第14回ウディコン全作品レビュー - ノラさんぽ

10. ノラさんぽ

ジャンル 作者
RPG sugo-rock
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間 1.04 クリア

良かった点

  • 丁寧なつくりのマップ、世界観でした
    • 猫に癒されます
  • 戦闘バランスは意外とシビアで歯ごたえがあります
  • 敵グラフィックの進化が良い味を出しています

気になった点

  • やや演出的に間延びする印象を受けました
  • 町の良く使う施設までの距離が遠く感じます

レビュー

癒し世界の大冒険

ノラさんぽは癒される世界観を舞台にした、ネコたちのちょっとした大冒険を描いたRPGです。

主人公の白猫ノラは、いつもの餌に飽きてしまい、にゃおちゅーるを買うことを目指して冒険の旅に出かけます。
しかし、にゃおちゅーるまでの道は波乱万丈で、訪れる街のイベントをこなし、現れる敵を退け、どんどんと冒険を進めていくことになっていきます。

その癒されるような世界観とは裏腹に、彼らの冒険を彩る戦いは意外とシビアな戦闘バランスとなっています。
進めていくうちに進化していく雑魚敵には、油断しているとやられかねません。ネコなのだから、逃げる判断も視野に入れて戦っていきましょう。

また、このゲームにおいては、その舞台となる街やダンジョンは非常に丁寧に作られています。その街並みの中をネコとして歩き回ることで、その優しい世界観を存分に味わうことができるでしょう。

冒険の舞台となる街の数々、多様な敵、シビアな戦闘バランス、それら全てが丁寧に作られた世界の中で、ネコたちの冒険を体験してみませんか。

感想

色々丁寧だなあという印象です。マップも丁寧だし、扉の開閉も丁寧。
特にマップの作りがかなり丁寧な印象を受けました。ちゃんとしたロケーションとして作っている感じがします。
演出もかなり丁寧で、カットインをはじめきっちり作られていました。

ただ、色々と丁寧に作られているがゆえの間延び感が、個人的には最後までだいぶ引っかかっていました。
町がちゃんと作られているので宿屋行きたいだけでも結構歩かされ、かつ猫という世界観から一階の人に話しかけるのではなくてわざわざ二階まで行く必要があります。
丁寧な世界観だなあと思うのと同時に、さっさと回復したいなあという気持ちを感じます。どちらを優先するかという問題っぽいですね。

これは最初の洞窟マップなどでも顕著で、丁寧に作られているので迂遠な回りかたをする必要があったり、行っても意味のない袋小路があったりします。
歩き回れるロケーションとしては良いんですが、エンカウント付きダンジョンと考えると若干厳しい。エンカウント率も高めでしたし。

他にも、あんまり壮大でない冒険の始まりで操作可能になるまで3分かかるところや、扉の開閉が全て演出付きなどの細かい不満ポイントもあって、世界観の緩さと演出のこってり感のアンバランスさがどうしても拭えませんでした。

ただしその分、世界観の作り込みはかなり良くて、敵グラフィックが進化していって強くなっていく様はかなり好きです。
こいつがこういう進化するのかという驚きもあって、かなり楽しめました。テントウ系列が個人的には好き。

また、ちゃんとイベントこなすと親方から感謝されるとか、魚取り返してきたら船長に褒められるとか、細かい作りがものすごく丁寧です。色々と歩き回って話しかけたいマップになっています。

戦闘バランスは意外にシビアで、後半になると雑魚がシンプルに強くなります。何なら後半はボスより雑魚のほうが辛いレベル。夜星テントウまでくると、クリティカル一発でこちらが全回復から沈んでしまいました。
レベルが多少低くてもボスは何とかなるので、きつい敵に当たったら逃げる判断も大事です。

物語も壮大でないようで規模の大きい冒険譚として良かったです。目的それ自体はずっと変わらず些細なことなんですが、起こす行動がいちいち大きくて楽しいです。にゃおちゅーるは全てに優先する。
細かいシナリオも面白くて、薬屋がらみのクエストをやっておくと猫神様のバックグラウンドをちょっと想像できたりします。