第15回ウディコン全作品レビュー - ロロろくプラス

33. ロロろくプラス

ジャンル 作者
世代交代型部隊運営SLG a-e
プレイ時間 プレイVer クリア状況
5時間 1.06 ノーマル魔将撃破

良かった点

  • 調子や寄る年波により、常に固定化されないメンバーでの戦略を考えることができて楽しいです
  • 敵の行動が明示化されているため、チーム編成と隊列のレベルで戦略を組み立てる楽しみがあります
  • 各ユニットに独特の個性があり、どのユニットも使ってみたくなります

気になった点

  • 子供が出来た上で実践投入できるまでの期間が魔将出現に比して長めに感じました
    • 子供が出来て強い部隊が作れるようになると楽しくなってくるのですが、その前に魔将とLv3魔物群に心を折られかけました

レビュー

世代を回して部隊を運営

ロロろくプラスは、世代交代しながら部隊を運営し、次々と湧く魔物を倒していくシミュレーションゲームです。
次世代を見据えた運用や新陳代謝の意識など、長期的な視座が求められる作品となっています。

大前提となるゲームのシステムは、拠点において人材を募集してユニットを雇うといった準備をし、準備が完了次第遠征に赴き、ワールドマップを歩き回って各地の魔物を討伐していき、頃合いを見て再び拠点に戻る、というループから成り立ちます。
拠点では最大14人までのユニットを雇うことができ、魔物との戦闘ではこの中から7人を選出して隊列を組んで討伐していくことになります。

戦闘画面

戦闘は半自動で行われ、味方の行動と魔物のルーチン行動が交互に繰り返されます。プレイヤーが干渉できるのは、相互の行動が終わった後に「ステイ」するか「ローテート」するかの選択だけとなっています。
ステイすれば隊列は維持され、再び双方の行動が実行されます。一方、ローテートすれば前衛は後衛、中衛は前衛と移動してから行動します。
前衛にいるユニットが近接攻撃をするように、各ユニットは隊列上の位置に応じて取る行動が変わります。各ユニットには得意な位置とその行動があるため、可能ならばそこでステイし続けたいところです。しかし、ローテートを回さないとダメージを軽減する回数が回復しなかったり、体力回復が特定列でしか行われなかったりと、ジリ貧になりやすくなっています。
敵の行動ルーチンに合わせた、適切なローテートが攻略において重要となってくるでしょう。

そうして各隊列をローテートして上手く魔物を撃破するには、隊列を機能させる7人の選出、引いてはその選出を下支えする14人のユニットの編成がカギとなります。
すなわち、拠点の人材募集で得られるユニットの厳選がそのまま戦闘力につながるというわけです。前衛に強い職種や後衛に向いた職種など、様々な職種とその性能差の中から編成のバランスも考えて採用していきましょう。
ここで重要なのが、どのユニットも戦闘を通じて成長し、年も取るということです。若い内はどんどん成長しますが、老いさらばえれば能力は劣化していきます。即戦力を割り当てていくも良し、期待の若手を採用するも良し、世代の入れ替わりを意識して部隊を運営しましょう。

そうして年月を経るほどに成長と厳選を重ねて部隊は強くなっていきますが、その一方で敵もまた強くなります。
充分時間が経つと、ある程度鍛えた程度の部隊では壊滅的被害を被るような魔物も現れるようになってきます。こういった魔物を倒すためには、長い目で見た部隊の成長プランが不可欠となるでしょう。
また、強い魔物を無視して弱い魔物だけを討伐することも可能ですが、魔物は放置すると瘴気度を上げてきます。これが一定値を超えるとゲームオーバーになるため、あまりたくさん放置もできません。場合によっては腹をくくって討伐に向かいましょう。

ゲームオーバーにならずプレイを進めるには、様々な人材から自分なりのユニットを選んで部隊を運営していく長期的な戦略と、事前に示された魔物の行動を元に選出する7名と隊列を考えて上手くローテートして倒す短期的な戦術の双方を必要とします。
加えて、前者は後者の取れる選択肢を広げ、後者は戦闘を通じた成長という形で前者と密接にかかわります。この交じり合った高度な戦略と戦術を並行して立てていき、ゲームを進行していく楽しみのある作品です。

ここで紹介したものに限らず、いざという時に使うアイテムや、リーダー格の子供を作って能力を一部継承していく仕組みなど、様々なシステムを駆使して部隊を精強にしていくことができます。
あらゆるシステムを駆使し、ユニットを鍛え上げて運用し、強力な魔物に挑める部隊へと成長させていきましょう。

感想

正直な話をすると、楽しくなるまでに時間のかかるゲームです。遅効性の面白さ。遊び方というか、動かし方が分かってこないと楽しめない部類のゲームだとは思うので、今からやるなら有識者の遊び方を参考に取り組むのが良さそうです。
類型ゲームとしてセブンとヴィーナス&ブレイブスというものがあるらしいですが、この辺履修していないがゆえに詰まったところはあるかもしれません。

