第17回ウディコン全作品レビュー - S.W.A.T. (Special Wizard Assault Team)
16. S.W.A.T. (Special Wizard Assault Team)
| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| タワーディフェンス | スパロー |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 3時間 | 1.0.0 | クリア |
良かった点
- ユニットを能動的にぶつけに行くようなタワーディフェンスが楽しめました
- 広範囲を一網打尽にする魔導により敵を殲滅していく爽快感があります
- ラストステージは歯応えがあり、総決算的に楽しめました
気になった点
- レベル差があるため、出撃ユニットを切り替える動機が弱かったです
レビュー
大量の敵に最強の魔導を
S.W.A.T. (Special Wizard Assault Team) は、ユニットを配置してウェーブを捌くタワーディフェンスゲームです。
市長と呼ばれるユニットのHPが0になる前に、敵を全滅させることができればクリアとなります。
その特徴は、何と言っても圧倒的な敵ユニットの数の暴力にあります。最大で数百ものユニットが押し寄せてくる様は圧巻の一言に尽きます。
一方で、こちらのユニットは最大でも10ユニットに留まるため、絶対多数と相対す中でどうやって運用していくのかが鍵となってきます。プレイヤーは好きなタイミングで好きな位置にユニットを動かすことができるため、敵を倒すために効率の良い配置を流動的に行い、それぞれのユニットを最大限使い尽くしていきましょう。
ただし、味方ユニットの力だけではその数十倍の敵ユニットの数に対抗するのは厳しいものがあります。そこで活躍するのが、魔導と呼ばれる特殊攻撃です。
時間経過で溜まるマナはユニットの配置コスト以外に、この特殊攻撃のコストとして支払うことができます。それぞれのユニットが持つ魔導は、様々な効果と絶大な威力を指定範囲に与えることができる奥の手となっています。大量の敵を効率良く捌くためにも、出来るだけ敵を固めて魔導で一網打尽に殲滅していきましょう。
なお、マナは魔導の強化にも使うことができます。強化するほど範囲も威力も強力になっていくため、余裕がある内に狙っていけると良いでしょう。
そうして敵を殲滅するごとにシナリオが進み、次なるステージが解放されていきます。ステージが進むにつれてその歯応えは増していき、敵の数もどんどんと増えていくことになります。
敵の軍勢が苛烈になるにつれ、その猛攻をユニットを使って上手くしのいでいくタワーディフェンス的な我慢が求められるようになってきます。そして、そうして耐えれば耐えた分だけ、貯めたマナを最大限活用して魔導の力で殲滅していく爽快感はより大きなものとなるでしょう。
ユニットを能動的にぶつけて敵を効率良く排除しつつ、魔導の使いどころを見極めて一気に撃破するその気持ち良さを是非味わってみてください。
感想
性能限界に挑戦してそうなリアルタイムタワーディフェンスです。どんどん激しくなる敵の勢いにどこまで行くんだろうと思っていましたが、最終盤は凄かったです。これだけのカオスがちゃんと動くのだからウディタは凄い。これを動かしきっているシステムの安定性も素晴らしい。流石に最終盤の盤面に最大強化の炎攻撃を打ち込むと処理落ちするんですが、致命的に落ちることなくちゃんと動きます。
帝国の対外戦争でも大概性能の限界までやっている気がしましたが、バージョンアップするとまだまだいけるものなんですね。
ゲームシステムは攻撃的タワーディフェンスとでも言うべきもので、攻撃的に迎撃する設計をしています。積極的にキャラクターの位置を動かし、相手の襲来に合わせて上手く攻撃を合わせていく能動的なTDなので、ずっと忙しくて良いです。
加えて魔導というMAP兵器が極めて強く、ひたすら耐えてマナを確保してぶっ放して殲滅させる爽快感もあります。タワーディフェンスは対応のゲーム性をしていて、基本的に戦略的我慢が大事なゲームだと思っているんですが、それに対するリターンとして最大級に気持ちのいいものを用意してくれています。一気に大量の敵が消し飛ぶのが良い。
なお、このゲームにおいては敵を倒してコストを得るのではなく、時間経過でコストを得る設計となっています。このため、フェーズ終盤においては、むしろ敵を倒さないという戦略も取れるようになっていました。
市長のHPはそこそこあるので、これをリソースと見なして最大限活用することで、序盤に稼ぐことができます。特に足が遅い敵が狙い目です。素早く殲滅しろと言われていますが、殲滅しないという選択も取れるかもしれません。
個人的にこの作品で最も楽しいポイントは、この辺の仕組みを理解し、それぞれのユニットや魔導を理解した上で挑むラストステージです。総決算のような立ち位置に相応しく、鬼のような量の敵が押し寄せてきます。最初に見た時に笑いが出るレベルです。
どのユニットをやられるまでこき使って良く、どのユニットは温存するかを決めておきつつ、敵をまとめて最大火力を叩きつけるプレイングを徹底しないとクリアはおぼつきません。プログラムの処理能力の限界だけでなく、こちらの処理能力の限界まで測りにきている。
筆者は最大の雷で危険な個所を処理しつつ、敵機が増えてきたら適宜炎で溶かす方針で捌いていました。時間稼ぎは氷に委ねつつ、最終盤の黒ユニット対策に聖を打ち込むために追加ユニットはこれらを選択しています。最後の分水嶺は、黒ユニットにいかに効率よく最大の聖属性攻撃を当てられるかになってくる印象がありました。なお、筆者は初め氷を無段階強化で運用していましたが、2段階強化くらいがちょうど良さそうな印象があります。
最終的に市長のHPが70でギリギリ撃破に間に合わせたので、割と薄氷の勝利となりました。終盤に飛来する黒色飛行物体の大群が難物だった。
このラストステージに代表されるような手に汗握るギリギリの戦闘バランスの組み方は上手く、ギリギリ行ける雰囲気がある範囲で最大限難しさを演出しているような印象を受けました。
ゲームパート以外のことについても少し触れておくと、遊び方の説明が割と充実しています。動画付きで丁寧にチュートリアルしてくれるので、特に説明を見なくてもすんなりと理解できます。ただし、遊び方の説明動画に名前が変わったであろうαやβが残ってしまっているのは薄っすらと気になりました。少し前に撮影したんでしょうか。
UI周りについても概ね直感的に操作しやすく、ゲームを円滑に進める上で大過なく使える印象がありました。
シナリオについてはテンポが良く、加えてキャラクターが非常に多数出てきます。タワーディフェンスの特性上増やしているという側面があるのかもしれませんが、それにしても大量に出てきます。パーソナリティの説明というか描写はそこそこに、とにかくたくさん出てきて、それぞれがインパクトで勝負してくるような印象がありました。ソシャゲみたい。
物語の本筋自体はあるようでないような側面が強く、いくつか匂わせや考察の余地があるものはあるものの、基本的にはあんまり語られずに終わります。魔導局は何がしたかったのか、ゾンビ化の下手人のあまりの三下感と背後にいる黒幕、主人公の動機に対する決着、そのあたりは微妙に回収されません。ちゃんと読んでいればある程度推察できる範囲のものがあるとはいえ、このあたりはやや消化不良の感はあります。本筋自体は一応の決着を見せてはいるんですが。
オフェンシブなタワーディフェンスという楽しさもさることながら、最終的には全部ぶっ飛ばす魔導の爽快感で総括されるようなゲーム性をしていました。これも大量の敵が出せるウディタVer3のなせる業です。そのパワーによる恩恵を最大化したゲームと言えるかもしれません。