第15回ウディコン全作品レビュー - BerriesWitch
34. BerriesWitch
ジャンル | 作者 |
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果実育成SLG | たう |
プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
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2時間 | 1.08 | クリア |
良かった点
- 素晴らしく、またゲームらしい遊び心のあるUIでした
- 引継ぎ要素の塩梅がちょうどよく、気軽にリトライして進められます
- 交配を繰り返して自分なりの最強果実を作っていくのが楽しいです
気になった点
- ゲームオーバー時、全ての果実は売る以外にないので、次の周回を始めるタイミングで自動売却してほしい気持ちになりました
- ロックを外して一括売却するコマンドがある、というのでも良いかもしれません
レビュー
交配を繰り返して自分だけの果実を作ろう
BerriesWitchは、種をまき果実を育てては交配して、美味しい果実を作り上げていくシミュレーションゲームです。
シナリオ進行の壁として立ちふさがる品評会を勝ち抜くためにも、よりおいしい果実を作るという目標を目指すことになります。
ゲーム画面 |
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まずは農地に種を植え、成長させることで果実を収穫することができます。そうして収穫した果実を組み合わせて植えることで、その親の性質をある程度引き継いだ果実が作れるようになります。この交配を繰り返していき、より良い性質の果実を作っていきましょう。
ただし、果実の性質を飛躍的に上昇させるには、交配だけでは足りません。品質の更なる向上には魔法が不可欠です。
植えた農地にんは二つまでの魔法をかけることができ、これが収穫できる果実の性質に強い影響を与えます。果実の伸ばしたい方向が決まっていたら、積極的に使うのがお勧めです。
魔法は魔法石を消費することでランダムに手に入り、魔法石は果実の売却によって得られます。交配に使わない余った果実は売却し、より良い果実を作る魔法のための基盤としましょう。
これらの行動を一定回数繰り返した後、育てた果実のうち四つを持ち込んで品評会に挑むことになります。
品評会は、審査員の欲しい性質の果実を推測し、それを料理して提出するQTEとして表現されています。その中で、使った果実の品質の良さや好み、そしてQTEの結果も加味して加算されていくスコアを競うことになります。周りの誰よりも高いスコアを取ることが目標なので、良い果実をセレクトし、QTEを成功させて突破を目指していきましょう。
なお、負けても三度まではリトライできるので、下振れてしまっても安心です。それでも勝てないなら果実の力不足を意味するので、大人しく一から出直しましょう。一から出直す場合は魔法と魔法石を引き継げるので、二週目はより良い果実を作りやすくなっています。
適切に交配し、魔法を適度に使っていけば、高いレベルの果実が作れるようになってきます。原則、子は親より良い性質を持つため、これを繰り返せばよりハイレベルな果実を作るのも夢ではありません。
品評会という制限時間もある中で上手く交配を繰り返していき、品評会で勝てるような自慢の果実を育てましょう。
感想
個人的今ウディコンUI大賞受賞作品です。それくらいにUIが良い。
UIの良さは主に使いやすさにあるとは思っているんですが、そこを当然のように担保しつつ、ゲームとして遊び心のある演出が仕込んであるというのが良いポイントです。右上に出現するUIがちゃんと戻る時にアニメーションするような、細かいところまで配慮の行き届いた動きをします。
ゲーム性もUIと強く紐づいた操作から成るものとなっているため、この動かしていて気持ちの良いUIはかなり強い効果を発揮していました。良いタイプのソシャゲみたいな感じ。
ゲームとしても交配を繰り返して果実を作っていくのは楽しく、適度に品評会という目標が設定されるのもあって目的意識を持ちつつ進めるこがもできます。
品評会までの日数は割と短く、そういう意味でもリプレイ性は高いので、ミスっても1時間かからずに最終品評会までは辿り着けそうなのも良いところです。
リプレイ性については、魔法石の持ち越ししかないというのが良い塩梅の引継ぎ要素となっています。
魔法は極めて重要なので、これを引き継げると確かに強力な助けとなります。その一方で、ゲームの本質はあくまで果実なので、そこは最初から育てていく必要があります。
本質を補佐する要素を引き継ぐことで、確かに便利になった実感を得つつも、遊びとしては初めから楽しむことができるようになっています。成長の頭打ちもケアした、良いリセットでした。
個人的な攻略の印象としては、二種程度に絞ったうえでガンガン新しいのに差し替えていくのが効率良さそうに感じました。クリア時のプレイでは味を多種類揃えて挑みましたが、持ち込みが四種に限定されることもあってあまり効果的ではありません。結局は、自分の考えた最強の果実を叩きつけるのが一番強いです。
Lv4くらいの果実ができたら品評会で勝てるラインに乗っていそうなので、あとは頑張ってQTEをこなせば勝てます。エクセレントは絶妙に難しい。
三回リトライさせてくれるのも嬉しいところで、下振れをキャンセルしつつ上振れを狙える良いチャレンジ回数となっていました。三回挑んで負けた場合、果実の力不足であるという諦めをちゃんとつけることができるのが良いですね。
ストーリーについても、シンプルなゲーム性を妨げることなく、テンポを損なわない範囲で役割を振られたキャラが明快に動く、気持ちの良い成長物語となっていました。
その上で周回前提で配慮されているところもあり、徹底してゲームに付加価値のみを提供するものとしての役目を果たしています。短編としてちょうどいい。
最後の最後に果実撮影会のための時間が用意されていて、ここで各プレイヤーごとの果実を拡散できるようになっているのも良いんですが、その時間で手動で売却していくのは少し面倒でした。
自動で売り切ってくれるのでもいいですし、一括売却コマンドでもいいんですが、何らかの方法は欲しいなと感じていました。翌週ボタンで自動売却が一番プレイヤーの手間は無さそうですが、分かりにくくはあります。一括売却も普段は邪魔というのもあって難しいかもしれません。
とにかくゲームに集中できるUIと、それを阻害することなく補佐していく要素の整い方が良く、必要な要素が整頓されたゲームという印象を受けました。ゲームとして綺麗にまとまっています。
尖った要素を享受して楽しむゲームもあれば、安定した楽しさに浴するゲームもあり、こういった様々なゲームがあるのがフリゲの良いところだなとつくづく感じ入っています。