第9回ウディコン全作品個人的レビュー(後)

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お品書き

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レビュー

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おまけ

レビュー(後半 41-67)

41.俺が勇者だ!(仮)

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
RPG 10分 全END達成

良かった点

  • マップのみ目は良いですし、グラフィックの選定も良いです
  • 各所の会話はシンプルで良かったです

悪かった点

  • ところどころ無音(BGM無し)だったり、ゲームーオーバーになったら「サンプルゲームですのでこのまま」というウディタデフォルトのメッセージが出てしまいます。デバッグ不足が否めません
  • 戦闘バランスはアクセントにしても殴りだけの何も考えなくていい設計で、唯一いる苦戦相手はそもそも勝てる設計でない(と思いました)。

レビュー文章

マンドラチョウラィщ(゜▽゜щ)

俺が勇者だ!(仮)は、超短編RPGです。

勇者のイスを争って、マンドラゴラを集めるのが物語の目的になります。マンドラゴラは様々なところで獲得できます。敵を倒す場合もありますし、話しかけるだけの場合もあります。いくつかのイベントを経て、相手よりも多くのマンドラゴラを集めていきましょう。
マップはなかなか綺麗なので、歩き回っているのも、それなりに楽しいです。

空いた時間でマンドラゴラを集めてみませんか?

42.不思議な世界で

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
探索 30分 全END達成

良かった点

  • マップは広く、荒涼感とか寂寞感がある気がします

悪かった点

  • 最初に与えられる情報が画面いっぱいで、しかも情報密度が低すぎます
  • セーブがないのに何故かあるContinueには首を傾げました
  • ギミックがノーヒントなのは厳しいです
  • 物語までノーヒントでした。何を表現したかったのか分かりませんでした

レビュー文章

途中から適当になったのでとてもくだらないです
不思議な世界で、は探索ゲームです。

寂寞感のあるマップを徘徊しつつ、脱出を図るというものになります。マップの各所にある何らかのイベントに触れるとEND分岐になります。セーブのない仕様のため、気を付けてプレイしてきましょう。

良くわからない世界に浸りたい方に。

43.残業サバイバル

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
スニーキング 20分 完全クリア

良かった点

  • 見えない敵からの恐怖を覚えつつも、見つかるリスクを背負ってでもアイテムを見つけるためにライトを付けなくてはならない点は面白かったです
  • リスクに対してリターンではなく、マストで対応させていて、緊張感があっていいです

悪かった点

  • アイテムの使い方が若干面倒なので、一つのコマンドを割り当てた方がプレイヤーフレンドリーな気がします

レビュー文章

リスクを取って、アイテムを取れ!

残業サバイバルは、アクション脱出ゲームです。
作者のかみぶくろさんは、前回のウディコンでメカメカ・キングダムを作成された方です。サクッとできる斬新なゲームでした。

この作品もサクッとできるゲームに仕上がっています。クリア時間が20分になっているのは、単に筆者の力量不足です。一発でクリアできるなら10分もかかりません。

このゲームは、基本的には店内に落ちている鍵を集めて、店から脱出するというものになります。
鍵だけでなく、アイテムはライトをつけることによって発見できますが、ライトをつけると敵に気づかれてしまいます。敵に気づかれないようにスニーキングしつつ、鍵を集めていきましょう。
鍵以外にも、敵をひるませるグレネードや、体力を回復する薬なども落ちていますので、これらをうまく活用することも攻略のカギになります。

サクッとできるスニーキングをやってみませんか?

44.のんびりしゅーたー

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
シューティング 10分 完全クリア

良かった点

  • 背景のドット絵が抽象チックで個人的には好きでした
  • シューティングとして最低限レベル必要な要件は満たしています

悪かった点

  • 画面外に出ても敵が弾を撃ってきます
  • 最後のステージは、自機と敵機が背景と同色ですごい見にくいです。コンボイ
  • 敵機を増やしたり、弾を増やすのは、弾幕ゲームのような類においてのみ意味がある行為であるように思います。このゲームでは弾幕になれていません

レビュー文章

自機が、見えない(コンボイの謎を思い出しながら)

のんびりしゅーたーは、縦スクロールシューティングゲームです。

抽象チックな背景の中、上から来る敵の球をよけながら倒していく極めてシンプルなシューティングゲームになっています。
強化アイテム、スコアアイテム、弾幕などの要素は一切ないので、ただひたすらに撃ち込んでいきましょう。後半になると、撃ち込んでもなかなか倒せないので、回避ゲームとしてもプレイできます。
最終ステージでは、一部背景と自機がかぶって見にくくなります。気を付けましょう。

シューティングをしつつ、回避ゲームもしたい方に。

45.鶏は音を置き去りにした

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
回避 20分 完全クリア

良かった点

  • 塞翁が馬というか怪我の功名というか、バグで見えない自分を操って回避するという意図しないコンセプトができたのは面白かったです

悪かった点

  • 終始、無音でした
  • 後半明らかに当たり判定がおかしくて、まともに動作していないです。おそらくプレイヤー接触とイベント接触をうまく扱えていません
  • ウディタデフォルトメニューが開けてしまうし、前の点も含めてバグだらけの印象です

レビュー文章

キャラが、見えない(バグの模様)

鶏は音を置き去りにしたは、イライラ棒的な回避ゲームです。

まずプレイしてみていきなり面食らうのは、キャラが見えないということです。おそらくバグのため、キャラクターが見えない状態でイライラ棒をプレイしなくてはなりません。
これはある種、塞翁が馬、あるいは怪我の功名でしょう。見えないイライラ棒というある意味斬新なゲームになっています。また、当たり判定もバグっているため、後半は結構サクサク進めることができます。

あらゆる面でバグっているゲームをしたい方に。

46.青屋根ビル合戦

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
RPG 1時間 完全クリア

良かった点

  • 完成しています

悪かった点

  • 戦闘バランスがめちゃくちゃです。獲得物のバランスもめちゃくちゃでした
  • セリフに\であったり、@であったり、はみだしであったり、確認してないんだろうなと思わせる要素が満載でした
  • 店の売買に、——を始めとして要らないものが紛れ込んでいます
  • 物語は意味不明でした

レビュー文章

青屋根ビルにはプレイヤーの時間を食らう魔物が棲む

青屋根ビル合戦は、RPGです。

このゲームは、青屋根ビルに逃げ込んだという犯人を追いかけるというものになっています。
その特徴は、延々と続く迷路です。まあまあ高いエンカウント率の中、終わりの見えない迷路をひたすら進んでいくという構成になっています。戦闘はレベルを上げていれば、決定キーを押しっ放しでいい作業仕様となっています。
迷路を越えた先にあるのは、また迷路です。特に物語に進展もない中、ひたすら迷路を進んでいきましょう。

迷路をひたすら進みたい方に。

47.玄武の如く

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
RPG 10分 たぶん完全クリア

良かった点

  • 完成しています

悪かった点

  • 戦闘システムはクリティカル運ゲーであるばかりか、ひどい戦闘バランスでした
  • パロディの模様だが、リスペクトをまるで感じませんでした
  • 経験値設定をおかしくしているせいで、戦闘終了後に余計な時間がかかります
  • 忌憚ない意見に対して、作者のコメント。「これはギャグなのです。この作品じたいがギャグです。」。ギャグならせめて笑わせてほしいところです。

レビュー文章

これはギャグなのです。この作品じたいがギャグです。

玄武の如くは、RPGです。

作者さん曰く、作品自体がギャグだそうです。
これだけではお粗末なので、内容を説明しておきますと、終始数字がバグったような戦闘ができます。最初はゴブリン相手に経験値を稼いで、組長という名のゴーレムに戦いを挑みましょう。
なお、そうしなくても、クリア自体は可能です。

ギャグをやりたい方に。

48.てのひらにさいころ

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
RPG 5時間30分 ストーリークリア(一部Another Stage未発見)

良かった点

  • 戦闘からセーブ画面までサイコロで統一しています。そのコンセプトの一貫具合はすがすがしいレベルです
  • キャラごとに会話が変わるなど、細かい点での作りこみが見受けられます
  • ダンジョンもサイコロを用いたすごろくっぽいもので面白いです
  • マップは綺麗だし、グラフィックの選び方も良質でした