何もわかっていない初見だと、Lv2の時点で相当の苦戦を強いられることになります。メンバーのバランスとか、ローテーションの組み方とか、そのあたりの方針が固まっていないと、どんどん難しくなります。
加えて中長期的な視点がかなりのウェイトを占めることもあって、場当たり的な解決をしていると真綿で首を締めるように苦しい時間が続くことになります。
ここにLv3と魔将が来て崩壊したのがファーストプレイです。

そこで立ち回りをある程度学習し、必要な要素を朧気に理解した状態から始めることでようやくクリアに漕ぎつけました。必要なものに対する逆算力が問われます。後はユニットガチャ運。
そうして強いユニットを引き、上手く運用し、子供に引き継いだ30年目あたりからようやっと楽しさが見えてきます。子供の強さを利用して他のユニットの引き上げを図り、それをまた他の子供へと還元していくことで、ようやく安定して強いユニットを供給することができるようになりました。
その状態ですらLv4は結構ギリギリで、神宝を使ったうえでなお薄氷の勝利でした。何なら一度は敗北しています。
隊長をデコイにしつつ、うまいこと負荷分散していくのが肝要でしたが、70%の集中を見越した構成であり戦略でもあったので、かなり運に左右される展開ではあったと思います。

ここまでの流れは、端的に言うとローグライクのようなものとはまた違った意味合いで喪失のデザインをしているので、モチベーションが続きにくい部類ではあると感じました。
次々に湧いてくる敵を、ちゃんと部隊運営した上で倒す必要がある一方、こちらの仲間はガチャ運に左右され、ある程度戦略性を保っていても時間経過とともにどんどんしんどくなっていきます。
加えて、特に引き継げる分かりやすく強い要素もないので、ずっと喪失を味わっている気分になってきます。
引き継げる要素として強い子供や神宝についても、前者は活用できるまでに時間がかかり、後者は使い切りなのでここぞという場面でしか使えません。自分が強くなっているか弱くなっているかもわからないまま、ひたすら世界をうろつき回るのは中々しんどいものがあります。
ここを乗り越え、部隊運営の面白さに目覚め、子供への引継ぎによる強化を実感するまでには恐らく30年以上のプレイが必要になってきます。山を越えるまでが長い。山の上で面白いですよと叫んでる人を見かけないと、なかなかチャレンジしにくそうな感じがしますね。

また、マップの巡回要素も少し難しいところがあります。魔物はポンポン湧いてくるので、ちゃんと上手いこと回って潰していくのは結構骨が折れます。動くのにも時間を使うので、効率よく回れないと一気に瘴気の進行が進むことになるからです。
ただ、魔物の対応にだけ追われていると結局ジリ貧なので、どこかでアドを取ったり損切りしたりといった判断が必要になります。漫然と回るだけでは安定は覚束ず、Lv3を諦めたり、遠くのルートを採択しなかったりといったことも重要になってきます。

続いて、戦闘の戦略性についても話します。パーティーをラインに分割し、回して戦わせるのが面白く、操作は簡単なのに高度な戦略性を伴っています。
まず第一の戦略として、戦闘前に位置関係によって発生するスキルの有効性を事前に見定めて隊列を組むというものがあります。
高い攻撃力と自己回復を兼ね備えるが支援能力がない暗殺者や、列回復という強みがあるが癖のある占星術師、などなど、各ユニットごとに特色があるのが面白いところになってきます。
色々とシナジーもありそうなんですが、シナジーを考えられる程潤沢にユニットを雇うのは割と難しいです。雇える人数の制限もあるので、何なら戦いを始める前のユニットを雇う段階で勝負は始まっているとも言えます。

このあたり、与えられた豊富なカードから組み合わせを見つけるタイプのゲームでなくて、厳選したカードを使って戦うタイプのゲームかもしれません。筆者は厳選が苦手なので、与えられた手札で戦いがちではありましたが。
7人という採用人数も絶妙で、ローテを組もうとすると大体一人浮きがちになってきます。そこを浮いても戦える強い人材で埋めるのか、浮かさせずに全体をやや薄めるかという判断が必要になってきます。

そして第二の戦略として、戦闘中のライン交換のタイミングを見極めるところがあります。
相手の火力は意外と高いので、ローテの仕方をミスると普通に負けます。隊長しか狙わない、などの狙い判定もちゃんと見て適宜運用していく必要が出てきます。
そして、ここで何よりも大事なのは相手の行動を見ることです。敵の動きのローテは決まっているので、その中の一部分でもいいから防ぎきるビジョンを持っておくのが大事になってきます。
可能であればローテを完封できる構成が用意できるのが理想ですが、そんなにうまくはいきません。ちゃんとビジョンを持った厳選をしていないとユニットが揃わないので。
完封できない場合は、対応方法を頭に入れつつ、咄嗟のアドリブで攻略する場面も多くなってきます。このあたり、3秒という思考時間が良い味を出していて、常にちゃんと思考を回して戦うことになり、こういった戦闘に緊張感が生まれます。

改めて、最初のプレイでLv3に囲まれて老兵しかいないパーティーが蹂躙されていく様を見た時は軽く絶望していましたが、その経験を糧にして楽しくなったゲームです。
こういうゲームに慣れた脳みそが無い場合は、事前に攻略法などに目を通しておくと楽しみやすいかもしれません。自分で色々試してみるのも楽しいので、それも良いとは思います。