第17回ウディコン全作品レビュー - 光の精霊が死んだ
55. 光の精霊が死んだ
| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| RPG | あたりメ |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 9時間 | 1.07 | クリア |
良かった点
- 様々な育成システムが高品質にまとまっていました
- それぞれ快適に作られているため、稼ぎが捗ります
- マウス操作を活かし、直感的に扱えて便利なUIとなっていました
- 陣地を上手く使う完成度の高いオートバトルの仕組みとなっています
- 戦略性と自動周回の利便性が共に満たされていました
気になった点
- 素材の入手方法を調べるのがやや手間でした
- 入手ポイントから素材を調べること自体は容易なので、逆引きが難しい印象です
- 育成に掛かる時間コストが高いので、戦略のためにメンバーを後から組み替えるのは大変な印象があります
- 育成の楽しさとのトレードオフではあり、どちらかと言えば育成の楽しさが勝るものではありました
レビュー
良く回る育成サイクル
光の精霊が死んだは、モンスターを育成してオートバトルで陣形を組んで戦わせるRPGです。
育成に主軸が置かれており、70種類以上のモンスターから好きなモンスターを選んで、最大8体のパーティを組んで戦うことになります。
ただし、オートバトルといってもただ野放図に戦わせるわけではありません。プレイヤーはマナを使って5x3マスの自陣にモンスターを配置していくことで、陣形を組むように戦わせることになります。モンスターによってはサイズが違ったり、配置位置でバフをかけられたりとサイズや位置に応じた様々な違いが存在します。パーティーメンバーに即した配置を心がけていきましょう。
また、マナは自陣のモンスターが行動する度に溜まっていくため、戦闘中であっても配置することが可能です。敵の猛攻でモンスターが倒れてしまっても、召喚コスト分のマナがあればすぐに配置して戦線に復帰させることもできます。しかし、召喚する度に必要な配置コストは上がっていくため、際限なく復帰させることはできません。パーティーのモンスターを満遍なくバランス良く配置し、効率良く戦っていきましょう。
また、少しずつ難しくなっていくダンジョンの攻略や、特定ダンジョンの最後に待ち構える強力なボスに勝つためには、パーティーメンバーの育成が鍵となってきます。
既に攻略したダンジョンであっても、何度も周回することで素材などのアイテムを取得できるほか、そのダンジョンで出現するモンスターのデータを獲得することもできます。データを集めることで対象のモンスターをレベルアップさせることができるため、積極的に周回して集めていきましょう。
加えて、フィールド上で採集を進めると得られる素材を活用することで装備を合成できます。パーティーメンバーに即した強力な装備もまた育成においては肝心となるでしょう。
戦闘と採集を繰り返し、育成と合成を重ねてより難しいダンジョンに挑戦していきましょう。
なお、こうしたダンジョンの周回やフィールドの採集は、良質なUIとゲームシステムにより直感的かつ効率的に行いやすくなっています。とりわけ、ダンジョンを踏破すると得られる踏破ポイントの消費で得られる周回チケットを用いれば、ほとんど放置していても勝手にサイクルを回してくれるでしょう。
お気に入りのモンスターを育成する際は、こうした様々なシステムを十全に使っていくことをお勧めします。
そうして育成が進み、ゲームが進行していくにつれて、適当にモンスターを採用して陣形を整えるだけでは厳しいダンジョンも現れ始めます。高難度のダンジョンや強力な敵を攻略するには、属性の相性やそれぞれのモンスターのシナジー、陣形の組み方など、色々な試行錯誤を行う必要があるでしょう。
気に入ったモンスターを活躍させるビルドを組むも良し、敵に合わせて柔軟にメンバーを変えるビルドで挑むも良し、それぞれのプレイスタイルで難敵を撃破していきましょう。
