのだと思います。
他方で、城についてはだいぶ探索ゲームの趣があります。案外難しい。

実績とかイベントを見るためには、それ以外でもある程度探索が必要なんですが、景観が美しかったので散歩しながら見つけられて良かったですね。
エンディングを見た後も回収可能なので、余韻に浸りながら色々と回収してイベントを見ていました。
ちゃんとダッシュ機能も付いているので、探索自体はそこまで苦ではありません。

また、エンド分岐が割と多いんですが、ハッピーエンド以外では何もかも全てが悪変する展開もあって、世界観も相まってなかなかの気分になれます。
何もかもがだめになって、何もかもが救われないからこそ、色々なものがきちんと収まったエンディングが映えますね。

なお、タイトル名はプレイする前は虚ろに憧れることを指しているのかとぼんやり考えていましたが、どうやら虚が憧れるものを指していそうです。
というか、ウロが憧れるものとしてのシバですかね。そうありたいというよりは、そうあれれば良かったのにという雰囲気がありますが。
というか、ざっくりエンドを眺めていたらEND5がそれっぽいタイトルでしたね。気づかなかった。

これが一番好き

31. プルガ猫トリウム

ジャンル 作者
弾幕回避 秋月ねこ柳
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間30分 1.10 名古屋(14)

良かった点

  • 煉獄セレナーデという選曲が良いです
  • 難しくも、クリアだけなら何とかなりそうなバランスでした

気になった点

  • ギミックは変われど同じ構成なので、飽きやすい設計に感じました

レビュー

煉獄セレナーデ

プルガ猫トリウムは、曲に合わせて弾幕をひたすら回避し続けるゲームです。

マウスで自機を操作し、迫りくる数多の弾幕や敵本体をとにかく避けて乗り切っていくことになります。
曲に合わせて多種多様の変化を見せる弾幕のパターンを把握していくことが、攻略の糸口となるでしょう。そのためには、何度もステージに挑戦していく必要があります。
全てのステージで弾幕に合わせて流れている煉獄セレナーデというBGMは、夢に出るくらい聞くことになるかもしれません。

ただし、基本的にはステージ全体を通して練習する必要はありません。
弾幕の切れ目ごとにコンティニュー地点が定められているため、あの電柱までは頑張ろう作戦が使えます。その区間のパターンを、マウスを動かす手に覚え込ませましょう。
そうしてコンティニューを使ったクリアができれば、今度はノーコン、果てはノーミスを目指すこともできます。

また、クリアしたのであれば次のステージが解放されることもあります。
弾幕のパターンはほとんど変わりませんが、今度は各ステージに応じて変化していくギミックに対応する必要があります。これまで学習してきたパターンの経験を活かしつつも、違う動きで攻略していく楽しみがあります。
あらゆるギミックを乗り越え、目指すは全ステージ制覇です。

このゲームのもう一つの特徴として、ゲーム全体が謎の言語で占められていることがあります。
ステージを攻略していくと解放されていく物語もまた、全てが謎の言語で書かれています。これが何を意味するのかを読み解いていくというのも、また一つの楽しみでしょう。

パターンを学習してギミックを捉まえて、諦めることなくステージを攻略していきましょう。

感想

煉獄セレナーデが良い曲でしたね。
人によっては飽きるほどというか嫌になりそうなほど聞くことになると思うんですが、煉獄セレナーデが良い曲じゃなければ成し遂げられなかったと思います。寝る時ですら頭でリピートしていたので。
これほど曲が頭にこびりついたのはHellsinker.のラスボス以来です。

難易度はかなり高めで、最初のバージョンでは3時間やって津までしか行けませんでした。
その後のアップデートのアンロック条件緩和に伴い、一応最後までプレイすることができました。さらにその後も難易度緩和していたっぽいんですが、そちらは未履修です。

とにもかくにも那覇以降の難易度が高くて、ノーコンがめちゃめちゃ厳しいです。
しかし、大体全部ノーコンするくらいしないとアンロックしない構造なので、さすがにそのあたりは諦めました。ノーコン、大分デレ行動が引けるかどうかに終始する気がしています。
なお、ノーミスは松山でさえきつかった印象です。

松山に関しては、最初のステージでありながらめちゃめちゃ長く、最初にしてだいぶ心を折ってきます。
長い理由はスローにして難易度緩和しているからなんですが、そもそも楽章を途中で分断して短くするとかで緩和されていないと初見としてはしんどい気がします。
さらに、単純なスローだとステージ時間が長くなってしまうので、クリアまでにかかる時間も自然と長くなってしまうという影響もありました。もっとも、どこかで切るとゲーム性が変わりそうではありますが。

また、変化の加え方が自機向けなので、弾幕とかパターンの構成自体に変化がないのもあって、割と飽きやすく感じました。良くも悪くも練習が活きては来るんですが、同じものをやっている感はどうしても拭えません。
これで煉獄セレナーデがあんまり良い曲じゃなければ、1時間で投げる自信があります。

ただ、変化そのものはバリエーションに富んでいるので、十分に見目は変化していきます。そういうパターンの切り替え方があるのか、というアイデアの博覧会みたいなイメージです。ここからどう難易度上げるんだろうという、わくわく感みたいなものがあります。

なお個人的には、全部やった印象では名古屋の方が那覇より簡単に思えました。
結局自機の当たり判定が小さいほうが性に合っているので、ノーコンもなんとか行けます。弾の量じゃなくて、それ自機のサイズじゃ避けられなくない?みたいな弾が来ちゃうことのほうが辛いです。

ゲーム全体を通した印象としては、弾幕回避ゲーの皮をかぶった電流イライラ棒ゲームといった印象です。
弾幕シューティング系のゲームのような美しい弾幕じゃなくて、そこそこランダム性もある軌道というか方向が良く分からない弾の嵐なので。感覚的には弾幕を避けるというよりは障害物を避ける、パターン構築よりはアドリブ寄りな印象でした。

ちなみにグレイズでスコアを競えるはずなんですが、スコアまでチャレンジした猛者はいるんでしょうか。筆者はスコアにまで意識を回せるほど余裕はなかったです。

一応、幽霊文字については解読はできたんですが、あんまりやっている人はいなさそうなのでネタバレにならないように念のために隠しておきます。

32. 影忘師

ジャンル 作者
謎解き探索ホラー eichi
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 2.01 ふつうでGOODエンド

良かった点

  • 謎解きが本格的で、頭を使うので楽しかったです

気になった点

  • メニュー周りも含めて操作性があまりよくありません
  • 最後の迷路の動機付けがありませんでした

レビュー

追い回されながらも謎を解け

影忘師は、追いかけられながらも謎を解いていく探索ホラーゲームです。

閉じ込められた学校から脱出するために、主人公は校舎の中をさまようことになります。
校舎にある特定の教室には謎解き要素が置かれており、これを解くことができると、攻略に有用なアイテムなどが手に入ります。
謎解きは本格的で、頭や知識を使うものとなっています。そうした謎を、どんどんと解いてきましょう。

一方で、後者を脱出するためには謎解きの問題となる写真を集める必要があります。
写真を入手するには、ある決められた箇所でカメラを使わなくてはなりません。写真の取れるポイントを探して、隅々まで歩き回ってみましょう。手に入れたアイテムが役立つこともあるかもしれません。

そうした謎解きや探索を妨害してくるのが、散在している黒い存在です。彼らに追いかけられ、触れられてしまうと体力が減るため、きちんと逃げていく必要があります。
彼らから逃れつつも、謎を解いて校舎からの脱出を目指していきましょう。

感想

謎が割と本格的なゲームです。いきなりノーヒントで元素周期表ベースの問題出されたり、なぞなぞよりは知識を要求されるレベルな印象でした。学校が舞台なので、そういう謎が多いんでしょうか。

謎解き自体は脳みそを使うので結構楽しく、頭をひねりながら考えることができました。
少なくとも謎解き中であれば大体は停止した画面の中で考えることができるので、ある程度集中できます。一部謎解きは移動ベースなところもあって、そこでは影が邪魔で思考が散ります。

謎解きの難易度自体はピンキリで、直感的に理解できるのもあれば、沼に入ると抜け出せないものもあります。
ヒントめいたものが無いので直感に頼る必要があって、そこそこのエスパーも要求されがちですが、理不尽というほどではありません。題意をくみ取れば何とでもなります。

影に関してはいわゆる鬼ごっこなんですが、各所にいるので障害物みたいな扱いにも感じます。接触ダメージが一撃アウトでない以上、ある程度ごり押せるよねという配置っぽい印象です。
謎解きのために影を誘導して動かさないといけないのはそこそこストレスで、アクションと謎解きがあんまり良い混じり方をしていない感じでした。謎解きさせたいのか追いかけっこさせたいのかが良く分からない。

あと、操作性がやや悪くて、Xでメニューを開けるのにマウスでしか閉じられません。
また、中クリックで写真を撮れるんですが、これが撮れない位置なのか単純に撮れないのかが判然としません。写真が撮れないなら何らかのリアクションがないと、操作キーが間違っているのか、操作手順が間違っているのか、そのあたりが不明瞭になります。中クリックは基本誤爆しないと思うので、そういうリアクションがあっても良いのかなという風に思います。

他方で、そうして謎解きをアイテム取得のためのものと学校中を探し回って取得していくものに分けているのは結構面白くて、そこそこ見逃しても最後の謎さえ解けていればクリアはできます。
謎解きできない場合でも、鬼ごっこに勝てればほとんどの謎を解く必要がありません。

なお、個人的に最も気になっているのは、最後の迷路です。
ノーヒント、暗がり、時限、誘導無し、超広大迷路はかなりやる気をそぎました。感覚的には、縦80x横50以上ある感じがします。
The Pillar というゲームでも最後の最後に明滅する中迷路をやらされたんですが、不自由な広大迷路のゲーム性が本当によく理解できていません。
一見して把握できるサイズならそれを解く、RPGならエンカウントに耐え凌いで通路の結果に一喜一憂する、狭いけれどマッピング必要、迷路ではあるが見目が異なるので飽きない、みたいな動機付けがあればいいんですが、ただシンプルに広い変わり映えしない迷路を歩いて解く楽しさはどこにあるのでしょう。

しかし、シューベルト、今はショーベルトって呼ばれてるんですね。知りませんでした。

33. Proto story

ジャンル 作者
RPG みず
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間30分 2.1.5 クリア

良かった点

  • オーソドックスながら色々な要素が入っています
  • 尖った戦闘バランスをしていました

気になった点

  • 武具の重複アイテムを一つずつしか売れないのが解せないシステムをしています
  • ドロップ率がだいぶ渋いです
    • 特に序盤が顕著でした

レビュー

シンプルながら要素はいろいろ

Proto storyは、オーソドックスなRPGです。
全体としてはシンプルな設計でありながらも、要素が盛り込まれている作品となっています。

ゲームとしては雑魚敵が強めの、戦闘に重きが置かれたRPGです。そうした強い雑魚敵を処理しつつ、強大なボスへと挑むには、様々なシステムを活用していく必要があるでしょう。

まず装備を強化するには、敵が落としたり、ダンジョンで拾ったアイテムを活かして合成を行いましょう。強い装備は基礎的な戦闘能力を向上させます。

また、効果的でバランスの良い戦略を立てるには、メンバー編成が肝要です。各地でメンバーを勧誘しつつ、それぞれの特徴を考えて組んでいきましょう。
控えのメンバーにもある程度経験値が入るため、比較的気軽に入れ替えが可能です。

そして、安定した戦闘のためにスキル構成を変えたいのであれば、スキルボックスが有用です。
一人につき二つまでランダムなスキルを付与できるので、足りない部分を補うにせよ、尖った部分をより先鋭化するにせよ役に立ちます。

これらのシステムはそれぞれ味付けがシンプルなため、肩ひじ張ることなくサクサクと進めることができます。
メンバーを整え、合成で装備を充実させ、スキルを上手く活用して、強力な敵を打ち倒していきましょう。

感想

シンプルと言いながらも、色々と要素の入ったRPGです。
要素要素の味付けはシンプルですし、物語とかはかなりシンプルな印象ではあります。

オーソドックスめなRPGではありますが、合成、メンバー編成、そのための仲間集め、スキルボックスなど、意外といろんな要素はあります。
各地を回るといろんなメンバーが集められ、各メンバーは戦闘時にメンバーに入れていなくてもある程度成長するようなので、色々構成を後から変えることもできます。この辺で自由度が高いのは嬉しくて、詰まった場合でも気軽にメンバーを誰にするかという単位で戦略を練れます。

戦闘バランス自体は大味な印象で、めちゃめちゃ強いかそうでもないかの二択という感じです。
しばらくは雑魚も強くて、途中からは雑魚が強いけどボスは弱いバランスで、最後のラスボスだけはやたらと強くなっています。
全体を通してはかなり尖った印象を受けていて、雑魚戦はシビアで楽しめです。中盤のダークマウスの乱数依存攻撃で壊滅的被害を被るのも乙なもの。
ボスは中盤以降弱い印象があるんですが、雑魚が強すぎるからそう感じているかもしれません。ただそれでも、個人的にはボスより雑魚のほうがきついシチュエーションが多い気がしています。

そうした弱いボスの一方で、ラスボスに関してはいまだに想定解法が良く分かっていません。
バフデバフをつけなきゃ瞬殺されるんですけど、そもそも速度も速いので初手で全体攻撃されると詰みます。ここは運かもしれない。
なんとかバフデバフを付けたとしても、クリティカルを食らってしまうと詰みかねません。ここは運かもしれない。
ここまできたら、その状態で可及的速やかに殴りつつ、バフデバフ、挑発を切らさないように立ち回ればいけます。筆者は最後にクリティカルで壊滅したけれど、生き残った二人でかろうじて倒しました。なかなかの激戦。

そういう経験と実際に戦ってみた印象をもとに、クリア後の強敵については倒せるビジョンが浮かんでいません。これはもう、全パーティの能力を研究しつくさないと無理なのでは。

続いてシステム面について言及すると、この形式の売り買いで武具系の重複アイテムを一つずつしか売れないのは解せないなあと思っていました。
あとは、町移動については移動の鈴前提の配置している印象です。移動の鈴が大変便利なので買いこんでおきましょう。

個人的には、ドロップ率が渋いなあとも思いました。
ドロップ率1%、通常プレイでは落ちないって意味だと思っています。MMOのドロップ率みたいな数値というイメージ。
この数値は期待値に届くまでに69回の戦闘がいるので、まっとうにやっているとなかなかお目にかかれません。ドロップ率向上アビリティがあるとはいえ、さすがに渋すぎるような気がします。
実際、ドロップ率2桁クラス以外からドロップした印象はほとんどないので、序盤の合成はあんまりできませんでした。

細かい点で言うと、取得SEが無いのが寂しいです。毒消し草を2個手に入れたはずなのにあんまり喜びがなかったり、仲間がせっかく増えてもいやにあっさりしています。
そこはシンプルとはいえど削ると、獲得感とか達成感が消え失せるんだなあという気持ちになりました。

全体的には割と遊びやすく、色々とメンバー構成やスキルの使い方を工夫して戦うことができるので楽しかったです。
ラスボスは強いんですが、何ともならないでもないと感じたので挑戦できたところがあります。こちらも強いスキルを色々持つことができたので。
正直、こちらも強いスキルを選べている、という自覚が無ければ倒し切れなかったかもしれません。

ラスボスとの激戦

34. 騎士と魔法使い

ジャンル 作者
RPG テツロ―
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間30分 1.0.2 クリア

良かった点

  • ハクスラ的に装備やスキルを拾い集める楽しさがあります
  • ルート選定で、ある程度嫌な敵を回避することができました

気になった点

  • 敵の戦闘スタイルに癖がある割にこちらのSPが少なく感じます
    • SPが少ないので、スキルで対処するという選択肢が取りにくかったです

レビュー

少しずつ強くなり奥地を目指す

騎士と魔法使いは、戦いながら森を周回しつつ最奥を目指すRPGです。

この森というダンジョンには様々なルートが存在しており、それぞれ待ち構える敵や、落ちているスキルなどが異なってきます。
進行すべきルートを選んで道中の敵を倒しながら進めると、エリアの最終点ではボスとの戦闘が待ち構えています。道中の戦闘による消耗を抑えつつ、このボスを全力で倒していきましょう。

全てのボスを倒し、このゲームを攻略するには、何度もこの森に挑む必要があるでしょう。
何度も入っては新しいルートを探索してスキルを集めたり、戦闘に勝利することで装備を集めていったりして、少しずつ強くなって、より奥地へと足を踏み入れられるようになるからです。

特に、ルートの選定は効率よく攻略していく上では欠かせません。
前の周回で拾えなかったアイテムを回収するのはもちろん、踏破を目指す場合でも嫌な敵をなるべく避けたルートが構築できると、少ない消耗で進行することができます。

装備やスキルを集めて強化しつつ、自分なりのルートを模索して、森の奥地へと辿り着きましょう。

感想

ローグライトっぽいなと思いつつ、その類よりも周回前提の色が濃いRPGでした。
スキルを拾い集めて、装備も拾い集めて、強くなって、森を突っ切るゲームです。

弱いハクスラ要素も入っていて、敵が落とす装備を使うことで色々と強化ができます。特に強いエネミーが落とすアイテムはそこそこ強めなので、周回時に狙って倒しておくと良いです。
このあたり、強ボスを倒して良い装備が手に入った時は楽しいですね。

マップも周回前提の作りをしていて、とにかくいろんなルートがあります。
どれかのルートを選んでは敗れて、またどこかのルートを選んでは敗れて、を繰り返すことで強くなりながら進めることができます。
最終盤以外はマッピングしていたんですが、マッピングしていても接続面がたまに分からなくなったりして混乱しました。アイテム取得ポイントくらいは形跡を残しておいてくれると、ランドマークになって助かったなあと感じています。

戦闘バランスは状態異常が厳しく、回避が高い相手も厳しく、それ以外は何とかなるバランスです。
まず状態異常については、毒耐性を3つ重ねても通される時は通されます。内部実装を知らないので適当なことを言うんですが、多分耐性値30で、3つ重ねても90ということだと思います。
それでも一撃で全滅させられない以上、最大のダメージソース足りうる毒は耐性をつけておきたいので、しばらくこの編成でした。

また、一部敵は回避率が高い一方で、こちらの命中率を上げる攻撃もありはするんですが、リソース管理的には使いたくない気持ちもあって難しいです。SPが28しかないのに、必中じゃない命中率が高いだけの攻撃で3も使いたくないという気持ちが強い。実際、霞切りでも避けられたのを境に一切使わなくなりました。高回避に対応するこちらの行動は、高命中よりは必中のほうが嬉しいですね。
なお、理想形は雑魚が固定されているので装備を専用にして挑むことかもしれませんが、毒ばら撒きと高回避がセットなこともあるので何とも言えないです。

そういったこともあり、全体のイメージは、敵が嫌がらせしてくる戦闘バランスという印象です。
毒麻痺暗闇全部使う植物、毒麻痺使う硬い魚、回避率高くてクリティカルで削る運の死神、あたりは筆頭でした。
それ以外も割と癖の強い性能をしていて、封じるにはSPがいるんですが、前述の通りあんまり余裕がないので無駄遣いはできません。効率よくスキルで処するというよりは、我慢して抜けていく戦闘が多い気持ち。

一応ほとんどのルートを制覇しているはずで、できていないのは最終盤の分かれ道くらいのはずなんですが、もう少し有効なスキルがあったんでしょうか。あっても最終盤ならそんなに使えないかもしれませんが。

ただ、それでもルートを選定すれば、ある程度嫌な敵との遭遇を減らすことができるのが救いです。自分の力で楽な道を切り拓いていくのは面白い。
不可避の嫌な敵はどうしても出てきますが、少なくとも選んだ結果としては受け入れられるものが多いです。

グラフィックは手を入れるべき所に手が入っている印象で、必要な場面ではちゃんと使われています。
主にリコリスに力が入っていて、ギルランダは実質一つしか描かれていません。鎧、ある意味では表情差分をすっ飛ばせるので効率的ですね。
エンディングも含めてすっきり終われる作品でした。

35. 民家で一晩過ごすだけの高時給バイト

ジャンル 作者
探索ホラー 餓鬼郎党
プレイ時間 プレイVer クリア状況
15分 1.00 クリア

良かった点

  • 短編としてまとまっていました

気になった点

  • 赤背景に白文字のメッセージは若干読みにくいです

レビュー

裏バイト?

民家で一晩過ごすだけの高時給バイトは、民家で過ごした一晩を描いた探索ホラーめいたゲームです。

このゲームでは、明らかに怪しいバイトにつられた主人公の一晩を体験することになります。
主人公を操作して、郊外の民家で一晩過ごしてみましょう。

概要の警告に再三にわたって不快であることが明記されているホラー、という作品となっています。
オチまで話すと面白くないので、短い作品ですから、とりあえず気になったら遊んでみるのが良いかもしれません。

感想

裏バイト:逃亡禁止 という漫画があって、冒頭はそれを思い出していました。もちろんのこと、結果的には全然違うんですが。ある意味では裏切られています。この意味は、恐らく良い意味だと思っています。

ゲームとしてはホラーが強いというわけではなく、驚かしがあるという程度です。そして、物語はホラーと言えなくもなくて、ある意味ホラーという感じがします。
恐怖というより不快、意味が分かった時は確かになあという気持ちになりました。言うほど不快かと言われると、どれに対しての不快感を指しているかによって変わるかもしれないという感じです。

もしも不快という感情が出てくるのであれば、作中の行為そのものか、行為を期待したもののやり方か、そのやり方が作中では一切罰されていないことに対するものか、といったあたりに分類できそうです。
2番目と3番目が多そうな印象で、個人的には3番目が最も嫌悪感を抱きそうな気がします。後味が良いか悪いか聞かれたら悪い方に返すしかなさそうなので。

なお、最後に横切ったアイツだけ説明がなされないので、それが実は本物だったみたいなオチもあるのかもしれません。ただ物語の性質上、単純にあの狭さの部屋には収まらなかったのだと思っています。

ゲームとしてマップ構成的な話をすると、リビングが真ん中にあるので割とアクセスは良いです。導線は案外ちゃんとしています。
その上で、廊下のサイズ感は演出上の理由もあって当然リアルじゃないんですが、部屋のサイズ感は割とリアルです。ありていに言えば狭い。しかし必要でないからこそ、この狭さをしているとも言えます。

なので、この規模感の物語を作り、表現を行い、オチまでつけるという一連の流れにおいて必要な要素はそろっています。とにかく演出上必要なレベル以上には作り込まれていなくて、最低限の設計という感じがして良いです。

あとは、赤背景に白文字のメッセージは若干読みにくかったです。特にフリガナレベルに小さいと結構きつい。もしかしたら読みにくいというよりは、目が疲れるのほうが正確かもしれません。

しかし、 落ちまで15分、END分岐もなく、オチを話すと面白くないゲームです。
ネタバレしないように書くのが難しいですね。

36. 数で押し切れ。

ジャンル 作者
自動戦闘 Qbit
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間 1.02 クリア

良かった点

  • 軽いハクスラができます
  • 程よい戦略性もあり、自動戦闘で敵を溶かしてくのが楽しいです

気になった点

  • ステージの難易度バランスが偏っていました
  • 一部UIにあまり説明のない不便さがあります

レビュー

数で戦い自動で倒す

数で押し切れ。は多人数の自動戦闘とハクスラで押し切る戦闘メインのゲームです。
ダンジョンに潜ってひたすら戦闘していくことで進行していきます。

ユニットを20人まで雇うことができ、戦闘中はこれらのユニットが自動的に敵を攻撃していきます。
このゲームにおいては戦いの全てが自動化されているゆえに、事前にユニットに対して行う準備が戦闘の趨勢を決定づけることになります。

まず基本として、隊列が重要となります。それぞれのユニットを自由に配置することができるので、上手く機能するようにそれぞれ位置を定めていきましょう。

次に、良く使う行動の選択や、スキルの選別、行動制御の仕組みを上手く使えるとより効率が良くなります。それぞれの役割を考えてスキルなどを選択していくことで、効果的な戦略をとることができるでしょう。

加えて、ダンジョンを攻略して得られる装備もまた重要となります。詰まった場合は一つ前のダンジョンを攻略し、メンバーの装備を揃えつつレベルを上げるというのも一つの手です。

こうした戦闘以外の面でも、ダンジョン攻略中は危険と隣り合わせになっています。
マス形式で表現されるダンジョンの中では、隣接するマスだけが視認できます。クリアのためにはこのマスを一つずつ移動し、階段を見つけて進む必要があります。

ダンジョン内では一歩進むごとに人数に応じた食料が消費されるため、適宜食糧マスで補給する必要があります。そのほか、敵の出現マスやイベントのマスなどもあるため、要不要や効率を考えてルートを決定していきましょう。
ダンジョンの最奥には強力なボスが待ち構えているため、消耗を抑えて最善の布陣で挑んでいくことが求められます。

目的に応じてダンジョンを効率よく回りつつ、自動戦闘でわちゃわちゃ敵を倒していきましょう。

感想

数で押し切れという割には中盤くらいは装備などで押し切るゲームです。
自動戦闘しつつユニット数で圧倒するのかと思いきや、割と真面目にハクスラしてちゃんと装備を集めて成長させて突破しないと先には進めません。

自動戦闘システムながら、程よく戦略性はあります。
メンバー編成とか、最初の隊列によっては結構戦略が変わってきます。ちゃんとしたメンバーとスキルを組まないと、狩人が囲まれてあっさりとやられるなどが良く起きるので。
リーチとか性質を考えておくといい感じになります。ただ、全員猪突猛進の癖はあるので、固まって戦うとかそういうのは苦手な印象です。

加えて、なんとなくガンビットっぽい仕組みがありそうなんですが、使わずに終わってしまいました。
カスタマイズの仕組みがエンチャントと気づくのに時間がかかったのもそうなんですが、そもそも一般依頼に気づいたのがだいぶ後でした。やたら増えたクエストが見つからないことから発覚したので、確かステージ最終盤くらいです。

ゲーム内容としては、とにかくハクスラを意識してひたすらダンジョン潜るのが結構楽しいです。
自動戦闘なので見ないでもある程度やれますし、アップデートで非アクティブでも動く素晴らしい対応が入ったので、何かしながら適当に眺められます。

システム面で言えば、大量自動戦闘+ハクスラは良い面も悪い面もあるなあという印象でした。
しばらく装備が腐らないというのは良くて、装備を捨てる必要が出てくるまでには大分時間がかかります。加えて、このゲームだと、Cキーで一気に装備ができるので構成に悩む必要もなく、手軽で良いなと感じています。

一方で、結局のところ装備の強さが分かりにくいというところがあります。自分で動かしていないので、微差のパラメータの違いがバタフライエフェクトして結果に結びついていることしかわからず、イマイチどう効いたのかがつかめません。一気に装備していることもあって、装備と結果のつながりはさらに希薄になってきます。
このあたり、第12回ウディコンのわちゃわちゃダンジョンズなどでも感じているんですが、解決しにくそうな問題です。

メニューやUI面については、好きな面もあり、ちょっと使いにくい面もあり、といった感じです。
最初のメニュー画面がマス目状になっていて、ダンジョンもその系譜である統一感は割と好きです。また、取得アイテムが左上に出るテンポの良さとか、スキル構成で範囲などまで見れるあたりとか、そういった細かい面も良かったです。
特に画面に統一感があるおかげで、ゲーム中にUIのせいで世界観や遊んでいる意識が途切れることが無かったのが個人的には好きです。

他方で、前述のように重要依頼から一般依頼の切り替えが左右キーである導線が無いことや、鍛冶場が装備中のものを使えないこと、エンチャントのかけらが今何個あって、何個必要なのか分からないこと、といった細かいあたりは気になります。
どちらかというと説明的なUIが不足している印象です。多分慣れれば使えます。

レベルデザインというかステージ難易度の調整もかなり大雑把で、ステージ3までで1時間、ステージ4までで2時間30分で、最終8ステージまでで3時間です。
終盤ステージの難易度の上がり幅が、3→4の幅と4→8の幅で同じかそれ未満程度な印象を受けました。
加えて、その難易度配分上、クエストに潜ったり周回しがちなステージ2のデザインが、マス目ごとに選択肢を出してくるタイプなのもあって、序盤の導線としては割と冗長な感じがします。

あとは、これだけずっと戦闘を遊ぶなら戦闘開始のカットインすらスキップしたくなりました。
連続してダンジョンのマスで戦っていると、あの程度のラグでもサクサク感が少しだけ阻害されてしまいます。

全体的にハクスラしつつ自動戦闘を眺めていつの間にか強くなっていくのは結構楽しく、育て上げた部隊で強敵を蹂躙していく様は見ていて愉快でもあります。
育ちきっていると、あらゆるボスが一瞬で溶けていく部隊が作れて楽しかったです。

37. サッカー好きがつくる ウディタサッカー

ジャンル 作者
球蹴り papik
プレイ時間 プレイVer クリア状況
10分 1.1 7-6

良かった点

  • シンプルに遊べます

気になった点

  • 味方がほぼお邪魔キャラの印象でした

レビュー

小学生のサッカー

サッカー好きがつくる ウディタサッカーは、サッカーのような球蹴りができるゲームです。

このゲームにはポジションがなく、パスという概念もありません。そもそもゴールキーパーすら存在せず、あるのはシュートとゴールだけとなっています。
フィールド上の全てのキャラクターがボールに向かって走り、先着した者がゴールに向かってシュートしていくサッカーが楽しめます。

シュートはQTEにより成否が決定され、ゴールに近いほど成功しやすくなっています。
とはいえ、高難度のQTEを決めれば自陣奥深くからでもゴールを決めることが可能でしょう。積極的に狙っていくのもありです。

いちはやくボールに追いつき、QTEを成功させてシュートを決めていきましょう。
このゲームは、7点取ったチームの勝利となります。

感想

サッカーというより球蹴りじゃないかなというのが第一印象にして最後までの印象です。
ポジションとか、パスとか、ドリブルとか、そんなもんはありません。シュートして得点を入れれば勝ちです。まだブリッツボールのほうがサッカーしています。

