第14回ウディコン全作品レビュー - 悪役令嬢の断罪まであと3ターン

49. 悪役令嬢の断罪まであと3ターン

ジャンル 作者
ワンマップADV あきら
プレイ時間 プレイVer クリア状況
20分 1.00.03 全ENDクリア

良かった点

  • サクサクと遊びやすい設計になっています
    • クイックスタート、スキップあたりが便利です
  • 良いキャラクターでした
    • 常時高いテンションでコメディを楽しめるキャラクターです

気になった点

  • 特にありません

レビュー

残された時間は3ターンですわ~~!

悪役令嬢の断罪まであと3ターンは、3回の行動でエンディングが分岐していくアドベンチャーゲームです。
主人公の悪役令嬢を操作し、処刑の運命を変えていきましょう。

プレイヤーが取れる行動は、主に話しかけることと探索することになります。ゲーム上には一つのマップしかないため、それぞれの行動は簡単に行うことができるでしょう。
そうして話しかけることで1ターンを消費し、その取った行動いかんでエンディングは分岐していきます。

このゲームにおいて特筆すべき点は、何といってもスピーディーな展開とノリの良さです。
ゲームの性質上繰り返しプレイすることになりますが、快適に周回できるUIや、トントン拍子に進む会話劇によって、ストレスなくサクサクと遊ぶことができるでしょう。

加えて、そういったスピーディーな展開を支えているものの一つとして、個性豊かなキャラクターもまた挙げられます。
殊に主人公のノリはすこぶる軽快で、様々なキャラクター達と織りなす掛け合いをサクッと楽しめることでしょう。
そんな主人公の運命を変えるには、アイテムを拾ってみたり、何度か話しかけてみたりと、色々やってみることが必要になります。様々なことを試して、分岐していくエンディングや展開を見ていきましょう。

サクサクと悪役令嬢の物語を楽しんでいきましょう。

感想

世は大お嬢様時代なんだなあと思いました。
ちなみに、この作品のレビューをお嬢様言葉で書くか最後まで迷いましたが、お嬢様言葉に不慣れなもので結局普通の形にしました。不甲斐ないし、精進が足りないですね。
ジャイアントとかセレブとかゲーミングとか色々読んで出直します。

全体的にノリと勢いで構成されたゲームではあるんですが、遊びやすさでコーティングされているので、そのノリと勢いを不自由なく摂取できます。
ノリと勢いに任せる以上、途中でそれを阻害するようなゲーム的要因が発生すると十全に楽しめないことに繋がってしまうんですが、このゲームではそういったこととは無縁でした。
なので、掌編として最後まで一気に遊びやすい作品です。楽しく遊べるという点では他の追随を許さないレベルでした。掌編として美しく思います。

特にクイックスタートが便利で、おかげで何のためらいもなく変な行動がとれます。Cスキップも相まって、色々とエンド分岐のために試すのが楽な構造になっています。
これらのおかげで、恐らくエンドに絡まないであろうイベントの葉っぱとかホラーも楽しんで読めます。やはり遊びやすいということは偉大。王様に話しかけ続けて分岐はないよと言われても笑って流せました。
もしスキップが大変であれば、こういったおまけイベントの一つ一つが煩わしいものに変わってしまうので、こういう快適性は冗長性の確保のためにも必要なんだなあという感想を抱きました。

また、3ターン、つまりは3回の会話で分岐するという設計も良くて、適度に試しつつバリエーションも確保された範囲の選択肢数に感じました。
加えて、そのシステムの上に選択肢以外の分岐要素も入れることにより、会話だけでなく若干探索っぽい要素も入っています。これが、ちょっとしたアクセントにもなっていました。
このあたりの短編のバランス感覚が物凄く良いので、気持ちよく遊べる作品です。

またキャラクターも良くて、特に主人公の造形が良いです。一番会話に絡むキャラクターなので、一番良いキャラクターであるべきなんですが、間違いなく一番良いキャラクターとなっていました。属性は盛れば盛るほど楽しいのかもしれません。
他のキャラクターも、短い会話ながらちゃんと文脈に基づいた個性が付与されているのが良いです。ある意味被害者は彼らなのではという気持ちにすらなります。

全体を通して、悪役令嬢ものの文脈をよく知らなくても割と楽しめる作品だったと思います。
筆者個人は、いくつか読んで途中で辞めた記憶だけはあって、今はティアムーン、ユミエラ、実況解説あたりを読んでいます。前者は微妙に違うかもしれない。とにかく、気持ちの良くない展開が続くと辟易してやめる傾向にあるので、このゲームの底抜けに明るい展開は好みでした。

なお、今ウディコンの明るいですわ担当になるかと思います。
熱いですわ、あるいはギャグのですわは他作品にいますね。