悪かった点

  • 戦闘がほぼ運ゲーになっています。完全に運によるものではないとはいえ、出目さえ悪ければ絶対に勝てないということも起こり得ます。何より、雑魚敵さえ瞬時に倒せないのはストレスになりかねません
  • 町中の移動手段が徒歩のみで、しかもダッシュがありません。移動が面倒でした

レビュー文章

めくるめく運の世界へ

てのひらにさいころは、全てをさいころで決定する、すごろくRPGです。

このゲーム最大の特徴は、全ての行動がさいころによって決定されるということです。
戦闘では、さいころの目が大きい方の攻撃のみが行われます。極論すれば、どんな雑魚敵にも倒される可能性がありますし、どんな強敵にも勝つ可能性があります。レベルアップにより、出目が増えたり、攻撃力が増えたりするので、そんなことには滅多になりませんが。

また、ダンジョン探索では、すごろくのようなダンジョンを、さいころで進んでいきます。こちらも、運が悪いとループから抜けられないといったことも起こりえます。出目を制限するアイテムもありますので、うまく使っていきましょう。

大事な部分はさいころで決定されますが、良い武器をそろえたり、出目を制限するアイテムを取りそろえたりすることで、運要素をできるだけ減らすことはできます。これらを駆使して、天運に打ち克ちましょう。

また、個人的なもう一つの特徴として、マップが綺麗だということがあります。綺麗なマップを歩き回るのは、結構乙なものです。
個人的なおすすめは、村に至る道と、その先のAnother Stageを越えた先です。

運に身を任せたRPGをプレイしてみませんか?

49.冒険者35歳

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
人生追体験ゲーム 30分 3END確認(END数不明)、80台中盤まで生存

良かった点

  • 老いの恐怖というか、恐ろしさが伝わってきます。また、そのみじめさと、人生の理不尽さがよく表されています
  • シンプルに選択肢を選んでいくゲームなのですが、そこから遷移するいろいろな状況は結構多いです
  • パラメータ設定や、老いの表現や、そのほかイベントの選択などを色々吟味したのだと感じられます
  • 年齢に応じてグラフィックが変わるというのも細かい演出でした

悪かった点

  • UIがやや格好悪いように思えます。茶背景に黒字は少し見にくかったです

レビュー文章

老いの恐怖を追体験

冒険者35歳は、人生追体験シミュレーションゲームです。

このゲームでは、シンプルな選択肢のもと、人生を追体験していくことになります。
選択肢は、初期状態では冒険、婚活、病院があります。冒険をすると、健康が落ちていきますので、病院で回復する必要があります。また、伴侶が欲しいのであれば、きちんと婚活し、交際する必要があります。
こうした行為をしながら、毎年きちんとお金を納める必要があります。お金は、冒険で得ることができます。

しかし、当然それだけでは終わりません。年老いていくと、初めは休めば健康が回復した体は、徐々に健康を減らしてく体になっていきます。伴侶がいなければ、孤独感にさいなまれて何もしない日々が続いていきます。
それでも、お金は出ていきます。たとえ、冒険できない体になっても、伴侶がいなかろうと、お金は出ていくのです。
初めのうちこそ、ある程度の若さに身を任せて何もかも成功します。しかし、老いた体は何もできません。せいぜい病院に行くほかありません。
人生の後半で長生きすることしか考えられなくなるのは、空恐ろしいほどの虚しさを覚えます。

あなたも、老いというものの持つ一面の恐怖を感じてはみませんか?

50.腹が減っては勇者はできぬ

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
アクションRPG 30分 完全クリア

良かった点

  • スピーディーなストーリー展開に、スピーディーなアクションがよく合っていました
  • 自動でアイテムを使ってくれるため、面倒な腹を満たすという行為がオートになされて非常にプレイしやすいです
  • 物語のためのマップは、のちに移動する際にスキップできる仕様にしてあるなど、細かい配慮が見られます

悪かった点

  • 飯メインなのに、飯の印象が結構薄めでした。オートであること、表示がすぐに消えることもあって、記憶に残りにくいように思う。飯のログとかがあると、あとでゆっくり見れるかもしれません。一応、エンディングで食した飯が見られますが
  • メニューを戦闘中も開けるようにするため、戦闘モードと非戦闘モードが作られているが、これは正直やりにくかったです。非戦闘モードでやることは、飯を食う(数個のアイテム)ことと、ワープすることくらいなので、ボタンに割り振ってしまった方がよかったように思います(作者さんのコモンでなかったためやむを得なかったそうですが)

レビュー文章

山盛りそばを戦闘中にどうやって食べたんだ……

腹が減っては勇者はできぬは、SP回復を飯で行う、アクションRPGです。

このゲームは、ドラゴンを倒しに勇者が旅立つ至ってシンプルなものとなっています。
オープニングもそこそこに、ゲームはすぐに始まります。各イベントも非常にスピーディーで、テンポ良くアクションが楽しめるのが、このゲームの特徴になります。
アクションは非常に分かりやすく、通常攻撃、ヒール、魔法(サンダー剣)の3種を使い分けるのみとなっています。これらも簡単なキー操作のみで行うことができるので、ストレスなくプレイできるでしょう。

そして、もう一つの特徴は、タイトルにもあるように、飯を食べるということです。
攻撃したり、魔法を使ったりすると、SPが消費されていきます。このSPが0になると、HPがみるみる減っていきますので、適宜SPを回復しなくてはなりません。この時、食事をするのです。
また、色々な食べ物を食べることで、能力値も上がっていきます。つまり、食べれば食べるほど強くなっていくわけです。
いちいちSPが減る度に、食事をしないといけないのかと、面倒がる人もいるかもしれません。しかし、このゲームではオートで食事してくれる機能も付いているので安心です。こんなところでも、ストレスフリーな仕上がりになっています。

ストレスフリーなアクションRPGはどうですか?

51.すやりす絵巻

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
落ちもの 5時間30分 物語はクリア(☆203)

良かった点

  • 和風の雰囲気にあった、和風なBGMや効果音でした
  • ストーリーと明瞭なノルマ、そしてノルマ達成の成果を与えていて、落ちものゲームを楽しめました
  • 単に消すステージと、ボスステージがほぼ交互に来ることで、連続してプレイしても飽きさせない仕様になっています

悪かった点

  • ステージクリアのたびに、再びステージにトライする際に、わざわざ発進を押さなくてはなりません
  • 要するに、メニュー開き状態がデフォルトのため、連続プレイ時にちょっと面倒です。新しく増えた要素を通知したいだけなら、トーストとか画面内のどこかに小さく表示とかでもよかったように思います

レビュー文章

下手糞の上級者への道のりは3連鎖してやっと一歩目

すやりす絵巻は、落ちものゲームです。
作者の秋月ねこ柳さんは、以前のウディコンで8-sweeperや、霊石重ねを出品されています。これらの作品は、嵌ると抜け出せないパズルゲーム、落ちものゲームとなっています。

このゲームは、それらに引けを取らないどころか、よりパワーアップさせたものになっています。落ちものとしての精度はそのままに、ステージとノルマ、ストーリーが実装され、練度を上げながら飽きずにプレイし続けることができます。

まず、基本的なゲームルールはテトリスなどの落ちものゲームと同じです。横一列に並べると消え、画面いっぱいまで積みあがるとダメージを受けます。一定以上ダメージを受けるとゲームオーバーです。
ただし、このゲームはトーラスになっています。要するに、右横が左横とつながっているので、それを頭に入れてプレイする必要があります。
また、特殊なミノが降ってくることもあります。下を消す、横に伸びる、固定されていないなど、様々な種別がありますので、うまく使っていく必要があります。

このゲームのもう一つの特色は、特定ステージに存在するボスステージです。ボスには、列を消してダメージを与える必要があります。
しかし、後半になるにつれ、ボスの防御力が増していき、一つの列を消しただけでは攻撃が通らなくなります。連鎖、同時消しを狙っていかなくては、これを突破することはかなわないでしょう。
それに加えて、ボスは一定時間ごとに妨害も仕掛けてきます。妨害も多彩で、プレイヤーのリアルスキルが向上しないとなかなか勝てません。
ボスを含めて全24ステージ。クリアまでにはなかなか骨が折れますが、クリアする頃には大分レベルアップしていることでしょう。

ストーリーをクリアした後でも、ステージごとにあるノルマをクリアしておまけを開放する遊びが残っています。心行くまで落ちものゲームを楽しんでいきましょう。

落ちものゲームに熱中してはみませんか?

