第14回ウディコン全作品レビュー - 魔法剣士の冒険者ギルドとボスラッシュタクティクスRPG

39. 魔法剣士の冒険者ギルドとボスラッシュタクティクスRPG

ジャンル 作者
戦闘RPG テイク
プレイ時間 プレイVer クリア状況
3時間 1.02 ふつうクリア

良かった点

  • ターン経過ごとに双方が強力になるシステムは面白かったです
  • ストーリーが終始良いコメディ調でした

気になった点

  • 終盤の戦闘バランスがやや行動運に偏り気味でした

レビュー

一気に畳みかけろ

魔法剣士の冒険者ギルドとボスラッシュタクティクスRPGは、ターン制の戦闘をひたすら繰り返していくゲームです。
戦闘がメインとなっていますが、合間合間に閑話も展開していきます。

このゲームの特徴は、全ての戦闘が10ターンで終わるということです。10ターン以内に敵を倒す必要があります。
加えて戦闘システムとしても、このターンという概念は重要となってきます。なぜならば、ターンが進行するにつれて、味方の強力なスキルがどんどん解放されていくからです。その一方で、敵の攻撃もターンが進むにつれて苛烈さを増していきます。
敵の強力な攻撃を上手くいなしつつ、逆にこちらの強力な攻撃を通していきましょう。

激しくなる敵の攻撃を捌くには、それぞれのキャラクターの役割を理解して活かすことが肝要となっています。
それぞれの使えるスキルは異なり、性質もまた個性があるため、そのターンでどういった立ち回りをするかを常に考えて行動しましょう。
たとえ格上の敵が相手であっても、立ち回りを見直せば勝機が見えてきます。

なお、一連の戦闘の合間にイベントで繰り広げられる、ノリが軽い掛け合いも魅力の一つとなっています。
ストーリーというよりは会話劇を楽しむことができるでしょう。

このゲームにおいては、あるターンが分水嶺となることが多く、一つ一つのターンが重要な戦闘システムとなっています。
ノリの軽いメンバーたちの役割を上手く捉まえて、チャンスを見極めて並みいる強敵を撃破していきましょう。

感想

10ターンバトルをどんどんやるゲームです。
タクティクスとついていますが、戦略性は半々くらいで、とにかく強い攻撃をぶっ放せれば勝てるイメージがあります。

難易度については、ふつうでもあんまり稼がずに進められる程度で、かんたんでは経験値が増えるらしいので恐らくよりサクサク進められると思います。
序盤のプリースト一人の時だけちょっと稼いだのと、後半の運エリアで何回か負けたくらいです。

ターンが進むとスキルが強くなっていくシステムは結構面白くて、5ターンくらいからこっちも動けて、相手の火力も上がって真剣勝負の様相を呈してきます。
最初は準備運動なので、4ターンくらいの序盤はあんまり重要性はないです。流しておきましょう。いっそ5ターン制の勝負でもよかったんじゃないかという気持ちもあります。

敵との戦いにおいては、こちらの総合的なレベルが5つ下でも、バフデバフを駆使すれば序盤から中盤にかけては割と立ち回れます。
このあたりの戦闘バランスはちょうど良くて、うまくスキルを当てていって倒していく楽しさがあります。

一方で終盤のバランスはだいぶ大味で、攻デバフを帯びた敵がひたすら単体に強攻撃して全回復から戦闘不能になってしまうなど、かなり行動の乱数に左右されます。
加えて大事なのは、敵が全体大回復を使わないことをお祈りすることです。これをやられると状態異常が消し飛ばされるので、色々立てていた戦略もおじゃんになります。勝負は時の運。

まず、こちらが取れる選択肢は割と戦略的で、色々な状態異常やターンの順番を駆使して立ち回れます。
その一方で、相手の行動が完全に乱数であり、それで容易に破壊されうるので、全体としては半々の戦略性という印象でした。戦略を立てないと勝つことは難しいけれど、戦略を破壊する運も存在しているかなという感じです。
特に召喚した雑魚が、召喚酔い無しで殴ってくるのはなかなかの理不尽であり、かつ理屈がよく分かっていません。たまに殴ってこないこともある。

戦闘面の最後の話になりますが、個人的に好きな技は反射技で、敵をあえてたくさん埋めた後に全反で沈めるのが、効率が良いうえに爽快感もあってお勧めです。
後は、一か八か、当たった瞬間にボスが沈んだのを見た時は笑いました。お願い技としての性能が高い。

システム面で言うと、序盤は一人プレイパートから始めてそれぞれの特色を理解し、徐々に人が増えていく設計が理解の助けになるので便利です。
ただ、途中から3人と1人に分かれる上に、一人パートもやらされるのは時間つぶしでしかないので若干面倒ではありました。最初は導入の意味を兼ねていますが、こちらはただの作業なので。自動的に裏でやっていたことにしてくれると嬉しかったかもしれません。

また、チュートリアルバトルが負けイベントなのが、撤退コマンドのことも知れるという意味では上手い構成だなあと思いました。惜しむらくは、このゲームの敗北と撤退にほとんど差はないので、撤退コマンドに意味がないということです。

なお、スキル習得に当たって重複が無いかを注意書きしてくれるんですが、そこは重複してたらキャンセルさせる処理をはさんでくれればいいのではと思わないではないです。
あるいは、そもそも対象者しか列挙しないという方法がありそうです。単純な全列挙だと面倒ですが、確かウディタには文字列変数を使った選択肢のハックがあったような記憶があります。

ストーリーは終始コメディ調で、大分明るい話になっています。掛け合いが緩いタイプ。重戦士が何一つとして擁護できるところがない以外は、割とまっとうな人たちだと思います。多分。
戦闘が10ターンで終わるテンポの良いものであるように、物語もそこまで重いバックグラウンドのない気軽に楽しめるものでした。