第17回ウディコン全作品レビュー - 月神決戦弾
14. 月神決戦弾
| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| シューティング | えばぐり |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 40分 | 1.00 | 1周目クリア |
良かった点
- 多彩なボスのグラフィックと、それに相応しい美しい弾幕が展開されていました
- 魔法陣というシステムが秀逸でした
- カスタマイズ性の担保、救済措置、上級者向けのレベリングと用途が多岐に渡ります
- UIが見やすく、直感的に理解しやすかったです
- 自機周辺に必要な情報が過不足なくまとまっていました
気になった点
- Vキーのボムが物理的にやや遠い印象がありました
- 設計上仕方ありませんが、誤ってCキーの魔法陣を押しがちです
- このゲームではボムより魔法陣を運用したいケースの方が多いので、妥当ではあります
レビュー
難易度自在の弾幕シューティング
月神決戦弾は、敵弾を回避してステージを進み、ボスを撃破して進行するオーソドックスな弾幕シューティングです。
基本的には横スクロールのシューティングとして抑えるべき点を抑えたシステムでありつつも、いくつかの独自のシステムが搭載されている作品となります。
とりわけ重要であるシステムとして、魔法陣が挙げられます。Cキーでいつでも展開することができ、特殊な固有の性能に加えて展開中は被弾によるダメージを抑えることができる機能となっています。回避の難しい弾幕に襲われた際は、ひとまず魔法陣を展開することになるでしょう。
しかし、魔法陣はただ無思考に展開すればよいというものではありません。魔法陣を展開することで、時間と共にMPと呼ばれるパラメータが少しずつ消費されてしまうためです。このMPはダメージを受けた時に消費されるものと同じであり、欠乏するとゲームオーバーになってしまいます。このため、必要な時に必要なだけ展開し、被弾を抑えるというのが重要になってくるでしょう。
また、魔法陣を展開する際に追加で得られる性能については、挑戦する前に選択することができます。
素早い弾幕が苦手であれば展開中の弾速を抑えるスロウ、画面を埋め尽くすタイプの弾幕が苦手であれば自機狙いに変えるチャーム、とにかく避けるのが苦手であれば狭い範囲で弾丸を消すバニシング、腕に自信があれば自機の火力を上げるブーストと、それぞれのプレイスタイルに合わせて好きな魔法陣を使っていきましょう。
このように攻略における重要な立ち位置を占める魔法陣ですが、回避に集中している間に魔法陣を展開するほど思考に余裕が無いという方もいるかもしれません。そんな方でも、オート魔法陣を使うことで、デメリットはありますが被弾直前に自動で魔法陣を展開してくれるようになります。慣れていない方は、積極的に活用しましょう。
反対に、慣れてきた方はMPがある限りできるだけ魔法陣を展開し続けることで、ランクを上げていきハイスコアを目指していくのがお勧めです。ランクの上昇に伴い難易度も上昇するため、歯応えのあるシューティングが楽しめることでしょう。
初心者でも上級者でも、ハイスコアを目指して難易度を調整する上でも、魔法陣は欠かせないシステムとなっています。自分の腕前に合わせて適切に運用していきましょう。
そうして魔法陣を活用して弾幕をいなし、ステージを進むと現れるボスもまた本作における魅力の一つとなります。
オリジナリティの高いグラフィックで表現された多彩なボスと、それに合わせた多様な弾幕の数々は、ただ見ているだけでも美しいものとなっています。一方でその美しさの反面、回避は困難を極めます。きちんとパターンを理解して回避行動を熟知し、苦手なパターンには魔法陣を合わせ、素晴らしくも難しい弾幕を攻略していきましょう。
なお、魔法陣を展開しなかったり、被弾が増えたりするとランクが下がりスコアが落ちる反面、前述の通り難易度はそれに応じて低下していきます。このため、それほど慣れていない初心者は苦しみながらも難易度が適切に抑えられてクリアしやすくなる一方、回避に熟達した上級者は自動的に高難度へと挑むことになります。
この難易度設計により、初心者でも上級者でも楽しく遊べること請け合いのシューティングとなっています。弾幕シューティングに慣れている方でもそうでない方でも、一度遊んでみてはいかがでしょうか。
感想
初めに断っておくと、筆者はHellsinker.をMinogameを使ってやっとのことでクリアできる程度のシューティングの腕前なので、以下に示すのは初心者寄りの感想になります。恐らく中級者以上は別の深みが出てきそうなシステムをしているんですが、その辺には実力的に触れられません。精進が足りない。
さらに断っておくと、そのレベルの腕前でも楽しめる作品なので、かなり幅広い方が遊べるゲームなのだと思います。
筆者は弾幕シューティングについては弾幕の美しさと曲との調和を好んで見るタイプなんですが、この作品はとりわけ前者が非常に良いです。弾幕に個性があるので、どのボス戦でも何が来るのか楽しみにしながらプレイしていました。個人的に好きなのはサメの歯をモチーフとしていそうな弾幕と、1周目ラスボスの様々な弾幕の数々です。