52.魔法少女 FREE☆GAMECREATOR

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
RPG 3時間 完全クリア

良かった点

  • マップもダッシュのおかげでそんなに広く感じませんし、戦闘バランスも悪くありません
  • イベント一つ一つもよくできており、物語の基軸も意外としっかりしています

悪かった点

  • タイトル画面前のNow Loadingはリトライ時まで読み込まれるため、やる気をそぎます。
  • 初期バージョンだと装備がおかしくて、クリアできないという致命的なバグが発生しました。修正のためには最初からやり直す必要があり、非常に怠かったです
  • 各作品ごとを別人が作ったからなのか、ひとまとめにする最終ステージでその齟齬が薄っすら見えます。アイテムの価値、基礎ステータスの差異など

レビュー文章

四人の作者が四人のキャラを描く!

魔法少女 FREE☆GAMECREATORは、主人公が4人のオムニバスRPGです。

それぞれパートごとに制作者が分かれており、各パートに特色があります。
例えば、Gun編では、装備によって命中率がほぼ確定するため、装備選択が割と重要になってきます。おかもつ編では、初めは弱いので、下に出てくる強い敵とやりあわないことが肝要になってきます。
こういった物語がちょいちょい交錯しながら、最後には一つの物語となって動いていくというのが基本的な筋道になります。

各パートそれぞれ、様々な様相を見せていますが、根本的にはきちんとした無理のないレベル上げと、装備購入で事足りるでしょう。パートによっては回復手段が制限されるので注意が必要です。

また、このゲームは一部題名から察するに、ある程度のオマージュ要素を含んでいます。寡聞にして筆者はそれに縁がないのですが、それでも普通に遊べる仕上がりになっています。

オムニバス形式で進んでいくRPGをやってみませんか?

53.ウルファールと鬼ごっこ

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
鬼ごっこ 10分(1プレイは3分未満) 最高難易度クリア(97点)

良かった点

  • 鬼から逃げながらも、仲間を救出していかなくてはならないのは、緊張感がより増していいです
  • ギミックも各所にあり、ただ逃げるだけのゲームでもなくなっています
  • ゲームオーバーになっても、そのたびごとにクリアのための情報がもらえ、リトライする良い動機になっています

悪かった点

  • 運要素が強いです。極論すれば、周りの6つがすべて当たりならオールオッケーになりかねません
  • 運要素を潰せる何らかの仕組みを用意しておいた方がフェアだとは思います。この作品では裏技扱いの透視などが考えられます

レビュー文章

逃がさない

ウルファールと鬼ごっこは、ホラー鬼ごっこゲームです。

一つのマップの中で、玄関の鍵と、仲間を救出して外に出るのが目標となっています。玄関の鍵や仲間は木箱の中のいずれかに入っていますので、マップを巡り木箱を開けていく必要があります。
仲間を救出すると後ろからついてきますが、それに追跡者が触れると、その仲間はやられます。当然、自分自身が追跡者に触れたら、ゲームオーバーです。

時間が経ちますと、鬼も増えてきます。また、マップの一部の道を閉鎖されることもあります。徐々に狭められていくマップの中を、全ての仲間を引き連れたまま動くのはなかなかスリリングで難しいものとなっています。
これを掻い潜るには、本棚やピアノなどのギミックを利用して敵を引き付けるのが便利です。これらをうまく活用していきましょう。

緊張感ある鬼ごっこを楽しんではみませんか?

54.世界

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
RPG 10分 完全クリア

良かった点

  • エンディング後のプレイヤーレベルのメタ的な演出は好きでした

悪かった点

  • 最初の戦闘の意味が全くありません。ボスの強さなどの物語上の要請がほぼないので
  • ドロップアイテムに意味がありません
  • そもそも最初の道に意味がありません
  • 戦闘を導入するなら戦闘の意味を、伝えることがあるなら、その伝えるまでの流れをもう少し整備してほしいところです

レビュー文章

げぶっ(走りながら)

世界は、短編RPGです。

いくつかENDがありますが、そちらは選択肢次第となっています。
ゲームとしては、戦闘をほぼ必要とせず、道中の行為も特にENDには影響を与えないので簡単にプレイできます。

適当にプレイしたい方に。

55.鋼の心

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
RPG 3時間 完全クリア(スコア 666)

良かった点

  • 物語はよくできていて面白いし、成長システムにも色々工夫が見られます
  • 物語の方は、いろいろ伏線や思わせぶりな話を断続的に振っていくことで、興味が尽きないようにしてありました
  • マップはギミック付き探索となっていてシンプルで、それなりに楽しめます

悪かった点

  • せっかくSP消費の技が結構用意されているのに、SP回復手段に乏しいため、なかなか使いにくいです
  • 敵の性能もきちんと考えられており、戦略的な戦い方を要請しているのでしょうが、いかんせんSP回復の難しさから、HP消費の力押しで行ってしまった方が楽でした。戦略も何もありません

レビュー文章

鋼の心を持つ意味は

鋼の心は、特殊技能を使い分ける中編RPGです。
作者のケイ素さんは、前回のウディコンでEvolution Road 進化の果てを出品した方です。シンプルなマップと、スキルの使い分けが特徴的なRPGでした。

このゲームでもその長所は変わっておらず、シンプルなダンジョンを進みながら、強力なボスをスキルを使ってうまく撃破していくのがポイントになってきます。
シンプルなダンジョンでは、ほぼ1画面に収まるサイズのマップで、アイテムやギミックが分かりやすく配置されています。一部のギミックは考えなくては解けないようになっています。
戦闘では、いくつかあるスキルをうまく使い分けながら戦っていきます。相手の弱点を突くように攻撃していけば、さほど苦労することなく倒せるでしょう。

成長システムもまた、このゲームの見所です。敵を倒したり、ダンジョンで拾って得た素材値を使って、耐久、速攻、物理、特殊にそれぞれ割り振っていきます。細かいレベルで調整する必要はなく、この四つのレベルを調整するだけなので簡単です。さらに、素材値はパーツの設置にも使えます。パーツは、使えるスキルの種別が増えたり、耐性、能力の上昇につながります。

それらシステムを支える物語も、前作以上にスケールアップしています。ボスを倒す良い動機となっていくでしょう。

少し長めのRPGをやってみたい方は、プレイしてみてはどうでしょう。

56.謎解きホテルの30のトビラ

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
ナゾナゾ 1時間40分 全問正解

良かった点

  • デザインはシンプルな中にセンスを感じて好みでした。文字も見やすいように配慮されています
  • それぞれ趣向の違う問題もあって楽しめました

悪かった点

  • リトライがしにくかったり、ヒントがやや不親切だったりといった部分が気になりました。ヒントに関しては、結構理不尽な問題もありましたので、もう少し段階的に用意した方がいいかもしれません
  • ナゾナゾですから仕様がないかもしれませんが、答えにならない別解が色々とあるように思えます

レビュー文章

ゆっくりコーヒーでも飲みながら

謎解きホテルの30のトビラは、全30問からなるクイズゲームです。

クイズといっても、知識を問う問題ではなく、発想力が問われるナゾナゾのようなものになります。解答は、選択肢や入力などによって行われます。

このゲームの特徴は、何と言っても多種多様なナゾナゾです。連想力を問われるような問題もあれば、注意力を問われる問題もありますし、転換力が必要な場合もあります。
全部で30問ということもあって、頭の体操にはちょうど良かったです。

また、シンプルにまとまって、目に優しいUIもこのゲームの魅力です。ナゾナゾを解くに当たって、長時間にらめっこしても目が疲れないような工夫がなされているように感じます。

