第17回ウディコン全作品レビュー - 夢遊猫ミステリウム
08. 夢遊猫ミステリウム
| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| ノンフィールドRPG | 明野 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 10時間 | 1.01 | Ex-1 |
良かった点
- パーティーやスキルでシナジーを考える楽しさのある作品でした
- 歯応えのあるボスのおかげで、対策を取る必要に迫られています
- 装備を人数分買わなくてよいなど、パーティ編成にだけ集中できる便利なシステムが搭載されています
- 王道的な良いシナリオ展開でした
気になった点
- 各キャラクターのスキルを把握する手段に乏しく感じました
- 現状ではキャラクターごとに2手かかるので一括で把握しにくい印象があります
レビュー
最適な編成を目指して
夢遊猫ミステリウムは、パーティを編成して敵を倒していくノンフィールドRPGです。
ウェーブ式で出現する敵を倒しつつ、最奥にいるボスに挑んでいく形式を取っています。
しかし、この作品が採用しているのは単なるRPG的なコマンドバトルではありません。射程、範囲を核とした攻撃が特徴的な、位置を軸にした独特な戦闘システムとなっています。
各スキルには射程や範囲が存在し、自身が現在配置されている位置から射程より離れていない敵を選んで狙いを定め、それを中心として範囲にいる敵全てに攻撃を与えます。射程や範囲が長い攻撃であれば敵の位置が反対側にあっても当たりますし、短いなら真正面にいないと当てられません。
それ故に、戦闘においては位置取りが最重要な要素となってきます。1ターンに1度だけ左右移動ができるため、これを上手く使って位置を調整することが肝要です。加えて、相手もこのルールに則って行動するため、移動は攻撃にも防御にも使うことができる行動となり得ます。相手の射程から離れるも、自分の射程に捉えるも、状況に応じて判断していきましょう。
また、戦闘はターン制ではなく、TPと呼ばれるパラメータを軸として行うカウントタイムバトル的なものとなっています。TPが満タンになると行動できるようになり、TPを消費してスキルを撃つという具合です。消費TPが少ない技は弱い分次のターンが早く回ってくる一方、消費TPが多い技は威力が高い分待ち時間も長くなってしまいます。いつどのスキルを発動するか、適切な行動選択が肝心になってくるでしょう。
とりわけ、ウェーブをまたぐときは注意が必要です。ウェーブを終了してもTPは引き継がれるため、大技を連発して敵を倒してしまうと、次のウェーブで敵から一方的な攻撃を受けてしまいます。次の戦いまで見据えた行動選択もまた重要となってくるでしょう。
特に強力なボス相手に勝利を収めていくには、こうした戦闘システムを上手く活用することは欠かせない要素となります。しかし、それと同程度には事前準備も大事な要素であることを忘れてはいけません。
その準備の一歩目として、パーティー編成が肝要になります。プレイヤーは何十にも及ぶ多数のキャラクターを仲間にすることができ、その中から4体を選んでパーティを編成することになります。それぞれのキャラクターは専用のスキル、ステータスを持っています。バランス良く編成しても良いですし、特化しても良いですし、特定のスキル間でのシナジーを狙っても良いでしょう。自分の思い描く戦略を実行できるように、思い思いの編成を行いましょう。
次に、それぞれのキャラクターに装備させるアイテムもまた重要なものとなっています。最大7つの装備枠を上手く使い、めいめいの欠点を補ったり、より尖らせたりと、戦略に応じてそのステータスや耐性を底上げしていきましょう。
最後に、別のキャラが持つスキルを一つだけ習得することができる伝授というシステムを外すわけにはいきません。パーティに編成できるのは高々4体ですが、それぞれに伝授できるスキルは他の数多のキャラが持つスキルのいずれかから選択するものであり、その組み合わせは無数に存在しています。この組み合わせ如何によって、無限のシナジーが生まれることになるでしょう。
とりわけ中盤以降激化していくボスを含めた強敵に挑むためには、十分なシステムへの理解から出力されるアドリブと、より考え抜かれたパーティ編成が必要になってくることは間違いありません。また、勝利のためにはボスに合わせてメタを張るような戦略も必要になってくるかもしれません。
そのためにも、まずはボスの挙動や性質を観察することが重要です。何度も挑んでは動きを知り、それを突破する計画を立てていきましょう。
無数の選択肢から自分なりのパーティを構成し、自分なりのビルドとプランでボスに挑んでいく、準備にも実行にも高い戦略性を伴った作品となっています。スキルのシナジーを取るでも、ステータスや火力で殴るでも、とにかく自分の考えた戦略を実現できるパーティを編成し、並みいる強敵を打破していきましょう。
感想
個人的に好きなシリーズであり作者さんなので、ウディコンでまた出会えたことに喜びを感じています。5年ぶりくらいでしょうか。
毎回面白く攻略の歯応えのある戦闘システムが用意されていて楽しめるんですが、今作もそれに違わず楽しかったです。
個人的にはこのゲームの面白さの根幹は、制限されつつも極大の自由度を得られる仕組みである、他のキャラクターの技を一つだけ習得できるというシステムにあるのではないかと考えています。このシステムによってキャラクター育成の可能性は無限に広がっており、どういったシナジーを組むのかを常に考えていく楽しさが生まれています。
