第17回ウディコン全作品レビュー - 名もなき記録

37. 名もなき記録

ジャンル 作者
ノベル 今門 楽々
プレイ時間 プレイVer クリア状況
10分 1.0 全END

良かった点

  • 短編としてまとまりが良く、完成度が高いです
  • 演出やグラフィックが物語を上手く引き立てています

気になった点

  • やや誘導が弱い印象を受けました
    • 短編のため、実質的には誘導無しでも問題が無いので些細な話ではあります

レビュー

完璧な小品

名もなき記録は、選択肢によって物語が変化していくノベルゲームです。
終末世界で戦う二人の少しばかりのやり取りから始まり、やがて転回していく物語が描かれています。

物語のエンディング分岐は5つありますが、すべて見たとしても10分程に収まる程度のボリュームとなっています。しかし、その短い中で、魅力的なキャラクターのやり取りや、世界観の描写、物語の急展開、印象に残る演出といった要素が過不足なく詰め込まれている作品となっています。
その短いプレイ時間の中で、高い満足感を得られることは間違いありません。

これ以上多くを語るとネタバレとなってしまうため、ここで筆を止めておこうと思います。
短く完成度の高いノベルを遊びたい方は是非プレイしてみてください。

感想

過不足なく表現された小品のようなゲームです。短い中に要素がきちんと入れられた上で、転回まで用意されています。短く綺麗にまとまっている。
以下はネタバレします。ごく短い作品なので、やってない方はやりましょう。

シナリオの完成度というか、まとまりに関してはかなり秀逸で、短いやり取りと少しの情報しか出していないにもかかわらず、きちんと終わりまで丁寧に導かれています。フックとしての違和感の配置、世界観に対する言及の度合い、最後に至るまでの道筋、全てが必要十分にコントロールされて整備されているような印象を受けました。
この短いやり取りの中でキャラクターを魅力的に見せている手腕も素晴らしいです。
さらに、シナリオに対するメタ的な演出についても良く出来ていて、Continueが使えなくなったタイミングの表現ですらオシャレに仕上がっています。その状態に意味を持たせている。

必要な範囲で用意されているキャラクターのスチルなど、リソースもまた適切な範囲で用意されています。個人的には管理人の絵も欲しい気がしましたが、あれはあれでそういう演出なのかもしれません。
ごく短く、特徴づけるものがテキストとそこから発生する違和感であるという手に取りにくい作品の形式であるところを、グラフィックで上手くキャッチ―に仕上げて手に取りやすくしている印象があります。◆-晩餐-◆といい、メタノベルはそういうやり方をしがちなのかもしれない。

ゲームとしては、あんまりにも短いのでヒントなどの誘導は弱めではあるものの、特定BADでそれなりに誘導はされています。そもそも短いので、誘導が無くてもいつかは到達できるかもしれません。そもそも上の選択肢だけ選べばいいのはADVあるあるではあります。
また、当然のように用意されているバックログ、2周目から解放されるスキップ要素といったように、システム面でも痒い所に手が届く設計となっています。隙が無い。

短く綺麗な物語体験が得られる、質の良い短編といった感じの作品です。
なお、筆者は割とすぐに突破したため、セーブデータを差し戻すことで全てのエンディング、もといBADを見るようにしていました。やや手間。もっとも、BADを回収したい人はそういうことをやるタイプの人なので、手間だとは思いつつも設計上はそういうものだろうなと納得しています。そうあるべき物語ですしね。