The Witness: 遍在するパズル
The Witness
値段 | クリア状況 | 実績 | プレイ時間 |
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3980 | 全景 | 2 / 2 | 47時間 |
お勧め度 | コスパ |
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★★★★★★★★★★ | ★★★★★★★★☆☆ |
ノーム・チョムスキーは人間が赤ちゃんの時分から言語を体得できることの説明として、普遍文法という概念を提唱しています。我々は所与の文法的構造を内在しており、それをもって第一言語を素早く会得しえるという考え方です。
The Witness というパズルゲームにも同じような考え方を適用できるかもしれません。我々は生得的なパズル的構造を内包しているがゆえに、一切の説明なく提示されたパズルでさえ解けるようになりうるのでしょう。
構造を習熟する
一筆書き(インフォは後にも先も確かこれだけ) | 奇妙な記号 |
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The Witness は一筆書きをベースにしたオープンワールドパズルゲームです。そのパズルのルールは至極簡単で、開始点と終点を正しく一筆で結べばクリアできます。
しかし当然のことながら、ただの一筆書きではパズルが成立しません。オープンワールドの島を巡って見つけられる様々なパズルには、それぞれの特色を持った性質があります。
あるものは奇妙な記号でルールを暗示し、あるものは外的空間にその答えを暗示し、あるものは感覚を以てその答えを暗示します。
これらのルールに従って始点と終点をつなぐことで、はじめてパズルをクリアしたことになります。
この答えは? | これとか天才 |
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ただし、このゲームにおいてそれらのルールは一切開示されません。広がった3Dの世界の中に、何の説明的文章もなくポンと置かれているパズルを、これまた何の説明もなく解く必要があります。
プレイヤーは内在するパズル的構造をいかんなく発揮し、パズルそのものの本質を紐解いていくことになるでしょう。
各地に点在する様々なパズルはどれもが秀逸です。決して解きえないほど難しくはなく、しかし解くことが作業にならないほどには難しいものとなっています。
殊に、各々のエリアの終わり際に存在するパズルにいたっては、解き終わった後に「(作った人は)天才か?」という気持ちにさせられます。
パズルを体得する
飛行機で見つけたWitness |
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また、それぞれタイプの違うパズルは、ルールを把握するための基礎、ルールを用いて解く発展、ルールを理解して解く応用にちゃんと段階を踏んで挑戦できます。一つの形式をクリアした時、そのパズルの構造はプレイヤーに内包されることとなるでしょう。
加えて詳述はしませんが、このゲームはゲーム全体を覆いつくすようにも基礎、発展、応用を配しています。何をもって応用となすかはプレイしてお確かめください。
そうしてこのゲームのパズルを一つ一つクリアしていくごとに、プレイヤーの中にはThe Witnessのための回路が徐々に出来上がっていきます。
その回路が完成した時、このゲームはさらなる驚きをもってプレイヤーをさらなる深みへと連れて行ってくれることでしょう。
余談ですが、筆者を含めThe Witnessをやりすぎた知り合いは、しばらく大体のものがThe Witnessに見える病気にかかりました。
情景を眺める
情景 | 遊び心 |
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また、The Witnessというゲームは、その描く景色も素晴らしいものとなっています。
大胆にデフォルメされた地形と、色鮮やかな各所の装飾のコントラストが綺麗に効いています。
加えて、その色彩豊かな情景ももちろんのことながら、ところどころにプレイには関係ない遊び心が隠されています。のんびり歩いていても、思わぬ発見があるかもしれません。
このゲームを理解する
最後に、このゲームをかなりやり込んだ人は、実質的なクリア特典の一つとして、あるスピーチを聞くことができます。
このスピーチはまさにこのゲームを物語るものであり、このゲームの極致を提示するものです。正直、筆者の感想を見るよりも万倍も得るものがあるため、このゲームをさっさとやり込んで聞きましょう。