落ち着いた雰囲気の中で、ゆっくりとナゾナゾに挑戦してみてはいかがでしょう。

57.殺人者の塔

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
RPG 20分 完全クリア

良かった点

  • 完成していますし、あっさり終わります

悪かった点

  • BGMがないとやや不気味でした。本棚が自販機なのも気にかかります。
  • 無駄な迷路、無駄に高いエンカウント率、ウディタデフォルトがそのまま残っている仕様、物語とも呼べない物語が気になります
  • 雑魚敵が1種類しかおらず、ボスも脳筋プレイでやれます。早い話が決定キー押しっぱなしゲームになっていました

レビュー文章

左手にアイアンアーマーを装備して

殺人者の塔は、短編RPGです。

殺人者が逃げ込んだというビルに乗り込み、犯人を倒すという流れになります。
少し長めの迷路を抜けながら、一種類しかいない敵を倒しつつ、屋上を目指すという大変簡素な作りになっています。戦闘を適宜こなしていれば、決定キーを押しっ放しでも戦える安心仕様です。

迷路を進みたい方に。

58.ひとりぼっちの竜の神話

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
RPG 3時間(やりこみで5時間) 強化ラスボス撃破、ほぼ技極め済み

良かった点

  • オープニングのサッサッという感じの演出が好みでした。その後唐突に始まるのも、こういう演出故すんなり入れます
  • 広くない(というか移動制限がある)マップの仕様は良かったです。迷わないし、視覚的配慮もなされている一挙両得の策でした
  • 技をひらめくサガ方式(フリゲなら帽子世界とか)は戦闘にもう一つの意味を与える良いやり方でした
  • イベントはテイルズ的な顔が縦横無尽に動き回る方式で、下手な立ち絵よりも感情豊かに立ち回れている。この辺は演出の妙です
  • 全体的に演出の方向性というか雰囲気のようなものが統一されていて好印象でした
  • 技を使うとそのレベルが上がることで、死に技も使ってみようかなという気にさせてもらいました。そのうえ、ボスといえど状態異常から無縁でないから、ボス戦でも状態異常攻撃が死にません

悪かった点

  • 麻痺や封印が通るとボスが楽勝になってしまいます

レビュー文章

竜の幼女と青年と

ひとりぼっちの竜の神話は、サイドビュー戦闘のRPGです。

このゲームの特徴は、ゲームとしての極めて高い完成度にあります。戦闘システム、イベント、物語から演出に至るまで、ほとんど完成形と言っていい完成度に仕上がっています。

戦闘システムは、技や術を使って戦うシンプルなものです。ただし、技を使っていくと、その派生の技を戦闘中に閃くことができます。つまり、バンバン技を使っていけば、技のレパートリーが増えて戦いを有利にすることができるということです。また、技は使っていくと経験値がたまり、技そのものの能力も上がっていきます。術の場合も、使っていけば経験値はたまります。
それらの技一つ一つにはサイドビューならではのエフェクトがあり、戦闘中にドット絵がちょこまか動くのは見ていても楽しいです。
また、このゲームではボスにさえ状態異常が通るので、どんな状況になっても死に技は発生しません。自身のMPと相談しながらも、最適な技を使っていきましょう。
なお、難易度は苦戦はしてもそれほど高いものではなく、特にレベル上げのために苦労する必要はありません。

このゲームの魅力の一つであるイベントは、ストーリーを進めるメイン会話と、脇道にあるサブ会話からなります。
メイン会話で物語を追っていくだけでも楽しいですが、サブ会話がある意味ゲームの本編のようなところもありますので見逃せません。サブ会話はマップの色んなところにあるので、探してみてください。
メイン会話はサクサクとストレスなく進みますし、顔グラフィックが感情を豊かに表現しています。サブ会話でもそれは同じですが、よりコミカルな感じになっています。

物語はシリアスな世界観の中で、竜の幼女と青年が生き延びるために進んでいきます。全体的にやや暗めな世界観ですが、主人公たちには全くその緊張感がなく、始終コミカルな掛け合いが続きます。サブ会話を拾っていけば、その掛け合いの良さが際立ってくるでしょう。
メインの物語も、ひとりぼっちの竜を巡るややシリアスな展開になっていますが、主人公二人がいつものペースのためか、どこか安心して最後まで見ることができます。

また、サブ会話の回収から、技の閃きとレベルアップ、裏ボスと強化ラスボスまで、本編プレイ後でもやりこむ要素はありますので、最後まで楽しむ子ができます。

掛け合いを楽しみつつ、本格的なRPGをやってみませんか?

59.地底の太陽

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
シミュレーションRPG 2時間 完全クリア

良かった点

  • 戦闘システムは面白く、味方も巻き込まないようにうまく立ち回る必要があります
  • 戦闘難易度は見た目よりも高く、操作ミスすると、一気に危なくなります。高度な戦略性が要求されるといってもいいでしょう
  • 物語の方はあっさり目ではありますが、設定はきちんとしているし、ゲームの目的を明示していて良いです

悪かった点

  • シンボルエンカウントにおいて、回避が相手のランダム移動の運に頼ってしまうから、ここは回避可能であるように速度を落とした方が良かったように思います
  • 逃走もないので、移動が非常に面倒でした。一応、町レベルでは移動できるようにすることで多少緩和されてはいますが

レビュー文章

一列に並ぶな、散開しろ!

地底の太陽は、シミュレーション風の戦闘ができるRPGです。

不老の指輪を求めて、地底世界を進んでいくことになります。その道中で高速に動くシンボルと接触すると、戦闘が始まります。

戦闘は、シミュレーション風になっており、グリッド上のどこかに移動して、攻撃を行うという手順になります。攻撃には効果範囲がありますが、この効果範囲内ならたとえ味方でも巻き込みます。うまく立ち回らないと、味方の方が大損害ということにもなりかねません。
また、敵も範囲攻撃をしてきますので、うまくばらけることも大事になってきます。
攻撃手段は、誰でも装備できる基本技と、特定キャラしか使えないスペシャル技に分かれています。キャラごとの特性をうまくとらえて、場合によっては布陣を変えて戦う必要があるでしょう。

シミュレーション風の戦闘を楽しんではみませんか?

60.技術将棋:デルタ

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
カスタム将棋 1局10分(AI戦) 最強AIに駒落ち、技術縛りで勝利

良かった点

  • ルール自体は結構面白く、それぞれの駒が各自スキルを持っており、将棋にプラスアルファの要素が足されています
  • ウディコン中にAIが進化し、技術縛りでAIに勝つのが難しくなりました
  • ウディコン中にネット対局機能が追加されました
  • ウディコン中にカットインが導入されて見た目も華やぎました

悪かった点

  • もともと、AIが弱すぎました(改善されたが、それでも技術抜きで勝ててしまいます)
  • そのため、技術の必要がなかった(ネット対局実装のためこれは改善されました)

レビュー文章

躍進!(自陣で成る)

技術将棋:デルタは、将棋にスキルの概念を付与したゲームです。
作者のシグラルさんは、前回のウディコンで素数大富豪!を出品されています。素数大富豪というマイナーなゲームをきっちり完成させていました。

このゲームの特徴は、将棋というゲームに対してスキルという概念を新たに付与したことです。
例えば、桂馬は相手陣以外の駒と場所を交換することができます。このスキルを駆使することで、一風変わった将棋を指すことができます。ただし、これらのスキルは駒を動かすことによって得られる兵糧を使う必要があります。

またプレイヤースキルとして、主要技術というものもあります。これは4種類あり、対局前にどれを使うかを選べます。この選択も勝敗を分けるでしょう。

初めのバージョンこそ、AIは弱く、技術関係なしでも戦えました。しかし、最新バージョンではAIも強くなり、ネット対局まで実装されたため、十分に楽しむことができます。

一風変わった技術将棋をやってみませんか?

