第17回ウディコン全作品レビュー
前書き
注意
- このレビューは、筆者個人の独断と偏見によって書かれています。筆者の好みが多分に影響していますことをご了承ください。
- 出来る限り気を付けていますが、一部ネタバレを含む可能性もあります。問題がある場合は、プルリクやTwitterなどにてご指摘いただけると助かります。
- レビュー内容は主にプレイ当時のバージョンに基づいています。最新バージョンと動作などが異なる場合がありますが、ご了承ください。
初めに
WOLF RPGエディターコンテスト(ウディコン)は、ウディタ製のゲームを競う、年に一回開催されるコンテストです。
今年で第17回を迎える中、58作品ものゲームがエントリーされました。ウディタの精力的なアップデートも相まって、RPG作成ツールの枠組みを超え、ジャンルも雰囲気も異なる様々な作品が出展される運びとなっています。これほど多種多様なゲームを遊ぶことのできる場もそう多くはありません。
今年度において、筆者は全作品を遊び、クリアできる範囲では全ての作品をクリアいたしました。クオリティの高さに感心する作品、胸を打たれる作品、設計の素晴らしさに脱帽する作品、夢中になって遊んでしまう作品まで、様々な作品を楽しむことができました。このささやかな返礼として、プレイ作品のレビューをしていこうと思います。
なお、筆者は漫画で言えばARIAが好きで、最近の推しなら魔術師クノンは見えているで、小説で言えば米澤穂信さんが好きで、好きなゲームはFF10で、最近やったゲームではBat to the Heavens、レイジングループ、パラノマサイトあたりが好みです。プレイ時間で言えば、とりつかれたようにスマブラをやりすぎているところです。前回のウディコンで一番好きだったのはやけくそ料理人と不良債権、あるいは雪山道です。
加えて、筆者自身はゲームプログラマーを生業としています。そのあたりを評価から差っ引いて考えると、より公平に感じるかもしれません。
ネガティブな感想を見るのが不快という方は、こちらのボタンを切り替えてください。ネガティブな感想を含む項目が隠れます。
補記。投げ銭もあるので開催者の方に遠慮なく還元していきましょう。
凡例
良かった点
- 筆者が良かったと思う点を書き連ねています
気になった点
- プレイ中に気になった点を書き連ねています
- 必要ない方は上記のボタンを押して消してください
レビュー
- レビューの文章を書いています
感想
- ネガティブ/ポジティブにかかわらず感情側に寄った感想を書きます
- より直截的な表現およびネタバレが多いので、基本は非表示にしてあります。読みたい方だけ都度ボタンを押して読んでください
- ここの文章の推敲は甘めです、不適切な表現があるかもしれませんがご了承ください
レビュー
01. Stellight

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| ノンフィールドRPG | 冒険者@シロヰ a.k.a 阿部狐 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間30分 | 1.00 | クリア |
良かった点
- 良いシナリオでした
- 情景描写の美しさなど文学的な良さがあります
- 親切かつスピーディーな戦闘設計により、物語への没入感を保ったままゲーム性を担保していました
気になった点
- 特にありません
レビュー
抒情の力
Stellight は、シナリオが主体となったノンフィールドRPGです。
ジュブナイルファンタジーと銘打たれた通り、ある少年のひと夏の物語が洗練された筆致で描かれた作品となっています。
女の子のようなチトセという自分の名前、あるいはそのアイデンティティそのものに苦悩する少年が不思議な世界に迷い込み、星あかりのヒーローを名乗る少女に出会うところから物語は始まります。二人はそれぞれの望みを成就するべく、願いが叶うという千年階段を目指して共に歩みを進めていくことになります。
目的地へと向かう道中で展開される、豊かな抒情性をもって主人公が抱える苦悩やその内面の世界をテキストで表現したシナリオは美しく、読む者の心を揺さぶる力を持っています。ゲームという総合芸術の媒体ながら、あえて文章それそのものが持つ表現能力を極限まで引き出した構成であると言えるかもしれません。
ただし、このゲームはノベルゲームではなく、ノンフィールドRPGです。彼らに立ちふさがる障害は、RPGにおける戦闘として表現されています。物語を装備してスキルをビルドしていくその設計もまたシンプルながら完成度が高く、シナリオを楽しむ良いアクセントとなってくれることでしょう。
なお、戦闘はスピーディーな設計をしており、ゲームオーバーという概念もありません。シナリオへの没入を妨げるものではなく、あくまでフレーバーとして楽しめるものとなっています。
情緒溢れる高品質なシナリオを、シンプルで遊びやすいゲーム性で包んだような作品となっています。
千年階段に辿り着いた時、彼らは何を思い、何を願うのか。その結末を知るためにも、歩みを進めていきましょう。
感想
情景描写の稠密さとか、良い意味での言い回しの回りくどさとか、そのあたりがゲームっぽくない作品です。文学畑っぽい文章ですし、何なら純文学の畑から取れそうな文章に見えます。最近の純文作家を読んだ経験はあんまりないですが。
ゲームという媒体においては、情景は一般にグラフィックで表現しがちなところがあります。それ自体はゲームが総合芸術であることから一般的な話とも言えるんですが、Stellightは文章の力で世界を構成していこうという強い意志を感じさせます。言葉の持つ情感の力を信用している。
そうした性質上、やはり真骨頂とも言うべきは心情描写になるんですが、割かし直截的な感情の吐露を情景に乗せて表現しており、この辺も文学的な素地を強く感じる内容となっています。その中でもドロシーの台詞はやや特殊気味に仕上がっていて、時に意味が通らない言葉であっても連打して、とにかくリズムを重視するような言い回しになっています。都都逸とか、そういう類の独特な面白みがありました。
その一方で、文章に偏重してゲーム性が疎かになっているかと言えば、そういうこともありません。ノンフィールドRPGとして堅実に完成されてもいます。
ある程度のランダム性と計画性をもって増えていくスキルと武器、スピーディーに進行する雑魚戦としっかりと歯応えのあるボス戦といったバランス面を基に、ゲームオーバーなしで戦闘前に戻れる親切設計が組み入れられており、物語への没入感を削がない範囲でゲーム性を上手く作っています。
個人的には、二週目でちゃんと変化を付けていたところが良いなと感じています。技の追加を最小限にしつつ、キャラの追加と進行の高速化でもって上手く差別化を図っていました。あそこでもう一回100m刻みだったら飽きていそうなところです。
なお、物語の装備周りについては、個人的に若干手間だと感じるところがあります。スペックの確認のために装備画面へ行くとキャラ選択を挟むため二手かかるので。物語一覧を見れば解決できる部分はあるものの、そこから装備させたい場合は結局装備に行くため、大体装備のUIで確認しがちなところがありました。装備の確認は原則として装備の種類数だけ行われる操作なので、この辺りが地味に積み重なって手間な印象がありました。時間にしたら大したものではないんですが。
ただ、装備までの手数が減るとステータスの簡易確認用の画面やら、顔グラフィックなどを見せる画面やらが減りそうなので、こう書いておいてなんですが、設計としてはベターなものなのかなと感じています。
ともあれ、そういった細かい点以外には特別不便を感じることもなく、全体的な設計そのものには安定感を覚える作品に仕上がっていました。これがウディコン常連の力。
物語についてもう少し触れておくと、ボトルネックかと思ったらボトルネックではなくて、ちょっとボトルネックな話でした。結論としては、生まれてくることそのものを無条件に肯定しているので、最終的にはボトルネックではないように思います。
夏にこのテーマでやっていることもあり、こういった清々しい終わり方をしてくれるのは個人的に嬉しいです。もしエントリー番号1番でボトルネックをやられていたら、ちょっと厳しい気持ちになっていたかもしれない。
また、軽い伏線の張り方や、そもそものリフレインの使い方も丁寧で、短い中でも構成力の高さがうかがえる物語となっていました。
なお、個人的に気になるというか十分に解釈できていない点が二つほどあります。
一つは、ドラゴンから道を戻るように逃げるシーンで、背景が逆側に流れていく箇所です。何らかの意味を取って解釈をするのであれば、逃げているシーンではあるものの心は前向きであるということを暗示しているとも取れなくもない気はします。単にそういう挙動に見えただけなのかもしれませんが。
もう一つは、チトセが真正面を向いている中で、ずっとアカリが横を向いていることの意図です。最後の展開のための区別かとも思えなくもないんですが、そうなると最終戦の演出で前を向いていたことが説明できなくなります。最終戦の演出のためなのかなと個人的には解釈しています。
また、解釈できていないとはまた違いますが、母親についても少し触れておきます。
母親がはぐれてしかる場面で特にケアすることなくはぐれる展開から始まるんですが、エンディングの流れを見るに意図的な描写っぽい雰囲気があります。あの場面では特に悪意がないことは描写しても、子供目線でどこまで気遣っているかは不透明くらいの描写度合いになっているような印象を覚えました。最後にちゃんとフォローが入ったので、そのあたりは後味が悪くなくて良かったです。
何にせよ、物語を読ませるノンフィールドRPGとしての完成度が高い作品でした。これがエントリー1番であることに感謝。
02. 月下美人狂詩曲

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| アドベンチャー | すたーあいす* |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間+α | 1.00 | 全END |
良かった点
- ゲームボリュームに対してテキストが十分用意されていました
- コマンドごとのテキストまでユニークです
- 周回を行いやすいシステムとなっています
- 選択肢の位置保存、バックログの完備、セーブロードのしやすさなどが整っていました
- ミニゲームが良いアクセントとなっていました
気になった点
- テーマに比して、言葉遣いがやや軽いのは気になりました
- 対峙している対象は巨悪かのようにふるまう小悪党であるという表現なのかもしれません
レビュー
蝶への変態
月下美人狂詩曲は、ステータスを上げてオーディションを成功させつつ、トップモデルへと成長していくシナリオが進行していくアドベンチャーゲームです。
選択肢やコマンドを選ぶことでゲームが進む形式を取っており、全体としてはシナリオが中心のゲーム性となっています。
このゲームは基本的に、4つのコマンドを選んでステータスを増減させていくパートと、オーディションなどの本番パートに分かれています。
前半の成長パートは、選択したコマンドに基づきパラメータが変化していくものです。運動すれば体力が上がり、会話すれば対話が上がり、勉強すれば知能が上がり、休憩すれば運気が上がるといった具合になっています。また、これらの選択肢に応じた各ステータスの増減幅はあらかじめ表示されているため、成長の計画を立てることができるようになっています。
バランスよく成長させるも、特化で成長させるも、思いのままに育てていきましょう。
そうして成長させた後の後半パートは、鍛え上げたパラメータを用いて問答に答えていく形式となっています。
例えば、志望動機を話すなら対話力がカギを握りますし、ファッションブランドについて問われるなら知能が必要です。質問に対する各選択肢は対象パラメータに応じて成功確率が定まり、そのパラメータが高ければハイリスクハイリターンな受け答えでも高い確率で成功できるようになっています。
前半パートで良く鍛えたパラメータにまつわる話題はハイリターンな選択を取り、弱いパラメータは安定択を取るなど、自分に合った選択をしていきましょう。
そうしてオーディションなどを勝ち抜いていくことで、少しずつトップモデルへの道が開けていきます。
しかし、その世界は決して華やかなばかりの世界ではありません。ひたすらトップへと上り詰めていく過程で、主人公たちはセンシティブな闇へと足を踏み入れることになります。地を這う芋虫だった主人公が蝶となり、やがてその先へと至る中でそれらにどう立ち向かっていくのか、あらゆるものに勝ち抜いてその物語を見届けていきましょう。
シンプルなシステムと短い構成に対し、コマンド選択ごとの反応がそれぞれ固有であるなど、十分な量のテキストが用意された密度の高い作品となっています。エンディングの種別も20まで存在し、それぞれ相異なる様々な結末を見ることができるでしょう。
その上で、周回をしやすい設計でもあるため、各エンディングをそれぞれ迎えることも手軽なものとなっています。是非とも全てのエンディングを観測し、物語のその終わりを見届けていきましょう。
感想
アドベンチャーとしてテキスト量が十分にあるゲームでした。ゲーム規模自体は短編に属するレベルですが、それに対して用意されているテキスト量が多めです。それは単にノベルパートが十分ある事や、エンディング分岐が20あるということに接続するところもあるんですが、それに加えてコマンド選択時の反応のバラエティが豊富というところも特筆したい部分になります。
こういったパラメータ成長系コマンドは、少なければ2、3程度、多くとも10パターン前後の汎用台詞を上手く使う印象があるんですが、このゲームは恐らく汎用が一切ありません。利用数の限界まで異なるテキストを用意しています。このゲームにおいては極端にコマンドが偏るとバッドエンドに直行するんですが、それぞれのバッドエンドへ向かうための下地をこのコマンドの中に用意された文章だけで上手く構成していました。もはやここだけでも短く物語を作っています。
それに加えて、シナリオそれ自体においてはエンディング分岐というべきは高々2つ程度に抑え、その分しっかりとした物語が構築されています。コンパクトにまとまったコマンドから展開するエンディングを枝葉に持ちつつ、幹となるシナリオはきちんと太く作るというバランス感覚に優れた構成となっていました。
いずれの分岐に進んだとしても闇の深いシナリオなんですが、とりわけトゥルー側の闇が深いです。アナザーはあり得た未来くらいのニュアンスだと受け取っているので、こっちが正史なのかなと勝手に想像しているんですが。
一方で、社会派的なテーマを取り扱いつつも、登場人物の言葉が軽いのが個人的には気になっています。芸能界ってこういうものなんでしょうか。それなりの立場でも正義マンって語彙が捻出されるものなのか。やってることの陰湿さに対しての、当人の意識の軽さみたいなものを描いているのかもしれません。
トップモデルを枕に誘うというのも微妙に現実味が無いという印象が無いでもないんですが、事実は小説よりも奇なりな出来事が頻出する昨今においては、リアリティラインなんてあってないようなものなのかもしれません。他方、椿が消えるのは悲しいながらもリアリティに繋がっている気はしました。
モチーフとしている花、あるいは芋虫ないしは蝶というものについての捉え方は色々とありそうな印象を受けます。蝶は花の蜜を吸うという方向性から受け取ることもできますし、花は蝶を利用して自己を繁栄させていくという方向性からも受け取れます。個人的には後者よりな印象があるんですが、そうなると4章で主人公が花になる事との整合性が取れなくなるので、微妙にずれた解釈をしている気もしています。もっとシンプルに、成長あるいは変身のメタファーなのかもしれません。蝶野攻爵みたいなもん。
花それ自体の意味を使ってキャラクター性を表している部分は面白く、その花にたいする印象でもってあまり知らないキャラクターの個性というか性質を受け入れやすくなっていました。短編でそこそこキャラクターが出るんですが、顔に引っ張られない分キャラを覚えやすいというメリットもあるかもしれない。
なお、ゲーム性の面については、筆者がノーマルでプレイした印象になりますが、運ゲーのようでいて基本的にはクリアできるバランスに感じていました。全てが選択肢パートで構成される最初のオーディションだけ本当に運が悪いと怪しいのかもしれませんが、それでも意図してゲームオーバーにするのが難しい程度には平易です。アドリブ抜きでも割と何とかなる。
とはいえ各パラメータをちゃんと振り、ある程度のリスクリターンを考えて選択を進める必要があるので、単なる選択肢を選ばせるアドベンチャーっぽいものよりは緊張感があって良かったです。最後の演出にもつながりますしね。
加えて、2章以降からミニゲームが挟まるのも良いアクセントとなっています。これのおかげで、単純作業っぽい印象や運ゲーっぽい印象から離すことにもなっています。そのバラエティも割とありますし、総決算っぽくまとめているパートがあるのも良いところです。
また、エンディングが多数あるゲーム性ながら、それらを回収しやすい構造になっているのも良かったです。2周目をやるのがそれほど苦ではない。
中でも日数をまたいでも選択肢が維持される機能が便利で、各エンドの回収の際にいちいちカーソルを動かさなくても良いようになっています。適当に連打していてテキストを見逃した際にバックログで遡れるのも秀逸でした。全体的に、エンディング回収をやる上で必要な機能が揃っている印象がありました。
全体的に病んだというか心に何かを抱えている人物しか出てこないシナリオではあるので、どう足掻いても八方丸く収まるめでたきハッピーエンドにはならない作品となっています。そういう気概を感じる。とはいえ、取れる範囲の選択を取り、因果は応報される終わり方を示しているので、もやもやする終わり方ではありませんでした。
なお、ED20分岐条件だけは割と明示的ではないのでその辺だけ苦労するんですが、ED19の文言が一応ヒントにはなっているので、回収自体はそこまで難しくなさそうです。普通にプレイしていると恐らくED19を踏むことになるので、最後にED20をやって少しは清々しく終わってほしいという作者さんの気遣いなのかもしれません。全てが全て理想的に終わるわけではないんですが、それでも一つの終わりとなってはくれます。もっとも、筆者の解釈上はあり得た未来でしかないと考えてはいますが。穿ち過ぎかもしれない。
しかし登場人物にとって一番良かったエンディング、なんやかんやED1の可能性はあるかもしれません。搾取は止められないので周りにとって良いかはともかく。筋肉があれば、もしかしたら正面から止められる未来もあり得るんだろうか。
なお、このゲームをやったうえでの筆者の最大の疑問は、カレーへの執着でした。なんでそんなにカレーに言及しているんだろう。製作中にいっぱい食べたんでしょうか。
03. ReviveIV&ペンタ

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| RPG | ケモプレデーションゲームス+ろぜちは080&Mr.H |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 30分 + 30分 | 8/9 | 両作品クリア |
良かった点
- 恩赦のシステムによりシンボルエンカウントに新たな選択を生み出していました
- テキストに熱量がこもっています
気になった点
- 多くの意味を持たないシステムが存在します
- 特に装備できない装備が店売りの先頭にあるのはミスを誘発しやすいです
- 不要そうなNow Loadingがテンポを阻害していました
レビュー
世界は過酷
ReviveIV&ペンタは、3Dダンジョンを歩き回る戦闘がメインのRPGです。タイトル通り、二つのゲームがセットとなった作品となっています。
いずれを遊ぶにしても、シンボルエンカウントする雑魚敵との戦闘をこなしながら、要所で待ち構えるボスとの戦いに備えることになります。
戦闘はATB風のコマンドバトル形式を採用しており、基本的には攻撃のぶつけ合いになりやすい設計となっています。特に会心や回避が多発するシステムであるため、打ち合いには常に緊張感が漂います。加えて、雑魚敵はこちらのレベルに応じて強化される設計となっており、常に激戦になること必定です。
上手く立ち回り、回復を適切に行っていくことが重要になっていくでしょう。
そうして適切に雑魚敵と戦い、レベルを上げることでボスに挑む準備が整います。雑魚敵と異なりボスは固定レベルのため、きっちりとレベルを上げなくては勝つことはできません。推奨レベルは明示されるため、最低限そこまでは上げておきましょう。
そうしてレベルを上げ、ボスを倒していくことでシナリオもまた進行していき、やがて物語は急転直下に展開していきます。本編それ自体はあまり長いゲームではありませんが、過酷な世界を描き出す熱量の高い筆致で彩られる二つの物語を存分に浴びられるであろうことは間違いありません。
その世界を感じるためにも、レベルを上げて障害たるボスを倒していきましょう。
感想
前作のReviveとほぼ同じ感想を抱いた作品でした。味の変わらぬゲーム性をしています。
相変わらずシビアな世界観と、集中したテキストに込められた熱量、一貫したテーマに沿った展開はそのままに、掌編として二編を遊べる設計となっています。スターシステムが採用されているのかキャラクターと役回りが異なるのは若干混乱しないでもありませんが、主役はそれぞれ相異なるので、ある程度飲み込みやすくはあります。
前作のような中編ゆえの感情の錯綜具合も良いですが、今作のような短編ゆえの登場人物の少なさと尺の短さが相まった、より密度高く、より個々の感情にフォーカスしていくような内容もまた良いものです。
システム面の話をすると、前作から引き続き存在する恩赦の仕組みはある程度の駆け引きを生むものとして機能しており、倒せば一回限りの宿屋、そうでなければ購入権として上手くコントロールする余地を生み出しています。もっとも、レベルがそこそこ早めに上がるので、最終的にはあまり活用する機会はなくなっていきますが。
また、割と敵の逃げ足が速いというか同じ速度で離れていくため、ショップとして活用する場合はちゃんと壁際に追い詰める必要があるのは難しいところです。
端的に言えば、ゲーム全体に対して過剰な設計をしているシステムも据え置きで存在し、あまり意味を持たないジョブや、メニュー上では確認の意味しかないスキルはともかくとして、登場しないキャラクターが持つことになる武器が店売りされているのは、もはやトラップに近いと言えます。店売りの先頭に位置するソード系については、恐らくゲーム全体を通してすら装備できるキャラが見当たりませんでした。一番買いやすいのに誰も使えない。
また、何をロードしているか分からないNow Loading表示も、細かいストレスに繋がっている印象があります。画面の構成物がすべて見えている状態で何をロードしているのかは不明なままです。音声ファイル系でしょうか。
戦闘面については、ボスよりもその辺の雑魚の方が強いというバランスになっています。
まず、雑魚はこちらのレベルに追従してくるため、レベルがカンストしてもなお脅威があります。このため常に緊張感があって、先手を取られると敗色濃厚のスリリングな打ち合いになることが多いです。一回の命中や回避が生死を分けるレベルでした。特に、エンカウント時にこちらから迎え撃つように動くと、自身がスライド移動して背後を取られた判定をもらうので、この点は注意が必要です。どっしり構えておくのが賢明でしょう。
一方で、ボスのレベルは固定となっているため、レベルを上げてしまえば恐るるに足りません。推奨レベルも事前に教えてくれるため、そこまで上げていれば特別苦労も必要ありませんでした。この辺はかなり割り切っている印象があります。
なお、戦闘に入る前のダンジョンは3Dダンジョンめいたもので構成されていますが、そこそこの広さの割には敵シンボル以外にはほぼ何もありません。アイテムも落ちていないですし、イベントがあるわけでもないので、レベルを上げ終えたら用済みになります。最初のダンジョンで適当にレベル上げをしてしまうと、残りのダンジョンは駆け抜けるだけになってしまいます。
ここまでシンプルを極めると、もはや3DダンジョンではなくノンフィールドRPGでも良いような気さえしてきます。もっとも、それでは3D視点で地平を丸めた独特な表現が見られなくなるので、それはそれで寂しいかもしれませんが。
04. デスペレートエランド

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| ノンフィールドRPG | ケイ素 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 45分 | 1.00 | NORMALクリア |
良かった点
- 短く戦略的に遊べる良いゲーム性でした
- 上手く戦えば封殺できる楽しさがあります
- 全体的なテンポ感が良く、サクサクと進めることができます
気になった点
- 連打していると、行動終了を誤爆しがちでした
レビュー
活殺自在の盤面制御
デスペレートエランドは、独特な戦闘システムが特徴的なノンフィールドRPGです。
戦闘で使うスキルを拾ったり、敵と戦闘したりしながらステージを進行し、最後のボスに挑む構成となっています。
ただし、このゲームにおける戦闘は単なるコマンドバトルではありません。陣取りゲームのような独特なシステムが採用されています。
まず、ターンの開始に敵味方双方が共有するランダムで選ばれた4色から成る8つのスロットが与えられます。プレイヤーも敵もこの各スロットの色を消費してスキルを発動していくことで戦いを進めていきます。例えば、青2コストのスキルを発動する場合は、青のスロット2つを消費することになります。当然、青のスロットが1つ以下であれば使用することはできません。
また、このシステムは敵にも適用されており、敵の使用コストや技の説明はすべて開示されます。
すなわち、こちらが盤面のスロットを使い切ったり、敵が使えるスロットをすべて使い尽くすことができれば、相手を封殺することも可能となっています。盤面にある色と手持ちのスキル、さらにはいくつかのスロットの再抽選を上手く活用し、可能な限り盤面を制御していきましょう。
また、各スロットには状態異常が付与されることもあります。このスロットを使ってスキルを発動することで、回復、ダメージ、バフデバフなど様々な効果が発動します。バフは引き取り、デバフを相手に踏ませるといったことも有効な手段となっていくことでしょう。
こうしたシステムを知悉することができれば、道中で遭遇する雑魚を即座に倒すことも封殺することもさほど難しくありません。しかし、最後に待ち構えているボスは一筋縄ではいかないものとなっています。その攻略にあたっては、適切に敵の攻撃を封じ込め、スロットの再抽選も慎重に行ってリスクを管理していくことが重要になるでしょう。
また、攻撃を受けたり、スキルを発動することで溜まるTPを消費することで、スペシャルなスキルを使うこともできます。戦況を一気に変える力があるため、ここぞというタイミングで上手く使っていきましょう。
独特ながらシンプルな戦闘システムにより、考えて敵をやりこめる楽しさが手軽に味わえる作品となっています。シナリオも含めたゲームのテンポも非常に良いため、サクサクとプレイできること請け合いです。
ちょっと考えつつ戦闘を進めていく戦略性を気軽に楽しんでみてはいかがでしょうか。
感想
前作に引き続き、スロットを上手く活用する戦闘システムが面白い作品です。一方で前作とは異なり、与えられた盤面からスキル使用のためのコストを取り合う構造なので、盤面をある程度管理できれば相手を封殺できるのが大きな違いとなります。
前作では、ある程度相手のスキルをベースに盤面の制御を行うことになっていたんですが、今作はそれをより意識してプレイすることでより優位に戦闘を進められるのが特徴的です。相手のスキルを見て、盤面を見て、どの攻撃を封じたいかを基にしてスキル選択と盤面の変更を決定していく流れは、ある程度頭を使いつつ、してやったり感が手軽に味わえて良いシステムでした。
様々なスキルがありますが、個人的にはコスト重めのスキルが好きでした。スロットを大量に消費してくれるので、より相手を封殺しやすくなります。コスト重めな技はその分火力が高い傾向にあったりするものなのですが、このゲームではさほど火力は高くありません。その分、先述の理由により防御として優秀であるという側面が付与されているというのは面白いところです。システムによって性質が拡張されていました。
もちろん、スロットが足りないと逆に相手の連続攻撃を許すので諸刃の剣ではあるんですが、その辺のリスクリターンが見合っているので積極的に狙いたくなりました。
もっとも、個人的な感覚としては無色スロットのおかげでリスクはかなり最小限に抑えられており、コスト低めのスキルの影がやや薄くなっている印象も受けます。結局、低コストスキルだけで行くと相手の攻撃を止めにくいのが厳しい気がします。もしかしたら、使いこなせば連続攻撃で輝けるのかもしれませんが、封殺プランよりリスクが高そう。
この辺りのどういったプランで進めるかという点に関しては、個人的には前述の二パターンくらいしか思いついていません。このためバリエーション豊富とまでは言えないのですが、ゲームの規模感を考えると、このくらいの戦略性がちょうど良い塩梅だなと感じています。プランが同じでも、細かい戦略性は変化しそうですしね。
なお、封殺プランと連続攻撃プランでの難易度の感じ方の違いについては、ラスボスで顕著に現れます。封殺プランの場合、軽量な行動を持つ第一形態よりも、ほとんどの行動が重い第二形態の方が遥かに御しやすくなります。どんなに強力な行動でも、発動させなければ意味がありません。
連続攻撃プランだと、重めの攻撃がしんどかったりするのでしょうか。そちらで試していないので分かりませんが。
また、システム上、全体的に短期決戦になりがちな設計になっていることもあり、一回のプレイがさっくりと終わります。前作のようなスコアアタック要素も無く、システムとスキルのシナジーも一回のランで味わい尽くせるシンプルな構造になっていて、サクッと遊ぶのにちょうど良いお手頃感がありました。一回一回の戦闘もテンポが良く、盤面からある程度適切な行動をそれなりに取っていくだけで進めることができます。ループを回さなくても良い。
シナリオもそれに合わせてなのかだいぶ控えめで、ノンフィールドRPGというフォーマットに載せるのに丁度良い尺で起承転結が描かれています。演出の尺もまた丁度良い。
ただ、バックボーンの描写が本当に最低限なので、物語はフレーバーとして受け取るに留まっているような印象はありました。その一方で、それにしては固有名詞が比較的多く登場しており、初見だと厳しいかもしれません。世界観が共通しているようなので、同作者さんの作品をプレイしていると飲み込みやすいです。これを機に他の作品もやろう。
行動終了を連打で誤爆しがちなところだけ気を付ける必要があるんですが、それ以外は遊びやすく、シンプルにちょっと考える戦闘を楽しめる作品でした。
しかしラペオー、ラスボスっぽいので出演機会が多い印象がありますね。
05. 勇者の憂鬱

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| アクション | Mr.H |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間 | 1.000 | ノーマルクリア |
良かった点
- 特殊かつ独特な避けるゲーム性を構築していました
気になった点
- 極端に狭いステージでは、敵の行動のランダム性に左右されることが多かったです
- 戦闘パートが単調かつ運頼りな印象がありました
- Now Loading の意義が不明でした
- これにより、ややリトライ性を欠いています
レビュー
回復の見極めが重要
勇者の憂鬱は、敵を回避しつつゴールまで向かっていく、回避アクションをベースとした作品です。
基本的には、マップを徘徊する敵を上手く避けていくことでステージのクリアを目指すゲーム性となっています。もしも回避に失敗して敵に接触してしまうと、それを倒す代わりに敵のHPに応じてダメージを受けてしまいます。合計100ダメージを受けるとゲームオーバーとなってしまうため、原則は敵に触れないことが重要となるでしょう。
しかし、単に接触を避けていくだけではステージが攻略できないこともあります。通路が敵で塞がれていたり、全滅を要求するエリアがあるためです。この場合は、わざと接触して倒すほかありません。
こうした敵を倒す攻略においては、体力を回復することが肝要になってきます。決定ボタンを押下することで一定時間静止する代わりに回復が可能であり、これを駆使すれば再び接触してもゲームオーバーにならない程度の体力までもっていくことができます。そうして受けたダメージを回復しては、また接触して敵を倒す、という流れになることでしょう。
そして、この回復というシステムが入ることで、どのルートで敵を倒して体力消費を抑えるか、敵をどのように撒いて体力を回復する隙を作るか、といった駆け引きが生まれ、ただ漫然と敵の回避を行うだけでは攻略できないゲーム性が生み出されています。
また、体力はステージをまたぎ、ステージごとに制限時間が決まっていることから、どのステージで回復するかといった戦略性までもが生み出されていると言えるでしょう。
その結果、単なる避けるゲームに留まらず、ルートの選定や静止タイミングの見極めと言ったパズルやアクション的な要素がさらに盛り込まれたゲームへと仕上がっています。
敵を上手くかわしつつ体力を効果的に使い、ステージの最奥へと辿り着きましょう。
感想
原則としては避けゲーに近い設計をしているんですが、最低限は敵に当たりに行く必要があることと、停止することで体力を回復するシステムを上手く導入することで、アクション性やパズル性を生み出す面白いゲーム性となっています。
構造的には、ゲージを貯めて無敵を当てていくタイプのゲームの逆をやるイメージです。最初から溜まっているゲージを上手く使う感覚。
その上で難易度はそこそこ高めというか慣れが必要であり、かつ制限時間があるため、ぶっつけ本番のアドリブでどうにかするのは割と難しくなっています。特に後半は初見殺しも多いので、死に覚えながら攻略を進めていくことになります。
このため、少なからぬリトライを要求するゲーム性なのかなと解釈しているのですが、その割にはリトライに時間がかかるのが気にかかりました。リスポーンするならスタート地点からでステージまで戻るのに時間がかかりますし、タイトルからやり直そうとするとロードを挟んでまあまあ時間がかかります。せっかくオートセーブがあるので、ここから再開したい気持ちがありました。
また、中盤くらいまではテクニックパートとパズルパートがある程度バリエーションをもって用意されていますが、3ステージ目くらいになるとパターンが固定化されてきます。弱キャラでダメージを与えるので頑張って逃げてください、というコンセプトのステージが2つあるあたり、ゲーム性のシンプルさがゆえのパターンを出していくやり方の難しさがうかがえます。
終盤は難敵を配置して難易度を上げることで差別化が図られてはいるのですが、それはそれでHPというバッファを用意した意味がほぼなくなり、攻略パターンの固定化に繋がっているあたりも気になります。ただでさえ、敵の行動が乱数的なのですれ違い回避の試行で思わぬ被弾が発生しがちなところ、一発アウトが基準になってくると運ゲーっぽさが増してくるのも辛いところです。
運ゲーにしないためには、上手いこと2マス程度の空間を確保するのが良いんですが、全体の空間が限られているため、その確保自体も結構難しめです。上手く逃げられるパターンを引くまでやるのが割と丸い印象があります。
なお、最後に待ち構えているバトルについては、これもそこそこの運要素強めのゲーム性をしているなという印象があります。基本的にはただ殴り合うんですが、通常難易度ならクリティカルを連続で出されない限りは基本的には負けません。こちらの取りうる選択肢の幅もそれほど広くないので、クリティカルが来ないように祈る乱数への祈りが必要な気がします。
独自の戦闘システムを取り入れているためか高速化が搭載されていないのも若干気になりますが、そもそも高速化を求めてしまうほど尺長めのアニメーションと変わり映えのしない戦闘状況の方が気になっていたかもしれません。もしかしたら、難易度を上げれば世界が変わるのかもしれませんが。
全体的に、システムやステージ構成は所々理不尽さもありつつ進められるものの、リトライ性があまりよくないことが足を引っ張っているという印象があります。割と初狩り上等な設計をしているのもあって、なおのことそのあたりが目立つなと感じていました。
それにしても、恐らくはReviveIV&ペンタと同じゲームシステムを採用しているとは思うんですが、同様に謎のNow Loadingが気になるところです。BGMもグラフィックも全部揃っている中、何をロードしているんだろう。
なお余談ですが、回復時にログを開くと世界の時間を止めつつ回復できるちょっとした裏技があります。さすがに卑怯なので使いませんでしたが。
06. 禍流転 -MAGARUTEN-

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 探索ADV | 餓鬼郎党 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間30分 | 1.00 | クリア |
良かった点
- 前作から変わらず良いキャラクター性をしています
- 短編として、シナリオが綺麗にまとまっていました
- 構成の完成度が高いです
気になった点
- シナリオ都合上、やや手間のあるパートがありました
- ただし、物語上の必要性は感じています
レビュー
お馴染みのあの人
禍流転 -MAGARUTEN-は、オーソドックスなシナリオメインの探索アドベンチャーです。
不吉な言い伝えの残る温泉地に向かう主人公たちを操作して、物語を進めていくことになります。
ホラー系の探索アドベンチャーとしては堅実な設計であり、要所でセーブを促してくれる親切なシステムも搭載されているため、それほど詰まることなく進めることができるでしょう。加えて、物語もまた短編として綺麗にまとまっています。情報開示や伏線の張り方が巧みであるため、飽きずに最後まで遊べること間違いありません。
このように短編として非常に良質なものでありながら、しかしこの作品の最大の特徴はそこではありません。それを上回る印象を植え付けられる、物語に登場するあるキャラクターに総括されると言えるでしょう。その強烈な個性はともすれば反発を覚えるかもしれませんが、読み終えてみると何故だか愛着を覚えてしまうこと疑いありません。
なお、全体を通してホラー風味の物語展開をしていく作品となっていますが、脅かし要素はそれほど強くなく、コメディ寄りの展開が多い物語となっています。カジュアルな雰囲気で物語を味わっていくことができるでしょう。加えて、そのシナリオ自体は強力なキャラクター性を軸に回しているものですが、プロットそのものはどこまでも手堅く設計されており、その相乗効果でよりいっそうキャラクターの個性の強さが印象付けられる設計となっています。
可能であれば前作をプレイしておくとより楽しめますが、まずこの作品から始めてもそれほど支障はありません。是非とも、B級ホラー風味のメンヘラヤンデレ恋愛アドベンチャーゲームを遊んでみましょう。
感想
馴染み深くなってきたミサオ軸の作品です。安心感を覚えるとも言えますし、恐怖を感じるとも言えるかもしれません。もはや、ウディコンでウルファールたちの次に良く見るキャラクターになりつつあるのではないでしょうか。ゴリラと競るレベル。
閑話休題。個人的には、これまでのシリーズの中で一番物語が好きでした。展開の構成とその完成度がかなり高いように感じています。序盤の伏線の張り方や、ループパートにおける情報の出し方や、どんでん返しを繰り返していく展開の仕方など、そのあたりが巧みなものとなっています。
ミサオという強烈なキャラクターの印象にシナリオが塗りつぶされそうなところを、登場タイミングを上手く調整することで緩急をつけているところが特に推しのポイントです。ミサオの威力を貯めておいたおかげで、最後に全部持っていく展開がオチとして綺麗に作用しています。ミサオがヒロインだからこそなせる業。
なお、今作は比較的ちゃんとした命の危機があり、さしものミサオの狂気もしばらくは鳴りを潜めているように見えます。ミサオは特殊なケースでは頼りになりますし、場面や状況によってはそれほどの悪意が無いように感じられるということが分かりました。時と場合によっては、ちゃんと青春劇めいた展開をやってくれることに、感動をすら覚えていました。
これまでの諸々や最後のアレを含めても、ミサオがいなければ死んでいたであろう場面も少なくないことを考えると、主人公にとってはトータルでメリットが勝つのかもしれません。本当にそうだろうか。最後のアレがあまりにもアレなので、この辺の価値判断は難しいですね。
結局ミサオの話に終始しそうなのでゲームの話に戻ると、探索アドベンチャーとして堅実な作りになっています。シナリオを阻害しない程度に要素を散りばめ、ある程度はインタラクティブに遊ばせつつも、必要な所ではシナリオが主張してくるといった良い塩梅です。
ループパートに関してはシナリオ上の要請を重視しているためか、学校への移動すらスキップされないという手間はあるのですが、それ自体が伏線や違和感にも繋がっているので必要経費な気もします。体験させることも大事ですからね。
それにしても、これでウェディングを迎えたということは、いよいよミサオも見納めなのでしょうか。少し寂しいかもしれません。また良い感じに別居して、新たな事件に巻き込まれてほしいものです。おまけ部屋を見た感じでは、何だかんだ丸く収まっているような気もしないでもありませんが。
これは余談ですが、掛け軸の四字熟語は後で謎解きに使うのかなと思って眺めていたんですが、結局意味はなかったようです。「餓鬼郎党」があった時点でさもありなん。
さらに余談ですが、おまけと今作の町の作りを見て思い付いたことがあったので試してみたところ、何とは言いませんが成功しました。ウディタの頑強性を感じます。
07. 陰影遊戯 -魔王の命題-

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| シルエットクイズ | 餓鬼郎党 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間 | 1.00 | エピローグ |
良かった点
- 影絵のバリエーションが豊富でした
- それぞれユニークかつユーモアのある仕上がりとなっています
- 理不尽に片足を突っ込みつつ、不快感を感じない難易度の塩梅になっていました
- ノルマの設定が絶妙です
気になった点
- 特にありません
レビュー
笑える理不尽は良い理不尽
陰影遊戯 -魔王の命題-は、シルエットを見て何を表しているかを当てるクイズゲームです。
プレイヤーは1つのシルエットに対し、4択の中から適切なものを選んでいくことになります。
このシルエットクイズは連続して出題され、その全てに回答する必要があります。全問正解しなくてもクリアは可能ですが、許される失敗はたった1回のため油断はできません。しっかりとシルエットを見て正答を重ねていきましょう。
そうして一連のクイズをクリアすると問題のレベルが上がり、さらに難しく、問題数も多くなっていきます。特にレベル3以降は理不尽とすら言える難易度に到達しており、初見のクリアはほぼ不可能と断言できるレベルです。この難所を突破するには、難問に対する記憶力が肝心となるでしょう。失敗した問題に二度躓かないように対策していくことをお勧めします。
また、シルエットのクイズは非常にバリエーションに富んでいるため、連続正解を重ねてあと一歩のところで新顔に阻まれるということも往々にしてあり得ます。理不尽に挑む勇者よろしく、諦めずに正答を積み上げていく根気もまた必要不可欠となります。
単なるシルエットを答える問題から、知識を問う問題、あるいはネタに振った問題まで、レベルが上がるにつれて難易度だけでなく問い方まで変容していくクイズに挑んでいきましょう。
閑話休題。ここまで理屈っぽくレビューしましたが、このゲームの本質は説明書にある「パーティゲームです。酒でも飲みながら複数人で遊ぶと、より楽しめます。」という一文に集約されていると言えるでしょう。
馬鹿馬鹿しいまでの理不尽を笑い飛ばし、複数人で喧々諤々と言い合うことで、より楽しみながら遊べるであろうこと疑いありません。
意地と根気で難問に挑むも良し、パーティーゲームとしてワイワイと遊ぶも良し、好きな遊び方でシルエットクイズに挑んでいきましょう。
感想
理不尽に近い難しさを楽しめるタイプのゲームです。後半の難易度はかなり高めで、初見での突破はほぼ不可能なレベルの初見殺しが散りばめられています。
ただ、不快感を覚えるタイプの理不尽さではなく、そうはならんやろ、という理不尽さや、そんなん分かるわけないやろ、という類の理不尽さなので、笑い飛ばしながら進められるタイプのものとなっています。後者は不快感と紙一重かもしれませんが、そのラインは割ってきません。絶妙。
特に中盤以降の難易度はとてつもなく、様々なシルエットパターンを暗記してうまく捌いていくことが求められます。魚や植物の形状を把握し、海老とクジラも判別できればクリアが見えてくるという寸法です。無茶を言わないでほしい。
さらに終盤以降になると、シルエットクイズでありながら知識問題も入るようになり、クイズの側面もちょっと出てきます。何なら、こちらの方が理不尽な影絵よりも難易度が低いため、ある種の救済的な立ち位置とも言えるかもしれません。漢字や英語の方が影絵より楽というあたり、影絵の恐ろしさが分かります。医療器具の名前とか加法定理とか、ちょくちょく覚えていないものが混ざってはきますが。
また、ノルマ設定も絶妙で、1回だけミスが許され、残りはすべて正解する必要があるという閾値が採用されています。どんな理不尽でも一発なら耐えられるため、ちゃんとそのレベルを習熟できていれば、ギリギリでクリアのボーダーに乗れるレベルに収まっていました。
このボーダー自体はまあまあ厳しいものの、一回のプレイが短く、シルエットのパターンは適度に多いながらも過剰ではないため、何度も遊んで覚えていくモチベーション自体は維持できました。クリア目前で初見の影絵に騙されるのもまた一興。
説明書にもあるのですが、酒を飲んで理性を飛ばしたり、複数人で遊んだり、そういうことをするとより楽しめそうな作品だと感じました。イラストがネタに振ったものも多数ありますし。
個人的に好きなのは、ウィンナーコーヒーと覆面パトカーです。初見で正解することはできましたが、そうじゃないだろの気持ち。サカナクッションのやかましさも結構好きです。
筆者は不要な知識を覚えていくことに喜びを感じるタイプなので、こういうゲームは割と好きです。その場限りでしか使わない知見を得ることができます。この影絵はここを見れば判別可能、みたいな知見を蓄積していき、クリアできた時の感動はひとしおでした。
個人的には知識系は割といけて、植物シリーズは覚えれば大体解けていましたが、魚シリーズや知らない知識が鬼門でした。魚系は最終的にフィーリングで覚えているので、自信がない状態で回答を迫られるドキドキ感が味わえて良かったです。
08. 夢遊猫ミステリウム

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| ノンフィールドRPG | 明野 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 10時間 | 1.01 | Ex-1 |
良かった点
- パーティーやスキルでシナジーを考える楽しさのある作品でした
- 歯応えのあるボスのおかげで、対策を取る必要に迫られています
- 装備を人数分買わなくてよいなど、パーティ編成にだけ集中できる便利なシステムが搭載されています
- 王道的な良いシナリオ展開でした
気になった点
- 各キャラクターのスキルを把握する手段に乏しく感じました
- 現状ではキャラクターごとに2手かかるので一括で把握しにくい印象があります
レビュー
最適な編成を目指して
夢遊猫ミステリウムは、パーティを編成して敵を倒していくノンフィールドRPGです。
ウェーブ式で出現する敵を倒しつつ、最奥にいるボスに挑んでいく形式を取っています。
しかし、この作品が採用しているのは単なるRPG的なコマンドバトルではありません。射程、範囲を核とした攻撃が特徴的な、位置を軸にした独特な戦闘システムとなっています。
各スキルには射程や範囲が存在し、自身が現在配置されている位置から射程より離れていない敵を選んで狙いを定め、それを中心として範囲にいる敵全てに攻撃を与えます。射程や範囲が長い攻撃であれば敵の位置が反対側にあっても当たりますし、短いなら真正面にいないと当てられません。
それ故に、戦闘においては位置取りが最重要な要素となってきます。1ターンに1度だけ左右移動ができるため、これを上手く使って位置を調整することが肝要です。加えて、相手もこのルールに則って行動するため、移動は攻撃にも防御にも使うことができる行動となり得ます。相手の射程から離れるも、自分の射程に捉えるも、状況に応じて判断していきましょう。
また、戦闘はターン制ではなく、TPと呼ばれるパラメータを軸として行うカウントタイムバトル的なものとなっています。TPが満タンになると行動できるようになり、TPを消費してスキルを撃つという具合です。消費TPが少ない技は弱い分次のターンが早く回ってくる一方、消費TPが多い技は威力が高い分待ち時間も長くなってしまいます。いつどのスキルを発動するか、適切な行動選択が肝心になってくるでしょう。
とりわけ、ウェーブをまたぐときは注意が必要です。ウェーブを終了してもTPは引き継がれるため、大技を連発して敵を倒してしまうと、次のウェーブで敵から一方的な攻撃を受けてしまいます。次の戦いまで見据えた行動選択もまた重要となってくるでしょう。
特に強力なボス相手に勝利を収めていくには、こうした戦闘システムを上手く活用することは欠かせない要素となります。しかし、それと同程度には事前準備も大事な要素であることを忘れてはいけません。
その準備の一歩目として、パーティー編成が肝要になります。プレイヤーは何十にも及ぶ多数のキャラクターを仲間にすることができ、その中から4体を選んでパーティを編成することになります。それぞれのキャラクターは専用のスキル、ステータスを持っています。バランス良く編成しても良いですし、特化しても良いですし、特定のスキル間でのシナジーを狙っても良いでしょう。自分の思い描く戦略を実行できるように、思い思いの編成を行いましょう。
次に、それぞれのキャラクターに装備させるアイテムもまた重要なものとなっています。最大7つの装備枠を上手く使い、めいめいの欠点を補ったり、より尖らせたりと、戦略に応じてそのステータスや耐性を底上げしていきましょう。
最後に、別のキャラが持つスキルを一つだけ習得することができる伝授というシステムを外すわけにはいきません。パーティに編成できるのは高々4体ですが、それぞれに伝授できるスキルは他の数多のキャラが持つスキルのいずれかから選択するものであり、その組み合わせは無数に存在しています。この組み合わせ如何によって、無限のシナジーが生まれることになるでしょう。
とりわけ中盤以降激化していくボスを含めた強敵に挑むためには、十分なシステムへの理解から出力されるアドリブと、より考え抜かれたパーティ編成が必要になってくることは間違いありません。また、勝利のためにはボスに合わせてメタを張るような戦略も必要になってくるかもしれません。
そのためにも、まずはボスの挙動や性質を観察することが重要です。何度も挑んでは動きを知り、それを突破する計画を立てていきましょう。
無数の選択肢から自分なりのパーティを構成し、自分なりのビルドとプランでボスに挑んでいく、準備にも実行にも高い戦略性を伴った作品となっています。スキルのシナジーを取るでも、ステータスや火力で殴るでも、とにかく自分の考えた戦略を実現できるパーティを編成し、並みいる強敵を打破していきましょう。
感想
個人的に好きなシリーズであり作者さんなので、ウディコンでまた出会えたことに喜びを感じています。5年ぶりくらいでしょうか。
毎回面白く攻略の歯応えのある戦闘システムが用意されていて楽しめるんですが、今作もそれに違わず楽しかったです。
個人的にはこのゲームの面白さの根幹は、制限されつつも極大の自由度を得られる仕組みである、他のキャラクターの技を一つだけ習得できるというシステムにあるのではないかと考えています。このシステムによってキャラクター育成の可能性は無限に広がっており、どういったシナジーを組むのかを常に考えていく楽しさが生まれています。
その上で、技のシナジーを取るのはあくまでも推奨項目でしかなく、殴りを優位に置いてもある程度は勝てる難易度バランスで進んでいくのも良かったです。選択肢が少ないとはいえ、慣れていない序盤から中盤はこの傾向が顕著で、あまりシステムに慣れていなくてもそれなりに強引に突破できるようになっています。
一方で、終盤にかけては難易度がどんどん上がっていくため、きちんとしたパーティ構成を考えないと勝利は難しくなってきます。基本的に相手の火力がかなり高いので、ジリ貧はかなり厳しく、できるだけ早く火力を取れるようにビルドできると嬉しいためです。脳筋ビルドでも良いんですが、そうなると耐久がもろくて負けます。とはいえ、回復による耐久も終盤になってくると追いつかなくなりがちでした。
さらに、最終盤までくるときちんとメタを張るくらいのことをやって五分くらいの難易度になっています。装備でもキャラクターでも、とにかくうまく相手の行動に対する回答を用意しつつ、相手が逆に取ってくるメタ戦略を返せるように編成する必要があります。これを考えるのが楽しい。
ちなみに、ボスがどういう攻撃をしてきたかが分かりにくいことは間々あるので、攻略の際はバトルログを見るのがお勧めです。とりわけ負けそうになった時は確実にチェックするのが推奨。
ただし、個人的にはそうしてシナジーを考えることがやや難しいUIだとは感じています。シナジーを考える上では特技が非常に重要になるんですが、パーティ編成でこれを見るのにはサブキー、技選択で2手かかります。理想を言えば常時左側に出してほしいくらい重要な情報ですが、せめてサブキーを押したら見られるくらいが良い気がしています。
というのも、このゲームではチャプターごとに技が増えていくので、それの把握が非常に困難なためです。シナジーをちゃんと組むならすべての技を把握したいですが、それをやっていると時間がかかりすぎます。加えて、ローグライトデッキ構築系のゲームでよくある技を押し付けられて性能を眺めるような時間も特にないので、ほとんどの技に触れずに進めることになってしまいます。
ボスに負けると大体パーティー構成を見直す必要があるんですが、この時にちゃんとしたパーティを考えるのが上述の問題によりやや億劫な印象もありました。それもあって、序盤は割と殴りメインの方が手間もなく安定している側面はあります。
システム面で言うと、装備を人数分買わなくてよいというのはかなり発明的でした。キャラが多すぎてそれぞれ持たせておくのも大変というのもあるんですが、そもそもパーティー人数分すら必要ありません。また、個人的に一番良く思えたのは耐性防具を大量に購入しなくて済むという点です。耐性で上手く対応するボスとやる時に人数分同じものを用意するのは割と無駄に感じていたので、それがスマートに解決されたように感じました。
また、システムが順次解放していく設計なのも良い所です。独特なシステムを取っている分、覚えることが少しずつになっているのは助かりました。筆者は過去作をプレイした経験からある程度形式に慣れているとはいえ、攻略の仕方はまた変わってくるので。
なお、筆者の攻略は以下のように進めました。
序盤においては、先述の通り火力を正義としつつも、ボス戦では回復による持久戦をにらんだ構成としていました。主人公がひたすら火力を盛り、残りがサポートするイメージです。
しかし、お姉ちゃんが持久戦を刈り取るための形をしていたので、ここで一つ目の転換点が発生しました。攻撃が絶え間なく飛んできて、そのままやっているとジリ貧で負けます。
これを打破するために、さらに攻撃役を一人追加して火力を盛る方向性で解決しました。その後に出てくる回復を刈り取るタイプも同様の方法で撃破しています。火力は正義。
その後の強制離脱を経て、メンバー編成を考えていたところ、試しに入れてみたアットゥアの印象が良かったので使うこととしました。防戦一方になってもちまちま削れる毒、中範囲をカバーして雑魚戦で活躍する各種状態異常、タスキ効果を付与する技、オス相手ならノックバック付きの強力な攻撃など、サブアタッカー兼サポートとして優秀でした。ステータスは低いんですけどね。
そして迎えたラスボスが極めて強く、発狂で飛んでくる連続魔法攻撃に瞬殺されて成す術もなく敗北を喫していました。色々と考えた上で、結局は直前に防御を引き上げた上で一気に殴り込みをかけることでギリギリ突破するという戦略を取って撃破しています。やはり火力は正義。シンラの全体蘇生に委ねて、死にながら戦うゾンビと化していました。アイテムを使うと思ったより耐久出来るのもポイント。
なおExについては、1つ目だけクリアしているんですが、これもまた面白かったです。仲間にぶち当てつつ全体攻撃を行うという初見殺し性能が高い技を持っていてあわや全滅と言ったところでしたが、運よく生き残ったおかげでギリギリの勝利を掴みとることができました。アットゥアのスーパーフングスが高火力単発型にぶっ刺さっているので、この辺は相性な気がします。
ともかく、このようにボスと戦っては敗北し、シナジーや戦略を見直してなおギリギリの戦いの中で勝利を掴みとるというループが非常に楽しい作品でした。本当はもう少しシナジーを研究したいんですが、微妙に誰が何を持っているか把握しきれていないので躊躇しています。攻略Wikiとかないかな。
しかし、最初に公開されるキャラの2/3がちょっとスケベなゲームというのも珍しい話です。まあそういうデザインと言えばそうなのかもしれませんが。
一方で、そういう流れでありつつ、シナリオ自体はかなり王道なのも良いところです。癖が出てるところもありはするものの、フェリブレスト周りにおけるシナリオは芯を外さない王道的展開で攻略のモチベーションに繋がっていました。これに勝てないとハッピーエンドは望めませんからね。
09. 悪魔の遊戯