シュートは近いほど有利なQTE形式なので、やろうと思えば自陣深くからでも入れられます。本当に入った時は緑間かお前と思いました。
何でそんなシュートが入るかと言えば、そもそもキーパーいないですからね、このサッカー。ポジションがないというのまでは分かるんですが、キーパーまでいないというのは、もはやサッカーなのでしょうか。哲学的になってきました。

また、こういう形式ならシュートが実質パスになるかといえば、そうでもありません。シュートはやっぱりシュートなのでどこに飛んでいくか分からず、わちゃわちゃとボールをずっと追いかけることになります。
ボールに追いついたらシュート、飛んで行ったボールに追いついたらまたシュート、の繰り返しになってきます。

このように色々なシステムを廃している分、操作はめちゃくちゃシンプルです。球に追いついて蹴るだけ、本当に何も考えずにやれます。
あまりにもシンプルなので10分くらいで飽きが来そうですが、そのあたりで7点入ってゲームセットになるので問題ありません。終了条件までサッカーっぽくないですね。

最後まで通して遊んでみた印象なんですが、恐らく味方がいないほうが勝ちやすいと思っています。ありていに言えば味方が邪魔。7得点中6得点はプレイヤーのゴールでした。敵陣はちゃんと6得点入れていたんですが。
ゴール前で味方が先にボールに追いついた後に明後日のほうに蹴り飛ばされることが多かったので、本当に必要性を疑いました。

最後に細かいところになるんですが、最初の桃鉄のブーイングみたいな、使用用途がネタだけのコマンドは好きです。ゲーム性のシンプルさというか単純さに対しても良い感じでした。

38. ard3d-seq

ジャンル 作者
3DダンジョンRPG ar202626
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間30分 7/16 クリア

良かった点

  • 突き詰められたシンプルさがあります
  • 取得宝箱の割合を最後に出してくれるので迷いません

気になった点

  • 戦闘バランスがだいぶ大味です

レビュー

シンプルイズベスト

ard3d-seqはシンプルさを突き詰めた3DダンジョンRPGです。
3Dで構成されたダンジョンをひたすら潜り、敵を倒していくゲームとなっています。

このゲームを構成する要素はひたすらシンプルなものです。
装備はシンプルで、深い階層ほど強力なものを拾えます。それぞれ装備可能なジョブも限定されています。
スキルもまたシンプルで、火力の大小や状態異常が分かりやすく付与されています。

こうして装備を整え、有効なスキルを使って戦闘に勝利しつつ、とにかくダンジョンを攻略していくことになります。シンプルに戦闘と探索だけを味わうことができるでしょう。

ひたすら戦い抜いて、3Dダンジョンを攻略していきましょう。

感想

シンプルを突き詰めてあらゆる要素をそぎ落としたようなゲームです。前作と同じような雰囲気と言えば、伝わる人には伝わります。
二年前の感想を持ってくると殆ど言いたいことが書いてあるんですが、今回遊んだ感想も書いておきます。

戦闘バランスは割と大味です。ダメージが0か即死かくらいのバランスをしています。良くてもこれに大ダメージが入るくらい。
例えば、序盤の雑魚は戦士に来ればほぼノーダメ、中盤も実質ノーダメで、魔法を使われるようになると今度は即死が見えてきます。
ダンジョンでじりじりと削られていくという感じのバランスではありません。

また、全回復が無料である以上は、いくつかの道中を除けばSPをケチる必要はありません。
なので、色々な攻撃手段があっても、最大火力のものしか必要としなくなります。属性に応じた分類も特になさそうなので、純粋に一択に近くなります。

加えて、麻痺を習得すると今度は麻痺ゲームになります。麻痺の行動制限が強すぎて、ほかの状態異常がかすんできます。
最終層までくると、先に動いて麻痺をかけられれば勝ち、それ以外は負けみたいなバランスです。なので、お勧めは3人同時に全体麻痺をかけて、誰かがやられても完遂できるようにしておくことになります。

麻痺はウディタデフォルトと同じ設定なんだと思うんですが、ウディタデフォルトでは毒の消費SPは麻痺より低いうえに全体化がかかっているなど、それ以外の部分で調整された性能をしているので、純粋に同じ消費SPにすると麻痺一強になるのは仕方ないところです。耐性持ちもいなさそうですし。
ウディタデフォルトのバランスは別に万能ではなくてベンチマークなので、ゲーム性に応じて変化させる必要がありそうです。

個人的には、各階の終わりで回収アイテムを出してくれるシステムは良かったです。取りこぼしがあるかをその階限りで分かるので、後腐れなく先へ進めます。
あとは、隠し道の設計は結構面白いので、戻りのヒントもつけるか、戻りからは見えるようにしてあるとより親切な気がしています。帰る時は実質ノーヒントで壁にタックルをかます必要があるので。

39. 魔法剣士の冒険者ギルドとボスラッシュタクティクスRPG

ジャンル 作者
戦闘RPG テイク
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間 1.02 ふつうクリア

良かった点

  • ターン経過ごとに双方が強力になるシステムは面白かったです
  • ストーリーが終始良いコメディ調でした

気になった点

  • 終盤の戦闘バランスがやや行動運に偏り気味でした

レビュー

一気に畳みかけろ

魔法剣士の冒険者ギルドとボスラッシュタクティクスRPGは、ターン制の戦闘をひたすら繰り返していくゲームです。
戦闘がメインとなっていますが、合間合間に閑話も展開していきます。

このゲームの特徴は、全ての戦闘が10ターンで終わるということです。10ターン以内に敵を倒す必要があります。
加えて戦闘システムとしても、このターンという概念は重要となってきます。なぜならば、ターンが進行するにつれて、味方の強力なスキルがどんどん解放されていくからです。その一方で、敵の攻撃もターンが進むにつれて苛烈さを増していきます。
敵の強力な攻撃を上手くいなしつつ、逆にこちらの強力な攻撃を通していきましょう。

激しくなる敵の攻撃を捌くには、それぞれのキャラクターの役割を理解して活かすことが肝要となっています。
それぞれの使えるスキルは異なり、性質もまた個性があるため、そのターンでどういった立ち回りをするかを常に考えて行動しましょう。
たとえ格上の敵が相手であっても、立ち回りを見直せば勝機が見えてきます。

なお、一連の戦闘の合間にイベントで繰り広げられる、ノリが軽い掛け合いも魅力の一つとなっています。
ストーリーというよりは会話劇を楽しむことができるでしょう。

このゲームにおいては、あるターンが分水嶺となることが多く、一つ一つのターンが重要な戦闘システムとなっています。
ノリの軽いメンバーたちの役割を上手く捉まえて、チャンスを見極めて並みいる強敵を撃破していきましょう。

感想

10ターンバトルをどんどんやるゲームです。
タクティクスとついていますが、戦略性は半々くらいで、とにかく強い攻撃をぶっ放せれば勝てるイメージがあります。

難易度については、ふつうでもあんまり稼がずに進められる程度で、かんたんでは経験値が増えるらしいので恐らくよりサクサク進められると思います。
序盤のプリースト一人の時だけちょっと稼いだのと、後半の運エリアで何回か負けたくらいです。

ターンが進むとスキルが強くなっていくシステムは結構面白くて、5ターンくらいからこっちも動けて、相手の火力も上がって真剣勝負の様相を呈してきます。
最初は準備運動なので、4ターンくらいの序盤はあんまり重要性はないです。流しておきましょう。いっそ5ターン制の勝負でもよかったんじゃないかという気持ちもあります。

敵との戦いにおいては、こちらの総合的なレベルが5つ下でも、バフデバフを駆使すれば序盤から中盤にかけては割と立ち回れます。
このあたりの戦闘バランスはちょうど良くて、うまくスキルを当てていって倒していく楽しさがあります。

一方で終盤のバランスはだいぶ大味で、攻デバフを帯びた敵がひたすら単体に強攻撃して全回復から戦闘不能になってしまうなど、かなり行動の乱数に左右されます。
加えて大事なのは、敵が全体大回復を使わないことをお祈りすることです。これをやられると状態異常が消し飛ばされるので、色々立てていた戦略もおじゃんになります。勝負は時の運。

まず、こちらが取れる選択肢は割と戦略的で、色々な状態異常やターンの順番を駆使して立ち回れます。
その一方で、相手の行動が完全に乱数であり、それで容易に破壊されうるので、全体としては半々の戦略性という印象でした。戦略を立てないと勝つことは難しいけれど、戦略を破壊する運も存在しているかなという感じです。
特に召喚した雑魚が、召喚酔い無しで殴ってくるのはなかなかの理不尽であり、かつ理屈がよく分かっていません。たまに殴ってこないこともある。

戦闘面の最後の話になりますが、個人的に好きな技は反射技で、敵をあえてたくさん埋めた後に全反で沈めるのが、効率が良いうえに爽快感もあってお勧めです。
後は、一か八か、当たった瞬間にボスが沈んだのを見た時は笑いました。お願い技としての性能が高い。

システム面で言うと、序盤は一人プレイパートから始めてそれぞれの特色を理解し、徐々に人が増えていく設計が理解の助けになるので便利です。
ただ、途中から3人と1人に分かれる上に、一人パートもやらされるのは時間つぶしでしかないので若干面倒ではありました。最初は導入の意味を兼ねていますが、こちらはただの作業なので。自動的に裏でやっていたことにしてくれると嬉しかったかもしれません。

また、チュートリアルバトルが負けイベントなのが、撤退コマンドのことも知れるという意味では上手い構成だなあと思いました。惜しむらくは、このゲームの敗北と撤退にほとんど差はないので、撤退コマンドに意味がないということです。

なお、スキル習得に当たって重複が無いかを注意書きしてくれるんですが、そこは重複してたらキャンセルさせる処理をはさんでくれればいいのではと思わないではないです。
あるいは、そもそも対象者しか列挙しないという方法がありそうです。単純な全列挙だと面倒ですが、確かウディタには文字列変数を使った選択肢のハックがあったような記憶があります。

ストーリーは終始コメディ調で、大分明るい話になっています。掛け合いが緩いタイプ。重戦士が何一つとして擁護できるところがない以外は、割とまっとうな人たちだと思います。多分。
戦闘が10ターンで終わるテンポの良いものであるように、物語もそこまで重いバックグラウンドのない気軽に楽しめるものでした。

40. 7100本の想いを込めた一作

ジャンル 作者
クリッカー 天野ガム
プレイ時間 プレイVer クリア状況
10分 1.11 クリア

良かった点

  • 一日で完成させています

気になった点

  • カーソルが毎回最上段に戻るので周回が面倒でした

レビュー

ぽちぽちクリッカー

7100本の想いを込めた一作は、レベルを上げていくクリッカーめいたゲームです。

このゲームではダンジョンに潜り、そこで経験点を稼ぎ、レベルを上げて次のダンジョンに潜る、という一連の流れをテキストベースで淡々と行うことになります。
そこに激しいエフェクトや余計なイベントはありません。粛々と進行していくこととなるでしょう。

どんどん潜ってどんどん強くなって、クリアを目指していきましょう。

感想

一日で作ったということで、そういうゲームなんだと思っています。
とりあえず、タイトルが微妙に中央にそろっていないのがすごく気になりました。

要素というかプレイ感的にはクリッカー系のゲームのそれで、ぽちぽちやっているとパラメータが上がって、よりパラメータを上げやすいものが解放されていくゲーム感でした。
戦闘システムも特にあるわけではないので、RPG風の何かというコメントは正しいものと思います。

ただ、クリッカーにしても全部手動で、自動でリソースが上がっていく感じもないので、本当にクリックするだけのゲームではあります。Coockie Clicker を始めとしたクリッカー系ゲームのような自動化による加速度的な効率の改善を目指せるわけではありません。
また、昔のFFAみたいなインフレしていく数値があるわけでもなく、なんとはなしに無心でやっているといつの間にか終わっているタイプでした。本当にガムみたいな作品です。

加えて、いちいちカーソルが上に戻るのがクリッカーとしても辛くて、毎回余計な操作で作業を続行する必要が出てきます。連打でやりたいのに絶妙に上下アローキーを使わないと上手く周回ができない。
マウスで選べればよりクリッカーぽいなと思いつつ、そもそも単純に選択肢におけるカーソル位置を記憶して、そこに合わせてくれるだけでも違うだろうなあと思っています。

41. 非城口

ジャンル 作者
プラットフォーマー 僕はネット民
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間 1.42 クリア

良かった点

  • ピクトグラムでうまく表現された世界でした
  • ステージがプラットフォーマーしているので割と難しいです

気になった点

  • 当たり判定がスカスカに感じました
  • ステージ設計が近接攻撃向けのデザインっぽくありませんでした
  • 強化の仕組みの使い勝手が悪いように思います

レビュー

ピクトグラム・プラットフォーマー

非城口は、ピクトグラムをモチーフとした2Dプラットフォーマーです。
突然ピクトグラム化した世界の中で、非常口のあの人を操作し、多くの障害を乗り越えてステージをクリアしていくゲームとなっています。

それぞれのステージでは、様々な種別の敵が待ち構えています。
操作キャラクターは基本的には目の前に攻撃することができるので、被弾を避けつつ、ステージ上に点在する敵に上手く攻撃を当てていく必要があります。もちろん、無視して逃げることもできるでしょう。
また、プラットフォーマーとしてのアクション性も要求されるため、落下やトゲにも警戒が必要です。

そうしてステージを攻略していくと、ピクトと呼ばれるポイントが手に入ります。このピクトを使うことで、自身の性能を強化することができます。
攻撃力を強化して少ない攻撃回数で敵を倒せるようにする、HPを強化して多少被弾しても持ちこたえられるようにするなど、自分好みに強化してステージを有利に進めていきましょう。

ステージが進行するにつれその難易度は上昇していき、最終ステージともなると総決算の趣があります。
そうした数多の障害をアクションで乗り越えて、ピクトグラムと化した世界を救っていきましょう。

感想

ウディタでプラットフォーマーを素直に作ったという感じがします。
ピクトグラムをベースにして色々とわかりやすく敵キャラを構成した発想が面白い。

アクション部分はかなり癖が強くて、慣れるまでに大分時間がかかります。クリアした今でも、慣れているとは言い難いかもしれません。
丁寧目の動きよりはごり押しが効くステージもあるので、突っ切っていくのもありです。

個人的には長押しすると二段ジャンプ判定になるのが癖強めに感じるんですが、落下が放物線過ぎてこの機能がないとそもそも最高高度二段ジャンプができないので難しいところです。
このゲームのジャンプ挙動はキー入力をやめた瞬間から落下しているように見えるので、最高到達点でキーを離してもう一度押すというのは事実上無理だと思っています。

また、攻撃の当たり判定というか持続がかなり信用できず、恐らく攻撃時の1Fしか存在していません。
エフェクトは結構残り続けるので、なんか当たったように見えるけど当たらない、と言ったことが良く起こります。タイミングを合わせるしかないですね。

また、単純に攻撃判定が下を拾ってないので、段の下にいる敵に何もできないのも辛めです。こっちは恐らく意図したデザインな気もします。ただ、せめて自分の座標あたりには判定が欲しかったところでした。密着された敵に全く当たらない。
必殺技も下を拾わないことがあるので、全体的にエフェクトとあんまり合ってない判定をしているという印象です。攻撃が不便。

ステージデザインは結構ちゃんとプラットフォーマーしているので、割と難しいです。
操作性が難しいというのを差し引いても、後半は歯ごたえのあるステージを楽しめます。道中の雑魚が厄介なので、最終ステージまで来るとスルースキルも求められるかもしれません。

なお、世界観の関係上、トゲの視認性は最悪の部類に入ります。他と比して目立つ感じではないので、慣れないうちは見逃しやすいですし、意図してそう言う配置をしているところもありそうです。

また、プレイヤーキャラは近接攻撃主体のデザインなのに、敵の配置がロックマンとかマリオのそれな印象を受けました。
遠距離から叩けることも少なく、上から踏んで倒せるわけではないんですが、どことなくそういうステージデザインっぽさがあります。
Khimera: Destroy All Monster Girls が、ロックマンっぽいけど近接に割と振ったデザインをしていたのを思い出していました。

細かい話だと、強化も割と面倒でした。
まずもって、わざわざ家に入って一番遠いところに歩かされるところから面倒ではあります。これに加えて、現在持っているお金が見えない中、数字入力以外で強化できないのも辛いポイントです。
強化ポイントを決めた時に初めてかかる金額と所持金が出るんですが、どれくらい上げるのにどれだけかかるかが未知数なので、手探りで上げるほかありません。数字を上げたらかかる金額がリアルタイムで変わりつつ、所持金も見せるUIだと嬉しかったです。

というか、これは2桁オーダーですら上げることはまれなので、なんで3桁まで用意されているのかが良く分かっていません。デバッグ用でしょうか。
初見では2~3桁のオーダーで上げるゲームなのかと勘違いしていました。

そういった細かいもやっとポイントのあるアクションゲームで、ウディタにある機能で奇をてらわずにアクションゲームを作ったゲームだなあと感じていました。ピクチャで自機を動かしていなさそうですし、色々とメッセージウィンドウでUIを代替しています。
まあRPGエディタですからね、ウディタは。

42. 竜と仔共の小さな冒険話

ジャンル 作者
RPG ろぜちは080
プレイ時間 プレイVer クリア状況
5時間 8/6 真END

良かった点

  • ワールドマップなどが良いグラフィックでした

気になった点

  • 多くのエリアが似通った見た目になっています
  • 終盤のボスがキーの押しっ放しをして時間がかかって倒せるような戦闘バランスでした

レビュー

インフレした戦闘を

竜と仔共の小さな冒険話は、インフレしていく戦闘が特徴のRPGです。
始めこそ普通のRPGですが、徐々にダメージや能力値がインフレーションしていくその様相を呈してくることでしょう。

進行形式は一本道の通常のRPGとなっています。
ただし一般的なものと大きく異なる点として、拾ったアイテムを使うことで、対象の能力値を甚大な単位で引き上げることができるというものがあります。
アイテムは積極的に使っていき、能力値をどんどん上げていきましょう。

そうしてインフレした力を得ることになりますが、当然相対する敵も強大な能力値を備えています。殊にボスともなると、それはさらに突出するところです。
そうした戦闘においては大火力と大火力のぶつかり合いとなるため、インフレした攻撃性能をもって、その超大なHPを削っていくことになるでしょう。
いかなインフレした能力値を持っているとはいえ、油断していると負けることもあります。ボスに対しては、特に警戒を怠らないようにしましょう。

また、このゲームのもう一つの特徴は、目を瞠るほどのグラフィックです。
ワールドマップの空気感などもさることながら、圧巻となるのは豪奢で強大なボスの敵グラフィックです。インフレし続けた敵の性能をこれ以上なく説明する、神秘性をも湛えたものとなっています。

インフレした戦闘を乗り越えてボスを撃破していき、エンディングを目指していきましょう。

感想

いつもの素晴らしいグラフィックと、インフレした戦闘ができるゲームでした。
若干序盤の難易度が上がっている気もしますが、中盤以降は特に変わりなく殴るゲームです。

特に今回はワールドマップが好きで、地平に向かって消えていく(ように見える)見え方が良いです。FF6とか、ああいう空気感を感じます。
お城の景観も良くて、豪奢な雰囲気で差別化されていました。

それ以外の空間は閉所か自然洞窟か最終ダンジョンになるんですが、殊に閉所と自然洞窟はだいぶ似通った見た目になっています。
殆ど一方通行なのでかろうじて迷いませんが、迷子というか現在の地点を見失う要因の大部分は、ほとんどのマップが同じ見た目をしていることにあります。

ほぼ同じ見た目のマップをぐるぐる回ることになるので、いかな良いグラフィックでも飽きてきそうになりました。
最終ダンジョンやその先は結構雰囲気が違っていたので、序盤とお城に至るまでの道中あたりがそういう空気を強く感じていたのだと思います。
例えば、神殿に入る時にキャラクターがえっと驚くんですが、プレイヤー目線ではほぼ同じ内装なので神殿っぽいねと思えないので何に驚いたのか一瞬惑う、みたいなこともありました。

戦闘バランスについては、割と序盤がシビアで、特に最初のボスはだいぶ強いです。
防御の石をちまちま使って耐えて反撃をお祈りして倒したんですが、いまだに想定解法なのかよくわかっていません。
なんとなく防御の石前提のバランスっぽいので、うまくタイミングを合わせないと負けます。全体回復+大破壊x3 - 石x2のループをやれば基本負けないはず。

ガナフくらいまではこの傾向が続き、ガナフまでくると凍結を使ってくるので戦線の維持も大変になってきます。多分一番強いのはガナフ。ここは割とちゃんと戦う必要があるので楽しいです。
それ以降はこちらのインフレが進んだのか、バフかけ終わったらあとはZCキー押しっぱなしで勝てるバランスになっています。HPが高い壁みたいなものなので、十連+二十連+全体回復+状態回復を毎ターンやっていれば負けないはずです。

ストーリーはこれまでの流れに近く、よく分からないけど迷い込んだ世界でよく分からないまま立ちふさがるドラゴンをばったばったと倒していくお話です。この子たちには進むか倒す以外の選択肢はありません。ずっとジェイドが引率の先生に見えていました。
そして最後にはいろいろ了解出来て、一気に解決に導かれる展開なのが良かったです。

細かいポイントでは、特に序盤はよくゲームオーバーになるので、タイトル起動をスキップできると嬉しいなと感じました。意外と長いので。
あとは、アイテム製作のCキー詳細が何に使えるのかいまだにわかっていません。

なお、公称エンディングは4時間で、実際それくらいでクリアはできました。
残りの40分は裏に辿り着くためにボスを倒していた時間で、うち半分以上は決定キーとサブキーに重しをのせていた時間でもあります。FF7の攻略本にあった自動稼ぎを思い出していました。確かこういうことをしていると、どこかのテイルズシリーズでバルバトスにお仕置きされるんでしたっけ。

43. 午後の死

ジャンル 作者
転売RPG みずゆ
プレイ時間 プレイVer

良かった点

  • 独特な世界観です

気になった点

  • 銃だけをもって敵と戦うと詰みの起きかねない設計をしています
    • 逃げるがないのはともかく、敵がこちらにダメージを通せないことがあるのが要因です

レビュー

シャンパンは昼下がりのご馳走です

午後の死は、説明の難しいRPGのようなものです。
上記のジャンルに記載してある転売RPGですら、十全に説明できているとは言えません。

このゲームに目的があるかは定かではありませんが、やることは存在します。
広大なマップをさまよい、ポツンと存在するタンスなどからアイテムを拾うことで、そのアイテムを転売することができます。そうして得たお金は武器や弾薬に変えられ、マップ内で遭遇する敵の撃退に役立てられます。
そうしてマップをさまよってアイテムを拾っていくうちに、ストーリーも展開していくことでしょう。

その手段の虚しさを表すように、この作品では始終虚無的な感覚にとらわれることになります。ナンセンスでもなければ、意味が明瞭なわけでもない、そういった徹頭徹尾独特な世界観に呑まれていきましょう。

感想

独特というか突拍子もない世界観ながら、突き放しきってはいないギリギリの塩梅を保っています。
理解できないわけではないけれど、常識というか、こうありそうというところからは外れている感じでした。

プレイ後の感想としては、何すればいいのか分からないうちにイベントが始まって、いつのまにかクリアっぽい感じになるゲームという印象です。
特定イベントのトリガーがどこなのか未だに判然としていないんですが、多分友達な気がしています。脈絡はないですが、それはそういうものなので。
後半のイベントのトリガーは割と分かりやすい気もしつつ、そもそもイベントをこなすことそれ自体に意味があるのかすら良く分かっていません。クリアなんてものはないのかもしれない。

戦闘はだいぶ尖っているというか説明がなく、銃だけ持って特攻すると弾が無いので詰みます。敵の火力が低いと、こちらもやられないのでリセットしかできなくなる、ということも起き得ます。筆者はこれで一敗して最初からになりました。
銃を使うためにも、ちゃんと補充はしておいた方が良いです。弾薬は高いんですが、漁ると無限に出てくるので、それで押し切るのが良さそうでした。

ゲーム中に出てくる転売アイテムはいろいろと危ないネタが多いんですが、全体を漂うシュール感で幾分か緩和されて、それほど危なくは感じていません。
ワードサラダに変な単語混じっていても気にしないのと似た感じで、それらのネタに強い指向性がないからこういう印象なのかなと感じています。

ワードの選択とか、それぞれの向きとか、ゲーム中の扱いとか、そういったものに脈絡が無いので意志というかベクトルが見受けられないということに、こういった面白い利点があるとは思いませんでした。
全体的にネタを無作為にばら撒いて、疎結合で繋げて、それぞれのバランスが危うい中で世界を成り立たせようとしている良い意味で妙な雰囲気があります。

出てくるものについては、解釈したければいくらでも解釈可能なのだろうとは思っています。
例えば映画チケットについて、拾うと一度に大量に手に入る割に儲けが少ないのが、プぺルめいているのかなあとか、草原がやたら広いのは売るもの欲しさに東奔西走する転売ヤーを揶揄しているのかなあとか、色々と考えようと思えば考えられそうです。もちろん意味などないのかもしれません。

ちなみに、最大まで金を貯めてもキャップがあるのでゴムガトリングが買えないのは仕様なんでしょうか。
全てのものに対してかなりざっくりとした値段がついているので、狙ったものなのかそうでないのか判然としません。

それにつけてもwitter、何の意味もないけれどとりあえず覗いてしまいますね。現実に即しています。

44. 宝珠使いシズクのかえりみち

ジャンル 作者
パズル風RPG はるしし
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間30分 1.0.2 クリア

良かった点

  • いい意味で頭を壊すくらい忙しい戦闘システムでした
    • ルーチン化とアドリブ力が双方程よく求められます
  • 戦闘中のUIが発動スキルを見ることができるなど親切です
  • 緩い良い世界観でした

気になった点

  • スキルや装備の画面で名前も姿もなく色だけでキャラを判断するのは少し難しかったです
    • 特に慣れていない序盤の内は間違いやすいです

レビュー

頭を忙しなく使って強敵を打ち倒せ

脳みそを使い倒し、過負荷をかけ、そうして成し遂げた勝利の達成感には得も言われぬものがあります。
宝珠使いシズクのかえりみちは、その独特なパズル風コマンドRPG的なシステムにより、とにかく頭が忙しくオーバーヒートしていくことで、そうした達成感を得ることができるゲームとなっています。

このゲームの戦闘では、各ターンにおける制限時間の中、画面下のパズルのような画面で宝珠を揃えて消していくということが主眼となります。
消された宝珠の種類でキャラが決まり、その数で技が決まり、ターン終了時にそうして決定された行動がそれぞれ発動されます。
紫を2つ消せば単体回復、3つ消せば全体回復であったり、赤を消した数で攻撃属性が決まったり、どの宝珠をいくつ消すかというのは、そのまま取るべき行動の選択へとつながります。
このため、戦闘中は宝珠の数を上手くコントロールしていくのがカギとなるでしょう。

なお、揃えた数に応じたスキルは自由にカスタマイズすることもできます。
変化していく戦況に柔軟に対応できるようにスキルを選択するのも良いですし、そのステージに特化した編成にするのも良いです。自分好みのスキル編成を作っていきましょう。

また戦闘中は、相手の行動や自陣の状態を正確に把握して、最適な行動を考え、それを実現できるように消す宝珠を選んでいくということを、時間内に行わなくてはなりません。
こちらが2人のうちはまだ余裕がありますが、味方が増えるほど、どんどんと忙しくなってきます。そうなると、徐々に時間内に行動を確定させるのが難しくなってくるはずです。
攻撃モーションの時間、エフェクトの時間、敵の行動中も揃えて消す準備をするための大事な時間です。全ての時間を有効活用して、場を支配していきましょう。

加えて、このゲームはハクスラ的な要素も孕んでいます。敵を倒し、強力な装備を取得できれば、後のステージを有利に立ち回ることも可能です。
どうしても勝てなければ、前のステージに戻って装備を集めてみるのもありかもしれません。
たとえ要らない装備が手に入ったとしても、パラメータ強化のためのポイントに変換できるため無駄にはなりません。積極的に集めていきましょう。

頭をフルに使って宝珠を揃えて適切な行動を選択し、強敵相手であっても怯まずに場を制圧していきましょう。

感想

今ウディコンのめちゃめちゃ忙しい枠の一つです。ずっと頭を動かしてないとクリアできない。
そして頭を常にフルスロットルで働かせているのは楽しく、それで課題解決を完遂できるとより楽しいので、このゲームは楽しいゲームでした。

宝珠を単にいっぱい揃えればいいだけなら楽なんですが、このゲームはあくまで宝珠の揃える数で発動スキルが決定する仕組みなので、ちゃんと考える必要があります。
一応上の画面を確認して体力や有効打を見つつ、適度に回復や防御、有効な攻撃パターンを考慮し続けるのが難しい。

初期の頃こそ猶予時間に対してキャラ数が少ないのでいくらでも対策できるんですが、4人パーティあたりからはだいぶ忙しいです。スキル発動時のエフェクト中にも揃え続けて、とにかく手を動かし続けないと間に合わないレベル。
その分、敵の攻撃を捌き切って倒せると達成感があります。忙しくて楽しい。

殊に最終的な6人パーティはかなり忙しくて、少なくとも最初のターンでの期待通りの動きはある程度捨てる必要があります。落ち着いてパターン化しつつ、適度に状況に即した行動をとるしかない。
お勧めとしては、状況に応じたパターンを組んでおくことと、攻撃系はルーチンで揃えられるようにあらかじめ準備しておくことです。

例えば、全体回復したいならヒール3と癒しの舞1 を作っておくとか、そういうパターンを持っておくと、即応性が上がります。
一方で、エフェクト発動中には攻撃向けを揃えておくのが丸いです。可能であれば現在ターンで揃え終わった後、次回発動分も装填しておければより安全でした。

