第16回ウディコン全作品レビュー - ジャンクエデン2

21. ジャンクエデン2

ジャンル 作者
ロボアクション たがや
プレイ時間 プレイVer クリア状況
7時間 1.20 クリア

良かった点

  • 良いゲームサイクルの中で熱中できました
  • 豊かで広大なフィールドを探索していく楽しさがあります
  • 機体をカスタムして自分なりのビルドを組み上げることができました

気になった点

  • 収集物の管理、展示がやや手間でした

レビュー

ジャンクを組み上げ自分なりの機体を動かそう

ジャンクエデン2は、自分でカスタマイズした機体を駆って敵機を倒していく、オープンワールド2Dロボアクションです。
広々とした世界を縦横無尽に駆け回り、ミッションの成功を目指すことになります。

ミッションのクリア条件はシンプルで、エリア上方にあるボスの撃破となります。
しかしエリア上方は様々な機能により固く守られており、そのまま向かって攻略するのは至難の業です。この機能を無効化あるいは低減させるためには、四隅にあるエリアのボスと向き合い、そこにある装置を破壊する必要があります。
腕に覚えがあるのであれば、すぐに上方のボスに向かっても良いでしょう。しかし、ひとまずは四隅のボスを倒すことを目標にするのをお勧めします。

四隅のボスを倒すには、まずそこに至るまでのエリアを探索していく必要があります。
広々とした世界には敵の拠点と、ワープポイントにできる塔が点在しています。基本的には道なりに進んで敵の拠点で戦闘を繰り広げつつ、ワープポイントを増やしていくことになるでしょう。
さらに、敵機を撃破することで手に入るパーツを使えば、自機を自分なりにカスタマイズすることもできます。攻撃手段や移動性能、機体のスペックを見つつ、お気に入りのパーツを使って優秀な機体を作っていく楽しさがあります。

ただし、探索中は回復の手段がないため、連続して戦い続けると機体は疲弊していきます。大きく消耗している場合は、リスクを鑑みて早めに自分の拠点に戻るのがお勧めです。
そうして拠点に戻ったら、時間経過に応じて機体を回復させることができます。この時間を利用し、手に入れたパーツを確認して吟味し、獲得した収集物を展示するなどをやっていきましょう。そうしている間に回復は終わり、また出撃する準備が整います。
この探索、戦闘、帰還、吟味、出撃のサイクルが心地良く、気付くと延々とプレイしてしまうこと必至です。

そうして何度も出撃し、エリアボスに辿りつくころには、自身の機体もグレードアップしていることでしょう。しかし、それでもボスとの戦いは苦戦すること間違いありません。機体の力とプレイヤースキルをフル活用し、上手く勝利をもぎ取っていきましょう。
場合によっては、次に出撃する機体をあらかじめ別に用意しておき、交互に間断なく出撃することで相手の体力を削り切るという手法も取れるかもしれません。
どちらにせよ、ボスを倒すには入念な準備が必要です。敵機を倒しパーツを集め、良い機体を作り上げて挑んでいきましょう。

極めて広大ながらエリアごとに特色があり、起伏のある地形を巡る探索の楽しさ。飛び回り続けて敵機を打ち倒していく戦闘の楽しさ。戦いの中で得られたパーツを上手く組み合わせて戦術を練る楽しさ。これら全てが組み合わさり、ゲームループの中に組み込まれることで、終わりまでノンストップで楽しめる作品となっています。
自分なりの最強の機体を作り、敵機や強力なボスに挑んでいきましょう。

感想

めちゃくちゃ広大な空間をひたすら巡っているという体験は、割に飽きやすそうに感じるんですが、このゲームでは全然そういう感情を抱きませんでした。何か特殊な味付けがしてあるというわけでもないので、本当にゲームサイクルがものすごく綺麗に回っているということの証左なのだと思います。
この規模の作品で途切れることなく遊び続けてしまう牽引力を最後まで保ち続けているというのは、かなり得難いものがあるなと感じていました。めぐめぐの作者さんなのでさもありなん。

ひとまずアクション面の話から始めるんですが、多分丁寧に立ち回るにはある程度のプレイヤースペックが必要で、ごり押しで行くならジャンプと移動性能と誘導ミサイルがあればなんとかなります。
悪条件でなければ、おおむねプレイヤー側の方が強いこともあり、とりあえず一機から二機倒すことを目標に世界をうろつくレベルのバランスなんだろうなと思っています。

ただし、ボス戦となると様相が変わり、ちゃんとアクションするか、ちゃんと準備する必要が出てきます。
というのも、ボスは明確に自機よりスペックで優れているので、ちゃんとアクションして削る必要があるからです。アクションで足りない分は、ボスの弱点を突くパーツを集めたり、自機を増やしてゾンビアタックし続けたりと、そのボスに向かうための準備で補う必要があります。
アクションがそこそこ苦手でも、最悪ゾンビアタックでなんとかなるバランスなのは、そういう意味でもありがたかったです。ゾンビせずに倒せたボスは、たしか左上だけでした。

ボス戦について、個人的な印象としては、左上 < 右上 < 左下 < 右下くらいの難易度に感じていて、右下に関してはラスボスより苦戦しました。
左上は避けることが容易な上に固定しているから楽で、右上は単体性能がそこまで高くありません。左下は大量の雑魚を上手く避けて捌ければなんとかなります。一方で、右下は未だに攻略方法が定まっていません。弱点を突こうにも三種の敵がいて、高速で動き回るから一体一体に狙いを付けに行くのも難しく、多対一の常としてみるみるうちにこちらが消耗していきます。
結局ボスを打ち破ることなく、扉を打ち破って無理矢理クリア要件だけ満たしました。これが通るのもありがたい。