育成をメインに据えた上で、可能な限り快適に幅広くその育成を楽しめるようにデザインされたゲーム性が特徴的な作品です。
そうした育成の対象となる、オリジナルの緩いグラフィックで彩られた70種類以上のモンスターの中には、きっと気に入るモンスターがいることでしょう。様々なモンスターに会うためにも、立ちはだかる強敵を育成したモンスターたちで撃破していき、次なるダンジョンへと足を進めていきましょう。
感想
印象としては作業が多いように感じているんですが、それによってだれたり飽きるということが無いデザインになっているのが良い作品です。やりたいことのために目的をもって作業に取り組めるし、その作業は特別苦ではないし、同じことばかり続くわけでもないという設計が良かったです。
RPGには色々と楽しめる要素が詰まっているんですが、この作品はその中でも成長あるいは育成の面白さにフォーカスした作品のように感じています。それが前述の良質な作業性にも繋がっていて、焦点を当てて突き詰めているおかげでクオリティの高い設計に仕上がっているのだと思います。コンセプトが良い。
かく言う筆者も攻略の度に色々な作業をしており、合成のために素材を集めてみたり、モンスターのレベル上げのために周回してみたり、そもそも金稼ぎのために周回したりと、色んな観点で育成を進めています。
そのために必要なダンジョンの単純な周回それ自体は手間に見えるものの、これに対してもチケットで一気に回すなどのシステムが整備されているので意外と苦になりません。たとえチケットが無くても割と放置で行けるのも良いところです。なんなら周回が適度な休憩にすらなっていたかもしれない。
システム面についても作業のサポートが十全になされていて、マウス操作であることを存分に活かした設計になっています。マップの探索ですらマウス操作で行われている徹底振りで、これが案外操作しやすくなっています。とりわけボタン一つでフィールドに戻れるのがかなり便利で、町で色々探索してすぐに戻るという行為がやりやすくなっていました。
クリックによって発生する遷移もかなり自然で直感的であり、違和感なく作業に没頭できる環境が整っている印象があります。
欲を言えば、素材が増えてくると管理の手間が増えてくるのは気になっていて、特にどこで手に入るかを知るのが難しい印象はありました。モンスタードロップのデータはちゃんと用意されていますし、現地に行けば採集の情報も出るんですが、それに対する逆引きができないのがちょっと手間になります。終盤までくると素材数が膨大になってくるので、頭の中で照合しておくにも限度がありました。
続いて戦闘面について、オートバトルとして完成度の高い設計になっています。特に、充分準備が整えば周回可能、そうでないうちは少し干渉が必要、難易度の高いステージではバリバリに干渉が必要、という塩梅が良いです。少しずつ成長し、自動周回できるようになってくると育成の手ごたえを感じることもできました。
前回の履歴というシステムも痒い所に手が届くシステムとなっていて、いちいち周回で置く手間が無くなります。これ無しでは周回のストレスは相当高かったことでしょう。このシステムがあるおかげで、周回に対するハードルはかなり低くなっています。
戦闘デザインの面では連続召喚にコストがかかるという設計が秀逸です。これのおかげで、一人だけ強いやつを作るだけではコストの割が合わなくなるため、満遍なく成長させるためのモチベーションを上げることに貢献していました。これがなければ、適当な最強の精霊を作るだけで済ませていたかもしれません。
また、難易度のバランスも絶妙で、概ね地の精霊あたりからぐっと難易度が上がってきます。ここまでは色々と編成を作ったり、様々なシステムに慣れるためのチュートリアルなのかもしれません。筆者は奪い取ったタイミングで戦う相手が強すぎて、初見ではすわ負けイベントかと思っていました。冷静に考えれば勝てる相手ではある。
大体この辺りからアイテムの活用が視野に入ってきていて、アイテムや編成をちゃんと考えてボスを倒そうという戦略性が生まれてきたように思います。これがあと2手くらい早く訪れていたら、取れる手段が少なくて苦しいことになりそうです。しかし、十分やれることが増えたタイミングで来るので、どう対応しようかと考える余白があって楽しめました。