ただ、1手先まで見た宝珠配置やルーチン化も大事なんですが、後半の強敵にはアドリブ力が要求されるあたりは歯ごたえもあります。
敵の攻撃が結構苛烈なので、基本的には殴るための札を揃えつつ、パーティー状況を鑑みて回復を優先したりする判断が求められます。

筆者は回復については上画面を見て調整しつつ、常に癒しの舞1とガードを優先した立ち回りをしていました。
後はデバフを必ずかけ続けるのは大事です。タイミングを忘れていたのなら、二重になってしまってもいいからとにかくかけるのが肝要。

また、戦闘バランスが良い感じなので、あんまりレベル上げというか装備集めをしなくても突破は可能です。
明らかに強敵で、一撃でこちらの体力を刈り取るレベルであったとしても、ガードをちゃんとやれればかなり抑えられます。
加えて、最後のバハムートを含めて、強攻撃を一方的に打ってくるような設計にはなっていないので、態勢をかろうじて立て直すくらいの時間はあります。とにかく焦らないことが大事。

このあたりの戦闘バランスは難しすぎず平易過ぎない良いラインを突いていると感じています。
強敵を作りたいと思った時に、強い技だけではなくてシステムに即したクールタイムのような技も用意しておくことで、理不尽になりすぎずに強い敵を表現しているように思います。

個人的には宝玉をめちゃくちゃにするギミック技とかがあるとより頭を壊されそうなんですが、そこまでやると厳しすぎるような気もして難しいです。
やるなら対策可能な特定方向に強制的に寄せる大風とかそういう類でしょうか。

戦闘中のUIについては割と親切で、揃えた宝珠で何が発動するのかについてちゃんと下画面に表示されるというのはありがたかったです。
また、ステージ終了後にやり終わった選択肢に済マークがつくので、どの準備を終えたか分かりやすくなるのも地味ながら良い配慮でした。

一方で、スキルや装備でキャラクターの名前も姿も表示されず、色だけで判断する必要があるというのはちょっと厳しかったです。順番を何となく覚えるか、色を何となく覚えるまでは苦労します。
特に最初が橙とピンクで何となく似ているので紛らわしいというのがあって、赤と青みたいに明確に違う色が初期に来ないのも混乱の一助になっていそうです。

後は、ストーリーが緩めの会話進行なのも個人的には好きでした。戦闘はめちゃめちゃ頭を使って忙しいので、なんとなく和みます。
特に、魔物みたいな存在をケモノと称するのが世界観を構成していて良いなあと感じました。
こういった独自用語は、欠点としてはすっと文章を読めなくなるくらいだと思っています。ファルシノルシガコクーンデパージみたいな案件です。その一方で、 ケモノは聞きなじみのない単語ではないので、ある程度読みやすさも担保されていました。魔物みたいな漢字表記されているよりはかなり緩い世界観になっている気がします。

とにかく全体を通して、プレイ中の思考が良い意味で忙しいので楽しいゲームでした。
ガードして、ああ回復は全体か、じゃあ3つ作って、後足りないのなんだとりあえずマジックブレイクにしておいて、ああ魔法出来てないけど遠いから3で妥協して…、みたいなことをエンドレスに考えながらやることになります。楽しいですね。

45. 対戦エネミーズスクランブル

ジャンル 作者
対戦 クロァ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
10分 1.0 全キャラプレイ

良かった点

  • 動作が軽快でぬるぬると動きます
  • キャラごとの性質の違いも上手く表現されています

気になった点

  • 1Pのデフォルトキーコンがやや使いにくいものになっています

レビュー

殴りあう4人対戦

対戦エネミーズスクランブルは、最大4人で対戦ができる戦闘ゲームです。
なお、1人でも遊ぶことができるようになっています。

ゲームのルールはいたってシンプルです。セルと呼ばれる青いモンスターを叩き潰せば得点となり、相手プレイヤーを殴ると得点を奪い取れるというものです。
得点を効率よく稼ぐためにも、上手く立ち回っていくことが肝要となります。

立ち回りの肝は、個性のあるキャラクターから誰を選択するのかに掛かっています。
それぞれのキャラクターには固有の特性や運動性能があり、戦い方もおのずと変化していきます。自分に合ったキャラクターを選び、戦闘に挑みましょう。

それぞれのキャラクターの個性を活かした立ち回りで、勝利をつかみ取りましょう。

感想

ウディタで違和感なく4人対戦が実現できていることは凄いなあと感じました。
キーボードをぎりぎりまで分割して4人分のキーコンを割り当てているので、ものすごく頑張れば4人対戦もできそうです。実際は簡素化しても二人が限界っぽいので、JoyToKeyとか使って誤魔化すしかなさそうではあります。

その割り当ての弊害で1Pのキーコンが/\で決定キャンセルなのが大分攻めている印象です。最初は混乱しました。
一人でプレイしようとした時の最初の操作形態がこれなのは、設定すればいいとはいえ厳しい印象です。せめて最初にキーコンのセットがあると嬉しいかもしれません。

アクションについてはかなりヌルヌル動き、大分扱いやすいです。
ジャンプ挙動に若干の癖はありますが、それぞれのキャラごとの性質の違いもうまく表現していて面白いです。例えば、ワイバーンは地上の足の遅さを飛んでカバーできる性能になっていたりします。
このあたりの運動性能差も考えてキャラピックする必要があります。

個人的に強いと感じたのはダークメイジで、思ったより遠距離攻撃の連射が効くので、近づかずに連射する立ち回りができます。これが強い。
このゲームにおいての近接戦はリスクがかなり高めです。何しろ、近接するということは相手からも殴れるので。そういうゲーム性である以上、安全圏から技が振れるというのは大きいです。
なんやかんや素直っぽいのはゴブリンなので、近接でやるならこっちがお勧めかもしれません。

特にCPU戦においてはCPUが受け身を取って即反撃するみたいな挙動をしている気配を感じるので、なおのこと遠距離戦のダークメイジが光ります。反撃をもらわないのは大事ですね。
そうでなくてもCPUは結構強いので、CPUのレベル調整があると一人用でももう少し遊べたかもしれません。そもそも一人用ゲームではなさそうですが。

ゲームから外れた余談ですが、スマブラめいた格闘ゲーム的な基盤が完成されているので、ルールの構成次第で色々と応用が利きそうなのも面白いです。
操作性が良好で、4人対戦可能な格闘ゲームのベースというだけでも良く完成された作品のように思います。

46. フォゲコマ!

ジャンル 作者
コマンド忘却RPG Masaqq(マサック)
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間 1.053 ノーマルクリア

良かった点

  • コマンドを忘れるという仕組みを、上手くゲームシステムに落とし込んでいました
  • 制限されたリソースをやりくりする面白さがあります

気になった点

  • 仲間の呪文を使う時など、全体的に選択肢の階層が深くなりがちです
  • HPや状態異常の確認でいちいちメニューを開く必要があります

レビュー

コマンドがない、ということ

フォゲコマ!は、コマンドを忘却した状態から始まるRPGです。

このゲームにおいて、コマンドを覚えていないということは、攻撃魔法などのスキルが使えない、というレベルに留まりません。
応答のための「はい」「いいえ」や、果ては「どうぐ」といった大本の選択肢そのものすら存在しないという徹底っぷりになっています。

ゲームの進行としては戦闘をしつつステージを進行し、各所で失われたコマンドを取り戻しつつ、手持ちのコマンドを上手く使って攻略していくことになります。
どのコマンドを取り戻すかは非常に重要となるので、慎重に選択していきましょう。

また、戦闘システムは簡略化されており、ステージ上のシンボルに触れてコマンドを選ぶだけのものとなっています。現在のステータスやコマンドの状態を考えつつ、戦闘すべき相手も選んでいくことが重要です。
戦闘を有利に進めるには仲間を集めたり、攻撃魔法を強くしたりといった様々な方策がありますが、そのどれを行うにもコマンドが不可欠となってきます。戦闘も見据えたコマンド選びが大事になります。

加えて、そうして倒した敵は二度湧かないので、敵がドロップするお金も重要な要素となってきます。
お金の使いどころがゲームの行方を左右することもあるので、上手く使う必要があるでしょう。

そうして様々なリソースを管理しつつ、コマンドを適切に構成し直していく体験は、さながらパズルのようでもあります。
習得すべきコマンドを取捨選択し、仲間も上手く選び、リソース管理の果てにボスの元へと辿り着いていきましょう。

感想

コマンドを忘却しているので、色々もどかしい思いをしながら進めるRPGです。
ちゃんと覚えると一気にやれるようになってくるので楽しい。

コマンドを忘れているという発想およびシステムが秀逸で、それに応じた様々な問題が待ち構えているというのが面白いです。
例えば、はいといいえはセットで覚えておかないと、選択肢が出たら肯定か否定のどちらかしかできなくなってしまいます。不自由な二択どころか、不自由な一択というわけです。

このシステムに加え、触れたら即終わる戦闘システムも相まって、かなりパズル的な印象を受ける作品でした。
実際、そのままだと稼ぎのやりやすい仕様だからなのか、敵が消滅するようにな設計になっていて、この結果詰みが明確に発生しそうなデザインになっています。手順を大きく間違えると、取り返しのつかないことになりそう。
プレイ途中は、パズルに使っていた脳みその部分を多少使っている気持ちになりました。

またある意味では、コマンドとお金のリソース管理とみなすこともできそうです。
お金は一定量なので、これを上手くやりくりしつつ、コマンドの解放順序の優先度付けをしていくことで効率良く動くことができます。
なお、ノーマルでやる分には結構お金が余ったので、大きく外さない限りは恐らく問題がないように感じました。

ちなみに、システム的な罠の一つとして、アイテムの所持数制限があります。
所持数がいっぱいだと敵の落とすアイテムが無条件で捨てられます。ここでどちらかを選ぶ選択肢を作ると、それもコマンドになりそうなので撤廃されてしまったのかもしれません。
調子に乗って敵を倒しまくっているとすぐに限界まで所持してしまうので、逐一うまく対処する必要があります。あんまりサクサクやらないほうが恐らく安定します。

また、コマンド忘れの弊害として、選択肢がだいぶ複雑になる傾向にあるというのもあります。
例えば、仲間の呪文を使用したい時、なかま、仲間の名前、じゅもん、使う呪文の名前、とかなり長くなってしまいます。状態異常のたびにナオールを使うのが億劫になりがちです。
それ以外でも、連続で売り買いした時にいちいち選択肢まで戻されるなど、地味に面倒なポイントもあります。

中でも個人的に一番やりにくかったのは、戦闘後のHP減少がいちいちメニューを開かないと確認できないことです。後は状態異常。
回復するかどうかの判断のためには半ば必須なので、毎回いちいちメニュー開いて確認していたんですが、どうにか常時表示されないかなあという印象です。

通常のRPGなら戦闘が入るので否が応でもパーティメンバーのHP状態とかは分かるんですが、これは即終了する設計なので、目に入る機会が能動的にメニューを開くほかありません。
また、これに併せてダメージをどの程度食らったかが曖昧で、ちゃんと計算しないと敵の強さが分からないというのもちょっとだけ気になりました。

ともあれ、このゲームをクリアした後に改めて振り返ってみると、コマンドを忘れたことよりも、リソース管理と戦闘パズルの印象のほうが強かったです。
アイテムの所持数制限への対処、状態異常への対処、おかねの管理、このあたりに割いた時間のほうがコマンド吟味より長く、苦労したという印象もまたこちらの方が強くあります。なので、印象的にはリソース有限RPGのほうが近いように感じます。

多分、ハードでやると違う遊び味になるのかなあと思うので、慣れてきたらハードで遊ぶ想定なのかもしれません。初手では作者さんの規定した通常難易度であると勝手に決めているノーマルで遊ぶとしている身なので、そのあたりは深く知るところではありませんが。

ここからは大分余談なんですが、はい、チーズでこっちを向いてくれるという仕組みが、細かいながら割と好きでした。
たとえ対象が毒沼で暴れていようとこちらを向いてくれるあたりの芸が細かい。
あんまり意味が無くても、積極的にやってしまう魅力がありました。

はい、チーズ

47. 1/∞の奇跡

ジャンル 作者
ADV 囁ノ葉
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間30分 1.0.2 全ENDクリア

良かった点

  • 色彩の表現が良かったです
  • 掌編のADVとして良く完成されていました

気になった点

  • 分岐前にそこそこの長さのイベントが走るので、エンド分岐の探索時は食傷気味になります

レビュー

奇跡の行方

1/∞の奇跡は、病室の少女とその担当ロボットの7日間を描いた短編アドベンチャーです。
ロボット技術が発展した近未来を舞台に、少女とロボットとの交流と、その少女にまつわる結末を描いた物語となっています。

基本的には探索アドベンチャーの形式をとっており、物語の比重が大きい作品となっています。
探索要素もそこそこに、少女に話しかけて選択肢を選んでいくことで、全部で五つのエンドへと分岐していきます。

探索アドベンチャーとしてはオーソドックスで、全体としてシンプルにまとまっていながらも、勘所では演出により強く感情が表現されていきます。
殊に要所で差し込まれることになる演出は、色による表現が美しく、病室という白い空間の中でより強く映え、それでいて示唆的に物語へと訴えかけてくるものとなっています。

いくつかのエンディングを経て、奇跡へと辿り着いてはみませんか。

感想

今ウディコンでは掌編ADVが少ない印象を受けていたので、ある意味では貴重な作品でした。
個人的にはこの手のゲームが好きなので無限に出てほしい気持ちがあります。

全体的な印象は色味による表現が美しくて示唆的で良いなあと言うものです。
徹底的に漂白された無機質な空間が、それ以外の色の意味も印象も際立たせています。白が基調であるから映えるというのもありますし、そもそもマップ自体が病室というロケーションであることを上手く活かして、白に類する色調に無機質さを上手く付加していて、印象に強く残りやすいです。
そして、それがゆえに青空の綺麗さが鮮明に印象に残ります。あのエンディングは決してこのゲームの終着点ではないのだろうと思いますが、それでも最も強く心に残ったシーンを挙げるのであれば、あのシーンを挙げたくなります。

加えて、グラフィックも好きで、演出も割と好きです。必要最小限にしか用意されていませんが、物語を構成するには必要十分になっています。
ただ、演出については別ENDのために周回していると大分食傷気味にはなりがちです。
分岐前にそこそこの長さのイベントが走るので、分岐チェックをしていると何度も見ることになります。とはいえ全体のプレイ時間の内10分程度だったような気がするので、かなり厳しいというほどではありません。

また、終わってみると分岐はかなりシンプルなんですが、誘導は少ないので難しめでした。
最初の分岐にあたる例の部屋に入ろうとはあんまり思っていなかった上、どう使用するかという点も謎でした。マップが狭いので総当たりで突破できる範囲ではありますが、その場合はロボットに無意味に話しかけることになります。
筆者の場合は、BAD2の分岐がしばらく分かっていなかったです。

物語というか世界観の話をすると、機械の三原則が硬いから人間側を合わせていこうという考え、なんというか実に日本らしいなという気持ちになりました。この既存の仕組みを抜本的に見直すんじゃなくて、小手先の解釈で誤魔化す感じがそれっぽい。
プログラマー的にも機械の三原則という抜本的な仕様を今更撤廃すると、どういうバグが出るか分かりませんよという気持ちになるので、案外現実的な落としどころっぽく見えるのも面白いですね。
こういった情報は、この掌編で描かれる世界観としてはちょうど良い規模でありながら、そういう歴史が知れるという意味で個人的には好みです。

しかし、この物語は何をもってして奇跡と表現しているんでしょうか。
もし機械が主体的判断をしたことが奇跡ならば、他のENDもTrueであるべきでしょうし。彼女の心が救われたことが奇跡なのでしょうか。ほぼ同等のことが起きていても、Trueにおいてはその結果というか意味合いが異なるので。
現象そのものはその後の行動や結果には強く影響しないけれど、バタフライエフェクト的に確かに何かに影響を与えたということそれ自体が奇跡なのかもしれません。

「奇跡は誰にでも一度おきる だがおきたことには誰も気がつかない」とは楳図かずおさんの作品の言葉であり筆者の好きな作品で引用されている言葉なんですが、ある意味これもそうかもしません。
実際にこれはロボットに起きた奇跡であって、結末もまた劇的に完治したのでなく、当然そうあるべくして治ったというものであるので、これが奇跡とは作中人物には気づかれていなさそうです。

48. コック出現

ジャンル 作者
戦略SLG風わちゃわちゃ zabumaru
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間30分 1.23 クリア+

良かった点

  • 技術的に凄いことをしていました
  • ストーリーはある種のシュールさがあります

気になった点

  • 設計上、総員攻撃か総員退却しかできず、あまり戦略性はありません
  • プレイヤー側総大将が最前線に立たされるのが辛いです

レビュー

わちゃわちゃ突進だ

コック出現は、クォータービュー上でわちゃわちゃ自動で戦うSLG風のゲームです。

マップ上で自動で戦うユニットたちについて、プレイヤーが干渉できることはたった一つ、全ての味方の移動目標点の指示のみとなります。
適宜指示を出すことはありますが、それ以外は戦闘を眺めていることになるでしょう。

ゲームルールとしては大将さえ倒せば勝ちとなります。うまく誘導して敵の本陣を叩けると効率的です。
その一方で、こちらの主人公がやられた場合は負けとなります。このため、主人公はなんとしても守り抜く必要があります。

そのように敵大将を上手く倒し、こちらの被害を抑えるためには戦略が求められます。
隊列を変更することはできないので、相手の特徴も鑑みて装備と指示によって効率の良い戦略を立てていきましょう。

そうして敵の大将を倒すことができれば、どんどんと仲間に加えていくことができます。
徐々に大所帯となっていく布陣で、様々なキャラクターが入り乱れたわちゃわちゃした戦闘を乗り越えていきましょう。

感想

技術的にはかなり凄いことをしていて、ウディタにおけるクォータービュー自動戦闘の技術デモみたいな印象を受けています。筆者がやったバージョンが良いのかもわかりませんが、プレイできないほどの処理落ちが発生せずにほぼ最後までクリアできました。
クォータービューのマップのクオリティも高いです。

一方で、ゲームとしては割と単純な設計です。
基本的に全てのキャラクターはマウス方向に動くので、総員攻撃か総員退却しかできません。また、戦い始めると、以後どちらかが倒れるまで戦うバーサーカーになるので、不利な戦いから逃げるのも難しいです。

右翼から回り込むか左翼から回り込むか、あるいは待つかくらいの戦略は取れるんですが、それでもあんまり完璧には戦えません。その場の雰囲気というか、味方のAIと指示が上手くはまると勝ちやすくなります。
負けた時の理由は分かりやすい時もありますが、勝てた時の理由が分からないことは往々にしてあります。何度も挑戦した強敵にあっさり勝ってしまったこともありました。

そして何より厳しいのは、自機であるコックが負けるとゲームオーバーになることです。
基本的にこのゲームの単騎は弱いので、逃げ回る必要があります。一方で、コックは自陣の最前線に立たされていて、かつ逃げ道もまた味方AIにふさがれるので、良い感じに後ろに構えられる布陣に再構成できるまで根気良くリトライする必要があります。
代わりに敵大将を倒せばクリアになるというシステムもあるんですが、大将は敵陣最後尾に鎮座しています。何という不平等。

そもそも、味方も主人公もカーソル位置に動く仕様上、主人公はほかの仲間と奪い合いをするので動きにくいのは当然です。また、この仕様があると主人公を後ろに下げようとすると自然に戦線が分断してしまうので後ろに下げづらいというのも厳しめです。

また、布陣というか編成をこちらで組むことができず、かなりバラバラな布陣で開始することになるのも厳しいです。
その上、相手はちゃんと前に壁、中段に遠距離、後方に大将の布陣で挑んできます。何というハンデ。
味方も敵もAIがポンコツ気味なので平気で魔法兵のリーチに入りますが、敵は布陣である程度カバーされているので、こちらが被害を被ることの方が多い印象でした。

システム面で言うと、戦闘のリトライがゲーム開始からで、装備の付け替えという戦略性が取りにくくなっているのも地味に辛いです。
加えて、もし装備まで戻すなら、装備をもらうところから始める必要があるのも面倒ポイントです。なぜならば、装備をもらうとセーブ箇所が消滅するので。

ストーリー面ではひたすら餌付けしてパクパクしていくシュールさが良いです。どれだけ敵対していてもパンを食わせれば皆仲間。
ただ、最後のエピローグだけ進行が遅く、クマが前に出ているせいで読みにくいのはありました。

平たく言うと、勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなしと言ったゲームです。というか不思議の勝ちしかない。

筆者は何とかラスボスまでは倒せたんですが、メイドは無理でした。かんたんでメイドを突破するところまではそれでもいけるんですが、その次の将軍がどうあがいても無理。
しかし、クリア者がいるようなので、世界は広いなあと感じていました。どうやってるんだろう。

49. 悪役令嬢の断罪まであと3ターン

ジャンル 作者
ワンマップADV あきら
プレイ時間 プレイVer クリア状況
20分 1.00.03 全ENDクリア

良かった点

  • サクサクと遊びやすい設計になっています
    • クイックスタート、スキップあたりが便利です
  • 良いキャラクターでした
    • 常時高いテンションでコメディを楽しめるキャラクターです

気になった点

  • 特にありません

レビュー

残された時間は3ターンですわ~~!

悪役令嬢の断罪まであと3ターンは、3回の行動でエンディングが分岐していくアドベンチャーゲームです。
主人公の悪役令嬢を操作し、処刑の運命を変えていきましょう。

プレイヤーが取れる行動は、主に話しかけることと探索することになります。ゲーム上には一つのマップしかないため、それぞれの行動は簡単に行うことができるでしょう。
そうして話しかけることで1ターンを消費し、その取った行動いかんでエンディングは分岐していきます。

このゲームにおいて特筆すべき点は、何といってもスピーディーな展開とノリの良さです。
ゲームの性質上繰り返しプレイすることになりますが、快適に周回できるUIや、トントン拍子に進む会話劇によって、ストレスなくサクサクと遊ぶことができるでしょう。

加えて、そういったスピーディーな展開を支えているものの一つとして、個性豊かなキャラクターもまた挙げられます。
殊に主人公のノリはすこぶる軽快で、様々なキャラクター達と織りなす掛け合いをサクッと楽しめることでしょう。
そんな主人公の運命を変えるには、アイテムを拾ってみたり、何度か話しかけてみたりと、色々やってみることが必要になります。様々なことを試して、分岐していくエンディングや展開を見ていきましょう。

サクサクと悪役令嬢の物語を楽しんでいきましょう。

感想

世は大お嬢様時代なんだなあと思いました。
ちなみに、この作品のレビューをお嬢様言葉で書くか最後まで迷いましたが、お嬢様言葉に不慣れなもので結局普通の形にしました。不甲斐ないし、精進が足りないですね。
ジャイアントとかセレブとかゲーミングとか色々読んで出直します。

全体的にノリと勢いで構成されたゲームではあるんですが、遊びやすさでコーティングされているので、そのノリと勢いを不自由なく摂取できます。
ノリと勢いに任せる以上、途中でそれを阻害するようなゲーム的要因が発生すると十全に楽しめないことに繋がってしまうんですが、このゲームではそういったこととは無縁でした。
なので、掌編として最後まで一気に遊びやすい作品です。楽しく遊べるという点では他の追随を許さないレベルでした。掌編として美しく思います。

特にクイックスタートが便利で、おかげで何のためらいもなく変な行動がとれます。Cスキップも相まって、色々とエンド分岐のために試すのが楽な構造になっています。
これらのおかげで、恐らくエンドに絡まないであろうイベントの葉っぱとかホラーも楽しんで読めます。やはり遊びやすいということは偉大。王様に話しかけ続けて分岐はないよと言われても笑って流せました。
もしスキップが大変であれば、こういったおまけイベントの一つ一つが煩わしいものに変わってしまうので、こういう快適性は冗長性の確保のためにも必要なんだなあという感想を抱きました。

また、3ターン、つまりは3回の会話で分岐するという設計も良くて、適度に試しつつバリエーションも確保された範囲の選択肢数に感じました。
加えて、そのシステムの上に選択肢以外の分岐要素も入れることにより、会話だけでなく若干探索っぽい要素も入っています。これが、ちょっとしたアクセントにもなっていました。
このあたりの短編のバランス感覚が物凄く良いので、気持ちよく遊べる作品です。

またキャラクターも良くて、特に主人公の造形が良いです。一番会話に絡むキャラクターなので、一番良いキャラクターであるべきなんですが、間違いなく一番良いキャラクターとなっていました。属性は盛れば盛るほど楽しいのかもしれません。
他のキャラクターも、短い会話ながらちゃんと文脈に基づいた個性が付与されているのが良いです。ある意味被害者は彼らなのではという気持ちにすらなります。

全体を通して、悪役令嬢ものの文脈をよく知らなくても割と楽しめる作品だったと思います。
筆者個人は、いくつか読んで途中で辞めた記憶だけはあって、今はティアムーン、ユミエラ、実況解説あたりを読んでいます。前者は微妙に違うかもしれない。とにかく、気持ちの良くない展開が続くと辟易してやめる傾向にあるので、このゲームの底抜けに明るい展開は好みでした。

なお、今ウディコンの明るいですわ担当になるかと思います。
熱いですわ、あるいはギャグのですわは他作品にいますね。

50. エステラの冒険 第1章 エステラと古代文明の石板

ジャンル 作者
探検RPG ゲーマーオサーン1号
プレイ時間 プレイVer クリア状況
5時間30分 1.04 完全クリア+

良かった点

  • 色々な行動がとれるシミュレータ的な側面があります
  • 時間に絡んで人の動きが変わる丁寧な作りです

気になった点

  • 時間の調整をしにくいように思いました
    • 睡眠が代替することが多いですが、9時以降しか寝れない制限などもあり辛めです
  • 主人公以外文字送りできないので、物語を読みにくいです

レビュー

生活するRPG

エステラの冒険 第1章 エステラと古代文明の石板は、時間の制約により生活を意識させられるRPGです。

このゲームにおいては、プレイヤーのみならず、NPCも時間に縛られています。
休みの日や深夜は店をやっていませんし、NPCがからむようなイベントも進行しません。NPCの生活がゲームシステム上に息づいています。
イベントを進めるにしても、きちんと生活リズムに則って行動していきましょう。

また、主人公は様々なことを体験することができ、これも生活を強く感じさせる要因となっています。
狩猟をしたり、採集をしたり、釣りをしたり、バイトをしたり、各地の街を巡りながら生活に根差した行為をすることができます。
そうして色々なことを体験しながらも、イベントを進めていくことでストーリーは進行していきます。

物語の軸となるのは古代の謎です。古代文明の石板を巡り、その謎を少しずつ紐解いていくことになります。
それに付随して、主人公の両親の事件をベースとしたサスペンスめいた展開も複線的に進行していく、見ごたえのある物語となっています。

各地の街を巡り、生活しつつNPCと交流し、イベントを進めて古代文明の謎を解き明かしていきましょう。

感想

RPGかと思ったら生活系というかシミュレータっぽさのほうが強い作品でした。
戦いはむしろオマケと言ってすら良いかもしれません。

時間にからむところはかなり丁寧に作られていて、曜日や時間の概念で開いている店とかそこにいる人とかが変わってきます。
例えば、日曜日に店が閉まるところとか、宿屋の主人の入れ替わりとか、割と細かいところまで変化しています。Moonなんかを思い出しました。
これに加えて、それぞれのモブキャラの顔が逐一異なることもあって、それぞれのキャラクターの生活感みたいなものがでています。定型文しか喋らないように見える彼らにも生活があるんだなと思いを馳せていました。

一方で、時間を動かすのは何らかの行動をとる以外ではアルバイトによる時間経過、宿屋に泊まる、といった行動しかできず、適度な時間操作はちょっと面倒です。
特に、何時間寝るみたいなコマンドもない上に、そもそも寝るのが9時以降にしかできないという問題もあって、好きに時間調整するのはそこそこ手間がかかります。基本的にはどこかに入っては出るを繰り返すのが良さそうです。

操作は全てマウスできるので、ある程度操作の使用感が良いんですが、システムの面ではやりにくいなと感じるものもあります。
例えば探索においては、連続で探索できず、何度もやろうとすると割としんどいです。また、どの店が開いているかは入ってみないとわからないので、その辺もやりにくくはあります。
他にも、移動中に放っておいたらエステラが時間を止めて喋りだしたりするのも薄っすら面倒に感じました。携帯食料を食べるのもそうです。下に非アクティブなメッセージとして出ているなどであれば、阻害しないのでフレーバーとして良さそうに思います。

また、食糧と主人公の状態はチェックしておきたい気持ちがありつつ、そこそこ遠いUIに存在しています。
ここが悪くても目に見えた変化はそんなにないので、実は気にすることではないのかもしれませんが、もし気にするのであれば常時表示でもいいかもしれません。

これも含めて、戦闘システムや自身のスキルレベルなど、特に上げなくても物語進行上ではさしたる問題が発生しないシステムが多い印象でした。
序盤はちゃんと上げようとしていたんですが、それによるリターンがあんまり感じられなかったので、中盤以降は上げることを意識せずストーリーを進めるという状態に落ち着いています。これもフレーバーなのかもしれません。

物語については思っていたよりもかなりしっかりとあって、石板の謎を解明していきつつ、迫る陰謀が見える構造は良かったです。
全体を通してそこそこシリアス目な世界観ではありますが、主人公と相棒のエステラが明るめの性格なので、総じてあまり暗いお話にはなっていません。

ただ、文字送りができるのが主人公の言葉だけで、ほかのキャラクターの会話が全て表示後に消えるという仕様なので、会話劇が若干楽しみにくくはありました。
クリックすると瞬間表示するんですが、その後早めに消えてしまうので、ちゃんと読もうと思うと難しいです。

