第14回ウディコン全作品レビュー - 悪魔の本を捲りて

55. 悪魔の本を捲りて

ジャンル 作者
RPG ケイ素
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間30分 1.4 クリア+

良かった点

  • 完全情報戦闘バトルの趣がありました
  • きちんとメタれば戦闘バランスは良かったです
  • 短編として良く落とし込まれている物語でした

気になった点

  • 素材値で一括管理されたため、構成の自由度が下がった印象があります
    • 半ば必須の耐性などに振るとスキルがあまり自由に使えません

レビュー

ひたすら戦い抜け

悪魔の本を捲りては、戦闘をメインとしたRPGです。
悪魔の本を巡るストーリーが展開されながら、基本的には戦闘を繰り広げていくことになります。

このゲームでは、戦いに挑む前に敵の性質や弱点があらかじめ予告されます。
そのため、その情報を活用して、その敵に特化したメタ的な戦略を立てて戦っていくことが重要になります。使用してくる状態異常への対策、弱点を突けるような技構成など、事前の準備をしていくことになるでしょう。

このメタ戦略的なシステムを支えているのは、シンプルかつ何度でも振り直せる素材値をベースとした成長システムです。
敵を倒すと得られる素材値を用いることで、スキルの習得、耐性の獲得、持ち込むアイテムの入手、パラメータの強化など、様々な方面での強化を行うことができます。
敵の情報をもとに、適切に素材値を割り振っていくことで、戦闘を有利に進めていきましょう。

各ストーリーの終わりに待ち構えているボスともなると、事前の情報があっても強力な性能を持っています。
情報をもとにした対策と共に、大技に対する立ち回りといった戦術面でも気を付けて戦って、脅威を打ち払っていきましょう。

感想

戦略ゲーというか、最初に与えられた条件をもとにメタって勝つゲームです。
最終盤くらいはそれだけだと勝ちにくいんですが、少なくとも中盤くらいはメタっていれば負けることは無さそうです。

その結果、あまりにも快勝しすぎていて、セーブを忘れて二度進行を消し飛ばしています。
一度目はシンプルにミスって、二度目はなぜかセーブできずに消し飛ばしました。後のバージョンで修正されたんですが、恐らくタイトルでロードを一度でも選んでからゲームを開始するとセーブできなくなる不具合だったようです。レアなバグを踏んだ。

話を戻して戦闘バランスについてですが、メタれば勝てるし、そうでなければ泥仕合か敗北する良いバランスです。
きちんと対策を踏んでさえいれば、クリティカルなどの運要素が多少絡んでもリカバリーが効く範囲の被害で収まります。逆に、対策をしていないと少しのミスで総崩れになります。
殊に状態異常は半ば対策必須で、異常をそのままにしておくと高確率で戦線が維持できなくなります。一応かばうや、全体状態無効でも対策可能な雰囲気を感じますが、パッシブに突っ込むのが安定だと感じていました。

全体のバランスとしては、おまけボスというか強敵に類する敵とラスボスを除けばそれほど強いわけでもなく、ボスがやや強い程度のバランスなので、詰まらずに進めることができました。
強敵はちゃんと強く、対策を踏んで戦い方を工夫すれば対処可能なレベルです。ラスボスもそれくらい。
ラスボスが抜けて強いのは恒例ですが、今作は準備できていれば対応可能なレベルの強さだと感じています。個人的にはちょうどいい。

なお裏ボスは結構強くて、最初に挑んだ時は大技一発で沈みました。必中+防御無視+クリティカルを耐えるのは無謀だったようです。エンジェルグレイスに頼りすぎた。
ただ、それ以外ではエンジェルグレイスはめちゃくちゃ優秀で、ラスボスから裏ボスまで頼りになる最強の回復手段でした。多段攻撃相手だと相性が良いです。

そもそも、それ以外のスキルを活用しようとすると素材値の壁に阻まれるというのがあります。
素材値自体は能力上昇や属性、異常耐性に割り振っていたのであんまりスキルは活用できませんでした。
一つのリソースに集約されているシンプルさはありますが、組み合わせを色々試す上での障害にもなっていた印象です。そもそも耐性系がほぼ必須のように感じていたのが問題かもしれません。

個人的なケースですが、まず異常耐性をつけて、次に属性耐性に割り振って、とすると残るのはわずかで、それを能力上昇に割り振るとあんまり残りません。アイテムとの食い合いですが、スキル自体相手の弱点を攻撃できるものが一つあれば事足りる場合が多く、アイテムにリソースを優先するケースも間々ありました。
もしかしたら有用なスキルもあったかもしれませんが、どうしても耐性と能力値という分かりやすい方にリソースを振ってしまいがちな印象を受けます。

物語については毎回うまく短編に落とし込まれている方なので、今回も綺麗に短編としてオチがついていました。掌編の連なりみたいな構成もしているので、個人的には好みです。
ちゃんと最後までやったほうが楽しいので、割と強力な裏ボスは倒すのがお勧めです。

しかし、ラペオーが活発化したのはプレイヤーのせいと見て良いんでしょうか。我々がこの物語を始めたばっかりに。ただ、観測する前から悪魔の本が悪さをしていたっぽい描写もあるので、この辺は何とも言えません。