第17回ウディコン全作品レビュー - ゴートマウンテン スラムロード
29. ゴートマウンテン スラムロード
| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| ADV | ハニーナゲット0508 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 1時間 | 1.1相当? | ノーマルクリア |
良かった点
- 独特なイラストが緩い雰囲気を醸していました
- バラエティ豊かなイベントが用意されています
気になった点
- 運の要素が極めて強いです
- 難易度を調整しても運要素の緩和が恐らく行われないため、あまり難易度に変化を感じませんでした
- ラストバトルについて作業の側面が強くなっています
レビュー
ヤギは進むよどこまでも
ゴートマウンテン スラムロードは、ランダムイベントをこなしながら進んでいくノンフィールドADVです。
戦闘要素が多少含まれてはいるものの、主にはバラエティ豊かなイベントの数々をこなしていくことに重きが置かれた作品となっています。
プレイヤーは基本的にヤギを眺めながら、都度発生するイベントの選択肢を選んでいくという流れに乗ってゲームをプレイしていくことになります。
選んだ行動によってはヤギのライフが削られたり、体温に変化が生じたりします。そうしてライフが無くなるか、体温が極端な値になるとゲームオーバーになってしまうため、それを避けるべく選択を重ねていくことになります。適切な選択を選び続け、リソースを温存してゴールを目指していきましょう。
とは言え、ほとんどのイベントはランダムに発生するものであるため、完全な予測や攻略は困難を極めます。時にはヤギを襲う過酷な運命の数々に翻弄され、何の手立てもなくゲームオーバーに直面してしまうこともあるかもしれません。
クリアを目指すのであれば、イベントの把握はもちろんのこと、ある程度の運を要求されます。人事を尽くして天命を待ちましょう。
また、そうしたイベントの数々を彩る緩い雰囲気のイラストや、ビビッドな色遣いの画面構成もこの作品の大きな特徴の一つとなります。シュールな展開も多い様々なイベントに対して非常にマッチした絵柄となっており、その独特な雰囲気に浸れること請け合いです。
クリアを一生懸命目指すというよりは、ヤギが色々な目に遭う様を眺めようという気持ちにさせる、不思議な印象を与えてくれる雰囲気が醸成されています。
ともすれば理不尽にすら思えるランダムイベントの数々も、その画面の緩さとヤギのリアクションを見ていると何故だか納得できてしまう、そういった独特な空気感を漂わせた作品となっています。
適度に選択肢で干渉しながら、ヤギの挑戦を眺めてみてはいかがでしょうか。
感想
半分くらい放置ゲーに近い運ゲーという印象です。リソース管理の側面と、イベントごとの最適解を覚える要素が無いわけではありませんが、それ以上にランダムイベントの引きが攻略を左右します。マンホールが連続で飛んで来れば、どんな努力も水泡に帰すので。
最後もかなり運要素が強く、狼を引かずにカラスを引けさえすればクリアはすぐそこにあります。カラスはかなり優秀であり、HPがたとえ1であってもHPを20にしてくれます。そういうものなのだろうか。反対に、畳みかけるようにダメージが入るようであれば、その周回のクリアは割と絶望的になります。
なお、難易度選択の要素があるため、イージーにすれば緩和するのかと思っていましたが、プレイしてみた印象としてはさほど変化はありませんでした。恐らく難易度選択による変化が、このゲームにおける最大の障壁であるイベントに対して効いていなさそうなことが主要因ではないかと感じています。結局、イベントが全てなので。もしかしたらちょっと確率が改善しているなどはあるのかもしれない。
ただ、そういった要素はこのゲームのある意味オマケ部分でしかなく、本質的にはヤギがひたすら路を突き進み、様々な艱難辛苦にさらされていくイベントを眺めていく部分なのだろうと思っています。そしてその側面においては、このゲームは強く雰囲気を醸成することに成功していました。
緩くシュールなイラストと、独特かつ予想外のイベント、それぞれが強く個性を演出しています。ゲームとしての唯一無二性はかなり強めでした。そういう意味でも、イラストが未完成なものが散見されるのはやや気になる所ではありますが。
ともあれ、それを踏まえて改めて見ると運ゲーであることにも不思議と納得感があります。ヤギが不幸になる様を眺めるゲームなのかもしれない。キュートアグレッション。
話をシステム面に戻すと、プレイヤーのリソース管理のシステムとして体温管理が導入されていますが、これもまた運要素が強く出ています。
概ね体温を上げたほうが安定する印象はありますが、一度雨が一切降らずに上がり切って終わったこともあるので、結局のところは飛んでくるイベント次第のケースバイケースとなっています。なので、プレイヤーの目線で見ると、上げるべきか下げるべきかは判然としません。
また、クリアの最後の障壁であるラストバトルについては、絶対に倒れないスラムドラゴンと共にHP1200の狼を殴り続けることになります。ここに関してはイベントもイラストも特にないため、割と純然たる作業となってしまっている印象でした。
道中で起きていたイベントが起きるなど、そういったハプニングも無いので、キーを押しっ放しにするくらいしかやることがありません。
ゲーム性を楽しむというよりは、運に身を任せてゲームの雰囲気を楽しむのが良い作品です。クリアを目指すよりも、ヤギが色々な目に遭っているのを眺めるくらいの心持ちで緩くプレイするのが良いように感じています。
その上で、ちゃんとイベントを把握して良いイベントを上手く引ければいつかは最後まで行けるはずです。筆者は7回目で到達できました。その時が来るまで楽しむのが乙な作品です。