なお、先述したようにキャラクターは結構色々いて、それぞれの容姿が異なっています。町にいるモブみたいなキャラクターでさえ、固有名とグラフィックが割り当てられていました。
若干主要キャラを把握しにくいきらいはあるんですが、本当の主要キャラはちゃんと登場回数も多いことで情報量が担保されているので、そのあたりは読んでいけば問題にはなりません。端役の将軍とかの立ち位置がうろ覚えになるくらいです。
個人的には、ポンカールの人たちのノリが好きでした。あとはリムシーが作劇的に意外と良い立ち回りをしている印象です。

一応見れるエンドは全て見たと思っているんですが、なんとなく道中の選択肢による分岐もありそうです。
特に、ポンカールは救わない道もありそうに思えました。その場合どうなるかは分かりませんが、それもエンド分岐につながるとすると、全部見ようとするとなかなかハードそうです。クリアまで大体4時間30分で、全部知っていてもそこそこ時間がかかりそうなので。

なお、最初は機械音声を聞くたびにぞわぞわしていてたんですが、ずっと聞き続けるうちにあんまり気にならなくなりました。恐らく慣れたんでしょうか。それもこれも、エステラがずっと話し続けてくれたおかげかもしれません。

51. 脳筋魔法使いは進学したい

ジャンル 作者
ノンフィールドデッキ構築ローグライト なす太郎
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間30分+α 1.05 NORMALクリア

良かった点

  • 運と戦略性のバランスが良い塩梅でした
  • スキル選択などのランダム性から、リプレイ性が高いです
    • 遊ぶ度に戦い方が変わります
  • ストーリーやグラフィックの緩さが良かったです
  • 複雑な設計ながら、遊びやすく練られたUIでした
    • 機能性と安全性のトレードオフを上手くとっている印象です

気になった点

  • Very Hard はさすがに運要素が強い印象です
    • ただし、運が悪い時は大体早めにつぶれるのでリトライ性というか中毒性は高いです

レビュー

ダイス運を知恵と戦略で乗り越えろ

ダイスの結果というものは、人間の操作の及ぶところではない、覆すことのできない領域です。
しかし、リスクを最小化し、リターンを最大化する方略をとることは可能であり、それには正しい準備が必要となります。
デッキ構築系のローグライトである、脳筋魔法使いは進学したいを攻略するには、運に抗うことなく適切に乗りこなしていくアドリブ性と戦略性が求められることでしょう。

このゲームのベースはノンフィールドRPGとなっています。一歩一歩進んでいき、その一歩ごとに戦闘と様々なイベントがそれぞれ待ち構えています。
徐々に強くなる敵や、ダイス運に左右されるイベント、最後に待ち構える強敵、そういったものを乗り越えて、30歩を歩み切ることができればクリアとなります。

また、そういった戦闘やイベント以外にも、時間がクリアの障害として立ちふさがってきます。
イベントで消費されたり、HPの回復のために休憩したり、そういった行為の度に時間は消費され、24時間経過してしまうとゲームオーバーとなってしまいます。
時間の管理もまた重要になるでしょう。

ゲームのメインとなる戦闘においては、ダイス運がカギです。振ったダイスの出目によって、使用するスキルやその威力が決定づけられるため、敵を上手く倒し切れるかどうかはそこそこ運次第となります。
ただし、天運に全てを委ねるまでに、人事を尽くす余地は残されています。魔法で出目を操作したり、エクストラダイスと呼ばれるアイテムを使ってもう一つ出目を増やすなど、適宜戦略も発動できるためです。
出目に左右されにくいスキル構成を構築するというのも有効な手段です。

戦闘において運を乗り越えて勝利をつかむには、そのような事前の下準備が不可欠となってきます。
その一方で、このゲームではスキルの習得という下準備に対してもランダム性が司っています。戦闘で得た経験値をもとにスキルを習得する際は、ランダムで三枚提示されるスキルから一つを選ぶしかないためです。
現在のスキル構成も勘案して、その周回のベターな設計を心がけていきましょう。

このように、高いランダム性がゆえに周回ごとに異なる戦略を立てる必要があり、フレキシブルな立ち回りが求められるゲームとなっています。
イベントから戦闘まで、ダイス運とうまく付き合いながら難局を乗り切っていきましょう。危ない時は消費を惜しまない勇気も重要になってきます。必要なのは、知力体力時の運です。

このゲームは、周回ごとに得られるスキルが変わり、目指したい構成も変化していき、プレイする度に様々な楽しみ方ができる作品となっています。何度でもプレイしたくなる中毒性があることは疑いありません。
何度も遊べるローグライトが好きな方には、珠玉の作品と言えるでしょう。

感想

全部プレイしようとする人のトラップの一つです。ローグライトは沼ると無限にやれてしまうんですが、この作品は例に漏れず無限にやれるだけのポテンシャルがあります。
筆者は運を戦略と知識でねじ伏せる系のローグライトが大好きなので、このゲームはもちろん大好きです。

なお、ダイスによるローグライトだと最近ならDicey Dungeons あたりが思いつきますが、未プレイなので比較評価はできません。もしかしたら近い内容があるかもしれませんが、そこは流してください。

ダイスというのは本来的に運の要素が強く出るので、ローグライトのランダム性と上手く噛み合った要素だと思います。
これに加えて、この作品ではそのダイスをもとに何をやるか、またその「何をやるか」の手札についてもどれを選択するかによって、メタ的に運を制御できます。
例えば、低い出目が出てもカバーできるように裏拳を採用したり、そもそも低い出目を出さないように魔法でコントロールしたりと、運に対して制御可能な塩梅がちょうど良いです。

しかも、その手札選択の行為自体にさえランダム性が有るので、プレイごとにプレイ体験が違うのも良いです。
狙ったスキルが手に入らなかった場合は持っている手札でしか戦えないので、そこで思わぬ発見を得られることもあります。
そうなると、次はスキルの組み合わせやら何やらが頭に浮かびだして、それを実現するためにまた潜ることになります。この永久機構に取り込まれると抜け出せなくなります。怖い。

このあたりの、運によって当意即妙な立ち回りは要求されるけれど、極端な運ゲーにはならないバランス調整は良く完成されていると感じています。
どれほど戦略的に立ち回っていてもダイス運が腐っているとろくな目に遭わないところも含めて、運に振り回されながらも地に足付けた戦略が求められる良い塩梅です。
運によるリプレイ性の高さを享受しつつ、戦略による楽しさを担保しています。

とはいえ、ダイスベースではあるので、どうにもならない不運が起きたりはします。
ダイス運という絶対的支配者に屈することは往々にしてあるので、エクストラダイスを3つ振って全て1が出てもめげないのが大事です。新幹線カードをもらえたりはしないので。
特に高難度を選んだ場合は運によってかなりきつくなることもありますが、大体そういう時は序盤で崩れるのであまり気にはなりませんでした。

攻略の話になりますが、筆者はVery Hardのラストで敗北しているのであんまり参考にはならないです。
とにかくHPが大事なリソースなので、毒はめちゃめちゃきついです。麻痺、混乱も地味にダメージではありますが、毒の直接的な厳しさには及びません。
免疫をつけても完全対処にはならないので、とにかく早めに倒すことを心がけるしかないのかなと思っています。

Normalクリア時の編成はガチ脳筋、深呼吸によるバフかけた腕と足の4サイコロ攻撃によるごり押しでした。
ローキック、裏拳をちゃんと用意できていれば、事故らない限り最初のターンで一人狩れる布陣です。ここに先見と半身による加速、一本背負いと掌底、足払いによるスタンも入れておくことで、一方的に殴れるマシーンにしていました。

Very Hard で一番惜しいところまで行った時は、ガチ脳筋、アドレナリン、深呼吸のバフによるごり押しでした。変化がない。
とにかく先手でごり押せればよかったんですが、腕に攻撃があまり用意できなかったこともあって、火力不足で惜しくも敗れました。ダイスが腐ったのもあるんですが、腕の防御のどれかを犠牲にして攻撃重視で挑めばよかったなと反省はしています。
ただ、ガチ脳筋のデメリットである魔法を使いにくいというところを、逆張り、集中による一時回復で一回だけ使えるようにしていた構成はうまく機能していた気がします。

ストーリーはあってないようなものではあるんですが、適当な名前付けが好きです。そもそもテキトゥーナ魔法学校なので。敵のグラフィックも含めて緩い感じが好みでした。
周回するべき要素にはストーリーを入れずフレーバーで済ましているのも良いところです。何度プレイしても、物語を気にするのはOPとEDを能動的に見たタイミングだけになります。
ただ少なくとも球団を作る話ではない。

UIの面で言うと、割と複雑な設計のゲームですが、かなり遊びやすいレベルに落とし込まれていると思います。
アイコンの多用でうまいこと面積を抑えつつ、右クリックで常時説明表記可能になっているので意味もとりやすいです。
頭 -> 体 -> 腕 -> 足 の順でスキルを使わないといけない、そのたびにダイスがふられて選択しないといけない、かつそのダイスをどれに対応させるか決めないといけない、という制約をある程度使いやすくまとめていたように思います。

若干誤操作の起きやすい設計だとは思っているんですが、順列の入れ替えなどでユーザーが誤操作を起こしにくくできるようにしつつ、機能性を優先したものだと感じています。いちいち聞かれたんじゃ鬱陶しいですからね。

ともあれ、ある程度遊びやすい沼を作ったものだからずぶずぶとはまりかけていました。
これを書いている最中にも思い出すついでにVery Hardに挑んでは破れています。あとちょっとでいけそうな気配を感じるんですが、壁が厚い。ガチ脳筋の限界かもしれない。

返す返すも何度もプレイしていて思うのは、Normal という難易度の、何度かやればまあクリアできるというバランスもさることながら、Very Hard という難易度の、軌道に乗ればクリアできそうでやっぱり難しいというバランスは本当によくできているなということです。
ラストでダイスが2回腐らなければ勝ててたんです、本当です。エクストラが残せなかった筆者に不備があるのは事実。

なお、ずっとこのゲームをローグライトと呼称していますが、永久アンロック要素などの持ち越し要素がなさそうなので、ローグライクと呼んでも良いかもしれません。
ただ、ローグライクというとそれこそ本当にローグっぽいゲーム性がイメージされるので、なんとなくローグライトと呼んでおいた方が無難かなという印象です。ベルリン解釈的にも微妙に合致していなさそうでした。この辺のジャンルは難しいですね。

このゲームの中では、一応図鑑みたいな要素はありますが、結局挑む際は裸一貫で臨むことになります。
なので、ゲーム上に本来形のない情報という知恵や経験という糧を武器に、難関に挑むさまは割とローグライクっぽいなあという気持ちはあります。

52. 割烹活法・神ノ七草

ジャンル 作者
ノンフィールドRPG なごみやソフト
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.02 クリア

良かった点

  • ボスごとに良いギミックバトルが楽しめます
  • 状態異常管理ベースという特殊な戦闘システムが面白かったです
  • 世界観がしっかりとありました

気になった点

  • 散策の意義が不明瞭でした
    • 用途としてはほぼ回復のためになりそうですが、ランダムイベントがあるためなかなか休憩できません
    • ある程度リスクがあれば回復できるかのギャンブルになりますが、リスクもそれほどないため、回復が引けるまで回すことも可能でした

レビュー

和服ギミックボスバトル

割烹活法・神ノ七草は、料理でボスを処理していくギミックバトルめいたノンフィールドRPGです。
ノンフィールドのステージを戦ったり散策したりして進めていき、最奥のボスに挑む形となっています。

各ステージのボスはそれぞれ専用のギミックを有しており、それを上手く対処していくことが攻略の上で重要な点となります。
そして、この専用行動への対処のカギを握るのは、料理というコマンドと、そのコマンドで与えられる状態異常です。

料理には様々な種類が存在し、それぞれの性能や対応する状態異常が異なってきます。
敵の付与してくる状態異常に対処するにも、相手に上手く状態異常を付与するにも、料理は欠かせない要素となってきます。
このゲームの特徴である、状態異常は一種類しか掛からないという性質を活かし、あえて味方に状態異常を被せるという戦略もあるでしょう。

また、ボスを攻略する上で重要なもう一つの点が、旨味と呼ばれるゲージを貯めることです。
旨味を最大限まで貯めることができれば実質的に勝利となるため、ボスごとに異なる旨味の蓄積方法を見つけ出していくことが肝要となってきます。
旨味を効率よく貯めるためには、相手の行動への理解と、やはり状態異常の取り扱いが強く影響してくるでしょう。行動を観察し、適切に対処していきましょう。

なお、料理は食材から成り立ち、食材は道中の敵から入手することができるため、道中のノンフィールドもなおざりにはできません。備えあれば患いなしなので、雑魚敵からは、ありがたく食材を頂いておきましょう。

料理を活用して状態異常を取り回し、上手く立ち回ってボスを美味しく頂いていきましょう。

感想

全編通してギミックボスに上手く勝つゲームという感じです。
料理システムが面白くて、それをどれだけ活用できるかが勝負のカギを握ります。

ベースは状態異常ギミックボスなので、状態異常の管理が何よりも大事になります。
そして、それには食材が何よりも大事になります。道中の雑魚敵からちゃんと食材を集めておけば、ボス戦で想定外のことになっても割と何とか戦えるようになります。準備が大事。

一番ギミックっぽいのは蛇とラスボスですが、それ以外も状態異常のギミックをフル活用してきます。
状況と構造を理解し、食材を上手く使って場を管理する能力が求められるので、状態異常管理バトルシステムみたいな気持ちになれます。状態異常を制するものが戦いを制す。

とはいえ、ギミック自体は初見でもなんとかなるレベルの構造をしていて、基本的には殴るのがメインになるので難しすぎてリトライが必須というほどではありません。
片方が殴ったり守ったりしつつも、料理で持久戦していく戦闘システムという印象でした。どうしても旨味パズルにはなるので持久戦は必要ですが、ちゃんと戦えばどれも20ターンもかからないレベルです。
ニコミ火山が苦戦しましたが、これも吹きこぼれギミックを理解していればもう少し詰められそう。

料理のための素材集めについても、最初の方から連続素材入手攻撃があるので割とサクサクと集まります。また、図鑑を見ると特定の敵の出現率を上げられるので、特定素材の入手も割と容易になっています。便利。
そうして集めた食材をボス戦で惜しみなく使うことで、場を有利に展開できます。
余った素材はナマステに売って食材のバランスを取ればいいので、ガンガン取得したほうが吉です。

ああなるほどそれで旨味が上がるのね、じゃあこういう料理を使って、みたいな考えで、理解、適用、結果が割と早く返ってくるので楽しめます。
旨味ゲージという見た目で分かりやすい勝利条件があるので、料理や敵のギミックに対する理解が素早く完了するのが良い設計だなあと思っていました。

個人的には蛇とラスボスのギミックが好きでした。
蛇は結構ダイナミックな動きをしているのが良くて、ラスボスは勝手に状態異常を作って場を乱す面白さがあります。ラスボスについては最初の内は何が起きてるか分かりませんでした。

難易度で言うとニコミ火山が一番厳しくて、雪面に行ってなければクリアも覚束なかったように思います。一応できるのかな。温度操作はともかく吹きこぼれのギミックが良く分からないままごり押したので、今でも完全な解法は分かっていません。
なお、雑魚のシシヤギヘビだけはあんまり面白みがなくて、MPは削ってくる、速度上昇で回避してくるで、こちらの継戦能力を削り取ってくるのが辛めでした。ボスも含めて一番苦手かもしれない。

なお、散策の設計については、実質的に回復したいから散策しているので他のイベントの必要性をあまり感じてはいませんでした。
現状一応ダメージを負うこともありますが、回復さえ出ればチャラになるので当たりが出るまでガチャを回している気分になります。もし散策でのダメージでゲームオーバーになるならリスクではあると思うんですが、それもなんか違う気もします。
殊にラストダンジョンでは会話後に移動するイベントの確率が高く、それがそこそこ面倒でした。特に、もう戻されも進みもしない最終地点でも発生するのがやや変に感じます。

ストーリーについては、あっさり目ですがちゃんとあります。どちらかと言えば、物語より世界観がしっかりとあるイメージです。七草周りの設定とか。
物語としてはノンフィールドRPGとしてちょうどいいサイズ感だったように感じました。その短い中でも二人のやり取りが軽快で、シシクイのキャラの強さもあってさっくり楽しく読めます。

しかしクリア後部屋における和服に対するこだわりは凄いです。
和服の時間が3時である理由が全く分かっていない。おやつの時間とかそういうことでしょうか。

リザルト

53. The Villagers side story ~僕たちの命、勇者様に託します~

ジャンル 作者
RPG Laplace
プレイ時間 プレイVer クリア状況
4時間 1.02 クリア

良かった点

  • 村という共同体に愛着を持てるゲームでした
    • 一人一人の名無しのモブに至るまでキャラクター付けがなされています
  • 戦闘バランスは良好でした
  • 村人という視点が一貫して保たれたストーリーでした

気になった点

  • 光と闇のギミックは見にくいだけで面白みがないかもしれません

レビュー

村人は生きる、その日が来るまで

ゲームにおける勇者とは、世界を巡り、魔王と渡り合う実力を身に着け、そして全ての人々の期待を背負って強大な悪を打ち倒す存在です。
そういった世界における勇者以外の存在とは、勇者という希望に託し、大きな趨勢にかかわることはできずとも、確かに日々を生きている人々と言えるでしょう。
The Villagers side story ~僕たちの命、勇者様に託します~は、徹頭徹尾、そういった村人の視点に寄り添ったRPGとなっています。

このゲームでは、主人公たちは村というコミュニティを中心に、異変の調査をしていくことになります。そして、調査の過程で、主人公とその属する村は強大な敵のたくらみに巻き込まれてしまいます。
勇者であれば道程の一つとして立ち寄る箇所に過ぎない小さな村ではありますが、主人公たちにとってはそれが全てといってもよい拠点です。
村人という立場で出来得る限りのことをして、脅威に対して精一杯に抗うことになるでしょう。

脅威と戦う戦闘システムはRPGとしてはオーソドックスながら、毎回異なるメンバーで挑むことにより新鮮な気持ちで戦いに挑めます。
加えて戦闘バランスは良好であり、ボスは十分に強いパターンをもって行動してきます。きちんと強力な行動を捌いて、上手く倒していきましょう。

このゲームの圧巻は、村人という視点をもって村を拠点とすることで、村に愛着が湧いてくる点にあります。
名もないモブですら一人の通貫したキャラクターとして描写され、人々の共同体としての村が物語の中でつぶさに描かれることで、ただの小さな村であるにもかかわらず強く惹かれていくことになるでしょう。
その村に襲い来る魔の手に、時に無力感を覚え、時に絶望しながらも、それでも周りの人々との生活のために抗い続ける物語は、確かに村人の物語として銘記されること間違いありません。

村人という視点でRPGを遊び直してみてはいかがでしょうか。

感想

村人の視点というのを徹底的に描くことでしか得られない物語というか世界というか、そういうものを感じられる良いRPGです。
今ウディコンは良いRPGが多いので本当に助かります。楽しかった。

漫画などで村人をベースとした物語を読んでは、結局勇者めいたことやるなあという気持ちになっていたので、こういう冒険はするけどあくまで村人として戦う人々の物語というのは良かったです。
勇者に比べればあまりにも無力な村人という存在でも、その手の届く範囲の生活を守ろうと、各々が懸命に生きる様を描いています。

当然名前がついている主要キャラに思い入れが出るのはそうなんですが、それ以外のただの村にいる一モブに対してさえも村人の一人としての愛着がわくのは面白い設計だなあと感じていました。
基本的に村をベースに冒険に行く形式であり、あくまで村という拠点があるからこその愛着なのだろうと思います。勇者の物語であればただの通過する一つの村に過ぎないところですが、この物語においては何よりもフォーカスされるものとなっています。

一度村という拠点そのものは動くことになりますが、人々の生活拠点というかその集合体的な存在であるところの村は最後まで継続して存在し続けるので、最後までこの村全体に愛着を持ち続けることができました。
村というのは拠点としての地理的なものではなくて、ゲーム的には名もつけられていない村人たちも含めた一つの共同体としてのものであったということを強く覚えています。

事実、全く必要がないんですが村人一人一人にわざわざ話しかけに行ってから出発するようにしていました。ちゃんと一人一人に人生があるのを感じられる。
顔グラフィックすらついていないモブですらも、ちゃんと一貫性をもって描かれている丁寧さがあるからこその良さだと思っています。

それと同じくして、ややコメディ調のイベントの数々も良い味を出しています。
依頼から出るサブイベントもそうですが、逢瀬を見た後に鉄と化した後に新技を覚える流れとか、レオンの家にどんどん人が増えていくところとか、それでも彼女が寝ている時はきちんと外に出る細かい配慮とか、そういう細かいイベントの積み重ねがこのゲームのコメディとしての良さを出しています。MVSとか好き。

その上で、メインイベントとしては最ものんきな話をやった後にあのイベントを差しはさむからこそ、コメディからの緩急でより質の高い物語に仕上がっています。
その上で、ここからの物語で村人たちに勇者的活躍をさせることもできるとは思うんですが、ほとんどそういうことをせずに、脇役も含めて徹底的に勇者以外の存在の戦い方を描いていたというのが好みでした。

地上の人をさらうなどの行為をしつつも逆転の一手を模索していた王であったり、間違ったことであろうと自分の家族を守るために行っていた研究者であったり、非道の存在としてすら描けそうな人々も等しく戦った人々として描かれているのも好きです。
彼らもまた、何らかの共同体を守るために奮闘したという意味では、村人たちと立場を同じくするものかもしれません。

そろそろ戦闘の話をするんですが、戦闘バランスは割と良く、バフデバフが重要なタイプです。難度の高い戦略性は求められていませんが、ボスのギミックに上手く対応できないと負けるくらいの塩梅です。
ボスに負けるとギミック解説コーナーが始まり、それを聞いた上でリトライできるのでかなり親切だと思っています。リトライ時にはある程度のイベントスキップもあるので再戦もやりやすめです。

その時々で仲間になるキャラの性質が異なるので、ちょっとした戦い方の変化も生まれるので、大ボスのギミック性も含めて飽きることなく遊べる印象でした。

一つだけ気になる点があるとすれば、自警団の人たちは戦い抜いていた割には初期装備がしょっぱいですね。こればっかりはゲーム都合上仕方がないんですが。そもそも初期レベルが低すぎないかという話もできてしまうので、あんまりメタ的には考えないほうが良さそうです。

また、ロケーションごとに異なるマップギミックが使われるなど、とにかく見目にも遊びにも飽きないように工夫が凝らされている印象も受けます。
ただ、あの光と暗闇のギミックは正直見にくいだけではありました。

それにしても、あの雪ステージの岩に隠された道は何だったんでしょう。想定プレイ時間を見た感じでは、この先にもう一波乱あるのかと思っていました。
なお、想定プレイ時間が7時間からになっていますが、そこそこ寄り道した気もする筆者で4時間なので、長く見積もってもその辺ではなさそうな印象です。あんまり長いと敬遠されがちな気もするので、そこは4時間程度と書いておいて良かったんじゃないかなと思う次第でした。

54. ショートファンタジー 刻と天賦の綺譚

ジャンル 作者
RPGめいた探索ADV テトゥルウイスキー蒸溜所
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間30分 1.11 END1クリア

良かった点

  • とにかく要素が詰め込まれながらも、破綻なく完成されていました
  • フレーバーとしてRPGが機能していました
  • カンノーリが良いキャラクターをしていました
  • 全体的に演出が良いです

気になった点

  • 拠点マップがやや歩きにくく感じます
    • がれきに引っかかったり、導線がシンプルでなかったり、といったところが気になりました

レビュー

闇鍋ファンタジー

ショートファンタジー 刻と天賦の綺譚は、カイジ風のRPGめいた探索アドベンチャーのようなゲームです。
このように一口で説明すると纏まっていないように見えるほど、ミニゲームからダンジョンのRPG、アドベンチャーのようなパートまで、様々な要素が詰め込まれている作品となっています。
それと同時に、そうした要素のごった煮もさることながら、それらが一つのゲームとしてまとめ上げられた作品でもあります。

このゲームでは、命をかけた賭博場に足を踏み入れてしまった主人公、カンノーリを操作して、生き残るためにサブゲームに挑んでいくことになります。
挑戦したサブゲームの成否は、フォースと呼ばれる対価に影響します。フォースは生存に不可欠となるため、可能な限りサブゲームに挑んで入手しておきましょう。

また、一日に一度、ダンジョンに潜ってRPGを楽しむこともできます。
ここで戦って得た経験は後の力となるため、戦いを経験して対策しておくことも生き残るためには重要となってくることでしょう。

さらに、生存のためには仲間との団結も必要となります。時には入手したフォースを使いながら、ストーリー進行の過程で人々と交流を深めていきましょう。
そうして、サブゲームを攻略しつつ、仲間と協力し合って生き残っていくことで、やがて迫りくる脅威に立ち向かうことになります。

こういった様々な要素をまとめ上げているのが、ギャグパートでも心を動かすシーンにおいてもいかんなく発揮されている、高い演出力になります。
その道程で色々なイベントやシステムを体験していきつつも、終局へと収束していく中でストーリーを高める演出を通ることで、終わってみれば正統派のファンタジーを遊んだような爽やかな気分を味わえるでしょう。

様々な苦難を乗り越えて、強大な敵に挑んでいきませんか。

感想

作者さんがすっぽんクエストの方とショートファンタジーの方なので、闇鍋と王道ファンタジーっぽいものが良い意味で悪魔合体した作品です。
終わってみれば正統派のファンタジー作品をやった気分になれるのに、プレイしている最中の感覚はまごうことなきごった煮の嵐です。面白い感覚が味わえますね。

このゲームを闇鍋だと思っているのでどこから話すべきか迷っているんですが、とりあえずカイジから話しておきます。
作中には色々なミニゲームやらパズルが出てきて、良いアクセントになっています。筆者はスロットやブロック崩しをやった結果ぬめぬめレースに落ち着いたんですが、赤スロットって攻略できるんですか。
ブロック崩しをしなかった理由としては、反射角が確定しているタイプっぽいのであんまり面白みがなかったからです。あくまでミニゲームという感じがする。

それはそれとして、序盤の進行はカイジADV、RPGを添えてという感じです。それぞれの人々の現在の状態が表示されつつ、少しずつ何かが進行していく様を感じられます。
選択を誤ったり、ミニゲームに失敗したりすると何か良からぬことが起きそうな気配を感じつつ、ストーリーを進めていくことになります。
そんなADVパートで急に緩い下ネタが突っ込まれる当たりもすっぽんの方っぽいなという印象です。ひどい偏見ですね。

RPG部分については基本的にはダンジョンに潜るところになります。
ダンジョンパートは限定リソースで戦闘をこなすタイプで、上手く戦えばそれほど苦戦せずに攻略可能です。実際、ダンジョンの位置に気づかずに一日スルーしましたが、無事クリアまでたどり着けました。
最終盤の難易度だけ高めではありますが、そのころになるとこちらも強いので割と何とかなります。このあたりの戦闘バランスはざっくり目な印象でした。

そうしてカイジADVパートを抜けると、本編のRPGパートっぽいものが進行するようになるんですが、それでも依然としてカイジADVパートも継続して行われていきます。
このあたりのごちゃまぜ感が闇鍋らしさをより強くしている印象です。

ADVパートの大演目みたいなところのある人間カーリングの完成度はかなり高くて、これだけでもうまく作ればウディコンに出せそうなレベルです。
その上で全員生存を目指すならこうしなくてはならない、という制約もあって、メタ的な思考でも楽しめるゲームとなっています。生かそうとした時の立ち回りはやや難しいですが、相手がそれほど強くないので理不尽ではないレベルです。上手く守りましょう。

一方で本編RPGパートの戦闘バランスもざっくり目な印象で、ダンジョンでもそうなんですが、連続攻撃技をぶんぶん振るタイプの戦いになります。
こちらの取れるスキル構成があまり豊かではないので、回復するか殴るくらいしかなく、相性を突くとか状態異常を活用するとか、そういった戦略性はあまりありません。語弊を恐れずに平たく言えば、物語のフレーバー的な要素という印象です。

ただ、このRPGの戦闘があったからこそ活きる物語もあったので、フレーバーとしてはうまく活用されていた印象です。機械人形の下りとかラストダンジョンの表現としては、これ以上なかったように思います。
戦闘を楽しむためのRPGではなくて、物語を演出し、体験するためのRPGという印象でした。

その物語の話をすると、この作品は今ウディコンの熱いですわ担当だと思っています。コメディ担当でもあるかもしれないけれど。関西弁のほうはいったんおいてください。
やはりカンノーリが良いキャラをしていて、このキャラクターが主人公であるが故に面白い物語であるという風に感じました。

また、カンノーリがああいった明るいキャラクターだからこそ、エクレールのことを少しだけ好意的に見れるという側面があると思います。控えめに言ってもエクレール、自己中心的なクズみたいなところがあるので。この辺もすっぽんの方という感じがしますね。シュンリほどではないと思いますが。

全体的に演出能力が高いのも効いていて、見せの場面で魅せてくる能力の高さが光っています。
そしてそれと同じくらいに、ギャグパートでもその演出能力をいかんなく発揮しています。それをやりだしたらもうカイジなんですよ。

そういった展開を随所に挟みつつも、終盤の展開はまごうことなき王道ファンタジー然としたもので、主人公の精神的な強さも描かれるものとなっています。
誰一人失わせしめなかったという自信がカンノーリに力を与えたんでしょうか。やはり熱いですわだと感じています。

なお筆者は初手でTrueまで行ったので、残りのENDを回収できていないのですが、Normal回収はストンダを見捨てるのが一番楽そうで、Badはちょっとだけ面倒だなあと感じています。そもそも見捨てるのが忍びない。筆者はUndertaleも結局Gルートをやってないメンタルをしているので。

