第16回ウディコン全作品レビュー - 鶏空を舞う
19. 鶏空を舞う
ジャンル | 作者 |
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シューティング | スミスケ |
プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
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40分 | 1.03 | クリア |
良かった点
- 付かず離れずの空戦という独特なシューティングが楽しめます
- 緩いグラフィックと世界観がユニークでした
気になった点
- 被弾や攻撃のエフェクトが分かりにくく感じました
レビュー
感じるままに逃げ、感じるままに撃ち落とせ
鶏空を舞う は、回避を主体とした空戦を行う独特なシューティングゲームです。
移動と加速を駆使して敵機の攻撃を凌ぎつつ、全機を撃ち落とし切るとステージをクリアしたことになります。
敵機を安全に撃墜していくには、自機と敵機のスペックを大まかに把握することが重要です。
敵機は一定範囲内に入ると迎撃を始め、その範囲から更に近付くと自機に弾が届いて被弾してしまいます。このため、無傷で仕留めるためには、付かず離れずの距離を保ち、相手の弾が切れたタイミングで攻撃を仕掛ける必要があります。
なお、プレイヤーが駆る機体もまた一定範囲内に入ると自動で迎撃を行うものとなっているので、これらの駆け引きは移動と加速による彼我の距離調整だけで成り立っています。加速はリソースを消費するため、緊急脱出や引き離しなどの使い所を上手く見極めていきましょう。
そうして敵機を撃墜してステージを攻略するごとに、自機のパラメータを強化することができます。
速度を上げて回避しやすくするのでも良いですし、攻撃範囲を広げてより安全に戦うことを指向しても構いません。徐々に難易度の高くなるステージに対応するためにも、自分のプレイング、あるいはステージの傾向を見極めて、より良いカスタマイズを目指しましょう。
そうした独特なゲーム性に加え、空戦を彩る緩く特徴的なグラフィックもまた魅力の一つです。
その緩い世界観とグラフィックの中で、苛烈な攻撃を凌いで敵機を撃墜していきましょう。
感想
どうでも良いことから感想を始めるんですが、最初はこのタイトルを「けいくうをまう」と読んでいました。しかし、タイトルを見た限りでは「にわとり、そらをまう」と読みそうだなと薄々感じて、エンドロールで確定するという運びになりました。よく考えたら鶏空なんて言葉は造語であっても意味分かりませんね。鶏に毒されていました。
閑話休題。シュートしなくて良いシューティングというかなり特殊なタイプのゲームです。かといって、全部オート追尾弾で回避に集中するタイプでもなく、攻撃範囲と起動範囲が事前に双方定まっていて、そこの出入りによるヒットアンドアウェイを繰り返す、というアクションっぽい仕上がりになっています。
ただ、筆者がこれに気づくのは割と遅れていて、ステージ2の途中でうっすらと把握し、最終ステージ間際でようやく戦い方をマスターしました。遅すぎる。ステージ1ではアクセルで逃げれば攻略できてしまうこともあって、最初はそういうゲームと勘違いしていて、ステージ2でひたすら逃げまくっていたあたりからおかしいとようやく感じました。不覚。
ただし、ルールが分かっているからといって簡単なわけではなく、相手の攻撃範囲も索敵範囲も分からないどころか、こちらの攻撃範囲すらも表示されません。なので、なんとなくここまで近付いたら撃ってきそうだなあたりへのチキンレースと、その時の距離を感覚的に把握する能力が必要になってきます。
パラメータからして具体的な数値は全く登場しないので、全てがフィーリングで完成されているようなゲーム性でした。考えるんじゃない、感じるんだ、を地で行くゲームです。なんとなくこんくらいの距離で加速ボタンをこれくらい押してると良い感じに空撃ちしてくれる、を探りましょう。
グラフィックについてはかなり良く、緩い世界観と無骨な戦闘機が共存しています。かなり唯一無二な雰囲気が醸されていました。
個人的に好きなのは撃墜された自機を必死に修理して直す絵面で、連打して必死に耐えようとする自分とシンクロするのが良かったです。連打しつつ頑張れという気持ちになりますね。
後は、映画の最後みたいなエンドロールの終幕がだいぶ良くて、雰囲気が最後にビシッと締まったような印象を受けました。演出も含めてそういう銀幕っぽさがすごい。
ただ、エフェクトとSEがどちらの攻撃結果であり、どちらの被弾結果なのかが一瞥して分かりにくいのは気になっていて、ここの分かりにくさが仕組みの把握の阻害をしていたような印象を受けました。
細かいところだと攻撃エフェクトが前方にあるのに、システムの都合上大体後ろに攻撃することになってしまうあたりの不整合も気になります。機銃は戦闘機なら下にありそうなイメージもあるんですが、元ネタが違うんでしょうか。
個人的には、割と変わったシューティング体験である上に、その要素一切がパラメータっぽくなくフィーリングで作り上げられているというのが人によってはとっつきやすく、人によってはとっつきにくいものとなっているんだろうなとは思います。
数値に安心感を覚える筆者のようなタイプは明示されていない仕様を探ろうとして変に苦労すると思うので、本当に何も考えずに感覚的にプレイするのが良いのかなと感じています。最後はちょっと苦戦するかもしれませんが。