61.僕らのスイソウ

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
アドベンチャー 10分 全END達成

良かった点

  • 短い中に世界観が確立している良作でした
  • 過不足のない情報開示と、徐々に明らかになる真実はお手本のような出来です
  • 立ち絵も感情豊かに取り揃えられており、物語の添え物として十全の働きをしています
  • 所々にプレイヤーが選ぶ選択肢があるのは、物語の客観性をあくまで保つために一役買っているし、物語の最後までの雰囲気を一貫しています

悪かった点

  • ややマップに無駄な領域があるように思います。演出上仕様がないとはいえ、ダッシュ的機構があるとちょっといいかもしれません
  • 終わりがややあっさりしすぎているようにも思います

レビュー文章

記憶のない少年が為すべきことは

僕らのスイソウは、物語主体のアドベンチャーゲームです。

意味深な会話の後、全く記憶もなく、話すこともできない主人公が現れて、物語は始まります。そして、一つのマップの中を少しだけ巡り、そこにいるキャラクターたちと会話したり、情報を集めながら、物語は進んでいきます。
情報を集めていくと、メモリチップというアイテムにその情報が書き込まれます。これを見ることによって、この世界観が朧気ながら徐々にわかっていくでしょう。

物語自体はそれほど長くなく、ほんの2、3のイベントをこなせば、エンディングまでたどり着けます。しかし、その短い中に世界観がしっかりと確立しており、質のいい短編に仕上がっています。
キャラクターたちの豊かな立ち絵も、その物語の雰囲気を彩っています。

質のいい短編物語を読んでみてはいかがでしょうか。

62.リトルナイト

ジャンル 筆者プレイ時間 筆者クリア状況
戦略シミュレーション 現在5時間(公式では5時間) 未クリア(二度詰まった)

良かった点

  • 戦略シミュレーションの心得がないため確信はありませんが、押さえるべきツボは大体押さえています
  • 物語は王道でいいですし、最初に部隊編成から始めることでチュートリアルも担当するため入りやすいです
  • 操作はシンプルで、使いやすいです

悪かった点

  • 物語があまり魅力的でなく、次に進もうという動機になりません。序盤に顕著です
  • 戦略シミュレーションの性質上、一戦闘ステージにかかるターン数が非常に長くなるのは致し方ないのですが、チュートリアルにしてはいささか長く感じました。今少し敵の量を減らしてもいいように思います
  • 戦闘中のセーブもできませんし、セーブが一つしかないのでやり直しがしにくいです(筆者が下手なだけとも言います)

レビュー文章

本格的なシミュレーションゲーム

※筆者はこの手の戦略シミュレーション(ヴェスタリアとか、FEっぽいもの)は超を付けていい程度に苦手です。このため、ウディコン期間中にクリアまで持っていけませんでした。この点は深く反省したいところです。そのため、以下のレビューは魅力を十全に伝えられていない可能性があります。あらかじめご了承ください。

リトルナイトは、本格的なシミュレーションRPGです。

とにかく、シミュレーションRPGとしての高い完成度に驚かされました。
プレイヤーは軍師として、ユニットを操って勝利条件を満たすように立ち回ることになります。ユニットは各ターンごとに移動します。攻撃をすると、反撃範囲内なら反撃をしてきます。また、隣り合ったユニットがいる場合、そのユニットも追加攻撃が可能です。この辺りを勘定に入れて、上手く立ち回らないとすぐに屠られます。
また、戦闘を経てユニットは成長していきます。このため、戦闘をさぼっていると、後々に大変な目にあうでしょう。かくいう筆者は9話でその憂き目にあいました。戦える範囲で戦っておかないと、後で痛い目を見ます。
戦闘においてもう一つのカギは、装備になります。射程、威力、命中率などに差があるため、適宜使い分けていきたいところですが、新たな装備を買うにはお金も必要なので、難しいところです。

物語は、戦略シミュレーションへの飽くなきこだわりのためか、非常にシンプルかつテンポが良いものに仕上がっています。あくまでも、戦略シミュレーションそのものを楽しむことに視座があるようです。

本格的なシミュレーションRPGをやってはみませんか?

63.アンダーグラウンドヒーロー

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
RPG 4時間 Normalでクリアで、スコアA(90)

良かった点

  • タイトルからメニューまで、UIが洗練されていてセンスを感じます。戦闘画面のデザインもマップのレトロ感とマッチしています
  • シンボルエンカウントと複数戦闘をからめるのは良い発想でした。さらに複数戦闘だと経験値が高くなるという意味付けも良かったです。そのあたりで葛藤を生んでいます
  • 音楽やマップの雰囲気は各階層ごとに異なったものになっていて、プレイ感を変えるのに一役買っています。
  • 物語は過不足なく、王道と呼んでいい出来でした
  • 肝心のシステム部分は、限られたリソース配分を考え、戦闘中もそのリソースと攻撃により得るリターンを考えながらプレイする必要があり面白かったです。

悪かった点

  • 戦闘コマンドで、スキルより上にガードを置かれると、誤ってガードしてしまいます。スキルの方が優先順位高めな上、誤って押しても戻れるので、攻撃->スキル->ガードの順で良かったように思います。

レビュー文章

ドロシーをデコイにしたことをここに反省します

アンダーグラウンドヒーローは、リソース管理を重視した短編RPGです。

リソース管理というのは、出現する敵が有限であることに由来します。敵は全てシンボルエンカウントで遭遇し、倒せば二度と復活しません。ですから、獲得できる経験値やお金が有限になってしまいます。
このため、回復手段一つとっても考えていかねばなりません。例えば、一部アイテムを入手すると、戦闘後にHPが少量回復するようになります。これを用いれば、瀕死の味方は回復しないで一発分のデコイとみなした方が戦える場合もあります(戦闘後に少量回復して蘇生する)。

また、敵とのシンボルエンカウントの際も、一度に巻き込んだ量だけ同時に相手取ることになります。同時にやると、経験値の獲得量にボーナスが付きますが、大ダメージを負っては本末転倒になる恐れもあります。エンカウント一つも大事にしていきましょう。

キャラクターのレベルアップ時も、リソース管理を考えていく必要があります。GPというポイントがレベルアップ時に3ポイント付与されますが、これの割り振りが重要です。能力値の底上げに使うか、スキルの習得に使うか。スキルの習得の場合は、何ポイントか貯める必要がある場合もあります。

このようなリソースの切りつめを行いながら、どこかレトロ感の漂うマップを探索し、レトロ感のある敵を倒していきます。
物語はいたってシンプルなものなので、プレイを邪魔するようなことはありません。もし、世界観に浸りたいのであれば、ライブラリを読みましょう。

リソースを切り詰めながら、RPGを楽しんではみませんか?

64.架空共生層アウターハッシュ・ワン 泡沫世界破裂

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
アドベンチャーRPG 2時間20分 完全クリア

良かった点

  • 独特な世界観と粗削りな絵がよくマッチしています
  • 設定はやや特殊で、唐突に始まりますが、困惑するほどではありません。独自の世界観を遺憾なく発揮しています
  • ノンフィールドRPGっぽいパートでは、進むために食料が必要であったり、攻撃手段を偏らせるとまずかったりと、いろいろな独自性が見られます

悪かった点

  • せっかく武器の種別や属性種別を用意しているのに、それが効果的であったかどうかを知る手段に欠けているように思えました
  • ウディコンの大分後の方でようやくエンディングまで行ける安定版が出ました。ギリギリアウト感があります

レビュー文章

うたかたの泡沫世界に忍び寄る影

架空共生層アウターハッシュ・ワンは、アドベンチャーRPGです。
作者の北街かな@syspomさんは、以前のウディコンで架空共生層プレノード・オブジェクタ zeroを出品した方です。

このゲームは、その独自の世界観が最大の特徴です。
オープニングから引き込まれるような演出とともに、その独自の世界観に一気に引き寄せられます。その後も、その世界観に合った演出とともに、その世界で紡ぎだされる物語を堪能できます。

また、その物語を進めていく過程では、ノンフィールドRPGのパートを切り抜けなくてはなりません。基底坑と呼ばれるダンジョンでは、進めば進むほど、食料が減っていきます。食料が無くなると、HPとMPが減っていくので、適宜食料を補給する必要があります。
また、戦闘では、使ったスキルに応じて最大HP、最大SPが変動しますので、スキルを偏って使わないことも重要になってきます。

独自の世界観が織りなす物語に浸ってはみませんか?

