第15回ウディコン全作品レビュー - 「財宝竜と四騎士」The sunset and breaking dawn King

50. 「財宝竜と四騎士」The sunset and breaking dawn King

ジャンル 作者
RPG ZRA157
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間 1.06a クリア

良かった点

  • シナリオのスケールが大きいです
  • 任意のスキルをカスタマイズできる仕組みは面白かったです
    • いざという時はアイテムとして使用できるという点についても、ボス戦などの良い場面で役立ちました

気になった点

  • 背景が不透明な段階から4人で話し始めるので、誰が喋っているか分かりにくく感じました
    • 特に個々人の属する組織や関係性を飲み込むのに時間がかかりました

レビュー

壮大な叙事詩の一節

「財宝竜と四騎士」The sunset and breaking dawn King は、シナリオのスケールが大きいRPGです。
ゲームボリュームそのものは短編ですが、背景に長大な物語を感じさせる作品となっています。

ゲームのシステムはオーソドックスなRPGであり、シンボルエンカウントで出現する敵を倒しながらステージを進み、ボスに挑む構成となっています。攻撃性能の高さに寄った戦闘バランスとなっているため、テンポ良く戦闘をこなしていけるでしょう。
殊にボスは攻撃が苛烈なため、回復を主体にして粘るプレイングではジリ貧で負けになりかねません。攻撃できるときは積極的に攻撃を加えていき、押し切っていくことが大事です。

その苛烈な戦闘を戦い抜くために重要となるスキルは、装備によってカスタマイズできます。いくつかのスキルから選んで装備し、強敵にも対応できるビルドを模索していきましょう。
さらに、いざという時には装備品としてのスキルをアイテムとして使用することもできます。アイテムとして使うとそのスキルを消費してしまいますが、ノーコストで発動できるため場面によっては非常に強力な武器となり得ます。SPが枯渇した時の回復手段であったり、最後のダメ押しの一撃であったり、とっておきの切り札として運用可能な手段です。苦戦するボスには積極的に活用していきましょう。

そうしてスキルを駆使してボス戦を乗り越えていくと、徐々にキャラクターや世界の背景が明かされていき、壮大な世界の一端に触れることができます。
強力なボスを打倒していき、叙事詩のその一節の完遂を目指していきましょう。

感想

大叙事詩の一節みたいなスケール感のゲームです。全体の流れがダイジェストで一気に紹介されたときは面食らいました。

ハイファンタジーというか、かなりシナリオ面でも背景でも壮大な話なので、固有名詞がだいぶ多く出てきます。
世界観の壮大さだったり、単純に中二心的な面でも好きな所ではあるんですが、そのぶん話を追うのがかなり辛めではありました。特に序盤が顕著で、知らない単語を叩きつけられる上に、知らない人たちのそこそこ長い会話を聞かされることになります。
紹介パートが個別で行われるのはテンポ的に良い感じがするので、序盤ももっとスムーズな方が取っかかりやすいかもしれません。
特に個々の関係性が不透明な点が理解の妨げになっているところはあるので、せめて誰が喋ってるのかわかった方が理解の助けになりそうでした。

戦闘面は火力が高めの調整で、非常にテンポが良いです。雑魚戦でもボス戦でも、さっくりやられるか、さっくり倒せるかのいずれかになります。
とはいえ戦闘が平易というわけではなく、さっさと倒さないとヒールレインを繰り返して回復したところでジリ貧になって負けるというバランスのため緊張感があって楽しいです。とにかく火力を用意して叩きつけるのが大事。
筆者の体験としては毒がかなり厄介で、相手につける分には火力のインフレもあってそうでもないんですが、相手から付けられると大分しんどいです。多分、デスペルオールよりエスナオールの方が優先は高いと思います。

また、スキルについて、アイテムとして消費するとSP消費なしで攻撃できるシステムも面白いです。設計上ボスくらいにしか切れませんが、使いどころを見極めれば戦況をリセットできるくらいの力はあります。
そのシステムの都合上、SP消費の大きい行動に使いたいところですが、そういう大技はあんまり拾えないジレンマはありました。
筆者は最終戦ギリギリの戦闘において、ヒールレインを攻撃魔法使いに使わせることで窮地を脱するなどしていたので、体験としてかなり良いものに感じています。とっておきという気持ち。

シナリオが一部分の話に留まる点や、短編の都合上説明がない部分もあるので、プレイ後の疑問は尽きません。
うろついているドラゴンと世界を揺るがすレベルのドラゴンは何が違うのか。地母龍の復活は普通に気になるんですがどうしたのか。個人的には、これまでの各龍の力を使って竜と人が手を取り合って原初に打ち勝つんじゃなかろうかと思っています。