第14回ウディコン全作品レビュー - エステラの冒険 第1章 エステラと古代文明の石板

50. エステラの冒険 第1章 エステラと古代文明の石板

ジャンル 作者
探検RPG ゲーマーオサーン1号
プレイ時間 プレイVer クリア状況
5時間30分 1.04 完全クリア+

良かった点

  • 色々な行動がとれるシミュレータ的な側面があります
  • 時間に絡んで人の動きが変わる丁寧な作りです

気になった点

  • 時間の調整をしにくいように思いました
    • 睡眠が代替することが多いですが、9時以降しか寝れない制限などもあり辛めです
  • 主人公以外文字送りできないので、物語を読みにくいです

レビュー

生活するRPG

エステラの冒険 第1章 エステラと古代文明の石板は、時間の制約により生活を意識させられるRPGです。

このゲームにおいては、プレイヤーのみならず、NPCも時間に縛られています。
休みの日や深夜は店をやっていませんし、NPCがからむようなイベントも進行しません。NPCの生活がゲームシステム上に息づいています。
イベントを進めるにしても、きちんと生活リズムに則って行動していきましょう。

また、主人公は様々なことを体験することができ、これも生活を強く感じさせる要因となっています。
狩猟をしたり、採集をしたり、釣りをしたり、バイトをしたり、各地の街を巡りながら生活に根差した行為をすることができます。
そうして色々なことを体験しながらも、イベントを進めていくことでストーリーは進行していきます。

物語の軸となるのは古代の謎です。古代文明の石板を巡り、その謎を少しずつ紐解いていくことになります。
それに付随して、主人公の両親の事件をベースとしたサスペンスめいた展開も複線的に進行していく、見ごたえのある物語となっています。

各地の街を巡り、生活しつつNPCと交流し、イベントを進めて古代文明の謎を解き明かしていきましょう。

感想

RPGかと思ったら生活系というかシミュレータっぽさのほうが強い作品でした。
戦いはむしろオマケと言ってすら良いかもしれません。

時間にからむところはかなり丁寧に作られていて、曜日や時間の概念で開いている店とかそこにいる人とかが変わってきます。
例えば、日曜日に店が閉まるところとか、宿屋の主人の入れ替わりとか、割と細かいところまで変化しています。Moonなんかを思い出しました。
これに加えて、それぞれのモブキャラの顔が逐一異なることもあって、それぞれのキャラクターの生活感みたいなものがでています。定型文しか喋らないように見える彼らにも生活があるんだなと思いを馳せていました。

一方で、時間を動かすのは何らかの行動をとる以外ではアルバイトによる時間経過、宿屋に泊まる、といった行動しかできず、適度な時間操作はちょっと面倒です。
特に、何時間寝るみたいなコマンドもない上に、そもそも寝るのが9時以降にしかできないという問題もあって、好きに時間調整するのはそこそこ手間がかかります。基本的にはどこかに入っては出るを繰り返すのが良さそうです。

操作は全てマウスできるので、ある程度操作の使用感が良いんですが、システムの面ではやりにくいなと感じるものもあります。
例えば探索においては、連続で探索できず、何度もやろうとすると割としんどいです。また、どの店が開いているかは入ってみないとわからないので、その辺もやりにくくはあります。
他にも、移動中に放っておいたらエステラが時間を止めて喋りだしたりするのも薄っすら面倒に感じました。携帯食料を食べるのもそうです。下に非アクティブなメッセージとして出ているなどであれば、阻害しないのでフレーバーとして良さそうに思います。

また、食糧と主人公の状態はチェックしておきたい気持ちがありつつ、そこそこ遠いUIに存在しています。
ここが悪くても目に見えた変化はそんなにないので、実は気にすることではないのかもしれませんが、もし気にするのであれば常時表示でもいいかもしれません。

これも含めて、戦闘システムや自身のスキルレベルなど、特に上げなくても物語進行上ではさしたる問題が発生しないシステムが多い印象でした。
序盤はちゃんと上げようとしていたんですが、それによるリターンがあんまり感じられなかったので、中盤以降は上げることを意識せずストーリーを進めるという状態に落ち着いています。これもフレーバーなのかもしれません。

物語については思っていたよりもかなりしっかりとあって、石板の謎を解明していきつつ、迫る陰謀が見える構造は良かったです。
全体を通してそこそこシリアス目な世界観ではありますが、主人公と相棒のエステラが明るめの性格なので、総じてあまり暗いお話にはなっていません。

ただ、文字送りができるのが主人公の言葉だけで、ほかのキャラクターの会話が全て表示後に消えるという仕様なので、会話劇が若干楽しみにくくはありました。
クリックすると瞬間表示するんですが、その後早めに消えてしまうので、ちゃんと読もうと思うと難しいです。

なお、先述したようにキャラクターは結構色々いて、それぞれの容姿が異なっています。町にいるモブみたいなキャラクターでさえ、固有名とグラフィックが割り当てられていました。
若干主要キャラを把握しにくいきらいはあるんですが、本当の主要キャラはちゃんと登場回数も多いことで情報量が担保されているので、そのあたりは読んでいけば問題にはなりません。端役の将軍とかの立ち位置がうろ覚えになるくらいです。
個人的には、ポンカールの人たちのノリが好きでした。あとはリムシーが作劇的に意外と良い立ち回りをしている印象です。

一応見れるエンドは全て見たと思っているんですが、なんとなく道中の選択肢による分岐もありそうです。
特に、ポンカールは救わない道もありそうに思えました。その場合どうなるかは分かりませんが、それもエンド分岐につながるとすると、全部見ようとするとなかなかハードそうです。クリアまで大体4時間30分で、全部知っていてもそこそこ時間がかかりそうなので。

なお、最初は機械音声を聞くたびにぞわぞわしていてたんですが、ずっと聞き続けるうちにあんまり気にならなくなりました。恐らく慣れたんでしょうか。それもこれも、エステラがずっと話し続けてくれたおかげかもしれません。