弾幕自体はそこそこ激しめであり、一部の弾幕はパターン化しないとかなり回避が難しい印象がありました。その分、きちんとパターンを読み取ってパニックにならずに冷静に移動して対処できると楽しいです。個人的には自機追従と弾幕のセットがアドリブ力を求められて難しい気がしています。
とにかく、色々なバリエーションを見て、それぞれに上手く対応していく楽しさを余すことなく味わえる作品だったと言えるでしょう。ギリギリで回避するとMPが回復するのもあって、慣れてきてもギリギリで避けてアドを取るスリリングな楽しみもありました。
その上で、魔法陣というシステムが秀逸でした。第一に、弾幕に干渉できる基本機能があるおかげで、弾幕に対する向き合い方に変化が出ます。少なくとも初心者はそこそこ早い弾幕を避けること自体が割と難しいので、弾幕を遅くする魔法陣の効果は高かったです。これが無ければ避けられない弾幕もありました。
その一方で、魔法陣に対して選択肢が用意されているのも良いです。単純に遊び方に変化がもたらされるというのも優れていますが、それ以上に自分にとって足りない点を補いやすいという利点を強く感じました。避けられないならスロウ、パターンを見て掻い潜るのが苦手ならチャーム、本当に無理ならバニシング、回避に自信があるならブーストと、己のプレイスタイルに合わせた機能を持たせられるというのが白眉です。
さらに、魔法陣の展開中はMPが削られていくというシステムも面白いです。ダメージの前借りのような設計のため、面白いリスク管理ができます。これが別ゲージであればシステム的に複雑な上、ある程度使い得なシーンが目立つことになるでしょう。しかし、MPが削られるのであれば、使いどころを選ばないとデメリットが勝ってしまいます。使うべくは使い、使わないところではちゃんと温存するというプレイングを否応なしに意識させられます。
その上で、ピンチの時はむしろ使えないというデメリット的な部分に対し、一発逆転のハイパー緊急回避という手札を用意しているという点まで抜かりありません。設計上どうしても発生しかねない詰みのような状況に対し、高難度ながらもプレイヤー側から出せる回答があります。
加えて筆者には半分縁が無いですが、展開するとランクが上がっていくという設計も見事です。上級者であれば自然とMPを減らしてでも使うことになるので、ハイリスクハイリターンな選択肢として機能しているのだと思います。MPが減れば当然難易度は上がるので、上級者向けのゲーム側のレベリングとしても優れています。
過負荷というシステムも含めて、上級者向けには自然に縛るようなプレイをさせつつも、ハイリスクハイリターンな選択肢を用意しているという印象がありました。敵のアッパー調整だけではなくプレイヤー側のアッパー調整もセットで行われており、高難度に挑むためのモチベーションがきちんと用意されているような印象を受けます。
近い話題が出たので難易度についても触れておくと、クリアするだけならかなり緩い難易度になっています。下手なりにちゃんと動かせば避けられますし、被弾するとランクが下がるので弾幕自体も抑えめになっていきます。自動的にこちら側の上手さによってレベルデザインが変化してくれるので、特に何かしなくてもある程度適切な難易度に落ち着くようになっている印象がありました。
全体を通して、筆者がミスしたのは一回だけで、それも魔法陣展開に慣れていないせいで、魔法陣を展開しっぱなしにした後の被弾でした。慣れてきてからは、恐らく半分を割ることも稀だったと思います。いざとなれば初心者の味方、オート魔法陣もある。
また、自機の当たり判定は充分小さく、魔法陣展開中はさらに小さくなるので、割とフィーリングでも弾幕は避けられるようになっています。大きい弾だけ警戒して、小さい弾はざっくりと突き抜けるように避けても何とかなります。恐れずに突っ込む気持ちが大事でした。
また、そうした秀逸なシステム周りに加え、遊びやすさを担保している要素がもう一つあります。UIの良さです。自機周辺にきちんと必要な情報がまとまっており、目線の移動量が最小で済むようにデザインされています。詳細な情報を見たい場合は大きめの情報を見て、選択に必要な情報を咄嗟に拾うには近くの情報を見るという形で上手く使い分けることができました。
殊に良いのはボムの表現です。数値表示やゲージ表示ではなく、今撃てるか撃てないかに絞って近傍に表示されています。まさに撃とうとするその時に必要な情報に絞られているおかげで、刹那の判断に役立ちました。ボムを撃とうと思っている時、その後のことなんて考えてられませんからね。
シナリオやグラフィックについては緩くまとまっていて、オリジナリティを出しつつもゲーム性を阻害しないテンポ感で会話劇が展開していくのが良かったです。弾幕の美しさもさることながら、ボスのグラフィックの多彩さもまた良い味を出していて、その相乗効果で見た目も楽しいゲームに仕上がっている印象がありました。
全体的にクオリティの高いシステム、安定度の高い設計、楽しめるレベルデザインをしている弾幕シューティングとして手に取りやすい作品であるように感じました。とりあえずこのゲームから始めれば、クリアまで遊んでスキルも身に付くんじゃなかろうか。