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| RPG | こうさか |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 9時間 | 1.07 | クリア |
良かった点
- 全てのメンバーに役割がありました
- メンバーの入れ替えを戦略的に使う意義があります
- 戦闘、とりわけボス戦の難易度は歯応えのあるものでした
気になった点
- 店の操作がやや手間に感じました
- 入る際に演出がかかる点、装備とアイテムと装飾品でもう一段階選択が必要な点が気になります
レビュー
戦闘メインのRPG
悪魔の遊戯は、戦闘メインのRPGです。
そのゲーム性はその一言で表されるものであり、その一言を究極に煮詰めて出来上がった作品と言えるかもしれません。
基本的なゲーム性は非常にシンプルで、見下ろし型のダンジョンを進み、最奥に到達して攻略することを目指していきます。
ダンジョンでは雑魚敵とエンカウントするほか、最奥では強力なボスが待ち構えています。消耗を極力避けつつ安定して退けていく雑魚と、特殊行動をいなして全力で打ち勝ちに行くボスという双方の戦闘の楽しみが味わえることでしょう。
その戦闘システムはCTBの形式を取っており、それぞれの速度と行動に応じて順番にターンが回ってくるものとなっています。強力な行動をすると次のターンが回ってくるまでに時間がかかる一方、弱い行動は代わりに回転率が良いため、それぞれの状況に応じて適切な行動判断をしていくことが重要となってくるでしょう。
また、特徴的なシステムとしてSPと呼ばれるパラメータが存在しています。これはターン消費やMPの消費で溜まっていき、強力なスキルの発動に用いることができるものです。戦況を大きく変える力を秘めているため、意識して貯めておき、ここぞという場所で使っていきましょう。
ただし、勝利するために重要なのはそういった戦闘中の行動だけではありません。戦闘前の準備もまた欠かせないものとなっています。
プレイヤーはレベルに応じて得られたスキルポイントを割り振ることで、いつでもスキルの習得と忘却が可能です。それぞれのキャラクターの役割を捉まえて、相対す敵を攻略すべくスキルを吟味することが勝利の近道となることでしょう。
戦闘は戦う前からすでに始まっています。相手の弱点を突く魔法を揃えたり、敵の攻撃の属性耐性をパッシブスキルでつけたり、対象に有利なバフやデバフを揃えたりと、スキルだけで様々な準備が可能です。たとえ敗北したとしても、戦略を組み立て直し、スキルを見直していけばいずれ勝利は見えてくることでしょう。
そうしてダンジョンを攻略し、物語を進めていくにつれて、一癖も二癖もあるメンバーが追加されていきます。
戦闘自体は最大4人のパーティで行われますが、いつでもターン消費無く控えと交代できるため、前線に出していないメンバーにも役割があります。回復担当を控えさせていつでも回復に回す、大技を撃てる状態のメンバーをあえて控えに回して機を伺う、瀕死の味方を一度下げておく、というように交代もまた様々な戦略性を生み出しています。
追加メンバーごとの役割を上手く使いこなし、交代で回して戦況を有利に進めていきましょう。
スキルや装備による事前準備と、メンバーそれぞれの状況に応じた交代を含めた行動選択の双方を活用し、強力かつ戦略性のあるボスを打倒していく楽しみのある作品となっています。
とにかく戦闘を楽しみたいという方にお勧めのゲームと言えるでしょう。
感想
前作に近い形式の作品となっていますが、諸々大小様々なところに変化が見受けられます。個人的にはエリスと悪魔の書より好きで、遊びやすさや難易度バランス、それぞれのキャラクターのスキル構成など、細かいところがより良くなった印象を受けていました。
とりわけ、コマンドの割り当てがシンプルになったことで操作が直感的になっているあたりの体感が良いです。スキルの割り振りがやりやすくて助かります。
これも前作の話に接続してしまうんですが、前作においての戦略性が型にはめてどうやって倒すかという文脈になっていたのに対し、今作は相手の弱点を突いてギミックにどう対処するかという戦略性に変化しているように感じました。強みを押し付けて無法をするのではなく、堅実に相手のパターンを見て攻略していくことが求められています。これも、個人的にはこちらの方が好みです。
特に、いつでもパーティーを入れ替えられる戦闘システムを上手く用いつつ、相手の特殊行動への対処を筋道立てて攻略していく戦略を考えるのが楽しかったです。その分、多分今作の方が難易度は高めな気がします。
中でもラスボス戦は特にその面白さが際立っていました。守りに入っていると相手がどんどん強くなるので、ダメージキャップのないタイミングでいかに殴るかを考えながら、直前の強力な攻撃の凌ぎ方も並行して用意する必要があるといった建付けです。複数の戦略を同時に立てていくこの戦闘は、本作で一番好きかもしれません。集大成感もある。
メンバーがどんどん増えていくので、その分装備やスキルを考える手間は増えるんですが、裏を返せば全員に役割があって、頻繁に入れ替えて色々できる全員野球のような楽しさがあります。各キャラクターのパワーバランスも良い塩梅で、ここも個人的に好きな点の一つとなっています。ちゃんとそれぞれに意味がある。
また、メンバーは多いものの役割がかなり明示的に定められている印象もあり、育成というか方針は迷いにくいような気がしています。筆者は天邪鬼なのでデバフ役っぽい担当をアタッカーっぽく運用していましたが、終盤デバフが足りなくて負けかけたので、素直にバランス良く組むほうが良いとは思います。それはそれとして、アタッカーを大量に立てて殴るみたいな自由もある程度はあって良かったです。
攻略面で言うと、筆者はスキルを一点特化で成長させて諸々突破させていました。こういうギミック攻略系の戦闘は、万能よりも尖ってる方がいろいろ強いという主観からです。やることを明確化したおかげで戦闘中の動きの方針も決めやすく、特化してスキルパワーも向上するので一石二鳥です。
個々の対応力が落ちる面は他のメンバーに代替させればよいので、メンバーの数を最大限に活かした構成とも言えるかもしれません。
個人的に強力に感じているのはアフターケアというスキルで、これがあれば雑魚戦でも気軽に魔法を振れるようになります。そうなると被弾が抑えられるので、ダンジョン攻略の安定性がぐっと増しました。
また、見下ろしダンジョン要素についても、各ダンジョンごとにギミックを配置して色を変えていて面白いです。あくまでも戦闘メインとは言え、ノンフィールドでひたすら戦うわけでもないという空気を感じました。適度にRPGっぽい。
筆者は雪山が一番苦戦したパートで、地図の切り替え機能が見つからなかったため、スクショを見比べることで穴の対応関係を解いてました。想定解なのかな。
なお、戦闘メインとは言えフレーバー的にシナリオはありますし、最後の演出込みの戦闘も良かったです。戦闘がメインならではの物語の見せ方だと思います。ちゃんと把握するなら裏ステージに挑まないといけない気配がありますが。
ともかく、全体的に戦略性の高い戦闘が楽しめる良作でした。ちゃんとボス戦が楽しいゲームは良いゲームです。とりわけ、ラスボス戦は今ウディコンでもトップクラスに入るくらい熱い戦いを楽しめました。ちょうど良いバランス調整に感謝。
その辺の楽しさの代償として、メンバーごとにスキルや装備を組み替えていく手間が付随しているあたりはやや慣れない人には厳しい印象はあるものの、らんだむダンジョンの装備パズルとかが好きな人には苦も無く楽しめると思います。戦略を考えている時と、それがちゃんと機能した時が一番楽しいですからね。
10. 双炎姉弟と奇蹟の薬草

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| パズルアドベンチャー | 銀ノ薺道 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間 | 1.0 | クリア |
良かった点
- エンディングが豪華でした
- 小粒なギミックを楽しめる設計となっています
気になった点
- エンディングに至る展開がかなり唐突なものに感じました
- 文体が不自然に不統一な印象を受けました
レビュー
衝撃のエンディング
双炎姉弟と奇蹟の薬草は、様々な仕掛けを攻略して進むパズルアドベンチャー風な作品です。
一筆書き、ライツアウト、迷路といったようなギミックを解いていき、各ステージのクリアを目指すことになります。
タイトルに違わず、双子の姉弟が薬草を採りに向かうところからゲームは始まります。前述したようなステージごとに異なるパズル的な謎解きを解き進めることで物語が進行し、やがてエンディングへと辿り着くことができるでしょう。
謎解き自体は平易な難易度であり、解くのはさほど難しくありません。救済要素もあるため、恐らく詰まることなく最後まで遊ぶことができるでしょう。
そうして到達することになるエンディングこそがこのゲームのクライマックスであり、ゲームが180度転換する場面でもあります。これまでの物語の展開、設定から画から何から何までがひっくり返るような驚きをもって迎えられるであろうこと必定です。このエンディングを見るために、最後までやる価値のある作品と言えるかもしれません。
是非ともエンディングを目指して、ギミックを解き進めていきましょう。
感想
一筆書き、ライツアウト、迷路のフリーゲーム3点セットといった感じのアドベンチャーでした。一筆書きは言うほど見ないかもしれない。サブ要素的にあるクイズやスイッチによる道生成も良く見るシステムですね。
物語要素を除けばほぼそれだけといっても過言ではありませんが、物語というかエンディングあたりがメインなところがあるので、主眼はそちらにあるような気がします。
何しろゲーム全体の内容に比して、エンディングのストロークはかなり長いです。終わったかなと思ったら、まだ続きます。
歌付きのエンドロール、手の込んだ豪華なCG、いきなり転回する世界観と、もはや本編がおまけみたいな勢いで進行していきました。個人的には、CGの豪華さに対して町の木を焼く絵の雑さが好きです。良い落差。そこは別にこだわる必要ないですからね。
また、世界観のことを考えると、本編がおまけというのもあながち間違ってないような感じもあります。あくまでもメタの中の話なので。
とは言え、これを初見で見た場合の最後の展開の飲み込みにくさはありそうだなという印象はあります。筆者はいくつか前作を遊んでいて、おおよその世界観は把握できているため受け取りやすいですが、そうでない場合はちゃぶ台返しに近い展開を解釈するのは大変そうな気がします。
何なら、この急転直下の展開のまま次回に続くような結末で終わります。このゲーム性と初期の物語で、次回に続くようなタイプの終わり方になるだろうと予測できる人は存在しないのではないでしょうか。
そも、ゲーム中の世界観ですら、いきなり勇者やら魔王軍やらの要素が出てくるので、枝葉を気にするタイプだと色々と気になる点があるような印象もあります。
物語ついでに文章についても言及すると、部分的に砕けているかと思えば、そうでもない面もあり、この辺の不統一感はやや気になりながら読んでいました。図鑑っぽいものの説明文で助詞が抜けていたり、話し言葉になっていたりする箇所も気になります。図鑑じゃなくて絵本みたいなものなのかもしれない。
なお、個人的にはオジィサァンという名付けに代表されるような砕けた側の方が好みでした。不思議なことに続柄がありありと分かる名前。
とにかく、ゲーム性的には上記の通りアドベンチャーのミニゲームセットみたいな内容なんですが、メタにメタを塗り重ねたような世界観それ自体が本編みたいな不思議な読み味のゲームでした。箱庭とか神は、ゲーム製作をなぞらえたものなのでしょうか。
11. さいごの射手の銀弾は

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 狙撃 | ろくぞう |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間 | 1.01 | クリア |
良かった点
- 狙撃というコンセプトにマッチしたシステムが構成されています
- やや陰のある雰囲気をまとう世界観と物語が上手く演出されています
- 物語の質も高いです
気になった点
- 移動先のアイコンが小さく、少しエイム力が求められます
- 長めの演出がそこそこあり、ややテンポが悪くなっています
レビュー
銀弾で射抜け
さいごの射手の銀弾はというゲームは、狙撃アクションを通じてファンタジー世界の物語を読み進めていく作品です。
物語が主軸ではあるものの、シューティングではなく狙撃と言うべきシステムの作り込みも特徴的なものとなっています。
戦闘パートで必要となるその狙撃アクションは、マウスでエイムを付けて的確に撃ち抜くオーソドックスなものです。ただし、ここで行うのは単なるシューターではなく狙撃です。このため、プレイヤーは手ブレや風による着弾ズレの影響をダイレクトに受けることになります。加えて、銃は連射ができず、装填や弾倉交換に時間がかかるため、闇雲に撃つこともできません。敵に対してしっかりと狙いをつけ、ぶれる照準の中でヒットする瞬間を待つ集中力が求められることでしょう。
さらに、シナリオを進める上で避けては通れない強敵はこちらに攻撃を加えてくることもあります。迫りくる敵には適切に応戦しなければ攻撃を受け、ゲームオーバーとなってしまいます。慎重になりすぎても負けてしまうため、時には大胆に撃ち込むことも必要となるでしょう。
そうして敵を倒していくことで進行するシナリオは、この作品の最大の魅力となっています。
隻眼の狙撃手ヴィオラが傭兵として様々な戦いに身を投じる中で描かれていくその物語は、暗く落ち着いた雰囲気で展開していき、やがて大きな事件へと繋がっていくことになります。そのサスペンス風のシナリオについて多くを語るとネタバレとなってしまうため割愛しますが、良い読後感を味わえるであろうことは保証します。
狙撃アクションを乗り越え、敵を射抜き、その結末を見届けてください。
感想
シューティングというよりも狙撃といった印象を受ける作品でした。手ブレとか風とか、シューティングゲーム的にはノイズっぽい要素を狙撃というコンセプトをもとに上手く取り込んでいます。感覚的にはマテリアルスナイパーが近い。
このためシューターを遊ぶ時の器用さよりも、集中力というか仕留めるべくを仕留める力が求められる印象がありました。硬派に射撃だ。
一方で、難易度は決して高くなく、ちゃんと集中して狙いを澄ませば大体のことは何とかなります。
ボス戦についても、近寄ったところを適切に射撃してしまえばクリアはさほど難しくはありません。むしろ、不規則に動いている敵に当てに行くほうが難しいかもしれません。4次試験のゴンの気持ちになって、狩ろうとするものを狩りにいくのが良いです。防御できるオマケまで付く。
特にラスボスはそれが顕著で、小さい上にかなり細かく動きます。慣れてくれば数発撃ちこむことはできなくもないですが、それよりは近寄った時に確実に倒す方がリスクを抑えて倒せるように感じました。
このため、個人的には少しずつ難易度が上昇していく雑魚ステージの方が難易度が高くなっていくように感じました。迷宮の良く動くゾンビが一番難しい気がしていて、かなりの高頻度で動くので山勘を頼りに当てにいかないとどうしようもない印象があります。
個人的に好きなのは雪山で、射撃力だけでなく索敵力を求められる変化を付けている点が良かったです。確かに、撃つだけが狙撃手の仕事ではありませんね。たまにヒットボックスが隣接しておかれていることがあるので、ボーナスタイムとばかりに撃ち抜いていました。
他方でシステム面に触れると、UIまわりは微妙にマウス操作がしにくい印象を受けています。特にメニュー画面が顕著で、選択してから赤くなるまで時間があり、選択を外してから白に戻るまでにも時間がかかります。クリックすれば起動する以上、判定とは無関係に動いてはいそうなんですが、体感としては赤くなってから押したい気持ちがあるので、慣れるまでは若干躊躇してしまいます。
また、移動先のアイコンが小さめなのも若干難しいです。ここでもエイム力が要求されている。
なお、ゲームループ上に存在するクールタイムについては、自宅で回せるので実質的に踏み倒せるものになっています。このため一見効果が無さそうに見えるんですが、恐らく同じところをぐるぐる周回するのを避ける目的があるのだと思います。これは綺麗に成功していて、適度にいろんな場所を回るモチベーションとしてうまく機能していました。
ただ、射撃大会やゲームオーバー画面に代表されるように、長めの演出がそこそこあるのが微妙にテンポを阻害している印象はありました。ゲームループ自体はちゃんと回したい気持ちになるんですが、そういったもので少し勢いが止まるような気がします。とはいえ、クールダウンになっているという見方もできるかもしれません。ゲームの雰囲気はイケイケドンドンではないですしね。
最後に個人的に一番重要なシナリオについてですが、陰のある雰囲気と世界観が狙撃手という孤独に戦う者とマッチしていて良い体験が得られるものとなっていました。最後の展開も良い。要点を抑えた上で、短編としてまとまりよく構成されている点も素晴らしく、綺麗にまとまった良作であるように思います。
前作から引き続き世界観を共有しており、いくつか登場人物や世界観に重なりが見られるんですが、肝心の主人公はそれとは一歩引いた存在なので、この物語はそれ自体で完結しているのも良いです。あくまでもフレーバーというか、前作を遊んだ人だけが補足的に理解できる程度に留まっています。それにしてもアレン君、不甲斐なくないですか。
とにかく、全体的に雰囲気を重視しているような作風であり、良質な物語もあってその雰囲気に浴することが十二分にできる作品となっていました。
12. ワイたちはどうイキるか

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| RPG | ルーカス |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 20分 + 1時間30分 | 2.60 | クリア (3369924) |
良かった点
- 引換券システムにより射幸心を煽られます
- そうして良いアイテムを手に入れれば、きちんとプレイヤー側が強化された実感を味わえるようなバランスでもありました
- 上手く強化できると敵をなぎ倒していける爽快感がありました
気になった点
- 主に中盤の難易度が高く、運の要素をかなり強く感じました
- そもそものシステム設計上、運の要素が捨てきれないゲームではあります
レビュー
くじ引きを回して超強化
ワイたちはどうイキるかは、運を味方につけて戦闘を有利に進めていく一本道のRPGです。
フィールドは存在していますが基本的には戦闘がメインであり、道をふさぐ敵を倒して突き進んでいくことになります。
敵を倒して経験値やお金を手に入れ、フィールド上にある店でお金と引き換えにアイテムや装備を得て強化していく、という一連のループが基本的なゲームの流れとなっています。しかし、ただ基本の流れに沿うだけでは強さは線形的にしか伸びていかないため、徐々に強くなる敵に太刀打ちできなくなっていくでしょう。そこでプレイヤーを飛躍的に強化するためには、敵を倒すと得られるもう一つのリワード、引換券を使う必要があります。
フィールド上には店の他にくじ引きも存在し、いくつかの引換券と引き換えにランダムでアイテムや装備、スキルを獲得できます。運さえ良ければ強力な装備やスキルを獲得でき、一気に戦闘を有利に進めることができるようになるでしょう。多くの引換券を消費するくじ引きほどより良いアイテムが得られる傾向にあるため、引換券をあえて温存するという選択肢もありえます。一方で、バンバン使うことで戦いやすくして戦闘の回数を増やし、引換券の獲得枚数を増やすという選択肢もありえます。好きな戦略を取っていきましょう。
ただし、一つのステージで戦闘、店、くじ引きができる回数には制限があります。この点に注意し、店に立ち寄る回数、戦うべき敵の選別、くじ引きのタイミングを考えて進めていくことが肝要となります。
この作品の攻略において、その道筋はかなりのウェイトが運に占められているため、必ずしも適切な難易度カーブを享受することはできないかもしれません。しかし、それ故にくじ引きの射幸心は熱を帯び、優秀なアイテムに歓喜し、使えないアイテムに涙する、そういった感情の揺り動かしが演出されています。
くじ引きの運、敵の行動の運、回避や命中の運、全ての運に翻弄されながらも状況に適した行動を選択していき、幸運を逃さずつかみ取っていきましょう。
感想
より洗練させた売ルファールという印象のゲームでした。ある程度運の要素が抑えられつつ、スキルやスペックの拡張と強化が入っています。余談ですが、売ルファールはもう2021年の作品なんですね。このゲームを遊んだ瞬間に思い出したので、インパクトのある作品だったというのが分かります。
ランダム要素が抑えられたと言っても、システムの構造上どうしても運の要素が絡む場面は多く、特に序盤から中盤にかけては運が悪ければクリアは難しいレベルになっています。
最上級職まで行き、無法な攻撃手段が豊富にそろうようになる最終面はむしろ楽な稼ぎ所として機能しているため、実質的に一番難しいのは装備が中途半端でアドリブが求められがちなステージ2となりそうです。
どこかで成長をミスると強さのインフレに乗り切れなくなって詰むので、ステージ2のせめて中盤までには流れに乗れるようにしておかないと厳しいゲーム性となっていました。
ただ、流れに乗ると言っても引換券ガチャに依存する仕組みであることはあまり変わらず、ローグライトの選択肢のように必ずしもビルドの方向性を決められたり、ある程度フラットなスキル設計をしているわけではありません。そこは圧倒的なまでの運ゲーとなっています。
これによりステージ1終盤からステージ2中盤にかけてまでは、よほど装備が揃わない限りシビアに戦い抜かないといけない訳ですが、その分もあって引換券で強力なアイテムを手に入れることができた喜びはひとしおとなっています。射幸心の塊みたいなゲーム性をしている。
また、個人的に好きなのは、そうして苦しい時間を抜けた先にきちんとボーナス的な無法の力を与えられることであり、この力で以てより強力であるはずのステージ3の敵を蹂躙できる構造にあります。ちゃんと相手も強いので雑魚狩りをしているようなやらされ感なく、しかし圧倒的に強い力で全てをなぎ倒しつつ稼ぎ倒せる爽快感を味わうことができます。実質ボーナスステージ。
筆者がクリアした際は、中盤までは得られた武器を上手く運用して薄氷を踏むように戦っていました。
まず、ステージ1では物理ベースで進めていたところ命中率減少に阻まれて敗北した後、魔法ベースに乗り換えてSP回復とヒールを積んで乗り切っていきました。
辛くも次のステージには行けたんですが、続くステージ2序盤の力ためオークは強敵であり、運が悪ければ一瞬で敗北を喫する状態となっていました。そこで、ポーションを買いつつも使わずにおくという戦略を取り、乱数を上手くずらして敵の行動パターンと回避を操るといった対処をすることで乗り切りました。乱数調整するしか勝ち筋が無い。
そうしてステージ2を耐え抜いた後、黒い霧という強力な技と最上級職パラディンの守護者の合わせ技により、SP回復と黒い霧の連打で一気に倒し切りました。黒い霧はかなり逸脱しているスキルで、ラスボスでもお構いなく麻痺を入れられる上、たとえ入らなくても充分な火力源になります。無法すぎる。
このように、最後の爽快感や途中で強いスキルなどを得られた時の快感はあるものの、運に振り回されて敵のAIに蹂躙される展開もまた回避不能であり、良くも悪くも運というものに一喜一憂されるゲーム性をしていました。個人的には中盤あたりの敵のスペックがやや急に上がりすぎる印象はありますが、これも運によるビルドの方向性と相性が悪かった可能性は否めません。
さりとて、中盤の難易度を下げてしまうと味気なくなるだろうなという気持ちもあり、緩急という意味では苦しい時間があることにもまた意味があるようにも思います。この辺りのバランスは難しいところです。そこに、ただでさえプレイヤー側の強化が運頼りなことが拍車をかけます。レベルデザインはほぼ不能かもしれません。
いずれにしても、運に翻弄されつつも攻略を目指していく過程は楽しめる作品でした。ホーリー4連発食らってゲームオーバーになるのもまた愛嬌。
なお、クリア時はランキングのトップあたりにいたのですが、最終日近辺に覗いたらWAITさんなどがぶち抜いていって圏外になっていました。早めにやっておいたおかげで名前が乗せられて良かったです。あのレベルの方に勝てる気はしない。
なんとなく最適解は最終面で5倍をひたすら回してある程度良いのが出るかどうかのガチャを行い、結果が悪ければポーションを買って乱数調整な気がしないでもないですが、そこまでやると大変すぎるのでやっていません。
13. 落ちさえしなけりゃクリアはできる

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| アクション | Qbit |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 2時間 | 1.04 | 4/5 クリア |
良かった点
- この手のゲームに必要な要素が適切に揃っています
- ステージ構成やギミックの頻度、適度に配置された台無しポイントがちょうど良いバランスとなっています
- 自分で配置できるチェックポイントが良いシステムでした
- 自分にとっての難所に対しての補助輪として機能しています
気になった点
- 稀に地形判定に怪しいところがありました
- ほぼコーナーケースなので、大きく問題になる事はありませんでした
レビュー
親切な苦行
落ちさえしなけりゃクリアはできるは、ジャンプアクションを駆使してひたすら塔を登る、いわゆる登山ゲームです。
基本的にはマウスのホールドで力を貯め、エイムで方向を定めてジャンプをしていき、足場という足場を渡り歩いていくことになります。
力の貯め具合や向きによって自機は勢いよく跳ねていくため、いずれかを失敗すればあらぬところまで跳ねていってしまうこともあります。それを避けて適切に足場を渡っていくには、適切な貯めと向きを見つけていくトライアルアンドエラーと、その大まかな感覚を掴むための経験が必要になってきます。
何度も挑戦して跳び方を掴み、意地悪な足場を越えていきましょう。
また、塔を登るにつれて不安定な足場に加えて、一癖も二癖もあるギミックも待ち構えています。中には苦手な形状の足場、ギミックなどもあるでしょう。
そういった時には、いつでも自分で配置できるチェックポイントが便利です。特定のアイテムを取得することで、プレイヤーは任意の場所にチェックポイントを設置できるようになります。設置できる数に限りがあるとはいえ、その効果は絶大です。自分にとっての難所を見極め、苦手な所では積極的にチェックポイントを活用していきましょう。
ともすれば理不尽にもなりうる登山ゲームというジャンルにおいて、本作は適切なレベルカーブ、理不尽過ぎず意地悪に留まる配置、自力設置型のチェックポイントという設計により、プレイヤーをクリアできそうな気分にさせてくれる作品となっています。
この手のゲームに付きものな根気はそのままに、不条理をある程度除きつつ、醍醐味である台無し感を適度に残し、ある程度マイルドに楽しめるように抽出されたゲーム性と言えるかもしれません。
是非とも、この沼の中であがいてクリアを目指していきましょう。落ちさえしなけりゃクリアはできます。
感想
壺、Jump King、Aim Climb、他様々と存在している、いわゆる高難度アクション、もとい登山ゲームでした。その例に漏れず、絶妙に難しい操作性、雑にやると進めないステージ設計、気を抜くと手戻りが発生する意地悪な穴、とこの手のゲームに欲しい要素が全部完備されています。
もっとも、意地悪な穴が欲しいかは賛否両論あるとは思いますが、こういうゲームには必要だと考える派閥です。雑にやった報いとしてしっぺ返しが来るのが良い。
個人的にはすべて台無しポイントがちょうどいい程度にあるのが好みで、良い感じに定期的に置いてあります。全部が全部台無しポイントではない良心があるおかげで、慎重に進めば何とかなるレベルに収まっていました。チェックポイントをどこで使ってしまうかを悩むのにちょうどいいレベル。
チェックポイントをケチっていたら、バウンドであらぬ方向に飛んで行っておしまいになる感じが、この手のゲームをやっているという感覚を強くしていました。横着は良くない。
なお、チェックポイントを置ける個数については結構余裕があり、そういう意味では難易度は決して高くはありません。2画面に1つ程度で置いていきましたが、それでも割と余りました。裏ステージはともかく、表のステージをクリアする上では慎重さと根気と計画性があればクリアは十分可能な気がしています。
ステージの構成も良く出来ていて、適度に難易度が上昇しつつ、ギミックが適度に場の雰囲気を変えてくれています。最後に総決算が待ち構えているのも好き。いたずらに理不尽ではなく、しかし時折意地悪ではある塩梅を絶妙についていて、緩急が上手く作られたレベルデザインに感じました。
ギミックも含めて突破方法に微妙に変化を与えているおかげで、得意なところはチェックポイントを温存して進む、のような戦略性があるのも良いです。ゲーム性と上手く噛み合っている。
ちなみに、個人的な攻略方法としては、基本的に最大ためで照準合わせに全力を注ぐのが安定する気がしています。再現性が高いので、ちゃんと見つけることができれば、道中がだいぶ安定します。代わりに、最大ため故の高速移動のせいで変に戻されるリスクも付きまとってはきますが。
なお、たまにちょっと貯めることが必須のエリアがあるので、そこは気合で乗り切るしかありません。段々加減が分かってくれば、意外と雑に貯めることで足場を渡っていくことができるようになってきます。再現性が無いので、調子が悪くなると破綻する諸刃の剣ですが。
なお、地形判定周りはやや怪しいところがあり、高速で移動するとたまに地形を抜けます。画面外に出るような致命的な問題は観測していませんが、動画で見ると一瞬埋まって反射するような状態を確認したことが二、三ありました。完全に地形抜けをしないあたり、反射アルゴリズムと内部への押し込みのアルゴリズムが別にあるのかもしれない。
状況からの推察でしかないんですが、移動をあまり加味出来ていない気配はあり、移動四角形と線分の反射周りで何かが起きている気配はあります。移動四角形、ObbでないだけマシとはいえAABBなので面倒そうです。球形で取ればカプセルで見れるので多少は楽そうですが。
とはいえ、普通に遊んでいて頻繁に起こるものでは無いので、コーナーケースでたまに理不尽をもらう程度に留まる話ではあります。あんまり高速で斜めに入射しないように気を付けよう。
後は、個人的にオープニングとエンドロールの演出が好みです。こういう、システムやコンセプトに上手く噛み合わせた上で短くまとまったものに弱い。
ともかく、この手のゲームとして必要な要素が過不足なく揃い、全てが良いバランスで構成されているゲームとして完成されていました。
筆者は壺をクリアできていないペーペーなので裏ステージには挑戦しませんでしたが、いつか自信がついたらやってみるかもしれません。とりあえずEat Colorsをクリアできるレベルのプレイスキルが欲しい。
14. 月神決戦弾

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| シューティング | えばぐり |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 40分 | 1.00 | 1周目クリア |
良かった点
- 多彩なボスのグラフィックと、それに相応しい美しい弾幕が展開されていました
- 魔法陣というシステムが秀逸でした
- カスタマイズ性の担保、救済措置、上級者向けのレベリングと用途が多岐に渡ります
- UIが見やすく、直感的に理解しやすかったです
- 自機周辺に必要な情報が過不足なくまとまっていました
気になった点
- Vキーのボムが物理的にやや遠い印象がありました
- 設計上仕方ありませんが、誤ってCキーの魔法陣を押しがちです
- このゲームではボムより魔法陣を運用したいケースの方が多いので、妥当ではあります
レビュー
難易度自在の弾幕シューティング
月神決戦弾は、敵弾を回避してステージを進み、ボスを撃破して進行するオーソドックスな弾幕シューティングです。
基本的には横スクロールのシューティングとして抑えるべき点を抑えたシステムでありつつも、いくつかの独自のシステムが搭載されている作品となります。
とりわけ重要であるシステムとして、魔法陣が挙げられます。Cキーでいつでも展開することができ、特殊な固有の性能に加えて展開中は被弾によるダメージを抑えることができる機能となっています。回避の難しい弾幕に襲われた際は、ひとまず魔法陣を展開することになるでしょう。
しかし、魔法陣はただ無思考に展開すればよいというものではありません。魔法陣を展開することで、時間と共にMPと呼ばれるパラメータが少しずつ消費されてしまうためです。このMPはダメージを受けた時に消費されるものと同じであり、欠乏するとゲームオーバーになってしまいます。このため、必要な時に必要なだけ展開し、被弾を抑えるというのが重要になってくるでしょう。
また、魔法陣を展開する際に追加で得られる性能については、挑戦する前に選択することができます。
素早い弾幕が苦手であれば展開中の弾速を抑えるスロウ、画面を埋め尽くすタイプの弾幕が苦手であれば自機狙いに変えるチャーム、とにかく避けるのが苦手であれば狭い範囲で弾丸を消すバニシング、腕に自信があれば自機の火力を上げるブーストと、それぞれのプレイスタイルに合わせて好きな魔法陣を使っていきましょう。
このように攻略における重要な立ち位置を占める魔法陣ですが、回避に集中している間に魔法陣を展開するほど思考に余裕が無いという方もいるかもしれません。そんな方でも、オート魔法陣を使うことで、デメリットはありますが被弾直前に自動で魔法陣を展開してくれるようになります。慣れていない方は、積極的に活用しましょう。
反対に、慣れてきた方はMPがある限りできるだけ魔法陣を展開し続けることで、ランクを上げていきハイスコアを目指していくのがお勧めです。ランクの上昇に伴い難易度も上昇するため、歯応えのあるシューティングが楽しめることでしょう。
初心者でも上級者でも、ハイスコアを目指して難易度を調整する上でも、魔法陣は欠かせないシステムとなっています。自分の腕前に合わせて適切に運用していきましょう。
そうして魔法陣を活用して弾幕をいなし、ステージを進むと現れるボスもまた本作における魅力の一つとなります。
オリジナリティの高いグラフィックで表現された多彩なボスと、それに合わせた多様な弾幕の数々は、ただ見ているだけでも美しいものとなっています。一方でその美しさの反面、回避は困難を極めます。きちんとパターンを理解して回避行動を熟知し、苦手なパターンには魔法陣を合わせ、素晴らしくも難しい弾幕を攻略していきましょう。
なお、魔法陣を展開しなかったり、被弾が増えたりするとランクが下がりスコアが落ちる反面、前述の通り難易度はそれに応じて低下していきます。このため、それほど慣れていない初心者は苦しみながらも難易度が適切に抑えられてクリアしやすくなる一方、回避に熟達した上級者は自動的に高難度へと挑むことになります。
この難易度設計により、初心者でも上級者でも楽しく遊べること請け合いのシューティングとなっています。弾幕シューティングに慣れている方でもそうでない方でも、一度遊んでみてはいかがでしょうか。
感想
初めに断っておくと、筆者はHellsinker.をMinogameを使ってやっとのことでクリアできる程度のシューティングの腕前なので、以下に示すのは初心者寄りの感想になります。恐らく中級者以上は別の深みが出てきそうなシステムをしているんですが、その辺には実力的に触れられません。精進が足りない。
さらに断っておくと、そのレベルの腕前でも楽しめる作品なので、かなり幅広い方が遊べるゲームなのだと思います。
筆者は弾幕シューティングについては弾幕の美しさと曲との調和を好んで見るタイプなんですが、この作品はとりわけ前者が非常に良いです。弾幕に個性があるので、どのボス戦でも何が来るのか楽しみにしながらプレイしていました。個人的に好きなのはサメの歯をモチーフとしていそうな弾幕と、1周目ラスボスの様々な弾幕の数々です。
弾幕自体はそこそこ激しめであり、一部の弾幕はパターン化しないとかなり回避が難しい印象がありました。その分、きちんとパターンを読み取ってパニックにならずに冷静に移動して対処できると楽しいです。個人的には自機追従と弾幕のセットがアドリブ力を求められて難しい気がしています。
とにかく、色々なバリエーションを見て、それぞれに上手く対応していく楽しさを余すことなく味わえる作品だったと言えるでしょう。ギリギリで回避するとMPが回復するのもあって、慣れてきてもギリギリで避けてアドを取るスリリングな楽しみもありました。
その上で、魔法陣というシステムが秀逸でした。第一に、弾幕に干渉できる基本機能があるおかげで、弾幕に対する向き合い方に変化が出ます。少なくとも初心者はそこそこ早い弾幕を避けること自体が割と難しいので、弾幕を遅くする魔法陣の効果は高かったです。これが無ければ避けられない弾幕もありました。
その一方で、魔法陣に対して選択肢が用意されているのも良いです。単純に遊び方に変化がもたらされるというのも優れていますが、それ以上に自分にとって足りない点を補いやすいという利点を強く感じました。避けられないならスロウ、パターンを見て掻い潜るのが苦手ならチャーム、本当に無理ならバニシング、回避に自信があるならブーストと、己のプレイスタイルに合わせた機能を持たせられるというのが白眉です。
さらに、魔法陣の展開中はMPが削られていくというシステムも面白いです。ダメージの前借りのような設計のため、面白いリスク管理ができます。これが別ゲージであればシステム的に複雑な上、ある程度使い得なシーンが目立つことになるでしょう。しかし、MPが削られるのであれば、使いどころを選ばないとデメリットが勝ってしまいます。使うべくは使い、使わないところではちゃんと温存するというプレイングを否応なしに意識させられます。
その上で、ピンチの時はむしろ使えないというデメリット的な部分に対し、一発逆転のハイパー緊急回避という手札を用意しているという点まで抜かりありません。設計上どうしても発生しかねない詰みのような状況に対し、高難度ながらもプレイヤー側から出せる回答があります。
加えて筆者には半分縁が無いですが、展開するとランクが上がっていくという設計も見事です。上級者であれば自然とMPを減らしてでも使うことになるので、ハイリスクハイリターンな選択肢として機能しているのだと思います。MPが減れば当然難易度は上がるので、上級者向けのゲーム側のレベリングとしても優れています。
過負荷というシステムも含めて、上級者向けには自然に縛るようなプレイをさせつつも、ハイリスクハイリターンな選択肢を用意しているという印象がありました。敵のアッパー調整だけではなくプレイヤー側のアッパー調整もセットで行われており、高難度に挑むためのモチベーションがきちんと用意されているような印象を受けます。
近い話題が出たので難易度についても触れておくと、クリアするだけならかなり緩い難易度になっています。下手なりにちゃんと動かせば避けられますし、被弾するとランクが下がるので弾幕自体も抑えめになっていきます。自動的にこちら側の上手さによってレベルデザインが変化してくれるので、特に何かしなくてもある程度適切な難易度に落ち着くようになっている印象がありました。
全体を通して、筆者がミスしたのは一回だけで、それも魔法陣展開に慣れていないせいで、魔法陣を展開しっぱなしにした後の被弾でした。慣れてきてからは、恐らく半分を割ることも稀だったと思います。いざとなれば初心者の味方、オート魔法陣もある。
また、自機の当たり判定は充分小さく、魔法陣展開中はさらに小さくなるので、割とフィーリングでも弾幕は避けられるようになっています。大きい弾だけ警戒して、小さい弾はざっくりと突き抜けるように避けても何とかなります。恐れずに突っ込む気持ちが大事でした。
また、そうした秀逸なシステム周りに加え、遊びやすさを担保している要素がもう一つあります。UIの良さです。自機周辺にきちんと必要な情報がまとまっており、目線の移動量が最小で済むようにデザインされています。詳細な情報を見たい場合は大きめの情報を見て、選択に必要な情報を咄嗟に拾うには近くの情報を見るという形で上手く使い分けることができました。
殊に良いのはボムの表現です。数値表示やゲージ表示ではなく、今撃てるか撃てないかに絞って近傍に表示されています。まさに撃とうとするその時に必要な情報に絞られているおかげで、刹那の判断に役立ちました。ボムを撃とうと思っている時、その後のことなんて考えてられませんからね。
シナリオやグラフィックについては緩くまとまっていて、オリジナリティを出しつつもゲーム性を阻害しないテンポ感で会話劇が展開していくのが良かったです。弾幕の美しさもさることながら、ボスのグラフィックの多彩さもまた良い味を出していて、その相乗効果で見た目も楽しいゲームに仕上がっている印象がありました。
全体的にクオリティの高いシステム、安定度の高い設計、楽しめるレベルデザインをしている弾幕シューティングとして手に取りやすい作品であるように感じました。とりあえずこのゲームから始めれば、クリアまで遊んでスキルも身に付くんじゃなかろうか。
15. にわとりの襲来他二種のミニゲーム

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| ミニゲーム | ブ瓶 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 15分 | 1.0 | 3220611/全問/クリア |
良かった点
- 様々なミニゲームが収録されていました
- それぞれのプレイ感はかなり違ったものとなっています
気になった点
- 大玉転がしのゴールが大玉で隠されるため分かりにくく感じました
- 真っ直ぐ転がすゲーム性とも言えます
レビュー
ミニゲームオムニバスで遊ぼう
にわとりの襲来他二種のミニゲームは、3つのミニゲームが収録されたオムニバス作品です。
大玉転がし、文字コピー、にわとりの襲来の3種の作品から成ります。
大玉転がしは、マウスで大玉を掬い上げるように操作し、ゴールを目指すミニゲームとなっています。
3D空間上で上手く転がしていくことが重要であるため、適切な速度でマウス操作を行っていきましょう。
文字コピーは、コピーを基軸とした謎解きのようなミニゲームです。
タイトル通り、文字のコピーを上手く活用して問題を解いていくことになります。詳しく説明するとネタバレになってしまうため、気になる方は遊んでみましょう。
にわとりの襲来は、迫りくる夕一を撃退していくタワーディフェンスのようなミニゲームです。左クリックで夕一を誘導するパンを設置し、右クリックで夕一をエイムするように反物質パンをぶつけることで倒していきます。
ゲームタイトルの代表となっているだけあり、他のミニゲームに比べてもボリュームがあり、いくつかのステージが用意されています。それぞれのステージごとのマップやギミックを上手く活用してクリアを目指しましょう。
全てをプレイしても30分未満程度のコンパクトなオムニバスとなっています。息抜きに遊んでみてはいかがでしょうか。
感想
ミニゲームや、そのオムニバスが恒例となっている方の作品です。今年はオムニバス形式の方になります。
大玉転がしについては、遠くの地平が見えないという斬新な設計になっています。最初はどこを目指すかよくわからないまま動かしていました。よく見るとゴールはちゃんと見えているので、それを目指すことになります。ただ、視点が水平なので大玉に隠れることが多く、往々にして見えないことがあるのはご愛敬。離れすぎると矢印が出るので、そこまで到達すればやるべきことも明瞭になります。
特にコースが用意されているわけではないので、ちゃんと真っ直ぐ転がすというのが大事というゲーム性になっています。このため、実質マウスをひたすら上下スライドしていくゲームとも言えます。ミニゲームだ。
文章コピーは、ちゃんと文章をコピーしないと解けないタイプのゲーム性になっています。この文章だけでは何を言っているか分からないと思いますが、やると恐らく分かると思います。個人的にはARGを想起させました。
最後の問題に関しては微妙に読めなかったんですが、何とか答えることができました。人間かどうか聞いてくるやつで出てくるタイプの4はさすがに読みにくい。
にわとり襲来はタワーディフェンス風ではありますが、絶妙にそれとも異なる独特なゲーム性をしています。ステージごとに微妙に違うギミックが織り交ぜられているのも面白く、ステージごとに変わったプレイ感で楽しめます。
個人的には四方八方から大量に来るのが難関で、待ちの姿勢でいるとやられてしまうので、適当にデコイを撒いてから直接対象物質を投げつけることで乗り切りました。
しかし、いくらでも反物質パンを生み出せるコック、恐ろしい存在ですね。
個人的には、この中ではにわとり襲来が一番好きでした。夕五千兆を遊んだ後にこれを遊んだのも何かの運命を感じる。
16. S.W.A.T. (Special Wizard Assault Team)

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| タワーディフェンス | スパロー |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 3時間 | 1.0.0 | クリア |
良かった点
- ユニットを能動的にぶつけに行くようなタワーディフェンスが楽しめました
- 広範囲を一網打尽にする魔導により敵を殲滅していく爽快感があります
- ラストステージは歯応えがあり、総決算的に楽しめました
気になった点
- レベル差があるため、出撃ユニットを切り替える動機が弱かったです
レビュー
大量の敵に最強の魔導を
S.W.A.T. (Special Wizard Assault Team) は、ユニットを配置してウェーブを捌くタワーディフェンスゲームです。
市長と呼ばれるユニットのHPが0になる前に、敵を全滅させることができればクリアとなります。
その特徴は、何と言っても圧倒的な敵ユニットの数の暴力にあります。最大で数百ものユニットが押し寄せてくる様は圧巻の一言に尽きます。
一方で、こちらのユニットは最大でも10ユニットに留まるため、絶対多数と相対す中でどうやって運用していくのかが鍵となってきます。プレイヤーは好きなタイミングで好きな位置にユニットを動かすことができるため、敵を倒すために効率の良い配置を流動的に行い、それぞれのユニットを最大限使い尽くしていきましょう。
ただし、味方ユニットの力だけではその数十倍の敵ユニットの数に対抗するのは厳しいものがあります。そこで活躍するのが、魔導と呼ばれる特殊攻撃です。
時間経過で溜まるマナはユニットの配置コスト以外に、この特殊攻撃のコストとして支払うことができます。それぞれのユニットが持つ魔導は、様々な効果と絶大な威力を指定範囲に与えることができる奥の手となっています。大量の敵を効率良く捌くためにも、出来るだけ敵を固めて魔導で一網打尽に殲滅していきましょう。
なお、マナは魔導の強化にも使うことができます。強化するほど範囲も威力も強力になっていくため、余裕がある内に狙っていけると良いでしょう。
そうして敵を殲滅するごとにシナリオが進み、次なるステージが解放されていきます。ステージが進むにつれてその歯応えは増していき、敵の数もどんどんと増えていくことになります。
敵の軍勢が苛烈になるにつれ、その猛攻をユニットを使って上手くしのいでいくタワーディフェンス的な我慢が求められるようになってきます。そして、そうして耐えれば耐えた分だけ、貯めたマナを最大限活用して魔導の力で殲滅していく爽快感はより大きなものとなるでしょう。
ユニットを能動的にぶつけて敵を効率良く排除しつつ、魔導の使いどころを見極めて一気に撃破するその気持ち良さを是非味わってみてください。
感想
性能限界に挑戦してそうなリアルタイムタワーディフェンスです。どんどん激しくなる敵の勢いにどこまで行くんだろうと思っていましたが、最終盤は凄かったです。これだけのカオスがちゃんと動くのだからウディタは凄い。これを動かしきっているシステムの安定性も素晴らしい。流石に最終盤の盤面に最大強化の炎攻撃を打ち込むと処理落ちするんですが、致命的に落ちることなくちゃんと動きます。
帝国の対外戦争でも大概性能の限界までやっている気がしましたが、バージョンアップするとまだまだいけるものなんですね。
ゲームシステムは攻撃的タワーディフェンスとでも言うべきもので、攻撃的に迎撃する設計をしています。積極的にキャラクターの位置を動かし、相手の襲来に合わせて上手く攻撃を合わせていく能動的なTDなので、ずっと忙しくて良いです。
加えて魔導というMAP兵器が極めて強く、ひたすら耐えてマナを確保してぶっ放して殲滅させる爽快感もあります。タワーディフェンスは対応のゲーム性をしていて、基本的に戦略的我慢が大事なゲームだと思っているんですが、それに対するリターンとして最大級に気持ちのいいものを用意してくれています。一気に大量の敵が消し飛ぶのが良い。
なお、このゲームにおいては敵を倒してコストを得るのではなく、時間経過でコストを得る設計となっています。このため、フェーズ終盤においては、むしろ敵を倒さないという戦略も取れるようになっていました。
市長のHPはそこそこあるので、これをリソースと見なして最大限活用することで、序盤に稼ぐことができます。特に足が遅い敵が狙い目です。素早く殲滅しろと言われていますが、殲滅しないという選択も取れるかもしれません。
個人的にこの作品で最も楽しいポイントは、この辺の仕組みを理解し、それぞれのユニットや魔導を理解した上で挑むラストステージです。総決算のような立ち位置に相応しく、鬼のような量の敵が押し寄せてきます。最初に見た時に笑いが出るレベルです。
どのユニットをやられるまでこき使って良く、どのユニットは温存するかを決めておきつつ、敵をまとめて最大火力を叩きつけるプレイングを徹底しないとクリアはおぼつきません。プログラムの処理能力の限界だけでなく、こちらの処理能力の限界まで測りにきている。
筆者は最大の雷で危険な個所を処理しつつ、敵機が増えてきたら適宜炎で溶かす方針で捌いていました。時間稼ぎは氷に委ねつつ、最終盤の黒ユニット対策に聖を打ち込むために追加ユニットはこれらを選択しています。最後の分水嶺は、黒ユニットにいかに効率よく最大の聖属性攻撃を当てられるかになってくる印象がありました。なお、筆者は初め氷を無段階強化で運用していましたが、2段階強化くらいがちょうど良さそうな印象があります。
最終的に市長のHPが70でギリギリ撃破に間に合わせたので、割と薄氷の勝利となりました。終盤に飛来する黒色飛行物体の大群が難物だった。
このラストステージに代表されるような手に汗握るギリギリの戦闘バランスの組み方は上手く、ギリギリ行ける雰囲気がある範囲で最大限難しさを演出しているような印象を受けました。
ゲームパート以外のことについても少し触れておくと、遊び方の説明が割と充実しています。動画付きで丁寧にチュートリアルしてくれるので、特に説明を見なくてもすんなりと理解できます。ただし、遊び方の説明動画に名前が変わったであろうαやβが残ってしまっているのは薄っすらと気になりました。少し前に撮影したんでしょうか。
UI周りについても概ね直感的に操作しやすく、ゲームを円滑に進める上で大過なく使える印象がありました。
シナリオについてはテンポが良く、加えてキャラクターが非常に多数出てきます。タワーディフェンスの特性上増やしているという側面があるのかもしれませんが、それにしても大量に出てきます。パーソナリティの説明というか描写はそこそこに、とにかくたくさん出てきて、それぞれがインパクトで勝負してくるような印象がありました。ソシャゲみたい。
物語の本筋自体はあるようでないような側面が強く、いくつか匂わせや考察の余地があるものはあるものの、基本的にはあんまり語られずに終わります。魔導局は何がしたかったのか、ゾンビ化の下手人のあまりの三下感と背後にいる黒幕、主人公の動機に対する決着、そのあたりは微妙に回収されません。ちゃんと読んでいればある程度推察できる範囲のものがあるとはいえ、このあたりはやや消化不良の感はあります。本筋自体は一応の決着を見せてはいるんですが。
オフェンシブなタワーディフェンスという楽しさもさることながら、最終的には全部ぶっ飛ばす魔導の爽快感で総括されるようなゲーム性をしていました。これも大量の敵が出せるウディタVer3のなせる業です。そのパワーによる恩恵を最大化したゲームと言えるかもしれません。
17. ウルファール5分生き残れゲーム

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| ヴァンサバ | エルトン |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 10分 | 1.51 | クリア (35) |
良かった点
- 元ネタの作品のシステムを上手く換骨奪胎しています
- 5分という時間がちょうど良く感じました
- その時間を充足させるに十分なスキルのバリエーションがあります
気になった点
- 特にありません
レビュー
Wolfarl Survivors
ウルファール5分生き残れゲームは、四方八方から迫りくる敵を撃退し5分間生き残ることを目標とするヴァンサバライクの作品です。
プレイヤーは基本的にウルファールを操作することしかできず、攻撃は自動的に行われます。上手く敵を避けつつ攻撃を当てていき、大量に出現する敵を捌いていきましょう。
そうして敵を倒すとレベルが上がり、3つの選択肢の中からスキルを習得することができます。スキルはパッシブで効果のあるもの、攻撃手段の追加、現在の攻撃手段の強化など、様々なバリエーションが用意されています。これらの中からレベルアップの度に選択を重ね、自機を強化していきましょう。
時間が経過するごとに強力に、そして大量になっていく敵を倒し切って生き残るためには、そうして構築したスキルビルドの方向性が肝要になってきます。スキルの習得にあたっては選択肢を引き直すリロールが20回まで使えるため、余計なスキルツリーにコストをかけず研ぎ澄ませることも可能となっています。
攻撃手段を絞って威力を上げるも良し、大量の攻撃手段で波状攻撃を仕掛けるも良し、スキルのシナジーを狙うも良し、ハイリスクハイリターンなパッシブスキルで立ち回り勝負をするも良し、自分好みのビルドを武器に5分間生き残っていきましょう。
この作品自体のゲーム性は自機を動かし、レベルを上げたら選択肢からスキルを習得するだけの簡単なものとなっています。しかし、ビルドの方向性を決め、それに合わせた立ち回りで敵を上手く捌いていくというシステムは奥深く、プレイヤー個々の癖が如実に反映されることになるでしょう。
様々なスキルに触れてはそれらのシナジーを探りつつ、自分のやり方に適した構築を探し出し、5分間の猛攻をしのぎ切っていきましょう。
感想
Vampire Survivors です。Steam では弾幕天国と呼ばれそうになっているらしいですが、個人的にはヴァンサバライクの方がしっくりきますね。
ゲーム性はかなりちゃんとエミュレートしつつ、割り切る部分がとにかく割り切られた設計が好きな作品です。
例えば、経験値を歩いて集める要素あたりはカットされているのですが、実装負荷と実装によって得られるプレイヤー体験が別に向上しなさそうなところも含め、オミットが明確に正しいように感じました。そもそも本家より時間も短いので、歩いて回収するフェーズを用意する必要もないですしね。
この5分という時間設定も良い割り切りで、スキルのバリエーションやマップサイズも含めたボリュームに十分な設定となっています。ウディコンという場にも即している印象。
ただ、個人的には、宝箱の演出がカットされているのはちょっと寂しいところです。あのパチンコ演出は個人的にヴァンサバっぽさを表している気がするので。
スキルに関しては、パッシブスキルやメインスキル分岐がある程度豊富に用意されていることに加え、説明文を読んだだけでは何を言っているのか分からないものがあるというのも良い味になっています。別のパッシブを見てようやく理解できるようなパターンすらありました。タイトルってなんだよ、そういうことか、という驚きがあります。
なお、スキルの性能については半端な攻撃性能向上よりも攻撃手段の追加、特殊性能の付加が強い傾向があり、これもまた良い作用を生み出しています。画面が大きく変わるので見栄えが良く、自分で組み立てているという実感を得やすい印象がありました。
また、難易度のカーブもかなり良く出来ており、ビルドに失敗するとウェーブの変わり目に苦戦して敗北するラインを突いています。ウェーブを乗り切れる程度にきっちり強化を進める意識を保ちつつ、巨大ボス系のような変化のついた敵も登場するため、5分という時間を飽きることなく堪能できるようになっています。
こういったゲームに慣れていれば一発で通せそうで、慣れていなくてもビルドの方向性を掴めれば攻略できる、ちょうど良い難易度なのではないかと思います。筆者は2回目で通しました。
筆者が通した時のルートとしては、ダガーで序盤を乗り切りつつ、単位時間当たりの攻撃パターンが多い手段を確保していくことを意識しました。敵が強力になってくるころにはアイスランスベースで強化を重ねて三連アイスランスを軸に立ち回っていき、最後はインド人を右にを運用して生き残ることに成功しました。
インド人を右にはマシンガンをメインウェポンに据えていない場合は割と優秀な択に感じていて、右空間を確保するのに向いています。
単なるヴァンサバコピーではなく、ヴァンサバライクとしてシステムの取捨選択を行い、ウディコンという場やゲームの規模に即した設計にそぎ落とされているのが良い作品でした。引き算の美学。その上で面白さに寄与しやすいスキル周りは手が抜かれておらず、ゲームとして楽しむ部分に力の入ったゲームといえるでしょう。
18. Desire

