第16回ウディコン全作品レビュー - ±0 -Black Rain-

10. ±0 -Black Rain-

ジャンル 作者
アクション/探索ADV 氷瀬るん
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.09 NORMAL

良かった点

  • 美麗なグラフィックと高い演出力からなるカットシーンは圧巻でした
  • キャラクターがダイナミックに動く迫力のある戦闘シーンを楽しめます
  • 戦闘パート以外にもバリエーションがあり、飽きにくい設計になっています

気になった点

  • 戦闘パートは防御と必殺技優位なバランスとなっていて、攻める理由があまりありませんでした
  • ダッシュジャンプ地帯について、ダッシュジャンプするとむしろ突破できなくなるミスリードに感じました

レビュー

死を齎すもの

±0 -Black Rain- は、美しいグラフィックに圧倒される演出が特徴的な、アクションと探索を合わせたようなゲームです。
探索パートを適宜挟みつつ、要所では戦いに挑むことになる流れとなっています。

ただし、一口に探索と言っても、プラットフォーマーめいたものから謎解きチックなものまで色々な試練が待ち構えています。時にはアクション性を要求され、時には思考を要求されつつも、上手くそれらを処理し、物語を進めていきましょう。
また、ただの探索パートでも、場合によっては後の分岐にかかわることもあり得ます。様々な場所を見て回ることも必要かもしれません。

そうした探索を経て、シナリオの関門として設定される戦闘へと突入していくことになります。戦闘パートでは、その圧巻のグラフィックによりダイナミックに動くキャラクターに圧倒されることは疑い得ません。
ゲーム性としてはチャンバラに類するものであり、タイミングよく攻撃し、相手の行動に上手くタイミングを合わせて防御するのが基本戦略となります。
敵の動きをよく見て、適切に守りつつ相手に攻撃を加えていきましょう。

探索、戦闘を通じて、そして何よりもシナリオにおいて発揮されるグラフィックの圧倒的な美麗さが、やや暗さをはらむ物語を美しく表現した作品となっています。高い演出力に裏打ちされたカットシーンもまたシナリオを彩り、より没入できるものへと昇華させてくれること必至です。
美麗な世界に足を踏み入れましょう。

感想

画の力が凄いゲームです。そしてそれは、もちろん要所におけるスチルの上手さや、立ち絵の綺麗さもあるんですが、特に戦闘シーンにおける画面の圧を絵の圧倒的な美麗さによる迫力で表現しているところが圧巻となります。

ひとまず戦闘シーン以外の画の強さに触れておくと、細かいシーンの表現力が抜けて高い作品となっています。絵による表現力がずば抜けて高いのはもはや見ずとも分かるとして、カメラワークや細かい尺など、カットシーンにおける演出力も極めて高い水準にあります。
ここに天元突破の画の力が入ってくるので、画面に込められている力のかかり方は尋常でないものになります。圧倒的と言って遜色ないレベルです。
もちろんよく動く立ち絵もクオリティが高く、それぞれの感情や機微を細かく表現するものとなっています。

そして何といっても印象に残る戦闘パートですが、各々のグラフィックが大きく映り、ダイナミックに動きます。これだけで迫力が出ています。凄い。
プレイフィールはチャンバラに近いですが、大写しとなったキャラクターの動きと大胆なエフェクトでかなり見目映える戦闘シーンへと昇華されています。あまりにエフェクトと動きが強すぎて、下手に攻撃するとガードモーションと予兆モーションが被って被弾しがちなのはご愛敬。

なお、そういう面があるので、戦闘パートはゲーム性的には全段弾いて必殺を叩き込むのが安定行動にはなりがちでした。下手に殴るとガードされ、手痛い反撃をもらうことも多いので、ガード貫通の必殺に集中する方が色々と楽です。突発的な処理落ちにも対応しやすいので。
ただこのやり方だと相手の必殺技が見られないことが多いので、とりあえずは全力で挑むのも良いと思います。せっかくなら相手の必殺技も見たいですからね。

戦闘パート以外は主に探索パートで構成されており、ややアクション性があったり、シンプルな探索要素があったりと、ちょっとバリエーションを変えることで上手く間を持たせている印象でした。
個人的にはつくね選びが難関で、クリアした時点でさえ、何体か見分けのつかないつくねが混じっていました。最奥にいるだろうというメタ読みが無ければ危なかったです。翻って支部長はあまりにも解釈違い過ぎて一瞬で分かりました。

シナリオ面で言うと、最後の時計塔に見覚えがあるなあと進めていたらプルートニオンを思い出し、そこそこ暗い気持ちになりながら最終戦を迎えていました。プルートニオンそれ自体、あんまりにもあんまりな結末の多い印象がありましたが、ここに加えてなおあんまりな結果になっているあたりは残酷ですね。あの人たちは一生くだらない漫才やっていて欲しかったです。
まあまあなことをしでかしてるラスボスではありつつ、その時の記憶から肯定はできないまでも納得はできる自分がいました。彼ならやる。

なお、このゲームは今ウディコンにおける飯テロゲームの一つでもあります。絵の上手いゲームは飯を上手く描いてお腹を空かせてきがちですね。