第17回ウディコン全作品レビュー - さいごの射手の銀弾は
11. さいごの射手の銀弾は
| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| 狙撃 | ろくぞう |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間 | 1.01 | クリア |
良かった点
- 狙撃というコンセプトにマッチしたシステムが構成されています
- やや陰のある雰囲気をまとう世界観と物語が上手く演出されています
- 物語の質も高いです
気になった点
- 移動先のアイコンが小さく、少しエイム力が求められます
- 長めの演出がそこそこあり、ややテンポが悪くなっています
レビュー
銀弾で射抜け
さいごの射手の銀弾はというゲームは、狙撃アクションを通じてファンタジー世界の物語を読み進めていく作品です。
物語が主軸ではあるものの、シューティングではなく狙撃と言うべきシステムの作り込みも特徴的なものとなっています。
戦闘パートで必要となるその狙撃アクションは、マウスでエイムを付けて的確に撃ち抜くオーソドックスなものです。ただし、ここで行うのは単なるシューターではなく狙撃です。このため、プレイヤーは手ブレや風による着弾ズレの影響をダイレクトに受けることになります。加えて、銃は連射ができず、装填や弾倉交換に時間がかかるため、闇雲に撃つこともできません。敵に対してしっかりと狙いをつけ、ぶれる照準の中でヒットする瞬間を待つ集中力が求められることでしょう。
さらに、シナリオを進める上で避けては通れない強敵はこちらに攻撃を加えてくることもあります。迫りくる敵には適切に応戦しなければ攻撃を受け、ゲームオーバーとなってしまいます。慎重になりすぎても負けてしまうため、時には大胆に撃ち込むことも必要となるでしょう。
そうして敵を倒していくことで進行するシナリオは、この作品の最大の魅力となっています。
隻眼の狙撃手ヴィオラが傭兵として様々な戦いに身を投じる中で描かれていくその物語は、暗く落ち着いた雰囲気で展開していき、やがて大きな事件へと繋がっていくことになります。そのサスペンス風のシナリオについて多くを語るとネタバレとなってしまうため割愛しますが、良い読後感を味わえるであろうことは保証します。
狙撃アクションを乗り越え、敵を射抜き、その結末を見届けてください。
感想
シューティングというよりも狙撃といった印象を受ける作品でした。手ブレとか風とか、シューティングゲーム的にはノイズっぽい要素を狙撃というコンセプトをもとに上手く取り込んでいます。感覚的にはマテリアルスナイパーが近い。
このためシューターを遊ぶ時の器用さよりも、集中力というか仕留めるべくを仕留める力が求められる印象がありました。硬派に射撃だ。
一方で、難易度は決して高くなく、ちゃんと集中して狙いを澄ませば大体のことは何とかなります。
ボス戦についても、近寄ったところを適切に射撃してしまえばクリアはさほど難しくはありません。むしろ、不規則に動いている敵に当てに行くほうが難しいかもしれません。4次試験のゴンの気持ちになって、狩ろうとするものを狩りにいくのが良いです。防御できるオマケまで付く。
特にラスボスはそれが顕著で、小さい上にかなり細かく動きます。慣れてくれば数発撃ちこむことはできなくもないですが、それよりは近寄った時に確実に倒す方がリスクを抑えて倒せるように感じました。
このため、個人的には少しずつ難易度が上昇していく雑魚ステージの方が難易度が高くなっていくように感じました。迷宮の良く動くゾンビが一番難しい気がしていて、かなりの高頻度で動くので山勘を頼りに当てにいかないとどうしようもない印象があります。
個人的に好きなのは雪山で、射撃力だけでなく索敵力を求められる変化を付けている点が良かったです。確かに、撃つだけが狙撃手の仕事ではありませんね。たまにヒットボックスが隣接しておかれていることがあるので、ボーナスタイムとばかりに撃ち抜いていました。
他方でシステム面に触れると、UIまわりは微妙にマウス操作がしにくい印象を受けています。特にメニュー画面が顕著で、選択してから赤くなるまで時間があり、選択を外してから白に戻るまでにも時間がかかります。クリックすれば起動する以上、判定とは無関係に動いてはいそうなんですが、体感としては赤くなってから押したい気持ちがあるので、慣れるまでは若干躊躇してしまいます。
また、移動先のアイコンが小さめなのも若干難しいです。ここでもエイム力が要求されている。
なお、ゲームループ上に存在するクールタイムについては、自宅で回せるので実質的に踏み倒せるものになっています。このため一見効果が無さそうに見えるんですが、恐らく同じところをぐるぐる周回するのを避ける目的があるのだと思います。これは綺麗に成功していて、適度にいろんな場所を回るモチベーションとしてうまく機能していました。
ただ、射撃大会やゲームオーバー画面に代表されるように、長めの演出がそこそこあるのが微妙にテンポを阻害している印象はありました。ゲームループ自体はちゃんと回したい気持ちになるんですが、そういったもので少し勢いが止まるような気がします。とはいえ、クールダウンになっているという見方もできるかもしれません。ゲームの雰囲気はイケイケドンドンではないですしね。
最後に個人的に一番重要なシナリオについてですが、陰のある雰囲気と世界観が狙撃手という孤独に戦う者とマッチしていて良い体験が得られるものとなっていました。最後の展開も良い。要点を抑えた上で、短編としてまとまりよく構成されている点も素晴らしく、綺麗にまとまった良作であるように思います。
前作から引き続き世界観を共有しており、いくつか登場人物や世界観に重なりが見られるんですが、肝心の主人公はそれとは一歩引いた存在なので、この物語はそれ自体で完結しているのも良いです。あくまでもフレーバーというか、前作を遊んだ人だけが補足的に理解できる程度に留まっています。それにしてもアレン君、不甲斐なくないですか。
とにかく、全体的に雰囲気を重視しているような作風であり、良質な物語もあってその雰囲気に浴することが十二分にできる作品となっていました。