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| RPG | ゾローク |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 10時間 | 1.8.7 | クリア |
良かった点
- 全体的にBGMが良いです
気になった点
- マップが広大であり、景観の変化に乏しいです
- 敵の行動次第の運要素が強い戦闘バランスとなっています
レビュー
広大な世界の冒険
Desireは、極めて広いマップの中で探索や戦闘を経て物語を進めていくRPGです。
基本的には道などの導線を頼りにしてあちこちを歩き回り、適宜シンボルエンカウントの敵を倒していく流れとなっています。
このゲームの特徴は何と言っても広大なマップであり、家やビルが林立する街中はもちろんのこと、平原のような空間ですら広大なフィールドを抱えています。
その広大なマップの中で適切にイベントを発生させ、物語を進めていくには何かありそうなところを積極的に巡っていくことが肝要になります。とりわけマップの端にはマップ同士の接続や重要な建物があることが多いので、迷ったらとにかく端を目指していきましょう。
物語を進める上での障壁はマップだけではありません。節目で戦うことになるボスは強力な行動を持っていることが多いため、適切にレベルを上げておかなくては勝利は困難なものとなります。余裕があれば敵シンボルには積極的に触れて、レベリングをこなしておくのが肝心です。
特に終盤は対策の難しい行動も増えてくるため、速戦即決が重要となります。ジリ貧になる前に一気に片を付けるべく、味方の強化を済ませておきましょう。
そうして立ち塞がるボスを倒していく冒険の中で仲間も増えていき、それに合わせてシナリオも様々な展開を見せていきます。
広大なフィールドの探索やそれらのイベントを彩るBGMを背景に世界を駆け回り、エンディングを目指していきましょう。
感想
とにかくマップが広い作品です。第16回のパーソナル戦記 Memoriesも広いんですが、この作品は各エリアが分かれたことによって更なる広さを獲得しています。ウディタの1/8以外でマップ作成をしていないんじゃないかという広さです。こうして繰り返し言及するくらいには広い。
この広いマップで適切にイベントを起こしていくコツは、大体端っこに何かを用意しているという点を信じることです。たまに例外はありますが、おおむね端っこを目指せば何かが起きます。中盤以降ならサンドイッチを食べてひたすら斜め移動で目指すのがお勧めです。
なお、前作と比して町の景観やエリアごとの特色が多少生まれていますが、いかんせん広すぎるので景観の変化自体は変わらず乏しい印象があります。とはいえ、道があって標となっている点や、シンボルエンカウントの敵がうろついていることもあって、やや前作よりは変化を感じているような気もします。
木が途中でぶった切って配置していたり、障害オブジェクトのバリエーションが少なくコピペで量産していそうであったり、そもそも景観をあまり気にしていないゲーム設計なのかもしれません。
RPGとして戦闘にも触れておくんですが、全体的に運要素の強いバランスをしています。ただ、運があれば勝てるというタイプではなくて、実力が足りないと必ず負けて、運が悪ければ敗色濃厚というバランスでした。
このバランスは特に序盤のレベリングに顕著で、近くの雑魚を倒してちょっと町に遠出しているとチンピラに処られます。これを避けるには、まずは家の手前のゆきだるまでレベリングを進めていく必要があります。実力も大事。
ちゃんとレベリングを進めておけば中盤以降はそういったことはなくなってきますが、今度は敵の通常行動と特殊行動の火力の乖離がどんどん激しくなっていきます。このため、敵のデレ行動とツン行動の火力差が激しく、雑魚戦は全体特殊攻撃を振ってこないようにお祈りするゲームになりがちでした。全体割合石化なんかも平気で撃ってくるので。ここについても、味方の火力を上げて敵の試行回数を落とせば安定するので、結局実力が大事なところはあります。
ただ、ボスに関しては実力よりも試行回数の方が割と重要な印象があります。中盤から終盤にかけて、全体魔法を連続で撃ってくるケースはほぼケアできないので、負け筋を引く前に総攻撃で倒しにかかる、負け筋を引いたらリトライの方が効率が良さそうです。
特にそのバランスを体現しているのはラスボスで、こいつは全体に確率であらゆる状態異常を付与してきます。一方で、このゲームでは状態異常耐性は一部にしか付けられず、かつ完全耐性はほとんど付けることができません。ありていに言えば、対策不能の状態異常攻撃が降りかかってくるという寸法です。
その状態異常の中には即死や石化も混じっているので、運が悪ければこちらが何をしていようと負けます。ずっとちょっと弱いグランドクロスを撃ってくる永遠の闇みたいなボス。
ただ、このボスに対する負けイベントの時でも(恐らくHP以外の)ステータスの向上をしていなさそうなあたり、作者さんもこのボスは戦い続けていればいつかは負ける、というコンセプトで作っていそうな気配がありました。
続いてシナリオについては、大筋を感じていければMotherライクっぽい印象を受けられました。ただ、全体を通して説明がかなり薄く、プレイヤーとキャラクター間の情報格差のために感情描写に付いていけなくなることもしばしばありました。雰囲気を感じ取って、大筋をとらえていくのが良さそうな物語です。
ただし、キャラクターが起こす行動の整合性が取れないといったことはないので、恐らく設定上は行動原理やら何やらが完璧に定まっていそうなんですが、開示する情報量の関係で汲み取るのが難しくなっているのかなという印象があります。例えば、初め主人公が旅に出る理由もあまり説明がありませんし、集めようとしている「おと」についての言及も目標として出てくるまでありません。
もっとも、広大なダンジョンを攻略しているうちに、シナリオの細部を忘れがちという話もあるのかもしれませんが。
ただ、全体的にBGMが良いため、その力でシナリオを印象付けたり、マップ探索中の印象を良くしたりしている面はあります。ややデフォルトの音量が大きいきらいはあるんですが、それでも特に気にならない程度には良いBGMです。シナリオ展開に応じてちゃんとテンションを上げてくれます。
以下はまとめきれていない感想というか突っ込みです。
恐らく、ミニマップシステムは後から導入したのかなと思っています。最初のダンジョンの電話がミニマップに隠れて見えないので。銀行も隠れる。
主人公以外がグロウに電話をかけられるのは謎でした。なんで電話番号を知ってるんだ。
レイを助ける前にレイの家に行くと元気ですかと聞かれる、ゴーマンに会うことなく地下牢に行ける、あたりはフラグが怪しいところです。それでも致命的な不具合につながらないあたりはちゃんとしているとも言えますが。
アイテムの16個制限が厳しく、アイテムを拾う楽しみが薄れていた印象がありました。ダッシュアイテムについてもあまり持てないので移動が手間。
敵のMPが0だと味方はサイマグできないのに、敵はMP0の味方に対してサイマグを通してくるのはまあまあ理不尽な印象があります。敵の方が優秀。
ラストバトルについては上述した攻撃も大変なんですが、何よりきついのは光が点滅する演出です。光過敏性発作を持つ方だと一発アウトっぽいレベルであり、そうでなくても目に痛いです。
クリア後の世界を歩けるイベント、開始時はエモいんですが、広すぎてそのエモさが霧散していってしまいました。先にワープで家に帰れてしまったのもアレなのかもしれない。
全体を通して、マップサイズを抑えめにし、情報開示の量を調節し、敵の通常行動の強化なり特殊行動のナーフなりをしてバランスを整えれば、Motherライクな普通のRPGっぽくなるのかもしれませんが、そうなると独特な味もまた消え失せるのかもしれません。そういう意味では、今のゲーム性はゲーム性で意味を持っているとも言えます。
とはいえ3時間の内容をマップの広さなどで10時間くらいに引き伸ばしている印象は否めないので、その辺は惜しい印象のある作品でした。
19. うちのとりはイタズラしたい!

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 探索ADV | GSA03& ナカマサ |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 30分 + 1時間 | 1.0 | 全実績 |
良かった点
- 調べる対象が分かりやすいなど、導線が丁寧でした
- 探索や謎解きの難易度、構成がちょうど良いです
気になった点
- エンドロールがやや長く感じました
レビュー
あちこち調べよう
うちのとりはイタズラしたい!は、導線が親切な探索アドベンチャーです。
自宅に閉じ込められた主人公を操作し、何故か喋るペットの鶏であるガリヲと共に探索を進めて脱出を目指していくことになります。
基本的に探索対象は分かりやすく光って表示されるため、まずは光を標に探索を適切に進めていくことが求められるゲーム性となっています。対象を調べることでアイテムや情報が得られるほか、主人公と鶏の軽妙な掛け合いを楽しむこともできるでしょう。
そうして得られたものを組み合わせることで、いくつかの謎を解明していくことができます。そして、それに合わせて全四種類のエンディングに向けて物語が進展していくという流れとなっています。
各種エンディングに到達する過程ではいくつかの難所が待ち構えています。基本的には、頭をひねって謎を解くという問題に直面するパターンが多いでしょう。そのクリアのためには、与えられた情報を整理するのが重要となってきます。
また、謎解きの他に軽いアクションの腕が求められることもあります。アクションが苦手な方は、ここで詰まってしまうかもしれません。しかし、このアクションパートはあちこちを探索して得られるガリを消費することでスキップが可能です。どうしても苦戦する場合は、探索を念入りにしておくことをお勧めします。
適度に頭を使う謎解きと軽いノリで進む会話劇を、丁寧な誘導による探索でパッケージングしたような作品となっています。
様々なものを調べ、真実の奥の更なる真実に潜む謎を解き明かし、全てのエンディングを見届けていきましょう。
感想
かなり親切な探索アドベンチャーでした。調べる対象は概ね点滅していて明瞭であり、その筋に従って探索を進めていけばゲームは適切に進行します。作りが丁寧。
個人的に好きなのは前半パートが色々と探索を進めるフェーズで、後半パートは一本道で探索を進行するフェーズと上手く分離されているところになります。どちらか一辺倒だと飽きそうなところ、上手く緩急をつけた設計になっていました。
まずは手探りで色々と調べていきつつ、最後に物語をまとめていくという物語の展開に対してシステムが寄り添う形ともなっていて、プレイ感ともマッチしています。
探索や謎解きの難易度もちょうど良く、ある程度考えるべきものや探索するだけのものが良い塩梅に散りばめられているので、適度に思考を回しながらプレイできます。
とは言え、みかか暗号に関しては筆者がHHKBを使っているせいで解けないところでした。比較的最近にDS試験をやっていなければ危なかった。
ニワトリのイライラ棒についても、クリアしようとすればかなり手間な側面は否めませんが、ちゃんとガリを貯めておけばスキップできる設計なのが良いです。探索を適切に進めてさえいればアクション性は不要ですし、そうでないならアクションを頑張れば良いだけです。なお、クリアする場合はニワトリの有効判定が想像より広く感じるので注意が必要です。割と当たる。多分プレイヤー接触で作られているため、その辺りを悪用するとクリアしやすくなります。
しかしガリ、初めは寿司のガリかと思って何だろうと思ったんですが、恐らくガリヲポイント的な意味合いなのでしょうか。
閑話休題。探索面が丁寧な作りなのは先述した通りで、鍵が足りない状態で最後に行くと詰むあたりや、たまに点滅無しの探索対象があるあたりなど、地味に引っかかるポイントはあるものの、概ね快適に遊べる作品でした。エンドロールが長いのは少し気になる。
なお、前者については詰みセーブを作れなくもないですが、まあ意図して作らない限り恐らく問題ありません。後者についても、謎解きの変化を付けてやっている節もあるので、意図して意識に引っかけてる雰囲気も感じます。そういう方針なのかもしれない。
ともあれ、探索アドベンチャーを明瞭に楽しみやすい作品でした。実績集めもヒントさえ見れば大体何をすべきかは分かります。
物語が基本的にコメディ調なのも良く、ノリの軽いやり取りを清涼剤に謎解きや探索に挑むことができました。キャラクター数は少ないんですが、その分ガリヲを最大限運用して掛け合いを上手く作っていた印象です。この物語の分かりやすい異常点は明らかにガリヲなので、そのあたりがフックとしてちょうど良かったです。
余談ですが、パティルは初めニワトリの化身か何かかと思っていました。出てこないエンドを見てもタイトル画面でネタバレを食らうので、エンディングはさっさとすべてを見るのが良いと思います。この感想を読んでいる時点でこの文章には意味がありませんが。
20. リザレクション!

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| RPG | WAIT & かげろう |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 20時間 + 3時間 | 1.24 | †全て最強で制圧した† + Another |
良かった点
- 高い難易度でありながら、そのバランスは極めて優れていました
- いたずらに難しいのではなく、絶望を与えながらもクリアできるバランスに仕上がっています
- ゲージをパラメータ化した斬新なATBシステムでした
- 素早さが火力にもつながるため、全てのパラメータが最後まで意味を持ちます
- 経験値を使って切り替えられるパッシブスキルが秀逸でした
- 消費することで得られる強化を取るか、長期的に見て温存するためにその時だけ使うことで得られるパッシブで乗り切るかの選択が生まれています
- 戦闘面のみならず、良いBGM、グラフィック、シナリオで構成されています
- とりわけ終盤の演出は素晴らしいです
- クイックセーブとロード、リカバリロードの仕組みにより、様々なことを試行錯誤しやすい環境が整っています
気になった点
- イメトレの消費が返還されないので、リカバリロードなどを使う必要がありました
- リカバリロードを手動で行えば解決する問題ではあります
レビュー
親の顔より見た有限リソースRPG
ゲームにおける神髄はパラメータにあります。いくつかの例外を除けば、ゲームにおける気持ち良さや攻略性などの様々な要素はパラメータという数値によって牛耳られているものです。パラメータを制する者はゲームデザインを制していると言えるかもしれません。
リザレクション!はその卓越したバランス感覚によりそういったパラメータを自在に操り、プレイヤーに思考を促しつつも達成感を与える絶妙な数値設定を余すところなく組み入れた作品となっています。
このゲームの基本的なシステムは、戦闘をメインとしたRPGに立脚しています。ステージごとに存在するマスに配置された敵に挑んでは勝利を重ね、最終的にはステージ内のボスを倒してクリアしていくという形式です。
ただし、この作品は一筋縄でクリアできるものではありません。何故ならば、このゲームにおける全てのリソースは有限であるためです。出現する敵はマスごとに固定であり、再び戦うことはできない仕組みとなっています。このため、そこから得られる経験値やお金もまた再取得できません。
こうした有限のリソースはプレイヤーのレベルを上げたり、ステータスを上げたり、スキルを習得したり、装備を購入したりといった強化に直結するものです。すなわち、強化は必ず有限で打ち止めとなる事を意味しています。
そうした有限のリソースを効果的に活用するためにも、その使いどころには十分注意を払った方が良いでしょう。どんどんと難易度が上昇していくステージを攻略していくには、システムを理解して適切にリソースを使っていく必要があるためです。闇雲に濫用していては、詰む可能性すらあるかもしれません。
ステージの攻略には何が必要であり、そのためどの方向を伸ばすべきであるか、そういったことを考えながら自分なりのビルドを組んでいきましょう。
そして、こうしたビルドを進めていく上で直面するのは、大量にあるパラメータ、いくつでも装備することができる装備システム、数多ある装備とパッシブスキルからの厳選といった要素です。その取りうる選択肢の多さには、それらの仕組みを十分に活用できるか不安になっても不思議ではありません。
しかし、作中でも触れられている言葉を借りるのであれば、この作品は65点を目指せば良いゲーム性となっています。これを実現するために、満点が存在してそれを目指すゲームバランスではなく、時には誤りを含むような多様な選択があっても許容する懐の深いパラメータ調整がなされています。ある程度の失敗は織り込み済みです。恐れずに色々なことを試していきましょう。
ただし、65点を取れば良いからと言ってその道は決して平易なものではありません。百マス計算の満点と共通テストの65点では後者の難度が高いように、この作品においての65点を叩き出すには、時には誤りを選びつつも可能な限り正解に近づける不断の努力が不可欠となるでしょう。すなわち、ゲームシステムへの理解が攻略のカギとなってきます。
第一に、戦闘システムの理解が必要となるでしょう。
この作品では、アクティブタイムバトルをベースにいくつかのコマンドから成る、一見オーソドックスに見える仕組みが採用されています。しかし特徴的な点として、アクティブタイムバトルにおけるゲージに関係するパラメータが二つあるという点が挙げられます。ゲージの伸びる速度と、ゲージの最大サイズです。
ゲージの伸びる速度は一般的な素早さの概念に近いものですが、最大サイズはこのゲームに特有のものです。例えば、伸びる速度が速くても最大サイズが小さいと格納できないといった、バッファ的な役割も担っています。
しかしそれ以上に重要なのは、そうして貯めたゲージを全て消費する技の存在です。こういったスキルは消費したゲージ量に比例して火力が伸びるため、ゲージの最大サイズを広くすればするほど高い火力を生み出すことが可能となるでしょう。
有限リソースでやりくりする都合上、出来るだけ敵を早く倒したいシチュエーションは少なくありません。そういった時には、火力の高さが物を言います。困ったらゲージのサイズにも注目すると良いかもしれません。
また、敵も同様のアクティブタイムバトルの仕組みで動くという点にも注意が必要です。
敵が取る行動は3ターン先まで見えているので、その行動に合わせて戦略を立てるのが望ましいでしょう。とりわけ、敵の最初の行動が何ターン経過後に発動し、以後何ターンごとに攻撃してくるかは重要な情報です。そのターンより先に倒す手段さえ確立してしまえば、ダメージを受けることなく撃破することすら可能でしょう。狙えるタイミングがあれば、積極的にトライしていきましょう。
続いて、成長システムの理解もまた肝要です。前提として、敵を倒して得られた経験値EXPとお金のマターを使うことでプレイヤーは成長できます。
経験値はレベルアップや特定パラメータの上昇、特定スキルのレベル上昇などを行う際に消費するものです。基礎的なステータスについては、これでベースを向上させることができます。しかし、それ以上に重要なのはパッシブスキルという存在です。
パッシブスキルは経験値を消費するのではなく、使用という形を取っています。このため、いつでも返却が可能となっています。必要な時に必要なだけ取り出すことができるため、限られた経験値を効率良く活用するには、出来るだけパッシブスキルに回すことで常に動かせる経験値を抱えておくことが重要になるでしょう。
また、お金によって購入できる装備も重要なファクターです。この作品では、特定の簡単な条件を満たすと装備を無限にいくつでも装備できるようになります。このため、序盤に買った装備を終盤まで使うことさえ可能となっています。
ただし、闇雲に装備ができるわけではありません。同じカテゴリの装備をいくつも装備するとペナルティがどんどん重くのしかかるため、装備のバランスが大事となってきます。加えて、装備においては具象化負荷と装備重量という二つの限界値が存在しているため、このパラメータを上昇させない限りはあまり多くを装備することはできません。
有限リソースを消費するだけあり、装備はどれも自身を強力に補強するものとなっています。こういった装備を活用したい場合は、負荷や重量といったパラメータを強化していくのも良いでしょう。
そして最後に、これらを合わせたステージへの理解が何よりも重要になってきます。
ステージ内には戦闘のマスがある他、プロミスと呼ばれる拠点への帰還、回復のための休憩といったマスが存在します。先述の通り、これらを効率良く巡っていきクリアを目指すということが一連の流れとなっています。
とりわけ重要なのは、プロミスへの帰還です。装備やパッシブスキルの付け替えはプロミスでしか行うことができないため、大胆にプレイヤーのパラメータや戦い方を変えるには帰還する他ありません。どの敵までをどのプランで倒し、どの敵からはプロミス期間後に倒すか、そういったステージ全体を攻略する視座も、戦闘時の戦略性と同程度には重要となってくるでしょう。
なお、そうしたプランを立てるにあたってはゲームシステムが全面的にサポートしてくれるようになっています。敵のパラメータや行動予測は触るだけで見ることができる上、仮に戦って負けたとしても戦闘前に戻せるリカバリーロードを使えばすぐに元通りになります。あるいは、いつでもセーブして巻き戻しできるクイックセーブ、クイックロードや10枠のセーブデータを活用すればより細かく制御することもできるでしょう。
戦闘のテンポもすこぶる良いため、まずは戦いながら敵を観察し、どういったビルドとプランで挑んでいくかをじっくり考えていきましょう。
そうして戦闘を知り、育成を学び、それらをステージの攻略に活かすことで、初めて65点の行動に到達することができるでしょう。闇雲にただプレイするだけではクリアはおぼつきません、積極的に攻略していくという姿勢が必要となることでしょう。
そして、その姿勢を楽しめる者にとっては、そのゲームデザインを実現しているステージごとの神がかり的なバランスや様々な特性を持つボスの数々によって、満足行くまで堪能できるであろうことは保証いたします。まさに垂涎の作品と言えるでしょう。
加えて、幕間に挟まれるシナリオもまた良いものとなっています。それらは頭を使った脳に沁みる清涼剤、あるいは最後まで進まんとする推進剤として機能してくれること請け合いです。あるいは物語をモチベーションに、難しくとも最後までやりたくなる呪縛にかかってしまうかもしれません。攻略もシナリオも双方を楽しんでいきましょう。
なお、上記で記載した説明は、あくまでも簡単なとっかかりの部分に過ぎません。コマンドを効果的に使った戦略、各種パラメータをどういった配分で強化していくか、相対す敵のギミックをどう攻略していくか、この作品を攻略するために必要な情報はまだまだたくさん眠っています。
もっと深くシステムを理解し、ボスを含めた敵の性質をつぶさに観察し、徐々に牙をむいてくる難関ステージをクリアすべく挑んでいきましょう。
感想
この作品に関しては明確に好みなので、あんまり俯瞰で見れていない気がしますが、感想とはそういうものなので気にしないで書いていきます。
とにかく、戦闘システム、難易度勾配、スキルやボスのギミック、シナリオとあらゆるものが完璧にまとまっており、ゲーム設計全体の完成度が極めて高い作品でした。細かい点において瑕疵を指摘することはできるでしょうが、そんなことはどうでもいいくらいに全体が完璧に仕上がっています。
個人的には、このゲームにおける圧巻はその難易度勾配、あるいは敵の配置の妙にあると考えています。このバランスと設計が神がかり的に良いため、新しいステージに来るたびに常に新鮮に攻略方法を模索していくことになります。ステータスが整ってくる中盤以降は攻略方法が固定化されると思いきや、強い行動は強い行動として存在するものの、ギミックの攻略であったり、ステータスの調整であったりといった部分で攻略しがいのある余地を残しています。
まずこの長期的なレベルの設計が見事でした。1、2ステージも進めばこの辺の設計が良いことは分かるので、以後は雑念なく長期的なお金や経験値のリソース管理を進める覚悟が整います。それに応える難易度をしているだろうという信頼感がありました。なんなら雪山道の経験から、やる前から分かっていたとも言えるかもしれませんが。
加えて、各ステージにおける敵のバランスという中期的な側面も素晴らしいの一言に尽きます。基本的には進行順に倒すのが良さそうでありつつ、選択するプランによっては柔軟に倒す相手を選択していく必要もある戦略性の高さがあります。
かてて加えて、各種消費パラメータに基づいた戦略性も光ります。どの敵にどの程度のリソースを配分し、どこで帰還して態勢をリセットするか、どこで休憩して消費リソースを回復するか、といった中断に基づく戦略性も生み出されているため、プレイヤーが取れる戦略が無数に広がっていました。
とりわけLPというシステムはこの戦略性に対して相性が良く、雑魚の被弾を避けるため、強敵を一気に倒すため、面倒な攻撃を止めるため、様々な用途で戦略に組み込めるようになっていました。特に、序盤におけるフォースの使い方はこのゲームにおけるリソース配分のチュートリアル的役割も担っているように感じています。フォースをどの敵にどの程度割り振るかで、まずは緩くリソース配分の原則が叩き込まれます。
さらに、敵との戦闘という短期的な面においても優れた設計をしています。めいめいのパラメータ設定が絶妙であるがゆえに、プレイヤーは常にどのように打破すべきかを考え、試行錯誤していく必要に迫られます。
雑魚は雑魚なりに経験値などのリソース対象であったり、一撃を食らいたくない相手であったりしてくれるおかげでどの敵も油断なりませんし、強力なパラメータとスキルを持つボスは言わずもがなの障害として立ちふさがります。これらを中期的なリソース管理を視野に入れつつ、それぞれの戦闘プランを立て、実行に移していく過程は非常に楽しめるものでした。
こうした長期、中期、短期におけるそれぞれのバランスが圧倒的に優れているがゆえに、どのタイミングであってもだれることなく最後まで突き進める極めて高い完成度のゲーム性が成り立っています。有り体に言えばパラメータとスキルをぶつけ合う戦闘をするだけのゲームでありながら、それらの数値の綿密な調整と配置の制御によって、それだけのことを最大限思考し、楽しめるようにデザインされた作品と言えるでしょう。
このリソース管理の入れ子構造のような設計は繊細であり、ともすれば楽勝の構成が生まれてしまったり難しすぎて攻略法が限られてしまったり、といった問題が容易く起きてしまうであろうことは想像に難くありません。しかしこの作品はそういったものとは無縁のまま、見事にこのシステムを完成させています。卓越したバランス感覚のなせる業だと思います。
そこに加え、このゲームは100点を要求してきません。ゲーム中でも言及のある通り、65点までしか要求してこない難易度設計となっています。
先立って触れた通り、このシステムを採用するのであれば、ほぼ100点満点以外を認めないパズル的な構造にしてしまうのが一番シンプルであるような気がします。プレイヤーはそれに近づくために努力し、ある程度満たせればクリアできるという構造が自然であるようにすら感じるかもしれません。
しかし、この作品はその妥協を許さず、65点でもクリアできる設計としています。これは即ち、様々な道筋からでもゴールに到達できるような多様性を確保しているということに他なりません。物理で殴ろうが、魔法で決めようが、あるいは特殊なビルドで挑もうが、このゲームはその攻略法が合格ラインに到達していれば受け入れてくれる度量を持っています。
その上で、65点を取るのが非常に難しいテストとしておくことで、高い難易度それ自体は確保されています。このゲームで少なくとも赤点を出さないためには、システムへの理解が必要になります。もちろん、最初からそれを習得している必要は無いというのも良いポイントになります。少なくとも、火山くらいまでであれば行き当たりばったりでも割と何とかなるバランスでした。
火山まででリソース管理のイロハを学び、様々なシステムに対する理解を深めていくことで、ようやっと本試験である戦場が輝きます。ここは65点未満を明確に落とすデザインをしており、これまでがある意味ではチュートリアル的なものであったことを痛感させられます。圧倒的なパラメータ差の暴力に晒されるので、こちらも仕組みを理解して正しくインフレした力をもって立ち向かう必要が出てくるためです。
その一方で、これまで辿ってきた戦略の立て方、パラメータの調整などの理解が助けとなるので、きっちり攻略を進めていれば突破できる絶妙なラインの試験ともなっています。このゲームにおけるインフレは仕組みに強く依拠しているものなので、理解さえすればちゃんと65点を取らせてくれる試験とも言えるものとなっています。反対に言えば、理解できていないとここを越えるのは至難の業です。理解度チェックなのかもしれない。
なお特筆しておきたいこととして、この戦場に至るまでのバランスについてはとりわけパラメータ調整の極致とも言うべきもので、ほとんどパラメータだけで攻略の道筋がコントロールされている設計となっています。どのステージであっても、まずは相手のステータスを見て軽い絶望を覚え、その中で何とかやりくりをしてアイデアをひねり出して勝利までの道筋を立てていく、というワンセットが綺麗に設計されています。
これは敵のインフレーションが適切に分かりやすいこと、そしてプレイヤー側も試行して理解さえすればそれを上回りうるインフレーションで対応可能であるという設計の妙によって成し得ている業となっています。この感覚が戦場までずっと続くということが凄い。
加えて、戦場以降に関してはこのパラメータによる勾配をあまり使っていません。この辺りでインフレは頭打ちになるので、ここからはギミックバトルの側面が強くなるためです。この辺りの思い切りの良さも良いところで、敵が強力になっていく曲線が分かりにくくなりそうなタイミングで、別軸の強さを差し込んできてくれます。
また、これまでプレイヤーがパラメータに対応した思考設計をしてきた中で、敵のギミック攻略という別軸の思考が出現してくると言うのも面白く、ゲーム全体のパターンを中盤あたりで上手く変えてくる要素としても機能していました。
さらに、この設計はギミックボスが中盤以降のシステム理解が進んだタイミングで現れるという点においても優れています。最序盤はコアのシステムを理解するために最小限度に留め、中盤ではパラメータを基軸としつつその片鱗を見せ、最終的にはバラエティ豊かなギミックに対してシステムの理解を基にした攻略で挑む、という風にプレイヤーの成長に合わせて整然とギミックが用意されている印象がありました。
ちなみに、個人的には飛行船3ボスのギミックが一番好きです。劇場は箸休めな側面もあるので、ここが本格的なギミックボスの登場であり、そのいずれもが初見ではどうやって突破するんだろうという気持ちにさせてくれました。こういうのがいい。
また、ラスダンの5ボスもかなり良いです。もはやこちらのインフレは限界に近いところまで到達しているので、多少のギミックボスならごり押しが通ることもあり得ます。そこで、これを押さえつけるために、これらのボスはかなり無法なレベルデザインをされていました。そうした無法に対して、こちらも無法で応酬するのが楽しかったです。目には目を歯には歯を。
ついでに個人的な話をもう一つすると、雪山道に比べて挑むべき事前情報がほぼすべて開示済みというのも好みでした。戦うことなく、ある程度叩き台の戦略を立てることができます。
フェーズが区切ってあるおかげで中期的視座でまずは詰め方を決められるという点では雪山道も同じなんですが、この作品ではその中期的戦略をある程度立てやすくしてくれているおかげで、計画を立てて実行しようというモチベーションが湧いてきます。
加えて、無限の稼ぎが無いのもこのシステムにおいては良かったです。この設計における最大の喜びは明らかに敵を上手く攻略しつくすことなので、無限の稼ぎができてしまったらただの作業になりそうです。前述の通り情報も開示済みなので、その点の驚きもありませんしね。
ともあれ、個人的には雪山道のノーコンを出来ていなかったのが薄っすら心残りであったところ、この作品をクリアできたことで割とすっきりできた面はありました。
閑話休題。これらのバランスの根幹となっている戦闘システムについても触れておこうかと思います。一言で言えば秀逸に尽きます。
アクティブタイムバトル制を謳っていますが、かなり拡張的に取り入れている印象があります。筆者は寡聞にして類例を知らないのですが、ゲージをパラメータ的に取り扱っているという点が素晴らしい設計となっています。
素早さという概念はある一定を越えるとあまり意味を持たなくなりかねないのはFFXでクイックトリックばかり打っていると何となく分かるんですが、この作品ではゲージ枠の拡大とゲージのたまる速度の二つを導入するという点でこれを解消しています。
ATBにおけるゲージを単に一本だけそこにあるものとして扱わずにあくまでパラメータとして扱うことで、その上限を拡張すれば攻撃を何度も行えるだけ貯められるという点も秀逸であれば、ゲージ枠を消費する技も存在してその火力がパラメータに紐づいているという点も秀逸です。素早さが単なる一次元的な側面ではなく、火力を出すための二次的な側面も持っていることで、上昇させていくことに強いメリットを与えていました。ヘイストが有用なのもこの辺りに起因するので、バフが腐らないという面でも良く出来ています。
その上で、戦闘にかかわるパラメータがめちゃめちゃ多いというのも効果的に使っているように思います。このゲームは65点を目指すものである以上、パラメータをそれほど厳密にコントロールする必要はありません。何らかの縛りプレイをしない限りは、おおよそのパラメータさえそろっていればクリアに支障が無いようになっています。これを実現しているのは、間違いなくこの大量にあるパラメータによるものでしょう。
作中でも触れられていたような気がしなくもないのですが、パラメータが少ないのは必ずしも簡単なことを意味しません。むしろ、少ないパラメータの中でこのようなゲーム性を実現するのであれば、それこそパズル的に厳密にパラメータをコントロールしてやる必要がある設計になってしまいがちです。それはそれで楽しいんですが、65点を目指す上ではやや厳しすぎます。そこを多量のパラメータで覆い隠し、ある程度のバッファを持たせる設計はコンセプトにマッチしているように感じました。
個人的には、SPやEPというパラメータもまた追加パラメータとして優秀であるように感じています。先述の通り、序盤はLPをどう消費するかというリソース管理を学んだ上で、中盤くらいからはSPやEPと言うパラメータも管理対象に追加されていくことになります。ここでぐっと戦略の幅が広がってきます。
SPやEPが回復するパラメータであるという点も秀逸で、LPとはまた違った管理が求められることで、多層的な戦略を生む要素として機能していました。
やや戦闘システムから離れたシステム的な面についても触れておくと、経験値が消費されるスロットと切り替え方式のパッシブスキルという二つが用意されているという点もまた優れています。この手のゲーム性を設計するときに、ポイントを使ったリソースの割り振りというのは真っ先に思いつくでしょう。しかしその点に加え、いつでも付け外し可能なパッシブ効果を経験値を払うことで付け替えられるとした点は見事というほかありません。
これにより、長期的リソース管理、あるいは中期的な戦略に一つの大きな分岐が生まれています。いわく、どこまでをパッシブスキルによる強化で乗り切り、どこまでを消費式のステータス強化で乗り切るかという分岐です。可能な限りパッシブスキルで乗り切れるほうが嬉しい一方で、あまりパッシブスキルだけで乗り切ろうとすると代わりにマターの消費が激しい場合もあります。どのリソースをどこまで使い、その上でどういった戦略を取るかという行動選択の中でこのパッシブスキルはかなり重要な位置を占めているように感じました。
また、ゲーム性というか難易度は明らかにプレイヤーを選別しているかのようなものになっていますが、付いていきさえすればかなり親切なゲーム性となっている点についても好みでした。
イメトレで様々なムーブを常に事前確認可能である点、パッシブ系スキルの解除や設定がスムーズに行えるため調節が捗る点、予測ダメージ機能により面倒な計算をしなくてもある程度は参考にして戦略を立てられる点、基本的にいつでも逃げられる点、と様々な部分でプレイヤーをサポートしてくれます。
とりわけ、クイックセーブやクイックロード、リカバリーロードの仕組みはゲーム性とも整合していて優秀な仕組みであると言えるでしょう。前提として、クイックセーブやクイックロードがあるおかげで、何かを試すということが非常にカジュアルにできます。武器を買って試してみたり、とりあえず適当にマップを走って感触を掴んだり、様々なことに気軽に挑むことができるようになっています。
そこに合わせて、リカバリーロードという仕組みがあるおかげで、戦闘という一単位においては自動的にクイックロードできてしまいます。ゲーム性の都合上、対象の性質を知り、こちらの行動による効果を知りたいことが多いため、これは非常に多用する機能となりました。
このように、色々と試行錯誤しようと模索するプレイヤーにとっては必要な要素が全て揃っているおかげで、雑念なく試行錯誤に集中することができるようになっていました。ロードが早いのも嬉しい。
また、カーソルを合わせれば説明が出てくれるというのも嬉しいところです。ただでさえパラメータが多く、固有のスキルやらパッシブスキルが多量にあるため、これが無ければ管理ができないところでした。
ゲーム設計にばかり触れ過ぎたのでシナリオについても軽く触れておくと、これも良いものとなっています。隙が無い。多重かつ作中作のような感覚で進んでいく中で、最後にひとところへと収束していく設計は美しさすら覚えます。個人的には演出上でもそれらが表現されていたのが好みで、世界が壊れていくという表現として、コマンドが消えていくというシステム的なものと、バキバキに壊れていく画面演出が合わさってクライマックスを強く演出していました。
また、コメディパートの配分もちょうど良く、徐々にシリアスに傾いていくパートとの間のバランスも上手く保っている印象がありました。加えて、頭を異常に使うゲームなので、幕間のコメディパートは一種の清涼剤としても機能していたように思います。なお一応、特定のウディコン作品を知らなくても楽しめるとは思っています。筆者は分かるので分かりませんが。
それはそれとして一言だけ言いたいことがあります。さすがにFF6に過ぎませんか。親の顔より見ない劇場は馴染みですし、両表のコインは明確にフィガロ兄弟ですし、飛行船で浮遊大陸に行くならそれはもうFF6でしょう。魔大陸と呼ばれていませんか、それ。
ここまでくると、飛行船ステージでタコが出てこないことに不思議な感覚をすら覚えます。何で鮫なんだろう。
後は、これを忘れてはいけないんですが、BGMが良いです。本当に良い。20時間ほとんど常に聞くことになる曲が良いというのは素晴らしいことです。なお、個人的にはプロミスの曲が一番好きでした。戦闘プランを立てている時も常に聞いていたせいで、寝る前あたりでも脳内で流れていました。
BGMに限らず、グラフィックも決めるべきところは決めていますし、そもそも多様な敵のグラフィックも用意されています。全体としては戦闘が9割以上を占めるであろうゲーム体験だからこそ、むしろこういった合間を埋める要素の一つ一つが高品質というのがその体験をより引き締め、統一的に良いものにしてくれているように感じました。
ずっと褒め続けているのも嘘くさいので、序盤に書いた瑕疵について多少触れておくと、以下のあたりが個人的に気になっています。
まず、イメトレで消費したSPやEPが返還されないので、ステージ内からプロミスに行った場合は、クイックセーブなりしてからやる必要がある点です。ちょっとだけ手間。何となくリカバリーロードとの仕様の兼ね合いの気配を感じてはいます。
次に、武器の固有性能が買うまでわからない点です。カーソルを二重で合わせられないのでそれはそうなんですが、これもクイックセーブして買った後に見るしかありません。
最後に、一部の敵の攻撃パターンは事前情報からだけでは窺い知れない点があります。ソウルハンドあたりは取得するまで何が起きているか良く分からないまま戦っていました。とはいえ、ゼヌーラのようなものまで全部説明するのは野暮みたいなところもあるようには思います。
ただ、この辺りの気になるポイントはプレイヤー側がクイックセーブでほぼすべて解消可能なため、実質的に瑕疵にはなりえないという側面もあります。そもそも装備はどうせ買わないとバランス分からないし、パラメータだけで判断できてしまうのも張り合いが無いし、結局あんまり気になる点はないゲームなのかもしれません。明らかに難しい以外は隙の無い作品だ。
なおこれは余談ですが、かげろうさんのアドバイスがことごとく良すぎて良かったです。明らかにゲーム体験が底上げされるであろうアドバイスばかりでした。この作品でやられてしまっていることは凄いというか何というかなことになっていますが。未発表のゲームのオマージュをやる、冷静に考えたら意味が分からない。
それでは最後に、筆者の各面のプレイ記録を書いて終えようと思います。当然ですがネタバレしかしないので、クリアしていない方はまずクリアしましょう。
筆者はプレイタイム自体は8時間を記録していますが、実時間が20時間を超えているので、大体2倍の時間を計画を立てるのに費やして進めています。とりわけシステムへの理解が浅い序盤はちょくちょくガバをやっているので満点には程遠いものの、70点くらいは取れている気がします。
ただし、特に長期的プランはそこそこしか考えていないため、各ステージを攻略できたら大体それで満足しており、各ステージを最低限まで切り詰めるようなことはしていません。あくまでも最低限っぽいプランで乗り切っています。場合によっては強敵もアドリブで乗り切ったりしています。予めご了承ください。
雪山および雪山道。
敵を倒す順番であったり、LPの使いどころであったり、プロミスや休憩のタイミング考えさせる最小限の設計となっています。
本当に最初のチュートリアルとして機能しているものと思います。このため、特筆すべきところは特にありません。
砂漠。
沙悟浄のやりを購入しつつ、攻撃ベースで組むと大体フォースでワンキルできるため、これをベースにプランを立てました。初期段階でワンキルできない対象については、以下のように調査をしています。
- サボテン
- ペインメーカーがあるのでワンキルできないとほぼ被弾する
- 最強だと78なので、フォース無しでは39の火力を要求される
- ダメージ値が24 - 防御値 なので、馬鹿にできない
- デザートプディング
- 同上、こっちの方がHPが多い
- 最強だと86なので、フォース無しでは43の火力が要求される
- ただし、ダメージ値は高々9程度のはず
- ボス系
- 子するめぽ
- 126 から 252 まで、防御力は4から8まで
- 仮に3回のフォースで倒す場合、単発84+8、フォース無しで46の火力が必要
- ウィルオウィスプ
- 100 から 200 まで、防御力は2から4まで
- 仮に3回のフォースで倒す場合、単発67+4、フォース無しで36の火力が必要
- 子するめぽ
上記を基に、まずおおよその雑魚はフォース一発で撃破し、デザートプディングは通常を通して一発もらいつつもフォース一発で撃破するプランで攻略しています。その上で、ここに到達した段階でするめぽ撃破を目指すには単発火力46が必要です。これを達成するために、ベース30に対し二刀流で+5、ねじりはちまきで+5、小さな勇者の羽織で+3、レベルアップで+3あたりを目指しました。
ここまで計画を立てられれば後は流れで進めることができ、200程度LPを余らせてクリアに漕ぎつけました。もう少し詰められそうな気配がある。
迷いの森。
全体の体力を確認し、ここからはワンキルではなく耐久も必要そうであると理解しました。加えて、具象化力を引き上げて装備を充実させる方向っぽい雰囲気を感じ取ったので、そのあたりをプランに組み込んでいます。
プランの基本思想としては、マンイーターと草の処理、芽を潰せる火力確保、巨大ユニオンとオドラデクの対処に分類できそうです。前者は魔力が活躍しそうで、後者は基礎ステータスで殴れるようにならないと多分厳しいでしょう。そのあたりを理解したところで、以下の情報を収集します。
- マンイーター
- 全撃ベースなので、火力は数値の3倍と見ていい、300なら5倍
- HPは480 から 960、最強でないなら2分の1になる
- 明らかに魔力で倒してくださいというデザインをしている
- あるいは防御で受けてください
- 48くらいなら防御値24で受けられるから現実的だけど、240は120必要なんで無理くないですか
- やっぱり魔力で下げる方も大事か
- おそらく順当に火力が下がってるけど、倍率の方には掛からない感じっぽい
- 草
- 防御タイプと魔法タイプがいる
- HPは372, 432、防御タイプの方が高い。最強でないなら同上
- 芽
- 各ターンHPが6上昇するので、それ以上の火力で叩く必要がある
- 反撃は多分してこないので、それさえ適えば倒せる
- 例えば5ターンで殴れるなら、火力31あれば足りる、防御力がともに30なので、実態としては61必要
- 各ターンHPが6上昇するので、それ以上の火力で叩く必要がある
- 巨大ユニオン
- HPは324、運動力12, 攻撃力28, 防御力24の高水準、おおむね最強じゃなければ半減
- 迷子
- 殴れば勝ち、それ以上何もない
- オドラデク
- HP900, 防御共に28, 火力20を交互に出し、5ターンごとに2強化、全体的に高水準
なお、フォースは踏破に150、休憩、帰還、ターン消費で200とすると、敵は実質8体、雑魚6体にフォースを振り分けるなら300のため、ボスには各々200振り分けられると考えられます。
以上を基に進行案を立てます。最初に立てた案は、草と芽を物理で殴り、魔法で草とマンイーターと巨大ユニオンを殴り、いずれかでオドラデクを殴る、というプランでした。まず術不能者、鉄砲玉の開放で攻撃力50、火力71を実現できるのでフォースを使えば草から1発で済みます。魔法面では、ソーサラー、スカウト、マナスタッフ、怪物図鑑、ローブ、INTを鍛え、装備を外すことで魔力53、ペイン61を実現できます。
ただし、この辺りで物理で殴ったほうが早いことに気付き、ツーハンドソード、鉄の斧、レベルアップ、ほか強化込みで火力172まで持っていけば、速度を調整すればマンイーターともども封殺でき、最後も余裕をもって倒せることを確認しました。あまりに余裕だったので、ここだけケチるための再走をしています。
具体的には、上記の行動では余っていた600のフォースを有効活用し、ツーハンドソードにフォースの補佐を与えることで倒し切るプランです。すなわち、草と芽を物理で殴り、物理をさらに強化後全員殴る、プランとなりました。脳筋。
地下水道。
この辺で魔術耐性持ちと物理耐性持ちが出てくるので、どちらも通す計画を立てる必要がありそうに感じていました。また、この段階でソードオブプロミスを無理すれば持てることまでは確認しましたが、さすがに利点が薄そうなので考えないことにしています。
進行案を立てる前に、まずは敵の情報を集めます。このあたりから、最強以外の選択肢を考慮に入れるのをやめています。
- 子するめぽ
- HP640、攻撃力64、防御力132、と固い
- 魔法を通したい
- 子タコベータ
- HP456、魔法力60、運動性能が高く、ほぼ初回と3ターンに1回行動
- 物理を通したい
- リヒト
- HP1280、攻撃力100、3ターンに1回行動
- 魔法を通したい
- ナハト
- HP960、魔法力100、3ターンに1回行動
- 物理を通したい
- うにおん
- HP720、攻撃力120、防御はともに84、順当なステータス
- 知識の泉
- HP960、魔法力64、防御はともに2048、10T経ってから徐々に解除される
- 減衰率5%なので、40Tくらい経ってもそんなに弱くはならない
- HP960、魔法力64、防御はともに2048、10T経ってから徐々に解除される
- するめぽ
- HP5120、上と同じな上、イカの怒りで殴るたびに火力が上がる
- アーケロン
- HPが720 から 1200、攻撃力が80から160の上、フォースを削ってくる
- 魔法を通したい
フォースについては、踏破で300、休憩、帰還、ターン消費で200とすると、雑魚が5体、ボスが3体の構成なので、雑魚に250、ボスは100使える計算となります。ただし、倒さなくてよい雑魚も倒したり、諸々開けるとなると、あまりフォースに余裕は無さそうです。
以上を基に、進行案を立てます。原則として、物理でベータ、ナハトの撃破、魔法で子するめぽ、リヒトの撃破を狙い、その後に継戦力を上げた構成により、後ろのボス2体を撃破するプランとしました。うにおんやアーケロンは流れで倒します。
物理面ではすでに強化済みなので、暴力とWisdom of Chronicle、テクニカルナイフ、レベルアップ、攻撃強化で攻撃力135、火力240に到達します。このあたりでベータをワンキル、ナハトも一発もらう程度で倒すことが可能です。少し速度を盛ればうにおんも倒せました。
一方で、魔法面はあまり成長していないのもあり厳しい所でした。適当にパッシブを切り替えるだけでは火力は40しか出ないため、リヒトが鬼門となります。フォース込みでせめて640出すのであれば、320は欲しいところです。
結局、アークワンド、マナスタッフ、初心者の杖、ローブ、ペインの書、ペインレベル上昇、INT上昇、レベルアップでリヒトをフォース2回のラインに乗せました。後から考えると、ここでINTにパラメータを振りすぎたのは割と後々にも響く悪手だったかもしれません。ともあれ、これでアーケロンも怖くありません。
最後のボスに関しては、バリアの強化、三角帽子、バリアの書を取り、鉄砲玉を消し飛ばして魔防御43を確保しました。これで知識の泉は怖くなく、するめぽについても余ったフォースで集中とバリアを上手く活用し、アクセルで止めてペインを連打すれば辛うじて勝利が可能でした。この辺から、薄氷の勝利が目立ってきます。
火山。
毎ターンのダメージが地味に痛いところです。ひとまず情報を集めます。
- オーク
- HP2300、防御ともに200、最速2ターン行動、攻撃力170
- HP1740、防御ともに200、最速3ターン行動、攻撃力210
- プリン
- HP2480と3560、盾防御300、魔術耐性もち、最速5ターン行動、毎ターン10ダメージ
- ドラゴン
- HP39600、防御ともに300、攻撃力200、最速9ターン行動 (遅い)、毎ターン4ダメージ
- 5ターンごとに攻撃強化され、HP50%以下で行動変化
- 赤芽
- HP12000、防御ともに60、毎ターン18HP増加
- セレナード
- HP2800、魔法力300、魔術耐性あり、最速8ターン行動、毎ターン6ダメージ
- 同、370、最速8ターン行動
- 同、360、最速8ターン行動
- HP2800、魔法力300、魔術耐性あり、最速8ターン行動、毎ターン6ダメージ
- ミミック
- HP6666、防御力ともに222、魔法力444、最速9ターン行動 (遅い)
- ゴーレム
- HP3500、攻撃力360、物理耐性、誤魔化せば最速7ターン行動あるいは6ターン行動
- 同4500、530、誤魔化せば最速8ターン行動あるいは5ターン行動
- HP3500、攻撃力360、物理耐性、誤魔化せば最速7ターン行動あるいは6ターン行動
フォースは踏破に600、プロミスに2回行きたいなら120、回復なら180なので、あまり使えないと考えておくのが良さそうです。
上記を踏まえて、進行案を立てます。原則は、ゴーレムだけ魔法で攻め、他は物理で行くプランとなります。具体的には、セレナード、プリンを物理で倒し、魔法ビルドにしてゴーレムを倒し、最後のビルドでオーク、ミミックやドラゴンに挑むという形としました。赤芽は流れでどっちかで倒します。
物理はロードリングの購入から魔法剣プロミスルートに入るか、念願の氷剣ルートに入るかを試してみたところ、前者は初手の全撃が1134に対し、後者は1305、精神の指輪で強化すれば1400あたりに到達するので、後者を選びました。これは閃光剣まで使えば2515に到達するので、フォース込みでプリンを倒せて美味しいです。イエローポーションを購入しておけば、閃光剣も使いやすくなります。
魔法については、まず火狐のクロールを買ってバリアの戦略を取るつもりでしたが、ゴーレムがバリアを貫通するレベルの攻撃を飛ばしてくるので断念しました。これを打破するにはそこそこの火力が要求されるので、初めはクイックリング追加の全盛り516でクリアできることを確認したのち、諸々を調整して百科事典の追加でギリギリ行ける状況として決着しました。
最後に、物理ビルドで再び魔法剣プロミスルートとグレートソードルートを検討し、後者の方が強いため採用しました。魔法剣プロミス、難しくないですか。後者はさらにパリィが使えるため、SPを消費して耐えることができる点も優れています。この状況かつ鉄砲玉を入れると閃光剣連発でミミックまで倒せる上、オークをワンキルできるんですが、そうすると鉄砲玉のせいでパリィが機能しないので、泣く泣く鉄砲玉は切っています。その分、ミミックにはフォースを活用し、オークからはダメージを覚悟することとしました。レッドドラゴンについては、アクセルでとっとと倒すのが良いように思います。強化後はパリィで耐えられるか微妙なラインなので。
戦場。
まずパラメータを調査し、そのあまりの高さに絶句しました。
- 迎撃
- HP99600、魔法力560、バリア4000が行動時に発生、最速6ターン、おおむね10ターン行動
- 防壁
- HP39600、魔法力240、最速7ターン、おおむね10ターン行動
- HP56000、魔法力496、最速8ターン、おおむね10ターン行動
- ともに回復能力および、攻撃の度に対応する防御値が変化する、半分ずつダメージが減ると解釈すればOK
- 翼
- 中ボス
- HP139264、攻撃力512、防御はともに512、バリア8192が行動時に発生、最速12ターン、おおむね18ターン行動
- マンイーター
- HP85462、攻撃力416、最速16ターン行動、660の全撃が飛んでくるので、火力は4576
- HP75128、攻撃力640、最速17ターン行動、420の全撃が飛んでくるので、火力は4480
- ペインメーカー、魔力が苦手、防御苦手
- 闘争の炎
- HP3200000、魔法力1160、防御力はともに6400、最速21ターン、おおむね39ターン行動
- 攻撃時に800000ダメージ食らい、ターン経過ごとに200ダメージ食らう
- ナイトメア
- HP13600 と 37200、攻撃力800、最速7ターン、おおむね12ターン行動
- エッセンシャルガード24000がついてる、元の防御力は共に400
- ゴーレム
- HP124000、攻撃力2400、防御力16000、実質最速10ターン行動
- ジャイアント
- HP296000、攻撃力4400、防御力2400、実質最速15ターン行動
- オンデューティ
- HP18400 と 39600、攻撃力16000、防御力はともに800、最速4ターン行動
フォースこそ踏破に240、回復と離脱で140程度のため多く使えますが、敵が多く強力なため、この時点ではクリアのビジョンが見えていませんでした。
ここまでのビルドでは太刀打ちできないと判断し、ここでリロールを使う決断をしました。ここで、これまでの経験を踏まえ、INT振りを諦めてSRT特化に変貌します。その上で、オーバードライブ、スタートダッシュ、やはり暴力、術不能者、ウォーリア、二刀流で火力を担保しつつ、ソードオブプロミスでユニオン特攻を付けておきます。
これにより、対ユニオン装備でユニオンを撃破、ついでにナイトメアとオンデューティも撃破、 対ユニオン装備を解除してマンイーター、ゴーレム、ジャイアント撃破、何かしらで闘争の炎に挑む、というプランが完成しました。
これにより対ユニオンは余裕ですが、中盤からはそこそこ難しいです。エクサリーシンドローム、ゴシックアーマー、フォートラン、マサムネあたりで閃光剣の火力を引き上げ、高い単発火力を叩き込める体制を作ることに注力しました。やはり脳筋こそが正義。
しかしここまでしてなお、闘争の炎は一筋縄ではいきませんでした。魔法ダメージなのでこれまで活用してきたパリィが使えず、一撃で倒すにも320万というHPが壁となります。幸い、LPは800前後残っているため、集中 x フォースの鉄壁に加え、ミスリルチェイン、ナイトシールドといった防御性能の向上により何とか耐え忍んで撃破しました。
劇場。
ここまでくると、戦略を立てる前に敵のパラメータを一覧するようになります。
- フルフロンタル
- HP1720000、最速2ターン行動、受けたダメージを返す攻撃
- 鉄男
- HP3960000、攻撃力680、防御力ともに1024、最速2ターン行動、被弾で運動力が上がる
- 右スケルトン
- HP2560000、攻撃力1000、防御力ともに元は512、最速11ターン行動、概ね19ターン行動
- 会心、エッセンシャルガード16000あり
- 賢者
- HP3960000、魔法力1998、エッセンシャルガード28000
- ホワイトウィスプ
- HP246000、攻撃力10800、最速30ターン行動
- HP108000、攻撃力9600、最速30ターン行動
- なぞのどうぶつ
- HP9298、何もしない
- プリーストソウル
- HP238、こちらのHPを回復してくる
- オドラデクトリート
- HP172000、魔法力3200、最速10ターン行動だが、ペインメーカーあり、魔術耐性もあり
- 同上、HP72000、最速19ターン行動
上記に基づき、まずは中央を倒す継戦ビルド、周りを倒すための一発ビルドを作り、最後に封印の剣を解除するという方針で進めました。ホワイトウィスプの一発さえ通さなければ、中央は継戦で行けそうなためです。ホワイトウィスプの246000を突破する必要はあるものの、行動開始が遅く、フォースを中央戦闘で使わない前提なら盛りやすいので行ける見込みでした。
しかし、封印の剣で運動量にデバフがかかっていても、無限剣があればプリーストを倒せることが判明し、ガラディーン生成後の方がより良いプランが立てられそうなので見直しが発生しました。こういう転換も面白い。
その結果、結局はプリースト撃破でガラディーン獲得、一発ビルドで周囲を撃破、アンデッド特攻で一発撃破という計画に落ち着きました。
まず、巨人の斧があれば一発で通せることまでは確認していたんですが、ガラディーンが強力過ぎてそれなしでも行けました。凄い火力だ。
また、アンデッド特攻はとりあえず買えるだけ買った場合は行けることを確認した後、どこまでケチれるかのチキンレースを行っています。最終的に、1つだけ買ってx5を構成し、特攻5を拾って採用してx10まで上げて撃破しました。これだと鉄男をワンキルできないんですが、上手いことやれば耐えながら閃光剣を通せます。
飛行船。
- オンデューティ
- HP18400、攻撃力16000、防御力ともに800、最速4ターン行動、殴るだけ
- 絶対ゴーレム
- HPミラー (プレイヤーの20倍)、攻撃力4800、防御力ともに12000
- 閃光剣で良い、フォースは不要
- アビスローグ
- HP13332、攻撃力12、この辺に意味はない
- 一定行動後、HPを63%減少後に50000くらいの魔法ダメージを自爆で与えてくる
- 失意の剣士
- HP256000、攻撃力13600、防御力256、魔法防御6400、魔術耐性
- HP減少値に基づき、強力な攻撃を発動、63000くらいの物理ダメージを与えてくる
- 鮫魔導士
- HP512000、魔法力6700、防御力6400、魔法防御3200、物理耐性
- 3倍火力のサメフレアを連発してくる
- エンフィールド
- ボス
- HP1624000、防御力ともに2560、魔法力2600、9倍フレアとHP0以下でエタプリがある
- ソウルハンドをたまに撃つ、火力は謎だが、ある程度あれば被弾なし
前回から薄々感じていましたが、このあたりでギミックボスの気配を感じ取ります。敵も少ないですし、フォースに使える量も増えてきましたしね。何より帰還が3回使えるので、全パターンの攻略法を用意しろという問題と見ることもできます。
そこで、まずはギミックボスと適当に戦って流れを掴むこととしました。雑魚はどうとでもなるのであまり考えていません。
- 失意の剣士
- パリィで行ける、と思うので最初の候補とする
- 物理ビルド + パリィでタイミングごとにカット
- 今だとフォース3が必要なせいで、350 x 6 = 2100 必要で過剰、ここをどうにかしたい
- せめてフォース2でパリィ成立できれば 150 x 6 = 900 でOK
- アビスローグ
- リザレクションも視野ではあるが、最大HPがめちゃくちゃ減ったので撤退
- プロミスに戻っても引き継ぎなので、ステージ中はダメ
- フェイトでも回復不能
- 魔術カットで30000程度に抑え、バリアか鉄壁でうまいことやりたい
- リザレクションも視野ではあるが、最大HPがめちゃくちゃ減ったので撤退
- 鮫魔導士
- 512000を削り切る方法を考える
- バーストか?
- HP x 瞬発/60 = 512000にならないとダメ
- 現在の瞬発だと6倍、HPは86000くらい
- エンフィールド
- 真面目に最大火力を出し続けるしかなさそう、エタプリだけ分からないが、ここでリザレクション使いたいならLP600以上を見ておく必要がある
以上から、失意の剣士に対しフォース2でパリィ成立を目指して撃破、鮫魔導士をバーストする算段を立てて撃破、アビスローグの火力を止めるプランを立てて撃破、エンフィールドを順当に倒すという作戦に相成りました。
失意の剣士については、巨人の斧、白き鷹を用意し、諸々耐性強化しておくことでパリィできるように対応しました。耐性をきちんと整備した結果、フォースは1まで抑えられています。この状態は雑魚狩り性能も高いので、ついでに道中の雑魚も狩っておきました。絶対ゴーレムだけ閃光剣は必要ですが、フォースは不要です。
鮫魔導士については、アクセルで2回撃つことにしたうえで、ドラゴンブラッドを付けて突破しました。このHP倍率が地味に効く。
アビスローグは鮫魔導士とほぼ同じで魔術耐性重視のビルドにしてあっても、フォース3鉄壁でも耐えられない火力を食らいます。ここに雨合羽を付けると、赤ポの回復込みでギリギリ耐えることが可能となります。
エンフィールドについては、上記の高耐久のまま突入したことで、そこそこ耐えながら戦闘ができました。ここまでくると、フォース閃光剣で12万ダメージ程度は与えられるため、これを14回繰り返すと倒せます。ついでに鮫魔導士で必要になった竜血を飲めばより早く殴れて便利。最終的にはだいぶフォースを余らせつつ倒したので、もっと3倍で殴っても良かったのかもしれません。
浮遊大陸。
- 見つめるひとみ
- HP19600、魔法力1980、HPブレイク
- さっさと倒すべき
- ドラゴン
- HP1480000、攻撃力ともに5800、防御力ともに24000、最速7ターン行動
- 物理耐性、HPブレイク、ターンごとに攻撃性能が60向上
- 同上、攻撃力ともに7600、防御力ともに16000
- HP1480000、攻撃力ともに5800、防御力ともに24000、最速7ターン行動
- 海の脅威
- HP65600、攻撃力23800、防御力ともに76000、速攻、HPブレイク
- 一発で倒したい
- ワームフィッシュ
- HP336000、攻撃力28800、防御力ともに164000、装備重量を増やす、HPブレイク
- 一発で倒したい
- クライムハイレア
- ケイオスブラッド
- スプラッシュレイド
- HP1096000、魔法力3800、防御力ともに14800、魔術耐性、HPブレイク
- それぞれ、2倍, 3倍, 4倍フレアまで持つ
- セラ
- HP199998、攻撃力ともに2222、防御力ともに1998188、エッセンシャルガードあり
- HPブレイク、ほぼ会心が発動し、その度に防御力が998削られる
- アクセルで止めて一方的に殴りたい
- すてみの勇者
- HP4050000、攻撃力ともに6600、防御力ともに226800
- ゼヌーラしそう
ここも同様にフォースは潤沢で、倒すべき敵も少なめです。このあたりで反転のビルドが解放されたんですが、リィンしないと制御できなさそうだったので手を出していません。というか、リィンしても組めるかは分からない。
ここはあまり詳細な戦略を立てず、物理ビルドの力に委ねました。いわゆる物理全盛りのビルドに、スタートダッシュ含めたパッシブを盛り、レベルアップすることで強大な力が手に入ります。これで見つめるひとみは通常攻撃、海の脅威は閃光剣、ワームフィッシュは閃光剣、三精霊はフォース閃光剣で片づけられます。火力は正義。
セラはアクセルを繰り返して全撃が通るレベルまで弱体化するのを待ち、10アクセルと閃光剣により突破しました。ここまでくるとLPはだいぶ潤沢なので、1000程度の消費なら許容レベルです。
ドラゴンに対して物理が通らないのでここで断念して帰還し、鮫魔導士同様にHP構成にしたうえでバースト軸で立ち回りました。パワードスーツでほぼHPが2倍に到達したため、これを活用しています。まだ超会心の出番ではない。
すてみの勇者はその装備のまま挑み、最大閃光剣最大フォースを2回叩き込んで勝利しました。力こそ正義。
ユニオンヘイム。
- 迎撃
- HP5120000、攻撃力24000、防御力256、ターンごとに84ダメージ、具象化ノイズで能力値が下がる
- 防衛
- HP7600000,、魔法力24000、防御力2400、ターンごとに84ダメージ、具象化ノイズで能力値が下がる
- エッセンシャルガード2000000つき
- ドラゴン
- HP1899198、攻撃力39996、防御力ともに超高い、攻撃の瞬間だけ殴れると考えるべき、リミテッド500000なので、4発必要
- 増大する力、ターンごとに84ダメージもある
- ドッペル
- HPはプレイヤー x 20000、各能力がプレイヤー x 20、ターンごとに84ダメージ
- クラブ
- HP19999998、攻撃力 重量 x 200、ターンごとに84ダメージ、リミテッド1000000なので、20発必要、ガードシフト付き
- 究極魔法がある
- オートクレール
- HP2624000、攻撃力ともに10、防御力ともに1000、ダメージを受けると攻撃力上昇、ペインメーカー
- HPブレイク、ターンごとに84ダメージ、ファイナルアタックあり
- 焦熱エンジン
- HP59200000、魔法力3996、防御力ともに6400、HPが毎ターン8000回復、攻撃の度に4000000回復
- 熱ダメージ198と、ターンごとに84ダメージ
- コア外殻
- HP355544320、攻撃力2048、ターンごとに84ダメージ、具象化ノイズで能力値が下がる
- 概ね10ターン行動で、その度に20000000のバリアを張る
フォースは潤沢とは言え、ボスも敵の数も多いのであまり無駄遣いできません。とりわけボスは強力そうなので、まずはそれを中心に調査しました。
- ドラゴン
- 4発一気に殴れれば良い、アクセル付けても多分良い……ダメだった
- ドラゴンバーストをパリィして殴るのが良さそう
- ドッペル
- HPを何とかして減らして一発で倒したい、防御力下げる必要があるかは分からない
- クラブ
- 完全に継戦なんだけど、ターンごとに84があるのでそうもいってられないか
- 重量を減らせば恐らく受けられるが、究極魔法はどうか
- お前がゼヌーラするんかい、というかおそらく何も強化されてない?
- オートクレール
- 一発撃破したいけど、ファイナルアタックが怖い、リザレクションで乗り切るのも手かと思ったけど、HPブレイクされる
- やるならHPブレイク全回復アイテムの取得もセット
- 一発撃破したいけど、ファイナルアタックが怖い、リザレクションで乗り切るのも手かと思ったけど、HPブレイクされる
- エンジン
- 継戦っぽいけど継戦しすぎると負ける
- アクセルも視野に、火力で押し切りたい、最後に回したほうが良さそう
以上を基に、ユニオン、ドラゴン、オートクレール、ドッペル、クラブ、エンジンの順序で撃破し、コア外殻へ挑む流れとしました。
まずはユニオンが地味に高HPを誇るため、これを削る必要があります。ユニオン特攻を乗せつつ、リクリエイト、悠久の翼ベース、いつか見た夢以外を採用、スタートダッシュ、で377万くらいに到達します。この上、リクリエイトの具象化率向上でユニオン特攻にバフが乗って迎撃をワンキル、防衛はフォース付きでワンキルできるようになります。
この状態なら物理も高いため、ドラゴンをパリィすることも可能なので同時に処理できるのが嬉しいところです。併せてオートクレールにも対応できますが、リザレクションがHPブレイクで破られるので対応に苦慮しました。色々と試してみた結果、キャンセレーションが通ることが分かったので、全撃、キャンセレーション、パリィ、通常攻撃でしのぐこととしました。
ドッペルはHP倍率を極限まで下げ、パワードスーツを外すなどしてHP994まで落とし、クイックリング、プロテクトハンドあたりで調整して相手のHPを1640000としました。ここまで来れば閃光剣でワンキルです。
続いてクラブは、明らかに攻魔両方で殴れというデザインなのでそれを踏襲するつもりでした。この段階ではオートクレールがあるおかげでオールラウンダーを習得できているため、火力に関してはある程度担保できていると考えていたためです。とはいえ、閃光剣に比べて装備が充実していないアビスの火力は心もとなく、結局EPを整えて閃光剣で削ってキャンセレーションする方向で決着しました。キャンセレーションが強すぎる。
エンジンは単純に超体力なので、フォース閃光剣を連打してこじ開けています。DPSチェッカーっぽいですね。
そして最後のコア外殻は、ユニオン特攻を乗せて、最大火力を叩き続ける想定でいました。しかし、HP355544320という壁は思いのほか厚く、ドラゴンやら何やらを撃破できた火力でさえ太刀打ちできません。そこで、具象化率をロードリング、海のもずく、マチエールあたりで補強しつつ、デュアルブレードで超会心を入れて届かせました。具象化率は大事。
ラスボス。
- HP6666、魔法力6666、ユニオン特攻が入る、被ダメは1000000分の1
- 撃破後形態変化
- 初手で超強力な魔法攻撃
- HP12000、魔法力12000
さすがにリザレクション以外の解き方が思いつかないので採用した上で、閃光剣を叩き込み続ければ行けます。ほぼイベントバトルなのかもしれない。
AnotherWorld。
全体的に三重会心程度じゃ怯まない性能をしているため、このままでは攻略できないと判断してここでリィンを切りました。その上で、色々と倒し方を模索しつつ調査を行い、以下の情報を得ています。
- レクサール
- HP4800000、攻撃力500±500、魔法防御999999999、会心率50、会心力350、物理耐性99999
- リミテッド800000、鎧削り49、強化魔法ジャミング1/5
- 最低6回は攻撃が必要、しかし高物理耐性のため、ダメージが1000分の1くらいになってるはず
- 集中でめちゃめちゃAP貯めても高火力にならない
- ゲームオーバーで知識を得た、減衰があるらしい
- つまり瞬発力よりも火力が求められてる
- 高会心、鎧削りでひたすら通常攻撃を積むことで撃破
- 連打様様
- キノコチ
- HP1、攻撃力99999、防御力ともに999999998、最速29ターン行動
- カンストしろとの仰せだ
- ベルセルク + 最大フォース閃光剣が7重会心で届く
- ノエル
- HP149500000、攻撃力ともに25600、防御力ともに99999、最速7ターン、以後10ターン行動
- 会心あり
- 剣魔双方が必要
- 二重フォース閃光剣で剣術勝負はクリア可能、魔術勝負が課題
- 地道に二重フォースアビスを当て続ければ届きはする、多少被弾するが
- ミスティックアーツ
- 剣はフォース + パリィで概ね耐える
- メテオが課題、リザレクションもありかも
- その後は剣で、リミテッド50000000なので、ここでとどめを刺せる、多分
- エリオット
- HP449999999、魔法力12000、防御力ともに2000000、最速9ターン、概ね14ターン行動
- アクセル無効
- 第二形態
- 各耐性1000に上昇
- LPに対する攻撃をしてくる、ディザスターでこちらの能力値を下げる
- フェイトがあれば対処可能
- 適当なビルドだと最大フォース閃光剣 + ベルセルクで70000000くらい
- もうちょい火力が欲しい気がする
- エクサリー
- HP19800000、魔法力6400、防御力カンスト、魔法防御99999、最速6ターン行動、強力な具象化ノイズ350
- リミテッド5000000から4発必要
- 集中してからの最大フォースアビスでも1200000くらいしか削れない
- アマリール
- HP650000000、魔法力8800、防御力ともに2000000、各耐性1000
- アクセル無効
- 割と性能が素直、ウロボロスで強化されない限り、堅牢で守れるはず
- ウロボロス直後にキャンセレーションしておけば戦える
- 撃破には最大フォース10回くらいの閃光剣が必要、もうちょい火力が欲しい気がする
上記を基に、まずはレクサール、キノコチ、アマリールを撃破し、帰還と回復してノエルを撃破、帰還して攻撃特化ビルドでエリオットを撃破し、帰還後にエクサリーを倒すプランを立てました。
レクサール、キノコチ、アマリールは上記の通り高会心、ある程度の防御装備で対応可能なため、一気にやれます。アマリール、キノコチは後に回しても良いんですが、ここで倒しておくとExpとマターが入るのが美味しいです。
ノエルはリザレクションを付けて挑み、二重フォースアビス、フォース閃光剣、リザレクションと諸々使った結果LP消費が激しい戦いとなりました。また、エリオットは念願の氷剣などで火力を伸ばしつつ、星屑の腕輪などを装填して火力を伸ばして撃破しています。
こうしてエクサリーに到達したわけですが、ここでLPが全く足りないことが判明しました。というのも、具象化ノイズで減らされるためです。それは確かに考えていませんでした。ここでプランの再考を求められます。
まず、エリオットは火力があればいけるので、キノコチ、エリオット、アマリール に高会心、紙耐久で挑むこととしました。ソードブーツ、星屑あたりでこの状況が作れます。
ここまで強化すれば、キノコチはベルセルクにフォース全撃で66%の確率で倒せました。割のいいギャンブル。
また、エリオットはベルセルク、ヘイスト、全撃連打で間に合い、アマリールはベルセルク、ヘイスト、閃光剣連打で戦えます。一応、アマリールは堅牢で一回だけフレアを防ぎましたが、フォースを適当に撒けばこれも無くせるかもしれません。
ここで強化を行い、レクサールに対してはヘイストとベルセルクを維持しつつ、適度に鉄壁を張る戦法で勝利を掴みました。一方、ノエルはフレイル、シールが有効手であることに気付いたので、祈りの指輪、プロテクトハンドを追加の上で、メテオに対してバリアを張ることで対応しました。攻撃はパリィ、魔法はバリアでフォース無しでも対応できるレべルに抑えられます。
こうしてレベルを上げ、満を持してエクサリーに挑み、フォースアビスで4発で沈められるまでになりました。ビルドの方向性を見直すだけでこんなにも違うんですね。
そして最後のソフィア。第一段階は全撃を連打していれば倒せますが、第二段階が厄介です。初めは永久アクセルにアクセルで返せることに気付かず、無限剣などで足掻いて負けました。
まず、高耐性のため一気に倒すのは難しく長期戦になりやすいため、ソードブーツをはいてると被弾が厳しくなりがちです。とはいえ、ここまで来た装備なら落ち着いて行動を選択していけば十分に勝利は可能でした。アクセルを40Tくらい確保しておきつつ二重フォース全撃でカンストダメージを与え、連撃、エタブリはバリアで耐えて、強力物理はパリィすれば問題ありませんでした。
こうしてAnotherも含めてめでたくクリアできたという次第です。満足。
21. 太宰府カンコー奇聞わたる

