第14回ウディコン全作品レビュー - イマジナリーフレンド

05. イマジナリーフレンド

ジャンル 作者
ADV 銀モミジ
プレイ時間 プレイVer クリア状況
2時間 1.02 全ENDクリア

良かった点

  • 紹介文通りの良い展開でした
  • 主人公以外にも個性があって良かったです

気になった点

  • エンドを複数見ようとするとかなり同じ展開を見ることになります

レビュー

詐称ほのぼの系ADV

イマジナリーフレンドは詐称ほのぼの系アドベンチャーです。
主人公であるぷれあを操作して、ある親友と一緒に過ごす日常を体験しつつ、その物語を紐解いていくことになります。

すばるの親友であるぷれあは、彼女の家に遊びに行っては色々なことをします。
お料理をしたりお勉強をしたり、そういった様々なイベントを体験しつつ、親友との時間を過ごしていくことになります。
ともすれば、ほのぼのしたまま終わりそうな雰囲気もあります。

しかし、物語を進めるに従って公称にあるような闇が少しずつ顔を出してくることになります。可愛らしいグラフィックとは裏腹に、物語は少しずつ意外な方向へと転がっていくことになるでしょう。

イマジナリーフレンドとは何を指しているのか、このゲームは何をもって詐称とするのか、それを知るためには最後まで物語を読み進める必要があります。
三つあるエンディングのどれに辿り着くことになるのか、プレイしてお確かめください。

感想

紹介文で詐称を名乗っているのでそこはネタバレじゃないだろうという判断です。
感想にはネタバレを書くので予めご了承ください。

詐称を名乗り、タイトルがイマジナリーフレンドの時点で着地点がある程度読みやすい展開ではあります。タイトルに使っているならそれ自体はギミックになりえないので、もう一段ひねるとなると絞られてしまうので。
もっとも、ウォールナーとアザレナといういかにもな存在がいる時点で、そこを大きなギミックとはとらえていなさそうです。そもそもメニュー画面からして「すばるの親友」なので、どちらが従なのかは何となく分かりますからね。

終盤の展開はちゃんとほのぼのを詐称してくれるので良いです。
エンディング分岐による物語的展開は案外様変わりするので、回収しておいた方が楽しいと思います。
ED2の展開では、戸愚呂弟を思い出しました。足りないのは危機感。

そういう意味ではエンド回収したくなるんですが、全エンドをちゃんと見るには同じ展開を3回やることになるのでややきつめです。なまじ暗い内容なのも効いてきます。
主人公の趨勢は変わらないけど周辺が変わるという方針なのも大きく、必然的に同じ展開になってしまうところがあるのかもしれません。
結構細かい点で会話内容を変えていたりしていて面白いんですが、同じようなイベントが続くと、ともすれば流し見される危険もありそうです。実際流しかけました。

最後にかなり個人的な感想なんですが、ものすごく内面的な話を扱っているのに、やたらと話の外殻が大きいなあという印象を受けました。
マクナ=グラムラとフェアリーベルみたいな外への解決が局所的なパターンを想像していたので、上級国民とかマスコミとかそこそこ社会風刺的な話も混ぜてくるとは考えていなかったです。
全体を貫いた社会風刺的作品はそれはそれでいいものなんですが、最後に薄っすらとしか使っていないので大分気になりました。胸糞展開を作る舞台装置としての機能しかないイメージ。
ただ、何を舞台装置に使うかは好みなんだろうなとも思っています。

ちなみにここのレビュー及び感想は個人の印象によるものなので、特に要望とかではありません。作らされたゲームより、好きに作ったゲームが一等面白いので。