第14回ウディコン全作品レビュー - グレイトサクセス
68. グレイトサクセス
ジャンル | 作者 |
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ランゲーム | パンツ14代目 |
プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
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1時間30分 | 1.10 | ストーリークリア |
良かった点
- 最高のノリと勢いでした
- ぶっ飛んだ世界観の中でまっとうに熱い物語を演出しています
気になった点
- 回避アクション中に上下移動できないことが多いので、回避無敵終了後に当たるというのが間々ありました
- 特に回避行動が長いキャラクターは、当たるかどうかが運の印象が強いです
レビュー
試される北の大地であなたのサクセスが求められる
グレイトサクセスは、圧倒的なノリと勢いを持つアドベンチャーとランゲームが融合した作品です。
このゲームにおいて特筆すべき点は、始終加速度的に進行していく物語の勢いと、その勢いに乗って存分に浴びせかけられるキマった世界観です。
次から次へと個性豊かなキャラクターが登場しながらも物語が展開し、どんどんその世界に引きずり込まれていくことでしょう。
しかし、そうした独創的な世界観に対して、本筋となる物語は圧倒的に正道な熱いストーリーが紡がれています。
一見すればあらゆる方向にはじけたようなそれぞれの個性も、幹となる本線が真正面を突き進むことで、ある種の指向性をもって物語の中に組み込まれていきます。
そうして構成された世界観と物語により、正道と狂気が交じり合ったような濃厚な体験ができること請け合いです。
また、その物語の合間合間ではランゲームが行われます。
それぞれのステージで異なる自機を操作し、回避行動を上手く使いつつ、障害物に当たらないように駆け抜けていきましょう。
一方で、物語の重要な場面で相対するボスとの戦闘では、敵の攻撃を適宜避けつつ、反撃していく必要もあります。
ランゲームを抜け、熱い物語と狂ったような世界観を存分に浴びながら、あなたもレッツサクセス。
感想
ゲームプレイ中、常にノリと勢いで完全に突破してくる作品です。
これ以上の勢いがある作品は中々見たことがありませんし、これほどまでに勢いの力を感じることのできる作品も中々お目にかかれるものではありません。
まず、ネジを外さないと作れないような世界観の中で、きっちりと構成された真っ当に熱い物語をやっています。正気と狂気を併せ持たないとできない所業です。
ノリは常にキマった雰囲気を保ちつつ、ストーリーラインはどこまでも綺麗に熱いので、狂ったようなノリに身を任せつつ熱い物語が体験できます。狂気的熱狂という感じ。
どれだけ走者が外れたことをしていても、正道を突っ走ってさえいれば綺麗に収まるのだということを教えてくれる作品です。
また、序盤から、あらゆる色々な設定を投げつけては来るんですが、割とふんわり理解で良いということも叩きつけられるのが良いと感じたところです。 いきなり学校教師がデストロイだったりするので、あんまり深く考えなくてもいいんだということが本能的に理解できます。
さらに、どんな設定が飛び出してきても試される大地ということで納得感をごり押ししてきます。まあ北の大地ならそういうこともあるんでしょう。しかし上幌、本当にありそうな言葉。
ストーリー展開的には、何やかんやと様々な設定やキャラをどんどん出していきつつも、それと同時に物語を進行させつつ、最後に風呂敷を畳むのが上手い設計になっています。10話くらいは紹介パートやりながら物語進めているレベルです。
加えて、これだけ勢いとノリで構成された物語でありながらも、最初のあれを伏線として綺麗に回収していきます。そういうタイプの物語とは思っていなかったので油断していて、思わず膝を打ちました。
なお、世界観設定上、シーシェパードとかSDGsとか危ないネタ使っているように見えますが、基本的にはネタとして
消化しているのでそれほど危険な印象は受けません。そもそも、それがメインではないので。
これらは一過性のネタとして使われる程度のものなので、あまり大きく思想的な印象は受けるものではありませんでした。
一方で、ゲーム性はシンプルなランゲームです。
キャラクターごとに当たり判定が違っていたり、ステージごとにギミックや長さ、収集アイテムと敵のサイズ感が微妙に違ったりはしますが、おおよそのプレイ感に大差はありません。
特に判定に癖がある印象で、当たり判定表示状態ですらよく当たり判定が分からないこともあります。敵の当たり判定が見えていないというのもありそうです。
アイテムの取得範囲と当たり判定も同じ仕組みで運用されていそうなので、ハイスコアを目指さない場合は安全運転を心がけるのが良さそうに思います。
また、回避アクション中に上下移動できないことが多いので、回避無敵終了後に当たるというのが間々あります。最初のMrウィナーのアクションくらい短ければ気を付ければ回避可能なんですが、長い連中はシンプルに運なので若干辛めです。班目君のやつとか。
回避なしでは抜けられそうもない構成もちょくちょく見かけはするので、このあたりは運と割り切って、それ以外で体力を減らさないように気を付けるのが丸そうです。
シンプルなランゲーム以外にも、ボスとしてのアクションも存在します。こちらは通常のランゲームに一味加えていて、ちょっと異なるアクションが要求されます。
ただ、どのボスもやることが共通化されているので、こちらもそこまでプレイ感に差はありません。途中から発狂めいた動きも見せますが、結局ラインが増えるだけです。
そもそもこちらの取れる行動が上下運動と限定回避だけなので、さもありなんという感じはします。
上下左右に動けていたら通常のランゲームともども幅が広がるような気もしますが、その分操作性が複雑になったり回避行動による加速が表現しにくくなったりしそうなので難しいところです。
ちなみに、公称のストーリープレイ時間は4時間から6時間になっていますが、私は1時間30分くらいで読み終わっています。何か見逃したかもしれません。もしくは、面白くてさっさと読み切ってしまったのかもしれません。