ラスボスについても割と強いんですが、そこに挑むまでにはある程度整っているので、マシンガンを積んだ四脚足を5機用意する力押しで突破しました。倒しても倒しても似たような機体が襲ってくる様はどっちが敵か分かりませんね。こちらは国を滅ぼそうとしてますし。

アクションついでに武装の話もしますが、個人的にはラスボス戦でも使っていたマシンガン系と四脚足が好きです。サブは誘導性能が高いのがお気に入り。
避けようとすると相手への射線も切ることになるので、自然と数撃ちゃ当たる方式にシフトしていきました。また、基本的にずっと移動性能が低い状態で探索も戦闘も進めていたのもあって、終盤に四脚足を手に入れてぬるぬる動けるようになるのが気持ち良すぎてハマってしまいました。四脚足最高。
それでいて、四脚足は割と厄介な慣性が付くので、めちゃくちゃ強いというわけでもないのも良い塩梅でした。慣れないと戦うこと自体が割と難しいです。

さらについでに捕虜の話もするんですが、最終的には捕虜5人の構成でしたが、ほとんどメカニックとして運用していました。
二機目を用意してしばらくは相棒のネコを僚機に暴れまわっていたんですが、ボスに挑んでいる最中にネコがそこそこ瀕死になって命からがら帰ってきたあたりで慎重になり、ある程度制御できる探索の範囲内以外ではメカニックに回ってもらうことにしました。いのちだいじに、です。
一応二人目のパイロットであるマンドラゴラも育成し、ネコの体力が充分でない時は二号機として運用していましたが、大体のケースでは幽霊二人に混じってメカニックに従事してもらっていました。
おかげで我々の部隊の回復能力は高く、ある程度のボス相手であれば二機用意すれば充分ゾンビアタックを仕掛けられるレベルとなりました。
しかし、ネコ、マンドラゴラ、幽霊x2と、明らかに変な部隊になりました。最後の最後に滑り込みで入ったウルファールさんにはさぞ肩身の狭い部隊であったことでしょう。プレイヤーキャラを魔法使いっぽい見た目にしていたのもあって、実験動物を使役しているようにすら見えていました。

閑話休題。続いてフィールドについて、冒頭でも触れましたが、本当に広いです。ちょくちょく戻りながら進めていたとはいえ、10日目達成時点でも3ボスの所に行くのが精一杯でした。道なりにある程度埋めながら進めていったとはいえ、だいぶボリュームがある印象です。
しかし、ただ広いだけのオープンフィールドではなく、起伏を設けていたり、場所によっては見目が変わっていたり、穴が開いていたり、川が流れていたりと、少しずつ変わっていく地形の影響もあってか、全く間延びせずに巡りつくせました。

また、プレイ感が間延びしないのには、恐らくゲームサイクルの秀逸さもあります。
よほど上手く立ち回らない限り2機も倒せば帰還するバランスのため、ずっと徘徊しつくすということがまずありません。適度なタイミングで必ず戻ることになります。加えて、帰還すると必ず回復のフェーズがあるため、この時間を利用して色々やることになります。
それは収集物の配置であったり、獲得物の吟味であったりします。配置物をとりあえず適当に並べ、装備の数値とにらめっこして変えて、また出動です。この時、大体装備が換装されることが多いので、新しい装備を携えてまた新鮮に出発できます。
このサイクルが非常に良く回っており、少なくとも全換装を終えるまではこのサイクル下の中で探索と接敵を楽しむことができます。

加えて、このサイクルがある程度落ち着いてくると、今度は二機目の作成や、捕虜の獲得が大体のケースにおいて発生します。
捕虜は上手く使えば僚機として戦闘をサポートし、さらに探索の幅を広げてくれます。そうでなくても、二機目を作成できれば、回復のフェーズをある程度飛ばしてすぐに探索に移ることもできます。
やることがある程度固定化したところに、今度はそのサイクルをより早め、より探索に重きを置ける状況へと進化するこの仕組みのおかげで、ある程度上達してきたところで探索をハイペースで楽しんでいけるようになっています。

最初からこのペースで探索できると情報量が多すぎて疲れますし、かといって最初のサイクルだけ推し進めるにはいくらか冗長です。このバランスの加減こそが、ゲーム全体を通じて間延びを生まないレベルデザインに強く寄与しているのではないかと考えていました。

個人的には、配置物のレイアウトをもう少し凝りたいところだったんですが、収集物の展示周りがやや面倒だったので手を付けていませんでした。
ただでさえ時間に追われる設計なので、展示に割いている時間があまりなかったのも寄与しています。時間停止して飾りつけタイムになっていたら、もう少し凝ったデザインにしていたかもしれません。
もっとも、会話と同じように時間停止すると不具合の温床になりそうですし、前述するサイクルの内、回復フェーズでやることの一つでもあるので、時間経過が存在する理由も分かります。難しい。
後は、展示物がらみでポスターを張り付けられることが途中まで良く分かっていませんでした。厳密には、置けそうなボタンがあることまでは認識して、実際にボタンを押してみたんですが、微妙に置き方が違うので失敗して以降しばらくノータッチだった、というものです。
平たく言えば、サブ要素に留まる展示物くらいにしか不満を覚えない程度に、ゲーム本編はずっと楽しめたということです。

自機をカスタムして敵機を撃破していくサイクルをひたすら回し、少しずつできることが増え、探索してきた領域も広がっていき、関門としてのボスもきちんと配されている隙の無い作品でした。今にして思えば、四方向ボスといい、ボスを倒さなくても厳密には良いことといい、割とBotWっぽいかもしれません。次作があれば、さらに空島と地底が拡張されるんでしょうか。地底っぽいのは既にありますが。