65.CrossSoul

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
カードゲーム 3時間 ストーリークリア

良かった点

  • カードゲームのルール自体は難しいが、チュートリアルがあります
  • 画面はシックやシンプルではなく、ガチャガチャとやかましい感じで、これはどっちでも貫いていれば好みです
  • 様々なイラストにこだわりを感じます

悪かった点

  • 初っ端から背景と文字色の関係で選択肢が読みにくいです
  • ドラッグアンドドロップ時にその精霊の射程を点滅させるなどすれば、射程の概念が捕まえやすい気もしました。高々5射程だからそこまで気にしなくてもよいかもしれませんが
  • 勝ったのに負けたことにされたり、勝負しないでイベントが進んだり、勝負したら別のイベントが始まったり、ゲーム中でもドラッグアンドドロップしたらおかしくなったり、不具合が多いです
  • 負けたのに勝利扱いだったり、勝ったのに負けた扱いだったりします

レビュー文章

勝利が敗北に、敗北が勝利になる

CrossSoulは、ADV風のカードゲームです。

このゲームの特徴は、何と言ってもその独自のルールにあるでしょう。
Xの形をした陣に、カードを配置していき、コインや波といった要素をうまく活用して相手プレイヤーのSPを0にすれば勝利できます。
まず、押さえておきたいのはターンが回るごとに波(WAVE)が変化するということです。自分の波が来ているときは、攻撃なども一気呵成といけますが、相手の波が来ているときは、じっと耐え忍ぶことも考えなくてはなりません。
例えば、単に布陣するにも、攻撃するにも主精霊コインというものが必要になります。この主精霊コインは、自分の波が最高潮の時は4枚ですが、平時や相手の波の時は2枚しか来ません。早い話が、攻撃回数が2倍違うということになります。
また、行動しなかったカードにはコインを付与できます。このコインは、防御時にはダメージを軽減し、攻撃時にはダメージを大幅増量する優れものです。相手の波の時は、我慢してこれを貯めることも必要でしょう。

加えて、ストーリーが進むにつれて、新たなルールが解放されてきます。
トラップ的な要素をもつ裏出し、同時攻撃して一回の火力を上げる支援、4枚の主精霊コインを使い、クロスして火力を大幅に上げる奥義など、さらにカードゲームのオリジナリティが上がっていきます。
このように、徐々にルールが解放されていきますし、そのたびごとにもチュートリアルがはさまれるため、多少ルールは複雑ですが、プレイしながら覚えていけるでしょう。

アドベンチャーパートでは服を買ったり、お菓子を買ったり、色々とカードゲーム以外のこともできます。カードに飽いたら、それらを楽しんでもいいでしょう。

また、そのカードゲームを支えるポップなイラストも見逃せません。アドベンチャーパートでも、カードゲームパートでも、華やいだイラストが見られるでしょう。

ポップなカードゲームをやってみませんか?

66.Rice Ball Summer

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
ミニゲーム 20分(1プレイ1分) 夏の思い出コンプリート

良かった点

  • 波打ち際に行かないとアイテムはとれないが、波に当たると即ゲームオーバーというリスクアンドリターンが良かったです
  • その中で、カニという不確定要素を入れてきたのはゲームの単調性をわずかながら緩和しています
  • おにぎり条件解放後は、特定アイテムだけ選んで集める遊びもできて、プレイの幅が広がりました

悪かった点

  • 最初のバージョンでは、結果が保存されなかったし、その条件も未定でした(最新バージョンで修正済み)
  • おにぎりのバックボーンは特にありません。いかんせんミニゲームでした

レビュー文章

波打ち際には海産物がそろう

Rice Ball Summerは、おにぎりを日焼けさせるミニゲームです。

おにぎりを操り、波打ち際に打ち上げられ具材を集めながら、30秒間波からもカニからも逃げていくことになります。ただし、波に当たると、即ゲームオーバーですが、カニに当たると、今まで集めた具材の一部を失うだけで済みます。この辺りのリスク管理を考えていきましょう。

集めた具材によって、おにぎりは14種に変化します。具材の条件などは公開されているので、安心してプレイできます。

ちょっと息抜きに、おにぎりでも焼いてみませんか?

67.なんちゃらを目指して

ジャンル 筆者クリア時間 筆者クリア状況
アクション 30分 完全クリア

良かった点

  • 男女を入れ替えるパズル要素とアクション要素は上手くできています
  • ステージはいたってシンプルで、敵ボスはなかなかだったが、ヒットアンドアウェイをこなせば倒せる程度でちょうどいい難易度でした

悪かった点

  • 属性要素に関しては、ワンタッチで切り替えられるようになっておらず面倒でした
  • 金が残機増やしにしか使えないのは残念でした
  • 背景となる物語はありません

レビュー文章

女尊男卑(能力的な意味で)

なんちゃらを目指しては、アクションゲームです。

このゲームは、男女と属性を切り替えてステージを攻略していきます。
男女によって攻撃、防御の性質は異なりますし、属性によっても同様です。これらをうまく使い分けてパズル的なステージを攻略しつつ、ボスを倒していくことになります。

ステージはチュートリアルを含めて12ステージなので、短時間で遊ぶことができます。物語のような余計な成分もありませんので、サクサク進むでしょう。

シンプルなアクションゲームをやってみませんか?

個人的得点

カラムの項目名をクリックすると、昇順、降順にソートできます。

番号 作品名 熱中度 斬新さ 物語性 画像/音声 遊びやすさ プラスアルファ 合計点
1 夢見草の夜 6 6 7 6 8 0 33
2 スピネルの魔法工房 9 8 8 10 10 5 50
3 AN EARTH 8 7 9 8 7 5 44
4 まおうのおつかい 5 6 6 7 6 0 30
5 SaveHer 5 4 4 4 4 0 21
6 死後の世界に触れた彼女は 8 7 8 8 5 4 40
7 レイユウサイ 6 6 4 6 5 0 27
8 うでぃふぇんす! 7 10 6 4 7 0 34
9 ぽちぽちすぴりっつ 5 6 4 6 8 0 29
10 PlusMinusZERO 10 7 8 6 7 3 41
11 魔導銃士ジュノと囚われの姫君 6 5 6 7 7 0 31
12 育成物語 8 8 7 6 6 2 37
13 Life of Dangeon 1 3 1 1 1 0 7
14 スーパーキパキパ3 1 2 2 4 1 0 10
15 Game 1 4 1 1 1 0 8
16 夢遊猫イミテイション 9 9 7 10 9 7 51
17 Sword Witch♭ 7 8 6 6 8 0 35
18 不思議のMANGA 7 9 6 6 7 0 35
19 Dream Story 1 1 2 2 3 0 9
20 F.L.O.O.R. 6 5 4 6 6 0 27
21 血の穢れを乗り越えて・・・ 9 7 10 7 7 5 45
22 最後の夜 6 7 8 7 4 0 32
23 魔導のリザレクション 8 8 7 7 9 0 39
24 じこ×にち 5 6 7 5 6 0 29
25 箱庭勇者 9 7 5 8 5 0 34
26 僕は旅商人 7 6 7 5 4 0 29
27 ロンリークエスト 6 8 7 6 4 0 31
28 道の先はみえない_創造 7 9 6 6 7 1 36
29 邪策の枷 8 10 7 9 7 7 48
30 UNKNOWN ENEMY 6 7 7 5 6 0 31
31 GOURMAND CHATON 6 6 6 8 7 0 33
32 お月見大作戦 5 5 5 5 6 0 26
33 箱の中のバーディ 9 9 8 9 8 6 49
34 自由ナ人生ハ、イカガ? 6 7 8 5 6 0 32
35 夏雲の島の宝船 10 8 7 8 9 7 49
36 罪と幸せの四苦八苦 5 5 2 3 5 0 20
37 エンドロゼビラ 7 7 6 6 7 0 33
38 ラピッドスティール 8 6 6 7 7 1 35
40 REBIRTH ・TOWER 1 2 1 3 1 0 8
41 俺が勇者だ! 3 4 2 5 4 0 18
42 不思議な世界で 1 1 3 2 1 0 8
43 残業サバイバル 6 7 4 5 6 0 28
44 のんびりしゅーたー 4 3 3 5 3 0 18
45 鶏は音を置き去りにした 2 4 1 1 2 0 10
46 青屋根ビル合戦 1 1 1 1 1 0 5
47 玄武の如く 1 1 1 1 1 0 5
48 てのひらにさいころ 7 10 7 7 6 0 37
49 冒険者35歳 6 8 8 6 7 1 36
50 腹が減っては勇者はできぬ 6 6 6 5 6 0 29
51 すやりす絵巻 8 8 7 8 8 3 42
52 魔法少女 FREE☆GAMECREATOR 5 5 6 6 6 0 28
53 ウルファールと鬼ごっこ 7 6 5 6 7 0 31
54 世界 3 2 2 2 3 0 12
55 鋼の心 7 7 8 6 6 0 34
56 謎解きホテルの30のトビラ 8 8 6 7 7 3 39
57 殺人者の塔 1 1 1 1 2 0 6
58 ひとりぼっちの竜の神話 10 8 10 9 10 8 55
59 地底の太陽 6 7 5 6 6 0 30
60 技術将棋:デルタ 5 10 5 7 6 2 35
61 僕らのスイソウ 10 8 10 10 8 4 50
62 リトルナイト 5 7 6 7 5 0 30
63 アンダーグラウンドヒーロー 10 8 8 9 10 6 51
64 架空共生層アウターハッシュ・ワン 8 9 8 9 7 6 47
65 CrossSoul 5 8 5 9 6 0 33
66 Rice Ball Summer 7 6 6 6 7 0 32
67 なんちゃらを目指して 5 7 3 5 6 0 26

