第14回ウディコン全作品レビュー - 毒虫
73. 毒虫
ジャンル | 作者 |
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テキストADV | なべのひと |
プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
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20分 | 1.04 | 全ENDクリア |
良かった点
- 毒虫の気分になれました
- フレーバーが良い雰囲気を醸しています
- 人間にちゃんと名前がついているのが良いです
気になった点
- 特にありません
レビュー
人間を喰う、それが毒虫
毒虫は、人食らう毒虫となるシミュレーション、あるいはテキストアドベンチャーです。
プレイヤーが毒虫となってできる行動は、食うことと寝ることしかありません。食えば腹が満たされ、寝れば精神が満たされます。
空腹が続けばゲームオーバーとなってしまうので、適宜人間を食らっていく必要があります。その一方で、精神がすり減っていると食うのに失敗しやすくなるため、適宜寝ていくことも大事です。
そうして人を食らい、寝て、人を食らい、寝て、人を食らい、と続けていくうちに毒虫のカルマは高まっていき、人々から憎まれる存在になっていきます。
それはたとえ空腹で倒れたとしても変わりません。毒虫は再び毒虫へと生まれ、同じ螺旋の中に囚われ続けます。
フレーバーテキストを背景にひたすら人間を食い続けるうちに、その毒虫が辿る結末を見届けてみましょう。
感想
これはもう誰かが言ってそうなんですが、選択肢が食うと眠るしかないゲェムです。厳密には誤りなんですが、おおよそのゲーム体験としては合っている気もします。
ゲーム部分としてはリソース管理ゲームっぽいものです。食えば体力が回復し、眠れば集中力が回復するので、このバランスをうまくとっていくことになります。
とはいえ、眠って集中力を貯めて食うので、究極的にはコマンドを行き来していても何とかなります。何度も繰り返せば食いやすくなっている気もするので、最終的には何とかなります。
全体的に短いゲームなので、これくらいのゲームバランスがちょうどよいのかなと思っていました。
それなので、どちらかと言えばフレーバーを楽しむゲームという印象があります。クリックアドベンチャーではあるんですけど、それ以上に文学というか物語というか。
個人的にはなんとなく北街さんっぽいですね、という印象があります。これは受け取る側にとっての誉め言葉かは分かりませんが、少なくとも個人的には誉め言葉になります。
特に、合間合間のテキストを読みながらひたすら食っちゃ寝をしていると、だんだん毒虫の気分になれるのが良いです。
人間にちゃんと名前がついているのが良くて、食べているのが市民Aでないカルマを感じていました。また、そういう個々の違いが明確であるところのおかげで、襲撃して大して体力が増えなかったら痩せた人間だったんだなと思うようになってきます。食うということを通して思考が毒虫に染まっていきます。
あとは、エンド回収後ちゃんと生き返れないというのが、物語というかゲーム体験的に一貫性があるのが好きです。
己が毒虫であるということを最後まで貫徹してできるというのが体験として良いですね。