第17回ウディコン全作品レビュー - 禍流転 -MAGARUTEN-

06. 禍流転 -MAGARUTEN-

ジャンル 作者
探索ADV 餓鬼郎党
プレイ時間 プレイVer クリア状況
1時間30分 1.00 クリア

良かった点

  • 前作から変わらず良いキャラクター性をしています
  • 短編として、シナリオが綺麗にまとまっていました
    • 構成の完成度が高いです

気になった点

  • シナリオ都合上、やや手間のあるパートがありました
    • ただし、物語上の必要性は感じています

レビュー

お馴染みのあの人

禍流転 -MAGARUTEN-は、オーソドックスなシナリオメインの探索アドベンチャーです。
不吉な言い伝えの残る温泉地に向かう主人公たちを操作して、物語を進めていくことになります。

ホラー系の探索アドベンチャーとしては堅実な設計であり、要所でセーブを促してくれる親切なシステムも搭載されているため、それほど詰まることなく進めることができるでしょう。加えて、物語もまた短編として綺麗にまとまっています。情報開示や伏線の張り方が巧みであるため、飽きずに最後まで遊べること間違いありません。
このように短編として非常に良質なものでありながら、しかしこの作品の最大の特徴はそこではありません。それを上回る印象を植え付けられる、物語に登場するあるキャラクターに総括されると言えるでしょう。その強烈な個性はともすれば反発を覚えるかもしれませんが、読み終えてみると何故だか愛着を覚えてしまうこと疑いありません。

なお、全体を通してホラー風味の物語展開をしていく作品となっていますが、脅かし要素はそれほど強くなく、コメディ寄りの展開が多い物語となっています。カジュアルな雰囲気で物語を味わっていくことができるでしょう。加えて、そのシナリオ自体は強力なキャラクター性を軸に回しているものですが、プロットそのものはどこまでも手堅く設計されており、その相乗効果でよりいっそうキャラクターの個性の強さが印象付けられる設計となっています。
可能であれば前作をプレイしておくとより楽しめますが、まずこの作品から始めてもそれほど支障はありません。是非とも、B級ホラー風味のメンヘラヤンデレ恋愛アドベンチャーゲームを遊んでみましょう。

感想

馴染み深くなってきたミサオ軸の作品です。安心感を覚えるとも言えますし、恐怖を感じるとも言えるかもしれません。もはや、ウディコンでウルファールたちの次に良く見るキャラクターになりつつあるのではないでしょうか。ゴリラと競るレベル。
閑話休題。個人的には、これまでのシリーズの中で一番物語が好きでした。展開の構成とその完成度がかなり高いように感じています。序盤の伏線の張り方や、ループパートにおける情報の出し方や、どんでん返しを繰り返していく展開の仕方など、そのあたりが巧みなものとなっています。
ミサオという強烈なキャラクターの印象にシナリオが塗りつぶされそうなところを、登場タイミングを上手く調整することで緩急をつけているところが特に推しのポイントです。ミサオの威力を貯めておいたおかげで、最後に全部持っていく展開がオチとして綺麗に作用しています。ミサオがヒロインだからこそなせる業。

なお、今作は比較的ちゃんとした命の危機があり、さしものミサオの狂気もしばらくは鳴りを潜めているように見えます。ミサオは特殊なケースでは頼りになりますし、場面や状況によってはそれほどの悪意が無いように感じられるということが分かりました。時と場合によっては、ちゃんと青春劇めいた展開をやってくれることに、感動をすら覚えていました。
これまでの諸々や最後のアレを含めても、ミサオがいなければ死んでいたであろう場面も少なくないことを考えると、主人公にとってはトータルでメリットが勝つのかもしれません。本当にそうだろうか。最後のアレがあまりにもアレなので、この辺の価値判断は難しいですね。

結局ミサオの話に終始しそうなのでゲームの話に戻ると、探索アドベンチャーとして堅実な作りになっています。シナリオを阻害しない程度に要素を散りばめ、ある程度はインタラクティブに遊ばせつつも、必要な所ではシナリオが主張してくるといった良い塩梅です。
ループパートに関してはシナリオ上の要請を重視しているためか、学校への移動すらスキップされないという手間はあるのですが、それ自体が伏線や違和感にも繋がっているので必要経費な気もします。体験させることも大事ですからね。

それにしても、これでウェディングを迎えたということは、いよいよミサオも見納めなのでしょうか。少し寂しいかもしれません。また良い感じに別居して、新たな事件に巻き込まれてほしいものです。おまけ部屋を見た感じでは、何だかんだ丸く収まっているような気もしないでもありませんが。
これは余談ですが、掛け軸の四字熟語は後で謎解きに使うのかなと思って眺めていたんですが、結局意味はなかったようです。「餓鬼郎党」があった時点でさもありなん。
さらに余談ですが、おまけと今作の町の作りを見て思い付いたことがあったので試してみたところ、何とは言いませんが成功しました。ウディタの頑強性を感じます。