ちなみにどうでもいいんですが、ストンダについて、ドット絵の関係なのかずっと肌色の悪いおばあちゃんに見えていました。何となくそう見えませんか。

書きそびれていた話として、拠点マップがやや歩きにくいことだけ若干気になっていました。
全体を歩き回ろうとすると円形闘技場が直進を邪魔するところとか、がれきが落ちていて引っかかるところとか、そういう細かいところです。
なんとなく闘技場以南のイベントは限られているから毎回行く必要が無いんじゃないかなと思いつつ、律儀にも念のため足を運んでいたせいではあるんですが。
RiME なんかもそうだったんですが、リアリティというか雰囲気のあるマップ作りと移動の平易さは割にトレードオフになりがちな気がしています。

55. 悪魔の本を捲りて

ジャンル 作者
RPG ケイ素
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間30分 1.4 クリア+

良かった点

  • 完全情報戦闘バトルの趣がありました
  • きちんとメタれば戦闘バランスは良かったです
  • 短編として良く落とし込まれている物語でした

気になった点

  • 素材値で一括管理されたため、構成の自由度が下がった印象があります
    • 半ば必須の耐性などに振るとスキルがあまり自由に使えません

レビュー

ひたすら戦い抜け

悪魔の本を捲りては、戦闘をメインとしたRPGです。
悪魔の本を巡るストーリーが展開されながら、基本的には戦闘を繰り広げていくことになります。

このゲームでは、戦いに挑む前に敵の性質や弱点があらかじめ予告されます。
そのため、その情報を活用して、その敵に特化したメタ的な戦略を立てて戦っていくことが重要になります。使用してくる状態異常への対策、弱点を突けるような技構成など、事前の準備をしていくことになるでしょう。

このメタ戦略的なシステムを支えているのは、シンプルかつ何度でも振り直せる素材値をベースとした成長システムです。
敵を倒すと得られる素材値を用いることで、スキルの習得、耐性の獲得、持ち込むアイテムの入手、パラメータの強化など、様々な方面での強化を行うことができます。
敵の情報をもとに、適切に素材値を割り振っていくことで、戦闘を有利に進めていきましょう。

各ストーリーの終わりに待ち構えているボスともなると、事前の情報があっても強力な性能を持っています。
情報をもとにした対策と共に、大技に対する立ち回りといった戦術面でも気を付けて戦って、脅威を打ち払っていきましょう。

感想

戦略ゲーというか、最初に与えられた条件をもとにメタって勝つゲームです。
最終盤くらいはそれだけだと勝ちにくいんですが、少なくとも中盤くらいはメタっていれば負けることは無さそうです。

その結果、あまりにも快勝しすぎていて、セーブを忘れて二度進行を消し飛ばしています。
一度目はシンプルにミスって、二度目はなぜかセーブできずに消し飛ばしました。後のバージョンで修正されたんですが、恐らくタイトルでロードを一度でも選んでからゲームを開始するとセーブできなくなる不具合だったようです。レアなバグを踏んだ。

話を戻して戦闘バランスについてですが、メタれば勝てるし、そうでなければ泥仕合か敗北する良いバランスです。
きちんと対策を踏んでさえいれば、クリティカルなどの運要素が多少絡んでもリカバリーが効く範囲の被害で収まります。逆に、対策をしていないと少しのミスで総崩れになります。
殊に状態異常は半ば対策必須で、異常をそのままにしておくと高確率で戦線が維持できなくなります。一応かばうや、全体状態無効でも対策可能な雰囲気を感じますが、パッシブに突っ込むのが安定だと感じていました。

全体のバランスとしては、おまけボスというか強敵に類する敵とラスボスを除けばそれほど強いわけでもなく、ボスがやや強い程度のバランスなので、詰まらずに進めることができました。
強敵はちゃんと強く、対策を踏んで戦い方を工夫すれば対処可能なレベルです。ラスボスもそれくらい。
ラスボスが抜けて強いのは恒例ですが、今作は準備できていれば対応可能なレベルの強さだと感じています。個人的にはちょうどいい。

なお裏ボスは結構強くて、最初に挑んだ時は大技一発で沈みました。必中+防御無視+クリティカルを耐えるのは無謀だったようです。エンジェルグレイスに頼りすぎた。
ただ、それ以外ではエンジェルグレイスはめちゃくちゃ優秀で、ラスボスから裏ボスまで頼りになる最強の回復手段でした。多段攻撃相手だと相性が良いです。

そもそも、それ以外のスキルを活用しようとすると素材値の壁に阻まれるというのがあります。
素材値自体は能力上昇や属性、異常耐性に割り振っていたのであんまりスキルは活用できませんでした。
一つのリソースに集約されているシンプルさはありますが、組み合わせを色々試す上での障害にもなっていた印象です。そもそも耐性系がほぼ必須のように感じていたのが問題かもしれません。

個人的なケースですが、まず異常耐性をつけて、次に属性耐性に割り振って、とすると残るのはわずかで、それを能力上昇に割り振るとあんまり残りません。アイテムとの食い合いですが、スキル自体相手の弱点を攻撃できるものが一つあれば事足りる場合が多く、アイテムにリソースを優先するケースも間々ありました。
もしかしたら有用なスキルもあったかもしれませんが、どうしても耐性と能力値という分かりやすい方にリソースを振ってしまいがちな印象を受けます。

物語については毎回うまく短編に落とし込まれている方なので、今回も綺麗に短編としてオチがついていました。掌編の連なりみたいな構成もしているので、個人的には好みです。
ちゃんと最後までやったほうが楽しいので、割と強力な裏ボスは倒すのがお勧めです。

しかし、ラペオーが活発化したのはプレイヤーのせいと見て良いんでしょうか。我々がこの物語を始めたばっかりに。ただ、観測する前から悪魔の本が悪さをしていたっぽい描写もあるので、この辺は何とも言えません。

56. wisdom of history

ジャンル 作者
RPG 町野悠人
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.0相当 クリア

良かった点

  • 勉強にもなるRPGというコンセプトが良かったです
  • グラフィックの雰囲気が良いです

気になった点

  • いくつか嘘や謎解きの不具合らしきものが散見されます
    • それ以外にも不具合がいくつかあります
  • 中盤以降はNPCもいないダンジョンを淡々と進むだけになってしまいます

レビュー

ちょっと学べるRPG

wisdom of historyは、学習要素があるRPGです。

序盤の内は、RPGを遊びつつ、学びの要素がある選択肢のもと洞窟を抜けていくことになります。
ここの選択肢で正解するためには、道中の町で見かけた本の知識が重要となります。本には選択肢の答えとなる学習要素があるためです。主に暗記系統になりますが、覚えておきましょう。

中盤以降は、ダークファンタジーめいたRPGを遊んでいくことになります。
NPCになかなか遭遇できず、回復ができなくなり、割とシビアな戦いになるかもしれません。

ややお勉強をしつつRPGを遊んではみませんか。

感想

お勉強RPGというコンセプトは良くて、実際にそこそこ勉強ができます。性質上、計算よりは暗記偏重にはなりますが。
ただ、中盤くらいからはお勉強は鳴りをひそめて、シンプルなRPGが続きます。

勉強面で言うと、古文攻撃はあんまり意味をなしていなくて、殴って毒を与えるゲームになっています。
割と早いうちからボス以外からはダメージをもらわなくなるので、こちらとしては毒だけが怖くなります。ボスについては毒を通せば楽になります。
そもそも、魔法の消費MPが高いので、いかな弱点とはいってもあんまり打つものではなく、ボスに至っては弱点不明なので毒を通すのが丸くなります。
このコンセプトなら、パズルみたいにその攻撃しか通らない+消費MP無しみたいなバランスでもいいような気もします。ボス戦のギミックが難しそうですが。

また、謎解きは実質本を覚えておく暗記です。加えて、本には嘘が書かれています。
ここは学習ゲームとしては本当に致命的だと感じていて、他のどこでバグっても良いからここだけはちゃんとしていてほしかったです。間違った知識を与えてしまうことになるので。
とりあえず江戸幕府が開かれたのは1603年です。関ヶ原の三年後なので覚えやすいですね。
それ以外にも、謎解きパートでも日中戦争周りの引き算とか、日米修好通商条約まわりの計算とか、明らかに変なものもあります。100銭払っている理由、分からないからじゃなくて答えが正解と違うからなんですよね。

ストーリーについては、反抗期を急に迎えた娘みたいな印象です。いきなり姉を臆病者呼ばわりしだすとは思わなかった。
また、世界観の関係上、中盤以降人がいなくなるのは寂しく、ろくなNPCがいない無機質なダンジョンを抜けることになります。さらに終盤は宿屋が無いのでジリ貧の戦いにもなります。結構辛い。
また、途中の洞窟でのイベントのように、急に繋がりの良く分からないイベントが発生することもあります。最後もぽっと出のボスに蹂躙されるので、始終謎の物語が展開されていた印象です。ペプシマンかな。
軸となっている疑似的な姉妹の物語は良かったと感じている一方で、周辺要素が不明瞭すぎてぼやけているのが若干気になりました。

そもそもファンタジーっぽい世界観と古文というミスマッチ感が最後までぬぐえなかったところもあります。通貨単位が銭なのは地味に引っかかってしまいました。

その他、マップチップの上下関係が怪しかったり、左の家に入って右から出てきたり、城の二階から戻ると石の中にいる状態で詰んだりと、あんまりテストプレイしていなさそうな気配を感じています。

そういったゲーム性が詰め切れていなかったり、バグが取り切れていない所はありますが、グラフィックの雰囲気とかコンセプトは良かったと思います。

57. 突撃そのへんの遺跡

ジャンル 作者
戦闘 rute.
プレイ時間 プレイVer クリア状況
20分 1.00 クリア

良かった点

  • 短くギミックバトルが遊べる作品でした
    • MPという概念が切り捨てられているおかげで、純粋に戦略性を楽しめます

気になった点

  • 特にありません

レビュー

お手軽ギミックバトル

突撃そのへんの遺跡は、サクッと遊べるギミックバトル中心のゲームです。
それぞれ特徴を持った中ボス4体、大ボス1体との戦闘が楽しめることでしょう。

各ボスが持っている特徴は独特で、強みでもあり弱点ともなり得ます。
攻略の際は、それぞれのギミック的な特徴を捉まえて、上手く対処していく必要があります。

一方で、このゲームにはレベルやMPといった概念はありません。そのため、各ボスを倒せるかどうかについては、純粋に戦略性が試されることになります。
相手のギミックを理解し、こちらのスキルを含めた手札を確認し、有効な戦略を練ってぶつけていきましょう。

敵をつぶさに観察し、ギミックを読み取り上手くさばいて勝利を目指してみませんか。

感想

お手軽にギミックバトルが楽しめる作品です。
今回のウディコン、ギミックバトルが多くて結構楽しかったですね。

ギミック自体は戦っていれば理解できる範囲なので、ちゃんと考えれば初見でも突破は可能です。ボスのHPも極端に高かったりはしないので、サクッと戦闘を楽しもうという程度で終わります。
かなり高度な戦略性とかスキルのシナジーとかはあんまりないので、本当に手軽に遊ぶ作品という印象でした。
敵のギミックを理解し、こちらの手立てで突き崩す、あるいは対処する手段を考えて、上手くはめられたら気持ちよく勝てるようになっています。

スキルにMP消費が無いのもかなり思い切った取捨選択だと思うんですが、それが良く働いていてシンプルに戦闘パズルを楽しめます。リソース管理をここに持ち込まないのが良い。
極論ずっとヒーリングしていても良いんですが、それだけでは上手く勝てないようにしっかりとバランスされています。

ラスボスだけはギミック以外でも普通に強くはありますが、それでも大ギミックをどうにかすると楽になるように設計されています。
そういう意味でも、徹頭徹尾考えて倒す作品です。RPGにおいての用意とか、そこに至るまでのリソース管理とか、その辺を引っこ抜いて、考えて倒すべき敵を抽出したみたいなゲーム。

よくあるJRPGだと、強敵が目の前にある場合、それを倒すためにはいくつかの手段がありえます。
レベルを上げて基礎力で倒す、仲間の入れ替えやスキルの習得で有効なものを覚えて倒す、など何らかの準備を行って手札を増やして挑むことが必要なパターンが間々あります。
このゲームは手札が固定化されているので、そういった時間のかかる行為が全く思考の埒外におかれて、純粋に今の戦闘についてのみ考えて戦えば良くなり、サクサクと楽しむことが可能でした。

物語もあってないような緩いものなので、本当に戦闘だけサクッと楽しむのに向いています。

58. Moonet

ジャンル 作者
RPG きもちへんな感じ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間30分 1.03 クリア

良かった点

  • 世界観が良かったです
    • グラフィックも雰囲気にマッチしています
  • ねねねというキャラクターが良い立ち回りをしていました
  • 戦闘は良い具合に歯ごたえがあります

気になった点

  • たぬきから最高のアイテムを取得できるのかが気になっています

レビュー

不思議な世界の不思議なお話

Moonetは、不思議な世界観の中で紡がれるRPGです。

このゲームの魅力的な点は、可愛らしいグラフィックで彩られたふわふわした世界観になります。
そうした世界の中でRPGを遊びながら、個性豊かなキャラクターが織りなす物語を進めていくことになります。
一方で、進行するにつれて、それに留まらない魅力も感じることができるでしょう。

また、RPGとしても堅実な設計をしています。戦闘面ではそこそこ歯応えがある難易度となっており、ボス戦ともなれば苦戦するかもしれません。
レベルを上げて、アイテムを惜しまずに戦っていきましょう。

ストーリーを進めていき、この不思議な世界の秘密に迫っていきませんか。

感想

世界観のふわふわさに良い意味で似つかわしくない展開の連続で良かったです。
この世界観でやるから、こういうえぐさが際立つというところがあります。

グラフィックは可愛らしめで、キャラクターもそういう雰囲気ですし、中盤くらいまではそれっぽい展開に見えるんですが、中盤から終盤は怒涛の展開が待ち受けています。あるぱぅ、やってることが鬼畜の所業でしかない。
ロボ化の流れは単なるシリアスムードでお出しされるのとは、また違う嫌な感じがあります。一見ほのぼのした空気感の中で提出されるシリアスは、矛盾を脳が拒否するような、ある意味での嫌悪感を伴うような感覚を呼び起こします。良い嫌な感じですね。

ストーリー展開それ自体は結構特殊かつ飛び飛びの印象を受けるのでつかみにくくはあるんですが、芯は外していないのと、もともと不思議な世界観のおかげで受け入れながら進められます。
個人的には最後に集約する形式が好きなので、最後の方でああいった展開に持っていくのは良いですねという気持ちがあります。

また、戦闘もそこそこ歯応えがあって、特にボス戦が意外と難しいです。ちゃんとレベル上げをしていても、アイテムをケチると負けます。
ただ、後半くらいは基本的にイベント戦闘なのであんまり関係はありません。そういう意味では、たぬきからもらった化けの皮はそこまで使えなかった。
ラスボスもそこそこ強いんですが、マニュアリストでTP回復してアタックアップを積めるのが強くて、それで押し切ることができます。アタックアップは表記上2段しか積めないんですが、1段と2段が別異常扱いなので実質3段積めていそうです。

また、その戦闘前にある生きた化石の存在は結構便利です。ここからボスという標識でもあるし、推奨レベルを話すのでとりあえず話しかけておくと良いです。
ボスの前にちゃんとランドマークがあるというのは、一つの区切りを感じさせるという意味でも割と有用な手法なのかなと感じています。

なお、ニケかダヨ、リセットしてみた感じ、外れるかどうかが一意に決まってるのかなと感じました。
たぬきから巻き上げるために稼ごうかとも思いましたが、さすがに桁が違いすぎたのでやめています。あれを取得できた人はいるんだろうか。

細かいところで言うと、ちゃんとはしごを車いすで通れない表現をするなどの細かすぎるポイントが好きです。それはそうなんですが、ちゃんとマップで表現されているというのが良かった。

しかし、イッツアトゥルーワールドのネタ、ウディコンで二度も被るとは思いませんでしたね。

ちなみに、恐らく第11回の filled with love の作者さんであり、スターシステムが使われているので一部キャラに見覚えがあったりします。ねねね博士は前作でも好きなキャラであって、今作でも好きなキャラです。ああいうテンションが好きというきらいがあります。

59. エムロード

ジャンル 作者
RPG Chike Chicken
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間30分 7/22 クリア

良かった点

  • まっとうにRPGとして完成されています
  • パズルをするような場所でエンカウントしませんでした

気になった点

  • ただ歩いて戻るような箇所があって辛めでした
  • 細かく気になるところがあります
    • ワールドマップの水辺があまり凝られていないなどの致命でないレベルです

レビュー

王道RPG

エムロードは、ウディタデフォルトの仕組みで作られた真っ当なRPGです。
王道展開の物語の中、RPGをストレートに遊ぶことができる作品となっています。

ゲーム性はシンプルで、ダンジョンを攻略して進めることで、物語もまた進んでいく形式です。
時にはパズルもこなして、時には雑魚との戦いの消耗を気にして、時には強力なボスに挑んで、オーソドックスで明快なRPGを進めていきましょう。

奇をてらったところのないRPGを遊んではみませんか。

感想

ウディタデフォルトシステムでちゃんと作られたRPGという感じです。
若干戦闘バランスに思うところはあれど、おおむね堅実に作られています。

戦闘面で気になったところと言えば主人公のデフォ速度がコウモリに負けていて、0ダメージなのに麻痺付きの攻撃をかましてきて遅延行動をするくらいです。
それ以外では特別大きな不満もなく、堅実な進行をしていきます。

個人的に良かったのはパズル部屋でエンカウントしない設計で、パズル中はパズルに集中させてくれます。パズルやっているのに戦闘すると何をやっているのか忘れてしまうので助かります。

また、細かい話になるんですが、ボタンのかけらが初見では小さすぎて見逃しかけたんですが、最初に遭遇した部屋が暗号部屋だったので何かあるはずだという気持ちで発見できました。
最初にそれが見つけられる部屋が暗号部屋でなければ、恐らく見逃していました。良い配置ですね。

あとは、何も理由が無いのに歩いて戻らせるな教の信者なので、そういう場面が散見されたのは若干辛めでした。あの剣についても、わざわざ取りに戻るには大分遠いなあという気持ちになっています。
もしかしたらほかに戻る方法があったのかもしれませんが。

ワールドマップの水辺があまり凝られていないとか、後半の重要アイテムをくれる人がなぜかカメレオンの格好をしているとか、城の壁が分かりにくい時があるとか、微妙に気になるところはありますが、どれも致命的というほどではないので最後まで遊べます。
この最後まで遊べるというのはかなり大事な部分だなあと感じています。最後まで遊んでちゃんとクリアできるRPGを完成させるのはかなり難しいことだと思っているので。

ちなみに筆者は名前入力があると必ず空白を入力する人なんですが、この作品ではそのまま空白になりました。特にコテハンを持たない身としてはデフォルト名があるタイプが好きなんですが、空白チェックだけのパターンもあったりします。この辺はゲームによりますね。

60. うさぎパンチ

ジャンル 作者
連打 ごーぐる@ウディタ部の先輩
プレイ時間 プレイVer クリア状況
40分 1.0.0 全ボス撃破

良かった点

  • 全てがミニゲーム然としていて良かったです
    • UI一つとっても遊び心がありました
  • 隠し要素の隠し方の塩梅がちょうど良いです

気になった点

  • レベル制があまり必要に思えませんでした
    • ステージごとのレベルカーブを作るためだとは思います

レビュー

キーボードと指を犠牲にハイスコアを目指そう

うさぎパンチは、キーボードを連打していくミニゲームです。
主人公であるうさぎが、遭遇する様々な相手を殴って打ち倒すために、とにかく連打していくゲームとなっています。

相手の体力を削り切るには、とにかくキーを連打してパンチを打ち込んでいく必要があります。キーボードを壊す勢いで打ち込んでいきましょう。
ただし、連打するだけで勝利とはいきません。相手もまた攻撃をしてくるため、これにはきちんとガードで対処する必要があるからです。相手の攻撃にも十分注意して連打していくことが重要です。
さらに、この攻撃に対してカウンターを合わせるということも可能になっています。タイミングよくカウンターを合わせるとより効率よく戦えるため、積極的に狙っていきたいところです。

また、戦う前の連打イベントをこなしていくと、コインが集まっていきます。
こうして集めたコインを使えば、自身を強化したり、要素を解放したり、ガチャを回したりといったことができます。コインを適宜使って、より強くなってきましょう。

相手との戦いで得た経験、そしてコインを稼いで得た強化があれば、並みいる強敵も連打で倒していくことができます。
時には強敵を探し当てつつも、様々な相手に挑戦して、連打を極めてはみませんか。

感想

指がぶっ壊れそうなレベルで連打するゲームです。キーボードも危ないかもしれない。

個人的にはUIが好きで、ミニゲーム然としていながらも、ゲームゲームしている遊び心のあるUIという感じで良かったです。
パンチベースの選択肢だったり、データ壊すにもパンチが必要だったり、ステージ選択の隠し要素だったり、色々なところにゲーム的に仕込まれていて楽しいUIでした。
UIが楽しいと見目が楽しくなるし、インゲームから離れても世界観が崩れていかないので結構重要な要素に感じています。

隠し要素についても功績に明示されているので探そうと思えば探すことができて良い印象でした。なお、筆者が最後に見つけたのは練習場でした。練習いらないなと感じていたので。
それ以外の要素も色々試していれば見つけられる程度なので、自分で見つけたという達成感との良いバランスを作っていたように思います。

ゲーム性としては単純に連打が楽しめるので、連打ゲーとして良かったです。シャドーを手に入れてからの別次元の火力によるテコ入れもあって、ただの連打ながら最後まで遊べました。
カウンターが入っているのが秀逸で、連打だけではなくて適度に頭というか反射神経を使う必要があります。漫然と連打しているだけでは上手くいかないので、その辺のバランス感覚が上手いです。

全体的にサクッと遊べるミニゲーム枠として高い完成度だなあと感じました。
ミニゲームをちゃんと遊びやすく、楽しく、一プレイを短く作られています。

なお、レベルの概念があるので、最初にあんまり時間を極める必要はありません。
レベルを上げてからでないと最速は出せないですし、何ならシャドー無しでは最速は出ません。シャドーはともかく、レベル制はあんまり必要ない気もしています。終盤の敵のHPバーを長くしたい気持ちはありそう。
また、レベル制と並んであんまり必要に思えなかったのは最初の謎の連打フェーズですが、あれはウォーミングアップになるんでしょうか。

ストーリーについては、何も語らずに拳でひたすらぶっ飛ばしていくうさぎのキャラが良かったです。ゲーム性に対してぴったりのキャラでした。プレイヤーは殴るしかないので、そのやることとマッチした主人公です。
やはり暴力は全てを解決しますね。

61. アビスエクスプローラ

ジャンル 作者
ノンフィールドリソース管理RPG 鏡読み
プレイ時間 プレイVer クリア状況
40分 1.01 クリア

良かった点

  • カジュアルにノンフィールドRPGを楽しめます
  • 難易度のバランスがちょうど良いです
  • パッシブスキルの変化で遊び味を変えて楽しめました

気になった点

  • アイテムを良く拾うので、取捨選択の判断をするイベントが多めに感じました
    • アイテム欄を埋めると発生しなくなるので、制御可能ではあります

レビュー

歩んで戦うノンフィールドRPG

アビスエクスプローラは、拾ったアイテムを活用するノンフィールドRPGです。

プレイヤーはノンフィールドのステージを一歩一歩進んでいき、いくつか進むごとに敵と遭遇して戦うことになります。会敵した相手を倒すためには、その道中で拾ったアイテムが重要となります。

進む過程の時々で拾うことになるアイテムは、攻撃手段、防御手段、回復手段と様々です。加えて、それぞれの性能差や特徴も様々となっています。
そういったアイテムの中からどれを残してどれを捨てるか、あるいは敵に対して強いアイテムを切るか、弱いアイテムで騙し騙し戦うか、といった取捨選択が迫られることになります。

接近される前に倒すためにリーチの長い武器を集める、接近されても継戦するために回復薬を集めた上で威力の高い近接武器を集める、敵を見て柔軟に対応を変えるためにバリエーションを確保する、など自分に合った戦い方を模索していきましょう。

また、敵を倒すことで得られる魂性を一定数集めることでレベルアップも可能です。敵を倒した後に、必要であれば忘れず行っておきましょう。
一方で、魂性を消費して大きく回復することも可能です。強力な回復手段に乏しいこのゲームにおいては、状況に応じて使い分けていくことも重要になってきます。

残すアイテムをどれにするか、敵に消費するアイテムはどうするか、被弾を受け入れてでも消費をケチるべきか、魂性を使ってでも回復するべきか、このゲームにおいては様々な局面で取捨選択の意思判断が求められます。
それぞれ適切な選択を行い、アイテムや魂性を上手く活用して、歩みを止めずに最後まで辿り着いていきましょう。

感想

物凄くシンプルにノンフィールドRPGが楽しめる作品です。
ウディコンのシンプルノンフィールドRPGだと、第6回のロードライト・フェイスとかも好きなんですが、それよりはリソース管理がゆるく、よりカジュアルに楽しめるタイプです。

消費性のアイテムを拾いつつ、それらを上手く活用して敵を打ち倒しつつ進むゲームです。
武器によるリーチ差などを考慮したアイテムの取捨選択や、そもそも回復アイテムと武器をどの程度の配分で持つかなど、緩いリソース管理が楽しめます。
割とアイテムは拾える印象があるので、あまり詰め過ぎなくても何とかなると感じています。

逆に、道中良くアイテムを拾うので、500歩目指す時はやや面倒になってきます。
一枠空けておくとアイテムの取得が可能なんですが、その自由を捨ててもアイテム欄を埋めて、必要なタイミングで必要なものを補充していくスタイルのほうが、最終的には楽な気がしています。
この割り切りをした2周目はプレイ時間が半分くらいになったので。ただ、パッシブが強かったきらいもありそう。

筆者のプレイ履歴としては、コロリーヌで負けて、転生して矢と脳筋を引いた結果、矢の高火力と脳筋の武器無しでごり押しました。天は筆者が脳筋ごり押しが好きだということを知っているらしい。
このプレイングは剣のリソース管理を緩くすら考える必要が無いので楽です。

その後、コロリーヌで再度プレイして、今度はちゃんとリソースを余らせてクリアさせました。
初回挑戦時は回復手段を忘れていて単純に押し負けたので、魂性をきっちり維持しておくことも重要です。闇雲にレベルアップしないということもまた大事でした。

全体的には、アイテムをそこそこ多めに拾えることもあって、バランス的には平易めでありつつ、道中のボスをどう処理するかの難易度が残っている良い塩梅だなあと感じました。ラスボスは抜けて火力と体力があるのも厳しくて良いです。

UIについて言及すると、たまに意図しないアイテムを捨てることもありましたが、おおよそ操作ミスに類する行為でした。ここでいちいち確認をはさむと面倒になること疑いないので、この設計が正しそうに思います。
枠自体はちゃんと出ているので、普段なら対処できるんですが、適当に下のアイテムを捨てながら進めていると起きやすい印象でした。

また、何度もプレイするとパッシブスキルも変化して、それによって遊び味が色々変わるんだろうなあとも思っています。実際、最初のプレイ時と脳筋時ではかなり異なったプレイングが楽しめました。

とにかくゲームとして、ふっとやれるちょうどいいサイズのゲームという感じがします。これを書いている間にも確認がてら一週クリアしました。
敗北したのでパッシブ変更でもう一周ね、と言われても、じゃあやりましょうとなるレベルなので、かなりふらっと遊びやすいゲームなんだと思います。

62. Reversible Island

ジャンル 作者
リバーシパズル semicolon
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.0.0 救助

良かった点

  • 良い雰囲気のグラフィックとBGMでした
    • 長時間考えながら落ち着いてプレイできるゲームです
  • リバーシを援用したパズルというアイデアが面白いです
    • ゲームルールもシンプルにまとまっています

気になった点

  • ギミックの広がりがあまり無いので、15ステージ目くらいから飽きやすく思います
    • 性質上、妨害されるほど択が絞られて作業的になってしまいました
  • 一手戻しが欲しかったです
    • ゲーム性上かなり難しいとは思っています

レビュー

リバーシ・パズル

Reversible Islandは、リバーシをモチーフとしたパズルゲームです。ただし、ややアクション的な要素も入っています。
端的にゲームシステムを説明すると、道を作ってプレイヤーキャラクターをゴールに導くことを目標とするゲームとなっています。

このゲームの道を作っていく仕組みはリバーシの上に成り立っています。
プレイヤーは陸地と浅瀬を海の上に交互に置くことができます。それぞれはリバーシのように、挟むことで互い違いのものへと変質していきます。
プレイヤーキャラクターは陸地の上しか歩けないため、うまくリバーシを続けて陸地をつなげて道を作っていくことが肝要です。

とはいえ、陸地だけを作っていれば安全ではありません。あくまでもリバーシであり、交互に打つ必要がある以上、浅瀬が無くなってしまうと詰みになってしまいます。
適宜浅瀬を残しつつも、陸地を上手くつなげていくために頭を悩ませることでしょう。

さらに、ステージが進むにつれて、その難易度はますます上がっていきます。
進行も配置もできない岩山の存在や、アクション的に回避する必要のある周回する鳥、最初に置かれた陸地と浅瀬の状態など、様々な面で考えさせる配置となっています。
地形やアイテムの位置を総合的に判断しつつ、リバーシを継続してプレイヤーの導線を作っていきましょう。

このように頭を使い、画面とにらめっこするゲームではありますが、プレイ中は淡いグラフィックと優しいBGMにより落ち着いた雰囲気が醸成されています。
パズルをするにはうってつけの雰囲気の中、よく考えてステージを攻略していき、進むにつれて複雑化していく地形を乗り越えてゴールを目指していきましょう。

感想

最初のタイトルというかゲームシーンからして雰囲気が良いので良いゲームです。最初の画面の印象値という意味では、今回のウディコンでも一番良いかもしれない。

パズルという性質上、画面をずっと見続けるし同じステージをかなり長い時間プレイすることになります。
その中で、このゲームの画面の色調の落ち着き方とか、ずっと聞いていられるBGMとか、そういうところが非常に心地よく感じます。Baba Is You が無限にやれるのと同じ理由です。
パズルゲームとして十分以上の落ち着いた雰囲気を醸成しています。

