第17回ウディコン全作品レビュー - 訳アリ領主とヒミツの武器屋

26. 訳アリ領主とヒミツの武器屋

ジャンル 作者
パズル はるしし
プレイ時間 プレイVer クリア状況
7時間 1.02 クリア

良かった点

  • パズルとリソース管理が組み合わさった独特なゲーム性が楽しめました
    • 加えて、システムが順次解放されていくので、慣れつつゲームを進められます
  • ランダムの塩梅がちょうど良く、適度に運に振り回される設計となっていました
  • それほどシビアではなく、適度に難しい難易度となっています

気になった点

  • UIの見た目とゲーム性上、マウスで操作したくなりました

レビュー

武器屋はいつも自転車操業

訳アリ領主とヒミツの武器屋は、リソース管理とパズルを組み合わせた独特なシステムを使いこなすゲームです。
基本的なルールはシンプルで、武器を錬成して売却してお金を得て、そのお金で素材を買って再び錬成するというループを回す設計となっています。

武器の錬成にあたっては、パズルのような仕掛けを使うことになります。5x5のマスに素材が並んだ盤面に対し、マスの移動や入れ替えを行って3つ以上を繋げることで武器を錬成していきましょう。
そのパズルの特徴的な点として、素材の投入が原則的にランダムで行われるということが挙げられます。繋がって消えた空きマスや、任意のマスに入れ替える際にどの素材が選ばれるかは、予め各素材に対して決めた投入率を基にランダムで決定されます。このため、各マスに置かれる素材を完全にコントロールすることはできません。
素材に設定した投入率の調整である程度の制御は可能であるため、盤面を見極めて投入率を調整し、様々なパターンに対応できる適切な投入を心がけていきましょう。

なお、ここで投入する素材はお金を払ってクエストを発注し、一定時間経過後に得られるものとなっています。このため、素材をすぐに得ることはできません。より良い素材の取得ほど時間がかかる傾向にあるため、先々も見据えて在庫のバランスを加味して発注を行い、投入率を調整していくことが重要となるでしょう。
また、素材のコントロールについては、錬成で繋げる個数も重要な要素となってきます。先述の通り錬成は3つ以上繋げることで行えますが、いくつ繋げても錬成される武器は1つだけです。このため、4つ以上繋げてしまうと単純に素材の無駄となってしまいます。何も考えずに闇雲に繋げるだけでは、赤字になってしまいかねません。最小限で必要なものが接続するように、上手く盤面を組み上げていきましょう。

そして、こうしたマスの操作、入れ替え、錬成といった様々な操作には時間の経過が設定されており、1日の時間である3000を過ぎるとその日の錬成などは終了となります。ランニングコストこそないものの、特定の日数までに既定の数だけ依頼をこなさないとゲームをクリアすることはできません。目標を達成するためには、一挙手一投足も無駄にはできないでしょう。

適当に素材を入れ替えて無駄にしても赤字に一歩近づき、錬成を多重に繋げてしまっても赤字に一歩近づき、パズル成立に時間のかかる手数で武器を錬成すると時間的に割に合わず赤字に一歩近づきます。
お金を回し、依頼をこなし、確実に進行していくためには、様々なリソースを加味し、基本的にはランダムに構成されていく盤面を適切に制御していくアドリブ力が求められることでしょう。

上記の通り独特で、非常に複雑かつ考えることの多いシステムに浴することのできるゲームとなっています。しかし、まとまったUIと丁寧なチュートリアル、適切な機能解放と複雑さの上昇ペースのおかげで、自然に慣れていきながらプレイすることも可能となっています。
文字にしてみると複雑怪奇かもしれませんが、チュートリアルと共に遊んでみると意外と何とかなるものです。是非プレイして、その独特なゲーム性を体験してみましょう。

感想

3マッチ系リソース管理パズルという独特な味が楽しめる作品でした。一切見たことのないシステムというのは導入が一番大事なんですが、そのあたりも抜かりなく完備されているので安心して遊べます。まずはシンプルな状態から始め、ルールや仕組み、要素を適切に拡大してくれました。
そのおかげで、最初の内こそ割とざっくりやれますが、終盤は色々なことに目を配りながら考えてプレイすることになってきますし、その頃になればその状況に慣れた状態にもなります。

ゲームシステム的には運ゲーっぽい要素がありつつも、運をどのレベルで抑え込むかを考えながら盤面を構築していくのが面白いところです。
適当にやりすぎると盤面が汚くなって詰むので、丁寧に揃えたいところなんですが、あまりにも丁寧に揃えすぎるとそれはそれで大量に消えて勿体ないです。適度に散らし、適度に整える塩梅を探りつつ、あくまでもランダム要素の中でアドリブを利かしていく楽しさがありました。
この上で、単に盤面パズルの都合だけを考えるのではなく、きちんと探索リソースの管理までセットで思考し、先を見据えたプランを立てていく必要があります。作中でも触れられていますが、考えることが多いです。疲れるレベル。

とは言え、難易度としてはあんまり最適化することは求めていないようで、適度にミスを許容する気持ちでもクリアはできそうな印象がありました。
筆者は盤面を常に頭の中に作って、リスクを極力ヘッジする形で進めていたため時間がかかりましたが、そのおかげもあってか最終ステージまわりで全然依頼が来なくなりました。95日目くらいから暇になり、106日目からずっと暇です。
個人的には、最適化を程々にざっくりと詰める程度でも楽しめるようにコントロールされていたように思います。意外とファジー。そうでないと、運が悪かったり大きいミスをすると取り返しのつかないことになるので、さもありなんではあります。どうしようもなくなったら、セーブロードでガチャるという最終手段もあるかもしれませんが。

個人的に乱数のバランス感で好きなのは投入割合の塩梅で、絶妙にあてになりません。半、半、全でも半が多いことはざらにあります。結局目安でしかないので、あくまで参考値として盤面をコントロールする方に注視するモチベーションに上手くなっている印象がありました。これが頼りになってしまうと作業パズルっぽくなりそうです。
これのおかげで、乱数で得られた盤面を適切に整えながら、ままならない運に向き合っていくという独特なゲーム性を生み出していました。パズルとリソース管理の合いの子としてちょうど良い。
また、リソース管理のバランス感覚も良くて、序盤は無駄を削らないとすぐに自転車操業になります。とはいえ、カツカツのまま回していると強化できず直に詰んでしまうので、いかに無駄をなくして余剰に回して拡大再生産していくかということに始終できます。おかげで、綺麗に依頼を捌けると気持ち良い。

なお、個人的に気になるというか気持ちの話として、めちゃくちゃマウスでやりたいUIをしているなという感想があります。UIがほとんどスマホゲー系のそれっぽいというのもありますし、そもそも色々なものに代わる代わるアクセスしたくなるゲーム性をしているから、というのもあります。3マッチパズルだからというのもあるかもしれない。
慣れてくるとキーボードでも思い通りに触れる設計をしているので、慣れてしまえば問題はないんですが、初めの方は割と戸惑うのではないかと感じました。

フレーバー要素とは言えシナリオがあるのも良くて、適度に疲れた頭に対する休憩になります。これをぶっ続けて最後までやり切るのは結構骨なんですが、良い感じの休憩点としても機能していました。
全体的に、新しい仕組みを用意しつつ、それをきちんと遊ばせようとする整備の行き届いた作品でした。