結果発表を受けて

以下はレビューもしていない、完全な感想になります。思いのままに書いていますので、多少不適切な表現があるかもしれませんが、ご勘弁ください。

1位 夏雲の島の宝船

これはもう自然の帰結というか。ほとんど驚きませんでした。
個人的順位こそ6位につけてますけど、この作品はこのウディコンで唯一、欠点がないなあと思ったゲームでした。
なにせ、プレイ時間1時間中に、飽き、だれ、集中力の切れ、不快感といったマイナス感情が全く出ませんでした。ややアイテムの選択手段が特殊ですが、そもそもアイテムを選択すること自体しなくてもいいんですよね。
アクションの完成度としては、これまで見たどのウディタ作品よりも優秀でした。

2位 箱の中のバーディ

これは半分くらい意外でした。順位が作品に不相応で意外というわけではないです。優勝でもおかしくない斬新さ、プレイしやすさを兼ね備え、かつ物語も熱かったので。
意外だったのは、こんなに評価が集まったという点でした。こういうお手軽アクション系は得てして的を射ない変な評価をもらいがちなんですが。
ともあれ、個人順位は7位につけてますが、ゴルフアクションという斬新なジャンルを形にし、かつ遊びやすく実装したという素晴らしいゲームでした。

3位 夢遊猫イミテイション

これはもう優勝でもおかしくなかったのでは。Wolfさんも言われてますけど、上位4ゲームが甲乙つけがたすぎますね。
ただ、2位の作品と同じく、かなり意外でした。長時間かかるゲームですし、どうしようもなく嫌悪感を覚えいてしまう人がいるジャンルが混じってましたので。
筆者はその趣味はありませんが、愛がひしひしと伝わるイラストと、ボリューム感には感動をすら覚えました。
カードゲームとしての出来も素晴らしく、様々な戦術が考えられて楽しかったですね。裏ボスの倒し方練るの楽しすぎて、時間を忘れていました。

3位 ひとりぼっちの竜の神話

優勝じゃなかったかあ、というのが正直な感想です。先述のとおり、上位4作品は甲乙つけがたいですし、夏雲が1位なのには何の不満もないんですよ。ただ、この作品が1位じゃなかったのがちょっと不満なだけなんですよ。
中編くらいのRPGとしての完成度は今までプレイした中でもピカイチで、物語、閑話、戦闘、演出あらゆる面でプレイヤーを楽しませてくれた作品でした。あまりに面白すぎて、大体技極めましたし、裏ボス、強化ラスボスを余裕でのせる程度には強くしました。
ウディコンも後半で、日程の関係もあって全ゲームプレイするなら余計な時間を使ってはいけなかったんですけどね。ひとえに、面白すぎて。
とにかく、文句なしに個人的順位1位の作品でした。

5位 AN EARTH

トップ5に食い込んでくるとは正直思っていませんでした。
あくまで個人的感想なんですが、最初はそんなに面白くないんですよ。ゲームシステム自体は面白いので続けられますけど、物語というか、掛け合いというか、正直あんまり入れなかったです。
しかし、後半になるにつれ、あれよあれよと感情移入の波が押し寄せてきて、いつの間にか完全に熱中してました。そこで気づく既視感。デスパレートマンションの作者さんだ、これ。前回24位で、何でだよもっと上だろと思ってたんですよね。
とにかく、最後までプレイしてこそ面白さが分かる作品だったと思います。だから、これだけ順位が上がったということは、きっと最後までやったプレイヤーがいっぱい居たのだろうな、と。筆者もそのうちの一人なわけですが。
その他部門2位なのも頷けます。これを評価するのに、その他を用いず何を用いようか。
エンディングに拍手で賛辞を呈したくなる、そういう作品でした。

6位 夢見草の夜

これは大分驚きました。作者さんは、毎回ウディコンでそつのない完成度の高い作品を出品されるんですが、なぜだか、あまりいい順位に食い込めていませんでした。今作はその、そつのない出来そのままに、演出や物語がさらに素晴らしくなっているとは思っていましたが。
個人的順位が真ん中くらいなのですが、これはミニゲームオムニバス的な展開がやや面倒だったのと、追いかけっこで多数の高速移動を突っ込んでくるのが苦手だったというだけです。最初にやった作品なので、基準点にしようとしすぎたというきらいもあるかもしれません。
全く、物語、演出の素晴らしい作品でした。

7位スピネルの魔法工房

7位に落ち着いたのは、一重にレシピのランダムドロップ性に尽きる気がします。作者さんの高いウディタ力もとい技術力は明らかでして、プレイの快適性は言わずもがななんですが、いかんせんランダムドロップシステムがテンポに水を差したようには思います。個人的には、夜中まで起きていられるようになったのが、ほぼ満額たまったころだったのが空しかったですね。
それでも、最後までやり抜けるくらいに、アクションはサクサク動いて面白かったですし、キャラクターは愉快ですし、物語はシンプルで分かりやすい上、きっちり閑話のある素晴らしいものでした。
個人的順位では4位にしてますが、これは後半のアップデートも込みのものです。やっぱり、ウディコン中の更新はもろ刃の剣な気がしますね。
何にしても、高い見下ろしアクションゲームとしての完成度と、フリーゲームかこれと思うほどのイラストの出来、それらを調和するシンプルなUIと見目だけですら楽しめる作品でした。

8位 冒険者35歳

これが10位以内にランクインするとは本当に思っていませんでした。
老いを表現する上で、ここまでシンプルに、そしてここまで空恐ろしく数字だけで表現できるものかと感動すら覚える作品でした。ただ、良くも悪くもシンプルですし、システム自体はほぼ数字が動くだけの地味な作品でしたので。こういうのがランクインするから、ウディコンは面白いんですよね。綺麗な画像や高い技術力だけではなくて、素晴らしい調整力と発想力にもフォーカスが当たるのは。
個人的順位こそ高めにつけていませんが、印象に残るという点ではかなり上位にくる作品でした。80歳くらいになって、金を稼ぐ手段もなく、35歳ごろはあんなに活躍できてたのになあとか思い出に浸りつつ、病院通いしているのは本当に心に来ました。数値調整の巧みさで、心を揺り動かすいい作品でした。

9位 レイユウサイ

これこそ一番驚いたかもしれません。
アクションゲームとしての出来は素晴らしく、飛んで、跳ねて、マップを縦横無尽に駆け巡るのはかなり楽しかったです。スキルをうまく使っていかないと倒せないボスの調整も見事でした。ただ、そのジャンプにバグがあったり、敵がひしめきすぎてスキルを取り替えられなかったりと、細かい点で粗があって、ウディコン中に修正していましたので。修正後は大分快適にプレイできましたので、修正が早かったのが功を奏したのかもしれません。
個人的順位こそ低めになってしまっていますが、これは修正前のバージョンも考慮に入れたものです。修正後の完成版では、飛んで、跳ねてを存分に楽しめる良い作品です。

