第16回ウディコン全作品レビュー - アンブレラブレイバー
13. アンブレラブレイバー
ジャンル | 作者 |
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ノンフィールドADV | (影)苅田町役所 |
プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
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30分 | 1.05 | 全END |
良かった点
- ラストに向かって良く演出されたアドベンチャーゲームでした
- 良いBGMが演出を盛り上げてくれました
気になった点
- ノンフィールドパートにおいて特別に意味を持たない歩みが多く感じました
レビュー
その手を取って歩もう
アンブレラブレイバーは、シナリオに重点を置いたノンフィールドアドベンチャーです。
主人公は廃墟の洋館の中で不思議なお姉さんと出会い、その廃墟からの脱出を目指すことになります。
その脱出のためには、ノンフィールドRPGのようなパートを通して、幽霊との戦闘に勝利する必要があります。
戦闘における幽霊の行動はあらかじめ明示されているため、プレイヤーはその情報を勘案して適切な行動を選択していくことになります。基本的には相手の行動を封じつつ、こちらの攻撃を通していく、特殊なじゃんけんのような戦略を立てることになるでしょう。
そうして戦闘を攻略していき、洋館の出口にまで辿り着くことができればクリアとなります。
しかし、このゲームはノンフィールドRPGではなく、アドベンチャーです。本当の意味でクリアするのであれば、戦闘以外にも目を向けましょう。ゲーム内にもヒントはあるので、その達成はそれほど難しくはないはずです。
是非とも手を取り合って、洋館の脱出を目指していきましょう。
感想
ノンフィールドRPGかと思ったけど、ノンフィールドADVでした。紹介文にもRPGって書いていないですしね。ノンホラーアドベンチャー。
ノンフィールドRPGとして見るなら割と無駄に思える部分はあるんですが、この辺は恐らくADVとしての演出の意味合いが強いんだと思います。空気感の醸成のために、この設計になっているような印象でした。
戦闘はかなりフレーバーであり、タイミングを取って殴るゲームになっています。大きくランダム要素もなく、固定行動しかないので対処も楽です。
そういう意味でも、ここもまた演出でしかなく、どちらかと言えば会話の方に重きが置かれた設計となっていました。一応何も考えないとマズい状態にはなっているので、適度に別のことを考えてリフレッシュする要素として機能しているのかもしれません。
どうでも良いですが、行動予測について、初めはUIを見てアメリが教えてくれていたのかと思っていました。しかし、終盤パートで普通にコウ一人でも敵の行動が見えているあたり、どうやら違ったようです。もしかしたらそういう能力を会得したのかもしれませんが。
また、ノンフィールドパートはそこそこ何もない歩みが多いんですが、ここも演出の都合上っぽい印象でした。会話のこともありますし、単純に二人で歩む道であることに意味があるという面もあります。
若干演出はもっさりしているんですが、そこはスキップもあるので周回時に気になるレベルにはなっていません。
反応範囲は、何もしなければ初手にビターへ行くようになっている印象で、ちゃんと全てのイベントを初見で進行するのはあんまり想定されていなさそうな気配はあります。好奇心旺盛なら触れそうですけど、それはそれでビターが見れないのがもったいない気がする。
一歩ごとに確認する手間は発生しますが、全体の歩数が短いので事なきを得ました。これが100歩とかだったらさすがにしんどかった。
シナリオについても言及しておくと、筆者はなんやかんやボーイミーツガールを好む向きにあるので、シンプルに好きでした。
シナリオ構造的には少しひねったことをしつつも、物語そのものは結構直球ストレート勝負なのも良くて、単純にラストバトルは心熱くなるところがあります。王道は外さないから王道足りうる面があるので。
なお、筆者は最初の方で見た、アレを幽霊と思いこまないと云々で若干混乱していたんですが、主人公は普通に生者と察していたということで決着しています。ビターというかあの辺の表現上、幽霊ルートもありそうに見えはしたので。
それはそれとしても、外に出れない理屈は未だ良く分かっていません。父の力なのだとしたらどういうスペックなんでしょうか。あるいは父の制約すらも自身の意志の発露でしかなく、勇気をもらうまでは外に出ることすら叶わなかったと捉えるべきなのかもしれません。
しかし幽霊食、栄養とか大丈夫なんだろうか。