第17回ウディコン全作品レビュー - アイドルライバー
35. アイドルライバー
| ジャンル | 作者 |
|---|---|
| シミュレーション | シブサワ・コウの名を継ぐ者 |
| プレイ時間 | プレイVer | クリア状況 |
|---|---|---|
| 20分 x 2 | 8/2更新 | クリア |
良かった点
- 緩く分岐を楽しめるゲーム性でした
- AIを使って短いシナリオを楽しむ導線が上手く整備されていました
- ロールプレイが捗ります
気になった点
- 特にありません
レビュー
ぼくのかんがえたさいきょうのライバー
アイドルライバーは、ライバーをプロデュースしていく選択形式のアドベンチャーです。
プレイヤーはレッスンや配信を通してライバーを育成していき、ランキングの1位を目指していくことになります。
ゲームの流れはシンプルなもので、レッスンでパラメータを上昇させた後、配信を経て資金や知名度を獲得していくというものになります。
まず、レッスンでは練習内容により各パラメータが上昇し、一方でモチベが低下していきます。モチベが少ないと配信に悪影響を与えるため、適宜休ませてあげましょう。
次の配信では内容を決めた後に会話が進行していき、いくつかの選択肢によってその内容が分岐していきます。無難に人気になりそうな選択肢を選ぶも、炎上しそうな危険な選択肢を選ぶも、全てはプレイヤーに委ねられています。自由に選択していき、自分の目指す配信者に育てていきましょう。
しかし、アイドルライバーは単なるアドベンチャーゲームではありません。
Gemini APIを活用することで、配信の概要をAIに伝えてその内容を生成するという仕組みが組み込まれています。この機能を使うことで、プレイヤー一人一人が固有の体験を得られることでしょう。
設定を考えるのが苦手という方でも、配信内容のテンプレートもいくつか用意されているので安心です。まずはそれをカスタムして楽しんでみるのをお勧めします。
ライバーを育成していくシンプルなアドベンチャーでありながら、AIの力で無限に広がる世界も体験できる作品となっています。
ゲームの中で自分なりのライバー像を作り上げていきましょう。
感想
とりあえずまずはAI抜きのゲームパートについてですが、短めのシミュレータ風のアドベンチャーゲームになっています。これだけでもちゃんとコンセプトのアイドル育成は成立していて、軽めの育成要素とそれなりの分岐が用意されていました。
筆者は適当にプレイしていたら人の恋路を邪魔しておいて結婚を申し込むクソ野郎に成れ果ててしまいましたが、そういう緩い分岐もあるあたりが楽しめます。どこで道を誤ったんだこのプロデューサーは。ともかく、極限まで単純化してローグライト要素とミステリ要素を削ったアイネットマーダーマジックみたいな感じです。
ゲームの達成条件も恐らく緩めであり、半分近くの配信が不評に終わっても目標は達成できました。何が正解かがかなり不透明なところが多いので、このレベルで緩くクリアできるのは良いように感じました。というか、失敗のパターンはあるのだろうか。
話を変えて、おまけモードについて。このスピード感でAIを上手く組み込んできたのは凄いです。その上で、きちんとAIでなくてはできないことを、それなりに導線を付けて組み入れている上手さもあります。Geminiがちょうど良い時期にあったのも良かったですね。ウディコン開催中に規約が変更される恐れもあったはずなので、あくまでおまけモードであるという立ち位置に留めてあるのも良いです。リスクがケアされている。
まず、AIでないとできない、プレイヤーが自由入力した設定に対するプロットの自動生成という仕組みをライバーの配信という建付けの中に入れているのが上手いです。配信という枠組みの中でシナリオを構成するので、あまり突飛なことになりにくく、たとえ破綻が起きてもそういうものとして受け取りやすい下地ができています。
唐突に配信テーマに関係するか分からないものが出てこようが、いきなりすべてを壊すデウスエクスマキナが出てこようが、そういう配信になってしまったから、という謎の説得力が生まれていました。配信というもののアドリブ性の高さによるものかもしれない。
その上で、プロット自体はこちらの入力にかなり柔軟に対応してくれるので、オリジナリティを感じながら読み進めることができます。これはAIが賢い。
そして、個人的にこの作品で最も優れていると感じているのが、AIによるプロット生成という遊びを楽しむために、そういったことに経験のないプレイヤーでも簡単に生成できるように下地を整えてあるという点になります。
プレイヤーが干渉すべき点は決して多くなく、全容をきちんと書く必要はありません。あくまで配信の概要を書くだけで済むので、こういうことがあったら面白そう、くらいの温度感で記載が可能になっています。加えて、テンプレートとしてのランダム生成も用意されているので、ここから派生して組み立てるといったことも可能です。
その上で、各ライバーの性格やそれまでの選択肢をコンテキストに組み込むことで、ただのプロット生成だけでなく、このゲームならではの性格も出している、という点も良く出来ています。きちんと、このゲームでしかできない体験が得られました。
この作品の楽しさの半分くらいはAIに任せてロールプレイしている楽しさであることは否定できず、その点に関してはこの作品の功績あるいは評価に値する点であるとは言いにくいところはあります。
しかし、この辺りのAIロールプレイを楽しく、平易にやらせる仕組み作りの巧みさは間違いなくこのゲームの評価点であろうと思います。お膳立てが優れている。
ちなみに、これの執筆時点ではGeminiの無料枠のレートが押し下げられていたので、もうAIモードは満足に遊べないかもしれません。その点はご了承ください。