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| RPG | ガミジ |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 2時間 | 1.5 | クリア |
良かった点
- 妖怪をモチーフとした敵のデザインが良いです
- 舞台、物語、設計が調和して雰囲気を醸成しています
気になった点
- 一部ボスの難易度が極端に高く感じました
- 特定の行動がほぼ対策不能に感じます
レビュー
大宰府スペクタクル
太宰府カンコー奇聞わたるは、オーソドックスなRPGです。
プレイヤーがマップを歩き回りながら戦闘を進めてシナリオを展開させていく、基本に忠実な設計の作品となっています。
物語は大宰府を舞台とした修学旅行から始まり、ひょんなことから異変に巻き込まれ、妖怪の企みを止めるべく二つの世界を行き来して奔走することになるという筋書きとなっています。各地にいる妖怪を倒していきながら大宰府を巡り、仲間を増やしてより強い敵に挑んでいく流れは王道的な雰囲気を醸しています。
とりわけ、各エリアを縄張りとしている首魁はいずれも強力であり、物語を進めていく上で立ち塞がってくる強敵となっています。彼らを倒すのであれば、相応に成長する必要があるでしょう。戦闘後に体力が全回復するシステムを活かし、勝てる雑魚敵とは戦っておくことが大事になってきます。
特に終盤の相手は非常に強く、生半な成長では太刀打ちできません。強敵に挑む前に、準備を怠らないようにすることをお勧めします。
修学旅行を起点とした観光とも冒険ともいえる物語は、和の雰囲気と異世界情緒を全体に感じるマップと妖怪をモチーフとした敵の数々により彩られています。これらの戦闘、シナリオ、マップとその探索の三拍子がバランス良く配合されているため、ベーシックなRPG体験が楽しめること請け合いです。
カンコー気分で大宰府を巡り、RPGを享受していきましょう。
感想
RPGとしてはベーシックな仕上がりとなっている作品でした。シナリオやマップの規模が適切にありつつ、メインのゲーム性が戦闘に置かれています。仲間の加入条件とかタイミングも良く出来ていて、全体の流れがかなり整えられている作品でした。
例えばジーニアスの加入条件が恐らくトリキチ救出後に調整されているように、上手いことバランスを取ってゲーム全体の構成が作られているように感じました。
戦闘の難易度バランスはそれなりに良く、雑魚とちゃんと戦うことを要求してきます。その一方で、一部ボスに関しては極端に強力であり、ここに関してはバランスがやや整えられていない印象を受けました。個人的には、トラとラスボスはまあまあな運ゲーに感じています。同じようなステータス、同じような戦略でも勝てる時と勝てない時があるので。
とは言え、ある程度人事を尽くしてから天命を待つ余地はあり、全体防御上昇を重ね、速度と命中を上昇させ、攻撃減少を重ねれば運の要素を下げること自体はできます。それでも、全体攻撃が選択され続けると壊滅状態に追い込まれるので、そのあたりは人事の及ぶところではありません。敵AIがデレるのを祈りましょう。
とりわけ、ラスボスのゲームバランスはかなり厳しく、強力な状態異常である麻痺、超強力な全体攻撃をそこそこランダムでばら撒いてきます。人事を尽くすまでもなく嬲られることもあるので、安定して勝つにはかなり色々と用意しておく必要があるのかもしれません。少なくとも、全回復アイテムは買い込んでおきましょう。
筆者はアスピルなど色々と試してはみましたが、バフデバフを撒いて可能な限り早く倒すのが一番期待値が高い印象を受けました。やられる前にやれ。ただ、あまりにも極端に強すぎるので、筆者が何かを見落としている可能性も高いと思っています。例えば、夫婦円満が4つあれば多少はマシになる気がします。
なお、ラスボス前は戻れないがセーブできる状態であり、最悪ここで詰みになりそうなことも気になります。ただでさえ強いので。
しかし、そういうボスは数えるほどしかいないので、総体としては楽しめるバランスになっている印象がありました。そう考えると、やはり何かを見落としたのではないかという感覚が拭えませんね。
あとは敵のグラフィックについても触れておきたいんですが、個人的には妖怪モチーフのデザインが好きでした。ゲーム全体の雰囲気にも合っていて、良い味を出しています。加えて、鏡を媒介にして二つの世界を行き来するという世界観と大宰府というロケーションもマッチしていて、日常から少し地続きにありそうな非日常の感覚を得ることができました。
ともあれ、軽めのシナリオを楽しみつつ、タイトル通りに観光気分でマップを回れる、短編のRPGとしてまとまりの良い作品でした。
22. MA-FŪ 魔封

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 探索ADV | カラアゲ・ニュートリノ |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間 | 1.06 | 全END |
良かった点
- 独特な空気感がデザインなどで上手く表現されていました
- 世界観に即したユニークな謎解き、探索要素が用意されています
気になった点
- カーソルをプレイヤーキャラクターとしながら、選択性能がやや直感的ではありませんでした
- 先端で選択するというよりは、乗せにいくイメージでないと選択できません
レビュー
インターネッツ
MA-FŪ 魔封は、かつてのインターネットを彷彿とさせる空間を舞台にした探索アドベンチャーです。
見た目は独特な雰囲気ですが、設計は正当派な探索アドベンチャーとなっており、謎解きを軸に回避アクションが時折挟まれるといった構成となっています。
プレイヤーはカーソルとなってインターネット空間を探索しつつ、そこに散らばるいくつかの謎を解いていくことになります。この設計自体は探索アドベンチャーとしてはよく見る、堅実なデザインと言えるでしょう。しかし、そこに詰め込まれている謎解きのベースや各種表現はインターネットというモチーフを存分に活かしており、そのユニークな空気感を余すところなく表現しています。
インターネットを徘徊していればどこかで見たような何かを避け、時にはインターネットな知識を活用しながらも、どこかで見たような空気が漂う、けれど新しいステージを探索していきましょう。
なお、そうして解くことになる謎解きや回避アクションの難易度は決して高くはなく、適度に考えて正しく行動すればクリアできるレベルのものに収まっています。中には事前の知識がある程度あったほうが解きやすいものもありますが、基本的には素直にクリアできるものが多数を占めています。
インターネットな世界に没入しつつも、その中からの脱出を目指してあちこちを巡っていきましょう。
感想
モチーフがインターネットであり、ハイパーリンクしていくエリアや見た目は特徴的ながら、本質は謎解きと避けという探索アドベンチャー然とした要素で設計された作品です。モチーフを探索や謎解きなどの要素に落とし込んでいる手腕も良く、ただテーマとして設定しただけでなく、きちんとゲーム性に組み入れていました。
以下はややゲーム内容に触れるので、ネタバレを嫌う方はブラウザバックしてください。
謎解きの中では、個人的にはテキストベースから拾っていくタイプの謎解き形式が面白く感じていました。独特な解き味をしています。インターネットという空間との親和性も高く、世界観の中での謎解きとしての納得度合いも高めです。
なお、謎解きは全体的に察する能力が大事な印象があり、ある程度エスパーしないと正解扱いにならないこともあります。ふていけいは正解ではない。もっとも、自明ではなくともモチーフや前提知識で択一を切り捨てられるタイプの謎解きにはなっているので、解く際はそのあたりを重視しておけばそれほど外しはしません。
また、404エラーというイベントに関しては二つの相反する感想を抱いています。世界観というか空気感の再現という意味では必須と言って良いイベントだと思っているんですが、ことゲーム性という観点から見ると探索のノイズでしかありません。
ただし、このゲームがどちらかと言えば空気感を重視した体験の提供に寄っていること、404を使った謎解きがあるのでフリとして使われていること、あたりを総合すると感想は前者に傾くかなという温度感です。フレーバーとしては大事。
探索ゲームとしてみると、カーソルをプレイヤーに見立てているにもかかわらず、接触というか選択判定としては探索アドベンチャーのそれであるのが微妙に直感的ではありませんでした。インターネットにおけるカーソルは先端で選択するものなので。
移動系の範囲はかなり広めにとられているようなので、ある程度雑に選択しても行けるんですが、説明系はちょっと範囲が狭いので苦労します。体を乗せるイメージが大事。ただ、幸いなことに説明系を読まなくてはいけなくなるケースがそれほど多くないので、苦労する必要性は薄めとなっています。説明は基本的にはフレーバーテキストなので。
なお、敵の接触判定はかなり広く感じていて、当たってない見た目でも当たっていることが間々あります。意外と完全回避は難しいので、こまめなセーブもまた大事ですね。
ちなみに、筆者はクリアの上で、恐らくヤバエロ画像も全部集めた気がするんですが、全体の数が分かっていないので確かなことは言えません。6つでファイナルアンサーのはず。
とにかく、全体的にユニークな空間で謎解きと探索ができるオーソドックスな仕組みを遊べる作品でした。
23. BIG BANG

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| RPG | 二義屋活者(にぎやかっしゃ) |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間 | 1.0.1 | クリア |
良かった点
- 極めてスピーディーな戦闘でした
- リズミカルなSEのおかげで気持ち良く戦えます
- シンプルながら躍動感のあるグラフィックでした
- 雑魚からボスに至るまで、まるで動き出しそうな止め絵となっています
- 全ての演出のクオリティが高いです
気になった点
- キーリピートの都合で誤爆しがちでした
- 上記の気持ち良さとのトレードオフであり、メリットが明らかに上回ってはいます
レビュー
スタイリッシュの究極系
BIG BANGは、スピーディーかつ爽快感のある戦闘が楽しめるRPGです。
マップはそれほど広くなく、基本的に戦闘をメインとして行いつつシナリオが進行していく形式となっています。
このゲームを一言で言い表すのであれば、ただひたすらに気持ち良いゲームであると言えるでしょう。
極めて高いクオリティの演出、躍動感のあるグラフィック、超高速で進行する戦闘、コマンドを選ぶだけで流れていくSEが奏でる旋律、ありとあらゆる要素がプレイヤーに快感を与えることを目掛けて設計されています。
ともすれば、その高速な戦闘は誤操作を誘発し、簡素なコマンドバトルは戦闘の戦略性をやや薄めていると言えるかもしれません。しかし、そんなことは意識の俎上にすら上らないほどに、圧倒的な爽快感を持つプレイフィールで押し流されていくこと請け合いの作品となっています。
ただし、そうして闇雲にコマンドを選んでいるだけで勝てるほど甘い作品でもありません。とりわけボスは非常に強く、準備が整っていなければ倒すことは不可能です。
雑魚敵を倒してレベルを上げ、装備を整えて各キャラクターのスキルを調整し、ボスの行動を上手く御することで勝利の道が見えてきます。雑魚敵との戦闘は非常にスピーディーに行えるので、ストレス無しにこれらの準備に取り組めることでしょう。
そうして準備を整え、ボスを倒すことで進行していく物語もまたテンポの良いものであり、ミニマルながら特徴的なキャラクター達の掛け合いが魅力的なものとなっています。加えて、戦闘においても現出している演出力の高さは、シナリオにおけるカットシーンでより顕著なものとして現れています。ハイテンポかつスタイリッシュなその演出の数々は必見です。
様々なボスを撃破していき、派手な演出の数々を体験しつつ、その物語の終わりを見届けていきましょう。
とにかく、ただコマンドを選んで敵を倒すだけでも刺激的な快感に浴せるであろうことを強く保証できる作品です。
是非ともゲームのすべての要素を余すところなく享受し、その圧倒的な気持ち良さを味わってみてください。
感想
すごいスタイリッシュです(小並感)。もう少し真面目に捉えると、動きのメリハリの良さ、あるいは切り替わりの上手さというものが際立っています。カメラのカットもさることながら、動きのカットの一つ一つがキマっています。静止画でざっくりとしか動かない雑魚からですらその上手さが分かるので、ましてやカットシーンが素晴らしいのは当然とすら言えるでしょう。
静止画がここまで躍動感をもってあたかも動いているように見えるのが何故なのか分かりませんが、とにかく動きを途中で止めたようなそのグラフィックがまずは素晴らしい作品でした。
ゲーム性については、とにかく気持ち良く勝つということに重点が置かれている気がします。戦略性が薄いとか、リピートがプレイに支障が出るレベルで早いとか、そういうゲーム性にかかわる部分をある意味では捨ててでも、とにかく気持ち良さを優先したように感じています。
前作ではちゃんと攻略しないと気持ち良く勝てないようにデザインされており、それはそれで攻略した時の達成感と共に得難い体験となっていたのですが、今作においてはそもそもコマンドを選んで殴っているだけで気持ち良くなれます。スピーディーに流れていく戦闘はもはや遊んでいるだけで楽しい気持ちになれました。
その分、戦闘自体はかなり簡素なものになっています。基本的にはレベルを上げて物理とステータスで殴るバランスになっている印象があり、装備を充実させてレベリングすることが前提になっているような設計です。
一応、スキルや消費SPのコントロールがあり、バフデバフも用意されているため、この辺りを上手く使うと戦況を有利には進められます。しかし、結局のところ無理な敵には無理なことが多いので、殴り勝てるレベルまで引き上げるのがベターな気がします。
ただ、この辺りの複雑性の排除は上述の通り意図通りな気はします。あんまり複雑なゲーム性にすると気持ち良く攻撃できないですからね。
また、戦闘におけるリピートはとんでもなく早いです。早すぎて、数値が見にくかったり、どういう攻撃が飛んできたか判別するのはかなり難しくなっています。
しかし、そのおかげで他に類を見ない圧倒的なテンポを獲得しています。雑魚戦をここまでスピーディーに処理できるゲームは中々ありません。さらに、グラフィックの良さに加えてサウンドも良いので、小気味良い曲を聴いているような効果音の旋律が流れてきます。これが気持ち良い。
ミスを誘発することもありますし、そもそも分かりにくいのでシステム的にはどう考えても少し遅くした方が良いはずなんですが、あまりのゲーム性との噛み合いの良さにその不便すら受け入れても良いと感じてしまいます。ゲームに正解はないことを突き付けられているような気持ちです。
とにかく気持ち良く戦い、気持ち良く勝つというただ一点を突破しきる力が圧倒的であり、それだけで作品を貫くゲーム性を生み出している点については脱帽するしかありません。
これを可能にしているのは、仕様の取捨選択の思い切りの良さに加え、演出面やキャラクターデザインといったもののセンスの良さに集約されている気がします。記号化したようなデザインながらパワフルかつスタイリッシュに感じるその上手さは、もはやセンスとしか形容できません。
シナリオについても、割と予定調和的であり、先が見える展開ではあるんですが、そうであること自体が気持ち良さに繋がっています。もはやそのレールの上に乗って楽しみたい気持ちにすらなっていました。作者さんの掌の上で踊るのが一番楽しいので。
全体を通して思い切りの良さとセンスとしか形容できない方法で面白さを捻出している作品であり、プレイした筆者にも何で面白いのか良く分かっていない作品となっていました。部分部分を見れば不満のありそうなシステムがあり、実際に何度かそれによって間違えていたことはありました。しかし、プレイ中はそのあたりのことをあまり気にすることなく、最後まで突っ走って気持ち良くなっていました。
グラフィック、サウンド、演出、ゲーム性と全ての要素が気持ち良さというただ一点に注ぎ込まれたような、そういうゲームです。あんまり適切でない例であることは分かっているんですが、あえて言うとパチンコみたいなものなんだと思います。Balatro、幸運の大家様、Nubby’s Number Factory とローグライト系列では同系統の作品が色々出てる印象があるんですが、まさかRPGで出来るものだとは思ってもみませんでした。
24. Return to the Wildlife

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| RPG | ロンバート |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 6時間 | 1.1.0 | クリア |
良かった点
- 様々なシステムが上手く融和されて組み込まれています
- デッキ構築、多対多、アビリティシステムなどが上手く同居していました
- ランダム要素多めのシステムに対し、多対多のわちゃわちゃ感の親和性が高かったです
- 個別具体の運要素に対する不満が発生しにくくなっています
- 唐突な自然への回帰を軸とした良いシナリオが描かれています
気になった点
- メンバーの離脱に伴い、アビリティが一時離脱するのが厳しかったです
- スキル未設定でも戦闘できるため、誤爆して行動無しになる事がありました
- テキストの口調の雰囲気が微妙に安定していませんでした
レビュー
所詮この世は弱肉強食
Return to the Wildlifeは、デッキ構築大乱闘RPGです。
事前に組んだデッキのカードで行動を決定し、多対多の戦闘を行うRPGという様々な要素がてんこ盛りのゲームとなっています。
行動方針の核となるデッキは各キャラクターごとに割り当てることが可能であり、それによって戦闘中に取れる行動が変化していきます。攻撃カードを大量に持たせるキャラを作るも良し、それぞれのキャラクターが万能に動けるようにしておくも良し、好きなスタイルでデッキを構築していきましょう。
戦闘では、そうして構成したデッキから行動コストを支払ってカードを選択することで各ターンの行動を決定付けていくことになります。カードの性質は攻撃、防御、支援、カウンターが主たるものとなっており、上手く使えば敵の行動を封じつつ一方的に攻撃することも可能です。残りの行動コストや敵味方の状態、他の味方が選んだ行動との相性などを勘案し、毎ターン適切なカードを選択していきましょう。
そうして敵を倒すことで新たなカードが入手でき、より強いデッキを構築していくこともできます。強くなるには、積極的に敵を倒しカードを集めていくのがお勧めです。
また、デッキ構築に加えてアビリティもまた戦闘に欠かせない要素です。各キャラクターに装備できるアビリティはパッシブスキルや能力値の強化をもたらしてくれます。アビリティ同士を錬成することでより強力なアビリティに進化させることもできるため、あればあるほど嬉しいものとなっています。積極的に集めていきましょう。
こうして作り上げ、割り当てたデッキとアビリティによって、それぞれのキャラクターの戦闘上での役割は様変わりしていきます。自分なりのビルドを目指して、色々な組み合わせを試していきましょう。
そうしてカードやアビリティを集めて強化を重ねることで、強力なボスに対して勝利を掴むことができ、それによってシナリオもまた展開していくことでしょう。突如として人間が消え、野生への回帰を強制されたペットたちを巡る物語は、厳然たる野生という世界観を描きつつシリアスに進行していきます。
そのゆるいグラフィックからは想像もつかない厳しい世界の中で、それでも前を向いて進む主人公の姿は王道のシナリオ展開として心に響くものがあるでしょう。
野生の中に放り出され様々な脅威に晒されたとしても、デッキを構築し、アビリティを磨き上げ、それらの脅威を打ち倒していきましょう。
感想
デッキ構築型わちゃわちゃ戦闘RPGという、色々な要素を上手く取り込んでユニークなシステムに落とし込んでいる作品です。これだけ混ぜると要素の食い合わせが悪いところが出てきそうなものですが、その辺が上手くまとまっているあたり、仕様の調整力の高さが窺えます。
ひとまずデッキ構築についてですが、カードプールがそこそこ広いおかげで、取るべき戦略が少しずつ広がっていく面白さがあります。多対多という性質も相まって、それぞれに割り当てるカードの種別によってシナジーが生まれていく構成により、掛け算で戦略性が生まれているのも面白いところです。
基本的には攻撃役とアシスト役を分離していくのが望ましいのですが、ストーリーによって割とメンバーが増減するので、その度に割合に苦心することになります。都度調整が必要。
さらに、ここにアビリティも加わることでより複雑なビルドが生まれています。本当にいろんなシステムが詰め込まれている。
アビリティについては、個人的には背水と火事場がツートップで、アビリティ内で明確にシナジーが取れるため強力な印象がありました。ここに蛮勇をつけ足して高コストで殴れば、大体の敵を封殺できます。残りは応援すれば、被弾も割と抑えめにできるのが良い。多少漏れたとしても、蘇生である程度ならリカバー可能なので、攻撃特化ビルドが割とお勧めです。
その辺のアビリティさえ用意できていれば、堅牢やらなんやらはLv2Max程度でも十分戦力になります。むしろ、これ以上上げようとするとコストパフォーマンスが微妙に悪い気もしています。最終的に10キャラに諸々割り当てる都合上、それなりのアビリティの数が必要なので。
一方で、攻撃に関しては先述のアビリティで枠が埋まる点、そもそも攻撃役が絞られる点から、ある程度厳選していくとより良い印象があります。とはいえ、剛力よりは制圧や会心を作る方が楽かもしれませんが。
限界まで戦力を詰めるならLvMaxしかあり得ないのですが、裏ボスのような存在もいないので、そこまで詰める必要もありませんでした。
これらを運用する上で何度も触ることになるUIについては、基本的には割と使いやすく作られています。特に良く触るデッキ構築周りが使いやすいのが助かります。個人的には、メニュー下のキャラをクリックしたらデッキ構築に移行して欲しい気持ちはありましたが、この辺りは好みな気がします。アビリティの可能性もあるので。
一方で、アビリティ強化と装備がシームレスにつながっていないのはやや装備の手間があって気になる所ではありました。そんなに頻繁にやらないんですが。また、右クリックがキャンセルで割と統一されているので、その直感でアビリティを外そうとして右クリックをしてしまうといったこともありました。これは慣れるとどうにかなる。
個人的に一番装備周りで気になる点としては、メンバー離脱に伴う装備やアビリティの一時離脱です。一昔前のRPGでよく見たやつ。
構造上、アビリティは圧縮したほうが強いので余剰があることの方が少なく、一気に奪われるとかなり窮屈になってしまいます。特に、洞窟に落とされるフェーズでは主人公以外が持っているアビリティが軒並み消えてしまい、かなり苦戦しました。
残る彼らも生き抜くために必要なのかもしれませんが、システム的には外してあると助かったように思います。
続いて戦闘パートについては、わちゃわちゃしている戦闘システムがカードのランダム性と存外相性が良いように感じました。
ログを見れば観察可能であるとはいえ、それぞれの攻撃がどの程度リターンを得ることに成功したのかを確認する際は、基本的には敵のHPの減りや味方の状態を見ることになります。このマクロ視点での状況把握のおかげで、ダイスルールによる運頼みのダメージ計算がかなり覆い隠されているように見えます。一つ一つ見せられるのではなく、わちゃわちゃとした結果として表されるおかげで、多少運が悪くてもそれほど気にはなりません。大局で見ることができるメリットがこういう風に現れるとは思ってもみませんでした。
プレイヤーが介入すべき要素としてエレメントが設定されているのも秀逸で、多対多の選択はカード選択というシンプルなものに統一したうえで、付加的にやるべきことを追加することに成功しています。あくまで外付けの装置として表現しているおかげで、必要以上にゲーム性が複雑になりません。
さすがに終盤になってくるとキャラクターごとの行動決定量が増えてきて手間が増えていくところはあるんですが、外付け要素があくまで外付け要素で留まってくれていたおかげで致命的なまでに億劫にはなりませんでした。雑魚戦相手にはランダムで行動決定してくれる仕組みも、そういう意味では嬉しいシステムです。
個人的には戦闘開始時に余計なラグなくすぐにボタンが押せるのも好きなポイントで、筆者のようなせっかちにとってはありがたい機能です。すぐにいろいろなことをやりたいので。これに限らず、タイトルの演出や戦闘開始演出など、演出として必要なものはきっちり取り入れつつも、プレイヤーにストレスを与えないように上手く配慮して導入されている印象を受けました。総じてテンポが良い。
なお、個人的には戦闘時にスキル未設定でも決定が押せるのはやや気になる所ではありました。事実上のパスのためではあるんですが、誤って押すケースも割とあるので、行動未設定の対象がいたら警告くらいはあると助かる場面があったかもしれません。
最後にシナリオパートについて。主人公の行動指針が一貫していることもあり、読みやすく心にも届きやすい物語となっていました。読み味は王道少年漫画のそれっぽくなっています。背景を考えると青年漫画かもしれませんが。
ある意味では、物語のラストについては救いの一つが無い結末ではあります。しかし、それでも大団円的に終われたのは、この主人公のぶれない行動と個性豊かな仲間たちとの交流によるものであるように思います。
一方で、テキストは口語っぽくなったり、絵本みたいな語り口になったり、と思えば堅い言葉遣いになったりと微妙に安定しないところが個人的には気になりました。シナリオそれ自体は良いのもあり、微妙なノイズになっている印象はあります。些末ではありますが。
ともあれ、様々なシステムをどん欲に取り込みつつ、一つのゲームとして仕上げている良い作品でした。
25. 王国の肖像

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 戦略SLG | らんどるふ るどるふ |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 17時間30分 | 1.25 | ふつうでクリア |
良かった点
- 重厚な世界観とシナリオが楽しめました
- 軽い言い回しにも良い雰囲気が漂っています
- 各キャラクターが魅力的でした
- それぞれの信念や覚悟が窺える物語展開となっています
- 大量の敵を上手く捌いていく面白さがありました
気になった点
- 殊に終盤のステージは敵が多く、長いです
レビュー
王の道
ゲームの世界観というものは、シナリオや説明のみに宿るものではありません。モブのちょっとした一言や、キャラクター同士の細かいやり取り、めいめいの思想や行動原理、そういったものの根源にも宿るものです。
シナリオそのものの完成度が高く素晴らしいものであることは言わずもがな、主要キャラクターそれぞれの価値観や行動、各々が取る選択が織り成す多面的な構造により、世界観、ひいては物語がより深く紡がれていく、王国の肖像はそういった作品となっています。
ゲームとしてのシステムについては、オーソドックスなSRPGの形式を取っています。ただし、運用可能なユニットが少数精鋭であり続ける一方で敵がどんどん大軍になっていく、多勢に無勢な中で戦うという特徴を持っています。
数の不利を覆すには、それぞれのユニットの性能やマップの構造を活かすことが肝心です。敵のターゲットを制御できる盾で相手を引きつけたり、マップ上の狭い通路に誘い込んで各個撃破したりと、工夫を凝らして大量の敵を上手く捌いていきましょう。
また、戦力が少ない分、ユニットごとの成長はより重要な要素となります。満遍なく経験値を与え、全員が最大限活躍できるように場を整えていきましょう。
加えて、各ユニットごとに3つの装備と2つのパッシブスキルを設定でき、3つまでアイテムを持たせることもできます。とりわけ武器は重要であり、ベーシックな近接武器である剣を初めとして、遠距離しか攻撃できない弓、狙われ率を上げられる盾、SPを消費する魔法など、バリエーションに富んだものとなっています。それぞれのユニットの特徴を捉まえて、最適なビルドを目指していきましょう。
なお、一度戦闘が始まれば原則的に武器やアイテムを変更することはできません。多数を相手取る都合上どうしても長期戦となることが多いため、この事前準備の重要性は高いものとなっています。戦闘を始める前に、マップと主要な敵ユニットを注視することをお勧めします。
そうして広大なフィールドで大量の敵を倒していき戦闘に勝利することで、その重厚なシナリオは進行していきます。
序章も含めると8章からなる物語は、それぞれの思惑が交錯し、衝突しつつも激動していく王道的な軍記物です。王位継承を巡る王国を二分する戦いを通し、国家や王という存在を見つめていくシナリオは濃厚なものであり、魅力的な主要キャラクターも相まって読み応えのあるものとなっています。
時には戦場で対峙した際にも描かれていく各々の関係性、異民族間にまで広がっていくスケール、それぞれの信念に基づいた覚悟の結果が厳然と描かれる構成、全てが高い品質でまとまったシナリオを味わい尽くしていきましょう。
少数で多数を相手取る戦略シミュレーションパートと、幕間でたっぷりと描かれる政略と陰謀渦巻くシナリオパートの双方を楽しめる作品となっています。
王位継承にまつわるその覇道を見届けるためには、終盤になるにつれてより広がり、より多数の敵と相対するステージを攻略する必要があります。それぞれのユニットを最大限活用し、立ち塞がる数多の敵を効率良く捌き、勝利を掴みとっていきましょう。
感想
筆者はSRPGを途中で断念して全作品クリアできなかった時がある程度にはSRPGを苦手ジャンルだと思っているのですが、この作品は最後まで通してプレイできました、たっぷり17時間30分をかけて。難易度が割と平易めだったこともあるんですが、それ以上に最後までやり切ろうと思えるシナリオをしていたのが最大の要因だと感じています。そうでなくてはこれほど時間をかけてやらないので。
とりわけ、世界観やシナリオそのものの重厚さもさることながら、それらがきっちり飲み込める程度には咀嚼されているというのが好みでした。軍記ものをどこまで難しく、詳細に、何をテーマに描くかにはグラデーションがあり、それによって銀河英雄伝説から淡海乃海、ウォルテニア戦記、あるいはもっとカジュアルな異世界ものっぽい物語まで、色々なバリエーションがあり得ます。
この作品は世界観や展開はある程度重厚で、それによって物語の芯を強くしておきながら、キャラクターの性格付けや細かなシナリオ面ではある程度カジュアルにも寄せています。その上でカジュアルには寄り過ぎず、特に終盤の展開は覚悟と共に重めの物語展開も描いています。この辺りのバランス感覚が良いので、読み物として楽しみつつも世界観に浴することができるようになっていました。
この辺りのバランスは人名周りにも表れていて、ゴンドワーナ関連の名前をへべれけ、こめかみ、なめろう、のような若干気が抜ける名前とし、実際に最初の内はカジュアルに感じさせるような登場をさせつつも、中盤から終盤にかけては重厚な世界観の中にそれらを違和感なく組み込んでいます。とっかかりは軽く、読み込む時には重く楔を打つようなシナリオのデザインをしていました。
また、ちょっとした会話ややり取りにも軍記ものの雰囲気を漂わせているのも良く、言い回しがずっと好みでした。語彙もそういう空気感を形成するのに上手く役割を果たしています。毀誉褒貶という四字熟語、軍記ものでしか見ない気がします。 捲土重来とか鼎の軽重を問われるあたりに次ぐ。
加えて秀逸なのは、リュカというキャラクターが物語に組み込まれていることにあります。まずもってリュカの登場と展開の関係上、実は根が良いやつということで上手く株を上げる展開があるというのが美味しいです。加えて、実質外様のような立ち位置であることから、主人公やミアを中心としたメンバーとは異なる立場の言葉が紡げます。
リュカを抜きにしてみると、主人公も含めて覇道のために全員覚悟が決まっています。このため、例えばあのタイミングでのシアンの決断に対しても誰も異を唱えることはしません。覚悟が決まっているがゆえに、他人の覚悟に水を差すような真似はしないので。そうした中で声を上げられるリュカというキャラクターがいるからこそ、物語が多面的に引き立つような印象を受けました。単純に、一番プレイヤーの目線に近いキャラクターなのかもしれない。
そして、そういったキャラがいるからこそ、それでも下さねばならない決断や覚悟が光るという面もあります。引き立て役としても優れていますね。
そういう意味でも、終章よりも好みなのはその前の章ではあります。やらねばならないことがあまりにも、あまりにもなので。父親もウージェニーも殺さざるを得ないのに、なめろうを殺すわけにはいかないというのも無常ではあります。覇道に対する合理としては確かにそうなのかもしれない。なめろう撃破時点では敵の手勢がいないので、捕縛で済ますことが十分可能であるという背景もあるかもしれませんが。
この戦いは誰で戦い、誰で倒すかによってもやり取りがあるのも良くて、可能な限りいろんなキャラに殴らせて様子を見ていました。ネームドはこのパターンが多いので、シナリオを諸々補完したい場合はいろんなキャラに殴らせた方が良いです。ロゼッタあたりは、そうしないと何も分からないキャラクター性をしているような気がします。
なお、筆者は個人的には最後のエンド分岐も含めて全部回収したかったんですが、最難関かつ最長の最終ステージを攻略しないと見れないのもあって二の足を踏みました。初見クリア時間とは言え5時間くらいかかったので。詰めても3時間くらいはかかりませんか、これ。
また、SRPGとしてもオーソドックスで完成度の高い仕組みとなっています。個人的には出撃ユニットが少ないことはむしろ好みで、ターンごとに考えるべきことが少なく済む上、成長厳選も最小限で済むので良かったです。
その代わりに、二正面作戦のような器用なことはできず、ステージ構成が基本的にほぼ正面突破や各個撃破になりがちではありましたが。ただし、援軍を出したり、ギミックを出したり、通路以外も作ってルートを分けたりと、可能な範囲で一直線の正面突破になり過ぎない配慮はあったように思います。最終ステージがさすがに一本道過ぎるのはご愛敬。
ステージが進むにつれて敵が増えていき、広くなっていくというのは難易度の表現としては良くて、段々と難しくなっていく印象をきちんと受けていました。とりわけ最終ステージは最初に見た時に笑ってしまうくらいには広く、最終局面であるという実感が湧くレベルのものとなっています。それにしたって広すぎませんか。
広すぎる弊害としては、特定オブジェクトで何が起きるかを調べるまでに時間がかかるというのもあります。例えば、6章の井戸が気になり、時間をかけて見に行ったら後々使うための回復装置だったということが後で分かるという具合です。基本的にルートはある程度自明に与えられているので、あまり脇道に逸れないのが良いのかもしれません。
また広すぎる故に、終盤のステージは平気で3時間くらい戦い続けることになるため、割と現実世界の持久力も求められます。いつでもセーブできるとはいえ、一気にやってしまいたいですからね。
なお、筆者はSRPGにおける厳選の仕組みについては否定的あるいは懐疑的です。SRPGの伝統あるいはFEの伝統なのかもしれませんが、ランダム能力上昇に意味を見出せていません。本当に運が悪いとクリアできなくなるのでロードしましょう、というのは割とゲームとしてどうなんだと思わないではないので。ポイントを与えて割り振らせた方が健全なように思えます。
閑話休題。この作品もその例に漏れず厳選はあるんですが、恐らくそれほど厳選しなくてもクリアはできそうな気配を感じました。筆者はシアンのSPしか上がらないのようなしょっぱい結果はリセットしていましたが、それ以外はそれほど拘らないで進めていても致命的に問題にはなりませんでした。その上で、アイテムをほぼ使わずに終えたので、その辺を駆使すれば何とかなる気はします。上位の難易度だとまた違うのかもしれませんが。
個人的には、隘路に上手く誘い込んでリュカを当てるプレイングを徹底していれば、ある程度の敵までは対処できる印象がありました。3列しか近場に無いなら各個撃破で一気に倒す方が大事ではありますが。
ちなみに、最終的には筆者のユニットではミアが一番育ちました。隙さえあれば回復しているせいです。エルベリーのレベルが69に対し、ミアは脅威のレベル93でした。そのおかげで回避と魔防が非常に高いユニットが出来上がったので、回復役にもかかわらずしばしばタゲを取って部分的に壁の役割を果たすこともありました。さすがに被弾すると痛いので最終手段ではあるものの、エルベリーの命が救われたケースがそこそこあったのも確かです。
個人的に一番運用上使いやすかったのはシアンで、序盤は貴重な遠距離攻撃手段、終盤は特殊行動も含めて諸々要となってくれました。そのおかげで、不在となる6章が一番しんどかったかもしれません。頼り過ぎていたかもしれない。
また、終盤加入とはいえモニカもまた使いやすく、その攻撃力で一気に沈める際に重宝しました。例えばウージェニーはパラメータ上は強かったんですが、モニヤの二連パンチの前では一発で沈む敵でしかありませんでした。
リュカもかなり重宝していて、特に敵の数が増えてくる終盤はリュカが耐えてくれないとどうしようもない場面が多い印象がありました。それもあって、リュカだけは厳選がやや強めに行われていて、運もあって全パラメータが平均値を上回る仕上がりとなっています。
一方で、一番扱いにくいのはジョットでした。消費が重く不確実性が高い上に、壁として出すにはもろいので扱いに困る印象があります。通れば強いとはいえ余り無駄に撃つわけにもいかないので、結局はシアンの下位互換みたいな使い方をしてしまっていた気がします。もう少し上手い使い方があったんだろうか。
SRPGの戦闘面で見ると、先述の通り全体的に長い印象は拭えないものの、面白いものではありました。
各ステージともに広くはあるんですが、各個撃破するパターンとフェーズ的に処理するパターンが上手くまばらに配置されているので、ずっと同じパターンで処理するといったことがありません。おかげで、ある程度変化があって飽きにくくなっています。
個人的にはラインを割ったら一気に押し寄せてくるタイプが難関に感じており、隘路に持ち込んで各個撃破するまで骨が折れます。盾を上手く利用してタゲを取って対処するのが大事。
なお、個人的に一番好きなマップは最終ステージではあるんですが、あまりにも長いので好きではあるけど二度クリアしたいステージではありません。200体くらい敵がいるらしい。
とにかく全体的に遊びやすくまとまった高品質なSRPGであり、かつ良質なシナリオが展開されるという良い作品でした。諸々硬派な作品だなというイメージがあります。
26. 訳アリ領主とヒミツの武器屋

