第16回ウディコン全作品レビュー - 赤の騎士と青の魔法使い
18. 赤の騎士と青の魔法使い
ジャンル | 作者 |
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RPG | ろくぞう(n2_063) |
プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
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3時間 | 1.07 | 全END/イベント |
良かった点
- 人間らしいキャラクターによる良いドラマ性があります
- イベント色強めでRPGを楽しむことができます
- ゲーム性に緩急が付いていました
気になった点
- サブシナリオの謎解きがやや理不尽です
- ただしその分、解かなくても影響がないようになっていました
- 人狼化の戦闘がやや大味すぎるように感じました
- あるいはアンが役立たずに過ぎるように感じました
レビュー
シナリオメインのRPG
赤の騎士と青の魔法使いは、探索要素やイベントが豊富なRPGです。
ゲームの進め方は、ダンジョンで戦いを潜り抜け、階層ごとに発生するイベントで物語が進行していくオーソドックスなものとなっています。
攻略にあたって避けては通れない戦闘はシンプルでありながらも、多勢に無勢となると攻撃の受け方を考える必要のある難易度となっています。敵の種類やその行動を勘案し、上手く受けるか攻めで頭数を減らすかを適切に選べなければ、集中攻撃を受けて敗北を喫することもあります。
ゲームが進行して主人公たちが充分強くなるまでは、彼我の戦力差を見極めて気を付けて戦う必要があるでしょう。
そして、このゲームの主眼は、そうした戦いを経て進行していくシナリオにあります。
主要なキャラクターたちが織り成す物語はドラマ性のあるものとなっており、ゲームの進行を強く牽引していきます。加えて、物語における関係の変化はゲーム性それ自体にも影響を与えていくため、相互作用的なゲーム進行を味わうことができるでしょう。
なお、シナリオは過去作の続き物という形を取りますが、必要な情報はあらすじとして開示されるため、この作品から始めても問題はありません。
また、メインシナリオもさることながら、サブイベントが充実していることも見どころの一つとなっています。
王都の様々な場所で巻き起こるサブイベントは推理要素や探索要素が強めとなっており、王都中を奔走してその解決を目指すことになります。
メインシナリオの箸休めに見てみるのも良し、発生した瞬間から挑むも良し、自分の好きにゲームを進めていきましょう。
感想
RPGって別に戦闘だけが主役じゃなくて、イベントを通した体験もまた本願だよね、という気持ちにさせてくれるRPGです。
メインルートでも戦闘が絡まない長期間のイベントがあり、探索っぽい要素と戦闘で進んでいくダンジョン要素が交互に発生します。
サブイベントもそこそこあり、王都をくまなくうろつくことで進行していくこともできます。メイン進行やエンディング分岐に影響しない設計なので、本当に好きな人だけリーチすれば良い設計なのも良いところでした。
ひとまずシナリオ面の話をします。前作の内容があるらしいとはいえ、ある程度のあらすじと情報の開示は行われるので、それほど気にはなりません。
内容としては、かなりちゃんと人間ドラマを描いていて、だいぶ人間らしいキャラクターたちの物語を味わうことができます。特に主要キャラクター群の人物描写がだいぶ人間臭いことが作用して、ドラマ性が上手く演出されていました。
エンディング分岐の内容も含めて、最後どうなったと解釈すべきかは人によるところがありそうには感じます。筆者個人の感覚的には、人格の統合というか受容が行われた形なのかと思ってはいました。
胡散臭いおっさんの言とはいえ、一応人狼病は治った扱いになっているので、それは人狼ではなくただの彼という状態に落ち着いたのかなという解釈です。治ったことを全面的に信用した上で、ラストバトルの演出を加味した考えなので、どの辺の情報に信頼を置くかで解釈は変わりそうですね。
後はサブイベントなんですが、全体的に難易度の高い謎解きになっています。
というか、ボールス氏殺害は本当に分からなかったのでヒントを全部見ましたし、見た上で何も分からないので全探査しました。クリアした今でもピンときてません。何ならベールしていることが不審でない占い師が犯人なのかとにらんでました。
超甘党くらいの癖なら町中のそこかしこにいそうなので、せめてボールス氏がその人物を飲食店で見つけたと思しき情報くらいはないと一意に定まらない気はします。見逃していただけであったのかな。
また、運が悪くて癖の強いおじさんも、最初は迷宮でずっと魔物に襲われていたハゲだと思っていました。運悪いし口調の癖が強い。
残りの戦闘や探索パートについては、途中まではそこそこリスクのある戦いができます。ただ、人狼化が入ったところから、割と大雑把なバランスになっていきました。
作中でも言及されるんですが、ランダムで出てくる人狼頼みの戦いにどうしてもなりがちで、ひたすら防御をし続けて人狼待ちにするのが最適解になってきます。
こうなると、せっかくアンが仲間になっても邪魔な印象を受けてしまいました。正直、超回復してくれていた時の方が役に立ちます。ただ、そこはシナリオ側の要請で氷を解かすフェーズを作ることでちゃんと意味を持たせているのが上手いところでした。RPG的には弱くなりましたが、必要な行為ではあるという納得はできます。
個人的に好きなところとしては、後半のステージをぶっ壊して進められるところです。
最初は少し入り組んだ洞窟を緊張感をもって敵を倒しながら進んでいたところを、後半は敵を無視して掘り進み、敵は人狼化でなぎ倒して進んでいくことになります。この緩急が良い。
そうなってくると、人狼化の導入で大雑把になる戦闘も緩急の一つとしてみなせるのかもしれません。
しかし、自由の民、その思想だと子孫繁栄しなさそうなんですが、どうやって存続してきたんでしょうか。
それとも存続は半ば絶望的で、ゆるゆると絶滅に近付いているんでしょうか。なんとなく後者な気もします。