ゲーム性も面白くて、陸地をある程度作らないといけないし、地続きである必要がある、しかし浅瀬を減らしすぎるとオセロの都合上詰みが発生するという良い仕組みでした。
浅瀬というデメリットを拡張のためにある程度受け入れつつ、最終的な盤面を考えていくのは楽しいです。さすがに脳内では10手先くらいまで考えるのが関の山なので、形状によるパターンの構成とか、伏線というか置きとして残しておいた浅瀬と陸地の端のセットなんかに救われたりします。

一方で、オセロとしての盤面形成以外に大きなギミックがあんまりないので、5ステージから10ステージやる分には良いパズルなんですが、20ステージもやると大分食傷気味になってきます。
鳥はアクション性が付与されたのであってパズル性にはあんまり寄与していないのもあって、15ステージ目くらいから大分飽きがきはじめました。

地形の封鎖である程度パズル的な違いは出していて、16ステージの逆引きみたいな面白いパズルもあるんですが、妨害されればされるほど択が絞られる都合上、どうしても作業感が強くなってしまいます。
後半の折り返しパズルはその傾向がだいぶ強い印象でした。

ゲームルールがシンプルにまとまっているのはそれはそれで良いことだと思うので、このあたりは難しいところだと感じています。複雑な効果のあるマスを追加したら今度は分かりにくくなりそうなので。

なお、プレイ時間的には1時間で18ステージ、2時間で20ステージをクリアしているので、露骨に後半で時間を取られています。
とはいえ、何度も詰みに陥っては、その時に撮っていた動画を見返して検証していくのは、なんやかんや楽しかったです。動画を撮っておけば、あるタイミングまでの戻し作業がやりやすいのでお勧めです。

あとは、一手戻しがあれば助かった場面はあるので欲しい気持ちもあります。主にミスのリカバリーですが。
プレイヤーが動けてしまう以上、単純な一手戻しが設計できないので難しいとは思うんですが、回数制限付きならテクニックとして許容できる範囲に収まらないかなと感じています。

63. MoonCaliz -ムーンカリス-

ジャンル 作者
ADV/シューター 氷瀬るん
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間+2時間 1.03 全END(Another以外)

良かった点

  • グラフィックが美しかったです
    • 加えて、美麗なグラフィックをいかんなく活用した演出でした
  • 感情の描写密度の濃い物語でした

気になった点

  • シューターパートで処理落ちが目立ちました
    • 特にトリガー時に顕著です

レビュー

美しき青の世界で

MoonCaliz -ムーンカリス-は、シューターが楽しめるアドベンチャーゲームです。
謎の世界に迷い込んだ二人の少年が、過去のトラウマを模したようなエリアを進んでいくことになります。

この世界はいくつかの扉で隔たれたエリアに分かれており、それぞれのエリアをクリアしていくことで次の扉に入ることができるようになっています。
扉の中に入り、主人公の記憶に紐づいた小景の中、何者かと戦っていきましょう。

戦闘においては、シューターアクションをこなすことになります。
ひらひら舞い落ちてくる花びらを、マウスの場合は照準を合わせてトリガーし、キーボードの場合はタイミングよくキーを入力することで撃っていきましょう。そうして何回か撃つと弾切れになるため、適宜Cキーでリロードする必要もあります。
キーボードのが簡単に思えますが、マウスの場合はリロードと意識を分離できるという利点もあります。使いやすい方で挑戦していきましょう。

そうした戦いを乗り越えた先で、この世界における二人の物語は結末を迎えることになります。
その結末がどう分岐するかは、道中の行動がカギとなっています。探索をしたり、積極的にパートナーとかかわっていくことが彼らの運命を左右することでしょう。

そして、この耽美な物語を彩るのは圧倒的に美麗できめ細やかなグラフィックです。物語の中で顔をもたげる危うさが、繊細さを感じられるイラストにより存分に表現されています。
全体としては青を基調とした世界の中で、様々な演出も含めた圧倒的な表現能力をもって物語が彩られていきます。

この世界に閉じ込められた二人の物語を読んでいきましょう。

感想

画力が高いのはもはや言うまでもないことなんですが、演出というか表現能力も高いです。
個人的には最初のOPは何よりも良いと感じているかもしれません。演出面でも画力の面でも突き抜けて良かったです。

物語の話をすると、まずはステージ構成の話になるんですが、ROOM4だけやたら強いというか難しいのは、精神世界的な強度というかトラウマとしての力を表しているんでしょうか。レベルカーブ的には厳しいんですが、表現としては良いように感じました。

また、前作に比べて登場人物が少なく、かつ両方とも喋るおかげで、感情がより直截的に描写されるようになったと感じています。有体に言えば大きい感情の描写密度が上がっていました。
ただし、BADだけだと、感情の重々しさとかベクトルへの理解が不十分なまま終わってしまいます。
そのため、Normal か True を見ないと色々と物語に対して正しくない理解をしそうなんですが、これを見るにはそこそこ厳しい条件を満たす必要があるので若干ハードです。

ちなみに、筆者はプレイ時間2時間でBAD回収をして、残り2時間でNormal系のENDを回収しました。
全部見た印象としては、Trueまで見ないとクリアっぽくない感覚を覚えるので、ちゃんと物語を見たい人はTrueまで見ましょう。Anotherはウディコン版ではロックされているらしいので見えないですが。

なお、内容は軽度というか中度くらいのボーイズラブ要素を含んでいるので、その辺は理解して臨んだ方が良いかもしれません。
筆者は特にどこも気になりませんでしたが、そもそも全年齢向けくらいの緩さなら何でも抵抗なく読めるので、あんまり参考になりません。

ゲーム性としては、シューターあるいはリズムゲームです。感覚的にはリズムゲームが近いんですが、音ハメしているわけではないので、説明するならシューターが適切そうです。
花弁というノーツがひらひら落ちてきて、そのためにタイミングを取るのが難しいという面白いゲーム性をしているんですが、成功演出のせいなのかちょくちょく処理が重めになります。
こうなると、長押し判定が怪しくなったり、そのほかの判定も不安定になったりするので、やや厳しくはなります。ただし、それを入れてもクリアしやすいレベルのバランスはしているので、何ともならないということはありません。

なお、キーボードとマウスどちらでもできるんですが、キーボードでやるとよりリズムゲームっぽさが増して、マウスでやるとシューターっぽさが増します。
感覚的には2周目でやったマウス操作のほうが楽だったような気がしますが、慣れていたせいもありそうです。ただ、リロードを完全に別の感覚に逃がせるという点では強みがあると思っています。

グラフィックについてはどこを切り取っても美しくなっています。
特に基本は青く統一されたデザインだからこそ、途中のステージの異質な色合いが強く印象に残るようになっています。
また、ゲームパート中の背景ですら結構凝っています。惜しむらくは、ゲームパートは忙しくて満足に背景を見ている暇はないということです。何となくの印象しかありません。

また、主人公たちのグラフィックも綺麗に描かれていて、特に一枚絵はかなり綺麗です。
線が細いというか、微に入り細を穿ったというか、とにかくきめ細やかな印象を受けます。ホロロンの精緻さとはまた違う精緻さがあって、こちらはこちらで美しいものです。
会話中の口パクアニメーションのコマ割りが2つじゃないおかげで、ちゃんと喋っているように見えるみたいな細かさもあります。

そして演出的なイベントにおける画の表現能力はさらに突き放された感覚を覚えます。その情景や持つ意味が美しいと呼べるかはさておいても、印象としては綺麗を振り切れて美しいとすら感じた作品でした。

64. 家への帰り道

ジャンル 作者
探索 sio
プレイ時間 プレイVer クリア状況
20分 1.1 クリア

良かった点

  • シンプルにまとまっています
  • 必要最小限の構成となっていました

気になった点

  • 家のBGMが無音でした

レビュー

おうちにかえろう

家への帰り道は、シンプルな探索アドベンチャーです。
家に帰る途中でトラブルに巻き込まれてしまいつつも、何とか帰ろうとする道筋を体験できます。

その身に降りかかったトラブルを解決するためにも、いろんなところを探索して解決の糸口を探し出していきましょう。
主なマップは一つに収まっており、ミニマムな探索を楽しむことができます。

主人公が果たして無事に家に帰れるのかは、プレイヤーの手腕にかかっています。調べるべくを調べ、お家に帰してあげましょう。

感想

シンプルな探索ADVという印象です。本当にシンプル。

とにかく必要最小限の探索要素という設計になっていて、ちゃんと探索していればおのずと正解に辿り着けるようになっています。
細かいイベントの積み重ねで小さな冒険を演出している印象です。
加えて、夕方に学校に行っても差分会話があったりと、細かい所にもちゃんと配慮されています。ミニマムながらも、ちょっとした細かい要素もケアされていました。

なお、最初の歩行速度が遅くなっていて、これで探索やると面倒そうだなあと思っていたんですが、ちゃんと狐になると移動速度が上がるので問題はありません。あの遅さはあくまで演出的なものなので、これは杞憂でした。
一応歩行速度が遅い区間は多少ありますが、演出として受け入れることができるレベルです。

個人的に気になる点を挙げるとすれば、家のBGMがないことくらいです。最初は無音のゲームかと思っていました。

ちなみに、細かい話になるんですが、このゲームはゲーム容量がかなり小さいです。恐らく、今回のウディコンの作品の中で一番Data.wolfが小さいのではないかと思っています。
実際のゲーム内容と即しているといえばそれまでかもしれませんが、これより少なくなりそうなゲームが多い中でちゃんと削減されているというのは良いなと感じました。

65. まな☆がん えくすとりーむ

ジャンル 作者
シューティング カッパ永久寺
プレイ時間 プレイVer クリア状況
20分 1.00 クリア

良かった点

  • だいぶ危ない方向に振り切れた物語でした
    • その上で伏線などはきちんとしています

気になった点

  • シューティング時に、連射できる時とそうでない時があるように感じました

レビュー

色々アブないシューティング

まな☆がん えくすとりーむは、危険な香りのするシューター系のゲームです。

ちょっと危ない物語が展開される中、マナゴンと呼ばれる怪物を撃っていくゲームとなっています。
様々な動きをするマナゴンに翻弄されないように、上手く狙って撃っていきましょう。なお、赤いマナゴンは撃ってはいけないため、注意が必要です。

そうして指示通りにマナゴンを撃っていくうち、物語は思わぬ方向へ急展開を迎えていきます。
マナゴンとは一体何なのかはプレイしてみると分かるでしょう。

感想

※この感想は筆者個人の感想であり、特定の団体などを代表するものではありません。また、特定の団体に対する誹謗中傷などの意図は一切ありません。
この作品の感想をちゃんと書こうとすると危ないことを書きそうなので、先に断っておきます。

風刺作品かと思っていたら、思った以上にそのまますぎるという印象です。もはや風刺の域かも分かりません。全方位に対して直接的にディスってるんですが大丈夫なんでしょうか。
なお、最初の内はタイリク国が中〇人民共和国かと思っていましたが、よく考えなくても名前からして〇シアですね。まあ同じ共産圏だし誤差ですね。

ストーリーは勢いである程度進行していくんですが、ちゃんと赤いマナゴンとか細かい伏線めいたものは張っています。ゲーム性に対してもちゃんと意味付けがされているのが面白いです。
また、ちゃんとやり直せないというところも良くて、どれだけ昔にさかのぼっても殺さないという選択肢はありません。このゲームにエンド分岐などないので、罪は罪としてそこにあるだけです。

ちなみに、これは野暮な話になるんですが、この手の作品を見ると毎回思うこととして、警察の初動があまりにも遅すぎて気になります。そこそこ時間が経過しているのに、一向に動きが無いので。
もしかしたら、タイリク国の工作員が警察組織内部にいて妨害しているのかもしれませんが。

ゲームとしては通常のシューターという感じです。
ちょくちょくギミックは出てきますが、基本的にはちゃんと打てばクリアです。一応全KILLはしたんですが、性質上あんまり喜ばしいものでもないですね。
また、連射できる時と連射できない時があるんですが、この違いの理由が良く分かっていません。何となくウェイトの間隔がまちまちな印象です。

時事が時事で、タイミングもあって大分ラインギリギリの作品という印象はあるんですが、主義主張の類がそれほど色濃く出ているわけではないので、恐らくラインの内側だろうなとは思っています。

66. 海賊黙示録

ジャンル 作者
航海 挟まり卿
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間 1.03 クリア

良かった点

  • 潮流を読んで航海していく楽しさがあります
  • 熱い物語であり、良いキャラクターが描かれています
    • 殊にセリフ回しが最高に粋でした
  • 道中のイベントのバランスも良好でした

気になった点

  • 特にありません
    • チュートリアルはないんですが、それすらも世界観に寄与している印象です

レビュー

アウトローの生きる様

勧善懲悪は正義という行為を下すものであり、正しいことを行うという意志でもって物語が推進されていきます。これは、その意志に基づいた正しさというものが魅力となるがゆえに、翻ってダークヒーローと呼ばれる存在であってもヒーロー性としての正義を求められることに繋がります。
しかし、もしも強い意志に基づいた強い推進力こそが魅力であるのであれば、悪役の美学であるその信念を曲げない意志もまた貴いものであるでしょう。
海賊黙示録が描くキャラクターとその物語においては、徹底して正義としては描かれない悪者であっても、その曲げられない意志が示す生き様でもって、確かに心を動かしてきます。

このゲームは、広い海にポツンと放り出されるところから始まります。右も左も分からない中で船を進め、リソースを消費しつつ移動を重ねていき、広大な海を航海するゲームとなっています。

航海するには潮流を見極めることが肝要となります。
流れにうまく乗ると少ないリソースで渡っていくこともできる一方、逆らうと目的地に着くことさえ覚束なくなります。
流れを読み切って、効率的に航海を進めていきましょう。

一方で、動くたびに消費を重ねていく航海を円滑に進めるには、リソースの補給と強化が必要となってきます。
各地の陸地にある町に寄ることで、資源を消費して補給と強化を行うことができます。ただし、資源はその町を略奪し、補給も強化もできない更地にするしか入手することはできません。
どの町を残し、どの町から資源を奪い取るか、略奪すべき町を選定しつつ、限りあるリソースで大海原を渡っていきましょう。

そうして航海を進め、目的地を渡っていくことで、この作品の圧巻となる熱い物語が展開されていきます。
ゲーム性としても略奪するような悪として描かれる海賊たちは、ひょんなことから世界を救おうとする若者を乗せることになります。
一見すれば正義と悪の矛盾したような取り合わせが、進めていくうちにあるいは同質のもののようにすら思えてくることでしょう。そうした彼らの旅路の果てで、海賊たちの生き様が描かれていきます。

海賊たちの向かう先、そして世界の趨勢を見届けるためにも、後悔せずに航海していきましょう。
熱い物語を体験したい方にお勧めです。

感想

ウディコンを良く知っているとサムネとかコメントで分かる所があるんですが、今回は実質的な匿名が三名いらっしゃったので、一目の判断は難しかったかもしれません。
ゲーム性とかコメントの性質とかで、それでも分かる人は分かるとは思いますが。

ゲームとしては全体を俯瞰するとリソース管理ゲームっぽさもありますが、基本的には航海ゲームです。潮流を読んで上手く航海して、貴重な資源をやりくりしていくことになります。
潮流を見ることが肝心というのが航海っぽくて良く、流れに乗れば高速移動できるし、そうでなくても通れるポイントの見極めなどに使えます。ルートを見定める楽しさがあります。

全体としては有限の資源のやりくりが主で、町でリソースを消費して補給が可能となっています。その一方で、一定まで行くと略奪しないと補給できなくなってしまいます。略奪するとその町からは補給できなくなるので、一方通行のリソース管理が成立していました。
とはいえ、町はそこかしこにあるので、ちゃんと水と機体を拡張し、ある程度節約して動いていればそれほど苦労しないバランスになっていると思います。大分緩いリソース管理な印象です。
念のため、補給点を略奪する時は位置関係を気にしておくと、ちょっと楽になる程度だと感じました。

このあたりの緩めのリソース管理でほどほどの緊張感を持ちつつ、流れを見て大胆に航海していくのが楽しいゲームです。全体的な難易度は、この作者さんのゲームの中では低めな気がしていました。アヴァロンが特異点的に難しいというのはありそうですが。

むしろ、中盤くらいにあるRPG的な戦闘のほうが難度が高い印象で、最後のあれは実質初見殺しだと思っています。そうでなくてもSPリソース管理ゲームなので、ちゃんと戦略的にスキルを使っていく必要があります。
最後のアイツを倒し切るには1000ダメージ必須なので、それまでにリソースを残しつつ、とはいえ相手の火力がかなり高いので被害を抑えるためのリソースは惜しみなく使わなくてはならないという良いバランスです。
このようなイベント的である局所的な戦闘バランスにおいても優れていました。

航海としては最後の目標点が最難関ではあるんですが、これはどちらかというと道筋を見つけることが主眼なのだろうと思っています。何度も沈んではルートを開拓していけば、それほどアクション性は求められずにクリアは可能です。
そういう意味でも、やはり正しくルートを見極めていくことが肝要なゲームなのだと思います。
ちなみに、筆者は左回りの航路を通ったんですが、右回り航路は突破可能なんでしょうか。あの砲台群も厳しいながら、そもそも航路全体が長い印象があるんですが。

なお、最難関たる最終目標点以外についても中ボスレベルの難易度の目標点はあるので、序盤以外は目標点を周ることが簡単すぎる、といったことはありませんでした。
常に潮流を見てルートを考えて乗り切るという面白さは担保されていた印象です。

そして、このゲームを語る上で欠かせないのは、やはりストーリーでしょう。
それぞれの会話は決して多くありませんが、その短いやり取りの中でもキャラクターを好きになれるレベルの密度を持っています。はみ出し者を描きつつ、SFっぽい風味を足すのがべらぼうに上手いです。

基本的に主人公めいた存在は若者たちではあるんですが、はみ出し者のおっさん達がサブを越えてメインとして物語の主軸を担っているからこそ出せる渋さが良いです。各々の発言が逐一良い。マグパイを好きにならない人は多分いないと思っています。
信念を持っている存在は悪役でも脇役でも主人公でも格好よく見えますからね。

物語としての構成についても完成度が高く、上手くけん引する展開も裏切るような展開も入れつつ、ゲームにおいて過不足のないボリュームに収まっています。必要十分な物語という印象です。
加えてその上に、個々の個性や生き方を存分に描くことで、物語そのものの魅力が大きく増強されています。先を読みたくなる理由の半分くらいはキャラクター性に依存していたように感じました。

そうして彼らの物語の行く末が常に気になるからこそ、それが次の町に行くモチベーションになって、どんどんと航海を進めてしまいます。
航海そのものの楽しさもさることながら、次の目的地を目指す上での明確なモチベーションがあるというのもゲーム的には大きな強みになっているように思います。
物語が持つ強い牽引力というか、導線としての力強さがいかんなく発揮された作品です。

かてて加えて、台詞回しだけで物語が高いレベルで構成されたと言って良い完成度をしているので、会話劇の応酬が好みな人には刺さると思います。少なくとも筆者には刺さりました。
あの短い応酬の中で、物語としての熱さもキャラクターとしての生き様もありありと描写できているということが素晴らしいです。

しかしまあ、何も説明せずに大海原に放り出されるの良いですよね。チュートリアルなんかもありません。
この世界観における、全てに対する放念めいた感覚をすら覚えます。

67. 父と娘のまちがいさがし

ジャンル 作者
間違い探し すたーあいす*
プレイ時間 プレイVer クリア状況
30分 1.12 クリア

良かった点

  • 間違い探しにアクセントを加えた良いシステムでした
    • 特に最後のステージの形式が良いです
  • 操作性は直感的でした

気になった点

  • 部分的に常識力あるいは共感力が求められる正解がありました
    • 判定範囲もややエスパーが入ることもありました

レビュー

よく覚えて正解を見つけよう

父と娘のまちがいさがしは、間違い探しを基点とするアドベンチャーゲームです。

基本的には間違い探しをベースに、クリアすることで物語が進行していきます。
しかし、このゲームにおける間違い探しは、ただの間違い探しではありません。間違いを選択することに加え、直前の会話の情報を踏まえて、正しかった方の画像を選ぶ必要があります。

例えば、指の形がパーかピースかという違いがあった時は、直前の会話であの時はピースをしていたという情報があれば、ピースをしている画像の方を選択しなくてはいけません。
双方の画像を突き合わせて間違いを見つける能力はもちろんのこと、短期的な記憶能力も同時に求められることになるでしょう。
なお、必要であれば質問やヒントを活用していくという手も残されています。

そうして間違い探しの問題を次々と正解していくと、ストーリーは思わぬ方向へと転がっていきます。
間違い探しのゲームを乗り越えて、ストーリーを進めていきましょう。

感想

間違い探しというか正解当てに近いゲームです。短期記憶力ゲームとも言えるかもしれません。
間違い探し的な能力も求められますが、それ以外の能力も求められるといった印象です。

会話内容をどの程度覚えておけるかのゲームでもあるので、それによってより正しそうな方を選ぶことになります。
自信が無ければある程度メモっておけばいいですし、実際筆者は個数がらみは自身が無いのでメモしていました。それだけならメモにもそんなに時間はかかりません。

この短期記憶力間違い探しというのは結構面白い仕組みで、単なる間違い探しの上に正解を当てるレイヤーが被さっていて、別の思考を両方使う感じがして良いです。
一つ要素を足すことでオリジナリティを演出する設計として、良くできているように思いました。

ただし、部分的には常識力というか共感力が求められるところもあります。例えば幸せの青い鳥という存在とか、太陽は笑っていたほうが幸せだとか、そういう類が該当します。また、綺麗な結び目と言われて2つ結びを選べたのは、大分エスパーが入ってる印象です。
とはいえ、大まかには情報処理能力で何とかなるレベルなので、それほど理不尽なポイントはありません。
また、若干判定範囲にもエスパーが要求されることがありますが、これも少数でおおよその判定は納得できるレベルです。

なお、基本的に使用するUIは中心に寄っているので操作はしやすく、操作自体も直感的なのでさほど迷うことはありません。ルールの単純さに合った、シンプルな操作性をしています。
加えて操作性は良好なので、すんなりと間違い探しに取り組めます。

ストーリーについては明るめ進行の中に暗い展開をまぜこぜしていますが、おおよそ前向きな内容です。
暗い展開を入れるのが、この作者さんの一種の手癖というか作劇の手段みたいなものなのかなと感じています。実際、悲劇的な展開を入れることでメリハリはついていて、山とオチの落差がついています。

さらに加えて物語に絡む範囲で言えば、最後の形式のステージは好みでした。ストーリーそのものと密接に絡みつつも、ちゃんとゲームとしては成り立っています。
そのゲーム性でしか表現しえない演出を用いて、物語を構成する設計が好みでした。ゲームで物語を構成している以上、ゲームでしかありえない演出がなされていることに強く心が動きます。ゲームである意味を感じ取ることができるので。

68. グレイトサクセス

ジャンル 作者
ランゲーム パンツ14代目
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間30分 1.10 ストーリークリア

良かった点

  • 最高のノリと勢いでした
  • ぶっ飛んだ世界観の中でまっとうに熱い物語を演出しています

気になった点

  • 回避アクション中に上下移動できないことが多いので、回避無敵終了後に当たるというのが間々ありました
    • 特に回避行動が長いキャラクターは、当たるかどうかが運の印象が強いです

レビュー

試される北の大地であなたのサクセスが求められる

グレイトサクセスは、圧倒的なノリと勢いを持つアドベンチャーとランゲームが融合した作品です。

このゲームにおいて特筆すべき点は、始終加速度的に進行していく物語の勢いと、その勢いに乗って存分に浴びせかけられるキマった世界観です。
次から次へと個性豊かなキャラクターが登場しながらも物語が展開し、どんどんその世界に引きずり込まれていくことでしょう。

しかし、そうした独創的な世界観に対して、本筋となる物語は圧倒的に正道な熱いストーリーが紡がれています。
一見すればあらゆる方向にはじけたようなそれぞれの個性も、幹となる本線が真正面を突き進むことで、ある種の指向性をもって物語の中に組み込まれていきます。
そうして構成された世界観と物語により、正道と狂気が交じり合ったような濃厚な体験ができること請け合いです。

また、その物語の合間合間ではランゲームが行われます。
それぞれのステージで異なる自機を操作し、回避行動を上手く使いつつ、障害物に当たらないように駆け抜けていきましょう。
一方で、物語の重要な場面で相対するボスとの戦闘では、敵の攻撃を適宜避けつつ、反撃していく必要もあります。

ランゲームを抜け、熱い物語と狂ったような世界観を存分に浴びながら、あなたもレッツサクセス。

感想

ゲームプレイ中、常にノリと勢いで完全に突破してくる作品です。
これ以上の勢いがある作品は中々見たことがありませんし、これほどまでに勢いの力を感じることのできる作品も中々お目にかかれるものではありません。

まず、ネジを外さないと作れないような世界観の中で、きっちりと構成された真っ当に熱い物語をやっています。正気と狂気を併せ持たないとできない所業です。
ノリは常にキマった雰囲気を保ちつつ、ストーリーラインはどこまでも綺麗に熱いので、狂ったようなノリに身を任せつつ熱い物語が体験できます。狂気的熱狂という感じ。
どれだけ走者が外れたことをしていても、正道を突っ走ってさえいれば綺麗に収まるのだということを教えてくれる作品です。

また、序盤から、あらゆる色々な設定を投げつけては来るんですが、割とふんわり理解で良いということも叩きつけられるのが良いと感じたところです。 いきなり学校教師がデストロイだったりするので、あんまり深く考えなくてもいいんだということが本能的に理解できます。
さらに、どんな設定が飛び出してきても試される大地ということで納得感をごり押ししてきます。まあ北の大地ならそういうこともあるんでしょう。しかし上幌、本当にありそうな言葉。

ストーリー展開的には、何やかんやと様々な設定やキャラをどんどん出していきつつも、それと同時に物語を進行させつつ、最後に風呂敷を畳むのが上手い設計になっています。10話くらいは紹介パートやりながら物語進めているレベルです。
加えて、これだけ勢いとノリで構成された物語でありながらも、最初のあれを伏線として綺麗に回収していきます。そういうタイプの物語とは思っていなかったので油断していて、思わず膝を打ちました。

なお、世界観設定上、シーシェパードとかSDGsとか危ないネタ使っているように見えますが、基本的にはネタとして
消化しているのでそれほど危険な印象は受けません。そもそも、それがメインではないので。
これらは一過性のネタとして使われる程度のものなので、あまり大きく思想的な印象は受けるものではありませんでした。

一方で、ゲーム性はシンプルなランゲームです。
キャラクターごとに当たり判定が違っていたり、ステージごとにギミックや長さ、収集アイテムと敵のサイズ感が微妙に違ったりはしますが、おおよそのプレイ感に大差はありません。

特に判定に癖がある印象で、当たり判定表示状態ですらよく当たり判定が分からないこともあります。敵の当たり判定が見えていないというのもありそうです。
アイテムの取得範囲と当たり判定も同じ仕組みで運用されていそうなので、ハイスコアを目指さない場合は安全運転を心がけるのが良さそうに思います。

また、回避アクション中に上下移動できないことが多いので、回避無敵終了後に当たるというのが間々あります。最初のMrウィナーのアクションくらい短ければ気を付ければ回避可能なんですが、長い連中はシンプルに運なので若干辛めです。班目君のやつとか。
回避なしでは抜けられそうもない構成もちょくちょく見かけはするので、このあたりは運と割り切って、それ以外で体力を減らさないように気を付けるのが丸そうです。

シンプルなランゲーム以外にも、ボスとしてのアクションも存在します。こちらは通常のランゲームに一味加えていて、ちょっと異なるアクションが要求されます。
ただ、どのボスもやることが共通化されているので、こちらもそこまでプレイ感に差はありません。途中から発狂めいた動きも見せますが、結局ラインが増えるだけです。
そもそもこちらの取れる行動が上下運動と限定回避だけなので、さもありなんという感じはします。
上下左右に動けていたら通常のランゲームともども幅が広がるような気もしますが、その分操作性が複雑になったり回避行動による加速が表現しにくくなったりしそうなので難しいところです。

ちなみに、公称のストーリープレイ時間は4時間から6時間になっていますが、私は1時間30分くらいで読み終わっています。何か見逃したかもしれません。もしくは、面白くてさっさと読み切ってしまったのかもしれません。

69. 畑から始める魔法薬学入門

ジャンル 作者
農業合成RPG abon
プレイ時間 プレイVer クリア状況
4時間30分 1.15 クリア

良かった点

  • 無心でずっとプレイしたくなる作品でした
  • 新しいロケーションの解放タイミングがちょうど良いです
  • それぞれのキャラクターのスキル構成の癖が強く面白かったです
  • 近づくとインタラクトできるものが光る仕組みは便利でした

気になった点

  • 畑の管理周りでいちいちメニュー画面を経由するのが煩雑でした
  • 芽吹きの間で毎回入り口に戻されるのは辛かったです
    • 以前の場所に戻れると楽そうです

レビュー

畑に学校に冒険に、好きなように過ごそう

導線が整備され、要素がうまく組み合わさり、配慮が行き届いたシステムの中では、得てしてプレイヤーはルーチンを自分で組み上げて黙々とプレイしてしまうことがあります。
畑から始める魔法薬学入門は、そんな黙々と遊んでしまう楽しさのあるゲームとなっています。

このゲームにおいてのプレイヤーの行動は、起床して畑のお世話をすることから始まります。
畑に種を植え、水をまき、実れば収穫していきましょう。雨が降っていればラッキーです。水をまかなくていいので、普段より時間をかけずに手入れが終わります。