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| パズル | はるしし |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 7時間 | 1.02 | クリア |
良かった点
- パズルとリソース管理が組み合わさった独特なゲーム性が楽しめました
- 加えて、システムが順次解放されていくので、慣れつつゲームを進められます
- ランダムの塩梅がちょうど良く、適度に運に振り回される設計となっていました
- それほどシビアではなく、適度に難しい難易度となっています
気になった点
- UIの見た目とゲーム性上、マウスで操作したくなりました
レビュー
武器屋はいつも自転車操業
訳アリ領主とヒミツの武器屋は、リソース管理とパズルを組み合わせた独特なシステムを使いこなすゲームです。
基本的なルールはシンプルで、武器を錬成して売却してお金を得て、そのお金で素材を買って再び錬成するというループを回す設計となっています。
武器の錬成にあたっては、パズルのような仕掛けを使うことになります。5x5のマスに素材が並んだ盤面に対し、マスの移動や入れ替えを行って3つ以上を繋げることで武器を錬成していきましょう。
そのパズルの特徴的な点として、素材の投入が原則的にランダムで行われるということが挙げられます。繋がって消えた空きマスや、任意のマスに入れ替える際にどの素材が選ばれるかは、予め各素材に対して決めた投入率を基にランダムで決定されます。このため、各マスに置かれる素材を完全にコントロールすることはできません。
素材に設定した投入率の調整である程度の制御は可能であるため、盤面を見極めて投入率を調整し、様々なパターンに対応できる適切な投入を心がけていきましょう。
なお、ここで投入する素材はお金を払ってクエストを発注し、一定時間経過後に得られるものとなっています。このため、素材をすぐに得ることはできません。より良い素材の取得ほど時間がかかる傾向にあるため、先々も見据えて在庫のバランスを加味して発注を行い、投入率を調整していくことが重要となるでしょう。
また、素材のコントロールについては、錬成で繋げる個数も重要な要素となってきます。先述の通り錬成は3つ以上繋げることで行えますが、いくつ繋げても錬成される武器は1つだけです。このため、4つ以上繋げてしまうと単純に素材の無駄となってしまいます。何も考えずに闇雲に繋げるだけでは、赤字になってしまいかねません。最小限で必要なものが接続するように、上手く盤面を組み上げていきましょう。
そして、こうしたマスの操作、入れ替え、錬成といった様々な操作には時間の経過が設定されており、1日の時間である3000を過ぎるとその日の錬成などは終了となります。ランニングコストこそないものの、特定の日数までに既定の数だけ依頼をこなさないとゲームをクリアすることはできません。目標を達成するためには、一挙手一投足も無駄にはできないでしょう。
適当に素材を入れ替えて無駄にしても赤字に一歩近づき、錬成を多重に繋げてしまっても赤字に一歩近づき、パズル成立に時間のかかる手数で武器を錬成すると時間的に割に合わず赤字に一歩近づきます。
お金を回し、依頼をこなし、確実に進行していくためには、様々なリソースを加味し、基本的にはランダムに構成されていく盤面を適切に制御していくアドリブ力が求められることでしょう。
上記の通り独特で、非常に複雑かつ考えることの多いシステムに浴することのできるゲームとなっています。しかし、まとまったUIと丁寧なチュートリアル、適切な機能解放と複雑さの上昇ペースのおかげで、自然に慣れていきながらプレイすることも可能となっています。
文字にしてみると複雑怪奇かもしれませんが、チュートリアルと共に遊んでみると意外と何とかなるものです。是非プレイして、その独特なゲーム性を体験してみましょう。
感想
3マッチ系リソース管理パズルという独特な味が楽しめる作品でした。一切見たことのないシステムというのは導入が一番大事なんですが、そのあたりも抜かりなく完備されているので安心して遊べます。まずはシンプルな状態から始め、ルールや仕組み、要素を適切に拡大してくれました。
そのおかげで、最初の内こそ割とざっくりやれますが、終盤は色々なことに目を配りながら考えてプレイすることになってきますし、その頃になればその状況に慣れた状態にもなります。
ゲームシステム的には運ゲーっぽい要素がありつつも、運をどのレベルで抑え込むかを考えながら盤面を構築していくのが面白いところです。
適当にやりすぎると盤面が汚くなって詰むので、丁寧に揃えたいところなんですが、あまりにも丁寧に揃えすぎるとそれはそれで大量に消えて勿体ないです。適度に散らし、適度に整える塩梅を探りつつ、あくまでもランダム要素の中でアドリブを利かしていく楽しさがありました。
この上で、単に盤面パズルの都合だけを考えるのではなく、きちんと探索リソースの管理までセットで思考し、先を見据えたプランを立てていく必要があります。作中でも触れられていますが、考えることが多いです。疲れるレベル。
とは言え、難易度としてはあんまり最適化することは求めていないようで、適度にミスを許容する気持ちでもクリアはできそうな印象がありました。
筆者は盤面を常に頭の中に作って、リスクを極力ヘッジする形で進めていたため時間がかかりましたが、そのおかげもあってか最終ステージまわりで全然依頼が来なくなりました。95日目くらいから暇になり、106日目からずっと暇です。
個人的には、最適化を程々にざっくりと詰める程度でも楽しめるようにコントロールされていたように思います。意外とファジー。そうでないと、運が悪かったり大きいミスをすると取り返しのつかないことになるので、さもありなんではあります。どうしようもなくなったら、セーブロードでガチャるという最終手段もあるかもしれませんが。
個人的に乱数のバランス感で好きなのは投入割合の塩梅で、絶妙にあてになりません。半、半、全でも半が多いことはざらにあります。結局目安でしかないので、あくまで参考値として盤面をコントロールする方に注視するモチベーションに上手くなっている印象がありました。これが頼りになってしまうと作業パズルっぽくなりそうです。
これのおかげで、乱数で得られた盤面を適切に整えながら、ままならない運に向き合っていくという独特なゲーム性を生み出していました。パズルとリソース管理の合いの子としてちょうど良い。
また、リソース管理のバランス感覚も良くて、序盤は無駄を削らないとすぐに自転車操業になります。とはいえ、カツカツのまま回していると強化できず直に詰んでしまうので、いかに無駄をなくして余剰に回して拡大再生産していくかということに始終できます。おかげで、綺麗に依頼を捌けると気持ち良い。
なお、個人的に気になるというか気持ちの話として、めちゃくちゃマウスでやりたいUIをしているなという感想があります。UIがほとんどスマホゲー系のそれっぽいというのもありますし、そもそも色々なものに代わる代わるアクセスしたくなるゲーム性をしているから、というのもあります。3マッチパズルだからというのもあるかもしれない。
慣れてくるとキーボードでも思い通りに触れる設計をしているので、慣れてしまえば問題はないんですが、初めの方は割と戸惑うのではないかと感じました。
フレーバー要素とは言えシナリオがあるのも良くて、適度に疲れた頭に対する休憩になります。これをぶっ続けて最後までやり切るのは結構骨なんですが、良い感じの休憩点としても機能していました。
全体的に、新しい仕組みを用意しつつ、それをきちんと遊ばせようとする整備の行き届いた作品でした。
27. 魔女学級のドタバタ探検記

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| RPG | abon |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間30分 | 1.00 相当 | クリア |
良かった点
- キャラクターが個性的で魅力がありました
- ユニークな戦闘システムが楽しめます
気になった点
- 弱点判明後は戦闘が単調になりがちな印象でした
- 階層の移動には確認が欲しかったです
- 不可逆な操作なので、ミスをするとやや困ります
レビュー
ゆるゆるドタバタ塔を攻略
魔女学級のドタバタ探検記は、突如現れたダンジョンを見習い魔女4人と一緒に攻略するRPGです。
プレイヤーは新米教師として、問題児だらけの生徒たちに戦闘の指示を出しながら進んでいくことになります。
プレイヤーはあくまで指示を出しているだけに留まっており、加えて問題児たちはどたばたと攻撃を重ねてしまうため、その攻撃の委細を知ることはできません。最終的に誰がどの程度のダメージを受けていて、どういう戦況になったかということしか分からないようになっています。
ただし、もしも魔法によって弱点を突けた場合はクリスタルを手に入れることができます。これはいずれかの行動が弱点であったことを示すとともに、このクリスタルを使うことで強力な魔法を使うなど様々な行動に発展させることも可能なものとなっています。
どたばたとした戦闘に勝利していくためには、上記のように得られた情報すなわち、クリスタルが手に入ったか、どれだけダメージが入っているか、こちらの被弾状況はどうか、といった総合的なデータを運用していくのが鍵になります。これらの情報を基に、敵の弱点はこの属性ではないかといった推測を立てていきましょう。
とは言え、道中の雑魚との戦闘では上記の推測はそこそこに、ごり押しが通用するかもしれません。しかし、塔の要所で現れるボス戦においては話は別です。きちんと計画立てて攻撃を行い、戦況を観察して最適な行動を選択していき、その弱点を突いていきましょう。
加えて、個性的な生徒との軽いノリで交わされるやり取りもまた本作品の魅力となっています。それぞれがそれぞれの頑張る理由を胸に秘めつつ、それはそれとしてコミカルに進んでいく物語を戦闘の合間に楽しんでいきましょう。
ブラックボックスな戦闘から弱点を推測し、適切な戦略を立てていくユニークな戦闘システムが特徴的な作品となっています。
カジュアルな物語の雰囲気を感じつつ塔を攻略していき、様々な強敵の弱点を暴き立てていきましょう。
感想
最初に断っておくと、筆者はかなり初期のバージョンで遊んだので現行のバージョンと相違のあることを記述する可能性があります。予めご了承ください。
ゲーム性についてはユニークで良く、戦闘がブラックボックス化されるという設計はパズルというか推理チックで面白かったです。それぞれのキャラクターの性格も手伝って、ドタバタやってるなということに説得力もあります。
きっちり攻略を目指すのであれば、まずは弱点を探るフェーズできちんと弱点を特定し、それを中心に残りのキャラクターを補助に回す、といったプレイングができるのも面白いです。戦闘ごとに役割を微妙に変える必要があります。
その上で、パズル的な推理要素としてみると、ダメージを見て解くのは割と難しくなっています。弱点を突くと恐らく1.5倍ダメージになるんですが、乱数によるブレもあるので正確にどれがどうなっていて、どこで弱点が付けたかを調べるのが難しくなっています。
これを避けるために各プレイヤーの攻撃性能をばらけさせることができれば、パリティで探ることが出来そうな気配はあります。しかし、それをやると弱点を突いたのが一番攻撃性能が低いキャラだった場合に目も当てられません。結局、上手いこと殴るキャラを変えるのが丸い気はします。
そして、弱点をこのような誤り訂正的に解くやり方が確立すると、それ以上の広がりが薄い点は気になっていました。ラスボスですらスフィアマナージュのような弱点変化をしてこないので、確定させてしまえば後はやるだけになりがちです。
呪えばコストをほぼ踏み倒せるので、あとはヒーリングして上手く叩くだけで勝利することができます。呪いが強いのかもしれない。正直、コスト1しか回収できないことも勘案すると最初のボスが一番強い気すらしてきます。
また、そのゲーム性の都合上、雑魚戦が手間になるという点も否めません。それもあって、下手に弱点を探るというよりも適当に4属性攻撃をぶっ放す方が楽な印象がありました。ゲーム性の都合上、攻略法を確立したらそれほど奥行きが無い点も含めて、雑魚戦はいっそ無くても成立していたような気もします。そうなるとハクスラっぽい要素が薄くなるので味気無いかもしれませんが。
あるいは雑魚戦がもっと軽くこのシステムを使い、ボス戦はトリッキーにこのシステムを使う、と言った差別化があれば個人的には嬉しかったです。ボス戦がほぼ雑魚戦の延長なので。
そういう意味では反射と吸収があったのはこのゲームの優れている点で、相手のダメージ状況とこちらのダメージ状況を見て推測するという拡張を見せていました。欲を言えばこの手のギミックが無数にあって、ボスはさらに追加でギミックがあるくらいの豪華さがあると嬉しいんですが、そんなにポンポン新規要素が出るものでもないので難しいところです。
筆者だとせいぜい、全属性ぶっぱが安定過ぎるから禁忌肢的なものがあり、触ると強力な攻撃が返ってくるとか、弱点のトレードをするからこっちの弱点の変化で推測するとか、前述の弱点変化とか、特定属性の攻撃を受けるたびに特定属性に変化するとか、こちらのスキルをシャッフルしてくるとか、逆にこちらのスキルを隠して様々な要素からスキルを推測させるとか、そのあたりしか思いつきませんでした。実装難度を考えても難しそうですし、一発ネタにしかならなさそうですね。アイデアは難しい。
ただ、このシステムのメリットもあり、そこまでギミック強めの攻略性をしていないため、レベルを上げればクリアできるという戦闘バランスに収まっています。
シナリオも含めて割と緩めの物語のため、ここで戦闘だけ尖っているとそれはそれでバランスが悪いです。このゲームは上記のざっくりした戦闘システムのおかげでその辺のトゲは無く、丸く遊べるゲーム性に仕上がっているなと感じました。筆者が尖ったゲームが好きすぎるだけかもしれない。
閑話休題。前述でも若干触れましたが、キャラクターの緩さとシナリオの緩さは個人的に好きです。こういう緩いやり取りが一番良い。キャラ付け自体はその口調も含めて割とオーソドックスよりではあるものの、上手くその個性を活用してドタバタ劇を演じているように感じました。全員がちゃんと魅力的なのが良いですね。その語り口で落ちこぼれサイドなことあるんだ。
このあたりは畑から始める魔法薬学入門全体の雰囲気とか、霧の街の迷宮譚の三女神の雰囲気とか、その辺に近いものがあります。軽いノリの作り方が巧い。
ともかく、敵の弱点を推測して突くが、そのために必要な情報はしかしかなり不透明であるというシステムは好みな作品でした。前述の通り、個人的にはもう一歩ギミックがあると好きなんですが、これはこれで緩く楽しむにはちょうどいいという節もあります。あんまり複雑すぎても敬遠されますしね。
そういう意味でも、キャラクター同士の緩いドタバタしたやり取りを見ながら軽いノリで進めるという観点で見ると好きな作品でした。肩肘張らないほうがきっと楽しい。
28. Ayaのホームページへようこそ!

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 謎解き | 苺いちえ |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間 + 30分 | 1.03 | 全END + 4 |
良かった点
- 当時のホームページを強く想起させる優れたデザインでした
- 質感の再現度が異次元に高いです
- 良質な謎解きを楽しめました
- 導線や流れが丁寧です
気になった点
- 特にありません
レビュー
蘇るあの頃
何はともあれ、まずはサムネイルをご覧ください。
ここに言葉では言い表せないときめきみたいなものを感じたのであれば、是非ともプレイしましょう。
Ayaのホームページへようこそ!は、とあるホームページに隠された秘密を探っていくARG風味の謎解きゲームです。
ゼロ年代の雰囲気漂うホームページを軸に様々な情報を引き出していき、推測を重ね、ある謎を解いていくことになります。
この作品における特筆すべき点は、当時のホームページの質感を高いレベルで再現していることでしょう。
単色を背景としてテーブルを多用したシンプルなサイトの質感から、フレームを使った凝ったデザインを嗜む個人サイト、あるいは学校の素朴な公式サイトの質感まで、その空気感がすぐそこにあるようにすら感じられるクオリティで描かれています。
まるであの頃にタイムスリップしたような感覚を味わえることでしょう。
そうした個人ページにある在りし日のBBSやバナーリンクを辿っていくことで、プレイヤーはAyaについての情報を少しずつ知っていくことになります。サイトに隠されたものとは何なのか、そこから導き出される物語の結末はどこに向かうのか、それを知るためにもハイパーリンクとテキストの世界を巡っていきましょう。
謎解きの難易度は決して高くはないものの、推測して考えること無しでは辿り着くことは困難なものとなっています。サイトから得られた情報を整理し、もしも詰まってしまったらヒントを使って、その真実へと到達していきましょう。
そうして謎を解くことで紡がれていくシナリオは、個人ページを能動的に巡って情報を集めていくというその過程も含めて完成されるものとなっています。謎を解くために拾い集めた情報がそのページの先にいる誰かを知る一歩となり、やがてそれがエンディングに繋がる一歩となります。
積極的に個人ページの世界に潜り、その世界を体験しつつも謎を解き明かしていき、全てが明かされるエンディングへと辿り着いていきましょう。
感想
ARGめいた謎解きが良い作品でした。メールの部分さえどうにかすれば割と現実的にARGでもできそうです。ウディコンにおいては外部プログラムの利用が禁止なので、どこまでが外部プログラム扱いになるかのチキンレースにはなりそうですが。同梱せずに適当なページに誘導したうえで、JavaScriptを実行させるのはセーフなのだろうか。
こういったゲーム性は難しくしようと思えばDs試験のように際限なく難しく出来るジャンルだと思うのですが、この作品の難易度はかなりカジュアルめなので楽しんでプレイするのにはちょうどいい作品となっているのも良いところです。コンセプトというか、誰が作った謎という設定なのかということにも整合しています。
そして特筆すべきは何と言ってもホームページの完成度です。2000年代の亡霊かのごときクオリティをしています。自作ホームページとしての質感が異常に高いです。学生の頃の課題でこんな感じのページを作った記憶が蘇りました。
個人的に最も質感の再現度が高いと感じているのは、それぞれの制作者に応じたWebサイトのデザインです。やたら凝ったページを作る人はBGMを流したりframesetを使ったり、文字の詰め方を変えたりと良く分からないこだわりを込めがちです。学校のホームページの質感も高く、簡素なつくりと青丸のような選択要素のデザインになぜか見覚えがあります。どこの学校もこんな感じだったのかな。
もちろん、メインとなるAyaのホームページもそういう雰囲気が強くあります。一昔前のWebマンガを連載しているページとかこんな感じでした。うろんなページとか侠とか、あの辺の質感があります。
また、ブラクラやらスクリーンセーバーやらの要素も当時の雰囲気を表していて良かったです。マウスカーソルが砂時計になるのには感動をすら覚えました。そう言えばいつからか見なくなった要素です。こういう記憶の端にあるけど引き出せない絶妙な要素が次々と引き出されていくことで、強く懐かしさを覚える作品となっています。
そうしたインターネット老人にはキャッチ―な見た目で引きつけた後、ゲーム性というか謎解きは非常に丁寧かつ面白いのでそのまま引き込まれてしまいます。
とりわけ導線がかなりうまく機能しており、段階を踏んでエンディングに到達できるようにきっちり整備された謎解きを楽しむことができました。特に情報の繋げ方が上手く、出席番号順などの情報の出し方や、そこからの確定要素の揃え方であったり、ソリスト、吹奏楽部、事故死のような推測のための流れまで、全体設計の完成度が高いです。前述した通り、いたずらに難しくするのではなく、情報をまとめて少し考えると分かる難易度に抑えられている点も優れていました。
そうした謎解きに付随したシナリオの塩梅も良くできています。シナリオそれ自体を語る文章はほとんどないものの、ホームページという静的なものを読み取っていく過程でそのパーソナリティを垣間見ることができます。それがそのままシナリオへと接続し、見た情報に応じたエンディングへと繋がる構成となっていて無駄がありません。謎を解くために情報を見て回り、それらを一字一句確認することで、より強く印象に刻み込まれていきます。
さらに、シナリオあるいはエンディングとしての転換も上手く行われているため、次のエンディングを見ようとするモチベーションを常に高いものにしてくれます。このホームページにある秘密とは何なのか、それが真実なのか、本当に起きていたことは何なのか、興味駆動でゲームをどんどん進められる魅力がありました。
ちなみに、筆者はゴミを4つ見つけています。後6個もあるらしいです、本当ですか。探索要素が好きならこれを集めるというのも面白いかもしれません。ヒントが無いのでこっちの方が難しい。こういうおまけ要素が十全に搭載されているという点も、このゲームの完成度の高さというか余裕、あるいは奥行きの広さを感じさせてくれます。
古式ゆかしきインターネットに見覚えがある人がホイホイと来る誘蛾灯であり、謎解きのゲーム性という蜜でホイホイ来た相手をつかんで離さない作品でした。ハートキャッチだ。
余談ですが、ホームボタンが他人のホームページに繋がっているの、冷静に考えておかしい気がしてきました。変人なのか何か意味があるのか。
29. ゴートマウンテン スラムロード

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| ADV | ハニーナゲット0508 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間 | 1.1相当? | ノーマルクリア |
良かった点
- 独特なイラストが緩い雰囲気を醸していました
- バラエティ豊かなイベントが用意されています
気になった点
- 運の要素が極めて強いです
- 難易度を調整しても運要素の緩和が恐らく行われないため、あまり難易度に変化を感じませんでした
- ラストバトルについて作業の側面が強くなっています
レビュー
ヤギは進むよどこまでも
ゴートマウンテン スラムロードは、ランダムイベントをこなしながら進んでいくノンフィールドADVです。
戦闘要素が多少含まれてはいるものの、主にはバラエティ豊かなイベントの数々をこなしていくことに重きが置かれた作品となっています。
プレイヤーは基本的にヤギを眺めながら、都度発生するイベントの選択肢を選んでいくという流れに乗ってゲームをプレイしていくことになります。
選んだ行動によってはヤギのライフが削られたり、体温に変化が生じたりします。そうしてライフが無くなるか、体温が極端な値になるとゲームオーバーになってしまうため、それを避けるべく選択を重ねていくことになります。適切な選択を選び続け、リソースを温存してゴールを目指していきましょう。
とは言え、ほとんどのイベントはランダムに発生するものであるため、完全な予測や攻略は困難を極めます。時にはヤギを襲う過酷な運命の数々に翻弄され、何の手立てもなくゲームオーバーに直面してしまうこともあるかもしれません。
クリアを目指すのであれば、イベントの把握はもちろんのこと、ある程度の運を要求されます。人事を尽くして天命を待ちましょう。
また、そうしたイベントの数々を彩る緩い雰囲気のイラストや、ビビッドな色遣いの画面構成もこの作品の大きな特徴の一つとなります。シュールな展開も多い様々なイベントに対して非常にマッチした絵柄となっており、その独特な雰囲気に浸れること請け合いです。
クリアを一生懸命目指すというよりは、ヤギが色々な目に遭う様を眺めようという気持ちにさせる、不思議な印象を与えてくれる雰囲気が醸成されています。
ともすれば理不尽にすら思えるランダムイベントの数々も、その画面の緩さとヤギのリアクションを見ていると何故だか納得できてしまう、そういった独特な空気感を漂わせた作品となっています。
適度に選択肢で干渉しながら、ヤギの挑戦を眺めてみてはいかがでしょうか。
感想
半分くらい放置ゲーに近い運ゲーという印象です。リソース管理の側面と、イベントごとの最適解を覚える要素が無いわけではありませんが、それ以上にランダムイベントの引きが攻略を左右します。マンホールが連続で飛んで来れば、どんな努力も水泡に帰すので。
最後もかなり運要素が強く、狼を引かずにカラスを引けさえすればクリアはすぐそこにあります。カラスはかなり優秀であり、HPがたとえ1であってもHPを20にしてくれます。そういうものなのだろうか。反対に、畳みかけるようにダメージが入るようであれば、その周回のクリアは割と絶望的になります。
なお、難易度選択の要素があるため、イージーにすれば緩和するのかと思っていましたが、プレイしてみた印象としてはさほど変化はありませんでした。恐らく難易度選択による変化が、このゲームにおける最大の障壁であるイベントに対して効いていなさそうなことが主要因ではないかと感じています。結局、イベントが全てなので。もしかしたらちょっと確率が改善しているなどはあるのかもしれない。
ただ、そういった要素はこのゲームのある意味オマケ部分でしかなく、本質的にはヤギがひたすら路を突き進み、様々な艱難辛苦にさらされていくイベントを眺めていく部分なのだろうと思っています。そしてその側面においては、このゲームは強く雰囲気を醸成することに成功していました。
緩くシュールなイラストと、独特かつ予想外のイベント、それぞれが強く個性を演出しています。ゲームとしての唯一無二性はかなり強めでした。そういう意味でも、イラストが未完成なものが散見されるのはやや気になる所ではありますが。
ともあれ、それを踏まえて改めて見ると運ゲーであることにも不思議と納得感があります。ヤギが不幸になる様を眺めるゲームなのかもしれない。キュートアグレッション。
話をシステム面に戻すと、プレイヤーのリソース管理のシステムとして体温管理が導入されていますが、これもまた運要素が強く出ています。
概ね体温を上げたほうが安定する印象はありますが、一度雨が一切降らずに上がり切って終わったこともあるので、結局のところは飛んでくるイベント次第のケースバイケースとなっています。なので、プレイヤーの目線で見ると、上げるべきか下げるべきかは判然としません。
また、クリアの最後の障壁であるラストバトルについては、絶対に倒れないスラムドラゴンと共にHP1200の狼を殴り続けることになります。ここに関してはイベントもイラストも特にないため、割と純然たる作業となってしまっている印象でした。
道中で起きていたイベントが起きるなど、そういったハプニングも無いので、キーを押しっ放しにするくらいしかやることがありません。
ゲーム性を楽しむというよりは、運に身を任せてゲームの雰囲気を楽しむのが良い作品です。クリアを目指すよりも、ヤギが色々な目に遭っているのを眺めるくらいの心持ちで緩くプレイするのが良いように感じています。
その上で、ちゃんとイベントを把握して良いイベントを上手く引ければいつかは最後まで行けるはずです。筆者は7回目で到達できました。その時が来るまで楽しむのが乙な作品です。
30_スーパーウーパールーパー
| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| アクション | 朝倉くもり&亜蟹 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 45分 | 1.02 | クリア |
良かった点
- やや難しくも、見た目ほどは難しくないちょうど良い制御能力を持った水中アクションでした
- ステージデザインがバラエティ豊かなものとなっています
- 各ステージの特徴となるギミックが上手く作用していました
- 強めにデザインされたボスの難易度が良い関門として機能していました
気になった点
- たまに処理落ちしかけることがありました
レビュー
水中アクション百般
スーパーウーパールーパーは、ウーパールーパーを操作して水中を進むアクションゲームです。
基本的にステージは水中のため、ワンボタンで浮遊と沈降をコントロールしてステージをクリアしていくことになります。
各ステージには、そのステージを特徴づけるギミックや敵が配置されており、攻略にあたってはこれらを上手く捌いていく必要があります。トゲを初めとしたユニークなギミックは水中のZキーの上昇と自然下降で上手くかわし、相対する敵はXキーの泡攻撃で倒していきましょう。
もちろん、ステージが進むにつれてギミックや敵の難易度は上がっていきます。操作に習熟し、水中の挙動に慣れ親しむことがステージクリアの近道です。水中挙動をマスターし、数々のギミックを攻略していきましょう。
さらに、各ステージの最後には強力なボスが待ち構えています。ボスもまたそれぞれバラエティ豊かな挙動と攻撃手段を持っており、同じ攻略法で倒すことができる相手ではありません。
ボスの攻撃パターンを見極め、敵の攻撃を避けるべくは避けて、こちらの攻撃を当てるべくは当てる、そういったオーダーメイドな攻略法の確立が重要となってくるでしょう。敵の行動をよく観察し、会得した水中挙動を武器に打倒していきましょう。
このように、バリエーション豊かなステージと、めいめいが異なるボスといった、各ステージの特色が存分に演出されたアクションゲームとなっています。
常に新鮮な気持ちでステージと向き合いながらも、独特な水中挙動に習熟を重ねていき、難敵や難所を打破していきましょう。
感想
上下移動がワンボタンという、水中アクションの難しさを詰めたようなアクションゲームです。Flappy Bird とかもこの系譜なのかもしれない。オリジナルと呼ぶべきなのはスーパーマリオなのでしょうか。この作品のタイトル的にも、そちらに対する本歌取りかもしれません。
ただ、このゲームでは中間浮力というか位置を固定しているフレームが割と長めに取られている印象があるので、見た目よりは難しくない仕上がりになっています。コツさえつかめばまっすぐ進むこと自体はそれほど難しくありません。個人的には動かしやすくて嬉しい調整です。
ステージデザインについては道中がバラエティ豊かとなっていて、遊んでいて飽きない構成となっています。
この手のゲームでよく使われるとげとげコースという手札を早めに切った上で、それ以外のバリエーションもきっちり用意されているというのが巧いところです。個人的には地上面を織り交ぜているのが面白く感じています。地上ではウーパールーパーは攻撃すらできない木偶なので、また異なったプレイ感で遊べます。
それぞれのステージの特徴を出している各種ギミックについても良く出来ていて、基本的に初見で何をすべきかがある程度明瞭に分かるデザインとなっています。筆者は爆弾だけ初見で食らいましたが、あれだけ音が鳴っていて、変色した岩まであるのに避けられなかったので自分が悪いと思っています。あんなに危なそうならさっさと逃げよう。
加えてボスの設計も秀逸で、それぞれの性能にきちんと変化を付けています。攻略しがいがある。個人的に強いと思ったのは2面ボスとラスボスでした。筆者がゲームオーバーになったのはこの二体の時だけで、特にラスボスが強く感じました。ちゃんとラスボスが強いゲームは良いゲームです。
まず2面ボスですが、追従性能がかなり高いため、振り切って戦うのがかなり難しいところに難易度の肝があります。個人的には、電気の状態でいかに被弾せず殴れるかが勝敗を分けるポイントであるように感じていました。電気の火力はかなり高いので、序盤にこれを限界まで叩き込んで体力差の勝負に持ち込めれば勝機はあります。
ただ、後続ボスを初見で倒せた割にこのボスに何度か苦戦したので、単に筆者が何かに気付いていない可能性もあります。
続いてラスボスですが、こちらはむしろきちんと避けることが大事です。パターン化して被弾を最小限に抑えないと勝ち切ることは難しくなっています。
こちらも電気の最大火力を可能な限り当て続け、その後は被弾を避けた立ち回りで少しずつ削っていくのが良いように思います。とはいえ、1ループ目にある細かい弾は避けられたらラッキーくらいの難易度に感じているので、ジリ貧だと負けがちです。殴れるポイントでは確実に殴っていくための慣れが必要そうに思いました。
なお、バージョンを見てわかる通り、筆者は難易度のナーフや初期技の強化があった状態でプレイしているため、そのあたりの調整があったからクリアできている側面は否めません。最終的には残機が2桁残っていたとはいえ、ナーフ前で2面ボスやラスボスに勝ち切れていたかについては、はなはだ怪しいと思っています。
個人的には現在くらいの「ふつう」難易度がある程度達成感がありつつ、クリア不可を感じる焦燥感を覚えない程度で好みではあります。「むずかしい」というか、かつてのデフォルト難度の方はレトロゲームでお馴染みの緊張感のある難易度だったのかもしれません。それはそれで好きではありますが、クリアできるかはまた別の話。
ちなみに、シナリオはフレーバーという感じで、世界観というか雰囲気を構成する以上の役割は持っていません。この辺りもレトロなアクションゲームという印象が強いですね。なんでウーパールーパーが主人公になったのかとか、そういうことには一切の理由付けはありません。そこにウーパールーパーがいたからに他ならないので。
ともかく全体を通して、水中アクションという幅が決して広がらないであろう骨子に上手くギミックを乗せて短編のアクションとして仕上げている作品でした。アクションにバリエーションを出すことが強く意識されているような設計のため、最後まで新鮮に楽しんでプレイできるゲームです。
31. End Of The Lost World

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| RPG | 霞流 薺 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 40分 + 20分 | 1.10 | True End |
良かった点
- 世界観の表現が良かったです
- システムも併せて上手く表現されています
- シナリオに強いフックがあり、最後まで読ませるものとなっていました
気になった点
- 行く場所に対する説明が薄いことがあります
- 例えば神殿と言われても、最初はどこを指すか分かりませんでした
- 最終戦について、ライトニングを連続で撃たれるかどうかで難易度が大きく変化しています
レビュー
4つの地、1つの世界
End Of The Lost Worldは、ある4つの地を世界を救うために巡る短編のRPGです。
ただし、敵の出現数が固定化されていることもあり、ほとんどアドベンチャーのようなプレイ感となっています。
プレイヤーが巡ることになる世界には、色、音、時、光がそれぞれ欠けた地があり、それぞれに神殿が存在しています。
それぞれの地では、その欠けたものに適応した住人達が住んでおり、その中には神殿に対応する聖女がいます。彼女らと交流し、その力を借りつつ、主人公は各地の神殿を巡っていくことになります。
そうやって展開されていくシナリオはいくつもの転換点を経て進行していき、やがて全ての神殿を巡り終えた後にいくつかの結末へと収斂していきます。
その独特な世界観に浸りつつ、いくつかの戦闘を重ねて、その終わりへと突き進んでいきましょう。
感想
世界観が良く、とりわけ世界の性格付けが良かった作品でした。何かがおかしい世界を構築する際は、異物にフォーカスを当てて思考実験的に組むと面白いというのは古くは寄生獣やDEATH NOTE、最近ではハイパーインフレーションなどの作品から明らかなのですが、この作品の世界の構築もそういったものに根差してあります。
色の無い世界、あるいは彩度のない世界では明度の違いで判別する能力が養われるとか、手話ベースの世界の言葉に柔軟性が無いこととか、時の無い世界では滝が通行できないものとなっているとか、そういう世界として上手く描かれている印象がありました。時が止まってるなら空気も止まってるから動けないというのは野暮。
加えて、システムとしてもその世界を表現してあり、ゲーム画面や音声を通してプレイヤーにも体験させているのも良いです。ゲームであることが最大限に活かされています。システムとそれぞれの住人の会話や表現をもって、世界観が上手く形作られていました。
そういう意味でも、個人的には心音が聞こえる演出は音の無い世界ではカットして欲しかった気もしますが、演出上意味が強いので残ったのでしょうか。
なお、個人的には一番生存が厳しそうなのは光の無い世界ではないかと考えています。時はその性質上、そもそも生死やら何やらが埒外にあるので除外するとして、他の世界に比べて段違いに厳しい世界になっています。というか、ほぼ色の無い世界をより悪くしたものとすら言えます。
最後の重要人物がそこに居たというのは、単にその性質上都合が良いからという以上に、そういう意味があったのかもしれません。
閑話休題。システム面で言うと、たまに説明が分かりにくくて迷うことはあるものの、概ねまっとうにRPGをしています。戦闘面ではヒールと深呼吸で全回復できるので、戦闘後全回復でも良い気はしますが、戦闘自体がそれほど多くならない設計なので気になるレベルにはなりません。
個人的に一番苦労したのはラストバトルで、ライトニングを撃たれるかどうかのゲームに始終していた印象がありました。意志が使えるとはいえ、ライトニングを3連打してくると自動回復とヒールを合わせても間に合いません。本当に戦闘難易度は低めなんですか。
その直前に長めのイベントがあるのも大変で、運ゲーを迫られた後にスキップできないイベントを見ることになるので時間がかかってしまいました。
ちなみに、悪い乱数を引くと3連打を必ず打ってくるので、そういう時はメニューでヒールをして乱数調整するのがお勧めです。
そういったシステム面はさておき、シナリオと世界観、その表現は素晴らしい作品でした。最初の聖者も含めて良い人である側面を強調した上で、主人公の所業をまざまざと見せつけるというシナリオ進行も良いです。ちゃんと主人公が悪魔的所業をしている。何故こんなことをしているのかというフックとしても良いですね。
32_白雛芥子の夢の果てに
| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 探索ADV | flote |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間30分 | 1.03 | クリア |
良かった点
- 相異なる独特な夢の世界のいずれもが魅力的でした
- ギミックから演出まで多様なものとなっています
- スリルと緊張感が適度に感じられるホラーでした
- 音の使い方が良かったです
- 不穏な良いシナリオでした
気になった点
- 謎解きの作中ヒントがやや薄めに感じました
- その分、外付けでヒントが同梱されているので困ることは少ないとは思います
レビュー
目を奪われるは悪夢の世界
白雛芥子の夢の果てに は、様々な悪夢の世界を巡って記憶のかけらを集めていく探索アドベンチャーです。
脅かしや追いかけっこといったホラー要素もやや含まれた構成は王道に忠実なものに仕上がっており、完成度の高い作品となっています。
全体がオーソドックスな設計の中でとりわけ特徴的な点として挙げられるのは、巡ることになる悪夢の世界の多様さです。6つの異なるモチーフからなる世界は、それぞれに存在するギミックはもちろんのこと、演出から雰囲気まで全く異なるものとして表現されています。非日常的な赤い空の下にある世界もあれば、パイプひしめく人工的な世界もあり、道路がつぎはぎされて作られたようなカオスな世界もあれば、調和の取れた和の世界もあります。
こうした全く相異なる独特な世界でありながら、いずれの世界も構成や演出の力によって、魅力的でありながらどこか不穏な雰囲気を漂わせるものであることは共通しています。その不穏な空気に心を強張らせつつも、悪夢の世界に没入できること疑いありません。
その様々な世界を巡り、記憶のかけらを集めていくことで、徐々に主人公の身に起こったことが分かっていきます。この悪夢はどういった意味があるのか、それらは何を伝えるものなのか、全ての記憶のかけらを集めた時、全ての真相が明らかになります。
是非とも、恐ろしく、不可思議ながらも魅力的な悪夢の世界を巡っていき、その真相に近づいていきましょう。
感想
探索ホラーとしてクオリティの高い作品でした。筆者の偏見として、探索ホラーは廃病院やら館などの何らかの舞台を決めて、その上で展開するケースが多いように思っています。しかしこの作品は悪夢をベースに全く異なる世界をいくつも構築し、最後にそれらがつぎはぎのように渾然一体となって現れます。
それぞれの世界のいずれもが全く異なるものであり、かついずれも印象に残る品質の高い世界であったからこそ、最後の演出が光っていました。
ひとまずシステムについて触れておくと、謎解きや追いかけっこ要素を含むオーソドックスな設計になっています。個人的に一番難しかったのは神隠しで、それなりに意図をエスパーしないと解けない気配を感じています。ほぼノーヒントで連続文字数分だけ移動する鳥居については攻略したというよりも、色々と試していたら解けたという感じになってしまいました。
これに限らず、全体的に謎解きはフィーリング気味なところはありますが、ある程度探索アドベンチャーに慣れていると解きやすくはあります。そうでなくても、攻略の手引きが同梱されているので迷うことは恐らくありません。親切。
なお、追いかけっこも含めてそこそこトラップがあるのですが、難易度自体はそこまで高くありません。初見でもほぼ食らうことなく最後まで行けました。たとえ少し食らってしまってもある程度はアイテムでカバーできるのも良く、何度もリトライするようなことにはなりませんでした。
とは言え、追いかけっこ周りのパートはシンプルで味気ないものでは無く、きっちりスリルと緊張感のある範囲には収めています。多分に世界や演出による雰囲気の効果が強く出ている印象がありました。
なお、セーブとしてベッドが用意されているのですが、個人的にはややテンポが悪いのが気がかりでした。何度も使うようなものでは無いので、恐らく演出的な方向に振っているものと思われますが。
シナリオについては、中盤あたりから薄々察せられる面があるとはいえ、どういう結末を辿ることになるかまでは読み切れないので最後まで注視できるものとなっています。
個人的にはそれぞれの世界が暗示しているものを紐解きたくなる雰囲気の良さが好みで、演出も含めて良く作り込まれた世界だからこそ、その描写一つ一つの意味を色々と考えたくなるものがありました。シナリオ自体は受動的にも楽しめるものなんですが、能動的にいろいろと見たい気持ちにさせる雰囲気があります。
また、その上で全体に遍在するホラーの雰囲気も良いものです。定期的にホームや日常風景という明るめの世界を経由することもあって、より一層その異質さが際立っていました。とりわけ近寄ると音が鳴る演出がかなり効いていて、恐怖の演出に強く作用しているように感じました。やっぱり音って怖い。
さらに、各ステージごとにギミックが異なるのみならず、恐怖の性質もまた変化しているのも面白いところです。端から見れば恐怖するものが見受けられないステージすらありますが、それがむしろ緩急として効いているような印象がありました。
個人的には世界が荒廃したのちにラームがぐったりしているなどの細やかな演出の良さも好みです。こういう演出をきっちりしてくれるからこそ、最後にエンドロールが流れて終わる演出に納得できるものがあります。ゲーム性のすべてを使って表現を完成させるであろう信頼が積み重なっていました。
通常タイトルが上から下、エンドロールは下から上であることにもきっと意味があるのでしょう。黄泉平坂の上り下りは諸説あるようですが、下りが現世の解釈の方を取るならそうやって見ても良いかもしれません。
エンディングやその周りの解釈も色々とすることができ、各々の記憶の意味まで広げるとプレイヤーによって変わりそうな印象すらあります。最後の行為が夢であるというか、あくまでも意識を手放す儀式であろうことは相違なさそうですが。病院の屋上にそんなに都合よく穴は無いし、そもそも死因ではないですし。今際の国のアリスみたいなものなのか。
その上で、各々の記憶については以下のように解釈しています。なお、水辺、雷鳴、死神、黒煙、帰路と神隠し、赤い空は順不同と捉えています。
雷鳴、黒煙あたりは事故そのもののメタファーのようにとらえています。天候が悪化して事故が発生したのか、滑落後にバスが炎上でもしたのでしょうか。雷鳴の迫る危機、どうか何も変わらないでというあたりにその空気を感じます。また、黒煙の孤独を見る限り、そして一人だけこの夢に囚われていることを見る限り、たまたまバスの外に投げ出されるなどしたのかもしれません。
そうであれば、赤い空におけるサイレンが聞こえていたのではないかという推測も成り立ちます。夕方だったのか、あまりの凄惨さを赤い空として見ていたのかは定かではありませんが。個人的には、シノが最後に見せた赤い顔を本当に見たそれであると解釈しているので、後者っぽい印象があります。
その上で、水辺、死神あたりは死のメタファーとして捉えています。後者は直截的なのでともかく、前者も日本的には死のイメージが付きまとうものなので。夢を見るという行為を続けているような状態である事、そのことに疲れていることから、葛藤は死の受容に対するものなのかと考えています。未知なるものへの恐れもそれに近そう。
一方で水辺はあんまり解釈できている状態ではありません。ただ、川ではなく水辺であることから、死の間際なのかなと解釈しています。六文銭は支払っていない。皆は向こうにいるのに、自分一人だけまだ水辺にあることの罪悪感なのでしょうか。
最後に帰路と神隠しがあるんですが、これが一番良く分かっていません。帰路は帰り道を指しているとして、いずれに帰るものなのでしょうか。水辺を彼岸と捉えてよいのであれば、帰路は此岸へのもののようには思います。頼るもののない状況というのもまた、これに合致するかもしれません。此岸には誰も居ないので。
その上で、神隠しが良く分かっていません。本来は全員が一斉に彼岸に行くところ、一人だけこちらに取り残されたことを指しているのでしょうか。
といったように、諸々解釈して楽しむのも良い作品です。
その上で、上記のように描写をこねてどこにでもくっつく膏薬を付けていくようなことをしなくても、それぞれの夢の世界を探索するだけで楽しいというのも個人的にはお勧めしたいところになります。先述のように、多様な解釈を引き出してくれるのは、見目に優れた様々な顔を見せてくれる世界の在り方によるものが大きいので。不穏さの表現はいくつもあるのだなと感心させられました。どういう楽しみ方をしても良い作品は良い作品ですね。
なお余談ですが、筆者はreadmeをちゃんと読むタイプなので微妙にネタバレを食らいました。とはいえ、こういったジャンルは配信向けなこともあり、その配慮は概ね正しい気もします。
33. 1969年のゼロデイ

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| アクションRPG | 雪見大介 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 2時間 | 1.30 | コンプリート |
良かった点
- アクションを楽しむために特化したゲーム構成となっていました
- 終盤のボスは歯応えのある強敵となっていました
- 主人公のキャラクター性が良いです
気になった点
- 葡萄館、2F奥に何もない謎の空間がありました
レビュー
ごく普通の女の子による剣と銃のアクション
1969年のゼロデイは、剣による近距離攻撃と銃による遠距離攻撃を使い分けて戦うアクションRPGです。
東京に来たところで事件に巻き込まれたごく普通の女の子が、持ち前の知識を使って剣と銃で怪物を倒していくことになります。
怪物は町のいたる所を徘徊しており、これらを排除しつつ探索していき目標地点を目指すというのが主な流れとなっています。武器に対して残弾数や耐久値のような概念はないため、相対する敵と思う存分戦うことができます。どんどん怪物を排除していきましょう。
また、そうして怪物を倒すとお金が手に入り、これを用いて装備を充実させていくこともできます。それぞれの武器は範囲や特徴、威力などが異なっています。状況に応じてより強い武器に取り換えていきましょう。
こうして怪物を倒し、武器を整え、探索を進めていくと、最後にボスと戦うことになります。シナリオが進むごとに強力になっていくボスに勝利することは、アクション的な立ち回りの上手さだけでは徐々に厳しいものとなっていきます。敵の行動を観察して把握し、適切に弱点を突く装備を用意するといった準備を怠らないことが肝心です。
持てる力を全て動員し、足りないものは探索で補強して、難敵に挑んでいきましょう。
このように堅実なアクションとして完成されているシステムに合わせるように、シナリオもまた硬派なものとなっています。
普通の定義を見失うほどに落ち着き払った主人公を軸として、怪物に襲われた町の救助活動を進めていく中で大きな陰謀と相対していくという展開が、非常にテンポ良く進行していきます。
その結末を見届けるためにも、近距離と遠距離を使い分けるメリハリのあるアクションで怪物どもをなぎ倒していきましょう。
感想
堅実なガンアクションでした。近距離攻撃もありはするんですが、近づくと被弾することが多い上に残弾数が無限なので基本的に遠距離のガンを使うことになります。何なら、必殺技すら振らずにガンで処理する方が良い時すらあります。一方で、強敵やボスには近距離攻撃や必殺技を使うべき機会が多く、その辺のバランスは上手く取られている印象がありました。
また、アクションとしての操作性も良く、概ね直感的に操作可能なものとなっています。
RPG的な要素としてはシナリオに伴う目的地の更新と、敵を倒したお金で装備を更新していく部分があるかと思います。
後者については、適当に湧いてくる雑魚を倒していれば自然とお金は溜まっていくので、稼ぎはほとんど必要ありません。ゲームボリュームに対してちょうど良い程度の要求値となっています。加えて、きちんと装備を更新していれば雑魚に負けない程度の強さは得られるので、総じて雑魚戦の難易度は低いように感じました。ボス戦についても、2面ボスくらいまではざっくりとした意識でガンアクションしていれば勝てるレベルに収まっています。
その一方で、3面ボスからは明らかに弱点を突いて、上手く立ち回って倒す必要のあるレベルに引き上げられていました。基本的に高速かつ、そこそこ広範囲の攻撃を行うため、全てを避けきって対応するのは難しくなっています。このため、弱点をちゃんと突こうという意識が無いと突破は骨が折れる難易度になっています。
この難易度の上がり幅はやや急に感じつつも、シナリオの関門としての緊張感というか達成感としては良いボスでした。ここが弱いと、さすがに拍子抜けするところではありそうです。
また、ラスボスも同様に強く、攻撃対象を増やすことで被弾を誘発させるデザインになっています。こちらはラストなので、薬草をがぶ飲みして戦いに挑みました。ダメージ覚悟で突っ込んだ方が成果が上げられる。そういった戦法を取れることもあり、このレベルで強いくらいがちょうどいい難易度に感じています。
シナリオについてはまず主人公に触れないわけにはいきません。主人公が超然というか泰然自若というか女学生らしからぬ振る舞いを見せます。片腕を痛めた後にすぐに片手で装填するの、そういう訓練を受けていないと無理じゃないでしょうか。戦場帰りなのかもしれない。前作も含めて、世界観がかなり物騒なので、そういう素養を身につけやすい世界なんでしょうか。
その上で、シナリオ自体は硬派なものになっています。主人公が上記のように淡々としていることもあって、テンポ良く進んでいく小気味良さがありました。一方で、要所に入る演出の完成度は高く、盛り上げるポイントは抑えた展開となっています。
とにかく、ゲーム全体が堅実な設計で作られている印象のある作品でした。アクションだけを楽しむために特化しているので、そういう気分の時はちょうど良いゲームだと思います。比較的短く終わるのも良い。
34. 雨を乞う弔鐘

