第15回ウディコン全作品レビュー - Know Your Enemy, Know Yourself

51. Know Your Enemy, Know Yourself

ジャンル 作者
ローグライク morimori
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.1.2 クリア

良かった点

  • 未知を解読して上手く扱っていくローグライクの楽しさが抽象して表現されています
  • 難易度の向上がちょうどよく、前半に稼ぎ、終盤は原則逃げる戦略の変遷が楽しめます
  • 任意の地点にメモを残せる機能が便利でした

気になった点

  • 仲間を雇うタイミングが良く分かりませんでした
    • 知識に金を使わなくなる終盤に雇用しましたが、仲間がいても辛いのでほぼ壁として運用していました
    • 知識比で仲間の雇用コストが高いような印象を受けています

レビュー

知識は力

Know Your Enemy, Know Yourself は、未知を識別することをもって攻略とするローグライクです。
魔法、アイテム、敵の全てがほとんど不明な状態から開始し、その全ての知識を得ることでクリアとなります。

基本的には、マップを探索して村を見つけ、そこで本を購入することで知識が得られます。売られている本にはアイテム、魔法、敵のいずれかの知識が書かれており、欲しい情報を選択して購入することができます。特にアイテムの知識は重要であり、この情報がなければアイテムの運用もままならないため、積極的に購入することをお勧めします。
また、本を購入するための資金源は敵のドロップ頼りであり、お金を稼ぐために敵と戦う必要もあります。マップ上で接触することでダメージのやり取りが発生するほか、魔法やアイテムで遠距離から攻撃することも可能です。上手く立ち回って安全に敵を処理していきましょう。

ただし、漫然と敵を倒しながら彷徨って知識を得ているだけではクリアはおぼつきません。時間の経過とともに敵の強さが指数的に増大していくためです。最初の内は複数の敵に囲まれていても余裕で処理できますが、長い時間プレイしていると一対一でも負けかねない状態になってきます。
そして、この困難な状況を打開するのに必要なものもまた知識です。アイテムや魔法の知識を十分集めることができれば、それを活用して強くなった敵とも渡り合えます。できるだけ素早く知識を集めて強敵に備えつつ、敵が強力になってくる終盤をいかに乗り越えるかが肝心となるでしょう。

知識を効率よく収集していくには、効率の良いマップの巡回がカギとなります。マップには一日に一回知識や魔法が得られるクリスタルが点在しているため、この場所と村を基点にルートを決めていくのが良いでしょう。
序盤の内に歩き回ってマップを把握し、プレイの度に自動生成されるランダムな地形から上手く知識を集められるルートを構築していきましょう。

知識がクリア条件であり、同時に知識がクリアの助けともなるゲームです。目的が手段であり、また手段が目的でもあります。同時に、そうして知識の識別という準備をこなし、最後の逃げ切りに備えるというローグライク的体験が得られる作品でもあります。
知識を蓄えてクリアを目指し、その知識を持って難局を打破していきましょう。

感想

知識が力であり、知識がクリア条件という首尾一貫としたローグライクでした。
かなり独特なシステムをしていますが、目的と手段が一致しているので理解を深めながら楽しく遊びやすい作品になっています。

特に、ルートを抑え、知識を集め、魔法を収集して可能な限り達成度を上げていく序盤から中盤と、手持ちのリソースを使いつくして残りの達成度を損害少なく埋めていく終盤のグラデーション的な体験はまごうことなくローグライク的で楽しめます。
このあたりの難易度調整はかなりちょうど良く、1日目の余裕がある状況、2日目あたりからの雲行き、3日目以降の敵の強さはかなり綺麗にデザインされています。初回プレイでは3日目に落とされました。
難易度が高いか低いかで問われれば高い方と答える部類ではありますが、ローグライクとして見ればむしろ絶妙と答えるような歯ごたえに仕上がっています。

筆者がクリアした時は、魔法として遠距離魔法とワープを確保できたのでだいぶ安定しました。遠距離魔法はアイテムとの組み合わせで回復までやれるので、かなり当たりだと思います。ワープも最終盤の逃げながら集めていくフェーズなどで活躍しました。
こうした有用なものを集めるために、とにかく序盤は情報と魔法の収集に血道を上げるのが肝要で、それが後半の備えになる上にクリア条件にも重なっているというのが、このシステムの秀逸なところです。クリアを目指していれば、勝手に後半の準備がある程度整うことになります。
そうして準備をして3日目になり、Gが強いなあと思いながら逃げ惑ったり、通路で一体ずつ処理したり、ワープで誤魔化していったりするのはだいぶ楽しかったです。

全ての機能が恐らくランダムに設定されているのも面白いところで、攻略の方向性はプレイする度に変化します。筆者の例で言うと、最初のプレイでは回復が多かったので耐久でしのいでいましたが、二回目のプレイでは遠距離を引いたので先に始末する方向性で戦っていました。
一方で、完全にランダムなこともあり、使ったものの識別は困難を極めます。条件も複雑なので、使用によって識別するのはあまり得策ではありません。漢識別もしにくい。確定アイテム以外は破棄しながら進めていくのが行動としては丸そうでした。この辺は不思議のダンジョン系とは異なるところです。

また、仲間というシステムがあり、コストを高めに払うことで増やせるのですが、これの使いどころは割と難しかったです。
店買いの知識の値段、周囲の敵のバランスからして、多分90%台くらいから仲間を連れていくバランスなのかなと推測しています。そもそも、店で知識を変えるならそっちに振ったほうが、クリアの面でも収集の面でも有利です。店買いで余るくらいから検討段階に入ります。
しかし終盤は逃げ切り態勢に入っているので、そこで仲間が増えてもやることはあまり多くありません。ほとんど囮くらいにしか使えない印象でした。上手い使い方が分からない。

なお、各色のパラメータとその関係とか、説明書にはあったけど一読で理解できてなかった要素はいったん無視して遊んでみるのが良さそうでした。全部処理するのは難しい情報量なので、困ったりゲームオーバーになったりしたときにその原因として覚えたほうが身に沁みます。
そも相手の追尾力が高く、逃げる選択肢を取りにくいゲームなので、パラメータがわかってるからといっても有効な行動がとれるとは限りません。ピンポイントで必要な情報なので、その時に覚えるくらいがちょうどいいと思います。

後はメモ機能が地味に便利で、主に終盤に役立ちます。どうしても地形が似通っていて覚えておくのはほぼ無理になってしまうため、そういう時にメモが置いてあると良いです。ソースコードにコメントを付けておくと、一週間後の自分が助かるアレです。
終盤、逃げながら情報を集めている最中にあった、こちらは行き止まりのメモは非常に助かりました。ちゃんとメモを残しておきましょう。