第16回ウディコン全作品レビュー - ダーゴラス

29. ダーゴラス

ジャンル 作者
RPG げむつくマン
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.10 全END

良かった点

  • レトロ風を保ちつつ、利便性の面が現代ナイズされています
  • モブも含めたキャラクターの台詞が良いです
  • 割とスリリングな戦闘を楽しめます

気になった点

  • 不運が重なると、ミスなしでも負ける戦闘バランスに感じました
    • ただし、リカバリーがノーリスクなのでストレスはそれほど感じません

レビュー

現代的レトロRPG

ダーゴラスは、ドット絵で描かれるオーソドックスなRPGです。
あまり情報を開示することなく進行していくシナリオや、ゲーム全体に漂う空気感は往年のRPGを彷彿とさせます。

しかし、この作品は単にレトロなRPGを再現するに留まるものではありません。
移動速度を速めて操作感を快適にし、重要な情報は常にメニューから参照でき、死亡に大きなペナルティもありません。ゲームをプレイしている時の感覚は、現代風の快適さでコーティングされています。

それでもレトロな空気感を崩さないのは、必要な情報を足で稼ぐ往年のスタイルを取るゲーム進行や、短いセンテンスでパンチを効かした様々な台詞回し、サシで殴り合う原始的な戦闘システム、といったようなコアな部分を崩していないためです。
核にレトロ風の要素を据え、その印象は確かに往年のものであれど、触ることで感じる遊び味はとにかく快適といった仕上がりとなっています。

レトロな空気に浸りながら、サクサクとプレイして楽しめるRPGです。
手に取ってさっぱりと遊びましょう。

感想

レトロっぽいゲームなんですが、だいぶ現代ナイズされたゲームでした。レトロ風ゲームは空気感を演出するためにあえて不便さを含めるところが多々あるところを、このゲームでは、ドット絵の風味やキャラクター数の少なさ、センテンスの短さで空気感を作り出し、システムはかなり現代風に作っています。
それでいて、許せる範囲ではレトロ風の理不尽さも内包しているような印象も受けました。この辺が摂取限界というあたりの見極めが上手いです。

理不尽さの大きなポイントとしては、戦闘における敵行動のばらつきを挙げたいところです。要素が少ない一対一構造であるがゆえに、敵の特殊攻撃のバリエーションは少なめで、単純に振られると辛い技が多めになっています。この行動が偏ると、こちら側が一気に瓦解していくバランスになっています。
一対一ゆえにリカバリーを利かせるのも難しく、強行動を引かれ続けないように、できるだけ早めに決着を付けに行くのが理想の展開となっています。

ただし、ゲームオーバーになっても大して問題はなく、ロスト無し、何なら何故かちょっとお金をもらって復帰できます。このため、ある程度ラッキーパンチで負けたとしても、そこまで苦ではありません。
むしろ、これくらいのリスクがあるバランスになっていないと、シンプルな戦闘なので刺激が少なめになりそうです。スリリングさを求めるためにはこの程度のバランスが必要で、その天秤がハードラックで変に傾いてしまったのであれば、そこはシステム側で救済しようという設計になっており、トータルではかなり良いバランスになっていると思っています。

特に個人的に良かったのは、回復ギリギリの状態でひりゅう戦前に到達し、抱えていたアメを2つ舐めて突撃したところ、残りMP8で薄氷の勝利を掴んだあたりです。このギリギリの戦いをしたという感覚が好き。
ラスボス周りもちゃんと強く、乱数行動でピンチに陥る前にボーボーヤで焼きにいく必要のあるスリリングな難易度でした。適当に殴っているとすぐに負けが近付きます。

また、救済措置なのかチーズバーガーで能力値を上げることもできるので、あんまりリスクを取りたくない場合はレベリングしていくことも可能だとは思います。筆者はチーズバーガーの存在にクリア後に気付きましたが、うろうろと探索している方は早々に見つかると思います。
ちなみに、実はかなり早く場所については見つけていたんですが、あれとチーズバーガーがすぐに結びつきませんでした。反省。

そして、レトロっぽさというかこの空気感を演出してる最大の要因は、短いセンテンスにパンチのある言葉を詰め込んでいるセンスだと思っています。
長々と説明もしないし、情報がやたら精細すぎたりもせず、しかし情報として不足しない程度に、かつユーモアを伴って構成されています。各々が短く、面白くもあるので、モブに積極的に話しかけに行く誘因ともなっていました。
原則プレイヤー側に通知してくれることは何もないので、自分から積極的に話しかけに行って足で稼ぎ、情報を手に入れてはそれを基に行動する、という古き時代のRPGの構造をなぞりつつ、きちんとその導線が引かれている作品となっています。

ちなみに、クリア時の状態は以下のようになりました。
いくつか盗めそうなものはありましたが、それらをできるだけ盗まなかったので、衛兵にお世話になることはありませんでした。次やるのなら悪人プレイをやるべきでしょうか。
敗北については、最序盤とラスボスの2回です。それ以外は割と安定していました。

クリア画面