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 探索ADV | もっともやし |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 40分 + 3時間 | 1.03 | ED13+1+2 |
良かった点
- 全体を通して丁寧に作り込まれた作品でした
- 細かいレベルで分岐、スチル、イベントが豊富です
- いずれのキャラクターも魅力的でした
- グラフィックやUIにより統一された雰囲気が良いです
気になった点
- 特にありません
レビュー
バケモノたちとの四日間
神は細部に宿るものです。しかし、細部に宿らせた神に目を向けさせるためには、まず何よりも全体の完成度が高い必要があるでしょう。ノイズの無い高品質な幹があってこそ、作り込まれた枝葉にまで意識が向くことになります。
雨を乞う弔鐘は、その条件を十全に満たした作品となっています。ハイレベルなグラフィックと魅力的なキャラクターから成る高い完成度を誇るゲーム性を味わった上で、様々な選択肢と数多くの分岐という神を認めることができるでしょう。
そのベースとなるゲームシステムは、会話のやり取りをメインとした探索アドベンチャーとなっています。
六匹の相異なるバケモノが住まう館に召喚された人間である主人公を操作して進めていく、四日間の交流を描いた作品となっています。
ゲームを進めていくためには、館の中で活動しているそれぞれのキャラクターに話しかけていくことが必要になります。そうすることで時間が経過していき、一定時間が過ぎると夜になり、寝れば朝になります。基本的にはこの繰り返しで四日間を過ごすことになるでしょう。
そうして交流するキャラクターは個性豊かなバケモノばかりです。気弱そうな異形のオニヤンマ、フレンドリーな吸血鬼ミミズとその兄であり粗野な雰囲気を持つムカデ、オドオドしたメイドアロエ、明るい鬼アキアカネ、つかみどころのない悪魔サソリ、そういった様々なバケモノと交流をしていくことで、それぞれのパーソナリティが分かってくることでしょう。のみならず、探索や交流を適切に進めていくことができれば、この館に秘められた謎も明らかになるかもしれません。
色々なキャラと積極的に話してそのバケモノとなりを知るも良し、色々と嗅ぎまわって秘密に迫るも良し、様々な行動を取ってみることをお勧めします。そうして過ごした日々によって、13種と追加でいくつかあるエンディングに分岐していくことになるためです。一周となる四日間は短いので、周回はさほど苦にはならないでしょう。
ただし、この作品はエンディング以外にも多数の分岐が存在します。選択肢によるものから時間に伴う細かいものまで多数の分岐が存在し、それぞれにはイベントがいくつも用意されています。それらもまた、各キャラの個性を知る上では見逃せないものとなるでしょう。
何度周回しても周回しすぎるということはありません。エンディングの分岐に限らず色々な行動を試していくことで、各々のキャラクターの魅力の一端に触れることができるでしょう。
また、そうした密度の濃いシナリオを彩るのは高レベルなグラフィックとなります。それぞれのクオリティもさることながら、細かいイベントであっても、あるいはシリアスでもコメディでも差し挟まれる数多くのスチルは物語の雰囲気に強く影響を与えています。その数の多さたるや、あるタイミングで任意に獲得できるメガネの差分すら用意されている徹底振りです。
丁寧かつバリエーション豊かに用意されたイベントとスチルの数々により、その物語はよりプレイヤーを惹き付けるであろうこと疑いありません。加えて、常時見ることになるUIまでもが洗練されているため、常に作品の空気感に没頭できることでしょう。
全てにおいて丁寧に作り込まれ、微に入り細を穿つ高品質な作品となっています。探索アドベンチャーを好んでいれば、プレイして間違いはない作品と言えるでしょう。
是非とも探索と交流を進め、バケモノたちの辿る結末を見届けていきましょう。
感想
丁寧に細部まで作られた探索アドベンチャーでした。とりわけ分岐が非常に多く、エンディングの分岐にかかわらないところにまで細かく手が回されています。書斎への入り方によっては聞き耳を立てることになる、レベルでの分岐がそこかしこに散りばめられていました。作りが細かい。
筆者は選択肢分岐については概ねさらったと思いますが、細々とした分岐条件をすべて拾えた自信はありません。作り込みというかイベントの密度が凄まじい作品でした。
個人的には回数制限や時間制限により物語を複数回遊ばせる仕組みをそれほど好いているわけではないのですが、このゲームに関してはこれ以上なくマッチしたシステムに感じています。というのも、一回のプレイで遊び尽くせないがしっかりと一つの終わりには到達するという感覚を得られるシナリオの上で、些細な違いに対してレスポンスが返ってくることから能動的に色々試したくなる設計を構築しているためです。
双方を担保しているのは、先立って触れた分岐やイベントの多さです。筆者は探索好きなので、とりあえず端から端まで調べようと思って始めましたが、そうなると上の階だけで3日目に行けてしまいます。調べられる事柄が多い。このため、アキアカネに会うことなくアキアカネに食べられるエンディングに到達してしまいました。
このように、単純にクリアするだけではキャラクターのことを十全に知ることがほぼ不可能なため、自動的に周回を重ねてキャラクターのことを知っていこうというモチベーションが湧く構造となっています。
もちろん、これが成立しているのは各キャラクターが魅力的であるという点に依拠しています。それは第一印象を含めたキャラ立ちの良さもさることながら、やはり綺麗なイラストの効果も無視できないものとなっているでしょう。それぞれのバケモノのビジュアルが非常に良いです。オニヤンマの見目が特に強烈。
そうして各キャラクターを追いかけていくうちに、様々な分岐に辿り着き、その時々におけるめいめいの状況や考えていたことを知っていくという流れは、能動的にシナリオを体験できる設計として秀逸でした。この手のゲームは一本道で読むゲームであるパターンが多い印象があるんですが、この作品は分岐を自らの手で辿っていき物語を埋めていくような楽しさがあるものとなっています。こういうのも好き。
加えて、要所でスチルが入ったりイベントが入ったりと、エンディング分岐そのものに関係ないものですら分岐の先が用意されている点も素晴らしく、始まりから終わりまでが常に異なる線で結ばれているような体験を得られます。
例えば、筆者は初めメガネを借りパクしたまま脱出ルートに入ったのですが、あまりにも自然にスチルにメガネがあるので一切違和感を感じずにクリアしてしまいました。こういう細かいところにすら、少しでも印象が異なるように手が入っています。神は細部に宿るの言葉通り、こうした微に入り細を穿つような作り込みが物語の雰囲気を強く醸成しているように思います。
また、各キャラクターが魅力的なことに加え、主人公が良い性格をしているのも面白い所です。会話主体のゲーム性をしている以上、基本的には主人公と各キャラクターのやり取りが主体になってくるので、常にいる片方もまた面白いキャラクター性をしているということは割と重要なんだなと感じました。
この主人公、選択肢と状況によってはサソリが真横に居ようがお構いなしにピッキングをかまします。豪胆に過ぎる。メガネ借りパクするくらいですからね。
ちなみに、筆者が一番好きだったキャラクターはオニヤンマでした。先述の通り一番ビジュアルが鮮烈であるという第一印象の強さもあるんですが、会話を重ねて色々なエンディングを見ていく上で感じるそのアンバランスさも良い味がありました。アキアカネが全容を知らないというのもミソで、ああいう雰囲気でどこまでもエゴイストであることが良く分かります。個人的にはほぼ裏主人公格のように感じていました。童話のモチーフについても主人公っぽくなるようにミスリードした上で、実際はただただオニヤンマの話をしているようですし、そもそも後記が明確にそういうものなので。
次点でアロエも好きでした。六匹のバケモノと表現されていることに対し、アロエは特に化け物っぽくないので最初は違和感があったのですが、特定のエンディングを見たことで腹落ちしました。化け物とは見た目云々ではなく、その性質なのかもしれません。あるいはもはや化け物でなくてはここに居られないのかもしれませんが。
また、各エンディング分岐についても触れておくと、どのエンドにおいても救いなんてものはないのが良いです。絶望に絶望を塗り重ね続けている現在に対し、生半な救いを用意したところで意味はありません。あるいは、ちゃんと何らかの形でピリオドが打たれること自体が救いなのかもしれませんが。
初めのうちは作中で少し触れられる神父あたりが何らかの救いとされるのかもなと考えていましたが、そんなことは無く怪物が怪物に殺されていく終わりは象徴的ですらあります。ヒーローなんていない。
なお、個人的には雨を乞う弔鐘という贄の鐘の音とともにエンディングに突入していく演出も好みでした。単純に区切りとして分かりやすく、かつ象徴的で、世界観との調和も取れています。
個人的にはエンディングの中では、2-2が一番好みです。先述したアロエのエンディングであり、人間と化け物の間に引かれる一つの線引きを示しています。起きている事象としては2-3と変わらないんですが、手を下すという行為そのものが入り口として描かれているというのが良いです。直接手を下すことを好まない悪魔との対比もあるのかもしれません。あるいは直接手を下すことで現在に至るオニヤンマとの相似を意味しているのかもしれません。
ともあれ、この作品は作中で言及されたようにトロッコ問題であり、このエンディングはその分かりやすい一つの事例ではあります。どちらにとっても、線路に転がされているのは自分ということになりそうですが。
話題を変えてシステム面の話について。下を埋め尽くすようにあるUIが良いです。最初の内は見た目の圧迫感を感じていましたが、慣れてくるとゲームの雰囲気を高めつつ、必要十分な情報を常に見せてくれるUIとして優秀であるということが分かりました。このゲームにおいて必要な情報はほぼここに書かれています。
その分サイズが大きく、画面を占めて邪魔になりそうという問題についても、マップ構造で下方の余白を上手く取ることで解決しています。狭いマップなので、その全てをケアすればこれくらい大胆なUIにしても問題ないというのは面白いです。思い切りが良い。
また、先立っても軽く言及しましたが、グラフィックが高品質なこともまた本作における魅力になります。それは物語への没入感を高めるとともに、それぞれのエンディングやイベントに対する興味関心を引き立てる役割も担っています。
祈りの所作について触れているオニヤンマの祈りのポーズといったような宗教画的美しさのあるものから、普通に殺害してくるムカデに対してコミカルに怒っている人外ズというコメディタッチでシュールに感じるイラストまで、幅広く取り揃えられているというのも良いところです。色遣いとか構図も良い。
とにかく全体的に一貫して高品質かつ丁寧な作品となっていて、何度も遊んで様々な分岐を試してみたくなる作品でした。
なお、筆者はすべての選択肢分岐をセーブロードも駆使しながら拾い集めていたので、上記にあるプレイ時間はやや長めに取られているものです。恐らく全エンディングだけでよいなら、もう少し短く達成できると思います。
35. アイドルライバー

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| シミュレーション | シブサワ・コウの名を継ぐ者 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 20分 x 2 | 8/2更新 | クリア |
良かった点
- 緩く分岐を楽しめるゲーム性でした
- AIを使って短いシナリオを楽しむ導線が上手く整備されていました
- ロールプレイが捗ります
気になった点
- 特にありません
レビュー
ぼくのかんがえたさいきょうのライバー
アイドルライバーは、ライバーをプロデュースしていく選択形式のアドベンチャーです。
プレイヤーはレッスンや配信を通してライバーを育成していき、ランキングの1位を目指していくことになります。
ゲームの流れはシンプルなもので、レッスンでパラメータを上昇させた後、配信を経て資金や知名度を獲得していくというものになります。
まず、レッスンでは練習内容により各パラメータが上昇し、一方でモチベが低下していきます。モチベが少ないと配信に悪影響を与えるため、適宜休ませてあげましょう。
次の配信では内容を決めた後に会話が進行していき、いくつかの選択肢によってその内容が分岐していきます。無難に人気になりそうな選択肢を選ぶも、炎上しそうな危険な選択肢を選ぶも、全てはプレイヤーに委ねられています。自由に選択していき、自分の目指す配信者に育てていきましょう。
しかし、アイドルライバーは単なるアドベンチャーゲームではありません。
Gemini APIを活用することで、配信の概要をAIに伝えてその内容を生成するという仕組みが組み込まれています。この機能を使うことで、プレイヤー一人一人が固有の体験を得られることでしょう。
設定を考えるのが苦手という方でも、配信内容のテンプレートもいくつか用意されているので安心です。まずはそれをカスタムして楽しんでみるのをお勧めします。
ライバーを育成していくシンプルなアドベンチャーでありながら、AIの力で無限に広がる世界も体験できる作品となっています。
ゲームの中で自分なりのライバー像を作り上げていきましょう。
感想
とりあえずまずはAI抜きのゲームパートについてですが、短めのシミュレータ風のアドベンチャーゲームになっています。これだけでもちゃんとコンセプトのアイドル育成は成立していて、軽めの育成要素とそれなりの分岐が用意されていました。
筆者は適当にプレイしていたら人の恋路を邪魔しておいて結婚を申し込むクソ野郎に成れ果ててしまいましたが、そういう緩い分岐もあるあたりが楽しめます。どこで道を誤ったんだこのプロデューサーは。ともかく、極限まで単純化してローグライト要素とミステリ要素を削ったアイネットマーダーマジックみたいな感じです。
ゲームの達成条件も恐らく緩めであり、半分近くの配信が不評に終わっても目標は達成できました。何が正解かがかなり不透明なところが多いので、このレベルで緩くクリアできるのは良いように感じました。というか、失敗のパターンはあるのだろうか。
話を変えて、おまけモードについて。このスピード感でAIを上手く組み込んできたのは凄いです。その上で、きちんとAIでなくてはできないことを、それなりに導線を付けて組み入れている上手さもあります。Geminiがちょうど良い時期にあったのも良かったですね。ウディコン開催中に規約が変更される恐れもあったはずなので、あくまでおまけモードであるという立ち位置に留めてあるのも良いです。リスクがケアされている。
まず、AIでないとできない、プレイヤーが自由入力した設定に対するプロットの自動生成という仕組みをライバーの配信という建付けの中に入れているのが上手いです。配信という枠組みの中でシナリオを構成するので、あまり突飛なことになりにくく、たとえ破綻が起きてもそういうものとして受け取りやすい下地ができています。
唐突に配信テーマに関係するか分からないものが出てこようが、いきなりすべてを壊すデウスエクスマキナが出てこようが、そういう配信になってしまったから、という謎の説得力が生まれていました。配信というもののアドリブ性の高さによるものかもしれない。
その上で、プロット自体はこちらの入力にかなり柔軟に対応してくれるので、オリジナリティを感じながら読み進めることができます。これはAIが賢い。
そして、個人的にこの作品で最も優れていると感じているのが、AIによるプロット生成という遊びを楽しむために、そういったことに経験のないプレイヤーでも簡単に生成できるように下地を整えてあるという点になります。
プレイヤーが干渉すべき点は決して多くなく、全容をきちんと書く必要はありません。あくまで配信の概要を書くだけで済むので、こういうことがあったら面白そう、くらいの温度感で記載が可能になっています。加えて、テンプレートとしてのランダム生成も用意されているので、ここから派生して組み立てるといったことも可能です。
その上で、各ライバーの性格やそれまでの選択肢をコンテキストに組み込むことで、ただのプロット生成だけでなく、このゲームならではの性格も出している、という点も良く出来ています。きちんと、このゲームでしかできない体験が得られました。
この作品の楽しさの半分くらいはAIに任せてロールプレイしている楽しさであることは否定できず、その点に関してはこの作品の功績あるいは評価に値する点であるとは言いにくいところはあります。
しかし、この辺りのAIロールプレイを楽しく、平易にやらせる仕組み作りの巧みさは間違いなくこのゲームの評価点であろうと思います。お膳立てが優れている。
ちなみに、これの執筆時点ではGeminiの無料枠のレートが押し下げられていたので、もうAIモードは満足に遊べないかもしれません。その点はご了承ください。
36_SIMPLE ROOM ~部屋からの脱出~
| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 脱出 | バル |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 20分 | 1.05 | クリア |
良かった点
- かつての脱出ゲームの質感が再現されていました
- 謎解きの難易度やボリュームがちょうど良いです
気になった点
- 一部謎解きの解の一意性がやや気になりました
レビュー
2000年代Flashの亡霊
SIMPLE ROOM ~部屋からの脱出~は、見知らぬ部屋から出ることを目指す脱出ゲームです。
ポイントクリック形式で怪しい所を探索し、脱出に向けて様々な謎を解いていくことになります。
前述のゲーム性からも察せられる通り、この作品の設計は往年の脱出ゲームを強く意識させるものとなっています。特定のアイテムの取得に必要なものであったり、それが隠されている場所であったりと、かつての記憶を手繰り寄せるとスムーズに解いていくことができるでしょう。
さらに、シンプルかつ最低限の要素が揃っているようでいて、絵画や妙な箱など普通の部屋には似つかわしくないものが散りばめられている部屋の雰囲気もまた往時を彷彿とさせます。Flashゲームを遊んでいた当時を思い起こせば、どこで何をすべきかは自ずと明らかになるでしょう。
用意された謎解きの難易度や全体のボリュームはちょうど良く、適度に頭を動かしつつサクッと終えられる規模に収まっています。このため、拍子抜けするほど短くも簡単でもなく、悩みすぎるほどには長くも難しくもない、適度な謎解きを楽しむことができるでしょう。
なお、謎解きに不慣れであってもヒントが同梱されているので安心です。詰まってしまった場合は見てしまっても良いでしょう。
ゲーム全体の雰囲気はまさに昔の脱出ゲームのそれではありますが、そのクラシックな設計は単純明快に楽しみやすいからこそ流行ったと言えます。従って、かつての脱出ゲームを知らない方でも楽しく遊べるであろうことは疑いありません。
脱出ゲームを遊んでいた方も、そうでない方も、脱出に挑戦してみてはいかがでしょうか。
感想
タイトル通りのシンプルイズベストな脱出ゲームです。往年のFlashゲームのような質感があって、懐かしさを感じながらプレイしていました。
Flashゲームであればもう二段階くらいありそうなあたりで終わる程度の規模感ではありますが、シンプルなゲームとしてはちょうど良いボリュームだなと感じています。
建付けはかなりクラシックであり、届かないところにあるアイテムを取得するために長い棒を探す、何でそうなってるか分からない謎解き設計の鍵やら何やらを開けていく、といったFlashゲームのあるあるを知っていれば、自然な思考でスムーズに解くことができます。かつて遊んだ時の経験が蘇ってくる。
また、全体の設計自体がかなり古典的であり、古典的であるということは面白さの保証された設計ではあるので、当時を知らなくても恐らく楽しめると思います。そもそも、リアル脱出ゲームを初めとして、脱出ゲーム自体が割と人口に膾炙しつつある概念っぽい気もする。
以下は謎解きの内容にも少し触れるので、気になる方は先にやってください。
おおよその謎解きは素直な思考で解けるんですが、画数の謎だけ若干注意が必要になります。紫の画数は11画とするケースもあり、これが黄色と競合するためです。ここは学習指導要領に従って12画と解釈する必要があります。一意に定めるなら、さもありなんではありますが。
ともあれ、漢字の画数は辞書によっても結構ぶれるので、謎解きに採用される場合はその辺のブレを吸収できる設計になっていることが多い印象があります。
とにかく、懐古的に脱出ゲームを楽しめる作品でした。
斬新が低くなってしまっているのは、むしろこのゲームの完成度の高さを示しているようにすら思います。
なお、このゲームにはAXEがあります。もしかしたらウディコンは斧に侵略されているのかもしれない。ゴリラの次はAXEなんでしょうか。
37. 名もなき記録

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| ノベル | 今門 楽々 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 10分 | 1.0 | 全END |
良かった点
- 短編としてまとまりが良く、完成度が高いです
- 演出やグラフィックが物語を上手く引き立てています
気になった点
- やや誘導が弱い印象を受けました
- 短編のため、実質的には誘導無しでも問題が無いので些細な話ではあります
レビュー
完璧な小品
名もなき記録は、選択肢によって物語が変化していくノベルゲームです。
終末世界で戦う二人の少しばかりのやり取りから始まり、やがて転回していく物語が描かれています。
物語のエンディング分岐は5つありますが、すべて見たとしても10分程に収まる程度のボリュームとなっています。しかし、その短い中で、魅力的なキャラクターのやり取りや、世界観の描写、物語の急展開、印象に残る演出といった要素が過不足なく詰め込まれている作品となっています。
その短いプレイ時間の中で、高い満足感を得られることは間違いありません。
これ以上多くを語るとネタバレとなってしまうため、ここで筆を止めておこうと思います。
短く完成度の高いノベルを遊びたい方は是非プレイしてみてください。
感想
過不足なく表現された小品のようなゲームです。短い中に要素がきちんと入れられた上で、転回まで用意されています。短く綺麗にまとまっている。
以下はネタバレします。ごく短い作品なので、やってない方はやりましょう。
シナリオの完成度というか、まとまりに関してはかなり秀逸で、短いやり取りと少しの情報しか出していないにもかかわらず、きちんと終わりまで丁寧に導かれています。フックとしての違和感の配置、世界観に対する言及の度合い、最後に至るまでの道筋、全てが必要十分にコントロールされて整備されているような印象を受けました。
この短いやり取りの中でキャラクターを魅力的に見せている手腕も素晴らしいです。
さらに、シナリオに対するメタ的な演出についても良く出来ていて、Continueが使えなくなったタイミングの表現ですらオシャレに仕上がっています。その状態に意味を持たせている。
必要な範囲で用意されているキャラクターのスチルなど、リソースもまた適切な範囲で用意されています。個人的には管理人の絵も欲しい気がしましたが、あれはあれでそういう演出なのかもしれません。
ごく短く、特徴づけるものがテキストとそこから発生する違和感であるという手に取りにくい作品の形式であるところを、グラフィックで上手くキャッチ―に仕上げて手に取りやすくしている印象があります。◆-晩餐-◆といい、メタノベルはそういうやり方をしがちなのかもしれない。
ゲームとしては、あんまりにも短いのでヒントなどの誘導は弱めではあるものの、特定BADでそれなりに誘導はされています。そもそも短いので、誘導が無くてもいつかは到達できるかもしれません。そもそも上の選択肢だけ選べばいいのはADVあるあるではあります。
また、当然のように用意されているバックログ、2周目から解放されるスキップ要素といったように、システム面でも痒い所に手が届く設計となっています。隙が無い。
短く綺麗な物語体験が得られる、質の良い短編といった感じの作品です。
なお、筆者は割とすぐに突破したため、セーブデータを差し戻すことで全てのエンディング、もといBADを見るようにしていました。やや手間。もっとも、BADを回収したい人はそういうことをやるタイプの人なので、手間だとは思いつつも設計上はそういうものだろうなと納得しています。そうあるべき物語ですしね。
38. ガレキノシップ

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| カードゲーム | Masaqq |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 40分 | 1.02 | ベーシッククリア |
良かった点
- 基本のルールはそのままに、二つの異なる遊び味のゲームが遊べます
- それらが密接に関わり合っている点も良かったです
- FEVERの仕組みのおかげで、カードを回す際の戦略性が生まれています
- 先々を見据えた戦略性と、アドリブ力が求められるランダム性の塩梅がちょうど良かったです
気になった点
- UIの遷移が分かりにくいことがありました
- 一例として、ヘルプ表示からTIPSへ向かうと階層が一つ進んでいますが、それがUI上に反映されていないため、キャンセルを二回押さないと元に戻らず直感的ではありません
レビュー
一粒で二度美味しいカードゲーム
ガレキノシップは、カードを選択して宇宙船を建造し、完成した宇宙船で航行して帰還を目指すカードゲームです。
そのプレイ感はボードゲームに近いものもあります。
プレイヤーはまず初めに、航行するための宇宙船を建造することになります。ターン開始時に配られる5枚のカードを上手く活用してキューブを集めて建造を進めつつ、資源を集めて航行に備えることになるでしょう。
カードは原則ボイドと呼ばれるユニットと紐づいており、カードによってはボイドの行動を消費します。消費した場合はそのユニットのカードを同じターンでは使えません。このため、どの順番でカードを使っていくかによって建造効率は大きく異なります。適切なカードを選択し、効率よく建造を進めていきましょう。
なお、同一ターンで5枚以上カードを使うとFEVERに入ることができ、そのターン内での効率を著しく向上させることもできます。ただし、次のターンの効率が落ちるBURNOUT状態を招く諸刃の剣であるため、運用には注意が必要です。たくさんカードを使えそうであればFEVERを狙い、5枚を超えてもそれほど使えなさそうであれば、あえて4枚で止めるなどの戦略も必要になってくるでしょう。
こうして建造を進め、ボイドを最大5名まで新たに雇っていき、時折発生する様々なランダムイベントを乗り越えていくと、宇宙船が完成します。ここからは、作り上げた宇宙船を活用して進む航行パートに入ることになります。このパートでは99マス先にある地球に向かって、すごろくのように宇宙船を進めていく流れとなっています。
しかし、宇宙の旅路は危険で満ちています。このパート中は建造中に貯めた資源がターンごとに目減りするほか、様々なアクシデントが襲い掛かってきます。これらに柔軟に対処するには、またしてもカードの力を借りることになります。
資源の確保や壊れていく船体の修理をカードで行い、作り上げた宇宙船を使い潰しながら広大な宇宙を一歩ずつ進んでいきましょう。資源が尽きるとゲームオーバーのため、適切な状況判断がクリアの鍵となってきます。
なお、この二つのパートには共通したターンの制限があります。このため、建造にかまけていると航行時間が足りなくなりますし、建造を手早くやりすぎると航行時の資源が底を尽きやすくなってしまいます。適切なバランスで両パートをこなすこともまた重要になってくるでしょう。
二つの異なるゲームパートを擁しつつも、同じカードゲームのシステムで統一し、しかし全く異なるゲーム性として仕上げている非常に完成度の高い作品となっています。その分、独自のシステムが多くなっており、上記のゲームの説明ではややわかりにくいところがあったかと思います。しかし、ゲーム内のヘルプが充実しているため、実際にプレイすれば非常にすんなりと理解できること請け合いです。
まずはプレイして、その独特なゲーム性を確かめてみましょう。
感想
建設パートと航行パートに分かれていて、それぞれ異なった体験が得られるのが良いゲームでした。同じようなカードを選ぶというシステムにすることで学習コストは最小限にしつつ、発生するイベントや目標の変化を付けることで、綺麗に差別化して全く違うゲーム性を生み出しています。ゲーム設計が上手すぎる。
ひとまず、建設パートについて。基本的には資材を効率的に集めて、良い宇宙船を作り上げていくということが目標になっています。
あんまり時間をかけすぎると後ろに響くので、それなりに手早く建築しつつ、資源の確保も行っていくバランスが良く出来ています。建造が早すぎると資源が不足するし、資源の貯め込みをやりすぎるとターンが足りなくなります。とはいえ、筆者は大分余裕を持ってクリアできたので、ベーシック難易度ならそれなりの効率でやれば問題は無さそうでした。
個人的に好きなのはFEVERの仕組みです。こういったゲーム性の場合、基本的に大量に手札を使いまくって回せる状態にするのが強くなります。ボードゲームとかでもそうなんですが、キャントリップが正義になりがちです。
しかし、FEVERがあるおかげで、あまり使いすぎると次に響いてしまいます。このため、場合によっては行動回数が残っていてもPLAY4で止めておく、という戦略が取れます。一方で、ぶん回せる状況にあるなら、そのターンに限ってはFEVERをする方が格段にアドバンテージを得られるようになっています。
これにより、回せるときは極限まで回す、回せない時は最低限に抑えるか次への布石とする、といったメリハリのある行動選択を自発的に取るように自然となっていきました。毎回だらだらとそのターンの最適解を選ぶのではなく、次を見据えた戦略を練りながらカードの選択ができる面白い仕組みでした。
また、ランダムなイベントも良い味を出していて、それぞれのタイミングで微妙に初期条件に変化が発生することもあるため、その時々で変化した選択を取らざるを得なくなります。これはとりわけ航行パートでより顕著なんですが、それは後段に譲ります。
ともかく、各ターンごとに同じような戦略を取ってマンネリする、と言ったことが無く、常に先々のことを考えながらバランスを取っていきつつ、アクシデントにも対処していくというアドリブを利かせる面白さのあるゲーム性をしていました。
そして、航行パートについては、このアドリブ性をさらに突き詰めたようなゲーム性をしており、これもまた面白いものとなっています。
先述した通り、基本的なゲーム性にはほとんど変化はなく、そのためシームレスに移行できます。その上で、資源が尽きると負け、ランダムイベントの性質が変わる、常に船体のダメージという負のイベントと向き合う、という付加要素によって遊び味は完全に変わっています。
建築パートで溜めた貯金を使い潰して何とか航行を最後まで進めていく緊張感が良く、ボロボロになっていく船体を騙し騙し運用して最後まで駆け抜けられると達成感があります。
直前の建築パートで積み上げてきた船体とボイドの力をフル活用していくゲーム性のおかげで、ともすればマイナスイベントが多いという、プレイヤーにとってややストレスに感じる部分にすらなりかねないパートであるところを上手くカバーしています。これが同時に来ていたら、多分ストレスが勝っていた気がします。分離しているのが上手い。
むしろ、マイナスイベントをどう手持ちの札で乗り切り、時には目を瞑りながらも進めていくかという判断の連続へと昇華させているとすら言えるかもしれません。
ちなみに、筆者は火属性のボイドを引かなかったせいで、ずっと消火活動に追われていました。ちゃんとバランス良くボイドは選ぼう。
また、この辺のゲーム性に対するヘルプも充実していて、独自の用語が多く使われていてもあまり気にならないのも良い所です。分からないことがあればいつでもヘルプを見て確認ができます。ルールがそれなりに多く、かつまだ見ぬ航行パートに向けて設計しなくてはいけない側面もあるので、この辺りが完備されているのは非常に助かりました。
なお、コメントにもある通り全体的にはボードゲームの文脈も感じています。ドローソースが強いのはボードゲームあるあるであり、すごろくはサイコロを強化するゲームであるというのは桃鉄をやっていれば常識です。この辺を抑えておけば、ベーシック難易度ならそれほど難しくはありません。
ともかく、二つのゲーム性をまとめるべくはまとめ、変えるべくは変えて構成している完成度の高いゲームとなっていました。最初の3Dの演出やBGMなど、諸々の雰囲気が優れているのも良いところです。
ちなみに筆者はアビサルとターン0以外の実績は獲得しています。ベーシックで一度に獲得できました。ターン0も併せて取れなくもなさそうなんですが、かなり運が絡みそうなのでやめています。現状の手札だと、安定させる方法があんまり思い付いていない。
39. AI伝説消えたツイート

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| コメント | ブラックダナー |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1分 | 1.0相当 | 読了 |
良かった点
- 特にありません
気になった点
- 特にありません
レビュー
消えた作品
※この作品は、ウディコンのエントリーから外れています。
AI伝説消えたツイートは、ひたすら言葉が出力される作品です。
プレイヤーは特に干渉することなく、ひたすらランダムで出てくる言葉を読むことになります。
それほど数は多くないため、ある程度読めば恐らく網羅は可能でしょう。全て読むかはあなた次第です。
感想
感想が難しい作品です。何と言っても1分しかやっていないので。
恐らく全部で50個程度のパターンがあり、乱数か何かで回している気配を感じています。全部網羅できてはいなさそうな気もする。同じものが連続することも間々あるので、とはいえそれほど多いということは無いと思います。
となると、何故エントリー停止になったのかが良く分かりません。AIまわりの規約はこの時点では画像生成まわりしかないはずで、だからこそアイドルライバーのようなゲームがありました。何でだろう。
仮にAIで生成するなら、もう少しバリエーションが欲しい所ではありました。この程度の数なら人力でざっくりやれそう。この類の発言だけ学習した生成AIというのもそれはそれでなんか嫌ですが。
ともあれ、不思議な作品でした。
40. Rewot.16ーリワット イチロクー

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| ノンフィールドRPG | 植物の灰 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 3時間30分 | 1.04 | 全ENDクリア |
良かった点
- 極めて優れた演出によりゲームへの没入感が高められていました
- 高品質なグラフィックやシナリオもそれをサポートしています
- 毒をベースとした戦略性のあるボス戦が楽しめました
- 付加的情報を能動的に拾えるようになっています
- シナリオだけを楽しむならシンプルに、深く知りたいなら色々と調べられるようになっています
気になった点
- 毒を集めるための雑魚戦がやや作業的でした
- アップデートにより緩和されている模様です
レビュー
塔の逆位置
ゲームという娯楽は、総合芸術としての側面も持っています。
総合芸術とは一つ一つの分野をめいめいに作り、それらをつぎはぎに構成すれば良いというものではありません。ある指向性をもって一つの集約点へと向かうがゆえに、総合的な芸術足りうるものへと仕上がっていくことでしょう。
そうして一つの指向性の元、グラフィック、シナリオ、演出、戦闘システム、そういった搭載し得る全てが混ざり合い、それぞれの要素が極めて高い完成度で構成されていくことで、より高度な総合芸術と言うべきものへと昇華されていきます。Rewot.16ーリワット イチロクーは、その条件を高い水準で満たしている作品と言えるでしょう。
そのゲームシステムは、オーソドックスなノンフィールドRPGの形式を取っています。進むことで戦闘が行われ、階層ごとのボスを倒すと次の階層へ進み、そうしてシナリオも進行するというベーシックなものです。
ただし、レベルや装備といった概念は存在せず、進行に応じてHPが成長していく要素は存在しますがそれほど大きなものではありません。このため、階層ごとの攻略に際してはステータスよりもボスのギミックをどう攻略するかに焦点が当たるものとなっています。
そうした攻略の上で重要となるのは、毒をベースとした独特な戦闘システムです。回復を阻害し継続ダメージを与える出血毒、行動を阻害し必中効果を付与する麻痺毒、混乱を与えダメージを増やす錯乱毒の3つを上手く使いこなし、戦いを有利に進めることが求められます。
敵の回復行動を出血毒で潰したり、相手の大技を麻痺毒を用いることでタイミングをずらしたりといったように、敵の行動を上手く制約するのが攻略のカギとなるでしょう。
また、敵味方ともにTPと呼ばれるパラメータが溜まることで使える切札も重要です。ボスごとに切札の性能は異なっているため、この特殊な技に対して上手く対応することもまた攻略の上では肝要なものとなっています。様々な毒やアイテムを活用していき、相手の行動に対応していきましょう。
なお、そうした毒を与えるアイテムは、雑魚との戦闘などで得られる素材から調合可能となっています。毒が足りなければ、雑魚との戦闘をこなすと良いでしょう。調合を繰り返すとより高位のアイテムが調合可能になっていくこともあり、積極的に調合を進めていくことを推奨します。
ただし、一度に持てるアイテムには限りがあるので、稼ぎ一辺倒で楽をすることはできません。あくまでも与えられた手数の中から、最適な行動を探していきましょう。
そうして毒を集め、毒を活用してボスを倒していき、階層を進めていくことで物語は進行していきます。
物語の中心となるのは、徐々に悪化し、やがて患者皆が失踪する不治の病、悪魔病です。その治癒を目的としていた薬師アセビは、患者を名乗る謎の少女シキミとペアになって、回想という形で過去を断片的に思い出しながらも歩みを進めていくことになります。
そうした回想の中で、悪魔病にかかわる患者との交流の数々、悪魔病の研究にかかわる家族との関係、それらの追憶に向き合っていくこととなります。
今いる場所は何なのか、悪魔病とは何なのか、その治療法は存在するのか、そしてシキミは何者なのか、それらを明らかにするにはひたすら進むしかありません。様々なボスを打ち倒しつつ、苦しく暗い記憶と向き合っていきましょう。
そして、そうした暗くも美しいシナリオ展開を支えているのは、時には戦闘システムをも巻き込んだ高い演出力です。戦闘からシナリオ、フィールドからちょっとしたやり取りまで、全てが高いレベルの演出によってシームレスに接続された体験により、止め時無く最後まで没頭できること請け合いの作品となっています。
毒を活用してボスのギミックを攻略し、その暗く苦しい記憶と共に、是非とも最後の階層まで到達してください。
感想
各要素どれをとってもクオリティが高い作品でした。戦闘システム、シナリオ、演出、グラフィック、何から何まで完成度が高いです。とりわけ個人的に推したいのは演出面であり、最初から最後まで一貫して一分の隙も無い良さをしています。おかげで、ノンフィールドRPGという不純物の入りにくいゲーム構造も相まって、始終良質な雰囲気を醸成することに成功していました。ずっと良いプレイ体験という得難い経験が得られる作品です。
どれについて言及しても良いんですが、まずは戦闘システムもといゲーム性について触れておこうと思います。
まず毒をベースとした戦闘システムが面白いです。毒と言えば継続ダメージがイメージされますが、それはこのゲームにおいては出血毒としてカウントしており、それに加えて麻痺毒と錯乱毒が入っています。この状態異常を活用しない限り勝つのが難しいため、常に思考を巡らせて先々まで考える戦いが楽しめました。
それぞれの効能に追加効果があるのも面白く、回復行動を出血毒で潰したり、大ダメージ行動を錯乱で強化したりといったように、拡張的に戦略に組み込めるのが秀逸です。
さらに加えて、バフデバフが重要なデザインともなっています。筆者はらんだむダンジョンなど色々なRPGを遊んだ結果、バフデバフや異常が強い作品は良い戦闘システムが多い傾向にあるという偏見を抱いているのですが、この作品も例に漏れません。
また、難易度設計も絶妙です。雑魚であれば火力はそれなりに高いもののミスしない限りは負けないバランスとなっていて、ボスはちゃんと強いので考えないと負けるバランスになっています。さらにボスの間にも中ボスと大ボスのグラデーションがあり、階層が進むごとに難易度が上がるグラデーションもあります。この辺りの緩急もまたちょうど良い。
とりわけ、各階層ごとにボス側にユニークな行動形式があるのが面白く、それぞれに対して攻略する楽しみがあります。上述したような毒によるメタという概念はそのままに、相手の取ってくる行動に対して柔軟に対応する要素が上手く刺さることで、戦闘に奥行きが生まれているように感じました。
こちらの回復手段が限られていることもあり、闇雲に戦っているとジリ貧になりがちな設計もまた良く、早めに倒すために積極的にアプローチを仕掛けることが求められるものとなっています。そのため、待ちや耐え一辺倒で削り切る消耗戦ではなく、ここぞというところで毒を活用して最大化して倒す攻めのプレイングが必要になり、結果として同じような行動を取ることなくアドリブを効かせ続ける楽しさが生まれていました。
そうした思考を必要とする戦闘設計でありながら、難易度それ自体は決して高くはありません。筆者は逆位置で進めていましたが、ちゃんと観察を行い、戦略を立てて、毒を通すべきに通せば勝利はそれほど難しくはありませんでした。一方で、きちんとメタを取れないと一方的に攻撃されたり回復されたりして圧倒的な不利状況に陥るので、適切な攻略自体は必要になってきます。この辺の塩梅がちょうど良く、適度に達成感を味わえるデザインに感じていました。
ノンフィールドRPGというゲーム性を効果的に使ってシナリオを組み立てているのもまた特筆すべきポイントです。
マップを探索するタイプのRPGと異なり、ノンフィールドRPGはその性質上プレイヤーの進行度合いのコントロール性に長けています。有り体に言えば、一本道を叩き込みやすい構造をしているとも言えます。この性質を上手く活用し、完全にコントロールされた演出力でもって最後まで一切手抜かりの無いシナリオ展開をプレイヤーに叩き込んでいました。掌の上。
加えて、回想ベースの物語での情報開示の時期や内容もまた綺麗に制御されており、ノンフィールドRPGをプレイヤーに進めさせる牽引力ともなっていました。この辺りは相乗的に奏功している印象です。
また、小話をCキーに押し込んでいるのも嬉しいところで、こういうのが好きな人だけが回収できます。ログを活用した演出もまた同等で、より深く見たい人にはちゃんと深く見せておきつつ、そうでない人には表のシナリオだけでも十分満足できるようにデザインされていました。
そして、個人的に白眉だと感じているのは、これらのシナリオや展開をプレイヤーに効果的に刷り込んでいく演出力の高さです。再三演出が素晴らしいとは上記に書いているところですが、それではまだ書き足りないので書いていきます。
まず、全体を通して演出が首尾一貫しています。途切れの無いBGMを筆頭に、雰囲気を中断せしめることなく良質な演出が続いていきます。エンカウント、霧が深くなると出てくるボス、回想までが淀みなく繋がっていました。シナリオ自体がかなり重苦しい話であるにもかかわらず、するすると読み進められてしまうのは、このあたりの切れ目の無い雰囲気の醸成が効いているように感じました。
また、戦闘に絡めた演出も優れています。イベントを戦闘に落とし込んでいるおかげで、殊にラスボス周辺はかなりシームレスな体験ができました。その戦闘システムの中でしかできないことをも取り込んだ演出の妙は見事で、プレイヤー側の没入感を強く高めていました。
筆者はとりわけエンディング周りの演出力の高さとシナリオのまとめ方の美しさが好みで、この辺りはノンストップですべて回収していました。ここで止められる人間がいるのだろうかという気持ち。テリアカが必要なことに気付けずに別のものを調合したからというのもありますが。
また、シナリオの面も含めてですがリフレインが効果的に使われているのも好みです。最初に諸々書かれていた言葉が、後々の階層で拾われていく伏線回収的なところもありますし、言葉として綺麗に回収するところもあります。個人的に一番好きなのは、手をモチーフとして多用していき、最後に握手で終わる所になります。そもそもが最終イベント戦が手を伸ばすところで締めることから含めて、この辺の流れはかなり綺麗でした。
システム面では手には穢れの印象があって、強化システムが自傷ベースであること、攻撃手段として掲げられるものが手であることあたりから、そういう立ち位置のものと捉えていました。これらの印象を演出面で上手く反転させてくる点は良かったです。
ついでにシナリオの面についても触れておくと、先立って触れた通りまあまあ暗い話です。しかし、演出の繋ぎ目の無さに加えて、シキミという存在がかなり読み味を爽やかなものにさせてくれているように思います。彼女という清涼剤が無かったら、もう少し読み進めるのにカロリーがいる物語になっていたでしょう。
もちろんシキミという存在そのものにもシナリオの闇はあるんですが、本心や目的はともかくとして、語り口の明るさや牽引力は明らかにプラスの方向に傾いています。センセイがややマイナス気味なのもあるので、この辺りで上手くバランスがとれている印象がありました。どっちも同じく良い性格をしてはいるんですが。
また、繰り返しになりますが読み解けば読み解くほど色々な情報が出てくる仕組みも面白いです。背景情報も拾えますし、その時々の心境も拾えます。そのことに気付けるのはだいぶ後なんですが。
なお、メインシナリオはともかく世界観やその周りの情報はやや断片的で、あまり整理できていないので考察はできていません。女神とかそのあたりは考えればいろいろ出てきそうなものですが、その辺のメモを怠りました。ゲームに夢中になっているばっかりに。
全体を通して出てくるモチーフは多分アルカナと仏教のちゃんぽんなので、どの辺に意味を見出すかはプレイヤーによりそうな気がします。塔はかなりあからさまかもしれない。テリアカについては不勉強で知らなかったんですが、そういう万能薬のようなものが中世にあったそうです。
加えて、強いストレス下に晒されることで罹患し、死を願うことで取り込まれる悪魔病のモチーフは適応障害やそのあたりだとは思います。希死念慮も出てくるので。ただ、悪魔病そのものはこのゲームの本質からは少し外れたところにある気がしていて、本質的にはその治療に向き合っていたアセビとその周辺の物語にフォーカスされているようには感じました。悪魔病はどちらかと言えばシキミの物語なのかもしれない。
そうなると主たるテーマはやはり回顧であり、回顧している対象を鑑みると悪魔病を中心にして壊れたアセビの家族の物語であるようには思います。ベラドンナはベラドンナで決して良い母であるとは言えないし、そのあたりを薄々理解していそうでありながらも、薬師のバッジは持ったままその意志を継いでいるという二面性あたりに見るべき点があるのかもしれません。ベラドンナ、名前からしてそういうことではありそうなので。これもまた毒ですか。
そういう意味では、薬師のバッジを捨て、悪魔病が消えたことも相まって特にやることもなく、シキミの復讐道中に連れ立つことになった終わりは美しくもあります。双方の楔から解放されているので。
もう少し深いところまで読み取りたい気もしますが、そのあたりを読むにはイベントを読み直さないと厳しそうなのでここまでとしておきます。後は任せた。
とにかく全体がハイクオリティ、それに尽きる作品でした。ウディコンのノンフィールドRPGはロードライト・フェイス、いばらのうみ、Megalopolisと名作が多いんですが、この作品も間違いなくそれらに名を連ねるものとなっています。
高いレベルのグラフィックとそれを効果的に使った演出から繰り出されるプレイ体験に浴したいのであればお勧めの作品です。
41. 小謎解きs

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 謎解き | たゐせふ |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 6分 | 1.0 | All Clear |
良かった点
- 小粒な謎がちょうど良く集まっています
- 終盤の謎が良いです
気になった点
- 序盤の謎はやるだけのものが多い印象があります
- 小休止的な難易度と捉えることもできます
レビュー
ちょっと謎を解いてみる
小謎解きsは、ちょっとした謎を解いていく、パズルゲームというよりはタイトル通り謎解きに属する作品です。
いくつかある謎を解いていき、全ての謎を解くことを目指すゲーム性となっています。
謎は直感的にやれば分かりそうなものから、少し考えるもの、頭を使うものまで用意されています。
難易度はいずれも高すぎるものではないため、根を詰めることなくゆったりと解くことができるでしょう。リラックスしつつ頭を使うのにぴったりな作品となっています。
小休止に謎解きはいかがでしょうか。
感想
小休止にちょうど良い、小粒な謎が集まった作品です。タイトルに違わぬ出来。
序盤から中盤がだいぶ簡単で、特に序盤はほとんどやるだけの謎が多い印象です。適当にやれば大体うまくいく。一方で、終盤の謎解きはちょっとだけ頭を使うものとなっていて、それぞれ完成度の高いものとなっていました。
現在で感じた謎をきちんと未来で回収するといったように、色々とある違和感をきっちり回収してくれる謎も含め、この辺りの設計は好みです。
序中盤がさすがに小謎すぎるきらいはあるので、個人的には終盤くらいのレベル感の謎が序盤からいくつか散りばめられている方が好みではありますが、小休止的に遊ぶならこれくらいでも適切な気がしています。頭をほぼ使わなくても解けるので。
そもそも、終盤くらいのレベル感のものをいくつか用意するというのも大変そうではあります。
なお、筆者は最終パスワードを最初に見つけていましたが、恐らくそういう方も多いのではないでしょうか。ReadMeはちゃんと読むタイプなので。
42. あねさがし

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| ADV | テッコウ |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 15分 | 1.0 | 全ENDクリア |
良かった点
- 曖昧かつ不穏な雰囲気が上手く演出されています
- 解釈の余白が程々にあります
気になった点
- 文字を隠す表現が使われ過ぎている印象があります
レビュー
さがしもの
あねさがしは、一本道を進みながら道中の兎に話しかけていくアドベンチャーです。
兎に話しかけることで断片的に情報を得ることができ、その物語の輪郭が少しずつ顕わになっていきます。
兎からアクセスできる情報は、警察の情報といった外部から見た情報から、周辺の人物の声といった雑多なもの、絵本という媒体で表現されるメタファーのような物語、あるいは完全な外野の憶測など玉石混交なものとなっています。
しかし、一本道を進んでいくにつれて増えていくそれらの情報を丁寧に拾い、少しずつ組み上げていくことで、徐々に一筋の物語が浮かび上がっていきます。二人の姉妹の身に起きたことは何だったのか、その事件の顛末はどういったものだったのか、情報を整理して推測しながら読み進めていきましょう。
エンディングによっては情報が概ね開示されるため、何もかもが分からないという状況になることはありません。最後に判明した情報を整理しさえすれば、おおよその顛末は想像できるでしょう。しかし、その中でも解釈の余白が残されている部分はあります。それらを想像で埋めてみるのも、また一興かもしれません。
様々な情報に触れ、物語を明らかにし、考察を深めていきましょう。
感想
割に曖昧な物語で展開していく作品でした。文字を隠して不穏描写をしていくあたりが曖昧さに一役買ってる印象はありますが、そこそこ濫用されているきらいもあります。ちょっと読みにくい。もっとも、おぼろげな記憶を巡るコンセプトの都合上、所々の記憶が欠落しているということを表現しているのだとは思います。
以下はネタバレ込みで記載していくので、遊んでいない方は先にプレイしてみましょう。15分くらいで終わるので。
曖昧な雰囲気を醸しているとはいえ筋立て自体には説明があり、ちょっとした真相の推測要素もあるため、何もかもが分からないという状況にはならない作品でもありました。ただし、いくつかの文章と様々な情報から得られる情報をつなぎ合わせて真相を当てにいくのは、少し難しいです。情報を追う場合、父親がぽっと出に近いのも難しさに拍車をかけています。筆者は初め教団関係者を疑っていました。
深層もとい真相フェーズは答えそのものがある程度記載されていて、ここに関しては曖昧な点はあまりありません。主観から見たほとんどすべての答えが書かれています。個人的に気になっているのは、現場にナイフがあったとはいえ、子供の膂力で大の大人を殺害せしめることが可能なのかというポイントであり、そのあたりの解釈はやや穿って見ているところはあります。とはいえ、真相フェーズでミスリードしているとも考えにくく、大人を殺害するための条件を可能な限り揃えた状況だったのではないかと解釈していました。実際、母親には抵抗されてしまっているので。
なお、あねさがしというタイトルではありますが、妹が姉を探している建付けなのかと考えるとこれも微妙です。プレイヤーが動かしているキャラクターがどちらなのかは最後まで言及が無さそうなので、そのあたりは曖昧なままな気がします。
シンプルに考えれば妹と見なすのが自然ではあり、情報としても徘徊について触れられているので状況にもリンクしています。一方で、各エンディングの状態や語りを見ると、姉だったと解釈する方が飲み込みやすくなります。その場合、あねさがしとは、あねがさがしていると解釈することもできるかもしれません。
あねがむしろ妹を探しているのであれば、諸々の解釈を通しやすいところがあります。エンディングでも探すかどうかを迷う描写があります。
その場合気になってくるのは絵本の描写と実体に恐らく食い違いが存在する部分である、母親に落ちたいのりのちからのところです。真相側のエンディングと特定の発言を考えると、これはほぼ間違いないく妹の手によるものだと解釈できます。あるいは、殺害後に刺された複数の刺し傷もまたそうなのかもしれません。
このケースでも、妹に向けた最後の言葉であろう約束、そのよすがっぽい持ち物、それに恐らく紐づいているであろう助けの声あたりは解釈に迷うところがあります。ミステリなら実際の凶器の入った何かというのが定番な気がしますが、あまりしっくりきません。いつの間にか失われたリュックの可能性もありますしね。
ともあれ、雰囲気で解釈していくタイプの物語かと思えば、ある程度はちゃんと説明が入るので本筋自体は読み解けるタイプの作品でした。この手の作品は匂わせるだけ匂わせて何も明かさないパターンも割とよく見る印象があるんですが、そのあたりは誠実というか優しい作品となっています。
一方である程度の曖昧さは残っているので、それなりに解釈を楽しむ余地もあるのが嬉しいところです。こういう余白はほどほどにあると良い。
43. 巡る時と死せる魂の仔

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 探索ADV | ろぜちは080 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間10分 | 0-03 | クリア |
良かった点
- グラフィックの雰囲気が良かったです
気になった点
- ゲームオーバー時にタイトルに戻されるためリトライ性が悪いです
- 毎回スキップ不能の注意書きが表示されることが、これを助長しています
- マップに繰り返し構造が多く、景色が変わり映えしないことが多かったです
- ブービートラップの接触判定がやや直感的でなく、理不尽な印象を受けました
レビュー
薄暗い世界で痕を巡る
巡る時と死せる魂の仔は、陰惨な雰囲気のマップを巡って物語を進行していく探索アドベンチャーです。
触れるとゲームオーバーになるトラップに気を付けつつ、各地点を渡り歩いて記憶の残滓を辿っていくことになります。
基本的なゲーム性は探索と回避に終始する内容ですが、マップの構造そのものは一方通行のため、あちこちを行ったり来たりすることはそれほど多くはありません。ただし、イベントやギミックのための分岐点はいくつか用意されているため、周辺の誘導を上手く見極めることは重要になってきます。
大事なものを見落とすと広大な空間を彷徨うことになってしまうため、注意深く辺りを見渡すことを忘れないでおきましょう。
そうして各地で記憶を少しずつ思い出し、先へと進む過程でシナリオが進行していきます。
薄暗く時には陰鬱なグラフィックで表現された世界の中で、即死トラップの緊張感を覚えながら追憶を進めていきましょう。
感想
グラフィックの良さとかゲーム性がビタイチ変わっていない作品です。もはや安心感まである。個人的には竜の死骸とかのグラフィックが良かったです。
筆者の好みの都合上、以降はほぼ前作と同等の感想を記述することにはなると思いますが、それもまた感想なのでご了承ください。
おおよそ一本道構成の探索アドベンチャー系統となっていつつ、適度にそれっぽい方の道を選ばないといけないこともある作品でした。いくつか誘導っぽいオブジェクトはありつつも、初見でそれらを見極めて完璧なルート取りをするのは困難なので、ある程度直感に従うのが良さそうに思います。個人的には床を見るのがお勧め。
ワープ装置系は戻れるタイプとそうでないタイプがあり、特に終盤にはかなり戻されるものが存在しているので、入る前に念のためセーブしておくことも推奨します。というか、分かれ道があったらとりあえずセーブしておくと手戻りが少ないことが多いです。
マップのデザインは概ね似たような景色の連続で構成されており、ゲーム的に意味のある場面に関してはきちんと整備されています。そもそもの建付けが迷路なことに加え、ほとんど風景が変わらないことからかなり迷いやすいので、分岐点は最低でも覚えておけるとやりやすくなります。幸い、分岐点自体はそれほど多くないので何とかなります。
全体のゲーム性はイライラ棒に近く、適切に避けないとブービートラップに引っかかってタイトル画面に戻されます。タイトル画面ではスキップ不能の注意書きが流れることもあり、この辺りのリトライ性はあまり良くありません。30秒くらい待つ。一方で、一部のゲームオーバーはロード画面に行くので、この時に関してはリトライ性はさほど悪くありません。全部これだと嬉しいですね。
また、イライラ棒に関してもマップ都合で回避が困難であったり、接触判定がかなり分かりにくかったりと、そこそこトラップが多いです。難易度自体は決して高いとは言えないんですが、理不尽さはそこそこある印象でした。
全体的にシナリオも含めた陰鬱な雰囲気についてはマップやイベントの空気感とも合っており、ホラー的な肌感覚は上手いこと醸成されているところはあります。ブービートラップについても、緊張感の演出としては割と効果的でした。一方で、リトライの利便性の悪さと、イベント間をつなぐマップの見目にさほど変化が無い味気無さがそれらの雰囲気をいくらか棄損している側面を感じてもいます。せめてロード画面を開いてくれると嬉しいんですが、ごり押しを嫌ったのでしょうか。
ちなみに、イベントによっては赤いフラッシュがかなり高頻度で使われているので、光てんかん的には割と怪しいところがあります。その辺で具合悪くなる方はやらないほうが良いかもしれません。そうでなくても目には痛いですが。
44. 土下座事典

