第15回ウディコン全作品レビュー - アリアとウィヴィと魔女の塔

48. アリアとウィヴィと魔女の塔

ジャンル 作者
WWA バル
プレイ時間 プレイVer クリア状況
8時間 1.07 クリア

良かった点

  • WWAをたっぷり遊べるボリュームでした
  • バフを盛ればある程度クリアが簡単になりつつも、歯応えのある難度でした

気になった点

  • ステージの数に比してギミックや敵のバリエーションが少なく感じました
  • 会話スキップについて、会話を一度も見ていなければスキップ出来ないほうが良いのではないかと感じました

レビュー

ボリュームたっぷりのWWA

アリアとウィヴィと魔女の塔は、いくつかのステージで構成されたWWA風のゲームです。
事前に分かる情報をもとに数字の足し引きを管理していく、パズル的な戦闘を楽しむことができます。

攻略することになるステージに配されるのは、基本的に敵とアイテムの二つであり、敵に接触した場合は自動で戦闘が行われ、アイテムの場合は取得することになります。
自動で行われる戦闘は、相手のHPを削り切れるダメージを与えるまで敵の攻撃を受け続けるというものです。すなわち、1発で倒せるならノーダメージですが、10発必要なら9回も攻撃を受けてしまうことになります。
ダメージは攻撃力から防御力を引いた簡単な値で算出されるため、被害を抑えるには攻撃力を上げて必要回数を減らしたり、防御力を上げて被ダメージを軽減させる必要があるでしょう。

そういった戦闘を有利に進めるステータスを手に入れるには、アイテムを拾って強化する必要があります。ただし、アイテムの配置は一筋縄で取得できるものではありません。敵が立ちはだかっていたり、鍵のアイテムを必要とする扉の先にあったりと、障害があるのが常となっています。
どのルートを攻めてアイテムを取り、被害を抑えつつ成長していくかなどを考えていくことが肝心です。将来のために大きめの被害を被ってでも無理やりアイテムを取りに行くか、あるいは小さい被害をコンスタントに受けることを選ぶか、都度都度決断していきましょう。

現在のステータスを鑑みつつ、敵やアイテムの配置とステージの形状からルートを定めていく長期的な視野を必要とするゲームとなっています。
その一方で、ステージ制を採用しているため、特に序盤においては一つ一つのボリュームは抑えめです。まずは少しずつルート決めの思考に慣れていき、中長期的な視座や局所解を詰める能力を養っていきましょう。
お助け要素もあるので初心者にもクリアへの道は開かれており、他方で上級者向けにはダイヤスコアという目標点もあります。自分の腕前に合った挑戦をしていきましょう。

感想

想像の3倍くらいボリュームのあるWWAでした。いっぱい遊べる。
全20ステージある上、それぞれダイヤスコアも設定されているので、全てをクリアしきろうと思ったらさらなる時間が必要になると思います。筆者はダイヤスコアどころか、お助け機能の利用まで手を伸ばしてギリギリのクリアとなりました。

目標としてはダイヤスコアがあるものの、明確にクリアすることで先に進んでいくデザインなのもあってか、クリアするだけでも歯応えのある難易度となっています。なんとなく良さそうな交換を雑にしているだけだとクリアはおぼつきません。
筆者は最初の方はショップを使ってお助けなしで進めていましたが、中盤くらいからお助け機能も使い倒す方向に切り替えました。そして、それでもそこそこ難しいなと感じていました。この局所最適解を積み上げていく思考が苦手なだけかもしれません。

また、WWAが各ステージに分離されたことにより、一つ一つのプレイ時間は短めになっています。
これによりWWAに必要な長期的な視野の重要性をある程度弱めることができていて、やり直しがしやすくなっていました。これが無ければ、最初の方のステージでお助けを使わずにクリアできていなかったかもしれません。
とはいえ近視眼的思考だとすぐに詰まるラインは確保されており、ステージとしてのボリュームはパズルの意味を持つレベルに収まっています。このあたりの塩梅が良い。

ステージに対して特殊なギミックもいくつか用意されており、各ステージで毎回同じことをやるというのはあまりありません。
ただ、そのバリエーション自体はそれほど広くなく、敵もパターンのガワ変えがメインで専用ギミックのようなものはありませんでした。錆びや毒という駆け引きは存在しますが、プレイヤーサイドに対し明確にマイナスな要素の拡張なので、障害の一要素としての感覚に留まっています。
オーソドックスな設計が続くという面において、WWAを好んでいる人にはかなり良い作品なのかなと思っています。

WWAとしての遊び心地は良く、各種レスポンスも軽快でルートを考えて楽しむことに集中できる作りになっています。特殊要素の解放も段階的なので、いきなり多くを覚える必要が無いのも嬉しいところです。
オープンオーブの消費コストだけスキル選択時に欲しい気持ちもありましたが、使えばわかるのでそれほど重要でもありません。

また、個人的にはクリア後にタイトル画面を見返すとその意味というか解釈が変わるのが割と好きです。確かに二人とも大分落ち着いていますね。