続いて、学校に向かうのも良い選択肢です。収穫したアイテムがあれば、合成して薬が作れるかもしれません。
また、先生からレシピを学べば、新たな薬も作れます。あるいはレシピをアレンジして、より良い薬を作ることに挑戦するのも一興です。
食堂で依頼をこなしたり、図書館で調べ物をしたり、温泉に浸かったりと、様々な施設に立ち寄るのも良いかもしれません。

また、外で採集や戦闘をこなすのも良いでしょう。学校に行った後でも、時間があれば構いません。
採集すればアイテムや畑に植えられる種が手に入りますし、戦闘をこなしてレベルを上げていくのも大事です。ストーリーを進めるにも、外に行くことがカギとなっています。

そうして外で繰り広げられる戦いは、独特な個性を持ったスキルを活用していくことになります。
主人公は作った薬を活かして戦うことができ、仲間のキャラクターは被弾しなければ強化されていったり、ターンをまたいだスキルが使えたりと、それぞれ個性的なスキルを駆使することが可能です。
単独では癖が強いスキルでも、上手く噛み合わせれば何倍にも大きな力となっていきます。適切に戦略を立てて、強力なボスをも打ち倒していきましょう。

そうして採集や学習、戦闘などを終えて帰宅したら寝て、起きたらまた一日の始まりです。
時間の制約はないので、一つの行動が終わったら寝て時間を調整するというやり方でも構いません。自分のやりやすい過ごし方を模索していきましょう。

成長させて薬を作り、薬を活かして戦闘を有利に進めて物語を展開させ、そうして新たな地に足を踏み入れることで新たな薬が作れるようになる。このような、小さな流れとしての一日と、大きな流れとしての新要素の解放、双方の流れが完成された作品となっています。

自分なりの一日の過ごし方を立ててみて、黙々とプレイしてみませんか。

感想

畑で作り、学校を基点に冒険する良いゲームです。
これを先に書くと若干印象悪くなりそうなんですが、あえて書くと、細かい不満点は色々とあったかもしれないけれど最後まで楽しめる作品でした。手元のメモにはいろいろと書いてあるんですけど、それはそれとして何故だか、ずっとプレイできる作品です。

ゲームは楽しめればそれが最高なので、多少の不満点は最終的にはあんまり気になっていません。
枝葉末節はともあれ、楽しさのコアは外していないということだと思うので、主要なルーチン周りのコアがしっかりできているゲームなのだと感じています。

特に自分なりに行動のルーチンみたいなものが固まると、無心でずっとやってしまう感じがあります。
畑を使ってアイテムを取得しつつ、ダンジョンで採集がてら戦いつつ、ちょくちょく授業などもこなしていく、という導線があるおかげで、程よく新鮮味のあるものが見えつつ進行していくので、飽きずにどんどん進められます。

また、時間である程度の行動制約がつくので、これもルーチンを組む導線になっています。
時間という概念が無ければこれを繰り返しやるだけ、といった行動が強くなってきて飽きが早そうなのですが、適度に違うことが混ざってくるので常に変化のあるプレイが楽しめます。
ある程度プレイを続けていくと少しずつ全体の動きそのものは固まっていくんですけど、そこが慣れてくるころには、ロケーションの解放が楽しみになってきます。

新しい場所に行けるというのはそれだけで楽しいのですけど、このゲームはそれがさらに良いものになっています。
まず、新しいロケーションを見る楽しみというのがもちろんあります。ただそれだけではなくて、新しい敵や、新しい素材、そういったものが新しい薬へとつながっていくのが良いです。ストーリーも展開します。
こういったように、ロケーションの解放はいろいろなものへと連鎖していくので、飽きずに楽しみやすいところがあります。

枝葉末節の話をすると、細かい配慮ポイントと、細かいやりにくいポイントが混ざっている感じです。
特に、近づくとインタラクトできるものが光る仕様は地味に嬉しくて、ボタン連打する必要がないんですが、やらされている感も薄れる良い塩梅でした。

一方で、やりにくい感覚を多く受けたのは畑の管理回りです。
農具の切り替え及びシード選択がメニュー画面形式なので、手数がどうしても多くなります。畑がゲームの基点になりやすく、操作頻度も多いのでここは若干煩雑ではありました。
畑内部だけ専用操作キーを割り当てるなどが自然な気もしますが、筆者があまりこの手のゲームをやっていないので最適解は分かりません。牧場物語とかルーンファクトリーあたりが近いんでしょうか。
一方で、歩く必要が出てくる水やりなどは時間の概念があるので制約として受け入れられるレベルでした。

また、 芽吹きの間はそこそこ連続でやることになるので、逐一入り口に戻されるのも煩雑な印象を受けます。
特に後半は解放済みスキルツリーを巡ることになってしまうので、前回居た位置に戻されるなどでもいいかもしれません。スキルツリーとはいえ、基本的には以前いたところのほうが根よりは目的の場所に近そうです。

また、これはアップデートによって変化があったのではないかと思っているんですが、やたらに雨が降ります。
雨がキーとなるものがあったり、雨そのものが水やりが不要になる良い天候ではあるんですが、あんまり降り続けるのも変化がないなあという気持ちでいました。
雨乞いみたいなアイテムがあればバランスが取れるのかもしれません。一方であまりやりすぎると、天候操作する効率を極めてしまってランダム感が薄れてしまう懸念もありますが。

あと、このゲームはちゃんと薬を集めて戦闘するという面白さもあります。
RPGとしては結構まっとうなレベルデザインがなされているので、ストーリーの要所要所のボスにはそこそこの歯ごたえを感じることができます。
難易度は易しめでバランスがとれているんですが、各キャラクターの性質が尖っているのも面白いところです。戦闘も楽しいゲームでした。

ちゃんと畑や探索で手に入れたアイテムから作った薬があれば戦況を有利に運べますし、有利に運んだ上でのライダーズハイがめちゃめちゃ強いので爽快感もあります。アクセル付ければ火力が異常の域に達します。
占星術師も技の癖が強いんですが、上手く扱うと強い技が多くて楽しい。因果律で下地を整えて繰り出すライダーズハイが一番楽しいまであります。

全体を通した個人的な感想として、大きくタイムリミットで区切られていなかったのも良かったなと感じました。
設定的には学年で区切るなどのリミットを作ることもできそうなんですが、そういう区切りが存在しないおかげで、あんまり焦らずに色々と試せて良かったです。
とはいえ、筆者は制約が無くても効率化を目指したくなってくるので、結局は良い感じのムーブを模索してはいました。マージン広めのリミットがあったカミヤセツナでもそんな感じでしたので。

とにかくプレイ中はいろいろやりながら、ちょくちょく新しい場所が出てきて新鮮味を覚えつつ、全体としてはのびのびプレイできたので良い作品だったと思います。のんびりしていなかったのが雨判定のバグの検証時くらいでした。
色々やりながらRPGも楽しみたい人にはお勧めできると思います。

70. ただのRPG

ジャンル 作者
レベリングRPG HRGAME
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.0相当 クリア

良かった点

  • 戦闘ごとにBGMに変化がありました

気になった点

  • 操作性が非常に厳しいです
  • レベリングを強制する割に、敵が遅延行動メインとなっています

レビュー

レベリングせよ

ただのRPGは、レベル制限のあるRPGです。

基本的には通常のRPGとなっていますが、次のステージに進むにはレベルを上げる必要があります。
そのため、とにかくダンジョンに潜ってレベルを上げていくことになるでしょう。

レベリングを繰り返してダンジョンを進んでいき、物語の終わりを迎えてはみませんか。

感想

レベリングRPGとでも言うべき作品でした。とにかくレベルを上げることが大事ですし、それを要求されます。

このゲームに関しては副題が全てを物語っているところはあるんですが、それがどこまでを指しているのか分からないので、一応ここに感想という形では記しておきます。

とりあえず、操作性が非常に厳しいことになっています。
いきなりEキーを使うことから始まり、かなり独自性のあるキーバインドをしています。加えて、あまり意味もなくマウスもキーボードも必要な操作形態になっていて、これが細かいストレスに繋がっています。
メニューの開閉、設定の決定はキーボード必須なのに対して、メニュー操作はマウス必須です。分ける意味があるケースは、演出上の理由とか、構造上の理由とか色々とありそうですが、このゲームに関しては特に思いつきませんでした。

ゲーム設計としては、レベル上げというプレイヤーがRPGで最も作業的に思っているであろうことだけをやらせてきます。
レベル上げという行為は、RPGを初心者が遊ぶ場合でもとりあえず強化していけばいつかは勝てるようにする、いわば自己のプレイヤースキルに応じたバランス調整の一環だと思っているんですが、それが強制されるとなると本当にただの作業になってしまいます。

加えて、一回通したら終わりくらいの経験値ではないので、必然的にダンジョンにただ潜ることになります。
さらに、敵が命中率を下げたり、封印してきたりと、とにかく遅延行動メインなことも作業感に悪い影響を与えています。これで強ければ歯ごたえがあるとも言えますが、ダメージは通してこないので、単純に時間がかかるだけになってしまいます。

なお、筆者がやったバージョンでは、雪ボスを倒すと大量の経験値が手に入ってレベルアップするという不具合がありました。これが意味するところは、作者さんもデバッグ中にレベリングかったるいと感じたということなんじゃないかなと思っています。
作者が面倒に思うのであれば、当然プレイヤーも面倒に思うこと必定です。

それ以外でも、文字がちょくちょくはみ出していたり、でもという逆接の使い方に違和感があったり、拾っても何も起きないアイテムがあったり、いちいち突っ込んでいるとキリがないレベルで色々なもやっとするところはありました。

戦闘バランスの話をすると、レベリングの時はフレイムピラーがお勧めです。回避率とか関係なく殴れます。下の消費MPだけ高い魔法よりはるかにコスパが良いですし、何なら火力同じなんじゃないかと思っています。

シンボルエンカウントにして戦闘をある程度調整できるようにしている、 戦闘ごとにBGMが変わる、など細かい配慮はある気がしているんですが、それよりもコアの部分が厳しい仕上がりだという印象でした。

ちなみに、利用規約の一文である「本ゲームが第三者の知的財産権等その他一切の権利を侵害していないこと」を保証していないのは、プレイヤー云々はおいてアウトな気がしています。そもそも、それは利用規約なんでしょうか。

71. メトロノームファイト

ジャンル 作者
リズム戦闘 二六千里
プレイ時間 プレイVer クリア状況
11時間30分 1.08 クリア

良かった点

  • 忙しなく楽しいゲームデザインでした
    • クラップの存在が特にゲーム性を高めています
  • 敵のギミックや達成条件で各ステージがうまく差別化されています
  • ストーリーの会話劇が軽妙でテンポも良いです
    • ポンポン進む吹き出しUIと、コロコロ表情が変わる立ち絵が効いています
  • 暗めの物語を明るく進行できる良いキャラクター性をしていました
    • 殊にクラウゼがちゃんと主人公をしています
  • 素晴らしい数と質のBGMが収録されています

気になった点

  • 戦闘中のUIは視線が分散しがちです
    • ゲームデザインが複雑な以上、ほぼ不可避ではあります
  • 同じ行動がある場合、どの敵から放たれるものかをクールタイム以外で判別できないことがあります

レビュー

音を楽しもう

音楽は音を楽しむと書くように、リズムに合わせて何かをするということは本能的に楽しい行為です。良い曲に合わせて拍を取るだけでも、テンションは否応なしに上がっていくことでしょう。
一方で、頭を限界まで酷使して何かに取り組んで結実した瞬間は、ある種の中毒的な達成感を味わうことができます。オーバーヒートから解放されて息を大きく吐くような、究極的な緩和が快楽物質を生成しているのかもしれません。
そしてメトロノームファイトは、リズムに乗って意識を限界まで使い切る、双方の楽しさが見事に融合したゲームとなっています。

基本的に、このゲームはステージごとの戦闘をクリアして進めていくことになります。そして、その戦闘は各ステージ固有に割り当てられたBGMとその楽譜に支配されています。

戦闘中は、楽譜の小節ごとに行動が切り替わります。現在の小節が自分のターンであれば、次の小節は敵のターンです。
小節ごとに訪れる各ターンにおいては、その拍子に基づいてリズムよくアローキーを押して行動を決定することができます。拍を間違えたり、無効な入力を行うと失敗扱いになるので、上手くリズムに乗って戦っていきましょう。

行動は主に攻撃、防御、行動順操作の3つが存在します。敵を倒すには攻撃を行い、次の小節の敵の攻撃を防ぐには防御を行い、敵の行動順を制御したいのであれば行動順操作を行っていきましょう。
各行動はそれぞれ異なるアローキーに割り当てられ、小節中に入力した回数によって威力が変わります。それ以外の余剰は、下キーの入力で補うことになります。
例えば、4拍子の場合は攻撃、攻撃、下、下と入力すると威力2の攻撃となりますし、下、防御、防御、防御ならば、威力3の攻撃までを防げます。

ここまでならば威力最大を狙えばい良い所ですが、そうは問屋が卸しません。
各行動は対応する音符を消費してしまうので、闇雲に使っているとすぐに枯渇してしまいます。敵の体力や次の行動を把握し、適切な回数の入力を心がけましょう。
なお、必要であれば全ての拍で下を押すことで、一定間隔で音符の補充ができます。タイミングを見計らって、適宜リロードしていくことも重要な要素です。

これだけでも忙しいですが、加えて楽譜にはクラップという概念も存在します。
特殊なマークの時にENTERキーを押すことで、後続の小節のターンを奪うことが可能となっています。これは行動回数が増えるのみならず、後続にあった敵の攻撃を丸ごと消してしまうという利点もあります。
つまり、相手の行動順を上手く制御してクラップの後ろに持ってくれば、防御すらせずに無力化することができるという寸法です。

このように、必要最小限の攻撃で敵を倒し、必要最小限の防御で敵の攻撃を防ぎ、一部の行動はクラップの後に行動順を制御してそもそも封じと、敵の行動やこちらの音符数を勘案して常に思考を続けつつも、リズムには常に乗っていく必要があります。
かてて加えて、この戦闘は敵を倒せば終わりではなく、これらの要素をフル活用して、各ステージの達成条件を満たしていくことが目的となっています。

ある時は敵を倒した数が求められ、ある時は被弾を減らして体力を残すことが求められ、ある時はミスせずにコンボをつなぐことが求められるため、そのステージによって専用の条件を満たすための行動をしていく必要があります。
考慮すべき事項の多さの前に、頭は常にフル稼働することでしょう。

そうした頭を悩ませる戦いの清涼剤として、サビというシステムも用意されています。
特殊なクラップマークの時に入力を行うことでサビに入ることができ、一定時間音符が無制限になるほか、上手く後続のクラップを決めると四回連続行動ができるようになります。
色々なことを気にせずに、サビで一気に敵を倒す解放感を味わえるでしょう。

リズムを外さないようにしつつも、自分の状況と相手の状況を俯瞰し、それぞれのステージBGMに紐づいた楽譜の性質を活かすことがクリアのカギとなります。
条件達成を目指して果敢にチャレンジしていきましょう。

そうした楽しい戦闘システムに加えて、個性あふれるキャラクター達の軽快な会話劇で繰り広げられるストーリーもまた魅力の一つです。
世界観はややダークなものでありながら、コロコロ表情の変わるキャラクター達の掛け合いの明るさと、音楽のリズムに乗って遊ぶ楽しさで暗い気持ちは吹き飛ばされていくことでしょう。

素晴らしいBGMの数々にノリながら数多のステージを攻略し、最後まで音を楽しんで敵を捌いていきましょう。
難しければ燃える方も、音楽に乗って楽しめる方も、どういった方でも楽しめるお勧めのゲームとなっています。

感想

間違いなく楽しく、そして間違いなく難しいゲームでした。
何度も挑戦するけれど楽しいから突破できるタイプの難易度をしています。

今回のウディコンで一番良いゲームがどれかと問われると色々と迷うんですが、最も面白かったゲームはどれかと問われると間違いなくこの作品になります。プレイ時間の11時間30分ずっと楽しかったです。
というわけで多分感想は長くなるので、とっ散らからないように要素に分けて書こうかと思います。

何はともあれ、まずはゲームシステムの話になります。
リズムゲームと何らかを組み合わせるというのは Crypt of the NecroDancer やヨイヤミダンサーズのように、割と作品例がありそうです。リズムをとること自体が本能的に楽しい行為なので、リズムをとってうまく行動できるゲームが構成できると楽しくなりがちに思えます。
メトロノームファイトはコマンド戦闘をかけ合わせたパターンの作品であり、コマンド選択部分と融合しているので、忙しさとそれを捌き切った達成感があるように感じていました。

基本的にこのゲームはめちゃめちゃ思考が忙しくなります。
まず、楽譜を見て小節を確認してリズムをとりつつ、相手の行動や音符の位置なども確認する必要があります。
次に、コマンド実行後の音符残量は常に把握しておく必要があります。
加えて、ステージによっては敵の位置も確認が必要であり、かつWASDキーで照準を合わせる必要があります。
最後に、常に意識の端にはこのステージで達成すべき条件を置いておく必要があります。必要であれば、条件達成数も逐次チェックします。
小節とその上のアイコン、音符残数、敵の位置と行動、達成条件、と確認要件が非常に多いので、常に脳みそを使い切っていないとクリアがおぼつきません。その分、クリアした時の達成感は焼き切れるレベルです。

プレイ中は、これらのシステムは足し算で構成されているのかなと朧気に考えていました。
最初にBGMの拍に応じたコマンド入力による戦闘があって、それだけだと4攻撃4防御が安定するから残弾数が入り、敵が一体だと作業っぽくてバリエーションがないから複数に増えて、やはり毎回倒すだけだと味気ないので達成条件が入ったのかもしれません。
実際、ステージ数はそこそこありますがどれもバリエーション豊かで、各々の達成条件が違うところもあって、毎回遊びの方針が変わって楽しめました。

加えて、一つのゲーム中でも小節に対してリズムを交互に取るだけでは定常化してしまうところ、クラップを中心に動きの変わる箇所が仕込まれているのも良いです。
攻撃や防御だけが安定択ではなく、適切に行動順を制御してクラップで打ち消す必要も出てくるあたり、常に考えるプレイが要求されます。
さらに、そうしたクラップそれ自体の戦略性もさることながら、サビでひたすら殲滅できる爽快感があるのも好きでした。

一方で、やることが多い分難易度は恐らく高いです。慣れるまでは序盤のステージでさえ苦戦します。
ただ、最初の内は相手の数が増えただけでもあわあわしていたんですが、プレイを続けるうちに譜面と対象を見る能力がどんどんと向上してきました。プレイヤースキルの向上ってこういうことなんですね。
意識を配る場所は多いんですが、意識を配る順番や、相手の行動に対する定型的なやり方が染みついてくると、意識配分が上手く回るようになります。卓越とは技ではない。単なる慣れだ。繰り返し行うことで体得する。

また、敵のギミックが色々とあるのも外せない面白いところです。
ただ大声出して邪魔してくるやつから、音符への干渉、分離合体と色々としてきます。様々な要素が詰め込まれていることを活かして、ゲームシステムをこれでもかと使い倒していました。
個人的には、お祭り男のギミックのが好きでした。ただ邪魔なだけ。

続いて、UIというか若干UXっぽいところについても触れておきます。
マップの構成や移動周りのUIは簡素で好みでした。マリオ3みたいな形式で移動はスムーズに行われ、必要な情報は選択しなくても画面上に表示されています。一番欲しい達成状況が、ちゃんとアイコンに明示されているのも配慮がなされています。
メニュー画面がShift長押しから選択する形式なのは若干面喰らいましたが、慣れればそれほど使いにくくはありません。

ノベルパートはデザインも込みでかなり良くて、ストーリ進行の会話劇のテンポの良さを際立たせています。
マンガの台詞めいた吹き出しをしているので、どちらが話したかが視覚的に一発で分かり、くるくる変わる立ち絵もあって、その発言の状況が一目で理解できます。そのおかげで、会話送りがスムーズに進んでいきました。

戦闘パートについては、要素数が多い中ではそれなりにまとめられているUIになっています。
ただ、いかんせん目を配るべき要素は多いので、プレイ中はかなり視線が散ることになります。敵の行動確認と選択は左、小節確認は上、残数確認は右を適宜見つつ、必要であれば左上の達成条件も見る必要があります。
この中で最も確認するのは小節というか楽譜になるので、ここ基点で目を動かせるようになっているとやや楽だったかもしれません。画面の面積的に無理な気がしますが。
後は、達成条件はそれなりに重要な情報なので、自然に目に入る所に置きたいところだと思うんですが、スペースが無くて左上なのも厳しいです。3つでなければ楽譜上のスペースにねじ込めそうなんですが。

また、敵の行動自体は楽譜に載るんですが、どの敵の行動かまでは特定しにくいのがやや辛いところです。
楽譜情報と敵の確認の双方が必要なうえ、同じ敵がいる場合はどっちの行動かはクールタイムに基づいた推測が必要になります。選択している敵の攻撃アイコンが光るなどすれば緩和するのかもしれませんが、ただでさえ情報が詰まっている楽譜にこれ以上情報を載せるのも厳しいかもしれません。

全体的に、プレイヤー側が視線や意識の配分に慣れてくればそれほど気にはならないんですが、特に初見での情報選択は難しい印象でした。ただ、要素数が多いからバタバタしたのか、視線が移ろうからバタバタしたのか、あるいはその両方なのかは不明です。多分相乗効果だとは思っています。

次に、キャラクターとストーリーの話をします。
物語のベースはそこそこ悲惨で暗めなものに見えるんですが、キャラクターが明るいので中和していて、テンポの良い会話劇であることも相まって、重い気持ちで読むことにはなりません。基本的にゲーム性がBGMのリズムに乗って楽しく遊ぶものなので、物語がそれに水を差してこないというのは大きかったです。
また、登場人物全員が無駄に話し込んだりしないので、とにかくスピーディーに事が運びます。各キャラクターのノリが軽くて良いのも作用していそうです。

また、クラウゼのクラウゼらしいところは残りつつ、成長もする物語であるところも好きでした。ちゃんと主人公しています。
後は、レネがいいところでサポートキャラの立ち回りをしつつ、ずっとキャラクターを崩さないでお兄さんをやっているのも良いですね。クラウゼくらい感情豊かなキャラが相手だと良いペアをしています。

他方で博士は物語が進むにつれて、なかなか感情移入というか共感しにくくなっていき、最終的には塔の出来事から察するほかなくなります。その上でも、やっている所業がやっている所業だけに、やはり共感はしにくいです。まあ実質的なラスボスなのでそれで良いのかもしれません。

最後にグラフィックや収録された数多のBGMの話もしようかと思います。
キャラクターの個性を存分に補強する良いグラフィックをしています。先述しているように、立ち絵で感情が表現されているので場面場面の理解が非常にスムーズに進みます。
それでなくても、コロコロ表情が変わるキャラクターには愛着が湧いてきます。大げさな感情パターン差分が良いですね。

また、敵のグラフィックもバリエーション豊かです。それぞれ敵っぽい見た目ながら、ポップな印象も崩していません。
しかも、いちいちリズムに合わせた攻撃モーションまで用意されています。手が込んでいる。
その上、技や性質に対する納得感もある見た目でもあって、見ただけでも直感的に性能が理解しやすいです。このあたり、アイコンがあるとはいえ重要なところなので、殊に初見では有難いものでした。

そして、このゲームを語る上で豊富なBGMを外すのは不可能でしょう。
正直、このゲーム性で2時間程度にまとまったボリュームのほうがウディコン向きなんじゃないかとは思います。それでも、曲を詰めに詰めて作り上げられたこのボリュームが好きです。
全てのBGMに対して楽譜を用意し、それぞれの特性ごとにステージを作っていく労力は凄まじいものだと思います。それが惜しげもなく詰め込まれているというのが凄い。

しかも、これだけステージを作り込んでいて、ある程度はスキップも許される構造になっている思い切りの良さもあります。これだけ作ったら遊んでほしくなりそうなものですが、そこはユーザーフレンドリーにやりたいだけ遊べるように作られています。
実際、私は全曲やってたのでクリアまでには11時間30分かかっていますが、色々すっ飛ばせれば大分早く終われそうでした。

なお、筆者の好きな曲はオトリズムでも触れたんですが、Trick Style です。
印象に残ったのは難しさでいえば8-6のCrazyHill、拍が難しかったのはまぼろしでした。
他にもいろいろとテンション高めの曲がそろっているので、BGMのリストとして見ても良いゲームです。もちろん、いくつか落ち着いた曲調のものもあります。

個人的には、コントローラーに対応して色々整えればSteamに出して普通に売れそうに感じています。タダで遊ばせてもらっていいんですか、これ。

72. そして世界が死んだ…

ジャンル 作者
ノベル 創造神司
プレイ時間 プレイVer クリア状況
5分 1.01 クリア

良かった点

  • サクッと読めます

気になった点

  • ちょくちょく誤字があるように思います

レビュー

死んだ世界の物語

そして世界が死んだ…は、いくつかの視点で語られる物語です。

プレイヤーは選択肢を選び、それぞれの視点を通じて語られる物語を聞くことになります。
何をもって世界が死んだのかを知るためにも、物語を読み進めていきましょう。

感想

色々とあっさり目のノベルというか物語です。もはやこの感想を読むより、プレイしてもらった方が早いレベルだと思います。
印象としては、さっと終わるダイジェストという感じです。

公称はRPGですが、ゲームというか物語を羅列したものなので、どのあたりがロールプレイしているのかは判然としません。何らかの役割をプレイしたというのであれば語り手が近そうですが、最後は勇者の役割をプレイしていたので、あの場面をもってしてRPGとしているのかもしれません。

物語としては極めて短いながらも、ちょくちょく誤字があるので少し集中が紛れます。自分の父親を父親という呼称で呼んでいるのは誤字なんでしょうか。それ以外でも、父、お父様と呼称の統一感がないんですが、これが時間の流れを意図したものなのか、単に誤字なのかが判然としません。
同様に、プレイが祈りのprayなのも、誤字なのか意図的なのか分かりません。誤字がありそうだと、このあたりが意図的なものであっても、そうは読めなくなってしまうので勿体ないなと感じています。

後は、これは言うだけ野暮な話になるかもしれませんが、騎士団が犠牲になって洗脳を情報として得たのだから、ちゃんと対策して挑んでくれと言う気持ちがあります。あくまでダイジェストなので、やむにやまれぬ事情があったのかもしれないんですが。

73. 毒虫

ジャンル 作者
テキストADV なべのひと
プレイ時間 プレイVer クリア状況
20分 1.04 全ENDクリア

良かった点

  • 毒虫の気分になれました
  • フレーバーが良い雰囲気を醸しています
    • 人間にちゃんと名前がついているのが良いです

気になった点

  • 特にありません

レビュー

人間を喰う、それが毒虫

毒虫は、人食らう毒虫となるシミュレーション、あるいはテキストアドベンチャーです。

プレイヤーが毒虫となってできる行動は、食うことと寝ることしかありません。食えば腹が満たされ、寝れば精神が満たされます。
空腹が続けばゲームオーバーとなってしまうので、適宜人間を食らっていく必要があります。その一方で、精神がすり減っていると食うのに失敗しやすくなるため、適宜寝ていくことも大事です。

そうして人を食らい、寝て、人を食らい、寝て、人を食らい、と続けていくうちに毒虫のカルマは高まっていき、人々から憎まれる存在になっていきます。
それはたとえ空腹で倒れたとしても変わりません。毒虫は再び毒虫へと生まれ、同じ螺旋の中に囚われ続けます。

フレーバーテキストを背景にひたすら人間を食い続けるうちに、その毒虫が辿る結末を見届けてみましょう。

感想

これはもう誰かが言ってそうなんですが、選択肢が食うと眠るしかないゲェムです。厳密には誤りなんですが、おおよそのゲーム体験としては合っている気もします。

ゲーム部分としてはリソース管理ゲームっぽいものです。食えば体力が回復し、眠れば集中力が回復するので、このバランスをうまくとっていくことになります。
とはいえ、眠って集中力を貯めて食うので、究極的にはコマンドを行き来していても何とかなります。何度も繰り返せば食いやすくなっている気もするので、最終的には何とかなります。
全体的に短いゲームなので、これくらいのゲームバランスがちょうどよいのかなと思っていました。

それなので、どちらかと言えばフレーバーを楽しむゲームという印象があります。クリックアドベンチャーではあるんですけど、それ以上に文学というか物語というか。
個人的にはなんとなく北街さんっぽいですね、という印象があります。これは受け取る側にとっての誉め言葉かは分かりませんが、少なくとも個人的には誉め言葉になります。

特に、合間合間のテキストを読みながらひたすら食っちゃ寝をしていると、だんだん毒虫の気分になれるのが良いです。
人間にちゃんと名前がついているのが良くて、食べているのが市民Aでないカルマを感じていました。また、そういう個々の違いが明確であるところのおかげで、襲撃して大して体力が増えなかったら痩せた人間だったんだなと思うようになってきます。食うということを通して思考が毒虫に染まっていきます。

あとは、エンド回収後ちゃんと生き返れないというのが、物語というかゲーム体験的に一貫性があるのが好きです。
己が毒虫であるということを最後まで貫徹してできるというのが体験として良いですね。

74. アグリックス先生

ジャンル 作者
拡大再生産ボドゲ パチ屋賭太朗
プレイ時間 プレイVer クリア状況
40分+ 1.5 49点

良かった点

  • コンボをつなげていく楽しさがあります
  • カードに応じて様々な戦略を立てられます

気になった点

  • ややUIが分かりにくいです
    • ただ、ルールの複雑性も多分に寄与しているものと思います

レビュー

コンボをつなげて大量得点

アグリックス先生は、上手く経路を作って得点を増やしていくワーカープレイスメント系のボードゲームのようなゲームです。

まず、移動可能なワーカーが2体配置され、カードが手札として配られ、最初にいくつかのカードが場に展開されるところからゲームは始まります。

資源を支払いワーカーを場のカードの上に動かすと、そのカードの効力を使って様々なことができます。
資源を新たに得たり、ワーカーを増やしたり、あるいは手札のカードを新たに場に展開したりと、そのカードの効果は様々です。また、移動することなく場に存在するだけで効果を発揮するカードもあります。
そうしたカードの効力で拡大再生産を続けていき、勝利点と呼ばれるものを稼いでいくことがゲームの目的となります。