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 土下座 | かに |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 15分 | 1.0相当 | 全土下座完了 |
良かった点
- 何一つ理解できない世界観でした
- 土下座にバリエーションがあります
気になった点
- 接触判定がやや明瞭ではありませんでした
レビュー
土下座とは
土下座事典は、数々の土下座が収録された作品です。
マップ内の魚のようなものに触れることでなぜか土下座の解説が始まり、オレンジ色の何かに触れるとシナリオが始まります。
全20種の土下座と全8話のシナリオから成るゲームとなっていますが、土下座の解説とシナリオに一切の連関性が無いように、ほとんど全ての要素は良い意味でのナンセンスとして構成されています。
ひとたびゲームをプレイすれば、名状しがたい土下座と、脈絡なく展開していくシナリオが生み出すシュールな雰囲気に呑まれること間違いありません。
もはや、レビューするのさえ野暮な作品とも言えます。ひとまず土下座のドに入門してみましょう。
感想
感想を抱くことさえ許されないように感じるレベルのカオスさがありました。何を見せられているのかも、何を言っているのかも分からない。ただそこにある土下座。
なお、操作方法だけはきちんと説明されるんですが、それ以外の状態は何一つ説明されないですし、そっちの方が説明して欲しくはあります。どうしてこうなってるんだろう。
土下座にバリエーションが用意されて説明が行われるというのは、ラーメンズの日本の形を彷彿とさせます。しかし、あの作品がちゃんと理解できるギャグとして作られている反面、こちらは理解されなくても良いギャグとして作られている印象があります。
ずっとフルスロットルでかっ飛ばし続けているので、オノマトペとエフェクトで数が水増しされていようともはや気になりません。そんなことは些細なことです。土下座のベースとなるモーションが変わらないのは当たり前ですしね。
なお、ちょくちょく格ゲーの文脈の話をしており、めくりとかハメ技とか、ゲージ技とか、土下座がそういう形で紹介されています。もしかしたら、この土下座はそういうキャラクターのスキルなのかもしれません。残像土下座がゲージ2本使う割に弱すぎるので、ボトムティアだとは思います。
さらに、土下座に加えてなぜかシナリオがあります。もちろん、シナリオは土下座を説明してくれるわけもなく、さらにカオスというガソリンをくべ続けるだけです。本筋なんてものはないので、単話がアイキャッチでも良いですし、エロンマスクというギリギリアウトをお出ししても良いですし、Aniの作画の方に気合を入れたって良いんです。全てから解き放たれています。
そして、解説の最中にゲーム画面に戻ったって良いですし、エンディングっぽい曲が物語を終わった後に流れっ放しになったって良い。不具合からも解き放たれている。
ノリと勢いで構成された、とすら表現しがたい何かを感じる作品でした。
唯一、魚の足元くらいにある接触判定だけ気を付けていれば、後は不自由なく良く分からない自由に触れることができます。
45. 僧侶竜の導き

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 相談 | あまてん海老 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 15分 | 1.00 | 酒/告解コンプリート |
良かった点
- 会話にバリエーションがありました
- お酒の知識が深められます
気になった点
- 会話をスキップで飛ばすと、選択肢のスキップを誤爆しがちでした
レビュー
僧侶と竜と告解と酒
僧侶竜の導きは、告解に来た人々の話を聞き助言を与えるゲームです。
助言は一回きりの選択肢形式となっており、出来るだけ適切な導きができるように言葉を選んでいくという流れとなっています。
ファンタジー世界において告解に来る人々はバラエティに富んでおり、それぞれの悩みも様々です。そういった各々の相談をしっかりと聞き、正しい方向へと導けそうな選択肢を選んでいくことが大切です。
選択によって各々のリアクションは異なるものとなり、恐らくはめいめいの未来も変化するのかもしれません。話を聞き、言葉を返すだけのやり取りではありますが、そこに物語を感じ取ることができるでしょう。
なお、選択によるペナルティは基本的にありませんが、良い導きができると高い導きポイントが得られます。
そうして導きポイントを貯めることでお酒ガチャを回すことができ、引き当てたお酒の説明を見ることができます。一息ついてガチャを回し、お酒の知識を深めるのも一興です。
様々な人々の様々な悩みを聞きながら、それぞれの悩みに助言を与え、出来るだけ正しく導いてあげましょう。
感想
告解がメインなのかお酒がメインなのか、果たしてどちらがメインなのかというゲームです。文章量は割と近そうですが、前口上や分岐も含めると、おそらく告解がメインだと思います。
その告解については、一度NICE導きを見てしまえば、ポイント的には他の選択肢を見る旨味が無いように見えます。しかし、実際にはポイントがかなり余るので、気にせずそれぞれの分岐を見ていくのが丸いと思います。全パターンを見ようとした筆者のデータでは19600Ptほど余りました。
なお、全20通りある会話をコンプリートしたい場合、これはクーポンコレクター問題と見なすことができるので、期待値として約72回の試行が必要になります。プレイ回数に換算すると10周超、割とたくさん見る必要がある。
上記の性質上、どうしても聞いたことのある会話を繰り返し見ることになります。筆者の場合は、泥棒の懺悔、デーモン、年寄りと若者にはそれぞれ1回しかエンカウントしませんでしたが、ロボットにはめちゃくちゃエンカウントしました。
このため、会話をスキップするためにZキーを連打することになるんですが、そうすると次の告解の選択肢を誤って選んでしまう恐れがあり、やや手間です。このような場合、ウディタ製のゲームではXキーを連打すれば選択肢の前で止められるというTipsがあるのですが、このゲームではXキーで選択肢ごとスキップされてしまうため使えません。
上述のようにポイントが大きく余るあたり、見たことのある会話はいちいち読まずにXキーでスキップすることを想定した設計な気がしていますが、定かではありません。
もう一つのメイン、お酒の説明については、バラエティ豊かでオマケとして読むのに丁度良いボリュームでした。お酒をあんまり飲まないので、単純に勉強になります。
ただ、ガチャをやり終わったら連続で読み進めたかったので、せめて選択肢カーソルの位置が保存される仕様であれば、より快適に読めたかなと感じます。もっとも、バリエーションが多いとはいえ、現在の仕組みでも十分見て回れる範囲には収まっているので、さしたる問題ではありませんが。
タイトル通りの外伝的な作品なんだろうな、という規模感でさっと遊べる作品でした。
最後に余談ですが、会話中に表示されるドラゴンピジョットのイラストがやや横に引き伸ばされているように見えたのが、プレイ中にやや気に掛かっていました。良いイラストにもかかわらず違和感が拭えません。タイトル画面のイラストのアス比が本来のものっぽい気がします。
46. メカトモ2

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| RPG | KAZUTO |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 2時間30分 | 1.4 | クリア |
良かった点
- 王道のストーリー展開となっています
- 独特なグラフィックで世界が表現されていました
気になった点
- 仲間の加入レベルが低く、編成を変えるモチベーションが弱い印象があります
- サブキーにイベントスキップが割り当てられているため、ダッシュで誤爆しがちでした
レビュー
王道的展開
メカトモ2は、メカトモと共にいくつかのエリアを探索しつつ戦闘して進めるRPGです。
ゲーム性はRPGの形を取っているものの、基本的にはシナリオがメインであり、攻略が進むごとに王道的なストーリーが展開されていく作品となっています。
物語を読み進めるためには、エリアごとの雑魚敵との戦闘を行いつつ、中間ごとに用意されたボス戦に勝利を収めねばなりません。
ボスに勝つには、メカトモ二人のスキルを有効活用し、戦況を有利に進めていくのが肝要です。それぞれの特性を捉まえて、上手く運用していきましょう。物語が進むと仲間を切り替えることもできるため、違う戦い方を試してみたくなったら変えてみるのも良いかもしれません。
加えて、強くなるためには戦闘のみならず、エリア内にある採掘ポイントを利用して素材を集めることも重要になります。採掘で得られた素材で装備を作り、メンバーを強化していきましょう。
さらに、特徴的なグラフィックもまた見逃せない要素となっています。ややリアリスティックで独特な背景とは反対に、ポップな見た目の様々なキャラクターが描かれています。特にシナリオを進めるごとに増えていく、仲間の切り替え先のグラフィックは凝っているので一見の価値ありでしょう。
また、シナリオの要所要所では動く一枚絵の演出が入ることで、物語の熱い展開を彩っています。
グラフィック的な見目こそ独特ながら、中身は王道的な展開を示すRPGとなっています。
メカトモの力を借り、様々な敵を打ち倒していき、物語のラストを見届けていきましょう。
感想
ストーリーがメインというコメントの通り、シナリオが重視されていたRPGでした。前作をやったことはありませんが物語の筋は飲み込めたので、確かに前作を知らなくても遊べる作品です。
シナリオは短編から中編程度のボリューム感で、かなり王道に進行していく内容となっています。直球ストレートという感じ。オーカが唐突に良い人になりすぎなきらいはあるものの、まあ周りが悪かったということなのでしょうか。心酔しすぎていただけで、根はまともだったのかもしれない。
建付けの上ではメカの仲間を色々と合体させるところに面白みがありそうなのですが、各変形がそれぞれ別個体扱いでレベルが引き継がれないのは若干気になっていました。初期のレベルがある程度担保されることはあるものの、多くのケースではその時点のレベルにはついてこれないことが多いので、気軽に試すことはできません。まずは成長させるフェーズを挟む必要があります。
個人的にはキャドとキャムがそれぞれレベルを持ち、各個体がそれを引き継いでいく形の方が合体のシステムとの親和性というか、分かりやすさにも繋げられるのではないかと感じていました。最初に仲間を入れ替えようとしたときに、元のキャムなどが消えたのはちょっと混乱したので。
戦闘パートについては、基本的にステータス向上魔法をかけてダブルアタックしていくゲームに収束するのではないかと思います。上記のため、筆者は基本的にキャドとキャムしか仲間に入れずに進めていたので、それ以外のバリエーションもあるのかもしれませんが。オーカとかホイールくらいは試しても良かったかもしれませんが、レベルが半分以下なんですよね。
ダブルアタックについてはかなり強く、通常こういった連撃は威力を抑えて調整されるんですが、何ならこちらは威力が上がっています。無法。最初から最後までお世話になりました。
探索パートは立体のマップを探索する形を取っており、マップのグラフィックが特徴的です。PS1あたりの時代によくあった、FF7とかFF8あたりに代表されるようなプリレンダの背景の中を進むタイプです。当たり判定が分かりにくいところはありますが、独特なグラフィックの印象を強めることには成功しています。
移動するとちょくちょく引っかかるので、もう少し判定を甘めに取ってくれると嬉しいところではありますが。
個人的に探索パートで気になったのは採掘のシステムで、これがHPを消費します。そして、HPが切れると唐突にゲームオーバーになります。予告もありません。連打してるとたまにゲームオーバーになっていました。
これを避けるには適宜回復を挟む必要があるため、ダンジョン内でのリソース管理の一環なのかなと捉えていました。しかし、すぐそこに回復ポイントがあるケースが多いのもあり、このあたりの設計の必要性があるのかは微妙なところです。際限なく掘り尽くす作業になるのを嫌ったのかもしれない。
ともあれ、シナリオ的には王道で、内容としてもまっすぐにRPGとなっている作品でした。ちょくちょくシステム面で気になる事はあれど、メンバーを固定化して進めていれば大体のことはカバーできます。難易度もそこまで高くはありません。エンドロールが遅いというか曲の尺と合っていない気がするのだけは気になるかもしれない。
47. 月を生む話

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| ノベルADV | クリムS |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間 | 1.06 | Aエンド+α |
良かった点
- 王道と倒錯の明暗がはっきり分かれた良いシナリオでした
- 筋立てがベーシック故に、異常性が際立っています
気になった点
- 特にありません
レビュー
倒錯した王道
月を生む話は、現代を舞台にした異能もの風の物語が展開されるアドベンチャーです。
二重人格の主人公の行動を操作し、期日以内に事件の真相を突き止めていくことになります。
基本的な流れとして、プレイヤーは調査、交流、休息の三つの選択肢の中から1日にやることを決めていきます。
調査が進むとシナリオが展開するため、基本的には調査を軸とすることになりますが、これには体力やストレスの消費が伴っています。そうして消費した体力やストレスの解消や、調査に必要な社会性や戦闘力を向上させるために、ある程度は交流や休息を行っていく必要があります。
あまりに調査にばかりかまけて休むことを怠ると、主人公はちょっとおかしくなってしまいます。適度にみんなと交流したり、兄に甘えたりして元気になっておきましょう。
そうして調査を進めるごとに展開してくシナリオは、原則オーソドックスで熱いものとなっています。しかしその一方で、日常パートはどこかおかしく、疲れすぎればさらに倒錯していってしまいます。その反復で構成される物語の温度差により、読んでいるこちらまでも変な気分になってくることでしょう。
期日までの行動や選択によって、そうした闇に呑まれそうになるものから、救いのあるものまで7つのエンディングが用意されています。事件解決に奔走し、彼らにとって良い結末へと向けて死に物狂いで頑張っていきましょう。
感想
エンタメへの味付けがいつもよりやや強めな気もしますが、根っこはずっと倒錯している雰囲気がある作品でした。後半ずっと闇が深いのは、選択肢経由のエンディングの関係なのかそういうものなのか。
コメントにもあるんですが、日常パートの方が定期的に狂っていて、非日常パートの方が王道っぽい展開を見せてくれます。この辺もまた倒錯している。
いったんシステムの話をすると、ファジーに選択肢を決めていくアドベンチャーとして設計されています。とはいえ、ざっくり数値が分かれば何となく進められるので、最初の何回かは数値を観察して後はフィーリングで割とどうにかなるバランスでした。最終的に65日で到達できたあたり、難易度もそこまで高くはなさそうです。確定成功もありますしね。
ステータスを見るというのも、体力消費1で良いので気軽にできます。それ以外の消費の方が大きいので、あくまでオマケくらいにとらえて全部見ても多分問題はなさそうです。
その設計上運ゲーは避けられないんですが、パラメータの上昇やら犠牲を払った確定成功があるおかげで、それほど運要素を感じることはありませんでした。2倍のコストを払ったところで、割と回収は難しくありません。
とりわけ終盤は一人で寝たり兄に甘えることなく、交流を続けていれば自然に回復していきます。もっと皆と交流する方が、心身ともに安定するよねということなのかもしれない。このおかげで、冴子と交流できなくなる中盤に諸々が不安定になっていくことで、システムとしてシナリオ上の意味を付加しているように感じました。依存度が高まる。
戦闘パートについては、その存在自体少なめですが、ある程度成長していればブロックして殴っていれば倒せるのであんまり考えることはありません。体力が少ない状態で交戦すると大体負けるので、それに気を付けていれば良さそうです。ほぼフレーバーですね。
シナリオ面について。節々の演出から香るほの暗さであったり、そもそも主人公の発言内容であったりと、諸々が不穏になっています。全体的に裏人格、あるいはヤマダが良心として機能している印象があり、残りは全部倒錯しています。裏人格はある程度真っ当ですが。兄が不当に辱められていることに奮起して組織を抜けた裏人格、主人格が兄を辱めているのは良いのかという気持ちがあります。双方合意の上だから良いのかな。
シナリオの筋立ては異能ものとしてかなり正当に作られていて、真実の開示まわりとか、そのあたりの演出とかはベーシックなものとなっています。そして、それだけに倒錯した日常の異質さが際立ってきます。メインシナリオでも最後の召喚方法とかはまあまあ薄暗いんですが。
ともかく、メインの異能シナリオ部分を王道に仕上げた結果、それと対するように影がより暗く印象付くような作品となっていました。ここまで感情移入できない主人公に対し、ここまでちゃんと物語を読ませている手腕は見事というほかありません。理解はできないけど何をしたいかは分かる。
ちなみに、筆者はAルート後にA+ルートを見ようと思ったんですが、条件が良く分からなかったので結局未達となっています、連続イベントってどれのことだろう。なので、残りをとりあえず見ただけの印象で感想を書いていることをご了承ください。
48. しかきたん-オカルトノート寧楽奇譚-

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| ポイントクリック & ノベル | カッパ永久寺 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 3時間 | 1.00 | クリア |
良かった点
- オカルトとミステリという相反する要素を上手く混ぜたシナリオでした
- 双方とも質が高いです
- 地道に推理を積み重ねる堅実な設計となっています
- 奈良というロケーションを十全に活かしていました
気になった点
- 画面遷移系の処理がやや重く感じました
レビュー
Deer you
しかきたん-オカルトノート寧楽奇譚-は、ミステリとオカルトが渾然一体となった濃厚なシナリオが展開するアドベンチャーゲームです。
呪術探偵見習いの主人公マロンが、友人ヨウカや奈良で出会ったシカ娘カマコの力を借りつつ、赤い手にまつわる怪奇事件を調査していくことになります。
その軸となるシナリオは推理ものとして堅実であり、謎に対しての仮説や調査を通して真相を探っていくポピュラーなものとなっています。周囲に何一つ高所がない芝生の真ん中で、赤い手によって空から落とされた――そういった不可思議な状況に対し、蓋然性の高い推理で一つ一つの謎を紐解いていきましょう。
一見すれば赤い手というオカルトによる事件のように見える展開ですが、この世にオカルトは存在していても、不思議なことのすべてがオカルトではありません。奇妙な事件の不思議なことを紐解く鍵は、舞台となっている奈良のあちこちに遍在しています。各地を観光がてら巡り歩き、真実に辿り着くための情報を集めていきましょう。
さらに、この作品ではそうした骨太の推理パートに併せて、古代史的なオカルトが巧妙に混ぜ合わされています。不思議なことのすべてがオカルトでなかったとしても、この世に確かにオカルトは存在します。論理を武器にした推理だけでは太刀打ちできない怪奇には、そのオカルトで立ち向かうほかありません。
そうしたマロンやカマコによるオカルト的な活躍もまた、本作のシナリオにおける重要な立ち位置を占めていると言えるでしょう。
こうして、しかきたんはミステリ要素による堅実なシナリオ展開と、オカルト要素によるエンターテインメント性の高いシナリオ展開が縦横無尽に入り乱れる作品となっています。一見相反するそれらの要素を魅力的なキャラクターを軸に上手く描け合わせ、より高いレベルの物語へと昇華させている作品となっています。
その交互浴のような緩急ある展開のおかげで、最後まで飽きずに読み進められるであろうこと疑いありません。
歴史ある奈良の地を巡り、事件に対する仮説を立てては証拠を集め、古代史とミステリとオカルトが混ざり合う複雑な物語を紐解いていきましょう。
感想
オカルト要素を中心に据えつつ、ミステリそのものはきちんと論理の上で構築している良いゲームでした。相反する要素に見えるんですが、オカルトそれ自体も割と論理的というか歴史に紐づいた理屈っぽいところがあるので、意外と相似なものなのかもしれません。
オカルトノートでもそうだったんですが、現実には論理を、非現実にはオカルトを当てる構成の完成度がいずれも高く、どちらも楽しむことのできる作品となっていました。AにはAに向いた話、BにはBにふさわしい任務がありますからね。
ひとまずシナリオについて。全編を通して見ると、フックやエンタメ的な部分を除くとかなり真面目に調査、推理を行っていく推理ものの様相を呈しています。設定だけ見ると特殊設定ミステリっぽいんですが、オカルトはほぼ推理に絡まないのでかなり純粋な推理ものとして仕上がっています。
論理を基に蓋然性の高い推論を繰り返し、証拠を集めるために東奔西走し、少しずつ真相へと迫っていく構成はかなり骨太なものとなっていました。ここだけでも読み物として充実しています。恐らくこの推理パートだけを取り出してノベルゲームとして構成しても、十分ゲームとして成立するクオリティになっていると思われます。
その上で、その良質な推理ものとしての物語にオカルト要素、奈良というロケーションに基づく要素、歴史的要素を上手く肉付けし、エンターテインメントとしてより楽しめる物語へと昇華させています。登場人物についても愉快なキャラクターが多く、堅い側面のある推理ものという本筋を柔らかくしてくれていました。
全体を通して、堅実なプロットの設計に対してエンタメ的な厚みを持たせたような作品に仕上がっています。前者のおかげで物語に対するしっかりとした満足感がありますし、後者のおかげで消化しやすくそれらを摂取できるようになっていました。
このため、探索アドベンチャーもとい推理要素についてはかなりオーソドックスな設計となっています。あくまでも論理で詰め、仮説を立てては立証を進め、どこかが足りなければそれを補足しにいく、推理の道筋がきちんと立っている構成となっています。ともすれば地味とすら言えるほど堅実な設計をしているんですが、そこは他の部分でエンタメ成分を確保しているので気になりません。
トリック自体も意外性を持ちつつも無理筋ではない自然なものとなっていて、その解き方もまたシンプルなものとなっています。このため、最後の推理パートはほぼおさらいの形になりますが、最後の最後にちゃんと推測すべき対象が出てくるので、結局おさらいも大事ではあります。思考の道筋を立てさせてくれているのでしょう。
なお余談ですが、謎の落下死と言えばミステリには色々と作例があり、個人的には赤川次郎の三毛猫ホームズにおけるそれが割と好きです。この事件を見て真っ先に思い出してしまいました。
閑話休題。筆者個人としては推理小説が好きなので、全体を通した骨太な推理パートが最も好みなんですが、それはそれとしてクライマックスのドラマ性もまた違った意味で好きなパートとなっています。そういうノリの作品である以上、派手な方が読後感が良かったです。なお、筆者は祝詞を読み上げながら進めていたため、アレは一発で通せました。そういう趣味があって良かった。
また、最後の最後にDeer My Friendで終わるのもこの作品らしくて良かったです。シカへの飽くなきこだわりは何なんだろう。
ちなみに、文章を読む上での微妙に気になるどうでもいい点として、一人称がマロのキャラクターとマロンというキャラクターが共存している点が挙げられます。割とややこしい。双方とも珍しいパターンであり、完全に事故ではあります。
一方で、システム面で見ると、個人的にはUIの反応の悪さが気になりました。とりわけ、画面遷移系の処理の重さが気になっており、微妙に体感を損ねているところがあります。単なるピクチャ表示系でウディタがこれほど重くなるのはあんまり見たことがないので、多分何かしら裏処理をしているような気はしますが。
また、右クリックの文字送りがあまり上手くいかないケースが多く、基本的にスクロールで行う方が安定するという謎の現象もありました。筆者の環境問題かもしれない。
ともかく、ミステリとしてもエンタメとしてもクオリティの高いシナリオが楽しめる作品となっていました。ミステリ好きとしては非常に楽しめて良かったです。また、前作から引き続きキャラクターのいずれも魅力的なので、また次回作を見たくなる気分にさせてくれました。
なお、筆者は下手人をなぜか赤い手が見えていた観光客で回収するのかと思っていたので、その点では微妙に推理を外していました。確かに、そちらの方が次の展開が面白そうですね。
49. mudai 0

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 探索ADV | ぱちさん |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 3時間 | 1.43 | クリア |
良かった点
- 足で稼ぐ探索アドベンチャーとして楽しめます
気になった点
- マップが非常に広大な割に、意味のある施設は多くありませんでした
- 主要な施設へ向かう指示もやや曖昧です
- フラグ管理周りが怪しく、差し戻されるような不具合が見られます
レビュー
記者は足で稼ぐ
mudai 0 は、広大なマップを歩き回って取材を進めていく探索アドベンチャーです。
プレイヤーは主人公である記者を操作し、失踪事件の謎を追って様々な場所を巡って調査していくことになります。
基本的にはメニューから開くことのできる取材ノートを参考に調査を進行していき、それぞれの目的を達成していくにつれて徐々に失踪事件の真相に近づいていくことになります。
ただし、プレイヤーは安楽椅子探偵ではなく、足を動かして情報を集める記者です。家々の連なるクイン村の中を駆け巡り、様々な情報を己の手で集めていく必要があります。幸い、主要な施設は中央付近に集約されているため、まずはそれらを訪れてみるのが調査の第一歩目となっていくことでしょう。
ひたすら足で稼いで調査を進め、謎を一つ一つ解きほぐし、幾人かの仲間と協力もしていきながら、不穏な失踪事件に迫っていきましょう。
感想
極めて広いマップの中をあちこち探し回っていくという、オープンっぽい印象のある探索アドベンチャーでした。
プレイ感が比較的近いのは The Painscreek Killings あたりですが、それよりはRPG寄り、あるいはツクール系の探索アドベンチャー寄りな内容です。
大筋はノートの指示通りに進めていくことになるんですが、指示が曖昧なこともあるため、その場合は足で稼ぐことになります。
ただ、足で稼ぐと言っても家の数は膨大であり、かつそのほとんどにはあまり意味はありません。世界観のフレーバー的な側面と、一つの広大な世界を舞台としているという印象を与えるための要素といった側面を強く感じました。もしかしたらカルマ値を稼ぐ場合は必要なのかもしれませんが。
多くの場合は手前側にある主要施設を訪れていけば事足りるため、その点で考えれば親切とも言えます。主要施設が基本的に散らばっていないのはありがたく、探索の手間をいくらか削減してくれました。筆者はファストトラベル取得がだいぶ後半になったので、そういう意味でも助かっています。
また、マップが広い割には施設に対しての説明が薄く若干混乱しました。
奥にあると言われた施設が世界全体から見たら中央寄りの位置にあったり、南の無限ダンジョンと言われても、実際は北の無限ダンジョンと分けて表記するためにその名前であったりと、場所に対しての説明がその広さに対してかなり大雑把になっています。
ある意味ではこれも探索要素なのかもしれませんが、少なくとも序盤に立ち寄ることになる新聞社くらいはもう少し分かりやすいと取り組みやすいなと感じていました。
探索要素についてはいくつかのイベントをこなしていくタイプとなっていて、ちょくちょくギミックの攻略が求められることはあるものの、概ねは探索することに主眼が置かれているようでした。
探索において、暗証番号イベントがフラグの差し戻しでやり直しになる、時限イベントの数字が消えないなど、細かい不具合は見られるので、こまめにセーブをしておくと安心ではあります。割と理不尽なブービートラップもある。
なんとなく探索の結果知り合う人物や、それまでの行動によってマルチエンディングに分岐している気配もあるので、他のプレイヤーがどういう結末を迎えたかは若干気になるところではあります。筆者はエネと生活ルートに入りました。カルマ値を上げすぎたのか、戦いに入ると強制敗北になってしまった。
なお、マルチエンディングというか複線的なシナリオの弊害なのか、各々の情報やキャラクターの掘り下げはかなり小規模になっているため、全容を把握するのはそこそこ困難な印象があります。筆者の到達したエンディングでは、結局夢は何だったというか誰の目線だったのか、封印が解けるとどうなるのかは微妙に良く分からない結末となってしまいました。ちゃんと突き止めたいのであれば、周回を前提としているのかもしれません。
広大なマップを探索するのに骨が折れる印象はあり、エネを見つけるマップを代表として全体的に繰り返しが多い構造になっている点が探索欲に対するノイズになっているきらいはあるものの、主要施設を巡り基本的な情報を集めていくだけれあれば割とシンプルな作りとなっている作品でした。
家を全部巡ってみるみたいなことをしない方が諸々分かりやすいかもしれません。人ん家のトイレで用を足すようなことはしないでおくのが無難。
50. 蠅叩キー

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| タイピング | 遊句 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 15分 + 20分 | 1.04 | おまけもクリア |
良かった点
- タイトルの一発ネタに留めず、上手くゲーム性を拡張していました
- 奇天烈なシナリオと奇妙なゲーム性がマッチしていました
気になった点
- US配列のキーボードを使っていると詰みます
レビュー
極限までゲームへと昇華された駄洒落
蠅叩キーは、キーボードにたかる蠅をタイピングで叩き潰していくタイピングアクションとでも言うべきゲームです。
タイトル通りのシステムのため、ともすれば駄洒落に引っ掛けた一発ネタの作品に見えるかもしれません。しかし、そのゲーム性は非常に堅実に、かつ綺麗に拡張されたものとなっています。
基本的にプレイヤーが行うことは、キーボード上にいるムシに対しそのキーを打ち込むことで倒していくというものです。しかし、ゲームが進むにつれて、捕獲や特殊なコマンド入力が追加されていき、少しずつやることの幅が広がっていきます。
その上で、タイピングで叩くという核となるゲームシステムに変化はありません。このため、新しい仕組みで合ってもすんなりと飲み込んで進められること間違いないでしょう。
また、そのゲーム性の緩さに符合するように、展開していくシナリオもまた軽妙なものとなっています。ステージごとに差し挟まれる探索パートと共に、キーボードを叩き過ぎた後の休憩としてぴったりと言えるでしょう。
是非とも奇妙な世界観の中で物語を読み進めるべく、キーボードを壊す勢いで叩いてきましょう。
なお、クリア後にはおまけで遊べるモードが用意されており、こちらのゲーム性も非常に高いものとなっています。ローグライト的に遊べる設計となっており、歯応えのあるバランスに仕上がっているため、興味のある方はクリア後に挑戦してみてはいかがでしょうか。
感想
タイトルだけ見ると一発ネタっぽい雰囲気があるんですが、それを一発ネタで終わらせないで一つのゲームに仕上げている点が素晴らしい作品です。複雑になりすぎない範囲で一発ネタからゲーム性を拡張させています。
難易度も割とちょうど良く、雑にやるとクリアできないけれど、ある程度理解してればクリアできる温度感に仕上がっています。あんまり難しいと蠅を叩く爽快感が薄れるので、この辺りは絶妙でした。
ひとまずシナリオがある方に触れておくと、単に蠅を叩くだけでない機能を順次解放していく仕組みのおかげで、遊んだことのないゲームにもかかわらず、非常にすんなりと理解しつつ遊ぶことができました。
また、始終シュールな世界観ながらちゃんと流れのあるシナリオの完成度は高く、変なゲーム性との親和性も高くなっています。妙なゲームには妙なシナリオが合う。
続いて、フリーモードの方に触れておくと、こちらの方は歯応えが割とあって面白いです。シナリオモードはある意味ではチュートリアルなのかもしれない。その強化方針を定めつつもランダム要素にある程度対応して進めていく流れは、昨今色々なジャンルと組み合わさってみられるローグライト的な設計に感じました。
一方で、ムシコインのような救済要素もあるため、完全な高難度ローグライトにはなっていません。あくまで緩く楽しめる範囲に留まっています。この辺りの難易度調整は、ゲーム性や世界観的にはかなりマッチしていて良かったです。
なお、フリーモードの攻略については、大きい虫が狙い目であるように思っています。ある程度強化さえしていれば、bomb@を適切に撃って処理が可能なためです。一方で、ダンゴムシが意外に難しいため、個人的には割に合わない印象がありました。キャパを越えるとそのまま負けることまであり得ます。また、攻撃力が十分上がっている終盤であれば、ハチも狙い目かもしれません。
アイテムについてはキーボード打鍵時のスタミナ減を抑えるものをいくつか取っておくと、ある程度ガチャガチャ押しても耐えられるようになるのでやりやすくなります。最後に向けて耐久性向上とボム範囲が集まっているとよりベターですが、割とガチャ押しでどうにかなる場面は多いです。
ちなみに、筆者のキーボードはHHKBなのですが、USキーボードだと攻略できないゲームとなっています。このため、日本語キーボードを引っ張り出す羽目になりました。というのも、bomb@のアットマークがShit同時押しを強制されるため、ゲームの設計上打ち込めなくなるためです。bomb@はゲームを進行させるのにも必要なので、そのあたりで一度詰みました。
全体的には遊びやすいゲームなんですが、US勢には遊びやすさ1になってしまうかもしれませんね。英字キーボードを使っている方はお気を付けください。
51. みてくれというけれど

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 謎解き | みやの |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間 | 1.11 | 全END |
良かった点
- シンプルながら考えさせられるゲーム性でした
- 最後の謎解きも良いです
気になった点
- 特にありません
レビュー
Read Me
みてくれというけれどは、規約に違反しているかどうかを判定するゲームです。
その結果いかんによってエンディングが分岐し、全部で11のエンディングに到達することができます。
そのゲーム性は非常にシンプルなもので、実況者の動画や対象のゲームの説明書、ホームページなどを閲覧していき、それらの情報を総合して規約に違反しているかどうかを判断するというものになっています。
そうしてエンディングを見ていくことで、おまけ部屋に他のエンディングを回収するヒントが増えていきます。それに基づいて選択を変えることで、新たなエンディングを見ることができるでしょう。それほど選択肢は多くないため、エンディングの回収はさほど難しくはありません。色々なパターンを試していきましょう。
ただし、全てのエンディングを回収するのであれば、もう一手間を必要とします。それが何であるかは割愛しますが、その手間をかけ、全てのエンディングを見ることで、より本作の物語を味わうことができるであろうことは保証します。
是非とも全てのエンディングを見るべく、その謎に挑んでいきましょう。
感想
ゲーム性自体はシンプルなんですが、色々と隠し要素というか推理要素もあって、最後まで楽しめる作品でした。
以下は恐らくネタバレを含むので、やってない方は今すぐやっておいてください。
ひとまずオリジナルのゲーム性について触れておくと、これ単独でも良いゲーム性をしています。
個人的に好きなのはそのバリエーションと振れ幅の広さで、まあこれは9:1で悪いように見えるなと思うものもあれば、どっちも難しいところがあったなと感じるものもあれば、回避は難しいだろうなと思うものもあります。
ともすれば露悪的にすらなりそうな作品性をしているところ、この辺りのバランス感覚であったり、エンディングに応じたコメディ寄りの作品の雰囲気であったりによってうまく中和されている印象がありました。グラフィックの絶妙な緩さも貢献しているかもしれない。
筆者は概ねりーどみーをちゃんと読む意識を持っているつもりですが、いろんな作品の分を読みすぎてもいるのでどこかで読み飛ばしている可能性も否めません。そのあたりを踏まえて、果たしてこの長々と連ねているレビューがどこまで適合しているものなのかということを考えさせられました。
さすがにレビュー禁止の文言を見かけた記憶はないんですが、誹謗中傷は概ねNGであることは自明の理であり、その中でどこまでを誹謗中傷と見なすかには割とグラデーションがあります。筆者はそこそこ文句を言うこともあるので、その辺は気を付けたいなと感じています。個人的にという枕詞を付けるとか、代替案が無いかとか、代替案があったとて何故採用されないかとか、何か色々と考えながらやってるんですが上手くいっているのかと思いを馳せています。
とりわけ、生放送にもなるYoutuberがそのあたりをケアしつつ触れていくのは難しいんだろうなと感じていたので、そういう見方でゲームをプレイしていた側面もあります。文章は冷静になって見返したり推敲すれば社会性フィルターがかかっていくものですが、生の言葉はそうもいかないので。筆者がやったら絶対に余計なことを言いそうです。
それはそれとして、事前準備で出来るReadMeくらいは読みましょうという話ではあります。せめて同梱のものくらいはカバーしたいところ。
閑話休題。ゲームそのものとしては単なるクイズではあるんですが、おまけでそれぞれのキャラクター性が明かされる流れで、薄っすら思い込んでいたパーソナリティにある程度順じていたり、少し外していたり、意外な側面が見られるというのが良いです。これが前述のバリエーションの広さと連関し、短いながらも満足感の高いものに昇華されていました。
個人的にはこういう短く刺してくるシナリオが割と好みなので、良く印象に残る作品となったと思います。これもこげ。
続いて最後の謎解きについて。Editorが未圧縮データを優先的に読みに行く仕様を活かした謎解きです。確かにそう使えるなと膝を打ちました。
ちなみに筆者はこの段階になると本作に感化されていたので、思わずEditorの再配布に当たらないかを規約に確認しに行きました。当然ながら、「無償配布の場合」に限り、開発された作品に「Editor.exe」を添付して配布することを許可しており、その際の報告も不要です。兄を出すことが二次創作にあたるかまで確認されている作者さんなのだからさもありなん。
話を謎解きに戻すと、必要最小限度ながら、ある程度メタ的に、しかしシナリオ的な意味合いも付与して構成されたものとなっています。これはゲーム性あるいはシステム的な良さもさることながら、物語に対してのオチというか意味付けとして優れているように思います。
筆者がこのゲームにおいて最も良かった点を挙げるのであれば、最後に開示される個々人のパーソナリティを含めた多様性の描き方を挙げたいところですが、それがきっちりと印象に残るようになっているのは、この物語が最後にこの謎を解かせて、最後のテキストを読ませてくれたからのようにも思います。シナリオが綺麗に締まっているからこそ、枝葉の美しさを愛でられるのかもしれません。
余談ですが、ライツアウトで微妙にニアで被るとは思いませんでした。やはりライツアウトはフリゲの華なんだろうか。商業だとツヴァイくらいでしか見たことないけど、確かに探索アドベンチャーではよく見るような気がします。
さらに余談ですが、地味に名前入力が色々と対応しているのも面白いです。芸が細かい。ここまで細かいと色々仕込まれてそうなんですが、あんまり見つけられてはいません。
52. 金欠勇者

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| RPG | たこやき |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 20分 | 1.0相当 | ドラクマ撃破 |
良かった点
- 金で回るコンセプトが良かったです
気になった点
- 進行不能からフラグ管理まで、大小様々な不具合が散見されます
- バランス調整がかなりピーキーでした
レビュー
地獄の沙汰も
※この作品は、ウディコンのエントリーから外れています。
金欠勇者は、金を稼いで攻略を進めるRPGです。
基本的には戦闘を通じてお金を獲得し、装備などを購入して強くなりつつ、ラスボスに挑むための100000Gを集めることが目標となります。
戦いで得られるお金は株式に投資することもでき、宿屋に泊まって日数を進めると株式の値段が大きく変化するようになっています。
ギャンブル的な要素ではありますが値段の乱高下はかなり激しいので、安い時には購入しておくとゲームを有利に進められるでしょう。
戦いと株式投資を組み合わせてお金を稼ぎ、ラスボスに到達することを目指していきましょう。
感想
初めこそ金欠っぽいですが、最終的に金満勇者になるのでタイトル通りかと言えば微妙なところです。
そもそもゲームタイトルがウルファールのサンプルゲームではありますが。
金ですべてが回るシステムや株式売買による金策というコンセプトはユニークだなという印象があります。
一方で、100Gの時に買った株式が90000Gで売れるようになってあっという間に崩壊するなど、バランスの調整はかなりピーキーめでした。そもそも株式売買の手数料が50%という中々な環境下で売買しているというのも気にはなっていたものの、このレベルで暴落と暴騰が起きるなら些細な問題でしかありません。
また、そもそも鳥に話しかけると金が手に入るという謎の現象もありますが、これはたぶんデバッグコマンドでしょう。些細では済まないくらいのお金が手に入りますが。
先述の件も含め、店のシステムが上手く使われていないためアイテムの追加が無制限に行われていく、助けた子供がずっと助けを求める、ラスボスの所に行けない、といったように大小さまざまな不具合が存在しており、そのあたりの調整もまたおざなりだなという印象がありました。
特にラスボス周りは事実上進行不能の不具合であり、基本的にクリアはできません。ただしDataは公開されていてるので、ウディタを使って自分で直せば戦うこと自体はできます。これもまた困難の一つではあると見なせばクリアまで到達できるでしょう。
最終的にエントリー停止になったあたりも含めて未調整あるいは未完成の作品というきらいはありますが、アイデア自体は割と良いゲームだなと感じています。
53. 犬の魔王討伐

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| RPG | 犬コロン |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 4分 | 1.0相当 | クリア |
良かった点
- シンプルなシステムとなっていました
- コンパクトに遊べます
気になった点
- 戦闘バランスがかなり大味です
- 各種回復手段に制約があるため、詰みかねません
レビュー
あっさりとシンプル
犬の魔王討伐は、極めてシンプルなRPGとなっています。
プレイヤーは犬単体、ダンジョンは一つ、ボスは一体と、タイトルの通りのコンパクトな作りです。
ただし、短いと言えどすぐさまボスに挑みに行くのはお勧めできません。まずは適度に戦い、レベルを上げてから挑んでいきましょう。
全体のプレイ時間は5分にも満たないため、仮に詰まってもリセットしてやり直せるレベルです。気楽に遊んでみるのをお勧めします。
感想
シンプルというかあっさりめというか、そういう作品です。ここまでタイトル通りなことも中々ありません。
ゲームバランスも大味で、何も考えずに進めると戦闘一回でラスボスに突入するので大体負けますが、ざっくり戦闘してレベリングすると勝てるレベルになります。たぶん最低限二回くらいは戦闘した方が良い気がします。
ただし、レベルアップしてもSPが回復せず、加えてSPの回復手段が事実上存在しないので、ヒールを使いすぎると詰みかねないという罠があります。同じ理由で薬草を使い切るのも危ないです。とはいえ、短い上に無限にレベリングできるので、多少詰んでもなんとかなります。
また、シンプルゆえの利点として、過剰なエンカウントがなく、複雑なマップもなく、引き延ばしもありません。あっさりの極致。
オープニング一発目から誤字があったり、ゲームデータ化していなかったり、細々としたところで気になる箇所はあるものの、そういうことに気を取られる前に終わるので後腐れなく終われる作品となっています。シンプルな設計というのは確かな利点だなと感じていました。
54. STELLA FORMULA

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 計算パズル | なべのひと&北街かな |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 30分 | 0.92 | 5連最小ステップ |
良かった点
- 頭の体操にちょうど良いゲーム性をしています
気になった点
- 解けない問題が出題される可能性があるようです
レビュー
メイクnパズル
STELLA FORMULAは、数字と演算子を使って目的の数値を作り出すパズルゲームです。
プレイヤーは提示された数字を作るべく、与えられた5つの数字と四則演算を上手く組み合わせていくことになります。
演算はかっこでくくることもできるため、その並び順序も含めて構成できる式のパターンは膨大になります。頭の中で総当たりで解くことはほぼ不可能と言えるでしょう。提示された数字を上手く分解し、与えられた数字の組み合わせを上手く考えて効率良く解いていくことが重要になります。
また、問題生成は完全にランダムで行われているようであるため、難問や解答不能な問題に出会うこともあります。どうしても解けない時は、問題のスキップを選択することも必要になってくるでしょう。あまり考え過ぎず、リラックスして取り組むことをお勧めします。
一期一会の問題を楽しみ、軽く頭の体操をしていきましょう。
感想
与えられた数字をもとに四則演算子を利用して導出するという、割と良くある数字パズルを良い感じのUIで上手く包んだゲームです。
ゲーム性自体はメイク10パズルとしては一般に膾炙してそうな汎的なものですが、綺麗なUIでさっくりと遊べるようにパッケージングされているという点が良いです。ちょっとした頭の体操になる。
また、対象の数字が5つになって組み合わせが増えている点、10ではなく合計値もランダムな点で発展性も演出しています。
特に、しっかりとかっこによる演算が用意されているのが程よく複雑性に寄与していて、ある程度考えないと答えが出ない基点となっているように感じました。
個人的な解き方としては、答えを出しやすいところから逆算する方が早い気がしており、特にパターンが少ない時は割と有効な戦略になります。ただ、ベタ問が飛んでくることも間々あるので、ひとまず型にはめてざっくり考えて詰めた後にダメだった時の次善策として使うほうが良いかもしれません。この辺は割と直感的。
なお、最初にプレイした時は一つ解無しっぽいのがあったのでスキップしてしまいました。1, 2, 2, 3, 3 から43を生成する組み合わせは果たしてあるのだろうか。多分無さそうです。
興味があったので、雑にrubyで解答を出すコードを作ってみました。
1 | def calc_rpn(expr) |
計算効率とかゼロ除算を考えてないんですが、恐らく全網羅しているはずです。逆ポで全列挙して、回答を許容付き誤差で比較して探す形式となっています。これで1, 2, 2, 3, 3で43になる結果を探したところありませんでした。バグってなければ解は存在しないはずです、多分。直感的にも43は素数なので作りにくそうですね。
閑話休題。解けない問題があるのはやや気になりはしますが、かなり効率良く作っても計算負荷はそれなりにありそうで、ウディタ上でソルバを実装するのが困難に感じるので仕方がないだろうなとも感じています。事前に全パターン計算して、テキストファイルか何かに吐き出しておくくらいしか思いつきません。
なお、フォーカス外に出すと時間が経過しないのでズルできますし、そもそもゲーム開始時に最初にクリックしてから計測開始なので、頭で全部計算してからやれば実質時間は使いません。筆者は後者の方法で取り組み、実測値10分、スコア1分30で全問クリアをしています。
個人的にはこのくらいの緩さで遊べるのは良かったです。慣れないプレイヤーは適当に触って数字を探し、慣れているプレイヤーは頭の中で全部完結させてから早業で解くプレイングができます。
ともかく、軽く頭の体操をするにはちょうどいい作品でした。どうしても解けなさそうであれば、スキップしましょう。
55. 光の精霊が死んだ

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| RPG | あたりメ |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 9時間 | 1.07 | クリア |
良かった点
- 様々な育成システムが高品質にまとまっていました
- それぞれ快適に作られているため、稼ぎが捗ります
- マウス操作を活かし、直感的に扱えて便利なUIとなっていました
- 陣地を上手く使う完成度の高いオートバトルの仕組みとなっています
- 戦略性と自動周回の利便性が共に満たされていました
気になった点
- 素材の入手方法を調べるのがやや手間でした
- 入手ポイントから素材を調べること自体は容易なので、逆引きが難しい印象です
- 育成に掛かる時間コストが高いので、戦略のためにメンバーを後から組み替えるのは大変な印象があります
- 育成の楽しさとのトレードオフではあり、どちらかと言えば育成の楽しさが勝るものではありました
レビュー
良く回る育成サイクル
光の精霊が死んだは、モンスターを育成してオートバトルで陣形を組んで戦わせるRPGです。
育成に主軸が置かれており、70種類以上のモンスターから好きなモンスターを選んで、最大8体のパーティを組んで戦うことになります。
ただし、オートバトルといってもただ野放図に戦わせるわけではありません。プレイヤーはマナを使って5x3マスの自陣にモンスターを配置していくことで、陣形を組むように戦わせることになります。モンスターによってはサイズが違ったり、配置位置でバフをかけられたりとサイズや位置に応じた様々な違いが存在します。パーティーメンバーに即した配置を心がけていきましょう。
また、マナは自陣のモンスターが行動する度に溜まっていくため、戦闘中であっても配置することが可能です。敵の猛攻でモンスターが倒れてしまっても、召喚コスト分のマナがあればすぐに配置して戦線に復帰させることもできます。しかし、召喚する度に必要な配置コストは上がっていくため、際限なく復帰させることはできません。パーティーのモンスターを満遍なくバランス良く配置し、効率良く戦っていきましょう。
また、少しずつ難しくなっていくダンジョンの攻略や、特定ダンジョンの最後に待ち構える強力なボスに勝つためには、パーティーメンバーの育成が鍵となってきます。
既に攻略したダンジョンであっても、何度も周回することで素材などのアイテムを取得できるほか、そのダンジョンで出現するモンスターのデータを獲得することもできます。データを集めることで対象のモンスターをレベルアップさせることができるため、積極的に周回して集めていきましょう。
加えて、フィールド上で採集を進めると得られる素材を活用することで装備を合成できます。パーティーメンバーに即した強力な装備もまた育成においては肝心となるでしょう。
戦闘と採集を繰り返し、育成と合成を重ねてより難しいダンジョンに挑戦していきましょう。
なお、こうしたダンジョンの周回やフィールドの採集は、良質なUIとゲームシステムにより直感的かつ効率的に行いやすくなっています。とりわけ、ダンジョンを踏破すると得られる踏破ポイントの消費で得られる周回チケットを用いれば、ほとんど放置していても勝手にサイクルを回してくれるでしょう。
お気に入りのモンスターを育成する際は、こうした様々なシステムを十全に使っていくことをお勧めします。
そうして育成が進み、ゲームが進行していくにつれて、適当にモンスターを採用して陣形を整えるだけでは厳しいダンジョンも現れ始めます。高難度のダンジョンや強力な敵を攻略するには、属性の相性やそれぞれのモンスターのシナジー、陣形の組み方など、色々な試行錯誤を行う必要があるでしょう。
気に入ったモンスターを活躍させるビルドを組むも良し、敵に合わせて柔軟にメンバーを変えるビルドで挑むも良し、それぞれのプレイスタイルで難敵を撃破していきましょう。
育成をメインに据えた上で、可能な限り快適に幅広くその育成を楽しめるようにデザインされたゲーム性が特徴的な作品です。
そうした育成の対象となる、オリジナルの緩いグラフィックで彩られた70種類以上のモンスターの中には、きっと気に入るモンスターがいることでしょう。様々なモンスターに会うためにも、立ちはだかる強敵を育成したモンスターたちで撃破していき、次なるダンジョンへと足を進めていきましょう。
感想
印象としては作業が多いように感じているんですが、それによってだれたり飽きるということが無いデザインになっているのが良い作品です。やりたいことのために目的をもって作業に取り組めるし、その作業は特別苦ではないし、同じことばかり続くわけでもないという設計が良かったです。
RPGには色々と楽しめる要素が詰まっているんですが、この作品はその中でも成長あるいは育成の面白さにフォーカスした作品のように感じています。それが前述の良質な作業性にも繋がっていて、焦点を当てて突き詰めているおかげでクオリティの高い設計に仕上がっているのだと思います。コンセプトが良い。
かく言う筆者も攻略の度に色々な作業をしており、合成のために素材を集めてみたり、モンスターのレベル上げのために周回してみたり、そもそも金稼ぎのために周回したりと、色んな観点で育成を進めています。
そのために必要なダンジョンの単純な周回それ自体は手間に見えるものの、これに対してもチケットで一気に回すなどのシステムが整備されているので意外と苦になりません。たとえチケットが無くても割と放置で行けるのも良いところです。なんなら周回が適度な休憩にすらなっていたかもしれない。
システム面についても作業のサポートが十全になされていて、マウス操作であることを存分に活かした設計になっています。マップの探索ですらマウス操作で行われている徹底振りで、これが案外操作しやすくなっています。とりわけボタン一つでフィールドに戻れるのがかなり便利で、町で色々探索してすぐに戻るという行為がやりやすくなっていました。
クリックによって発生する遷移もかなり自然で直感的であり、違和感なく作業に没頭できる環境が整っている印象があります。
欲を言えば、素材が増えてくると管理の手間が増えてくるのは気になっていて、特にどこで手に入るかを知るのが難しい印象はありました。モンスタードロップのデータはちゃんと用意されていますし、現地に行けば採集の情報も出るんですが、それに対する逆引きができないのがちょっと手間になります。終盤までくると素材数が膨大になってくるので、頭の中で照合しておくにも限度がありました。
続いて戦闘面について、オートバトルとして完成度の高い設計になっています。特に、充分準備が整えば周回可能、そうでないうちは少し干渉が必要、難易度の高いステージではバリバリに干渉が必要、という塩梅が良いです。少しずつ成長し、自動周回できるようになってくると育成の手ごたえを感じることもできました。
前回の履歴というシステムも痒い所に手が届くシステムとなっていて、いちいち周回で置く手間が無くなります。これ無しでは周回のストレスは相当高かったことでしょう。このシステムがあるおかげで、周回に対するハードルはかなり低くなっています。
戦闘デザインの面では連続召喚にコストがかかるという設計が秀逸です。これのおかげで、一人だけ強いやつを作るだけではコストの割が合わなくなるため、満遍なく成長させるためのモチベーションを上げることに貢献していました。これがなければ、適当な最強の精霊を作るだけで済ませていたかもしれません。
また、難易度のバランスも絶妙で、概ね地の精霊あたりからぐっと難易度が上がってきます。ここまでは色々と編成を作ったり、様々なシステムに慣れるためのチュートリアルなのかもしれません。筆者は奪い取ったタイミングで戦う相手が強すぎて、初見ではすわ負けイベントかと思っていました。冷静に考えれば勝てる相手ではある。
大体この辺りからアイテムの活用が視野に入ってきていて、アイテムや編成をちゃんと考えてボスを倒そうという戦略性が生まれてきたように思います。これがあと2手くらい早く訪れていたら、取れる手段が少なくて苦しいことになりそうです。しかし、十分やれることが増えたタイミングで来るので、どう対応しようかと考える余白があって楽しめました。
ゲーム性が育成に寄る以上、ちゃんと強い敵が配置されるというのは明確にメリットであり、メンバー編成の再考であったり、きちんと前準備のために周回を重ねたりと、強敵に出会うたびに育成にフォーカスしていく良いループが生まれているように思いました。
個人的に一番強く感じたのはフェニックスで、卵の対処に苦労しました。まずもって先行して潰すのが難しく、色々考えた後にウォーターをひたすらぶち当てていく戦略を取ることにしました。これで割と安定するんですが、相手を倒しかけるタイミングで召喚する敵によってはこれでも苦戦することが多く、連続で卵を召喚され続けた時はそのまま敗北を喫してしまいました。
卵を召喚されないお祈りか、もしくはMP管理が重要そうなんですが、MPの増減の規則性があまり見いだせなかったので、結局ごり押しで突破することになりました。正しい攻略法は何だったんだろう。
なお、筆者の最終メンバーは精霊オールスターズにプルを添えたものになりました。魔法はキュアが残っています。
プルは序盤からずっと前線を張ってくれている頼もしい相棒であり、最後まで愛着の湧く存在になってくれました。レベルも一人だけ27と抜けて高い。さらにメタルプルストーンも併せることで高性能の壁として終盤まで活躍してくれました。感謝。
精霊ズは基本スペックが高いのでそのまま増えるごとに運用していて、高火力で周回においても役に立ってくれました。特に最序盤のイフリートは高い耐久性も相まって壁として機能してくれることもあり、火力耐久双方の面でパーティーを支えてくれました。感謝。
一方で、精霊メインパーティーは柔軟性に欠ける面は否めません。破壊力を重視した型だと思います。単純に、ラストダンジョンは精霊全員で挑みたかったという気持ちもあってのチョイスではありましたが。
また、メンバーが揃ってない内はホムラグモやネグラによる前線カバーであったり、テルテルによる配置バフであったり、スポットで活躍してくれているユニットも多数いました。それぞれのボス攻略のために用意したユニットも色々あり、この辺りを組んでいくのは楽しかったです。
ただ、メンバー以外に経験値が入らないのでユニットを運用するにもまず成長が必要なのは個人的にはやや手間の印象が強く、このため気軽に戦略を試せないもどかしさはありました。他方で、その分パーティーに入れ続けていたプルへの愛着などは確かにあるので、この辺りはトレードオフな気もします。育成メインなら後者を取るのは妥当っぽいですね。
ちなみに、恐らくちゃんと攻略を進めていくのであれば、各属性に応じたメンバーを構成するのが良さそうで、実際に最終メンバーでは裏ダンジョンの聖域ではあまり活躍できませんでした。ここを攻略するのであれば、さらに専用に属性を揃えた運用が求められるのだと思います。
話を少し戻して愛着という面で見ると、各ユニットにオリジナルのグラフィックが割り当てられているというのも良いところです。それぞれ属性に基づいたユニークなデザインとなっています。このおかげで記号的あるいは役割ベースだけでなく、それぞれのユニットの個性を感じることができました。
最後にシナリオについて軽く触れておくと、個人的にはフレーバー的な要素に感じています。そもそもゲームの設計上シナリオに触れるのが断続的であり、あまり長いシナリオを組み込むのも相応でない印象があります。その中で、主人公がやりたいこと、世界観、その世界の中で起こっていることと目的との相関、あたりをコンパクトにまとめてゲームの流れを止めない形で表現しているように感じました。
このため、生まれ変わりという設定をスピーディーに回収してあまり言及しないところもあって、個人的にはいくつか謎が残っているところもあります。シルフが主人公を知っている理由についても、良く分からないまま終わりました。生まれ変わり経由なんだろうか。育成に夢中になりすぎて読み落としている可能性はありますが。
とにかく、様々な育成要素がない交ぜになりつつも、それらすべてが高いクオリティで設計、融合されているおかげで満遍なく育成を楽しめる作品でした。
57. Go Down, B-Girl!

