第15回ウディコン全作品レビュー - 煽り時計の誕生の旅

13. 煽り時計の誕生の旅

ジャンル 作者
分岐式ノベル んどどど
プレイ時間 プレイVer クリア状況
50分 1.04 読了

良かった点

  • 煽り時計にマスコット的な可愛らしさがあります
  • クリア特典がダウンロード式なのは面白かったです

気になった点

  • キャラクターの台詞と地の文で内容が重複していることが間々ありました
    • キャラクターが「電気工事の実習あったこと完全に忘れていたよ」と発言した後、地の文で「電気工事実習があることを完全に忘れていた」と書かれる、等
  • 煽り時計について、特別煽っていた印象はないので名づけの由来が気になりました

レビュー

煽り時計の旅を追体験しよう

煽り時計の誕生の旅は、煽り時計と主人公の少年にまつわるノベルゲームです。
煽り時計と呼ばれることになる喋る時計との交流、そしてあることを契機に始まる旅路を描いています。

ホームドラマのような温かなやり取りを軸に、物語はいくつかの場面の元展開していきます。
その中では、煽り時計のマスコット然とした一挙手一投足を見ることができるでしょう。

物語を読み進めていき、煽り時計の旅の行く末を見届けましょう。

感想

タイトル通り、煽り時計の旅を見届けるゲームなのかなと思っていました。パートとしては旅をしていると言いそうな時間は僅かかもしれませんが、あるいは拾われてから戻るまでのすべてが旅路ともいえるのかもしれません。

煽り時計の構造は時折気になっていて、鼻提灯出せるし、はさみ持てるし、コントローラを持ってゲームができるらしい構造になっています。どういうサイズ感なんだろう。
鼻提灯を出せるということは息をしているということなんでしょうか。この辺を考えるのは野暮なのかもしれませんが。コントローラを持ってゲームができるなら指があるのかいやしかし、みたいなことを考えながら読んでいました。

後は、この世界の母親はかなり起きている現象に対して素直で寛容でした。自分の子供が喋る時計を持っていて、一日でそれを理解したり支援したりしているの、なかなかに肝が据わっているというか受容能力が高いというか。良い母親ですね。

オイルショックと時計が売れなかった相関関係が不透明だったり、新幹線で時計を落とすほどの人ごみになるのかなと思ったり、プログラマーの説明がアバウトだったり、なんやかんや引っかかるところはあれど、その辺は多分オマケで言及されているあたりによるものなのかなと思っています。

個人的に気になっているのは句読点の位置とか、台詞と地の文のバランスとか、どちらかと言えばそういうあたりでした。
筆者もこのレビュー、特に感想では徹底できてない所はあるんですが、句読点はダイレクトに読みやすさに影響を与えるので、長い文章を読むことになるノベルでは結構気を遣った方がいい分野なのかなと感じています。句読点がない長い文章、意味をとるのも難しい上に、結構文字による圧迫感もあるので。演出としてそういう意図があるなら構わないとは思います。

序盤あたりから抜粋すると、「こんな、コーナー初めて見たなぁ」の句点がある一方で、「誰も居ないし何も動かしていないのに」あたりに句点がないのは違和感がありました。「いいか、煽り時計しっかりと俺の~」あたりもでしょうか。
「こんな」がかかっているのはコーナーなので、この間に句点が入るのは違和感があったのと、中者は長い文章だったのでどこかに句点が欲しい気持ちになりました。後者については、文の区切り的には煽り時計の後ろに読点が入るか、「いいか煽り時計」までつなげて句点でもいいような気もします。呼びかけを明示化したいのなら、いいかの後に句点があるのが適切っぽくもあります。

地の文については、キャラクターの台詞の繰り返しがちょっと見られていて二度手間に感じることがありました。上記以外にも、「アメ ヤムマデ マツ」の直後に「雨が止むまで待つことにした」とかも該当します。
多分、地の文をそこからつなげるための役割があるんだとは思うのですが、その場合は台詞側をバタバタして何か探しているだけのものにするなどすればバランスが取れるかもしれません。

ちなみに筆者は物書きを嗜んでいたことはありますが、別に文系出身とかではなくバリバリの理系なのであんまり正しくないことも言っているかもしれません。ここまでのことは話半分で良いと思います。
さらにここからは個人的なお勧めになりますが、こういう文章の見直しをするときはボイロが便利です。入力した言葉をしゃべってくれるので、何となく違和感があると気付きやすいです。誤字脱字もチェックしやすい。

宣伝になって感想でなくなってしまったので閑話休題。
クリア特典がダウンロード式になっているのは面白い試みだなと思いました。ZipのパスワードとかURL提示は見たことあるんですが、確かにこれなら何が降ってくるかもわからないし、手に入れるのはゲーム内で完結していて楽ですね。

最後に、このゲームの一番の謎は煽り時計の名前の由来かもしれません。そんなに煽ってましたか。
加えて言うと、誕生の旅でもない気がしてきました。いや、煽り時計の旅をゲームとして作ったそれ自体は誕生の旅と見なすべきなのかもしれません。その場合は、煽り時計がここまで辿った道筋それ自体が煽り時計というキャラクターの誕生の旅と解釈すればいいんでしょうか。