10位 架空共生層アウターハッシュ・ワン 泡沫世界破裂

この作品がランクインするのは嬉しいんですが、良く入ったなあというのが最初の感想でした。何せ、エンディングまで完成したのウディコンの終盤でしたから。それで評定が辛くなりそうなものなんですが。
しかし、独自の世界観とそれを表現する素晴らしい演出にはいきなり引き込まれますし、ラストダンジョンに入って、あれ進めないとなるまでずっと楽しんでいました。なので、余計にラストダンジョン未完成かよ、と突っ込みたくなりました。
そんな作品がランクインするんですから、最後のエンディングは皆待ちわびてたんですね。かくいう筆者も、待ちわびていた勢の一人です。最後にプレイして、評定を付けさせていただきました。
独自の世界観と、その表現に舌を巻く、素晴らしい作品でした。

11位 てのひらにさいころ

この作品は大分評価分かれそうなので、おしくもランクインを逃したという形でしょうか。
全てをさいころで決定づけるというアイデアは素晴らしいですし、ダンジョンすらもすごろく化する潔さは一貫性という観点においてほぼ完ぺきと言っていいです。
ただ、そのあまりのランダム性の高さが、序盤からして中々理不尽なんですよね。最初に狼に6連続負けしたときは、このゲームはクリアできるように作られているのかと疑問に思ったくらいです。
やり続ければ、うまくバランスもとれるんですが、それでも運の要素が大分勝ってきてしまいます。ただし、それも含めてこの作品の魅力なので、やっていくうちにはまる人は、たぶんはまります。強敵相手にあいこ続いて勝ったときの快感は、ある種それが運ゲーであることに基づいているので。
運ゲーの快感に浸れる良い作品でした。

12位 邪策の枷

これはもう少し上に来ると踏んでいました。
ウディタでリズムとパズルを、少なくとも素人目には文句の出ない仕上がりにしたという点でまず驚きます。それに加えて、それが戦闘システムとしてきちんと昇華されているという所まで来ては、もはやもろ手を上げたいところです。
それに加えて、イラストも綺麗で、物語の流れも素晴らしいです。だのに、この順位になってしまったのは、終章の展開の強引さとか、会話の端々のメタさ加減が世界観とアンマッチだったことかもしれません。あくまで筆者の一意見ですが。
とにかく、リズムとパズルをミックスさせた斬新な戦闘は、一回一回の戦闘を楽しくさせる素晴らしい作品でした。

順位どおりはとりあえずこの辺にして、あとは筆者が好きな作品だけつまみ食いしていきます。

16位 アンダーグラウンドヒーロー

なぜだ、なぜこの順位なんだ。と筆者が思う作品という意味では文句なしの一等賞です。
おそらく、リソース管理のとっつきにくさが原因であるような気がします。最初にレベルアップして、4人分の割り振りを考えようとなった時は、さすがに筆者も面食らったので。慣れてくると、それも楽しいんですが、その境地に達するまでの誘導のようなものがあまりなかったせいで、一般的な層を取り込みにくかったのでしょうか。
物語を進めていけば、リソース管理の面白さにも目覚め、各所にいるエクストラボスの効率のいい倒し方を考えるのも楽しくなり、物語はだんだん王道的熱気を帯びてきて、きっとはまると思うんですけどね。

17位 すやりす絵巻

この順位に関しては、半分くらいそうかなあと思ってますし、半分くらいそうだろうなあと思っています。
面白さでいえばもっと上に行ってもいいはずです。ただ、落ちものゲームというジャンルであるということを考えると、この順位は凄いような気がします。落ちものというだけで、個人的には難しそうだなという印象を受けますので。あくまで、テトリス下手で、ぷよぷよやったことなく、トリオトスとドクターマリオくらいはできる筆者の一意見です。
個人的順位で結構上につけているのは、そんな自分でも、ルールを覚えながらボスなどの明瞭なノルマを片していって、リアルスキルのレベルアップを促していたことに強く惹かれたためです。こういったゲームであるからこそ、プレイヤーのレベルアップを誘導する仕組みが大事になりますが、この作品はそれがほぼ完ぺきに整っていました。

19位 ±ZERO

これはもう少し上でもいいとも思うし、この順位で大健闘ではとも思う難しい作品です。
純粋な個人的最後まで楽しめたランキングを作成するなら、間違いなくこの作品はトップレベルに位置します。何せ、6時間はまりっぱなしだったわけなので。
ステージ後半に至っては、こんなんどうやんだよ、から、解けたああああ、という快感までの流れが完全に作者の掌の上だなあと思っていました。踊りたくて踊っていたし、踊るべくして踊っていたのですけれど。
とにかく、素人パズル好きの筆者にとっては素晴らしい逸品でした。

24位 血の穢れを乗り越えて・・・

これは個人的な物語の好みでいえば、一二を争う素晴らしい作品でした。それだけに、もう少し上かなあと。いやもう、この辺の作品は比較するのも難しいんですけどね。直近の上がぽちぽちすぴりっつて本来比較対象じゃないですよ。
始終一貫したモノローグの雰囲気と、小気味良い会話が心地よい、そんな作品なんですが。終始落ち着きすぎていたのかもしれません。激情を求める方には確かに合わない作品だったように思います。
何はともあれ、物語としてここまでの完成度はなかなか見られない作品でした。

34位 僕らのスイソウ

この作品は、完全に自覚的に好みとして個人的順位同率4位にしているので、どんな順位でも驚きはしませんが、それにしても低すぎませんか。
あまりに短編過ぎたのが問題だったのかもしれません。個人的な印象としては、短い中に世界観を完全に確立した点が素晴らしいと思うんですが、別の観点からみれば、せっかく世界観を確立したのに勿体ないともいえるわけで。
筆者がメタ的というか、輻輳というよりも複層というか、こういう類の物語構成が好きな上、扱っている内容も、表現する内容も完全に好みにドンピシャだったので、評価がだいぶ甘くなっているだけかもしれません。
ともあれ、素晴らしい作品には違いありません。

ランク外 死後の世界に触れた彼女は

何故、ランク外なんでしょうかと強く思います。
やっぱり、戦略シミュレーションが受け入れにくいのと、物語の中途感が故なんでしょうか。だとしても、ステージごとに攻略方法を考えなくてはならない構成や、中途と言えど一つの落着地点を見出した点は良いと思うんですが。
実は最初は、時間がかかると思ったのと、あまり魅力を感じなかったので後回しにして、今より低い評定にしていました。2週目の回収の際に、本腰を入れて最後までプレイしてみると、その素晴らしさが分かりました。最終ステージは、かなりの回数リトライしましたが、それをしたいと思わせるほどに、物語の先が気になっていました。
そういう良い作品だったので、ランク外でもどっかで紹介されないかなあと思う次第です。

後記

以上で、長々と書き連ねてきたレビューを終わります。
今回のウディコンは節目の第10回の直前ということで、下馬評的にはさほど期待されていなかったようですが、蓋を開けてみれば多種多様な面白い作品が目白押しでした。
RPGとして高い完成度の「ひとりぼっちの竜の神話」、高い戦略性を持ったカードゲームが楽しめる「夢遊猫イミテイション」、リソースを突き詰める「アンダーグラウンドヒーロー」、コンシューマと見まごうようなゲームデザインのアクションRPG「スピネルの魔法工房」、個人的に好きな短編アドベンチャー「僕らのスイソウ」、新感覚ゴルフアクション「箱の中のバーディ」、純朴にして極めて高い完成度のアクションパズル「夏雲の島の宝船」、リズムゲームを戦闘に昇華した「邪策の枷」、独自の世界観が貫かれたノンフィールド的アドベンチャー「架空共生層アウターハッシュ・ワン」。
多種多様なジャンルに、多種多様なゲームがひしめいて、とても楽しんでプレイできたことをここに感謝したいと思います。
願わくば、この記事を読んでくださった方が、一つでも興味を持って頂けることを。