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| デッキ構築ブレイキンダンスバトル | なす太郎 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間+α | 4.00 | ノーマル/ハードクリア |
良かった点
- ブレイキンダンスというモチーフを、上手くデッキ構築ローグライトに落とし込んでいました
- チェインを繋げるムーブを踊りと見立てる設計はユニークなものとなっています
- 使用カードとパッシブスキルが相互に関わり合う良いゲームデザインでした
- それぞれのシナジーを考えて組んでいく楽しさがあります
- ゲームループがシンプルでテンポも良かったです
- 直感的に操作でき、必要な情報が一見して分かる良いUIでした
- 各アイコンの意味をいつでも右クリックで確認できるのも助かります
気になった点
- 育成パートについて、初見のタイミングに限っては何をすべきか分かりにくいところはありました
- 一周が短いので、とりあえず遊べば理解はできる範囲です
レビュー
フロアを湧かすダンスバトル
学問には、学際という概念があります。端的に言えば、複数の学問分野を複合的に、横断的にかけ合わせることで未知のイノベーションを生み出すものです。
全く新しいシステムとは、思いもしないものの融合の中に現れるものです。Go Down, B-Girl! はブレイキンダンスとデッキ構築ローグライトを掛け合わせることで、これを実現している作品であると言えるでしょう。
加えて、この作品は単に二つのモチーフを混ぜただけに留まるものではありません。それぞれのモチーフを高いレベルで解体し、再解釈し、再構築し、ない交ぜにすることで、未知でありつつも、それそのものはシンプルかつ高品質に仕上げたゲームとなっています。
このゲームの基本的なシステムはデッキ構築型ローグライトとなっていますが、戦闘と育成がニコイチになりやすい類例とは異なり、育成パートとダンスバトルパートに明確に分かれるものとなっています。
ゲーム内の順序としては育成パートを経てダンスバトルに挑むものとなっていますが、ここでは説明の都合上、まずはダンスバトルパートについて先に触れたいと思います。
ダンスバトルパートでは、習得しているダンスをカードに見立て、これらを使用してダンスをプレイしていくというゲーム性となっています。
プレイヤーはそのカードをデッキから規定枚数ドローした後、好きな順序で選択してダンスを繰り出していくことになります。
ブレイキンを行う上で重要なのはCHAINを繋げることです。すなわち、踊りが滑らかに繋がることが重要となってきます。そして、滑らかに踊りを繋げるには姿勢が肝心となります。
この作品におけるダンスの姿勢は、立と床の二種類に分類されています。その上で、ブレイキンにおける基本要素であるトップロック、ゴーダウン、フットワーク、パワームーブという踊りは事前と事後の姿勢を定めたものとして分類されています。例えば、トップロックは立から立へ、ゴーダウンは立から床へ、フットワークは床から床へ、といった具合です。
CHAINを繋げて滑らかに踊っていくには、立と床を上手く繋げていくことになります。トップロックからトップロック、トップロックからゴーダウン、フットワークからフットワークなどは繋がりますが、フットワークからトップロックは繋がりません。トップロックは床から立へのダンスではないためです。
これだけであれば、手元にあるカードからCHAINを繋げられるものを順序良く選択していけば良いのですが、そうは問屋が卸しません。ダンスをプレイするには、そのカードごとに設定されたコストに応じたスタミナを支払う必要があるためです。スタミナには限界があるため、たくさんカードを引いているからといっても全てを踊りつくせるとは限りません。姿勢をベースに適切に繋ぎつつ、コストも見てどの順序で踊るかを決めていく必要があります。
なお、スタミナが不足している場合でも、ガッツと呼ばれるパラメータを消費することでプレイすることができます。ただし、スタミナはターン開始ごとに回復する一方で、ガッツはそうではないため、その使い所が大事となるでしょう。あと一手、踊りたい時にお勧めです。
そうして様々な要素を勘案して踊りの流れを決めてCHAINを一定以上繋げることで、フリーズと呼ばれるスキルでダンスを終えることができます。これは必殺技のようなものであり、ノーコストで強力な効果を得られる代わりに一定以上のCHAINを繋げるという条件が付随しているものです。
フリーズに目がけてCHAINを繋げてブレイキンしていくことが基本的な戦略となるでしょう。
ここで忘れてはならないのは、これがブレイキンダンスバトルであることです。ただ踊るのではなく、オーディエンスと審査員という二つの対象をそれぞれ湧かせて、その勝敗を決する必要があります。
オーディエンスは全部で5x10の50人が存在し、ダンスに応じた人数が応援してくれることで得点となります。一方で、3名の審査員はそれぞれ入ったポイントが高い方に一方的に10点を与える設計となっています。オーディエンスは味方に付ければ付けるほど良いですが、審査員はそうではありません。バランスが大事となるでしょう。
なお、プレイするダンスがオーディエンスに作用するか、審査員に作用するか、あるいは両方か、どの程度の人数やポイントになるか、といったものはカードに応じて様々です。このため、カードの選択の際は、オーディエンスや審査員の状況も見ていく必要があるでしょう。
そして、全3ターンのカード選択によるブレイキンを終え、その時点でオーディエンスと審査員の合計点が高い方が勝者となります。
勝利において重要なのは、CHAINを繋げつつ様々なダンスを披露し、効果的にオーディエンスや審査員を湧かしていくことです。すなわち、使えるダンスの種別を増やしたり、その効果を高めたり、あるいはスタミナやガッツ、ドローを増やして1ターンに踊れる数を増やしたりといったことが必要になってきます。これらを用意していくのが、育成パートとなります。
育成パートはダンスバトルまでの14日間で構成されており、毎日4つのトレーニングから好きなものを選んで過ごすことになります。その選択肢に応じて、ダンスの習得、ステータスの強化、パッシブスキルの獲得などが可能となっています。
ここで重要となってくるのは、パッシブスキルの存在です。パッシブスキルはスタミナやガッツなどのステータスの強化の他に、特定ダンスの強化であったり、CHAINを繋げた際に特殊効果を付与したりと、様々な性能を持つものが多数存在しています。そのいずれもがハマれば強力なものとなっており、シナジーが取れるとデッキが一気に強化されることも少なくありません。よりフロアを湧かすためにも、積極的に取得していきましょう。
ただし、パッシブスキルは闇雲に取ればいいというものでもありません。各パッシブスキルをバトル中に使えるようにするためには、フィジカルとテクニックという二つのパラメータを指定数必要とするためです。パラメータが不足している場合は、習得していたとしてもバトル中には有効になりません。
それぞれのパラメータはトレーニングによって獲得できるため、得られるパラメータも加味してトレーニング内容を選んでいくことが重要となってくるでしょう。
こうしてトレーニングを重ね、パッシブスキルとダンスによるデッキ構築を完成させ、先述したダンスバトルパートに挑んでいくことになります。
トレーニング内容や獲得スキルは基本的にランダムなので、機に応じて柔軟に方針を変化させて自分なりのデッキをビルドしていきましょう。
上述の通り、非常にユニークなシステムとなっているため、ともすれば覚えることが多いように感じるかもしれません。レビューの文字も多くなってしまいました。
しかし、実際はシンプルかつ直感的なUIと親切なチュートリアルにより、スムーズにゲームに入れること請け合いの作品となっています。加えて、右クリックを行うことでいつでも説明が見られるようになっているため、分からないことは随時確認していくこともできるでしょう。
ブレイキンダンスというモチーフを、極めて高い完成度とシステムの納得感とでデッキ構築ローグライトに落とし込んだ、意欲的かつ高レベルな作品となっています。独創性の高いシステムでありながらも、基本的なシステムやルールが分かりやすくまとまっているため、見たこともないが遊びやすいという矛盾を見事に解決していると言えるでしょう。
加えて、極めて良いゲームテンポと良質なUIのおかげで、気付くと夢中になってプレイしてしまう中毒性も秘めた作品です。
これだけ書いておいてなんですが、文字で読むより直接遊ぶ方がはるかに分かりやすいゲームです。是非とも手に取って、その沼にはまっていきましょう。
感想
毎回お馴染みではありますが、気付くと最後までプレイしてしまっている中毒性のあるゲームです。この感想を書く際に確認がてらハードを遊んでいたら、クリアまで一気に遊んでしまいました。この流れ前回もやったな。
選択肢から得られるそれなりの自由度、その自由度の中からビルドしていくことで得られる知識と経験、それを応用してどんどん進められてしまうテンポ感の良さ、その全てがあります。デッキ構築型ローグライトにあって欲しい要素が全部入っていると言っても過言ではないでしょう。
まずはゲームデザインの面について。ブレイキンダンスバトルというモチーフを解体して調理し、ローグライトデッキ構築に組み込む手腕は素晴らしいの一言に尽きます。
まずもって、単にスキルのモチーフとしてだけ使っているわけではないという点が凄いです。トップロック、ゴーダウン、フットワーク、パワームーブ、フリーズと締める一連の流れをカードのコンボというゲームデザインに落とし込んでいます。このため、連続でカードを使いチェインを繋げていく一連の流れがそのままダンスそのものとなっていて、そのモチーフを十全に活かしたものとなっていました。
さらに、モチーフを活用したことで独特かつ斬新なカードバトルの設計を構築しているという点でも見事です。立と床という二つの状態からコンボを上手く接続していく形式は、モチーフから自然に理解できる上で、コンボシステムとしては様々な奥行きを作り出していました。カードの使用順序の意味合い、デッキバランスを整えることの価値、最後の動きまで見据えたコンボパターンの事前構築、あるいはアドリブ的なつなぎ、それらすべてはこのベースシステムに依拠しています。
そして、個人的にとりわけ優れていると感じる点の一つとして、下手をすればデッキと同程度かそれ以上抱えることになるパッシブスキルの多さが挙げられます。
このゲームシステムの都合上、ダンスのカードそのものにはあまりシナジーが用意されていません。流れを繋げて上手くチェインを取ることや、そのためにデッキ内に組み込むバランスの方が重視されている印象があります。
その分、シナジーはパッシブスキルとダンスの方に上手くまとまっています。チェインを繋げて強力な効果を得るという基本的なものから、ダンスの種別に応じてつくパッシブスキルを参考にして特定のカードを増やすなど、パッシブスキルがもう一つの戦略の軸を生み出していました。
チェインを繋げつつバランス良くデッキを構築しつつ、パッシブスキルでそれを補強する、あるいはパッシブスキルに基づいてデッキバランスに少し手を加える、といったように相互が関係しつつデッキ構築を進めていくことができます。役割がそれぞれ分かれているおかげで、シナジーや方針を立てやすいところがありました。
加えて、こうして得られたパッシブスキルをポイントで割り振るというシステムも秀逸です。いっぱいパッシブスキルを取ればいいというものでは無く、そのための原資をきちんと稼ぐ必要はありますし、その中から何を採用していくかを吟味する必要もあります。この設計は、デッキの取捨選択要素がここに入っているとも言えますし、ステータス要素が内包されているとも言えるかもしれません。
これは成長方針にも上手く影響を与えていて、このパッシブスキル同士を組み合わせたいから練習はこっちを採用しよう、みたいな選択にも影響を与えてくれます。そうして育成のちょっとした選択肢に対する付加的なモチベーションとして機能しているおかげで、どの選択を選ぶかという行為に奥行きが生まれています。
また、全体のゲームループがシンプルであるという点も良いです。育成フェーズでカードを集め、戦闘フェーズでカードをちゃんと使って戦うという一連のルーチンが明確に構築されているため、それぞれのフェーズでやることが明確になっています。これがゲームテンポの良さを生み出しているように感じました。
加えて、上述の通りシナジーを取るシステムの分離であったり、フェーズの分離であったり、複雑にできる部分をあえて分離することで全体的に分かりやすいシステムに落とし込んでいる印象があります。ダンス側のカード同士にシナジーを作ったって良いですし、練習中に突然ミニバトルが始まったって良いんですが、そういうことはありません。おかげで脳のスイッチングコストが安いので、気付くと遊んでる中毒性が生み出されている気がします。
また、戦闘パートについても独自のシステムが採用されていて面白いです。デッキ構築ローグライトおなじみの攻撃と防御によるRPG的なバトルではなく、ダンスバトルという性質をこちらも上手く取り込んでいます。
個人的に好きなのは、オセロというか盤面制圧系のオーディエンスシステムです。設計はかなりシンプルながら、色々と考えるべきことがあります。
たとえば、前半であれば染められていない観客が多いので、ノーサイドを拾いやすいスキルが有利です。一方で、終盤はノーサイドがいないことも多いので、分捕れるスキルを使うべき状況になる事もあります。一方で、ノーサイドが少ないことを活用して、あえてノーサイドのスキルで狙ったところを取りに行く、みたいな戦略も取れます。
加えて、狙い撃ちできるスキルはそうポンポン撃てるものでもないので、プレイヤーが操作すべきタイミングはかなり限定されているというのも良いところです。これで毎回オーディエンスを選択していればテンポが悪かったと思うんですが、ピンポイントで強力な技の時だけ選ばせることでテンポ感と戦略性の両立を実現しています。
細かいポイントとしては、複数使用したカードの効果が半減するというシステムも秀逸でした。この手のゲームは大体デッキ圧縮が正義になりがちなんですが、それを明確に否定するシステムとなっています。
カードを捨てるイベントなどを入れると複雑になりすぎるためか、このゲームでは基本的にカードはずっと手に入り続けます。こうなると中盤くらいの方が安定していたというようになりがちなんですが、このシステムのおかげでそうはなりません。むしろ、カードの種類が多い方が終盤まで失速せずに戦えて有利になります。とはいえ、集めすぎると上手く踊れない可能性もあるので程々のバランスに留めておく必要もあります。このあたりの駆け引きが、半減システムによって実現されていました。
UIの面についても、直感的に操作できて良いものとなっています。
育成パートでは必要な情報がすべてそろっていて、一見してほぼすべての情報が拾えます。パッシブコストの余力が表示されているのも良く、これを見てトレーニングの選択を決めやすくなっていました。いちいちパッシブスキルを身に行かなくてもある程度把握できるという点が優れています。
戦闘パートについても同様で、一見して全ての情報が拾えるようになっています。これを徹底しているおかげで画面遷移がほぼなく、それによってストレス無くかつテンポ良くゲームが進行できているように感じていました。
また、右クリックで常にそれぞれの効果や意味が取れるのも良いポイントです。一見して分かる方に振るとどうしてもアイコンが増えてきて、意味が取れなかったり忘れていると大変なんですが、それがすぐに解消されます。初めの一歩目がちゃんとケアされているおかげで、スムーズにゲームに入ることができると言えるでしょう。
グラフィックの面についても軽く触れておくと、ダンスごとにイラストがアニメーションしていくのが良いです。ちゃんと敵キャラもダンスしてくれます。芸が細かいというか、手間暇かけているというか。何なら隙間なく連続実行する分、敵の方がダンスが繋がっているようにすら見えます。
後は、タイトル画面も良いです。毎作雰囲気に合っていて、かつテンポ良く始められるものに仕上がっているように感じます。
最後にシナリオについても軽く触れておくと、オマケの要素としてちょうどいい塩梅でした。テンポを阻害しないものの、きちんと起承転結は用意されています。短いとは言え手を抜いているわけでもなく、会話演出による表現で緩い雰囲気を上手く表現しています。倒れ込むのに合わせて傾くメッセージ演出が好きでした。こだわりを感じる。
続いて、個人的に攻略面で感じたことも雑多に書いておこうかと思います。
ダンスについては、基本的にチェインを繋ぐのが強いように感じました。パッシブスキルがそれ前提になっているものがそこそこあるのと、何より強力なフリーズにつなぐ条件であるためです。ムーブは3回までやれるとは言え、連続実行で強いカードがあることも含めて、出来るだけ踊り切る方がお得感があります。
このため、キャントリップが確実に強いんですが、そういうのはあまりありません。バックステップツイストをエントリーで使えば可能ではありますが。筆者は次善策として、スタミナ減のトップロックとフットワークを駆使してチェインを稼ぐようにしていました。
また、ゴーダウンというカード種別が絶妙なところで、基本的には1度しか使わないので多く持ちたくないものの、これが無いとチェインがちゃんと繋がりません。多くても少なくても難しい、割と要のカードに感じました。
また、オーディエンスについては、最初のターンはひたすら数を稼ぎ、2ターン目以降はガチ推しを狙って選択形式も併せて行うようにしていました。
加えて、染められていない観客は進行とともに少なくなるので、個人的には序盤にガッツを切るのが有効に感じています。ただし、やりすぎると後半に打てる手が少なくなり、審査員票が届かなくなることもあるので難しい所でもあります。この辺のバランス感覚も面白い。
そういう意味では最終ターンにガッツを増やすラストダンスは割と好きなスキルでした。最後の追い込みにこのガッツが効きます。
その辺を理解した上でやると、ノーマルのクリアはそこまで難しくない印象があります。筆者は一度目はチェインを繋げるのをミスって敗北し、二度目で通すことができました。そのせいでフリーズが出なかった。
なお、個人的にはデッキのシナジーをある程度把握できて強化済みである終盤はそれほど苦戦せず、まだ方向性が固まり切っていない2回戦あたりが鬼門なように感じています。実際、ノーマルでは33vs47、ハードでは35vs35の激戦でした。
ノーマルをクリアしたデッキは、トップロックを繋げつつドローソースをある程度用意してチェインを繋げる方針となりました。チェインを繋げることで恩恵の得られるスキルを確保した上で、
トランジションを一つまみ加えることで更なるチェインを目指しています。
トランジションまで絡んだ破壊力はかなり高く、準決勝以降のスコアが2vs78、0vs80という圧倒的なスコアを叩き出してはいたんですが、中盤までは苦しい展開が続く印象がありました。準備に時間のかかる戦略なのかもしれない。
インスピレーションフロー、ミューズタッチ、ローテーションプラスの乗ったAトラックスはとりわけ強力で、一気にガチ推しを量産できます。再利用デバフを考えて、2ターン目に打てるように諸々調整するようにしていました。
ハードをクリアしたデッキは、ノーマルのコンセプトを踏襲しつつ、トランジションのような過剰破壊力までは持たないように調節するコンセプトで行きました。
基本スタンスは変わらず、インスピレーションフローとフロースタッシュにより、5チェイン以降の効果を最大化することを目指しています。本当はメイクも欲しかったんですが、これは引けませんでした。
原則としてベースのステータスであるドローやスタミナを強化し、ビクトリースキルでもロングブレスとディープポケットを採用しています。これにより安定的にチェインを繋げやすくしていました。おかげで、トップロックを数回と6歩、3歩、1歩、シャッフルといった低コストフットワークで上手くチェインを繋げ、パワームーブに安定して繋げられるようになっています。トップロックとしては、ブロンクスキックが優秀でした。ガッツが取れる上、ノーサイドを3つも取れます。
肝心のパワームーブについても、パワーサージの取得を行うことでよりオーディエンスを確保しやすくしており、トーマスとAトラックスで狙い撃ちを積極的に狙いに行く形を取りました。それが上手くいくとガチ推しが増えるので、最後にベイビーウィンドミルで審査員票も拾いやすくなっています。
ステータスが完成し、5チェインコンボが完成した準決勝以降は13vs67、6vx74と安定していたんですが、2回戦は先述の通り35vs35と割とシビアな戦いとなっています。チェイン型の宿命なのかもしれない。
このように、色々と考えながら、けれど直感的かつある程度は大雑把にテンポ良く進められる作品として楽しめました。どこまで行ってもランダム要素があるおかげで極端に詰めてパズル的に考える必要が無いのはむしろ良く、コンセプトだけ決めて柔軟に動けるのが良かったのかもしれません。
それじゃあ感想はもう書き終わったので、ベリハに挑戦してきますね。
なお余談ですが、レビュー上では説明の都合上、トップロックを立から立へのものと定義していますが、実際はアップロックがあるので微妙に嘘です。また、ただでさえ長いので説明の都合上ガチ推しなど諸々のシステムの話も端折っています。例外パターンの説明をするとややこしくなるので割愛しがちです、ご了承ください。
58_夕五千兆
| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 放置 | 秋月ねこ柳 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間30分 +110時間 | 1.60a | クリア / 15 |
良かった点
- 手動干渉と自動放置のバランスが良かったです
- 難易度曲線もちょうど良かったです
- ウィンドウが非アクティブになると音がフェードするシステムは放置と相性が良かったです
気になった点
- 装備の入れ替え時の操作がやや直感的ではありませんでした
レビュー
五千兆を目指して
夕五千兆は、自動で戦う夕一に緩く干渉しつつ基本的には放置して進めるRPGです。
徐々に難易度の上がっていくダンジョンに対し、様々な強化を放置で獲得しつつクリアを目指していくことになります。
最大3体の夕一を編成して挑むダンジョンは、戦闘、回復あるいはショップ、宝箱といったイベントがランダムで発生していくノンフィールド形式のものとなっています。
戦闘はシンプルなもので、通常攻撃と攻撃ごとに溜まるTPを使った2つのスキルを使うことができます。体力が減ってきた場合は傷薬を使って回復することもできますが、こちらは一回のダンジョン攻略内での使用制限があるため、ここぞという時に使いましょう。
こうしたコマンドを活用して敵を倒していくと階層が進み、最終階層のボスを倒すことでダンジョンのクリアとなり、ストーリーの開放と共に次のダンジョンが現れる、といった流れとなっています。
そして、このゲームにおいて特筆すべきは、これら一連の流れが実質的に自動で行えることにあります。
雑魚戦にはTPが溜まったらこの技を使い、傷薬はこの割合でHPが減った時に使い、宝箱はこの確率で開封し、といったような設定を付けて、自動で夕一をダンジョンに突入させて周回させることが可能となっています。
ダンジョンのレベルが上がって太刀打ちできなくなってきたら、この仕組みを使って過去のダンジョンに挑み、レベリングやリソースの確保を行うことをお勧めします。
また、夕一をレベルアップさせる以外にも、戦闘で得られたお金やある方法で取得できる夕一コイズを利用することで強化するという方法もあります。
商店でお金を使えば獲得経験値の倍化などのパッシブスキルが、夕一コイズを使えば装備のガチャがそれぞれ行えます。特に前者は飛躍的に様々な効率が向上するため、お金を稼いだら積極的に利用しましょう。
文字通り桁違いに強力になっていくダンジョンを攻略するには、自動で稼ぎ、手動で制御する成長システムを上手く活用することが肝心です。こちらも桁違いに強化を重ね、時には転生で更なる強さを獲得し、装備でそれらをさらに倍化させ、とにかく最強の夕一に育て上げていきましょう。
そのためにも、デスクトップの隅っこにでも置きつつ、適度に目をやりながら進めることをお勧めします。きっと頭の半分がニワトリに支配されること請け合いです。
感想
ありそうでなかったと思しき、完全放置がほぼ推奨されるウディタ製のゲームです。
放置ゲーっぽい作品としては第12回のわちゃわちゃダンジョンズが思い起こされますし、クリッカー系統なら第15回の一画面で成し遂げる地獄再興が挙げられるんですが、クリア後ひたすら放置で進めることが前提の設計になっているケースとなると初めて見たかもしれません。
個人的には手動システムと自動システムの塩梅が絶妙な印象があり、適度に手を加えつつ、適度に放置しておきたくなるような設計をしています。この手のゲームは、放置しつつもついつい意識にのぼって目をやってしまうくらいの塩梅が良いと思っているんですが、まさにそういったバランスで巧みに作られている作品となっていました。
ゲーム内に、放置しながらちょっと遊べるミニゲームが完備されているのも良く、ゲーム単体で見ても暇つぶしができるようになっています。ちゃんと嬉しいアイテムももらえる。
ゲーム全体のボリューム感というか難易度曲線もちょうど良く、クリアだけを目指すなら適度に干渉した方が伸びが良く、2時間もかからない程度でしっかり収束するバランスとなっています。その一方で、クリア後は放置前提の長さのダンジョンと、放置前提の成長曲線と向き合うことになります。
クリアだけなら転生すら必要ありませんが、クリア後のダンジョンを突き進むならほぼ必須となります。要求が指数関数的に増えていくアイテムやら合成に放置で辿り着き、より高効率にしてまた稼いでいく、拡大再生産の楽しみを長期スパンで感じることができました。
筆者はクッキークリッカーを手焼きで恒河沙までやった程度の経験しかないのであまり確かなことは言えませんが、こういった放置ゲーとしてのバランス感覚が優れているゲームだなという印象があります。
UI面では、サイクルを回す分にはおおむね快適に動作するため、プレイ中のおおよその時間は問題ありません。ただ、装備のUIに限っては地味な使いにくさを感じました。特に装備を入れ替えたい時の操作があまり直感的でないので、インベントリを整理したい時に若干複雑な操作をすることになります。例えば、ある装備を売却した後に続けて別の装備を売却しようとすると、売却済みのスロットとの入れ替えが実行されてしまいます。これを避けるには、いったん売却したスロットを再選択する必要があります。若干手間。
個人的に好きなシステムにも触れておくと、ウィンドウが非アクティブ状態になってゲームが裏側に回るとSEやBGMが小さくフェードアウトしていく仕組みが良いです。プレイヤーがよくやることに対して、求めることが先回りして用意されています。いちいちミキサーを触る必要が無くて楽ですね。
さらに細かい点としては、夕一コイズのネーミングが好きです。最初のうちは何の疑いも持たずにターコイズと読んでいました。
シナリオについては最小限ながらもちゃんと用意されていて、しれっと昔の作品への言及も含まれています。元にしている題材からある種明らかではあるんですが、明確にウディコンという場の内輪ネタに最適化されているような印象があります。作中でも言ってますが。
コックに恨みが向かうかと思いきや、さらに根幹に近い部分まで下っていく展開は個人的に好みでした。
総じて、適度に放置して適度に干渉する塩梅が良い放置ゲーでした。
59_深蒼の航路
| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 探索ADV | 3のっと/s |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間30分 + 1時間 | 1.0.3 | 全END |
良かった点
- 不穏な雰囲気が上手く作られていました
- スチルを含めた演出によって、より強く印象付けるものとなっています
- モチーフに対する換骨奪胎が上手く機能しています
気になった点
- お使いの要素に偏重している印象がありました
レビュー
The 探索アドベンチャー
深蒼の航路は、オーソドックスな探索アドベンチャーです。
神の奇跡と呼ばれるものを求めて海を渡った4人の主人公を中心に、物語が展開していく作品となっています。
ゲーム内容としては極めてベーシックな探索アドベンチャーであり、基本的には訪れた町の人々に協力をしていくことで物語が進行していきます。
聞き込みをしたり、手伝ったり、時には探し物をしたりと、町の人々に積極的に話しかけていきましょう。
そういったイベントを進めていくことで展開を深めていく物語と、そのバックボーンたる世界観の雰囲気こそが、この作品の醍醐味となります。
天正遣欧少年使節をベースとしつつも、あくまで架空の世界観の中で描かれる宗教と献身の物語は、やがて大きなうねりをもってエンディングへと流れ着きます。異国の雰囲気漂う街の風景、時折挟まれるスチル、表情豊かな立ち絵を背景に、その不穏な物語を存分に浴びていきましょう。
そうして、それぞれの思惑と未来は4つのエンディングへと分岐していくことになります。是非とも全ての終わりへと到達し、彼らの旅路を見届けてみてください。
感想
明示されてないとはいえ名前からして明白に、某十字教を題材としていそうな作品です。天正遣欧少年使節ベースなので。もっとも史実とは明確に異なって描かれてはいるので、あくまでもモチーフでしかないものではあります。
明らかに不穏であり、その予測というか不安というか期待というか、そうあるべきな方向にきちんと動いてくれる探索アドベンチャーとして完成されていました。チャーハンを頼んだらチャーハンが出てくる、そういう探索アドベンチャー。
一方で、ゲーム性としてもまたチャーハンのため、かなりお使い要素の強いものとなっている印象があります。特にシナリオ上の要請をあまり感じない途中の町あたりが顕著で、振り返っても特に関与が見受けられないことが、よりその印象を強くさせていました。
一方で、物語的な関与の強いイベントがある最終章や、紹介の意味もある最初の町などは同様のゲーム性に近くても特別問題に感じなかったため、やはり物語との連関性の薄さが気になっていたのかもしれません。ワインを協会に与えることで神の奇跡に貢献しているとか、そういう情報があると嬉しいかもしれない。あるいは絵画のように、自主的に掘ることを想定しているんでしょうか。ヒントが少ないので分からない。
一応、お使いという行為を通してその献身性のようなもの、あるいは自己犠牲的な精神に対する衆生の感謝を示していると解釈することもできるかもしれませんが、それにしても数が多いので。
一方でシナリオや雰囲気は抜群であり、宗教という厄いテーマを使って不穏さを上手く演出しています。要所に入るスチルも物語の雰囲気の醸成に貢献していました。
十字教というモチーフはあくまでモチーフとは言え、当時の十字軍のような蛮行を考えると物語に対する説得力のようなものも生んでいます。一方で、世俗的な欲ではなく、あくまでも神話の再来のみを探求していた教皇のような狂気は、創作的に磨かれている要素として機能していました。このあたりの塩梅が良いため、全体的な不穏さが上手く表現されている印象があります。
教皇、それ自身は神の奇跡を誰に与えるかも関心が無さそうで、下の腐った連中に任せて放任していそうな嫌な狂信者のリアリティがあります。多分そこに興味が無い。
エンディングに関しては個人的には全部BADな気がしています。相手の本拠地に入ってしまった段階で、もう助からないのはさもありなん。ジュリアンはもはやどうしようもなさすぎます。この下手にグッドっぽいものが無く、バッドかトゥルーしかないような潔さは個人的には好みで、プレイ後の余韻の粒が揃っているような、クリアなプレイ感を与えてくれました。
BAD1の解釈は個人的に微妙に読めておらず、最終的に磔にされる未来があることをもって、逃れられない運命のようなものを暗示しているのかなと解釈していました。
なお、全体のシナリオについては、前述した途中のパートにあんまり本筋が絡まないのが気になる所ではありますが、各パートはあくまで要所以外をオマケとしつつ、ミゲルパートをメインとして構成されているような印象がありました。
シナリオ上の役割自体は4人に割り振られていて、表主人公のマンショ、裏主人公のミゲル、犠牲者のジュリアン、語り部のマルチノとしてそれぞれ必要なんですが、各キャラクターに対する掘り下げはやや少なめな気がしています。ミゲルは充分ありますが。このあたりが途中のパートでより補完されていると個人的には嬉しかったです。立ち絵とかキャラクター性は魅力的なので。
ともかく、探索アドベンチャーとして想像するオーソドックスなものをそのまま遊べるゲームでした。期待通りの体験が得られる作品と言えるでしょう。
60. あんでっどハザード

| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| アクション | もののふげーむず |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 45分 | 1.09 | クリア +ex2 |
良かった点
- 程良く難しいターン制限が用意されています
- タイムを効果的に使うことが推奨される良いゲームループとなっていました
気になった点
- 雑魚戦がやや作業的でした
レビュー
呪われる前に元凶を絶て
あんでっどハザードは、呪われた島を制限時間内に歩き回り、呪いの解除を目指すアクションRPGです。
主人公はアンデッドが大量発生している呪われた島を調査するために、その地へ向かうことになります。
島では至る所にアンデッドが徘徊しており、それらに接触すると戦闘が始まります。
戦闘はアクション形式で行われ、剣を使った攻撃とSPを使うスキルを活用して戦いを進めていくことになります。攻撃を重ねつつ、敵の攻撃を避けていくのが基本的な流れとなるでしょう。ただし、攻撃はそれなりに隙を晒すことになるため、無暗に攻撃をしていると被弾が多くなってしまいます。少なくとも、敵の攻撃予兆を示すエリアが見えたら回避に徹するのをお勧めします。
また、攻撃のヒット時や落ちているアイテムを拾うことで得られるSPを利用すると、強力な攻撃や回復を行う魔法を発動することができます。大量の敵を捌くのにも使えますし、回復に使って継戦し続ける体力を保つのにも使えます。上手く使って戦いを有利に進めていきましょう。
こうした戦闘のためのシンボルの他にも、宝箱、買い物などができる街、イベントのための場所など、島には様々な地点が存在しています。島の各地を歩き回り、敵と戦いながらこれらの施設を利用して強化やイベントを進め、元凶に挑む準備を整えていくことになるでしょう。
しかし、のんびりしている時間はありません。島を一歩進むごとに経過するタイムが0になってしまうとゲームオーバーになってしまうためです。時間制限は適度に厳しいため、効率よく敵を倒し、効率よく拠点を利用していくことが求められます。
敵を倒してレベルを上げ、ドロップ素材で装備を整え、そしてより強い敵に挑む、このサイクルを効率よく回すためには計画を立てたルート設計が鍵になります。シンボル自体はランダム発生のため、アドリブを利かせながらルートを構築していきましょう。
戦闘では上手く立ち回って敵を倒し、フィールドでは効率よく各シンボルを利用して成長を進め、いち早く呪いの原因を突き止めていきましょう。
感想
本質的にはアクションゲームというかアクションRPGライクなんですが、それを包んでいるリソース管理的な構造が良い作品です。
時間制約とその中での取捨選択や動きの吟味をきちんと要求してきます。
ターンの制限は割と厳しく、雑にプレイしていると間に合わなくなるちょうど良い塩梅となっています。ターンを意識していないと、思ったより早く到達する。
とは言え、ちゃんとイベントを適切に回し、馬を買うなどしてターンの節約をやっていけばクリア自体はさほど難しくありません。漫然とやってるとゲームオーバーになり、しっかり取り組めばクリアできる絶妙なバランスでした。
素材を集める武器生成のシステムについては、初めは時間制限との相性が悪いのではと感じていました。強い制約の中で作らないといけないため、あんまり色々と作るモチベーションが湧かないためです。
ただ、リソース管理というかリソースの活用方法という側面で見るとコンセプトには適った設計であるように思います。プレイヤーに要求されているのは色々なものを作ってみるということよりは、手に入れたリソース内で上手くやりくりすることを求められている気がします。
ただ、筆者は一部のアイテムがどこに手に入るか分からなかったので、そのあたりは試せていませんが。戦闘重視でレア宝箱を開けてなかったので何か見逃したのかもしれない。
そういったリソース管理の側面に対し、アクションパートはかなりシンプルに仕上がっています。間合い管理を適切に行う必要のある、立ち回りが要求されるタイプです。攻撃の後隙も前隙も大きいのでヒットアンドアウェイもやや難しく、ある程度慣れが要求される印象でした。
個人的には上下の選択肢に乏しいのが気になっているところで、動きがだいぶワンパターンになりがちな印象がありました。最終的には差し合いになる。
また、基本的にはLv10くらいまでは雑魚敵を倒して回る必要があるんですが、ここはやや作業要素が強い印象があります。それほどバリエーションが多くなく、交戦意欲もそれほど高く感じないためです。加えて、あまり攻撃してない割にジャンプだけはするので遅延行為をしてくる相手、くらいの気持ちになってしまいます。
一方でネームドにあたるドラゴンや裏のラスボスは歯応えがあり、上手く立ち回る楽しさがありました。流れとしては雑魚敵と同じく回復して殴るだけではあるんですが、きちんと強いので負けそうな緊張感をもって戦えます。
そういう意味では雑魚は強くあると好みだったのかもしれませんが、強くしすぎるとすぐに集団リンチに化けそうなので難しいところです。本質的には雑魚と一生懸命戦うゲームではないので、これで良いのかもしれない。
なお、おまけラスボスの最大の脅威は、技を撃つたびに処理落ちするところでした。ファイル容量でも大きいのかな。
個人的にはゲームループの設計が好きな作品でした。とりあえずやってゲームオーバーになった後、もう一度やってクリアを目指そうというモチベーションがしっかりと湧く設計となっています。ゲーム―オーバーになったのは明らかにプレイヤーに無駄が多かったからで、そこを改善すればクリアできるだろうといビジョンがちゃんと見える作品となっていました。イベントがそこそこ用意されているのも良い。
個人的得点表
| No | タイトル | 熱中度 | 斬新さ | 物語性 | 画像/音声 | 遊びやすさ | 加点 | 総合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Stellight | 7 | 7 | 8 | 6 | 7 | 1 | 36 |
| 2 | 月下美人狂詩曲 | 6 | 6 | 6 | 7 | 7 | 0 | 32 |
| 3 | ReviveIV&ペンタ | 3 | 4 | 6 | 5 | 3 | 0 | 21 |
| 4 | デスペレートエランド | 6 | 7 | 6 | 6 | 7 | 0 | 32 |
| 5 | 勇者の憂鬱 | 3 | 5 | 4 | 6 | 1 | 0 | 19 |
| 6 | 禍流転 -MAGARUTEN- | 6 | 5 | 7 | 6 | 6 | 0 | 30 |
| 7 | 陰影遊戯 -魔王の命題- | 6 | 6 | 4 | 7 | 5 | 0 | 28 |
| 8 | 夢遊猫ミステリウム | 9 | 7 | 7 | 9 | 6 | 3 | 41 |
| 9 | 悪魔の遊戯 | 7 | 6 | 5 | 6 | 6 | 0 | 30 |
| 10 | 双炎姉弟と奇蹟の薬草 | 5 | 4 | 5 | 6 | 5 | 0 | 25 |
| 11 | さいごの射手の銀弾は | 6 | 6 | 7 | 6 | 5 | 0 | 30 |
| 12 | ワイたちはどうイキるか | 7 | 3 | 4 | 5 | 5 | 0 | 24 |
| 13 | 落ちさえしなけりゃクリアはできる | 7 | 5 | 5 | 6 | 7 | 0 | 30 |
| 14 | 月神決戦弾 | 7 | 7 | 6 | 8 | 7 | 0 | 35 |
| 15 | にわとりの襲来他二種のミニゲーム | 5 | 6 | 4 | 5 | 5 | 0 | 25 |
| 16 | S.W.A.T.(Special Wizard Assault Team) | 7 | 8 | 5 | 6 | 6 | 0 | 32 |
| 17 | ウルファール5分生き残れゲーム | 7 | 3 | 4 | 5 | 6 | 0 | 25 |
| 18 | Desire | 2 | 4 | 5 | 3 | 1 | 0 | 15 |
| 19 | うちのとりはイタズラしたい! | 6 | 6 | 6 | 6 | 7 | 0 | 31 |
| 20 | リザレクション! | 10 | 9 | 8 | 8 | 8 | 7 | 50 |
| 21 | 太宰府カンコー奇聞わたる | 5 | 5 | 5 | 6 | 5 | 0 | 26 |
| 22 | MA-FŪ 魔封 | 6 | 7 | 5 | 6 | 5 | 0 | 29 |
| 23 | BIG BANG | 7 | 6 | 6 | 9 | 6 | 0 | 34 |
| 24 | Return to the Wildlife | 6 | 7 | 7 | 6 | 6 | 0 | 32 |
| 25 | 王国の肖像 | 8 | 6 | 9 | 6 | 6 | 1 | 36 |
| 26 | 訳アリ領主とヒミツの武器屋 | 6 | 8 | 5 | 6 | 5 | 0 | 30 |
| 27 | 魔女学級のドタバタ探検記 | 6 | 7 | 6 | 6 | 5 | 0 | 30 |
| 28 | Ayaのホームページへようこそ! | 9 | 7 | 7 | 8 | 7 | 6 | 44 |
| 29 | ゴートマウンテン スラムロード | 3 | 6 | 4 | 7 | 3 | 0 | 23 |
| 30 | スーパーウーパールーパー | 7 | 6 | 4 | 6 | 6 | 0 | 29 |
| 31 | End Of The Lost World | 6 | 7 | 6 | 6 | 5 | 0 | 30 |
| 32 | 白雛芥子の夢の果てに | 7 | 6 | 7 | 7 | 6 | 1 | 34 |
| 33 | 1969年のゼロデイ | 6 | 6 | 6 | 6 | 7 | 0 | 31 |
| 34 | 雨を乞う弔鐘 | 8 | 6 | 8 | 9 | 6 | 3 | 40 |
| 35 | アイドルライバー | 6 | 7 | 5 | 6 | 6 | 0 | 30 |
| 36 | SIMPLE ROOM ~部屋からの脱出~ | 6 | 4 | 5 | 6 | 6 | 0 | 27 |
| 37 | 名もなき記録 | 6 | 5 | 6 | 7 | 6 | 0 | 30 |
| 38 | ガレキノシップ | 6 | 9 | 6 | 6 | 5 | 0 | 32 |
| 40 | Rewot.16ーリワット イチロクー | 10 | 8 | 10 | 10 | 7 | 4 | 49 |
| 41 | 小謎解きs | 5 | 6 | 3 | 5 | 6 | 0 | 25 |
| 42 | あねさがし | 5 | 4 | 6 | 6 | 5 | 0 | 26 |
| 43 | 巡る時と死せる魂の仔 | 3 | 4 | 5 | 6 | 2 | 0 | 20 |
| 44 | 土下座事典 | 5 | 6 | 5 | 6 | 5 | 0 | 27 |
| 45 | 僧侶竜の導き | 5 | 6 | 5 | 6 | 5 | 0 | 27 |
| 46 | メカトモ2 | 5 | 5 | 6 | 7 | 4 | 0 | 27 |
| 47 | 月を生む話 | 6 | 7 | 7 | 7 | 5 | 0 | 32 |
| 48 | しかきたん-オカルトノート寧楽奇譚- | 8 | 6 | 8 | 6 | 6 | 1 | 35 |
| 49 | mudai 0 | 4 | 4 | 5 | 3 | 2 | 0 | 18 |
| 50 | 蠅叩キー | 6 | 8 | 5 | 7 | 6 | 0 | 32 |
| 51 | みてくれというけれど | 8 | 9 | 7 | 7 | 6 | 2 | 39 |
| 52 | 金欠勇者 | 2 | 5 | 2 | 3 | 1 | 0 | 13 |
| 53 | 犬の魔王討伐 | 5 | 4 | 4 | 5 | 4 | 0 | 22 |
| 54 | STELLA FORMULA | 5 | 5 | 3 | 7 | 4 | 0 | 24 |
| 55 | 光の精霊が死んだ | 8 | 7 | 6 | 8 | 7 | 2 | 38 |
| 57 | Go Down, B-Girl! | 9 | 10 | 6 | 10 | 9 | 4 | 48 |
| 58 | 夕五千兆 | 6 | 6 | 5 | 6 | 6 | 0 | 29 |
| 59 | 深蒼の航路 | 5 | 5 | 7 | 7 | 5 | 0 | 29 |
| 60 | あんでっどハザード | 5 | 6 | 5 | 6 | 5 | 0 | 27 |
結果発表を受けて
1位 Ayaのホームページへようこそ!
筆者も好きで、結構高得点を付けていたんですが、1位にまで行くと思っていなかったです。謎解き、結構不遇な印象があるので。あの時の空気感が刺さったんでしょうか。合計点がだいぶ高いんですが、番号が良かったかは微妙なラインなので、サムネのフックが強かったとみるべきかもしれません。
その上で、すべてにおいてちゃんと高い水準を確保していることが大事なのかもしれません。各部門で2、3位という安定感が強い。
それにしても、こういう類のゲームでも優勝するというのは、RPG作成ツールとは思えないコンテストだなあという印象を強くしますね。上位に占める作品もバラエティに富んでいます。
2位 Rewot.16ーリワット イチロクー
個人的2位ですが、個人的優勝候補の一角でした。何故なら個人的1位が優勝するとはあまり思っていなかったためです。
物語と画像音声が1位なのはもう納得以外の言葉がありません、合わせ技の相乗効果でさらにより良いものに見えるところすらあります。高い演出力のおかげで、双方が極めて高いレベルで融合していました。
加えて熱中度が高いのは、ちゃんとバトルも面白かったからという感じな気がしますね。ゲームとしてもちゃんと面白い、というのも外してはならないポイントです。
3位 Go Down, B-Girl!
個人的3位なので納得かと言われると、まあ優勝してしかるべき出来なので結局納得はできないかもしれません。この辺のゲームは大体そうですが。
斬新1位はさすがの一言に尽きます。その上で、遊びやすさ1位を取ってるのは化け物の一言です。それって相反するものじゃないんですか。
熱中度も画像音声も高そうなので、なんで3位なのか疑問符が点灯するところもあります。物語性でしょうか。
4位 光の精霊が死んだ
全体クオリティの高さが評価される傾向にあるのかもしれないと思いつつあります。個人的には、この規模感のゲームがこのクオリティで出されているだけで凄まじいと感じてしまいます。
長編ながら中だるみしにくい密度感から成る熱中度を皮切りに、色々な点が高水準でまとまっていることが完全に反映された得点分布をしています。全てが幅広く高クオリティ。
ちゃんと斬新さを担保しつつ長編を作って、熱中度まで高めているというのは凄いの一言です。割と相反しがちなところを両取りしています。
5位 月神決戦弾
高順位はさもありなんというところかもしれませんが、シューティングでここまで高いのは初めて見たかもしれません。最高順位はどこなんでしょう、ラピッドスティール3の9位かな。
好みとか刺さり方とか色々なものを抜きにしてスーパーフラットな視点で見つめると分かるんですが、高得点を付けたくなる設計をしています。ありていに言えばゲームとしての強度が高い。それゆえに全体的に点が高くなる傾向になるのは解釈に一致します。物語性はともかくとして。
遊びやすさが高いのが特にこの作品を代表しているところで、シューティングという敷居が高いイメージがあるジャンルをカジュアルに遊ばせています。実際、プレイした後の感想としてもだいぶカジュアルだったなの気持ちがあります。
特別シューティングが得意でも好きでもない筆者がそう感じるので、少しでも好きならやったほうが良い作品でしょう、多分。
6位 BIG BANG
短編でぐっとまとまった良い作品は、この順位あたりに来がちな印象があります。
これで画像音声が2位となるのが凄いところです。1位は多分あれなんですが、レベルの高さがうかがえるところです。
シナリオも戦闘も割り切ったスピード感で駆け抜けられて良い作品でした。
7位 雨を乞う弔鐘
流れ的に入っていそうではありましたが、ちゃんと入っていたという安心感がありました。個人的6位です。今ウディコン探索ADVトップレベルの良さがあり、歴代でも割と好きな部類に入ります。
主人公の迂闊さを含めたそこはかとないコメディと、明瞭に不穏な雰囲気の塩梅が絶妙なので、物語性が高いのは分かりすぎるところです。
気合の入ったスチルも良く、ゆえに画像音声が高いのも分かりすぎるところです。
8位 1969年のゼロデイ
個人的に意外なところからのエントリーでした。アクションRPG的なものがちゃんと上位に来ること自体が結構久々な気がします、レイユウサイ以来でしょうか。不利ジャンルだと思っていました。
遊びやすさが高く、他全体的なクオリティの高さが評価されたのだろうかという気持ちがあります。
筆者は一芸推しのきらいがあるので、あんまり評価できていない説はありますね。もっと全体のクオリティが高いゲームを評価してほしいものです。
9位 蠅叩キー
一発ネタを一発ネタに留めないで一本のゲームにしているというのが凄いです。短編の雄だ。
斬新さのあるゲーム性と、その賞味期限が切れないうちに終わるゲームボリュームがまさに丁度いい作品でした。
筆者も得点を付けていたら、想像しているよりも高い得点を付けることになっていました。感覚値よりも評価したくなるゲーム性をしています。
10位 ウルファール5分生き残れゲーム
個人的に意外なところからのエントリーです。面白いんですがそこまでいくとは思いませんでした、ヴァンサバは偉大。
熱中度が高いというのは、ヴァンサバがそういうゲーム性してるので分かります。加えて遊びやすさ3位あたりを見るに、ちゃんと取っつきやすくしている点も評価されていそうです。
これは若干不適切な発言になりそうで申し訳ないんですが、めちゃめちゃ個人的なことを言うと、At End of The World が圏外で、これがランクインなのが一番納得いってないかもしれません。沸々と当時の気持ちが思い出されてきました。
11位 みてくれというけれど
これで斬新さ5位というのが一番の驚きかもしれません。今年は斬新さの高めな作品が多かったからではなかろうかの気持ちがあります。
テーマも良ければ設計も良く、ちゃんと調べようとする気持ちに応えてくれる良い作品でした。個人的にも7位につけています。
12位 Stellight
文学的な言い回し、感動的なストーリーテリング、物語性で高い評価を得ていることにも納得の出来です。また、短編でちゃんと物語の尺に合わせた設計をしていることが熱中度に寄与していそうな気配を感じています。
個人的には9位の位置づけで、高得点を付けやすそうなゲーム設計をしている印象がありました。そういう意味でも、もう少し上かと思っていましたが、他作品が強い。
ここからは個人的に気になった作品を取り上げます。
15位 リザレクション!
個人的1位だと思っていますし、そのことに疑いを差し挟む余地は一ミリも無いんですが、ランクインするかどうかについては微妙だろうなという感覚はあったのでさほど驚いてはいません。納得はしていませんが。
斬新平均5位なのに合計16位という遊ばれていなさ、そして何より明らかに選別するかのような情報量と高難度の叩きつけ方から発生する遊びやすさの低さはどうしても足を引っ張っていそうです。ただ、筆者が遊び方にも高得点を付けているのは、そういうところさえ乗り越えていれば、割と遊びやすく詰められるシステムで作られている点を重視しているためです。この辺は好みっぽいですね。
とりあえずやってほしい作品です。冒頭3時間くらいやって無理なら多分無理かもしれませんが、無理じゃなければ20時間以上夢中でプレイできる、そういうゲームです。
16位 デスペレートエランド
ケイ素さんのゲーム、いつも大体面白いのに圏外だったりして悲しかったので、この辺に来て嬉しいところです。筆者には何の関係もありませんが。
これが面白いと感じるなら前作やら前々作も面白いのでぜひやってもらいたいところです。そして次に出る作品があれば、それもまあ面白いでしょうから一緒にやりましょう。前作からの変化量が決して大きいとは言えないシステムでも斬新さが高いあたり、前作がやられてない証なんじゃないかと穿っています。
17位 夢遊猫ミステリウム
個人的には5位です、悲しいですね。長編のおかげであんまり手に取られていなかったのかもしれません。部門別では遊びやすさ以外は平均で順位が付いているのにもかかわらず、合計でランク外なのがその証です。
後半の難易度がそこそこ高いのが投票可能性に響いている可能性は否定できないんですが、これくらい難しくないとギミックバトルが楽しめないのでうーんといったところです。遊べば楽しいのでみんな遊びましょう。
22位 白雛芥子の夢の果てに
個人的にはホラー探索として良い作品に感じていました。嫌な気持ちを与える不気味さの演出と、それを継続して与えないステージの緩急が良く出来ていたので。
この手のジャンルは宿命的に斬新が取れないのでそれはそれとして、他は全体的に順位がついているあたりからもクオリティが高いのが分かると思います。プレイしましょう。
25位 しかきたん-オカルトノート寧楽奇譚-
個人的に好きな作品です。推理ものが好きだからかもしれません。膏薬のごとくどこにでもくっつく理屈が好きという可能性もあります。
物語性の得点が比較的高いのを見るに、シナリオの完成度の高さが評価されていそうな印象はあります。
これで気になったらオカルトノートの前作をプレイしてと言いたいところですが、あれは割とちゃんとホラーとなっていてジャンルが違うので微妙に言いにくいところもあります。どちらも面白いので、ジャンルが苦手じゃなければ是非やりましょう。
王国の肖像
個人的10位であり、今回のウディコンでは恐らく一番世間との乖離が激しいところになります。
筆者は第9回で唯一クリアできなかったゲームがリトルナイトというくらいにはSRPGに疎いんですが、それでも面白かったので多分誰でも楽しめそうな気はします。この手のジャンルにつきものの長いプレイ時間が壁となった可能性は否定できませんね。ミステリウムと同じパターンかもしれません。
後記
以上で、長文に渡ったレビューと感想について終わろうと思います。
今年はクオリティの高いゲームが多数存在し、満足感の高い年だったのではないかと思います。
難易度設計の神「リザレクション!」、圧倒的演出力の「Rewot.16ーリワット イチロクー」、遊びやすい斬新「Go Down, B-Girl!」、優しい謎解き「Ayaのホームページへようこそ!」、奥深き戦闘システム「夢遊猫ミステリウム」、能動的ADV「雨を乞う弔鐘」、シンプルな驚き「みてくれというけれど」、大ボリュームハイクオリティ「光の精霊が死んだ」、重厚なSRPG「王国の肖像」、文学的RPG「Stellight」、カジュアル推理「しかきたん-オカルトノート寧楽奇譚-」、高品質STG「月神決戦弾」。
今年のウディコンもまた、多様なジャンルから生み出される様々な楽しさを享受できる場となっていました。
フリーゲームという源泉から生み出される驚きと発見は未だ枯れることなく、我々に新鮮な感動を与えてくれるものとなっています。
こうしたゲームを楽しく遊べたのも、ひとえにゲームを製作された方々のおかげです。改めて、ここに感謝の意を記します。
次のウディコンを楽しみにしつつ、この文章を終えたいと思います。