その上で、技のシナジーを取るのはあくまでも推奨項目でしかなく、殴りを優位に置いてもある程度は勝てる難易度バランスで進んでいくのも良かったです。選択肢が少ないとはいえ、慣れていない序盤から中盤はこの傾向が顕著で、あまりシステムに慣れていなくてもそれなりに強引に突破できるようになっています。
一方で、終盤にかけては難易度がどんどん上がっていくため、きちんとしたパーティ構成を考えないと勝利は難しくなってきます。基本的に相手の火力がかなり高いので、ジリ貧はかなり厳しく、できるだけ早く火力を取れるようにビルドできると嬉しいためです。脳筋ビルドでも良いんですが、そうなると耐久がもろくて負けます。とはいえ、回復による耐久も終盤になってくると追いつかなくなりがちでした。
さらに、最終盤までくるときちんとメタを張るくらいのことをやって五分くらいの難易度になっています。装備でもキャラクターでも、とにかくうまく相手の行動に対する回答を用意しつつ、相手が逆に取ってくるメタ戦略を返せるように編成する必要があります。これを考えるのが楽しい。
ちなみに、ボスがどういう攻撃をしてきたかが分かりにくいことは間々あるので、攻略の際はバトルログを見るのがお勧めです。とりわけ負けそうになった時は確実にチェックするのが推奨。
ただし、個人的にはそうしてシナジーを考えることがやや難しいUIだとは感じています。シナジーを考える上では特技が非常に重要になるんですが、パーティ編成でこれを見るのにはサブキー、技選択で2手かかります。理想を言えば常時左側に出してほしいくらい重要な情報ですが、せめてサブキーを押したら見られるくらいが良い気がしています。
というのも、このゲームではチャプターごとに技が増えていくので、それの把握が非常に困難なためです。シナジーをちゃんと組むならすべての技を把握したいですが、それをやっていると時間がかかりすぎます。加えて、ローグライトデッキ構築系のゲームでよくある技を押し付けられて性能を眺めるような時間も特にないので、ほとんどの技に触れずに進めることになってしまいます。
ボスに負けると大体パーティー構成を見直す必要があるんですが、この時にちゃんとしたパーティを考えるのが上述の問題によりやや億劫な印象もありました。それもあって、序盤は割と殴りメインの方が手間もなく安定している側面はあります。
システム面で言うと、装備を人数分買わなくてよいというのはかなり発明的でした。キャラが多すぎてそれぞれ持たせておくのも大変というのもあるんですが、そもそもパーティー人数分すら必要ありません。また、個人的に一番良く思えたのは耐性防具を大量に購入しなくて済むという点です。耐性で上手く対応するボスとやる時に人数分同じものを用意するのは割と無駄に感じていたので、それがスマートに解決されたように感じました。
また、システムが順次解放していく設計なのも良い所です。独特なシステムを取っている分、覚えることが少しずつになっているのは助かりました。筆者は過去作をプレイした経験からある程度形式に慣れているとはいえ、攻略の仕方はまた変わってくるので。
なお、筆者の攻略は以下のように進めました。
序盤においては、先述の通り火力を正義としつつも、ボス戦では回復による持久戦をにらんだ構成としていました。主人公がひたすら火力を盛り、残りがサポートするイメージです。
しかし、お姉ちゃんが持久戦を刈り取るための形をしていたので、ここで一つ目の転換点が発生しました。攻撃が絶え間なく飛んできて、そのままやっているとジリ貧で負けます。
これを打破するために、さらに攻撃役を一人追加して火力を盛る方向性で解決しました。その後に出てくる回復を刈り取るタイプも同様の方法で撃破しています。火力は正義。
その後の強制離脱を経て、メンバー編成を考えていたところ、試しに入れてみたアットゥアの印象が良かったので使うこととしました。防戦一方になってもちまちま削れる毒、中範囲をカバーして雑魚戦で活躍する各種状態異常、タスキ効果を付与する技、オス相手ならノックバック付きの強力な攻撃など、サブアタッカー兼サポートとして優秀でした。ステータスは低いんですけどね。
そして迎えたラスボスが極めて強く、発狂で飛んでくる連続魔法攻撃に瞬殺されて成す術もなく敗北を喫していました。色々と考えた上で、結局は直前に防御を引き上げた上で一気に殴り込みをかけることでギリギリ突破するという戦略を取って撃破しています。やはり火力は正義。シンラの全体蘇生に委ねて、死にながら戦うゾンビと化していました。アイテムを使うと思ったより耐久出来るのもポイント。
なおExについては、1つ目だけクリアしているんですが、これもまた面白かったです。仲間にぶち当てつつ全体攻撃を行うという初見殺し性能が高い技を持っていてあわや全滅と言ったところでしたが、運よく生き残ったおかげでギリギリの勝利を掴みとることができました。アットゥアのスーパーフングスが高火力単発型にぶっ刺さっているので、この辺は相性な気がします。
ともかく、このようにボスと戦っては敗北し、シナジーや戦略を見直してなおギリギリの戦いの中で勝利を掴みとるというループが非常に楽しい作品でした。本当はもう少しシナジーを研究したいんですが、微妙に誰が何を持っているか把握しきれていないので躊躇しています。攻略Wikiとかないかな。
しかし、最初に公開されるキャラの2/3がちょっとスケベなゲームというのも珍しい話です。まあそういうデザインと言えばそうなのかもしれませんが。
一方で、そういう流れでありつつ、シナリオ自体はかなり王道なのも良いところです。癖が出てるところもありはするものの、フェリブレスト周りにおけるシナリオは芯を外さない王道的展開で攻略のモチベーションに繋がっていました。これに勝てないとハッピーエンドは望めませんからね。