第14回ウディコン全作品レビュー - コック出現

48. コック出現

ジャンル 作者
戦略SLG風わちゃわちゃ zabumaru
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間30分 1.23 クリア+

良かった点

  • 技術的に凄いことをしていました
  • ストーリーはある種のシュールさがあります

気になった点

  • 設計上、総員攻撃か総員退却しかできず、あまり戦略性はありません
  • プレイヤー側総大将が最前線に立たされるのが辛いです

レビュー

わちゃわちゃ突進だ

コック出現は、クォータービュー上でわちゃわちゃ自動で戦うSLG風のゲームです。

マップ上で自動で戦うユニットたちについて、プレイヤーが干渉できることはたった一つ、全ての味方の移動目標点の指示のみとなります。
適宜指示を出すことはありますが、それ以外は戦闘を眺めていることになるでしょう。

ゲームルールとしては大将さえ倒せば勝ちとなります。うまく誘導して敵の本陣を叩けると効率的です。
その一方で、こちらの主人公がやられた場合は負けとなります。このため、主人公はなんとしても守り抜く必要があります。

そのように敵大将を上手く倒し、こちらの被害を抑えるためには戦略が求められます。
隊列を変更することはできないので、相手の特徴も鑑みて装備と指示によって効率の良い戦略を立てていきましょう。

そうして敵の大将を倒すことができれば、どんどんと仲間に加えていくことができます。
徐々に大所帯となっていく布陣で、様々なキャラクターが入り乱れたわちゃわちゃした戦闘を乗り越えていきましょう。

感想

技術的にはかなり凄いことをしていて、ウディタにおけるクォータービュー自動戦闘の技術デモみたいな印象を受けています。筆者がやったバージョンが良いのかもわかりませんが、プレイできないほどの処理落ちが発生せずにほぼ最後までクリアできました。
クォータービューのマップのクオリティも高いです。

一方で、ゲームとしては割と単純な設計です。
基本的に全てのキャラクターはマウス方向に動くので、総員攻撃か総員退却しかできません。また、戦い始めると、以後どちらかが倒れるまで戦うバーサーカーになるので、不利な戦いから逃げるのも難しいです。

右翼から回り込むか左翼から回り込むか、あるいは待つかくらいの戦略は取れるんですが、それでもあんまり完璧には戦えません。その場の雰囲気というか、味方のAIと指示が上手くはまると勝ちやすくなります。
負けた時の理由は分かりやすい時もありますが、勝てた時の理由が分からないことは往々にしてあります。何度も挑戦した強敵にあっさり勝ってしまったこともありました。

そして何より厳しいのは、自機であるコックが負けるとゲームオーバーになることです。
基本的にこのゲームの単騎は弱いので、逃げ回る必要があります。一方で、コックは自陣の最前線に立たされていて、かつ逃げ道もまた味方AIにふさがれるので、良い感じに後ろに構えられる布陣に再構成できるまで根気良くリトライする必要があります。
代わりに敵大将を倒せばクリアになるというシステムもあるんですが、大将は敵陣最後尾に鎮座しています。何という不平等。

そもそも、味方も主人公もカーソル位置に動く仕様上、主人公はほかの仲間と奪い合いをするので動きにくいのは当然です。また、この仕様があると主人公を後ろに下げようとすると自然に戦線が分断してしまうので後ろに下げづらいというのも厳しめです。

また、布陣というか編成をこちらで組むことができず、かなりバラバラな布陣で開始することになるのも厳しいです。
その上、相手はちゃんと前に壁、中段に遠距離、後方に大将の布陣で挑んできます。何というハンデ。
味方も敵もAIがポンコツ気味なので平気で魔法兵のリーチに入りますが、敵は布陣である程度カバーされているので、こちらが被害を被ることの方が多い印象でした。

システム面で言うと、戦闘のリトライがゲーム開始からで、装備の付け替えという戦略性が取りにくくなっているのも地味に辛いです。
加えて、もし装備まで戻すなら、装備をもらうところから始める必要があるのも面倒ポイントです。なぜならば、装備をもらうとセーブ箇所が消滅するので。

ストーリー面ではひたすら餌付けしてパクパクしていくシュールさが良いです。どれだけ敵対していてもパンを食わせれば皆仲間。
ただ、最後のエピローグだけ進行が遅く、クマが前に出ているせいで読みにくいのはありました。

平たく言うと、勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなしと言ったゲームです。というか不思議の勝ちしかない。

筆者は何とかラスボスまでは倒せたんですが、メイドは無理でした。かんたんでメイドを突破するところまではそれでもいけるんですが、その次の将軍がどうあがいても無理。
しかし、クリア者がいるようなので、世界は広いなあと感じていました。どうやってるんだろう。