勝利点は場に展開されたカードが持つほかに、カードの効力で取得することもできます。
勝利点を得るために大抵は条件を満たす必要があるため、リソース管理を忘れないようにしつつ、拡大再生産して勝利点の大量獲得を目指しましょう。

そして、このゲームを特徴づけるのは、カードが持つ移動の特性です。
ワーカーが移動特性を持ったカードに乗ると、追加で移動します。加えて、移動先のカードの効力を使うこともできます。
すなわち、あるカードの効力を使い、移動先でも使い、その移動先でもまた使い、といったように一ターンで複数の行動を重ねてコンボすることができます。

これを達成するには、場に展開するカードの配置方法や、移動特性を付けるカードの使いどころ、ターンごとに移動特性が変わるカードの使いどころなど、様々なことを気にする必要があります。
上手くカードを使いこなして、いっぱい動いて勝利点を最大化していきましょう。

カードを適切に配置し、ワーカーを適切に動かし、手札の運によってはアドリブをしつつも、上手く流れを作って、最高のコンボを目指していきましょう。

感想

知識ゲームです。山札の運はかなりあるとは思うんですが、それが運の良い引きかどうかを理解するのにさえ知識が要求されます。
この辺のカードの使い方回りは非常にカードゲームっぽいというかボードゲームっぽいんですが、アグリコラってこういうゲームなんでしょうか。寡聞にして知らないので、このあたりは比較できません。

恐らく私はこの手のゲームが苦手らしいんですが、それでも楽しめるゲームでした。下手の横好きというか、苦手だけど好きなタイプのゲームです。
知識を得ていき、そのカードリストとにらめっこしながらコンボを考案し、そのルートを上手く構築できると点が伸びます。ただ、カードが来るかは割と運要素が強いため、そこそこアドリブ性の高い立ち回りも求められます。

何より、カードを引くのすら行動の一部になっているので、最悪ケースだとカードもないし行動もうまく取れないという状況に陥りがちです。
私はこの手のゲームは行動回数が物を言うのかなと思ってワーカーを5体配備しましたが、色々ミスもあって相互に邪魔しあう結果になりました。ちゃんと考えて配置していく必要があります。

個人的に試してみたこととしては、ワーカーの適宜生産+破棄によるコンボです。建築と任意位置生成をやるカードがあるので、これをうまく活用して破棄までの流れを作れると割と戦えました。
ただ、回転する移動装置に苦戦したり、そもそも上手いことつながらなかったりするので、やはり難しいです。基本的にアドリブでどうにかする性質なので、予期せぬミスが連なることもあって、思うように点が伸びませんでした。

というわけで、あんまり上手くないプレイヤーの所感にはなってしまうんですが、とりあえずコインは大事でした。
ワーカーが動くリソースにもつながるので、あればあるだけ嬉しいです。上手く行動の中に組み込めると、動きが安定化します。
ワーカーは3人ベースくらいが安定化するイメージで、4人以上の運用にはかなり計画性が求められそうです。行動の費用もあるんですが、5人が上手く回る回路を即興で作っていくのがかなり厳しい印象。

再三になりますが、ここまで書いておいてなんですが、私の49点は多分大分低そうなのであてになりません。100点行きたかったんですが、うまい回路構築が全然できずに苦労して、できたころには終了間際という感じです。
フレキシブルにもらった手札の運用も考えていくのが良いような気もします。

75. アリスの夢物語

ジャンル 作者
探索ADV clock
プレイ時間 プレイVer クリア状況
15分 1.02 True End

良かった点

  • アリスらしい物語となっていました
  • 短編として良くまとまっています

気になった点

  • 逃走時、マップ移動してからの追尾がやや早い印象があります
    • 少し時間経過してから出現しても良いかもしれません

レビュー

アリス・イン・ドリーム

アリスの夢物語は、短めの探索アドベンチャーです。
探索を行い、謎解きをして、アリスの世界を巡ることになります。

世界観はアリスらしく子供に即興で読み聞かせるような荒唐無稽さもありつつ、謎解きや探索はシンプルかつ理知的に設計されています。
そうしてアリスらしい世界の中で探索して物語を進めるうちに、この世界について知ることになるでしょう。

短くサクッと終わる探索ゲームを楽しんでいきましょう。

感想

アリスに仮託した物語は結構あるんですが、このゲームはなんとなくアリスっぽいので良い作品です。
私個人がアリスに抱いているイメージは即興によって作られた故の荒唐無稽な展開の楽しさであって、この作品は本家の筋をある程度なぞってくれているので、かなりその印象が再現されています。

この、めくるめく状況が変化していく感じはまさにアリスというか童話感というか、アドリブ感というか、そういう感覚を覚える物語で、個人的には好きです。
殊に謎解きフェーズのあの荒唐無稽さは実にアリスっぽい印象でした。
また、物語としてもアリスっぽい雰囲気の中にトラウマを混ぜ込んでいて、良い感じにまとまっているように感じました。ちゃんと2段でオチるのが良いですね。

ゲーム性としては一般的探索ADVゲームで、ハートの女王が、ハートだから1番目で女王だから12ってことに理解するのにやや時間がかかった以外は特に詰まりませんでした。割とたくさんヒントがあった印象なので、進めないということは無さそうです。
それほど多く謎解きを要求されることもなく、ボリュームと比してもちょうどいい塩梅となっています。

逃げるゲームについてだけは、マップ移動してからの追尾がやや早い印象はあるんですが、繋ぎからの向きさえ覚えていれば何とかなります。
この手の逃走系、青鬼しかり大体少し経過するかちょっと離れたら出てくるものだと思っていたので、最初は面喰らいました。

総じて短い中でもアリスっぽくて楽しめる作品です。

個人的得点表

No タイトル 熱中度 斬新さ 物語性 画像/音声 遊びやすさ 加点 総合
1 天上奥義伝 6 6 7 9 9 37
2 Megalopolis 8 8 8 6 7 2 39
3 オトリズム 7 5 5 8 9 34
4 魔法裁判 7 4 7 7 7 32
5 イマジナリーフレンド 6 5 6 7 6 30
6 ソウテン鏡事件 8 7 10 6 7 1 39
7 少女大猩猩 6 6 6 6 6 30
8 Cell’s Shooting 4 7 4 3 4 22
9 Three Sleep Sheep Soup 6 6 6 4 5 27
10 ノラさんぽ 5 6 6 6 6 29
11 家路~いへぢ~ 8 7 7 7 6 35
12 陰都見聞録 7 7 7 7 7 35
13 狼は愛を、狐は狼からの報復を、蛇は狐と狼に打ち倒されることを望んだ 3 5 6 6 2 22
14 Helios Order -賢者の石と輝炎の王- 7 7 7 7 7 35
15 星空ダイヤグラム 8 7 7 6 6 2 36
16 カードカプラーアリス 7 6 6 6 7 32
17 雲間からレグルス 9 8 10 10 7 4 48
19 星の心 8 7 6 6 6 32
20 ベジダンッ! 6 7 5 6 7 31
21 シヴァーラの塔 7 6 7 6 7 1 34
22 誘導 x パズル 3 6 5 6 3 23
23 廃館少女 - Replica - 7 6 7 8 7 35
24 ウルファールの冒険 7 8 7 6 7 35
25 メイドインザフィアー 7 6 6 7 7 33
26 てんすく’22 5 6 5 4 4 24
27 選択肢がなでるとなめるしかないゲェム 6 6 6 6 6 30
28 ブラックレイン 6 6 8 9 5 1 35
29 フィッシュ・フックは涙しないRE 7 7 8 9 8 1 40
30 HOLLOW LONGING 9 6 9 10 7 4 45
31 プルガ猫トリウム 6 8 7 6 6 33
32 影忘師 5 6 6 6 4 27
33 Proto story 6 6 5 6 6 29
34 騎士と魔法使い 5 6 6 6 5 28
35 民家で一晩過ごすだけの高時給バイト 5 5 5 6 6 27
36 数で押し切れ。 6 6 5 6 5 28
37 サッカー好きがつくる ウディタサッカー 5 6 5 5 5 26
38 ard3d-seq 5 5 5 5 6 26
39 魔法剣士の冒険者ギルドとボスラッシュタクティクスRPG 6 6 6 6 6 30
40 7100本の想いを込めた一作 3 5 3 4 5 20
41 非城口 4 5 6 6 4 25
42 竜と仔共の小さな冒険話 4 5 6 8 6 29
43 午後の死 5 6 5 5 5 26
44 宝珠使いシズクのかえりみち 7 8 7 7 6 35
45 対戦エネミーズスクランブル 5 8 5 7 6 31
46 フォゲコマ! 6 7 6 6 5 30
47 1/∞の奇跡 6 6 7 8 7 34
48 コック出現 5 7 5 7 3 27
49 悪役令嬢の断罪まであと3ターン 6 6 6 8 7 33
50 エステラの冒険 第1章 エステラと古代文明の石板 6 7 6 6 5 30
51 脳筋魔法使いは進学したい 10 9 6 7 8 3 43
52 割烹活法・神ノ七草 7 7 7 8 7 36
53 The Villagers side story ~僕たちの命、勇者様に託します~ 7 7 8 6 7 35
54 ショートファンタジー 刻と天賦の綺譚 7 8 8 9 6 38
55 悪魔の本を捲りて 6 7 7 6 6 32
56 wisdom of history 4 6 6 7 5 28
57 突撃そのへんの遺跡 6 6 5 6 7 30
58 Moonet 6 6 7 8 6 33
59 エムロード 6 5 6 5 6 28
60 うさぎパンチ 7 6 6 7 7 33
61 アビスエクスプローラ 7 6 6 6 7 32
62 Reversible Island 6 8 6 7 6 33
63 MoonCaliz -ムーンカリス- 6 7 7 10 5 35
64 家への帰り道 6 6 6 5 6 29
65 まな☆がん えくすとりーむ 5 6 6 6 5 28
66 海賊黙示録 8 8 9 7 7 1 40
67 父と娘のまちがいさがし 6 6 7 7 7 33
68 グレイトサクセス 5 6 7 7 6 31
69 畑から始める魔法薬学入門 8 6 6 7 6 1 34
70 ただのRPG 2 4 4 5 3 18
71 メトロノームファイト 10 10 8 10 7 5 50
72 そして世界が死んだ… 4 5 5 4 5 23
73 毒虫 7 6 7 6 6 32
74 アグリックス先生 7 7 5 5 6 30
75 アリスの夢物語 6 5 7 6 6 30

結果発表を受けて

以下はほとんど推敲せず、レビューもしていない感想になります。
思いのままに書いているために多少不適切な表現があるかもしれませんが、ご勘弁願います。

1位 脳筋魔法使いは進学したい

もうこれは掛け値なしに面白いので当然の結果という感じですね。
ハマる人間は抜け出せなくなります。筆者は全作品やるんだという強い気持ちを持っていたから逃れられましたが、とりあえずやってたら多分はい出れない。熱中1位には納得しかない。
運要素がほどほどありつつも戦略でいくらでも誤魔化せるローグライトというのは非常に楽しいので、何度でもプレイする魅力があります。そして、そのバランスがうまい。
加えてほどほどにランダム性が高いので、色々とプレイフィールが変わってくるのも良い。今回はこのスキルがよく来たからこういうビルドにしようとか、色々その場その場のアドリブで違った戦い方ができます。要するに無限に遊べる。
無限に遊べてしまうがゆえに、コンテスト中のほかの作品を遊ぶ時間すらも吸い取ったであろう罪な作品ですね。

2位 雲間からレグルス

はい、好きな作品です。2位めでたい。
物語で10つけた作品が1, 2取っていてめちゃめちゃ分かるなあと首肯していました。
そもそもバケモノハイツの時から作者さんの作品好きなので多少眼鏡入ってるかもしれませんけど、その視点抜きでもいいゲームだったと思います。
とにかく物語が良くて、それを演出するドット絵が非常に抒情的でいい。素晴らしい。一言で言えばエモい。
そして何よりこの作品はRPGでなくてはならなかったんですね。やっぱりエモい。
良い物語に良い世界観をかけて良いキャラクターで動かして良い雰囲気をドット絵で重ねればそりゃあ良い作品になるんですよ。

3位 メトロノームファイト

いや嬉しいんですがもうちょい上だよなあという気持ちととともに。個人的に1位なので。
とにかく楽しい。ゲームとしてはこれが一番面白いと思っていますし、今年のウディコンはこれがやれたというだけで大満足しているレベル。
とにかく最初から最後まで楽しかったという意味では他の追随を許していません。ずっと楽しい。頭がめちゃめちゃ使われるから休憩をはさみながらやってはいたけど、とにかく楽しい。
それだけなくてシナリオも良かったし、キャラクターも良かった。
今考えると、これだけの名曲の数々をちゃんと採譜してるだけでもおかしい。めちゃめちゃステージありますからねこのゲーム。

4位 天上奥義伝

全体のクオリティが高いので妥当な感じのする順位。
2年連続でこのクオリティの作品をお出しするのは恐ろしい。どうなってるんだ。
ゲーム性も合成とか細かいところから、大きいところでは二人動かせるようにすることで微妙に変化を作っていたのも良いですね。
個人的には後半シナリオが好きです。

5位 オトリズム

これ入るんですね、意外。遊びやすい音ゲー。遊びやすさ1位は必然的と言っても良いです。
いろんなゲームができるのがウディコンの良いところですね。
筆者には縦連は無理でした。でも割とガチャ押しでクリア自体は何とかなるあたり、初心者でもいい感じのバランスではありそう。
上位陣のRainbow率を見て、何をすればそうなるんですかねと思いながらやっていました。

6位 星空ダイヤグラム

これは非常にいいゲームなのでこの順位にいるのは納得しかない。満遍なくいいゲームなのでずっと遊べるから熱中度が高いのは納得。
なんか評価をつけようとしていたら不当に低くなりそうでその他加点で評価したゲームです。
まごうことなくハクスラRPGなんですよ。武器もスキルもランダムドロップから精査していいものを選んで上手いことシナジーが出せると最高に楽しいタイプ。
その上で各キャラクターごとのストーリーをポツポツと置くことで導線としているのも良い。それぞれ短いながらも境遇があり、そして結末があるというのが良い。個別EDあるので。
好きなキャラクターと好きなスキルで好きなように戦えるので自由度はめちゃめちゃ高いし、やっていて楽しいですね。

7位 ショートファンタジー 刻と天賦の綺譚

良いゲームであって、楽しいゲームですね。色々なものが詰め込まれていて、単純に楽しいゲーム。ちゃんと上位入っていて納得しかない。
作者さんが闇鍋得意なのか、いろんなことをごちゃまぜに突っ込みながらも、最後はちゃんと芯の通ったシナリオと演出でごり押してくるのが好きです。
割と好き放題やってもちゃんとまとめる手腕は凄い。

8位 ソウテン鏡事件

推しがちょうど近いところで出てきて嬉しいですね。
なんやかんや誘因性のあるようなゲームじゃないと感じていたので、正直ここにあるのは意外ですが。やれば面白いのはそうとしても。
物語性2位なんですね、1位だと思っていた。
ストーリーが完璧。脱帽。脱出ゲームに対してこれほどまでにうまく推理要素を組み込んでいる作品はなかなかない。推理好きとしては最後まで楽しかった。
返す返すもシナリオが良い。もう物語読むだけにやっていいレベル。探索要素が程よく難しく、飽きないけど物語邪魔しない絶妙なレベルに収まっていたのも良いですよね。

9位 ウルファールの冒険

入るんですね、これ。ウディコンという場以外では間違いなく入らないであろう作品だと感じています。
サムネといい説明文と言い、これでちゃんとダウンロードしてプレイする人、ウディコンプレイヤーしかいないのでは。
中身ちゃんと面白くて、バグの設計もうまいと思います。バグダスやってこれバグじゃねえだろと思った身としては、かなりバグっぽい作りにはしてあった印象。
まあこれはゲーム作者であれば刺さる内容という感じがするので、プレイヤーより作者が遊んでそうなウディコンで評価されそうな気もします。ただのプレイヤーだとあんまり刺さらなそう。
ともあれ、この作品はシンプルに良い作品。良い。とにかく良い。最後までやろう。

10位 うさぎパンチ

単発ネタ枠でもちゃんと作れば順位に入れるのがウディコンです。
今年のミニゲーム枠。案外ミニゲームっぽいのが少なかったのが追い風だったのかもしれません。
一発ネタミニゲームにとどめずに、様々なボス、色々なギミックがちゃんと入っているところが良いですよね。
使いやすいUIでもあったかもしれないけど、それ以上にゲームっぽいUIで個人的に好きでした。ああいう遊び心のあるUIは良いですよね。ゲームしているという感じがします。

11位 魔法裁判

この順位来るんですね。やっぱりウディコン面白い。
めちゃめちゃ短編ではあるんですが、ちゃんと作られた作品です。
ストーリー自体は結構好きで、うまく推理要素を配しつつも良い感じのやり方で決着をつけていたと思います。
斬新低そうだなあと思ってたんですけどどうなんですかね。魔法世界の推理というと色々先達はあるんですが、各々が一つの能力を抱えているというところを上手く推理に落とし込んでいたところは良いと思っています。

12位 カードカプラーアリス

ウディコンの多様性の一つという感じ。面白いですよ。熱中と遊びやすさの両突破になっているのも頷けます。
カードゲーム下手でもレベルとカード収集でごり押せるし、そうでない人はちゃんとデッキ組む楽しさがある。
ローグライトカードは無数にあるけど、あんまりローグライトっぽくない感じでちゃんとRPGしてるのが良い作品ですね。

13位 HOLLOW LONGING

13位かあという気持ちです。個人的に3位。
グラフィックえげつなさ過ぎてずっと感動してたんですが、そういうのを除けば一般的な探索ゲームではあるので斬新が伸びませんでしたね。
しかしこのレベルの天元突破画力していても1位取れないの、ウディコンの画像レベルおかしくないですか。と思って中央値見たら10点でした。そんなことある?
ウディコンは一般的に遊びやすさと熱中度が高いと強いので、物語と素材のクオリティだけでは抜けないというのが分かりますね。

15位 フィッシュ・フックは涙しないRE

全体的にクオリティが高かったので、この辺に落ち着いているのは結構意外ではあります。
一般的ADVなので斬新以外は比較的高いんですが、全体クオリティが高いせいで突出した印象がなかったんですかね。
個人的には全体の完成度が高い作品が総合的に好きなのでもう少し上にあっても良いようにも思います。

17位 Megalopolis

この作品は単に筆者の好みであるところがだいぶ自覚的なので、どの辺の順位が適切なのか分かりません。
ただ何となく、この辺にちゃんといるあたり、ウディコンは良いコンテストだなあと思っています。物語をちゃんと作っただけじゃなく、ちゃんとゲームに落とし込んでいるからこその物語以外の評価が押し上げてそうな気配を感じます。

20位 海賊黙示録

ウディコンをずっとやっている人なら一瞬でどなたの作品か分かるんですが、そういう贔屓目を除いても良いゲームです。
このシンプル極まりない画からは想像できないくらい熱い展開があります。
素材に関しては必要なラインではちゃんと作ってあると思うんですが、何分ずっと見ている海がシンプルに見えるからでしょうか。潮流とか結構凝っていると思うんですが。

21位 畑から始める魔法薬学入門

何となく好きだったのに、いざ評価付けようとしたらなんか不当に評価が下がりそうになった作品その2です。
やっている間に取っているメモには色々ちっちゃい不満が書いてあるんですが、プレイ中は特に途中でやめる気にもならなかったし、最後まで遊んだ感想は楽しいというものでした。
この何かやりにくい点はあるけど楽しいというのは、コアの点は外していないということなので、非常に好きです。結局楽しいのが一番。

24位 Helios Order -賢者の石と輝炎の王-

今ウディコンの良いRPG枠の一つです。今年はRPG多くて楽しかった。
もっと上に行っても良いくらい良質なRPGでした。王道は良い。王道過ぎて斬新が伸びてないですが、技ごとに成長能力値変わるシステムは結構目新しいんじゃないかと思っています。
最後までちゃんと作られていて、長めの作品にもかかわらず遊ばせる力があると思っているので、プレイ時間長めでも気楽にやってほしいです。

26位 割烹活法・神ノ七草

個人的にギミックボスが好きなので評価高めなんですが、このレベルでもこの順位なんですねという気持ちです。まあだからと言ってどれを下げるんだという話はあるんですが。
画像音声低いのなんででしょうね。和服良いのに。

30位 家路~いへぢ~

前作もそうなんですが、良質なホラーを作ろうとするとどうしても遊びやすさに瑕疵が生じてしまいそうで、あんまりこのコンテスト向きじゃないのかもしれませんね。
この手のゲームが強いの、物語と恐怖をあおるBGSとグラフィックなんかなので。

33位 星の心

こういうゲームでもちゃんと順位がつくのがウディコンの好きなところです。
実績があると集めたくなる身としては全部埋められるまでやめられなかったんですが、別にそんなこともしなくていいあたりの自由度も良いです。

36位 宝珠使いシズクのかえりみち

全体を通してのクオリティが高く、かつ斬新な戦闘システムだと思っているので、なんでこの順位なのかよくわかっていません。斬新以外が全然伸びていないの、なぜ。
個人的には頭をぶっ壊す戦闘中と、色々ハクスラして楽しめる準備パートで熱中度も高いと思ったんですが。解せない。

シヴァーラの塔

今ウディコンの良いRPG枠の一つです。こっちは自由度高め。
そこそこ長いのにちゃんと最後まで遊べるあたり、非常によくできていると思うんですが、なぜか圏外。残念無念。
各評価が見えないので何とも言えないんですが、やっぱりプレイ人数少なかったんですかね。

1/∞の奇跡

筆者がADV好きなのもあるんですが、この作品は結構好みなので圏外なのは残念です。
というか、物語も画像音声もちゃんとランキング入りしているのにここなの、そうなんだという気持ちになりました。
こういう小粒ADV枠、ウディコンに未来永劫あってほしいと思っています。

The Villagers side story ~僕たちの命、勇者様に託します~

今ウディコンの良いRPG枠の一つです。こっちはシナリオが良い。
シヴァーラ同様の感想に落ち着くんですが、プレイ人数少ないんですかね。RPG楽しいのでやってほしい。
なお公称最低7時間になってますが、筆者は4時間で行けたので実態はもう少しコンパクトだと感じています。みんなやってみよう。

後記

ここまでで、つらつらと書いてきたレビューや感想を終わりたいと思います。

今年はいろんなジャンルの作品を楽しめる上で、良質なRPGも楽しめる年だったのではないかと思います。プレイ時間が長くとも遊び通せる、しっかりと作り込まれた作品ばかりでした。
例年言及していそうですが、ランクの外に漏れてしまった作品のクオリティも高いので、興味があれば手に取っていただければと思います。

音を楽しむ「メトロノームファイト」、エモさの極致「雲間からレグルス」、ただ美しい「HOLLOW LONGING」、中毒性の塊「脳筋魔法使いは進学したい」、高品質の「フィッシュ・フックは涙しないRE」、熱い生き様「海賊黙示録」、Mr.フリゲ「Megalopolis」、最高のシナリオ「ソウテン鏡事件」、爽やかな闇鍋「ショートファンタジー 刻と天賦の綺譚」、ハイレベルSRPG「天上奥義伝」。

今年のウディコンは、クオリティの高い作品が多数投稿される場と相成りました。
ゲーム性が面白いもの、物語が素晴らしいもの、意匠の優れたもの、ゲームデザインが秀逸なもの、全体の品質を保ったもの、遊びやすさを感じるもの、それぞれの美点はそれぞれのクオリティを飛躍的に高めています。
そうした高い品質は本質的な面白さを感じる道を舗装し、そのゲームの楽しさをダイレクトに感じることに強く寄与してくれることでしょう。

そして、こうしてウディコンに出展された様々なゲームを楽しく遊べるのも、ひとえに制作者の方々のおかげです。改めてここに感謝の意を申し上げたいと思います。

来年もまた、ウディコンで様々な作品との楽しい出会いがあることを願い、この文章を終えたいと思います。

感想

以下はもはや文章になっていないかもしれない感想です。ご笑覧ください。

筆者はウディコンの集合絵を見るのが好きなので、描いて下さる方には足を向けて寝れません。
https://twitter.com/fishbird617/status/1563582724908011520
うさぎパンチの表情が良い。

ぬぬぬさんの激アツ物語読んでいて、確かに激アツですねという気持ちになりました。
https://note.com/game_septet/n/n30f801988197
各部門1位の殴り合いは良い。頂上決戦が物語対熱中なのも良い。

今回部分的に公開したのは、単純に今忙しすぎていつ書き上げられるか分からなかったからになります。なんでこの時期に繁忙期が重なっているんですか。ゲームは有休を錬成してギリギリ終わりましたが。
とにかくここで上げておかないと、どこかで公開自体諦めそうだったので、自分を叩く意味でも公開しました。公開を後悔しないために頑張ろうと思います。

この感想を書くにあたって、できるだけフラットに書きたいので他人のレビューを見ないようにしているんですが、それでもTwitterは観測しているので影響を受けているきらいはあります。
ウルファールの冒険についての毒虫の方のリアクションとか、Twitterで色々まとめている方とか、その辺は読んでしまっているので。
それにつけても、Twtiterで300文字以内に収められている方凄いですよね。筆者は大体どれも1000文字越えてるんですが。1回Twitterにたれ流そうとして、まとまらんなと思ってやめた経験があります。

フリーライダー的な話が出てしまっているんですが、タイミングが悪かったんだと思います。
ちゃんと出来が良くて、順番が早めで、知名度もあって、プレイ時間も短くて、といった諸々の条件が重なってしまった結果なんだろうなあとは思います。
何を言ってもたらればなんですが(というかゲームコンセプト上たらればにしかなりえないんですが)、たとえああいうものでなかったとしても良い評価が得られていたゲームだと個人的には思っています。

作者さんが5ch見ているという旨のツイートを観測したんですが、あそこ見ないほうがいいんじゃないかと個人的に思っています。よほどハートが強いなら別ですが。
あと、自分が東工大の人と呼ばれているのは笑いました。もう社会人なので出身大学を意識してなかったけど、確かにこのレビュー始めたのは東工大にいた時ですね。もはや懐かしい。

このレビュー全体におけるもっとも取り扱いが難しい作品は間違いなく「ウルファールの冒険」なんですが、公的にデバッグまでは公表されてしまっているので、そのあたりを基準にしました。
本当は全部隠した上でやってほしいんですけどね、さすがにそれだと書けることがあまりにもなさすぎる。

なお、この記事のコンセプトは作者さんへの返礼としてのレビューと、その時の感情の備忘録としての感想みたいなところがあります。
今アヴァロンについてあれだけの文章を書けるかと言ったら断じて否であると言い切れるように、来年はきっとレグルスについてあれほどは書けないだろうなあと思っているので。
ネットの海に流している理由は、筆者が人が狂っている様を見るのが好きだからです。自分が好きなら、ちゃんと自分も狂っている様を流さないとフェアではない。
後は需要あるか分かりませんが、個人的にはどこでどう厳しいと感じたかを知りたい人もいるんじゃないかなと思って書いています。そうでない人は多分見ないほうが良いです。

物凄い時間が空いた理由は単純に忙しかったからなんですが、同時に間を空けて感想を書くことの難しさを感じました。
細かい用語を覚えていないといった詰まり所もあるんですが、何より熱量がだいぶ落ちている気がします。俗には覚えてないとも言えます。いくつかプレイし直して思い出しながら書く必要があったので、より時間がかかってしまいました。

ウディタver3、楽しみですね。生業になった影響で趣味では最近触っていませんが、ちょっと触りたい気持ちがあります。少なくとも有料版が出たらお布施の意味も込めて買うことにはなりそうです。
この記事はウディタver3よりは前に出したいと思って書いているんですが、今現在間に合っていますか。少なくともポケモンの新作を遊ぶのは間に合ってなさそうですね。

今回のレビューは、ソースコード上は20万字、字数だけなら16万字強になっています。来年の記事は短く済ませようと言っていた自分はどこに消えたんでしょう。
とはいえ、全作品触れているから長いのであって、個別で見ていくとそうでもありません。現時点で一番長いメトロノームファイトで6000字超、雲間からレグルスや脳筋魔法使いは進学したいで4000字程度です。5桁はいきません。ちなみに平均すると、1つ当たり2000字ちょっとです。
世の中にはもっと長い感想を書いている方もいらっしゃるので、この程度はまだ温いですね。
なお、今回は記事の自動生成のかたわら文字を数えるスクリプトを書いたのでかなり正確な数のはずです。

得点表をソートできるようにしているのは半分以上自分で眺めたいからなんですが、総合でソートすると色々と学びがあります。
感覚的には楽しかったのにコンテストとして得点を付けるとなぜか伸びないやつは、もう少し加点しても良かったなという反省が一番大きいですね。畑から始める魔法薬学入門とか。
あとは、色々と冷静になって思い返すと良かったと感じる作品もあって、The Villagers side story ~僕たちの命、勇者様に託します~はそれに該当します。評価って難しいですね。

この記事は、レビューは基本的にネタバレしないように書いて、感想でネタバレありで書いています。ネタバレありで書きたいから感想をつけ足しているといっても過言ではありません。
なので、ゲーム性が面白いタイプの作品はレビューが書きやすいんですが、物語が良いタイプ、特にADVはめちゃくちゃレビューが書きにくかったりします。ネタバレなしで物語の良さを伝えることの難しさをひしひしと感じています。世のそういったゲームのレビュー記事を書いている方々は凄い。

触れた作品

レビューなり感想なりで触れた作品のリンクです。