ゲーム性が育成に寄る以上、ちゃんと強い敵が配置されるというのは明確にメリットであり、メンバー編成の再考であったり、きちんと前準備のために周回を重ねたりと、強敵に出会うたびに育成にフォーカスしていく良いループが生まれているように思いました。
個人的に一番強く感じたのはフェニックスで、卵の対処に苦労しました。まずもって先行して潰すのが難しく、色々考えた後にウォーターをひたすらぶち当てていく戦略を取ることにしました。これで割と安定するんですが、相手を倒しかけるタイミングで召喚する敵によってはこれでも苦戦することが多く、連続で卵を召喚され続けた時はそのまま敗北を喫してしまいました。
卵を召喚されないお祈りか、もしくはMP管理が重要そうなんですが、MPの増減の規則性があまり見いだせなかったので、結局ごり押しで突破することになりました。正しい攻略法は何だったんだろう。
なお、筆者の最終メンバーは精霊オールスターズにプルを添えたものになりました。魔法はキュアが残っています。
プルは序盤からずっと前線を張ってくれている頼もしい相棒であり、最後まで愛着の湧く存在になってくれました。レベルも一人だけ27と抜けて高い。さらにメタルプルストーンも併せることで高性能の壁として終盤まで活躍してくれました。感謝。
精霊ズは基本スペックが高いのでそのまま増えるごとに運用していて、高火力で周回においても役に立ってくれました。特に最序盤のイフリートは高い耐久性も相まって壁として機能してくれることもあり、火力耐久双方の面でパーティーを支えてくれました。感謝。
一方で、精霊メインパーティーは柔軟性に欠ける面は否めません。破壊力を重視した型だと思います。単純に、ラストダンジョンは精霊全員で挑みたかったという気持ちもあってのチョイスではありましたが。
また、メンバーが揃ってない内はホムラグモやネグラによる前線カバーであったり、テルテルによる配置バフであったり、スポットで活躍してくれているユニットも多数いました。それぞれのボス攻略のために用意したユニットも色々あり、この辺りを組んでいくのは楽しかったです。
ただ、メンバー以外に経験値が入らないのでユニットを運用するにもまず成長が必要なのは個人的にはやや手間の印象が強く、このため気軽に戦略を試せないもどかしさはありました。他方で、その分パーティーに入れ続けていたプルへの愛着などは確かにあるので、この辺りはトレードオフな気もします。育成メインなら後者を取るのは妥当っぽいですね。
ちなみに、恐らくちゃんと攻略を進めていくのであれば、各属性に応じたメンバーを構成するのが良さそうで、実際に最終メンバーでは裏ダンジョンの聖域ではあまり活躍できませんでした。ここを攻略するのであれば、さらに専用に属性を揃えた運用が求められるのだと思います。
話を少し戻して愛着という面で見ると、各ユニットにオリジナルのグラフィックが割り当てられているというのも良いところです。それぞれ属性に基づいたユニークなデザインとなっています。このおかげで記号的あるいは役割ベースだけでなく、それぞれのユニットの個性を感じることができました。
最後にシナリオについて軽く触れておくと、個人的にはフレーバー的な要素に感じています。そもそもゲームの設計上シナリオに触れるのが断続的であり、あまり長いシナリオを組み込むのも相応でない印象があります。その中で、主人公がやりたいこと、世界観、その世界の中で起こっていることと目的との相関、あたりをコンパクトにまとめてゲームの流れを止めない形で表現しているように感じました。
このため、生まれ変わりという設定をスピーディーに回収してあまり言及しないところもあって、個人的にはいくつか謎が残っているところもあります。シルフが主人公を知っている理由についても、良く分からないまま終わりました。生まれ変わり経由なんだろうか。育成に夢中になりすぎて読み落としている可能性はありますが。
とにかく、様々な育成要素がない交ぜになりつつも、それらすべてが高いクオリティで設計、融合されているおかげで満遍なく育成を楽しめる作品でした。